シンデレラの日常   作:笠原さん

23 / 30
注意)台本形式です


ふと、不安が増える一瞬

 

 

ガチャ

 

肇「おはようこざいます、プロデューサー」

 

P「お、おはよう肇」

 

肇「……」

 

P「どうした?何かあったか?」

 

肇「…何か、ありませんか?」

 

P「…え?何かって…」

 

P(…考えろ、俺。プロデューサーたるもの、観察と解析を怠ってどうする)

 

P(髪型は…変わっていない。そもそも昨日別れたのが21時だからそれ以降美容院に行ったって事はないだろう)

 

P(次に服だが…上下共に、既に見た事がある。つまり服を新調もない)

 

P(だとすると…お)

 

P「珍しいな、ブレスレットなんて。随分お洒落じゃないか」

 

肇「先日のオフに、他の方と一緒に買いに行ったんです…どう、ですか?」

 

P(…どう。それはどっちの意味だ。ブレスレット自体を更に褒めるべきか、チョイスを褒めるべきか、似合ってるかを…)

 

P「…凄く似合ってると思うぞ。今日の服にぴったりだ」

 

肇「よかった…昨日の服には合わないと思って、今日初めて着けてみたんです」

 

P(…何故そう言いながら表情を曇らせる…何を間違った?いや、何か足りなかったのか?)

 

P(…賭けに、出るしかない…)

 

P「…どうせなら、ネックレスを着けて来てもよかったかもしれないな」

 

肇「そうなんです、私もそのつもりだったんですけど…しっくりくるものが、手持ちになかったので…」

 

P(…よし、セーフ。そしてこの続け方はつまり…)

 

P「なら、次のオフにでも一緒に買いに行くか?俺も多少なら選ぶのに助力できると思うし」

 

肇「いいんですか?では…お願いします!」

 

P(担当アイドル、藤原肇16歳)

 

P(一般的に清楚、落ち着いた雰囲気と評されているし俺もそう思っている)

 

P(まだこの年なのにかなりしっかりとしていて、周りをよく見れる女の子…なんだけど)

 

肇「そう言えば、昨日夜祖父と少し口論してしまって…」

 

P「まぁあの方も肇も、少し頑固なところが」

 

肇「おじいちゃんを悪く言わないで下さい」

 

P(…ご覧の通り、うん)

 

P(少しばかり、ほんのちょっとだけれど)

 

P(割と、めんどくさい所のある女の子だった)

 

P「…あの方は、誰よりも肇の事を思ってくれてるよ。今夜もう一回、電話を掛けてみたらどうだ」

 

肇「そう、ですね。プロデューサーが言うなら…」

 

P「もちろん俺だって、肇の事を思っているし分かってるつもりだ。元々、切っ掛けが欲しかったんじゃないのか?」

 

肇「確かに…そうかもしれません。すみません、身内の事を相談してしまって…」

 

P「そんなことは気にしないでくれ」

 

肇「そんな事、ですか?」

 

P「そうじゃなくて…その家族から俺は大切な娘さんを、つまるところ肇を預かっている身なんだから。相手の迷惑にならないところまではどこまでも助力するさ」

 

肇「…それだけ、ですか?」

 

P「えっとだなー…あの方とも俺は仲良くしていきたいし、出来れば肇と喧嘩はして欲しくないんだ」

 

肇「ふふっ…あの方なんて回りくどい言い方ではなく、肇のおじいちゃん、で大丈夫ですよ」

 

P「お、おう…まぁ笑ってくれるなら良かった。取り敢えず、上手くいくといいな」

 

 

 

 

 

 

~夜~

 

P「ふー、仕事終わり。そろそろ帰るか」

 

ぴぴぴぴっ、ぴぴぴぴっ

 

P「ん、電話だ。誰だろ…」

 

P「…スーーーーハーーー…よし」

 

ぴっ

 

P「もしもし、どうした?肇」

 

肇『こんばんは、プロデューサー。お仕事は終わってますか?』

 

P「今丁度終わって帰宅しようとしてたとこだけど、何かあったか?」

 

肇『…何かないと、かけちゃいけませんか?』

 

P「そ、そんな事はないぞ。特に用事が無くても掛けたくなる事ってあるよな」

 

肇『…いえ、伝えたい事はありますが。けれど確かに、急に声を聞きたくなる事もありますよね』

 

P「俺は肇の声を聞けて良かったよ。仕事終わりの癒しになる」

 

肇『ふふっ、それは良かった』

 

P「あ、ごめんよワンコールで出れなくて」

 

肇『それで…プロデューサーからアドバイスを受けた通り、さっき祖父に電話をしてみたんですが…』

 

P「上手くいっただろ?絶対大丈夫って信じてたよ」

 

P(若干賭けだが…頼む!)

