意図せず世界を手中に収めよう   作:マーズ

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一巻分をまるまる書き貯めしようとすると、時間がかかりすぎてエタりそうなので書き終えたら随時更新します。
面倒くさくてすみません。



1章 理事長
院長のクズ日記4


 

 

 

 

 

W月Q日

 

 

働くというのも、中々悪くない。

ふっ、流石は俺だ。労働も文句なしに行うとは……。

 

まさにサラリーマン、社畜の鑑である。

……とは言っても、孤児院にいたときとあまり生活は変わっていないんですけどね。

 

俺はあの恩知らずのクソガキ共に働けと孤児院を蹴りだされた後、日本のIS学園に来ていた。

大体あそこの孤児院を建てたのは誰だと思ってる。俺だぞ。

 

家主に家から出て行けとかわけわからなさ過ぎてムカつくんじゃボケ。

スタイリッシュな逃亡方法を考えながら学園に来た俺だったが、用意されていたポストは「理事長」という素晴らしいものであった。

 

うん、ここの奴らは俺という人間をしっかりと評価できているようだ。安心した。

もし、作業員とか事務員とかだったりしたら、マジで逃げ出していたわ。

 

アイツらにもばれないようにこっそりとへそくりは貯めてあったし、あいつらに絶対にばれない場所に行こうと思っていた。

まあ、その案はまた次の機会にということで……。

 

俺が理事長として今日行った仕事を書いてみよう。

昼過ぎに起きる→ネット→うまい飯食う→お昼寝→ネット→間食(贅沢な)→ネット→うまい飯食う→ネット→寝る

 

……完璧すぎる。

どこにも付け入るすきがない。

 

まさに俺が求めていた理想の生活だ。

あまり孤児院にいたときと変わらないが、面倒くさいガキの相手はしなくてもいいし、「頭イカれてんじゃねえの」な武装組織もないし、こっちの方が住みやすく感じる。

 

いいねぇ……最高だねぇ……。

孤児院出るときはお先真っ暗だったが、今は光り輝いている。

 

今世界で最も夢と希望を持ち合わせているのは、俺だろう。

IS学園万歳!理事長万歳!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

W月W日

 

 

今日はIS学園の入学式……だったらしい。

俺は何もしていないので全然知らない。

 

入学式で挨拶をしなければならないのかと思っていたが、理事長はどうやらしなくてもいいらしい。やったぜ。

想像するだけでも面倒だもんな、挨拶って。

 

むしろ生徒の方も聞きたくないだろうし、win-winの関係だね。

では、何故俺がそんなことを知っているのかと言うと、クロのやつが教えてくれたからである。

 

……ガキ共と離れられたと思ったとたんにこれですよ。

神ってホントクソですわ。

 

そういえばシャルロットの奴が、IS学園に合格したとか言っていたな。

あいつのあざとさに目を引かれまくっていたから、すっかり聞き流していた。

 

しかし、シャルロットだけでなくクロやシロまで入学しているとは……。

こいつら、俺の強権を発動して退学処分にしてやろうか。

 

……下手したら俺も理事長クビだな、止めとくか。

だからさ、クロは休み時間まで俺の城に来る必要はないぞ。

 

ノックもなしにバンバン入ってくるからびっくりするわ。

毎時間毎時間顔を合わせるのも嫌だし、適当にしてくれていいよ。

 

まあ、口には出せないんですけどね。

機嫌損ねられて攻撃されたら、俺一撃で昇天しちゃいますから。

 

そうして黙っていると、クロのやつも調子に乗る。

今度は俺が寝ようかなと考える夜になって忍び込んできやがった。

 

しかも、一緒にお風呂に入ってほしい?

