遊戯王 ARC-Vs 儀式次元追加版   作:崖っぷち

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来週から、週一


白銀 リンドウ

遊矢の試合の翌日、おれとシェレンは五戦目の相手と戦うためにLDSに来た。今回は、遊矢と柚子だけでなく子供三人と素良のセットまで来たためか随分と賑やかなことになっている。

 

 

 

「シェレン、今日はおれに先に行かせてくれ」

「あらん。私はどっちでも良いけど、随分と張り切ってるわね?」

「昨日、遊矢の試合を見たせいか興奮しっぱなしなんだよ」

「ふふ、燃えてるわね」

 

デュエルディスクを握る手にも、力が入る。

 

 

《アイツがあれだけ、凄いことをしてのけたんだ。おれだって、敗けられるかよ》

 

 

「スイゴ、思い詰め過ぎよ」

「ん?そうか」

「そうよ。力が入るのは良いけど、入りすぎるとまたこの前のデュエルみたいになるわ」

 

彼女は軽い口調で、そう話した。まあ、その通りなんだけどさ。

 

「………ああ、そうだな」

「分かれば、よろしい」

 

そして、シェレンは言った『この前の謎のカード』には期待しない方がいいと。確かにあれをどう起こしたかはおれにも解らない。

 

「スイゴ、今日は貴方らしいデュエルを私に見せなさい」

 

おれはそのことに頷く。彼女がそう言った以上はおれもその期待に応えるべきだ。そして、対戦相手の待つデュエルフィールドへと足を進めた。

 

 

 

そこには銀色の髪を持った長髪の女性がいた。顔の造りは整っており、無表情だが間違いなくの美人だった。

 

 

《赤馬のやつ……………まさか、顔で選考にかけて無いよな》

 

 

彼女はおれを見ると興味深そうにこちらに近づいて来た。

 

「…君、………カッコいいね」

「は?」

 

女性がおれの直ぐ目の前で、そんなことを言った。

 

「褒めても手加減はしないからな」

「当たり前。…けど、やっぱり良い…………」

 

淡々とした話し方だがそこには真剣さが感じられる。正直、そんなことを言われると勘違いしたくなるな。

 

 

しかし、おれは冷や汗が止まらない。なぜだか観客席の方から背中越しにひどく鋭い視線を感じるのだ。

 

 

《絶対に後ろは見ない、絶対にッ!》

 

 

「わたしの名前は『白銀 リンドウ』。………よろしく」

 

頬を少しだけ赤く染めて彼女はそう名乗った。

 

「ああ、おれは『ギユウ スイゴ』。時間もないし早く始めようかッ!」

 

アイツのことが怖かったからじゃ無い。ただ、これ以上はデュエルに差し支えそうだ。本当に。

 

お互いにデュエルディスクを構え、戦いの時を待つ。そして……。

 

 

 

《《アクションフィールドセット、『古代の城跡』》

 

 

 

床は白い石畳が敷き詰められたものに代わり、所々にヒビが入っている。ここではかつて争いが起きたのか至るところに剣の傷痕がある。建物の屋内のようだが、天井が何階にもぶち抜けているので空が普通に見えた。

 

 

『行くぞッ、戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が』

 

『…モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る』

 

『見よ!』

 

『『これぞデュエルの最強進化形、アクションッ!』』

 

 

『『デュエル』』

 

 

スイゴvsリンドウ

LP4000/LP4000

 

 

スイゴは早速とフィールドを走る。定番だがアクションカードを見つけるためだ。しかし、彼は同時に頭も働かせる。

 

 

《思えば、おれはこの前のデュエルで儀式召喚に頼りすぎていた》

 

 

そもそもスイゴが儀式召喚を使えるようになったのはここ最近のこと。それまでは知識こそあったが実際のデュエルでは全く成功していなかった。力を過信して無闇やたらに『儀式召喚』を使い続けていれば、それで足元を掬われるのも当然の結果だった。

 

 

《確かにエースは『無名の剣将』だ。……けど、ソイツ以外のカードでも勝つことを考えなきゃいけなかった》

 

 

エースのために他のカードを蔑ろにした。それは彼のことをずっと支えてくれていたもの達への裏切りだった。故に、この前のデュエルではその報いを受けたに違いない。

 

「……たく、自分で言っていたことも守れないなんて!おれの先行ッ、手札から無名の傭兵を攻撃表示で召喚」

 

 

《今日は儀式召喚には頼らないッ》

 

 

スイゴはそう決心した。取り合えずは原点回帰。まずはこのカードで、相手の反応を伺う。

 

「さらに、カードを二枚セットして、ターンエンドだ」

 

螺旋状に上に伸びる二つの階段、おれはその片方を登り、上を目指す。その途中でアクションカードを探すが、中々、見つからない。

 

 

《このフィールドはアクションカード自体が少ないのか、……それとも他のどこかにあるのか?》

 

 

「…私のターン、ドロー。手札から、『青き眼の乙女』を召喚」

 

白き髪を持った守り神の巫女がフィールドに出現する。

 

辺りを見渡しているリンドウを見ると、彼女もまたアクションカードを探しているようだ。

 

「……無い。なら、わたしはこれでターンエンド」

 

カードを見つけられず落ち込んでいるのか、少し顔が泣きそうになっている。なんだか関係ないおれまで罪悪感を感じるような落ちこみ方だ。

 

「あんまり落ちこむなよ?」

「…やっぱり、あなたは優しい」

 

あ、また背後から視線が強くなった。

 

 

 

「取り合えずおれのターンだ。ドローッ」 

 

……にしても、彼女のフィールドには攻撃力0のモンスターか。絶対に罠だろ。

 

「まあいい、手札から無名の盗賊を攻撃表示で召喚」

 