 

肇『はいっ!おじいちゃんも、少し強く言い過ぎてしまったと謝ってくれました』

 

P「ふぅ、よかった」

 

肇『それで、なんですけれど…お礼と言っては難ですが、明日良ければ一緒に何処か出かけませんか?』

 

P「明日か?多分俺は大丈夫だけど」

 

肇『でしたら、行ってみたかった喫茶店があるんです』

 

P「おっけ、じゃあ昼くらいに…」

 

肇『…お昼、ですか?』

 

P「10時に事務所の最寄りに集合で大丈夫か?」

 

肇『はい、ではそれでお願いします』

 

ピッ

 

P「ふぅ…さて。明日も起きなきゃいけないしはやく帰らないと」

 

P「ガスよし、電気よし…あれ?キッチンにマグカップと紙が…」

 

~プロデューサーへ。良ければ冷蔵庫の和菓子と一緒にどうぞ~

 

P「…ありがとう、肇。あと帰る前に気付けて良かった」

 

 

 

 

 

 

~翌日、駅前~

 

P(よし、10時よりも15分早く着けたし大丈夫だろ)

 

肇「あ、おはようございます。プロデューサー」

 

P「お、おはよう肇。早いな、もう来てたのか」

 

肇「…プロデューサー、こう言う時は」

 

P「すまん、待たせたか?」

 

肇「ふふっ、今来たところです」

 

P「…ちなみに実際は?」

 

肇「…30分以上前に…」

 

P「悪いな、寒かっただろ。まだ店も開いてないところが多いだろうし、取り敢えず近くのカフェにでも入らないか?」

 

肇「そうしましょうか」

 

P「先ずは俺のお気に入りのカフェからだ。こっから歩いて3分もないくらいだから」

 

 

 

 

 

 

~割とお洒落なカフェ~

 

P「良さげなカフェだろ」

 

肇「ですね…以前、何方かといらっしゃったんですか?」

 

P「あー、事務所の人とな。いつか肇を誘ってみようと思ってたんだ」

 

肇「ありがとうございます。注文、どうしますか?」

 

P「肇が先に決めちゃっていいぞ。俺は後で」

 

肇「…パンケーキかチーズケーキのカフェオレセット…どっちかいいでしよう?」

 

P「どっちって…両方頼んじゃえばいいんじゃないか?」

 

肇「流石に、両方は食べきれないと思うので…」

 

P「うーん…」

 

肇「…プロデューサーは、何が食べたいですか?」

 

P「ん?俺はワッフルにしようとおもってたけど」

 

肇「…そうですか…」

 

P「こ、ここのワッフル前食べた時美味しかったからさ」

 

肇「…では、私はパンケーキだけにします…」

 

P(…ずっとチーズケーキの写真を見続けている…)

 

肇「…はぁ…」

 

P「じゃ、じゃあ俺チーズケーキにしようかな」

 

肇「いいんですか?」

 

P「それで肇と交換すれば両方食べられるだろ?」

 

肇「確かにそうですね!ではそうしましょう!」

 

肇「この後、何処に行くか決まってますか?」

 

P「取り敢えず近くのデパートにでも行こうかなと思ってたけど、行きたい場所とかあったか?」

 

肇「私は特に。プロデューサーが行きたい場所でしたら」

 

「パンケーキセットとチーズケーキセットです」

 

P「お、きたきた」

 

肇「美味しそう…いただきます」パクッ

 

P「いただきます」もぐっ

 

肇「…美味しいです」

 

P「やっぱ自分で作ること店で食べるのって違うよなぁ」

 

肇「普段、料理はするんですか?」

 

P「事務所のアイドルにお菓子とか作って貰った日は、何となく俺も挑戦してみるけど…普段はカップ麺か冷凍麺だな」

 

肇「…他の方から、お菓子、ですか…」

 

P(…やってしまった…いや、まだ掻い潜れる)

 

P「…は、肇は普段お菓子とか作ったりはしないのか?」

 

肇「私は…あまり、お菓子はありません」

 

P「まぁお菓子作るのって結構時間かかるからな」

 

肇「そうなんです…最近、結構忙しかったので尚更…」

 

