「さっきの女性は、君の彼女かい?」
ユウはおれにそう尋ねた。
「いや、違う。けど、大切なヤツには違いない」
「そうか、……羨ましいな。俺自身は、ずっとデュエルの英才教育でそんな暇はなかったよ」
「お前なら、その気になればいつでも大丈夫だろ」
《イケメンだし》
少なくとも、スイゴよりは顔立ちがいいのは確かな気がする。
「……だとしても、今は無理だね。俺はデュエルが一番だから」
「ああ、その気持ちはわかる。楽しくて、これ以外のことじゃ満足出来ないんだろ」
「嬉しいね、……この気持ちを分かってくれるなんて!でも、だからこそ、俺は全力で君を倒すっ」
《《アクションフィールドセット、『遥かなる天空』》》
天井は底無しの青空へと変わり、おれ達は空中へと放り出される。床は存在しないかのように透き通っていて、このフィールドの神秘性を高めていた。無数の階段が存在するこの場所が、決戦の舞台。
『戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が』
『モンスターと共に天を駆け、宙を走り、フィールド内を駆け巡る』
『見よ!』
『『これぞデュエルの最強進化形、アクション!!』』
『『デュエル』』
スイゴvsユウ
LP4000/LP4000
スイゴは、スタート同時にフィールドを走り出す。このデュエルではミスは許されないだろうからだ。アクションカードをとり、先手をとることが目的。
「おれの先攻だ。おれは手札から、『無名の商人』を召喚」
無名の商人
レベル4
戦士族/効果
このカードが戦闘もしくは相手のカード効果でフィールドを離れた時に発動できる。自分はカードを一枚ドローできる。このカードが墓地に存在するとき、墓地のこのカードをゲームから除外して発動する。自分の墓地に存在する『無名』と名のつくカードを三枚選びデッキに戻すことで、自分はデッキからカードを一枚ドローできる。
AT1000/DF1000
「さらに、装備魔法『無銘の剣 知 』を発動。無名の商人に装備する」
無銘の剣 知
装備魔法
このカードは、『無名』と名のつく、戦士族モンスターにのみ装備可能。このカードを装備したモンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。このカードを装備したモンスターに、相手モンスターが攻撃宣言または効果を発動したときに発動する。このカードを装備したモンスターは表示形式を変更できる。
「おれはカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
足場の一つで動きを止めたスイゴは、宙に浮くアクションカードを掴む。
「次は俺だ。ドロー!」
見かけとは裏腹な気持ちの入りように、スイゴは内心熱い男だと評価した。
ユウはスイゴとは違い、慎重に足を進めている。とても用心深い性格でもあるのかもしれない。
「俺は手札から、『魔導教士 システィ』を攻撃表示で召喚」
法衣を纏いし、優秀な魔導士がフィールドに出現した。
「さらに、 『グリモの魔導書』を発動。その効果でデッキから、『セフェルの魔導書』を手札に加える」」
不可思議な魔力の籠った魔の書物から漏れし呪文が、新たな魔導書を呼び出した。
「さらに、俺は手札の『トーラの魔導書』を見せ、『セフェルの魔導書』を発動、デッキから、『魔導書院ラメイソン』を手札に加えるよ。そして、手札から、『トーラの魔道書』を発動だ」
ユウのモンスターの周囲を光が包んだ。
「バトルはしない。さらに、俺はフィールド魔法魔導書院ラメイソンを発動」
白き天を貫かんばかりの建物が、地面より音をたてて出現する。
「そして、カードを一枚伏せてターンエンド」
その瞬間、魔導士の持つ書物が光を放った。
「システィの効果発動、このカードを除外することで『魔導法士 ジュノン』と『アルマの魔道書』を手札に加えるよ」
彼の手札は四枚に増えた。
《…なんか、さっきの生徒といい、長いよな》
秘かに、LDSがデッキ回しの専門塾なんじゃないかと疑う。
そう余計なことを考えている内に、ユウはおれよりも数段高い場所に着いていた。これが実力の差を表しているなら、既に、勝てる気がしない。
「仕方ない、やれるだけはやるさ。……おれのターン、ドローッ!!」
スイゴは、不安をワクワクに変えるべく、自分を鼓舞した。
「おれは手札から、無名の軍師を召喚」
といっても、ダメージには期待してないけどな。、とスイゴは思う。攻撃表示でフィールドに呼びだされたこのカードは、どこか、戸惑っているように見える。
「バトルだ、無名の軍師でダイレクトアタックッ」
「ならば、アクションマジックを発動させてもらう。『ミニチュア・シープ』」
ミニチュア・シープ
このカードを発動したプレイヤーは、フィールド上に『ミニチュア・シープ・トークン』を特殊召喚できる。
ミニチュア・シープ・トークン
「ミニチュア」と名のつくトークンはフィールド上に一体しか、存在出来ない。
AT300/DF500
「よって、破壊もダメージも受けない」
「あまいッ!おれは手札から速攻魔法『知られざる変化』を発動」
知られざる変化
速攻魔法
自分フィールド上の『無名』と名のつくモンスター一体を選択し、手札の『無名』と名のつくモンスターと元々のレベルどうしが一緒ならばそのモンスターどうしを入れ換えることができる。
「よって、おれは手札の無名の盗賊をフィールドの無名の軍師と入れ換える」
「何だってっ」
フィールド上に、突如出現したおれモンスターがトークンを切り裂いた。
「この瞬間、おれは無名の盗賊の効果でカードを一枚ドローする」
「やるね」
相手は嬉しそうにわらった。再び走り出す背中を見て、慌てて、後を追いかける。
「逃がさない。おれは無名の商人でダイレクトアタックッ」
「しかたないね」
ユウ
LP2500
「よし、さらにおれはアクションマジック『ミニチュア・ドラゴン』を発動」
ミニチュア・ドラゴン
このカードを発動したプレイヤーは、フィールド上に『ミニチュア・ドラゴン・トークン』を特殊召喚できる。
ミニチュア・ドラゴン・トークン
「ミニチュア」と名のつくトークンはフィールド上に一体しか、存在出来ない。
AT600/DF200
「このカードで、攻撃だ」
「うん」
ファンシーなトークンが、身体ごと彼にぶつかっていく。しかし、その身体がモコモコしているためか差ほど痛そうには見えない。
ユウ
LP1900
「よし、これでおれはターンエンドだ」
まず、先手はこちらが打てた。このまま、主導権を奪うべく、フィールドを走る。スイゴは心中で、自分の必勝パターンを思い浮かべた。
《絶対に、『儀式召喚』を決めてやる》
ユウは再び、意味深な笑みをこちらに向ける。
お互いに力を隠したまま舞台は進む。デュエルはまだ、始まったばっかりだ
深刻なQP不足。