上条当麻には兄がいる   作:暁 煌

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静馬「お~い、当麻。親父から荷物が届いたぞ~。」
当麻「……またお守りの山じゃないだろうな(汗
   気持ちはありがたいんだけど、使い道がないんだよなぁ……。」
静馬「お前の幸せと俺の無事を祈って集めた、なんて言われると捨てる訳にもいかないしな。」
当麻「まったくだぜ。今は食い物の方がありがたいってのに……。」
静馬(……刀夜さん、当麻が不幸の原因である能力(ちから)に向き合うようになったから、
   神頼みを止めて今までのお土産として送ってきたんだろうなぁ。)
当麻「―――で、今度のは出張先の土産物か。
   木彫りの鮭より本物の鮭がいいんだってーの!ちくしょう、不幸だーーー!!」
静馬「こらこら、当麻。確かにお前の欲しかった物(たべもの)じゃなかったかもしれないけど、
   だからといって『親の愛を不幸と呼ぶのか?』」
当麻「……そうだよな。これは親父の心が籠ってる物なんだ。
   俺が間違ってた、ゴメン。俺、これ大事にするよ、兄ちゃん!」

イン「とーうーまー、お腹が空いたんだよー!」

静馬&当麻「「……はぁ。」」




トラウィスカルパンテクウトリの槍

 

 

 

「兄ちゃん!お話があります!!」

「お、おう。どうした当麻?」

 

朝早くから押しかけてきた弟の鬼気迫る勢いに、静馬は驚きつつも問い返す。

勢いの割に焦りや不安があまりない様子からして、事件などではないだろうと予測をつける。

―――というか、当麻の手に抱えられた『問題集』が答えを告げていた。

 

「兄ちゃんは昔から頭が良かった!

 そりゃあもう、俺とは比べ物にならなかったくらいに!!」

「しょ、小学校のころはな。」

「そんな頭脳明晰な兄ちゃんの力が必要なんだッ!どうか俺を助けてください!!」

 

そう言って下げられた頭とともに突き出される『問題集』。

今日の日付は8月31日―――夏休み最終日だ。

つまるところ、夏休みの宿題を手伝って欲しいということだろう。

しかし、静馬は辛い事実を告げる他なかった。

 

「―――すまない、当麻。

 俺は、俺では、お前を助けられない……ッ!」

「えっ!!?」

「前に言った通り、お前と離れてからの俺は、イギリスで魔術の勉強をしていたんだ。

 魔術を使うにはたくさんの知識が必要で、俺は毎日毎日魔術について学んだ。

 当然、学校になんて行けやしなかった……。

 だから―――だから俺には科学のことはまったく分からないんだ!

 不甲斐ない兄を許してくれ……当麻ッ!」

「そんな!兄ちゃんが悪い訳ないじゃないか!!

 むしろ悪いのは俺だ!

 兄ちゃんが普通の生活ができなかったって、少し考えれば分かったはずなのに!

 ゴメンよ、兄ちゃん!!」

「……俺を、許してくれるのか、当麻?」

「当り前だよ、兄ちゃん!

 このくらいの敵(宿題)、俺1人でやっつけてやるぜ!」

 

熱く心を通わせる兄弟。

その様子を1人のシスターが冷めた目で見ていた。

 

「……何なの、この三文芝居。」

「にゃー。」

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

ふぅ……何とか面倒くさいこと(おべんきょう)から逃げられたな。

まったく、生まれ変わってまで勉強なんてしてられるかってーの!

 

さぁて、どこで羽を伸ばそうか―――

 

「―――ごめ~ん、待ったぁ~。」

 

……は?みこっちゃん??

え?俺、みこっちゃんと待ち合わせなんかしてたっけ???

 

混乱のまま右手を上げて応えてしまう俺。

すると、みこっちゃんは俺の腕を取り、ぼそっと告げてくる。

 

「お願い、話を合わせて!」

 

―――あぁ~、だいたいの事情が分かった。

これアレだ。

厄介事だわ。

……魔術絡みの。

 

当麻がみこっちゃんの恋人役をやるヤツでしょ?

何で俺が巻き込まれてんの?

……ハイ、俺が当麻をやる気にさせて、家で勉強させてるからですね。

 

え、何?俺が茶番に付き合わなきゃいけないの??

 

「あははは、ごめ~ん遅れちゃって~。

 お詫びに何か奢ってあげるから、それで許して~。」

 

おぅ……完全にこのまま続ける気ですね。

というか、みこっちゃんに遭遇したということは―――

 

『きゃーーー!!御坂さんが男の人と腕を組んでるわv』

『寮の眼前で逢引きとは良い度胸だ。』

『お姉さま!(わたくし)という者がありながら、何をなさっているんですの!?』

 

―――ここが常盤台の女子寮だったのか……。

ていうか、すげー注目されてんじゃないか。

 

「あ、あは、あははは……。」

 

うんうん。この状況、みこっちゃんとしては泣くしかないよな。

 

「うぁあああぁぁーーー!!」

「って、ぅおおぉぉぉ!?」

 

腕っ!腕組んだまま走らないでぇええええ!!?

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

こ、ここまでくれば誰も見てないわよね?

はぁーーー、やっちゃった……。

これからどうしよう?

とりあえず、ほとぼりが冷めるまで寮には戻れないし―――。

 

「―――みこっちゃん、そろそろ腕を離してくれると助かるんだけど?」

「っ!! う、うぁあぁ!?」

 

そう言えば掴んだままだった!?

もぅ!もっと早く言いなさいよ!