P「ん、だとしたら今日俺と一緒にカフェと買い物なんかで良かったのか?他に何か予定が…」

 

肇「なんか、ですか…私と過ごすのは、プロデューサーにとって…」

 

P「いやいやいやいや、俺としては凄く嬉しいし楽しいけどさ。もし他に予定があったんだとしたら悪いな、って」

 

肇「ふふっ、そうですか。それは良かった…誘ってみたかいがありました」

 

肇「あ、チーズケーキ一口貰っていいですか?」

 

P「ん、あぁどうぞ」

 

肇「……」グッ

 

P(チーズケーキの皿を押し返された…)

 

肇「すみません、チーズケーキ一口貰っていいですか?」

 

P「ど、どうぞ?」

 

肇「……」グッ

 

P(…また押し返された…何故だ、食べないのか?)

 

肇「すみません、チーズケーキ一口。貰っていいですか?」

 

P「…なんで口開けてこっち向いて

 

肇「貰って、いいですか?」

 

P「…」

 

P「…あーん」

 

肇「んっ…美味しいです」

 

P「よかった、うん。美味しければ大丈夫だ」

 

肇「プロデューサーも、パンケーキ食べますか?」

 

P「じゃあお言葉に甘えて俺も一口貰おうかな」

 

肇「はい、どうぞ」

 

P「…皿ごとこっちに渡してくれると嬉しいんだけど」

 

肇「…嫌、なんですか?」

 

P「…あーん」

 

肇「はい、あーん」

 

P「うん、うまい。ついでにくすぐったい」

 

肇「ふふっ、まるで子供みたいですね」

 

P「周りの視線気にならないタイプだっけ?」

 

肇「アイドルですから、見られる事には慣れてます。勿論、今はバレない様に気に掛けていますが」

 

P「…強くなったな」

 

 

 

 

 

 

P「さて、そろそろ行こうか」

 

肇「あ、でしたら私が誘った訳ですし此処は私が持ちます」

 

P「いいよいいよ、この店は俺が紹介した訳だし、最後までエスコートさせてくれ」

 

肇「いえ、元はと言えば私が今日一緒に出掛けようと提案したんですから」

 

P「じゃ、割り勘でいくか。半分で大体500円くらい頼めるか?」

 

肇「ふふっ、了解です」

 

P「じゃ、先払って来ちゃうから待っててくれ」

 

P(…よし、合計で1500円ってのは肇も分かってるだろうけど、間違ってなかったみたいだ)

 

 

 

 

 

~店の外~

 

P「暖かいとこから出ると流石に堪えるな」

 

肇「ですね…手が悴んでしまいそうです」

 

P「手袋着けてくれば良かったな…丁度良い機会だし今日買ってくか」

 

肇「では、私が見繕ってあげます」

 

P「お、ありがたい」

 

肇「ところでプロデューサーも手が冷えてきてませんか?」

 

P「まぁ多少はな。でもまぁデパートまでそんなに距離ないし」

 

肇「私も、手が冷えてしまいそうで…」

 

P「今日はこの冬一番の寒さらしいからな」

 

肇「プロデューサー、私、手が冷えてしまいそうです」

 

P「……」

 

肇「プロデューサー?」

 

P「…俺の手も冷たいけど、大丈夫か?」

 

肇「きっと、すぐにあったまりますから」ギュ

 

P「…違いないな」

 

肇「ふふっ、周りからはどう見えてるでしょうね?」

 

P「さぁ…年の離れた兄妹

 

肇「どう見られたいですか?」

 

P「…もしかしたら、少し年の離れたカップルに見られてるかもな」

 

肇「かもしれませんね!」

 

 

 

 

 

~デパート~

 

P「ふぅ、寒かった」

 

肇「そうですか?私は暖かかったですよ、心まで」

 

P「サラッとそう言えるのって凄いな。流石アイドルだ」

 

肇「先ずは、では手袋から見ていきましょうか」

 

P「ところで、何時まで手は繋いでるんだ?」

 

肇「…プロデューサーは、放したいんですか?」

 

P「…しばらくこのままでいいか。変装もしっかりしてるし」

 

肇「では問題ありませんね」

 

P「エレベーター使ってくか。相変わらずこういう場所ってメンズ少ないなぁ」

 

肇「それは仕方ありません。でもきっと、いいものが見つかりますから」

 

P「肇がそう言うなら、俺は楽しみに待つだけだな」

 

 

 

 

 

 

P「さて、到着」

 

肇「お洒落な手袋が多いですね…プロデューサーに合いそうなのは…」

 

