臨海咲SS置き場   作:タコピー

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中学編三話

 

 

 

 

実況「さあ、やってきました決勝戦! 全国への切符を賭けて各校の奮闘が期待されます!」

 

実況「副将戦が終わり、二位を維持していたーー中学が健闘しましたが、それでも一位には僅かに及ばず。大将の宮永に最後の希望を託します!」

 

 

 

 

部員「宮永さん……」

 

 副将を務めた部員が咲の顔を見つめ、つぶやく。

 一位との差は七千点以上。

 今までリードしてバトンを渡していた先輩の表情には、隠しようのない悲嘆の色が窺えた。

 

咲「大丈夫ですよ。先輩方の頑張りは無駄にしません」

 

 普段はおどおどとして自信なさげな後輩が毅然と言い放つ言葉。副将を務めた部員は、きょとんと目を丸めた。

 

部員「それってどういう……」

 

咲「大将戦、見守っていてください」

 

 微笑みすら浮かべて対局室に歩いていく後ろ姿を、副将を務めた部員は困惑気味に見送った。

 

 

 

咲「よろしくお願いします」

 

三位大将「……」

 

四位大将「取り戻さないと……まだ終ってない……」

 

一位大将「遅かったな。作戦会議でもしていたか」

 

咲「そんなもの必要ありません」

 

 何だと、と一位の大将の口が動くよりも早く、咲は言い連ねた。

 

咲「相対してわかりました。私たちが優勝するのに半荘一回も必要ありません」

 

 とうとう激怒や困惑の色を湛えだした各校の選手たちを尻目に、開始を告げるブザーが鳴り響く。

 

 

 

咲「ツモ、1600オール」

 

咲「ロン、18000の一本場は18300」

 

咲「ツモ、3600オールの二本場は3800オール」

 

咲「ツモ、2600オールの三本場は2900オール」

 

咲「ロン、24000の四本場は25200」

 

咲「ツモーーーー」

 

 

 

咲「カン」

 

咲「もいっこカン」

 

咲「もいっこカン」

 

咲「ツモーー清一色、対々、三暗刻、三槓子、赤一」

 

 

 

実況「……とんでもない事が起こりました。インターミドル長野予選決勝戦」

 

実況「ーー中学大将・宮永が、数え役満を和了、三校をまとめてトバして試合終了!」

 

実況「しかも、半荘が始まってから僅か三局……宮永に親番が回ったが最後、試合が終わるまで怒涛の連続和了が続きました」

 

実況「副将戦まで接戦を繰り広げた四校、この様に一方的な展開で幕を閉じると誰が予想したでしょう」

 

実況「ーー中学、全国出場への切符を見事勝ち取りました!」

 

 

 

咲「ありがとうございました」

 

 満面の笑みで感謝を告げる咲。他三校の大将は、言葉もなく卓上を見つめていた。

 その顔は一様に放心の様相を呈す。もはや、咲の声が頭に入っている者などこの場にはいなかった。

 

 

 

咲「部長。勝ちました」

 

部長「宮永。……よくやった」

 

 この年、ーー中学は全国大会に出場。

 準決勝で他校の選手が飛ばされ副将戦時点の三位で終了し敗退するまで、快進撃を続けた。

 その中で咲はその年の全国最多得点を記録、多くの人間にその存在を知らしめた。

 

 

 

クラスメイト「高校は東京の学校に行くの?」

 

咲「うん。疎遠になってたお母さんから連絡があって、臨海女子に行くなら便宜をはかってくれるって」

 

クラスメイト「臨海女子? 白糸台じゃなくて?」

 

咲「条件があってね。白糸台に行かないのが東京での暮らしを支援してもらう条件なんだ」

 

クラスメイト「支援? 一緒に暮らすんじゃないんだ」

 

咲「独り暮らしになるかな。お父さんは長野での仕事もあるし、私の我が儘に付き合わせられない」

 

クラスメイト「……そっか。寂しくなるな」

 

クラスメイト「咲ちゃんは長野の高校に進学するんだと思ってたから」

 

咲「また会えるよ」

 

クラスメイト「うん。……またね」

 

咲「じゃあ、また」

 

 東京への進学を機に別れと準備を済ませ、単身東京の地を踏もうとする咲。

 

咲「白糸台麻雀部、インターハイチャンピオン・宮永照か……」

 

咲「お姉ちゃんが相手でも、……ううん、お姉ちゃんが相手だからこそ勝たなきゃ」

 

咲「それが、私の証明だよ」

 

 

 

 

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