「よし、いくぞデュエル開始だっ!柚子~、アクションフィールドのことは頼んだぞ!」
彼はそう娘に話すと、おれに向かい合った。
《《アクションフィールドセット、『焔の荒野』》
無機質な床は、砂埃の舞う荒れ地へと姿を変えた。周囲には、所々に炎が点在しており触れたら本当に火傷しそうだ。この場所、おれと塾長は戦いあうのだ。
そう言えば、あのセリフを言えるだろうか。ぶっつけ本場だが、やるしかないと思う。
『いくぞ、戦いの殿堂に集いしデュエリスト達がっ!』
『もっモンスターとともに地をけり、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る』
『見よ!これぞデュエルの最強進化形、アクショォォーーーーン!!』
『『デュエル』』
修造vsスイゴ
LP4000/LP4000
「先行は、もらった!俺は手札から『ガッツマスター・ファイヤー』を召喚!」
導火線が人形を取ったようなモンスターが現れる。火で引火しないのが不思議だ。
「さらに、ガッツマスター・ファイヤーの効果で俺は手札から『ガッツマスター・ヒート』を特殊召喚ッ!」
ラグビー選手を思わせるモンスターが現れた。さっきから、どこかスポーツチックなモンスターが多い。
「俺はカードを一枚伏せっ、ターンエンドだ!さあ来い、スイゴくん!」
《二体とも、攻撃表示で召喚されている。攻撃力はそれ程、高くないな》
「おれのターン、ドロー。おれは手札から、無名の傭兵を攻撃表示で召喚」
名無しの剣士がフィールドに出現する。
「バトルだ、おれは無名の傭兵でガッツマスター・ファイヤーを攻撃」
《これで、塾長のモンスターは破壊っ》
「永続罠カード『ガッツ・プロテクト』発動!」
ガッツ・プロテクト
永続罠
一ターンに一度、自分フィールド上の『ガッツマスター』と名のつくモンスターに、相手モンスターが攻撃宣言を行った時に発動できる。攻撃された自分のモンスター一体は破壊されない。
「罠カードだとっ!?」
「ふんッ!!」
修造
LP3900
「ガッツマスター・ヒートのモンスター効果発動!一ターンに一度、攻撃表示のガッツマスターがバトルしたとき相手モンスターを破壊できるっ」
「はあっ!?」
暑苦しいモンスターのタックルを受け、おれのモンスターが消滅した。警戒しなかったのは、おれのミスだ。
「くっ、……おれはカードを一枚セットしてターンエンドだ」
バトルの主導権は、間違いなく塾長に傾いた。塾長は、おれがターンを終了すると同時にいきなり走り出した。
「まだまだ、そんなんじゃっ、熱さが足りないぞっ!俺が熱血指導してやる!!」
「遠慮します」
「遠慮は、いらないっ!ドローーッ!」
あの男は炎のフィールドの中を走り回って、暑くはないのだろうか。そう思えるほど、修造は元気にフィールド内を駆け巡る。すると、炎の中にカードを見つけたようだ。
「よっし!俺は手札から、アクショントラップ『弾ける火花』発動!」
弾ける火花
このカードを発動したプレイヤーは、500ポイントのダメージを受ける。
「ん」
「ん?」
おれ達は、同時に頭の中に疑問符が出る。
カードから、放たれた小さな火花が、塾長を襲った。
「うおお~~ッ!」
修造
LP3400
“塾長……”
“カッコ悪~い”
“全然、痺れられないぜ~”
応援が聞こえないフィールドで、なぜかそんな声が聞こえた気がした。
「まだまだっ、俺は手札から速攻魔法『完全燃焼』発動!」
完全燃焼
速攻魔法
自分フィールド上の炎属性モンスターの攻撃力は、このターンの間1000ポイントづつアップする。このターンのエンドフェイズ時に、自分フィールド上のモンスターは全て守備表示になり、その守備力は0になる。
「ウソだろっ!?」
修造のフィールドに2500のモンスターが二体並ぶ。この直接攻撃を通せば、おれの敗けだ。
「バトルだっ!俺はガッツマスター・ファイヤーでダイレクトアタックっ!!」