やぶ蛇だろうが、つついてみなければ正体は分からない。ここは攻撃だ。

 

「バトルだ。無名の傭兵で青き眼の乙女を攻撃ッ!」

「…青き眼の乙女の効果で攻撃を無効にして、このカードを守備表示にする」

 

何だ、単なる耐性持ちかよ。

 

「なら、無名の盗賊で攻撃…」

「の前に、青き眼の乙女の効果発動」

 

リンドウのフィールドに強い風が吹き荒れ、巨大な影が落ちる。

 

「『青眼の白龍』特殊召喚」

「あれ……………………ブルーアイズ?」

 

次の瞬間、馬鹿高い音共に巨大な白きドラゴンがフィールドに出現した。おれ達の世界でも聞き覚えのあるその名は、確か伝説のデュエリスト『カイバ セト』の愛用カードだ。

 

「えっ!?ちょっ………ブルーアイズって…!」

「…うん、召喚した」

「嘘だろ……」

 

間近でこの伝説のレアカードを見られたのは感動だが、ただ攻撃されただけでフィールドに出てくるのは反則に近い。

 

「うんまあ…仕方ない。無名の盗賊で青き眼の乙女に攻撃で」

「……うっ」

 

おれのモンスターのニ度目の攻撃で、アッサリとそのモンスターは破壊される。

 

「おれは無名の盗賊の効果でドローする。そして、ターンエンドだ」

 

いよいよ、本格的にアクションカードが必要になりそうなおれはただひたすらに走り回る。

 

 

 

「…わたしのターン、ドロー。手札から、『アレキサンドライドラゴン』を召喚」

 

皇帝の宝石の名を冠する、神秘のドラゴンがフィールドに出現した。

 

「…バトル。青眼の白龍で無名の傭兵を攻撃」

 

光り輝く最強のドラゴンが放つ爆風を受け、無名の傭兵は簡単に消し飛ばされた。

 

 

スイゴ

LP2800

 

 

「…そして、アレキサンドライドラゴンで無名の盗賊を攻撃」

「グッ…!!」

 

 

スイゴ

LP2300

 

 

「…わたしはカードを一枚伏せて、ターンエンド」

 

 

 

一瞬にして、おれのフィールドが空になってしまった。やはり、あのカードを何とかしないことには話にならない

 

おれは、走りながらも階段を上へ上へと上がる。

 

「おれのターン、ドローだ」

 

……よし、このカードが有ればっ!

 

「おれは、相手フィールド上にモンスターが二体いることにより手札から無名の傭兵長を特殊召喚する。そして、モンスターカードをセット」

 

おれのフィールドに二体のモンスターが出現する。

 

「バトルだッ、無名の傭兵長で青眼の白龍を攻撃ッ!」

「……攻撃力は、こっちが上。」

 

 

 

「それは、どうかな」

「…!」

「おれは手札から速攻魔法穢れなき決闘を発動。この効果で、無名の傭兵長の攻撃力を二倍にする」

「……攻撃力5000…!」

 

力が倍増した無名の傭兵長により、その剣は伝説のドラゴンを切り裂いた。

 

「……くっ…」

 

 

リンドウ

LP2000

 

 

「おれは、これでターンエンドだ」

 

 

 

「…私のターン、ドロー」

 

今にも泣きそうな顔をしていたリンドウだが、引いたカードを見て表情を変える。

 

「…わたしは手札から、『青き眼の乙女』を召喚。さらに、リバース『竜魂の城』を発動。墓地の伝説の白石を除外して、青き眼の乙女の攻撃力を700ポイントアップ」

「たった700……なわけないか」

「そう、わたしは墓地から青眼の白龍を召喚」

 

再びフィールドに最強のドラゴンが出現する。いや、ちょっといい加減にしろよ。

 

「…バトル。青眼の白龍で無名の傭兵長を攻撃」

「ぐあァーーッ」

 

 

スイゴ

LP1800

 

 

「…アレキサンドライドラゴンで伏せカードを攻撃」

 

伏せカードは面になり無名の軍師が顕になる。しかし、ドラゴンの一撃により粉砕された。

 

「おれは効果でデッキから、『無名の剣客』を手札に加える」

「…わたしはダイレクトアタックしない」

 

確かに、見返りなき緊急要請を伏せていたが…………これで終わりか?

 

「………フィールド上のレベル8『青眼の白龍』に、レベル1の『青き眼の乙女』を『チューニング』」

「まさかッ!?」

 

 

 

『…何者も圧倒する強靭な肉体を持ち、その力はまさに無敵、最強の龍はここに進化した!』

 

 

『シンクロ召喚』

 

 

「出現せよ、美しき白銀の龍!『蒼眼の銀龍』」

 

白きドラゴンは長い時を経て、その姿を新たな形へと変えた。守備力3000を誇る神聖なるモンスターがここに現れる。

 

「初めて見るぜ、これが生のシンクロ召喚ッ!!」

「…初めて、なの?」

「ん?ああ」

「…そう、初めて……」

 

 

《いや、何でそこで顔を赤くする》

 

 

モジモジした仕草をするリンドウを見て、おれはそう思う。照れている姿は美しいというよりも本当に可愛らしい。

 

 

《……………痛ッ…………!!》

 

 

何かに、背中から貫かれたような感覚が走った。

 

おれは身体をみるがそこには傷一つ無い。つまり、あれは単なる錯覚だったと言うことだ。 …深く考えないようにしよう。

 

「…わたしは、これでターンエンド」

 

銀龍は先程のモンスターに比べれば、攻撃力は2500と落ちる。しかし、わざわざこのタイミングで召喚したからには何か狙いがあるのか。

 

 

 

 

 

 

……にしても、デュエルに関係ない所で疲れている気がするな。

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