「先ずは、おれの先行だッ!おれは手札から『無名の傭兵』を攻撃表示で召喚」
素朴な剣を持つ名も無き剣士が、スイゴのフィールドに現れる。
「さらに、おれは手札から『無銘の剣 知』を発動。そして、『無名の傭兵』に装備する」
剣の効力により、スイゴのモンスターの攻撃力が2300に上がる。
「おれは、これでターンエンドだッ!」
「私のターン」
おれは、目の前の男の戦術見極めるべく確りと動きを見ておく。
「私は手札から、永続魔法『地獄門の契約書』を発動。このカードで自分自身はスタンバイフェイズ毎に1000ポイントのダメージを受ける」
「この効果でデッキから、『DD ケルベロス』一枚を手札に加える」
「さらに、私は手札から『魔神王の契約書』を発動。このカードは先程同様スタンバイフェイズ毎に1000ポイントのダメージを受ける」
「そして、このカードの効果で一ターンに一度融合魔法無しで『融合召喚』できる」
「融合魔法無しで、融合召喚だと!?」
「私が融合するのは『DD ケルベロス』と『DD ナイト・ハウリング』」
『牙剥く地獄の番犬よ、 闇を切り裂く咆哮と共に今ひとつとなりて新たな王を産み出さん!』
『融合召喚』
「生誕せよ、『DDD 烈火王テムジン』」
異形の盾と剣を持った異次元の王が、赤馬のフィールドに出現した。 その身体から迸る熱気が、何よりもこの存在の異常性を悟らせる。
《何だ!?この迫力はッ!》
一目見た瞬間解った。このモンスターは他のデュエリストのものとは違い、桁た外れの力を秘めている。
「私はカードを二枚伏せて、ターンエンド」
「落ち着きなさい、スイゴ」
「……ああ、そうだな」
シェレンに諭され、おれは冷静さを取り戻す。この状況下での彼女の冷静さは、非常に頼りになる。
「次はわたしよ。わたしは手札から『呉国の密偵兵』を召喚。さらに、この効果で貴方のフィールドの伏せカードを一枚破壊するわ」
そう言いつつ、シェレンは赤馬のフィールドの伏せてあるカードを一枚指す。
「ほう、勘が良いとは強ち冗談でも無さそうだな」
「やっぱり、どっかで見てたのね?随分と悪趣味よ」
赤馬のフィールドのカードが一枚破壊された。
「まだよ、手札から『城下の見張引き継ぎ』発動」
城下の見張引き継ぎ
通常魔法
自分フィールド上に『呉』と名のつくモンスターが存在する時に発動できる。そのモンスターをリリースして、手札からレベル5以下の『呉』と名のつくモンスター一体を特殊召喚できる。このカードを発動したターン、自分は他のモンスターを特殊召喚出来ない。
「フィールドの『呉国の密偵兵』をリリースして、『呉国の防人兵』を守備表示で特殊召喚。さらに、『呉国の密偵兵』の効果で一枚ドローするわ」
守備力2500誇る、堅牢なる主の兵士が彼女のフィールドに出現する。
「そして、カードを一枚伏せてターンエンドよ。さあ、2000ポイントのダメージを喰らいなさい?」
「何のことだ?契約は破棄された」
赤馬のフィールドにあった筈の契約書カードが、一斉にくだけ散る。
「何があった!?」
「っ……、見なさいアイツの伏せてあったカードのせいよ」
見ると、確かに彼のフィールドにはもう一枚あった筈のカードが無い。
「私は、罠カード『契約洗浄』を発動した。この効果で、『契約書』と名のつくカードは効果が無効になりエンドフェイズに破壊される」
「いつの間に……」
アイツの手札が二枚に増えていることからも確かにカードが使われていたに違いない。
「私のターン、ドロー!」
「手札から『DD リリス』を召喚」
「さらに、フィールド上の『烈火王 テムジン』の効果発動。この効果で、私は墓地の『DD ケルベロス』を特殊召喚する」
「『DD リリス』は特殊召喚に成功した時、墓地の『DD』モンスター一体を手札に加える。私は、墓地の『DD ナイト・ハウリング』を選択」
「『レベル4』のモンスターが二体……まさかッ!」
「私はレベル4『DD ケルベロス』とレベル4『DD リリス』で『オーバーレイ』!」
『この世の覇権を掴むため、今、世界の頂に降臨せよ!』
『エクシーズ召喚』
「生誕せよ、ランク4『DDD 怒濤王シーザー』」