P「流石女の子、こういう所にくると直ぐに熱中するんだな」

 

肇「私を何だと思っていたんですか…」

 

P「一応手持ちはあるけど…うわあ、これ桁一つ間違ってるんじゃないか?」

 

肇「お洒落に金額を惜しんだり妥協したらダメですよ」

 

P「生活に困ってる訳じゃないし、この機会だからビシッと決めるか」

 

肇「そういえば、普段食事は手抜きなんでしたっけ?」

 

P「若干言い方辛辣じゃない?」

 

肇「折角ですし、夜は私が振舞ってあげましょうか?」

 

P「聞いてよ…って、流石にそれは不味いだろ」

 

肇「…私の料理が、ですか…?」

 

P「そっちじゃなくて、世間体的に。年頃の女の子を家に連れ込むなんて誤解じゃ済まされないから」

 

肇「誤解だけじゃ済まさせないなんて…」

 

P「違うから待って。一旦落ち着こう肇。先ずは手袋を選ぼうか」

 

肇「これなんてどうですか?」

 

P「おお、大人な感じだな。俺が持ってる100均の手袋よりよっぽどいけてる」

 

肇「あ、折角ですからプロデューサーも私に手袋を選んで頂けませんか?」

 

P「え、俺が選んじゃっていいのか?まぁ最近はファッションも少しは勉強してるけど…」

 

肇「プロデューサーに、選んでほしいんです」

 

P「責任重大だな…よし、普段の肇の服に合いそうなのを選ぶか」

 

肇「期待してますよ」

 

P「プレッシャーを掛けないでくれ…」

 

P「どっちがいいかな…」

 

肇「両方とも可愛らしいですね」

 

P「こっちの方が大人っぽいんだけど、もう一つの方も肇に着けて欲しいんだよな…」

 

肇「でしたら、一回両方とも私が着けてみましょうか?」

 

P「お願いしていいか?」

 

肇「勿論です」

 

P「…うーん、余計に悩むな…」

 

肇「…どうでしょう?」

 

P「…よし、大人っぽい方もいいけど、こっちだな」

 

肇「こっちの方が合ってましたか?私だったら、多分大人っぽい方を選んでましたけど」

 

P「もっと可愛い肇をアピールしていこう、とね。普段みたいな大人っぽい肇も良いけど、やっぱりこっちの方が可愛らしいかったし」

 

肇「可愛らしい、ですか…」

 

P「じゃ、これは俺からのプレゼントって事で」

 

肇「いいんですか?」

 

P「さっきも言ったけど、生活に困ってる訳じゃないからな。プレゼントさせてくれ」

 

肇「では、尚更夜は手料理を振舞ってお返ししないといけませんね」

 

P「…まぁ、考えておくよ」

 

P「さて、次はネックレス見に行くか」

 

肇「あ、服も見ていっていいですか?」

 

P「もちろん。色んな服の肇を見たいからな」

 

肇「プロデューサーも上手になってきましたね」

 

P「心からの本心だよ」

 

肇「わぁ、見てくださいこのスカート!」

 

P「割とかっこいい事言ってみたつもりなんだけどな…」

 

肇「…こっちも捨てがたいですね…どっちがいいでしょう?」

 

P(どっちが…どっちが正解なんだ。時間を…)

 

P「なら、両方試着してみてから決めようか」

 

肇「そうですね。ちょっと待ってて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

肇「どうでしょう?」

 

P「…うーん、今のスカートもいいけど…」

 

肇「…似合いませんか?」

 

P「そう言うつもりじゃないけど、もう一つの方が似合ってたな」

 

肇「どっちの方が、可愛いと思いました?」

 

P「…どっちも、可愛いとは思ったよ。でもなんだろうな、色がシックリこなかったんだ」

 

肇「ですよね、私も鏡を見てそう思いました」

 

P「…じゃ、決まりだな」

 

肇「では、この二つのスカートと今私が着ているもの。どれが一番可愛いと思いますか?」

 

P「…今着ているのかな」

 

肇「ふふっ、私のお気に入りなんです」

 

P(…前に気に入ってるって言ってたの覚えてて良かった…)

 

P「さて、次はネックレス見に行こうか」

 

肇「あ、あのコートいいですね…あっちのスニーカーも…」

 

P「まぁ時間はあるし、のんびり見て回ろうか。取り敢えず荷物持つよ」

 

肇「ありがとうございます」

 

P「ははっ、本当にカップルのデートみたいだな」

 