 

ぱっと離れて「やれやれ」と肩を回すヤツを睨みつける。

 

「……で、どういう訳なのかな?」

 

ちっ、まったく動じてないわね。

―――何で私ばっかり慌てなきゃいけないのよ!

 

……でもまあ、巻き込んじゃったし?

説明くらいはしてやるか。

 

「私と一緒に男が1人いたでしょ?

 アイツ、海原光貴っていうんだけど、この1週間ずーっと私に付きまとってんの。

 でも常盤台(うち)の理事長の孫らしくて、無下にもできなくて困ってたの。

 そこにアンタが通りかかったから、恋人のフリをしてもらって追っ払おうと思ったのよ。」

「―――なるほど。」

 

納得のセリフの割に、何か考え込んでるわね?

顎に手を当てて真剣な表情をしてると結構―――じゃない!そうじゃないでしょ!?

今考えるのは海原をどうするかでしょうがっ!!

 

……え、え~と、そうね。

せっかくだから、この機会に2度と付け回されないようにしたいから……。

今日1日、このままコイツと歩き回ってるのを大勢の人に見せて、海原が諦めるように―――

 

「恐らくアイツは、その海原ってヤツじゃないと思う。」

「―――は?」

 

え?ちょっ、どういうこと!?

 

「アンタ海原と知り合いなの!?」

「いいや、全然。」

「じゃあ、どうして偽物だって分かんのよ!?」

「アイツからは魔術師の気配がした。(嘘だけど)」

 

魔術師!?それって確か 外 (学園都市以外)の能力者たちのことよね?

コイツも外の人間だって言うし、何か見分け方でもあるのかしら。

 

「でも、それがどうして私に付きまとうのよ?」

「……推測でしかないけど、学園都市のことを調べに来てて、

 その一環で超能力者(レベル5)に近づこうとした、とか。(大嘘ですけど)」

「―――そういうこと。なら話は簡単ね!」

 

そんな奴、ぶっ飛ばしちゃえばいいのよ!!

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

街の中を美琴は1人で歩いている。

その傍には静馬の姿はない。

 

何故美琴は1人なのか、静馬はどこに行ったのか、

警戒しつつも海原光貴はそんな素振りは微塵も見せない。

いつものように爽やかに笑いながら、いつものように穏かに美琴に話しかけた。

 

「御坂さんじゃないですか。

 今はお一人ですか?先ほどのお友だちの方は―――。」

 

直後。

 

「かかったわね!この偽物がーーーッ!!!」

 

電撃が襲い掛かる。

殺さないように手加減はしているのだろうが、

人間などたった100万V程度で動けなくなってしまう。

気合いに反し、10億Vにも達する雷を操る美琴にとっては、この電撃は繊細な攻撃だった。

 

しかし、かわされてしまう。

 

人間が光の速さで動ける訳がないので、明らかに攻撃の出がかりを察知しての回避。

実戦慣れしている証拠だ。

更に、いつの間にかその手には黒曜石でできたナイフが握られていた。

 

「―――これで確定ね。アンタは海原光貴じゃない。

 海原はお坊ちゃんで喧嘩も碌にしたことがない。

 何より念能力者(サイコキネシス)がンなモン使うかぁあああ!!」

「くっ!?」

 

今度は放射状に放たれる電撃。

偽海原はとっさに看板を盾にして電撃を逃れると、路地裏へと駆け込む。

 

正体がバレた理由や、命令の遂行は後回しだ。

今は逃げなければ―――

 

「―――そんなに急いで、どこへ行くんだ?」

 

声を最後に偽海原は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

<カコン>と缶をぶつけ合う。

 

「いや~、お疲れー。アンタのお陰でもう付きまとわれずに済むわ!」

 

上機嫌のみこっちゃんに奢ってもらったのは『ヤシの実サイダー』。

今回は路上の自販機で買ったので、蹴りは使っていない。

―――のに、このチョイス。

好きなの、このジュース?

 

グビグビと飲んでいたみこっちゃんが、そう言えばと聞いてくる。

 

「あの偽物、この後どうなるのかしら?」

「ん~、警備員(アンチスキル)が連れて行ったし、背後関係を調べられて外に放り出されるんじゃない?」

 

アレイスターが見逃せば、ね。

 

「ふ~ん、そんな物なのかしらねぇ?」

 

小首を傾げながらグビっとまた一口飲むみこっちゃん。

……シスターズの時みたいに酷いことにならないか心配なのかな?

 

こちらも一口、グビっと飲む。

 

「まあ表沙汰になった事件なんて“だいたい”そんな物だよ。」

「……―――そうよね!」

 

明るく笑ったみこっちゃんに、俺も笑顔を返す。

―――余計な心配は、させたくないしね。

 

 

 

 





一方「……テメェ、いつまで居座るつもりだ?」
御坂妹「居座るも何も、ここが御坂の家ですが、と御坂は面の皮の厚さを見せつけます。」
一方「ココは俺ン家だ!だいたいテメェの姉妹どもは外の研究施設に行ったンだろうが!
   テメェはイイのかよ!?」
御坂妹「みんな調整のために行ってしまいましたが、
    御坂を含め10人ほどは学園都市の研究施設で診てもらえることになっています、
    と御坂は報告します。」
一方「だったらその研究施設に引き籠ってやがれ!」
御坂妹「あんな所、人の暮らす場所ではありませんよ、と御坂は小馬鹿にして答えます。」
一方「テメェはこの間までそンな場所に居ただろうがァア!?」
御坂妹「……居心地の良い場所からは、離れ難いものです、と御坂は寂しげに呟きます。」
一方「―――チッ!勝手にしろ!!」

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