遊戯王 ARC-Vs 儀式次元追加版   作:崖っぷち

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ストックは年明けまであるよ


桜樹 ユウ

「私のターンよ、ドロー」

 

…私は私のリズムでデュエルを進めましょうか。

 

この手札なら……まあ勝てるわね、多分。

 

「さてさて、それじゃあ盛り上げていこうかしらー。私、『ソン シェレン』なりの『エンタメデュエル』をッ」

 

 

スイゴの方を向く、彼は私のことをじっと見ている。いやん、そんなんじゃ照れるわ。柚子や遊矢もまた心配そうに見ている。

 

シェレンは口の端をつり上げて、笑う。

 

 

《こんなんじゃ、つまらないわよね》

 

 

私が柚子とやったデュエルはもっと楽しかった、ただ一方的に押し付けるわけじゃない最高のステージだった。借りにもう一度出来るかと問われれば、それは怪しい。

 

一瞬一瞬を大切にしたデュエルだからこそ、その結晶たるストーリーは美しく人を魅了するのだ。

 

 

《悪いけど、ノウンって子のデュエルは好きじゃないわ》

 

 

相手の可能性を奪うノウンのデュエルは、勝つには正しいかもしれないがエンタメとしてはいただけない。

 

そして、だからこそ、シェレンは勝たなければいけない。自身の正しさを証明するために。

 

「ノウン、貴女に見せてあげるわ。本当のエンタメデュエルを!」

「何を仰るかしら、デュエルにエンタメは関係ないでしょう」

「さっきから貴女ずっとそこにいるわね。……もしかして、カナヅチかしら」

「余計なお世話よッ!」

「さあーて、行くわよー」

 

彼女は、既に見つけてあったアクションカードを取りに走りだす。

 

「あったわね、行くわよ。私はアクションマジック『目眩ましの影』を発動。トリシェーラを選択よ」

 

黒い残像がモンスターの周囲を包み、動けなくした。トリシェーラはまるで、あらぬ方向を見ており、フラフラとしている。

 

「まずは無粋なカードから、破壊させてもらうわ。手札から速攻魔法『船上の偽装工作』を発動」

 

船上の偽装工作

 

速攻魔法

 

自分の墓地に、『呉』と名のつくカードが三枚以上あるときに発動できる。墓地からランダムに三枚カードをデッキに戻しシャッフルすることで、相手フィールド上の魔法・罠カードを2枚まで破壊できる。この効果を発動したターン、自分は特殊召喚をおこなえない。

 

「はあっ!?」

「貴女の伏せたカードは破壊よ」

 

使用されることもなく、ノウンのインフェルニティ・ブレイクが破壊される。

 

「腹正しい真似をっ」

 

 

《まだまだ、ここからが本番よ》

 

 

「私は手札から、『呉国の追撃兵』を召喚よ」

 

呉国の追撃兵

 

レベル4

 

戦士族/効果

 

このカードが相手モンスターを破壊したときに発動できる。このカードは一度のバトルフェイズ中に二度攻撃することができる。このカードが相手モンスターを破壊したとき、このモンスターの攻撃力が破壊したモンスターの守備力の数値を上回っていればその差分戦闘ダメージを相手に与える。

AT1800 /DF1000

 

馬に跨がる身軽な兵士は、シェレンを後ろに乗せて走り出した。一歩走り出す度に、彼女の感情が、フィールが高まる。

 

「さあ、あなたも動きなさーい」

「ワタクシは絶ッ対に動きませんわ」

 

その姿はまさに不動のごとし。

 

 

《てこでも動かないようね。なら、動くようにさせてあげるわ》

 

 

挑発するように、シェレンは周囲をグルグルと回る。

 

 

「そして私はアクションマジック『黒い間欠泉』発動」

 

黒い間欠泉

 

相手フィールド上のモンスターのモンスター二体の守備力は500ポイントダウンする。

 

「私は、トリシェーラとインフェルニティ・デーモンを選択よ」

 

二体は派手に足場に躓き、膝をつく。その仕草は中々にコミカルだが。

 

「ほっておくと、ドンドンやるわよー♪」

「ワタクシの有利に、揺らぎはありませんわっ!」

 

足場に再び、カードを見つける。今度こそは、ノウンも動くに違いないだろうカードをだ。

 

「私は手札からアクションマジック『暗がりの落岩』発動よ!その効果で、貴女のトリシェーラは守備力が1000ポイントダウンッ」

 