「そう簡単にやらせてたまるかよっ、おれは伏せカード『見返りなき緊急要請』を発動ッ」
見返りなき緊急要請
カウンター罠
自分フィールド上にモンスターが、一体も存在せず相手モンスターが攻撃宣言を行った時に発動できる。自分はデッキから、『無名』と名のつくレベル5以下のモンスター一体を特殊召喚できる。
「おれは、デッキから無名の医師を守備で特殊召喚する」
名もなき医者は、モンスターの一撃を受けなす術なく破壊された。
「だが、まだガッツマスター・ヒートの攻撃が残っている!」
「墓地の無名の医師の効果発動。このカードをゲームから除外し、俺は無名の傭兵を手札に戻す。さらにっ、相手の攻撃を止めることが出来る!」
修造
LP4650
「中々、熱い見せ方してくれるじゃないか!俺はこれでターンエンドだっ!」
修造はまたもフィールドを走り出す。恐らく、アクションカードを再び探しに行ったのかもしれない。おれは慌てて、彼を追いかける。
とはいえ、あのコンボも守備表示ならなんとかなる。おれはデッキから、カードを引いた。
「よしっ。おれは手札から無名の傭兵を攻撃表示で召喚ッ」
再び彼のフィールドにモンスターが出現する。
「さらに魔法カード『増援』を発動。よって、この効果でおれはデッキから『無名の盗賊』を手札に加える」
無名の盗賊
レベル4
戦士族/効果
このカードがデッキから、手札に加わった時に発動できる。自分フィールド上に『無名』と名のつくモンスターがいるとき、このモンスターを特殊召喚する。このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に、発動できる。自分はデッキから、カードを一枚ドローできる。
AT1500/DF500
「あんま使いたくないカードなんだが……おれは手札から無名の盗賊を特殊召喚!」
白髪の少年の姿をしたモンスターが、また一体。その手にはナイフが握られている。
「バトルだ。おれは無名の傭兵でガッツマスター・ファイヤーを攻撃」
「ガッツ・プロテクトの効果。一ターンに一度、ガッツモンスターは破壊されない」
「なら、無名の傭兵でもう一度攻撃だ」
塾長は足元にある。アクションカードを見つけ、二回目の発動をした。
「おれはアクショントラップ『燃える足場』を発動っ!」
燃える足場
このカードを発動したプレイヤーは、400ポイントのダメージを受ける
《またかよっ!》
「うおおぉぉ~」
修造
LP4250
一回目は敵の厚い筋肉の盾に防がれた攻撃も、二回直撃することで通った。修造のガッツマスター・ファイヤーが破壊される。
「あーデッキから、カードを一枚ドローする。大丈夫っすか」
「まだまだ、こんなもんじゃ俺の足を、エンタメデュエルを止めることはできないっ!」
エンタメとは、いったい…………。おれは心の底から、わけがわからくなった。
「カードを一枚セット。とりあえず、これでターンエンドです」
修造は宣言通り、再三アクションカードをさがしに走った。まだ懲りないのか、あのオッサンは。
「ドローーーッ!!!」
修造は手札を一瞬見て、スイゴのほうを向いた。
「スイゴくん、君は確かアクションデュエルをやるのは初めてだと聞いたよ」
「ええ、おれがいた場所ではアクションカードを使うデュエルは見る機会がなかったですし」
「それはもったいない、アクションデュエルはとても楽しいぞ!自分と、相手と、観客の全てが一体となって繰り出される最高のエンターテインメントだッ!!」
彼はおれにそう熱く語る。そう言われると、おれもアクションデュエルに興味がわいてくる。
「そうなると、君はまだアクションデュエルの奥深さを知らないっ!俺がそれを披露してみせよう!」
なら、見せてくれっ!おれもアクションデュエルがもっと知りたい。
スイゴと修造のデュエルは、さらに激しさを増していく。