肇「…ただのカップル、ですか?」

 

P「…同棲してるカップルみたいだな」

 

肇「同棲…だけ、ですか?」

 

P「…まるで夫婦みたいだな」

 

肇「ですね!では次のお店に行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

P「ふぅ…結構買ったな」

 

肇「こう言った所に来ると、ついつい欲しくなってしまいますよね」

 

P「さて、そろそろネックレスを…」

 

肇「…あ、見てください。可愛いペアの湯のみです」

 

P「お、湯のみか。そう言えば俺の家、湯のみ無いんだよな…」

 

肇「でしたら今度、お作りしましょうか?」

 

P「うーん、そもそも家で飲むのって水かビールくら…」

 

肇「……」

 

P「是非ともお願いしようかな」

 

肇「ふふっ、畏まりました。とは言え直ぐに、とは言えませんし、今日はこのペアの湯のみを買っていきませんか?」

 

P「ペア、か…男で一人暮らしだし2個あってもな…」

 

肇「一つは、私のと言うことで」

 

P「いやいやいや、だから一人暮らしの男の家に…」

 

肇「嫌、ですか…?」

 

P「いやって訳じゃ」

 

肇「ダメ、ですか…?」

 

P「…うん、2個使う機会だってきっとあるよな。買って行こうか。折角肇が見つけてくれた訳だし」

 

肇「では、これは私からの贈り物にさせて下さい」

 

P「いいのか?」

 

肇「女性からの贈り物を毎日使う。素敵な事ではないですか」

 

P「まぁ普段お茶は飲まな」

 

肇「…使わないんですか…?」

 

P「飲む、メッチャ飲む。お茶は毎朝毎晩飲むから使わせて貰うよ」

 

P「お、そろそろ結構時間経ってるな」

 

肇「もう15時まわってますね…一旦何処かで落ち着きますか?」

 

P「だったら、肇が言ってた喫茶店に行こうか」

 

肇「そうですね、続きの買い物はその後で」

 

ウィーン

 

P「外寒っ…早く手袋着けよう」

 

肇「…私は、手袋は帰ってから開けます」

 

P「寒くないのか?」

 

肇「プロデューサーも、手袋を開けるのは帰ってからにしませんか?」

 

P「いや、それだと手が冷えちゃ」

 

肇「……」

 

P「…手、繋ごうか」

 

肇「はい!」

 

 

 

 

 

~良さげな喫茶店~

 

P「おお、洒落てるなぁ…」

 

肇「前々から気になってはいたんですけど、機会がなくて…」

 

P「お昼時は過ぎたからか、直ぐ座れて良かったな」

 

肇「あ、荷物ありがとうございました」

 

P「いやいや、こう言うのは男性の役目だからな」

 

肇「なら、料理を作るのが奥さんの役目ですね」

 

P「確かに奥さんが家で料理を作って待っててくれたら嬉しいよ。それは間違ってないんだけどさ…」

 

肇「家に食材が無いんですか?でしたら、後でスーパーに行きましょうか」

 

P「…取り敢えず、メニュー決めようか」

 

肇「ケーキも捨てがたいですけど、朝も昼もとなると色々怖いですね…」

 

P「何がだ?手持ちなら問題ないけど」

 

肇「カロリーとか、糖分とかです。アイドルなんですから、気に掛けないと…」

 

P(…女性と、体型やカロリーの話はしたくないんだけどな…)

 

P「…肇なら大丈夫だろ。まだまだ痩せ過ぎなくらいだし」

 

肇「それは普段から気にしているからです!それに、太るだけでなく肌が荒れてしまったり…」

 

P「…取り敢えず、飲み物だけ先に決めちゃわない?」

 

肇「そうですね…では、私は紅茶で」

 

P「んじゃ俺はアメリカンコーヒーかな」

 

肇「アメリカンコーヒー、好きなんですか?」

 

P「正直コーヒーの違いなんて分からないけど、アメリカンって強そうだからな」

 

肇「プロデューサーも、もう少し拘りを持ってみたらどうですか?」

 

P「アイドルや仕事に関して以外はどうもなぁ…趣味と呼べる趣味もないし」

 

肇「でしたら、今度私と一緒に陶芸なんてどうですか?もしかしたらハマるかもしれませんし」

 

P「ん、まぁ機会があればな」

 

肇「プロデューサーの次のオフは何時ですか?」

 

P「…今手帳ないから、明日でいいか?」

 

肇「…すみません。プロデューサー自身の事を考えずに、色々と…」

 