巨大な石の固まりがモンスターに降り注ぎ、着実にモンスターを弱めた。

 

「ねえ、ノウンちゃん。もしも、もう一度同じカードを引いたらこの状況をひっくり返せるって言ったら、貴女は動いてくれるかしら?」

「そんなわけ…………あるかも」

 

何かに気づいたように辺りを見渡し出すノウン。しかし、周囲にアクションカードは落ちていない。

 

フィールドは暗く、足場を見るのもやっとだ。ずっと探していたシェレンと違い、自分のカード運びだけを考えていたノウンにそんな余裕があったはずない。

 

 

シェレンはそんな彼女の後ろから、落ちていたアクションカードを拾いとる。

 

「私はアクションマジック『暗幕の礫』を発動して、貴女のモンスター全ての守備力を500ポイントダウンよ」

 

暗幕の礫

 

このターン、相手フィールド上のモンスターの守備力は500ダウンする。

 

「残念、時間切れよ。私は手札から戦場の旗印 呉 を発動し、呉国の追撃兵の攻撃力をアップ!」

 

その数値は2300。

 

「バトルよ、私は呉国の追撃兵でインフェルニティ・デーモンを攻撃っ」

 

手負いの魔道士は、兵士の一撃を受けて撃沈する。そして、その差分2300のダメージが主人を襲った。

 

「くぅぅぅぅっ」

 

 

ノウン

LP1700

 

 

しかし、彼女は倒れない。それは、自分の可能性を信じようとするためだ。

 

 

「私は呉国の追撃兵の効果で、もう一度、トリシェーラを攻撃!」

 

 

シェレンがモンスターに近づいてゆくが、だがノウンは諦めずに走り回る。モンスターもまた懸命に逃げる。

 

「ありました、アクションカード!」

 

シェレンとの距離が後一歩に詰まり、ノウンは体ごと身を投げてそのアクションカードに飛び付く。

 

そして、カードを発動した!

 

 

 

 

《アクションマジック『黒い間欠泉』》

 

「へ」

 

 

《まあ、そう簡単にはいかないわよね》

 

 

 

「ウッソおーーーー」

 

 

ノウン

LP0

 

 

奇跡とは、一朝一夕では起こらないものだ。

 

 

 

 

 

 

「ねえ、大丈夫」

 

シェレンは目の前でうちひしがれる女性にそう尋ねる。

 

「…ひどいですわ、あんなに人のことを煽ったクセに」

「私も敗けられなかったからね。ギリギリの演出だったと思わないかしら」

「納得出来ませんわッ!」

 

噛みつく口調のノウンを飄々と宥めつつ、私達は観客席へと向かった。席では、どこか苦笑いをした遊矢や柚子、呆れたような顔をしたスイゴがいた。

 

「シェレン、いくら作戦とは言え、あれは酷くないか」

「はあ?……作戦っ!?」

「あらら、気づいてたのスイゴ」

 

私も本気でデュエルを盛り上げようとしていたわよ。……でもま、彼女は頑固そうだしこっちが押して行けば上手く動くかも、くらいには思ってたけどねん。

 

「シェレン~、あなたって人は~…」

 

ついに涙目で、こちらを睨みつけてきた。可哀想なんだけど、少しだけ可愛らしいと思ってしまったわ。

 

「シェレン、おれはもう行くぞ」

 

彼は、私の横をすり抜けてデュエルリングへと向かう。

 

「スイゴ」

 

でも、これだけは言っとかないとね。

 

 

『勝ちなさい!』

 

 

その言葉に僅かに微笑み、彼は姿を消した。敗けの可能性の言葉はいらない、私は彼を信じているから。

 

 

 

 

 

 

「まったく、気楽に言うよな」

 

おれはシェレンの言葉に含まれる意図を知っている。だから、敗けるかもなんて言えない。

 

思考を中断し、目の前の相手を見る。紫色の髪をした青年。年の頃は、ちょうどおれと変わらないくらいか。

 

「君が、俺の対戦相手だね」

 

その顔立ちは整っており、優男な雰囲気をもったイケメンだ。しかし、その目は真剣そのものでこちらを見ている。

 

「おれは『スイゴ』、お前に勝つために来た」

「そうかい、俺の名前は『桜樹 ユウ』。全力で相手をさせてもらうよ」

 

前年度、舞網チャンピオンシップジュニアユースクラスの優勝者がそこにいた。




まさか、固定ガチャ?
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