その手には身を越すほどの大きさの大剣を持っている。太古の英雄を思わせる姿の王がフィールドに出現した。
「バトルだ。私は、怒濤王シーザーで無名の傭兵を攻撃」
お互いに剣を持つモンスター同士のぶつかり合いは、次元の王に軍配が上がった。
「だが、『無銘の剣 知』の効果で無名の傭兵は守備表示に出来るッ!」
スイゴ&シェレン
LP8000
「彼女のフィールドには、まだモンスターがいる。よって、攻撃はしない。これで、ターンエンドだ」
攻撃こそ、自分のモンスターのみしか行え無いが、赤馬がおれたちを倒すにはスイゴとシェレンの二人のフィールドを空にする必要がある。
「おれは、手札から『無名の剣客』を攻撃表示で召喚」
「さらに、効果でお前のフィールドの怒濤王シーザーを裏守備表示に変える。バトルだ、おれは無名の剣客で怒濤王シーザーを攻撃ッ」
怒濤王シーザーの守備力は1200、僅差によって赤馬のモンスターが切り裂かれた。
赤馬
LP8000
「『DDD 怒濤王シーザー』の効果、このカードがフィールドから墓地に行った時、デッキから『契約書』と名のつくカードを一枚手札に加える」
「私は『再契約の契約書』を手札に加える」
「どうせ、次のターンにまた出てくるだろうが…………効果は使わせないッ」
あのモンスターもまた、恐らく烈火王テムジンと同じように強力な効果を持つ。少なく共、おれはそう思ったから破壊した。
「後は、シェレンに任せる。カードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
しかし、目の前の男は微塵も動揺した様子はない。
「私のターン、ドロー」
「手札から『DD ナイト・ハウリング』を召喚。そして、その効果で墓地から『DD リリス』を特殊召喚する」
「『DD リリス』の効果。特殊召喚に成功したことにより、墓地の『DD ケルベロス』を手札に加える」
やっぱり、コイツはLDSの親玉だ。こんな展開力はそうでもなければ考えつかない。
「私はレベル4の『DD リリス』に、レベル3の『DD ナイト・ハウリング』を『チューニング』」
「来るわねっ!!」
『冥府の門に潜みし牙よ、疾風の速さを得て新たな王の産声となれ!』
『シンクロ召喚』
「生誕せよ、レベル7『DDD 疾風王アレクサンダー』」
その身はまるで風そのものごとく、周囲の空気を荒々しくかき乱しなから神速の王が出現した。
「さらに、『DDD 烈火王テムジン』の効果発動。墓地の『DDD 怒濤王シーザー』を攻撃表示で特殊召喚する」
「…モンスターが三体も!?」
これで赤馬のフィールドには、三体の王か並んだことになる。それぞれのモンスターが放つプレッシャーは凄まじいモノがあり、異才の存在感がある。
「何か、手札が五枚に戻ってないか」
「深くは考えない方が良さそうね」
二人の前で、赤馬が突如走り出した。
「さて、では私から行かせて貰おう。アクションマジック『ドラゴンの牙』発動」
ドラゴンの牙
このターン自分のモンスター一体の攻撃力は、600ポイントアップする。
「私は『DDD 烈火王テムジン』を選択。バトルだ、烈火王テムジンで呉国の防人兵を攻撃」
「しまった!」
防人兵は異形の剣の一撃により、破壊された。
「疾風王アレキサンダーで無名の剣客に攻撃」
さっきは、赤馬の動きに気をとられてアクションカードを探すのを忘れていたが。おれはすぐ近くに落ちているアクションカードを拾う。
「くっ、これは使えな………」
「うっ……」
スイゴ&シェレン
LP6800
「私は、怒濤王シーザーでダイレクトアタック」
「させない、おれは伏せカード『見返りなき緊急要請』発動」
デッキから『無名の商人』を選択し、フィールド上に召喚された。しかし、怒濤王の一撃を受けおれのモンスターは破壊される。
「おれはカードを一枚ドロー」
「私はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
この瞬間、烈火王テムジンの攻撃力が元の数値に戻った。
序盤から圧倒的な試合をする『赤馬零児』。しかし、おれたちはどこかこのデュエルに対する違和感を拭えなかった。
わたし→シェレン、私→赤馬