……素晴らしい申し出だね。良い子だ。

 

俺は可愛い可愛い子供のために、一緒にお風呂に入ってやった。

いやー、本当クロの身体は凄まじいものだ。

 

ボンッ、キュッ、ボンッだし、褐色だし、顔も良いし。

頭を撫でてやると結構可愛い反応もするし……。

 

ただなぁ、無駄に強すぎるのがいかん。喧嘩したら絶対負ける。

残念すぎる……。

 

そして、俺の身体も残念すぎる。

どうして手が出せないのか。相変わらずの欠陥品である。死ねや、神。

 

ただ、身体を洗うことに専念すればクロの身体にも触れるようだ。

感想は……とてもよかったとだけ書いておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

W月E日

 

 

この学園にあるベッドは、とてもいいものだ。

国立だからかどうか知らないが、フカフカでよく眠れる。

 

ただ、どちらかというと孤児院にあったベッドの方がいいものだったような気がする。

あれは誰が持ってきたんだっけ?

 

……ああ、シロだったけか。

クロと同じく孤児院に残った有力な人間だ。

 

俺の好感度はマシマシですよ。

勉強を強要してきて、かつクソガキ共より劣っていることを目の前に突き付けてくることさえなければ、俺は惚れていたかもしれない。

 

美人だし、おっぱいもデカいし。

本当、俺の身の回りの奴らって残念なやつばっかだわー。

 

今日の朝食も美味しかった。

好みで言えば、チェルシーの方なんだがなぁ。

 

あいつ、俺の好きな料理ばっかり出してくるから、箸が進むのなんのって。

まあ、孤児院から出ている時点でダメ女なんですけどね。

 

飯を食べている最中に、クロが飛び込んできて一緒に食事をとることになった。

……ここ、理事長室なんですけど。

 

お前、ここの生徒になったんだったら食堂で食べなくちゃダメなんじゃないの?

まあ、俺の膝の上で食べるから、柔らかい肢体の感触を味わえるから何も言いませんけど。

 

……手が出せないんだから、身体を密着してもらうしかないじゃない!

今日もクロのお尻の感触は素晴らしかった。

 

これからも鬱陶しくない程度に俺に引っ付いてくれてよし。

食事を終えた後、クロはシャルロットに引きずられて出て行った。

 

いいぞ、よくやった。

あくまで部屋から離れようとしないクロを引っ張っていくのは、シャルロットでも苦労をしていたようだ。

 

俺は今日も理事長としての職務に励むべく、窓から差し込んでくる暖かな日差しに身体を差し出していたのだが、真耶が飛び込んできてそれが終わりを告げた。

……許さんぞ、おっぱい魔人め!

 

彼女の報告によると、生徒同士が決闘をするからアリーナの使用許可が欲しいとのことだった。

……決闘?

 

え、なに。この学園ってそんな物騒なところだったの?

何が決闘だよ、前時代的すぎるだろう。

 

日本の法律には決闘を禁止するものだってあるんだぞ!

……そう言えばIS学園って治外法権だったっけ?まあ、どうでもいいけど。

 

はー、楽な職場だと思っていたら、決闘を行えるような職場だったのかよ。凄く騙された気分。

俺が何も言わないから、真耶がおどおどとこちらを見上げてきていた。

 

くっ、可愛いじゃないか。

でも、俺を見捨てて孤児院を捨て去ったのは許さないんだからね!

 

とはいえ、真耶ほどの美女にそんな顔されて嫌な気分になるはずもなく、俺は使用許可を出したのであった。

そもそも、俺は全く関係ないから、決闘をしようがしまいがどうでもいいことであった。

 

いいよいいよ、どんどん決闘しちゃいなよ。

……しかし、死者とか出たら流石に責任問題になりそうだ。

その時は、真耶が悪いということにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

W月R日

 

 

今日は決闘の日らしい。

俺としては心底どうでもいい。大体、対戦相手自体知らないし。

 

だから、俺はいつも通り日向ぼっこでもしてぼけーッとしとこうと思っていたのだが、俺の部屋にシロがやって来た。

どうやら、俺のために特別な観戦室があるらしいから、そこで一緒に決闘を見ないかというお誘いであった。

 