P「気にしないでくれ、肇に色々誘ってもらえてありがたいよ」

 

肇「…今日も…いえ、何時も。私からばかり色々言ってしまって…私、めんどくさいですよね?」

 

P「……そんな事は」

 

肇「…その質問自体がめんどくさい、って顔してますよ…」

 

P「…コーヒーが苦くて顔を顰めてるだけだ。砂糖貰っていいか」

 

肇「どうぞ…角砂糖二つですよね?」

 

P「ほら、そういうところ」

 

肇「え?」

 

P「昨日の差し入れもだけど。肇はちゃんと周りを見て、周りの事を考えて行動してるんだよ。意識してかどうかは分からないけどさ」

 

肇「それは…でも…」

 

P「俺はそんな肇を信じてる。だからめんどくさいなんて思わず、ちゃんと俺の為に色々言ってくれてるんだって思ってるよ」

 

肇「プロデューサー…」

 

P「ん?なんだ?」

 

肇「そう言えば、まだコーヒー来てないんですけど」

 

P「…コーヒーを飲んで苦くて顔をしかめる未来が見えたんだよ」

 

肇「…つまり、プロデューサーはやっぱり私の事を…」

 

P「まって今のいい感じのセリフ本心だし結構恥ずかしかったんだけど」

 

肇「…ふふっ、冗談ですよ。プロデューサー、本気の表情をしてくれてましたから」

 

P「ふう…よかった」

 

肇「誤魔化そうとした事は後で」

 

P「…お手柔らかに頼むよ」

 

肇「ところで、プロデューサーは未来が見えるんですか?」

 

P「…見える、超見えるよ。明日朝、肇と合って昨日買ったスカート似合ってるなって言ってる俺が」

 

肇「では、一つ見て欲しいものがあるんですが」

 

P「なんだ?まぁ白状すると未来なんて見えないけど、予想と願望なら言えるぞ」

 

肇「今日の夜、プロデューサーは誰と食卓を囲んでいますか?」

 

P「……」

 

肇「今日の夕方、プロデューサーは誰とスーパーで食材を選んでいますか?」

 

P「……」

 

肇「私だって不安です。もし本当に嫌がられたら、なんて。ふとした時、そんな不安が増えていくんです」

 

P「嫌がるだなんて、そんな事はないさ。でも」

 

肇「さて、そんな私がそんな不安を抑え込んで本音を届けたんです。プロデューサーも、本音で返して下さい」

 

P「…めんどくさいなぁ」

 

肇「…プロデューサー…」

 

P「散らかった部屋片さなきゃいけなのいがめんどくさいし、食器出すのも洗うのもめんどくさい」

 

肇「…ふふっ、家事は得意ですよ」

 

P「食材取る時一応賞味期限チェックするのも、袋に詰めるのも」

 

肇「もちろん、お手伝いしますから」

 

P「…何より…こんな風に遠回しでしか言えない自分がめんどくさい」

 

肇「似た者同士、ですね。私達」

 

P「…車出すから、夜は遅くなってでもちゃんと帰るんだぞ?」

 

肇「プロデューサーの事ですから、食事したら動くのもめんどくさくなってしまうんじゃないですか?」

 

P「辛辣だな」

 

肇「そうなって欲しいから、かもしれませんよ」

 

P「…急にストレートになったな」

 

肇「今まで、私が曲がってたって事ですか…?」

 

P「…変わってなかったか。ある意味一直線かもな」

 

P「さて、じゃあ飲み物飲んだらネックレス選んでスーパー行くか」

 

肇「まるでネックレスがついでみたいですね…」

 

P「もちろん本気で選ぶよ。やる事羅列すると真ん中はそんなニュアンスっぽくなっちゃうけどさ」

 

肇「…ところで、プロデューサー」

 

P「ん?なんだ?」

 

肇「今日の私、どうですか?」

 

P「…服は凄く似合ってるし、鞄もブーツもお洒落だ。あと…」

 

肇「あと、なんでしょうか?」

 

P「…可愛かった」

 

肇「…可愛かったの前に何か意味が含まれてる気がするんですけれど」

 

P「…気の所為じゃないか?」

 

肇「それと、ですけれど」

 

P「ん?」

 

肇「さっきプロデューサーはブーツ、と言いましたけれど。ブーツにも色々種類があって」

 

P(…あぁ、ほんとめんどくさ可愛いなぁ)

 

肇「聞いてますか?ですから褒める時はちゃんとその名称等を細かくーー

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。