シドニアの似非騎士   作:駄作製造工場長

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書き溜めしてた訳じゃないので毎日更新はキツい。
次の更新は暫く先になると思います。 


第5話

星白に道案内をされて訓練生の宿舎に到着。寮母(熊)と一悶着あったが、寮母も3食食べる(熊だから光合成出来ないらしい)ついでという理由で毎食分作って貰える事になった。寮母に自室を振り当てられ、支給されたシドニア船員の制服に着替える。装着していないと処罰対象にもなる安全帯も装着した。身支度を終え、またも星白の案内で東亜重工へ向かう。小林に頼まれた用事を果たす為だ。別に明日でも良かったのだが、用事は早目に済ませる主義だ。

 

星白とシドニアの施設についての話をしながら東亜重工を目指し、なんやかんやで到着。星白は東亜重工の中に入る権限を持っていない。俺の用事が終わるまで待たせるのも悪いので、この場で解散とした。ある程度の道は覚えているので一人でも帰れる…筈なので大丈夫だ。最悪人に聞くのでイケるイケる。

 

東亜重工の施設の中に入る。

事前に連絡を取っていたので出迎えが一人。

赤髪を後ろで結った、長身の女性だ。

片手に大型のスパナを持っているのが気になるが、雰囲気から察するに出来るタイプの整備士っぽい。

 

「小林から聞いていると思うけど、

今回の騒動の中心人物のクルド・ナカザトだ」

「東亜重工の佐々木だ。

小林艦長から凄腕だって聞いてるよ」

 

自分でアピールしていてなんだが他人から言われると背筋が寒くなる。基本的に褒め慣れていないからだ。

 

「まずはアンタが乗ってた機体の方に行くわよ。なんかのプログラムが作動したのか、あの機体のハッチにロックが掛かっちゃって、アンタが居ないと安全に開きそうにないのよ」

 

あ~そう言えば盗難防止のプログラムを解除してなかったかも。あのプログラムが起動すると搭乗者か専門の整備士じゃないと解除出来ない筈だ。佐々木も整備士とは言え、此方の知識がなきゃ開けるのは不可能だ。なにせ根本から違う。俺が乗っていたコックピットブロックを目指して佐々木が施設の奥に進み、その後に続く。数区画歩き、俺のコックピットブロックが保管されている目的地に到着した。

 

「開けて貰える?」

 

コックピットブロックのハッチの前に立ち、ハッチの横に備え付けられているパネルを操作する。パスワードを2種類入力して、右目の毛細血管パターンを読み取らせる。これで解除だ。コックピットブロックのハッチがゆっくりと開く。佐々木をリニアシートに座らせて、俺はシートの後ろで中腰になる。

 

「操縦系統は衛人とそんなに変化ないね」

 

佐々木が操縦桿を握る。

操縦系統しか生き残ってないので問題ない。

 

「まぁ、同じ人間が動かすからな」

 

ジオンと連邦だって操縦系統に大きな差異はなかったし、そんなものだろう。っても連邦のモビルスーツはジオンのモビルスーツを元にしたので、その流れっていう理由かも知れないけど。

 

「ん、もしかして全面モニターなの!?」

 

衛人との大きな差異に気が付いた佐々木が大声を出す。本人に言ったらスパナで殴られそうだが子供みたいだ。

 

「そうだけど、カメラが死んでるから体験出来ないぞ?」

「なんで壊れない様にしなかったのよ…」

 

全天周囲モニターを体験出来ないのが残念だったのか、トンデモナイ事を言われた。こうして生きてるだけでも奇跡なんだから勘弁してくれ。

 

「そう言えばコレは脱出ポットよね?