……俺のため、特別な。

素晴らしい言葉だ。俺の偉大さをよく理解している。

 

俺は決闘には糞ほども興味がわかなかったが、シロの言葉にホイホイとつられて観戦室に向かった。

そこは、一般人……いや、凡人共が観戦している観客席よりも、随分と高い場所にあった。

 

……俺、ちょっと高所恐怖症気味なんだけどな。

だが、他の奴らを見下ろす快感に負けて、俺は観戦室に滞在することにした。

 

そこで初めて決闘をする生徒のことを知った。

何かハーレムでも作っていそうな爽やかイケメンと、いかにも気の強そうなクルクルお嬢様だった。

 

とりあえず、イケメン君は死んでいいよ。というか死ね。

ハーレム作るとか舐めてんの?俺に少し分けてくださいおねがいします。

 

お嬢様の方は……あまり仲良くしたくないな。馬鹿そうだし。

とはいえ、スタイルは中々良さそうだった。

 

ISスーツがかなりピッチリと肌に吸い付くため、身体の線がハッキリと出るのだ。

……これを作った束は天才だな。

 

しかも、さらに素晴らしいことに、一緒に観戦していたシロがどういう訳か俺の頭を胸に抱いたのだ。

豊満なおっぱいの感触が俺の後頭部を襲う……!

 

この感触は……おそらくF!

俺はたまにわざと後頭部を動かして、シロの胸の感触を精一杯愉しむ。

 

さらに、目は激しい動きで揺れ動くクルクルお嬢様の胸を追う。

……ここに桃源郷があったんだ(確信)。

 

途中でシロが色々と話しかけてきていた気もするが、正直おっぱいのことで頭がいっぱいで何も覚えていない。

まあ、どうでもいいことだろう。

俺はIS学園に来て、最も楽しい一日を過ごしたのであった。

 

 

 

 

 

 

W月T日

 

 

IS学園での楽しい過ごし方を、俺はついに理解した。

それは、女子生徒たちがISの訓練に励む授業を見ることだ!

 

普通の授業は到底見るつもりはない。

つまらないし、若い奴らが青春を謳歌しているのを見ても何も楽しくない。呪われろ。

 

だが、ISスーツというぴったりとした痴女御用達の衣服を着用している女子高生たちを見守るのは、中々に有意義だ。エロい。

本当なら双眼鏡でガッツリ覗きたいが、流石にそれを見られたら変質者になってしまうので自重する。

 

俺は生徒思いの理事長様である。変質者ではない。

まあ、俺がいる場所は特別観戦室とかいう、理事長専用の場所だ。

 

俺の許可なく誰かが入ってくることもないし、大丈夫だとは思うが。

そんなことを思いつつ、アリーナを使っている生徒たちを見る。

 

うーん……この学園の女子生徒はレベルが高いなぁ。

あそこに混じっている男が羨ましいよ。爆発しろ。

 

誰だっけ、あいつ……織斑だっけ?

……ああ、あのクソ怖い教師の弟か。まあ、どうでもいいか。

 

というか、あの女威圧感ありすぎなんだよクビにするぞ。

しかし、改めてみると、孤児院勢の体つきは素晴らしいものがある。

 

今日見られたのはクロとシャルロットだった。

……素晴らしい。二人とも男を悩殺するくらい魅力的な身体である。

 

だが、興奮しない。

クロはもう十分見たし、シャルロットは裏切り者だし。

 

あと、俺の身体は欠陥しているし。神様ふぁっきゅー。

手は出せない俺だが、目の保養にはなることは間違いない。

 

まあ、俺ほど仕事熱心になると、わざわざ生徒の授業進行度も確かめなきゃな。

いやー、本当自分の熱心さが憎いわー。

 

そんなことを思って授業を見ていたのだが、途中でシャルロットに見つかってしまう。

……いきなり手を振ってくるんじゃねえよ、マジでビビったぞ。

 

結構、距離も離れていたよね?何で見つけられたの?

