有色へと手を伸ばすためのいくつかの方法   作:琴乃

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初めまして、琴乃と申します。
一部の人たちにはシャトーと言った方が伝わるかと思いますが、お初の方はどちらか覚えやすい方で覚えて頂ければとてもうれしいです。

さて、初めての投稿作品でいきなりオリジナルを出すという(自分の中で)とんでもない暴挙に出たとは自分でも思っていますが今回とても題材にしたいものが見つかったので「初めてでも関係ない!思い切って書いちゃえ!」精神で挑んでおります。

兎にも角にも、まだまだ若輩者の私ですが皆さんのアドバイス等を参考にして今後とも執筆を続けていきたいと思いますので応援よろしくお願いします。



1話-4月8日午前-

4月。

それは大抵の人々にとって、桜が咲き乱れる中別れを忍び出会いを予感し、そこから生まれる期待と不安を胸に新たな一歩を踏み出すものだろう。

しかしそれはどんな人間にとってもそれが当てはまるわけではなく、桜が与える感情が薄い人間もいればほとんど感じない人間もいる。

実際のところ、この堀館楯(ほりたてじゅん)は後者に分類される少年で正門前の桜を見ながら思うことは本日の夕食の献立とその買い物についてという何とも主婦じみたものであった。

??「あ、こんなところにいたー!じゅーん。」

クラス替えで一喜一憂する女子や行き先が分からずに戸惑う新入生の中からひときわ大きい声が聞こえる。

と言うか、こんな人ごみの中ででかい声を出すんじゃない、知り合いと思われるのが恥ずかしくなる。

少なくとも俺の知り合いで、ここまで快活な奴は1人に限られる。

西元薫(にしもとかおる)、小学校からの同級生にして男だ。

中肉中背、筋肉質なわけではないが体の肉が余りまくっているというわけでもなく、本人曰く、″モテるための努力の賜物″らしい。

まあでも、それが功を奏したのかどうかは分からないが彼女出来たしなこいつ………

薫「お?どーした、そんなボーッとして。」

楯「いや……よくもまあそんな無駄なことに情熱をかけられたな、と。」

そう言うと薫は肩をすくめてため息を吐く。

薫「お前、本当変わんねえよな。そんなに悪態つきまくって楽しいか?いいか、これは俺がやりたくてやったこと。後悔もしたくないしな。」

後悔、という言葉に俺は少しばかり動揺する。

そうだ、薫は後悔をしたくないがために行動を起こした。

ああ、なんて、羨ましい。

その後薫はいくつか言葉をかけてきたがなんと返したかはうろ覚えである、

 

4月7日、今日入学式を迎え、俺は上火山(じょうびやま)高校の1年となった。

これと言って特別な感慨はない、強いて言うのであればなんともつまらなさそうな場所だと感じるだけだ。

かと言って、特殊なイベントを望んでいるわけでもない。

何も望まず、何も求めず、何事にも平常。

人生の教訓とも言える逃げ文句を復唱し、俺と薫は部活勧誘の列を通り過ぎていく。

薫「……ところで楯はさ。また帰宅部ってことになるのかい?」

楯「そうだな。やりたいこともないし、時間を割いてまでやろうとは思わない。」

薫「もったいないなー、もうちょっと楯は人生を楽しんだ方がいいと思うんだけどね?ま、余計なお世話か。」

まったくだ。勝手に人の平穏を荒らそうとするんじゃない。

そうして騒がしい昇降口前を後にし薫と分かれ、自分の教室へと向かった。

 

《昇降口前》

4月、私はこの月が1年の中で一番好きだ。

それは桜が好きなわけでも、暖かいのが好きなわけでもない。

人と新しい″縁″を作るとても良い時期で、私は特に奇な縁を求める。

それは別に変な人とお知り合いになりたいというわけではなく、偶然に偶然を足し合わせたような、例えば………

「ともー、もーそろ勧誘時間終わりだから教室いこー」

友「あ、待って、今行く。」

………何考えてたんだっけ、まあいっか。

そうして私はこの学校で2年目の生活を送る教室へと向かったのだった。

 

《1-2教室〜朝礼前のひと時〜》

互いが自己紹介をしていないこともあってか、教室の雰囲気はとても重い。

かろうじて中学までの同級生同士が話しをすることによって寡黙が壊されているくらいだ。

これくらいの静寂が一番好きだ。

うるさ過ぎず、反面静か過ぎず、それがたとえ多少歪なものであってもだ。

とは言っても特に話す(話したいとも思わない)相手もいない俺は、当たり前のように本を読むのが暇な時間における常である。

右足を左足にかけ、椅子にもたれかかり、さて読むか………

???「面白そうな本だね、なんて言うタイトルなの?」

……。

???「あ、あれ?おーい、もしもーし。」

…。

???「もしかして……目を開けたまま寝られる人なのかな。

羨ましいな。」

楯「あいにくだけど、そんな珍妙な特技は持ち合わせてない。」

その人は寝ていると思っていた(?)相手が突然話してきたことに対して多少驚いたようなそんな反応を返したかと思うと破顔の笑みを見せ、

鈴莉「あはは、ごめんね。お邪魔しちゃって。私の名前は木々鈴莉木々鈴莉(きぎれいり)って言うの。これから1年よろしくねお隣さん。」

やかましいのが隣になってしまった……

果たしてこれは、適当に話を切り上げるべきなのかそれともわずかながらでも会話を交わすべきなのか。

楯「………よろしく。」

こんな感じで月並み以下の台詞しか出ないのは、ひとえに俺が口下手だからかそれとも、これ以上他人に興味を持たないからか。

そのどちらが正解なのかは分からないけれど15年生きて来て身につけた、身についてしまった技能とも呼べない処世術なのだと感じなから生きていた。

 

《体育館〜入学式〜》

校長の長々とした話は10分ほど前から始まり未だ終わりの兆しが見えない。まだ座ったまま話を聞いていられるだけ良いのだろうが、それはそれで眠気を誘われるのが良くない。

………こういう時、決まって昔を思い出す。

この高校への進学決定の経緯、中学でのいざこざ、母さんのこと。

自分の人生が劇的だとは思わないが、それでも15年の人生にしてはだいぶ密度が濃いのではないか。

そんなことに想いを寄せながら、静かに意識は削られていった。




ついったーやってます。
@syatoxkotori
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