コレが収まっていた機体はどんなのだったの?」

 

佐々木に言われてタブレット端末を手渡す。

俺の私物。リニアシートの裏に仕舞ってあった。

他にも細々とした物が乱雑に収納されて居るので、後で整理しよう。役に立つものがあるかも知れない。

 

タブレット端末を佐々木に持たせて、操作をする。この端末は軍のデーターと同期(軍機違反なので勝手にやってる)させてあるので、貴重な情報が山程詰まっている。敵の手に渡ったら処刑レベルだが、処罰を下す者が居ないので好き放題だ。一つのファイルを見つける。映像ファイルだ。それを開く。

 

端末に映像が流れる。

内容はとあるモビルスーツの試験テストだ。

緑色を基調とし、ゴテゴテした機体が映る。

老朽艦に向かって加速を始め、攻撃をする。

 

機体各部に内蔵されたミサイルを、

腹部のメガ粒子砲を、

自らの腕を左右に飛ばし、掌からビームを、

機体背部に隠された有線操作式のビーム砲を、

たった一隻の老朽艦に向けて放った。

老朽艦は一瞬で爆散して、映像が終わった。

 

ドーベンウルフ。

俺が最後に搭乗したモビルスーツの名前だ。

元々は対艦攻撃のみを目的としており、対艦ミサイルを山程搭載した機体だったのだが、それじゃあ既存のモビルスーツ(ズサ)と変わんねぇじゃんという話になり、技術者が悪乗りで色々とくっつけたのが今のドーベンウルフだ。果てには対艦攻撃とは真逆の捕縛用の電磁ワイヤーが搭載される事になり、機体コンセプトも対艦攻撃から、対ニュータイプ用になっていた。1人の技術人として最初から設計に携わっていたが、当時はそんな悪乗りみたいな機体に、すんなりと予算が許可された事に驚いた記憶がある。…よくよく考えるとドーベンウルフを扱っていたのがグレミー・トト率いる反乱軍だけだったので、ハマーン・カーンの強化人間を想定して造られた機体だったなかも知れない…っても一人の強化人間によって壊滅的被害を負わされるという苦い結果に終わったけど。ドーベンウルフに関する余談を含めた説明を終えると、佐々木があからさまに不機嫌になっていた。

 

「無性にアンタを殴りたくなってきた。

なんでそんな凄い機体が手元にないのよ!!」

「無茶言うなよ…」

 

佐々木の気持ちは凄く分かる。

同じ気持ちだからだよ。

俺だって折角造った機体が意味不明な機体に負けたのは凄く腹がたつし、パイロットはぶっ壊れた強化人間だ。次会ったら絶対に殺す。そんな機会二度と訪れないけど。

 

「アンタは後でぶん殴るとして、この機体を再現する事は出来る?アンタがコレの設計図とかを覚えてるかって話ね」

 

殴られるの決定なのかよ。マジで勘弁してくれ。

 

「何処にどの部品があるかなら分かるし、細かなデーターは全て端末に入っている。だからといってそのまま再現するのは不可能に近いぞ」

 

基本的にパイロットは整備士の居ない最前線の戦闘中でも機体を修理出来る様に、自身が乗るモビルスーツの内部を熟知しているものだ。加えてドーベンウルフは設計段階から技術者として参加していたので細部まで熟知している。それでも部品ひとつない状況ではドーベンウルフを再現するのは不可能だ。例え再現出来ても費やされる時間と費用が現実的ではない。温和な小林がブチ切れるレベルだ。

 

「分かってる。聞いただけよ」

「ならいいけど。取り敢えず端末よこせ、バックアップ取るから」

 

佐々木が持っている端末にはシドニアにとって例えようがないぐらい貴重なデーターが山程入っているので壊れたら大変だ。佐々木から端末を奪い、コックピットブロックの方のコンピュータにバックアップを取る。これで一安心だ。時間はかかると思うがシドニアのコンピュータの方にもバックアップを取らせよう。

 

「端末は此方に頂戴」

「操作は…指で触るだけだし問題ないか」

 

佐々木に端末を渡す。

専門家なら最大限活用してくれる。

 

「それでアンタはどうするの?帰る?」

「衛人に関して言いたい事があるから残るよ」

「なに~?衛人に不満でもあるってのかい?」

 