……ああ、ISか。超兵器なんだし、倍率を上げる機能とかも付いているだろう。知らないけど。

 

ホント、便利だよな、IS。俺にもいくつかくれよ。使えないけど。

……ところで、ISを展開していなかったクロはどうして俺を見て手を振っていたんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

E月Q日

 

 

今日はクラスの対抗戦?とやらがあるようだ。

最近、ひたすらにゴロゴロとしていたから完全に忘れていた。

 

まあ、俺が覚えていようといまいと大して違いはないのだからいいだろう。

それに、見に行くつもりもないし。

 

いくら安全だからとはいえ、絶対ということは世の中存在しない。

もし、対抗戦の流れ弾がこっちに飛んできて俺にぶち当たったりとか考えると、恐ろしくてとてもじゃないが見られない。

 

そんなわけで、俺は適当に散歩することにしたのだ。

今なら、学園内にはほとんど人がいない。

 

皆、対抗戦が行われているアリーナに行っているからな。

珍しく、クロやシロもあっちに行っているようで、俺は久しぶりに完全なるフリーとなったのだった。

 

いちいち誰かに気を遣う必要もなく、朗らかな陽光を浴びながらのほのぼのとした散歩。

……俺、幸せでした。

 

だが、世界は一体俺の何に嫉妬をしているのか、そんな幸せもぶっ壊されたのである。

最初は、音だった。

 

ズドンと身体の芯まで響くような音と衝撃が、俺を襲ったのである。

うぇ、気持ち悪い……ふざけんなよ、クソが!

 

ブツブツと心の中で悪態をつきながら音がした方角を見ると、どうやらアリーナから音がしたようだった。

……ISの戦闘ダイナミックすぎるだろう。

 

それなりの距離が離れているここまで、戦闘の余波が届くのかよ。

やっぱり行かないで正解だったわ。

 

というか、こんなはた迷惑なものを作りやがったクソウサギ爆発しろ。

しかし、俺には関係がなさそうなので放置することにした。

 

生徒の安全の確保?

俺の安全の確保が何よりも優先される第一事項だろう。

 

とにかく、この学園で最も安全だと思われる理事長室―――つまりは俺の城に戻ることにした。

そうして、俺が方向転換した目の前に、ヘンテコなISが現れたのだ。

 

……は?

なにこれ?俺に死ねっていうんですか?お前が死ね。

 

そのISは全身が装甲になっていて、操縦者の顔が見られなかった。

……つまり、めちゃくちゃ怖かった。

 

誰かぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!助けてぇぇぇぇぇぇっ!!

何でこんな敵愾心バリバリのISが学園内にいるんだよ!!

 

俺を誰だと思っているんだ、理事長様だぞ!!

これだったら孤児院から出ない方がマシだったじゃねえか!

 

それに、何で周りに誰もいないんだよ!

クラス対抗戦のせいか?もう二度とやらないし、やらせない。

 

いつも俺の周りにうざいくらい引っ付いてくるクロたちはどうした?

必要な時にいないとか、舐めてんの?皆死ね。

 

俺がこの世の不条理を嘆いている間も、事態は好転しない。

俺を見てくるISも何も動かないし……。

 

結局、こいつは何がしたいんだ。馬鹿なのか?

しかし、下手なことはできず、俺も硬直する。

 

じっとISと睨み合う。

時間的には一分も経っていないだろうが、感覚的には一時間以上過ぎている気さえしていた。

 

そこに現れたのが、真耶だった。

よくやった、おっぱいお化け!

 

だが、この牛乳、何を思ったか銃を乱射し始めたのである。

俺が近くにいるだろうがぁぁぁっ!!死ぬわ!

 

俺が必死に銃弾を避けている間に、ISはいつの間にか壊されていた。

そのすぐ後、真耶に抱き着かれて気絶させられた。

 

こいつのおっぱい、マジで凶器だわ……。

……でも、気持ちいいから気絶しない程度に抱きしめてほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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