佐々木が指を鳴らす。自身の仕事にプライドを持っての行動だとは思うが喧嘩っ早い奴だ。命を預けるに足る人物だとは思うが、プライベートでは一緒に居たくないタイプだ。彼氏いないだろ。

 

「不満じゃねぇよ、質問だ、質問」

「質問?」

「なんで衛人には必要最低限の実弾しか積んでないんだ?」

 

衛人に積まれている実弾兵器は此方の世界風に言わせるとバルカンとグレネードランチャーのみ。しかもそれが腕部のみに搭載されているので、弾数は少なく、戦闘中の補給も厳しい。ヘイブス粒子によるビームライフルみたいな攻撃があるが、ヘイブス粒子は衛人の動力にも使われているので乱用は出来ないので主力兵装は実弾だ。その実弾兵器が火力不足なのだ。

 

「実弾兵器じゃガウナには致命傷を与えられないからよ。通用しない兵器を山程積むよりも、機体を軽くして加速を強めた方がガウナには有利なのよ」

 

佐々木の言う事は理解出来る。

ガウナと通常兵器の相性は最悪だ。それ故に衛人の戦術の要は「カビ」という槍になる。ガウナの基本攻撃は触手を使った接触戦であり、そのガウナ相手に近接戦を仕掛ける以上は機体の機動性を上げる必要がある。シドニアは機動性を上げる方法として「軽量化」という選択を取った。俺が居た世界ではあんまり取らない選択だ。

 

「アンタ達はとんな選択を取ったの?」

「高火力、重装甲、重くなった機体はスラスターを増設する形で補った」

 

特に第四世代型のモビルスーツはその傾向が強い。当然機体は巨大化、整備性は悪く、コストは増大するが性能は保証出来る。実弾兵器とガウナの相性は最悪だが、一機当たりの火力を高めれば「カビ」を所有した衛人が安全にガウナを攻撃出来る程度の支援なら可能だ。

 

「アンタの意見は一理あるかも知れないけど、今更新型機の設計を変更する訳にはいかないし、別の新型を造る余裕は今の東亜重工にはないのよ」

 

物資と時間と人出は限られている。

そんな事は知っている。残党出身舐めんな。

 

「わざわざ新型を造る必要はない。

武装も装甲もスラスターも既存の物を新型にくっ付ければ良い」

 

俗に言うフルアーマー理論。

一機まるまるではなく部品を付けるだけなので、費用は最小限、壊れた部分を取り替えるだけなので整備も楽だ。過去の経験を取り入れた我ながら良い案だと思ったのだが、佐々木が呆れ顔だ。

 

「文句ありそうだな」

「いや……そうだけど、そうじゃない」

「どっちだよ」

「価値観が違い過ぎて呆れてきただけよ、でもそういう選択もありかも。取り敢えず今日の所はありがとう、後でおやっさん達と相談してみるわ」

「最低でも俺の分だけでも造ってくれよ」

「検討しとく」

 

適当な別れ言葉を告げて、この場から立ち去る。

俺の意見を聞いて佐々木がどうするのか知らないが、シドニアの存続という共通の目的があるのだ、悪い様にはならないだろ。とにかくデカい仕事は終えた。あ〜疲れた。疲れ難い身体とはいえ今日は堪えた。

 

…それもその筈だ

いつの間にか反逆者になり、

謎のザクⅢに乗機を撃破され、

漂流した先が別世界、

組織のトップと交渉をして、

技術者と打ち合わせ、

一日でやる内容ではない。疲れる訳だ。

宿舎に帰って、速攻で寝よう。

 

そんな事を考えながらフラフラと歩く。

ボーッとしていると、ふとある事に気が付いた。

 

「佐々木に渡した端末にエロ動画あるじゃん」

 

私物の端末なのでパスワードはない。

フォルダのタイトルがまんまなので絶対バレる。

……ぶん殴られたりしないよな?

 




因みに原作の半年ぐらい前の設定です。
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