シドニアの似非騎士   作:駄作製造工場長

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話が脇道に逸れてる気がするー

「もりと」って「偉人」じゃなくて「衛人」なんですね、全く気が付きませんでした。
指摘感謝です。


第8話

今日は日曜日。衛人の学校は休みなので、一日中自由に時間を費やせるという絶好の仮象訓練日和なのだが今日はそれに時間を費やす訳にはいかない。平和な世界に適合する為に、自分自身の今後の生き方を探る為に俺は自分探しの旅に出る…と言ってもシドニアの中で探す旅なので日帰りだ。だって明日には学校あるし。

 

自分探しの旅に関しては事前にヒ山に連絡しているのでお弁当を作って貰った。間食含めて6食分は用意しているので一日分の行動には支障ない。寝床である宿舎を離れ、まずは何処に行こうか悩みながら歩いていると見知った顔ぶれが視界の中に入った。科戸瀬と仄が二人の計三人だ。

 

「おはようさん」

「おはようさん、ナカザト」

「おはようナカザト」

「ナカザトさん、おはようございます」

 

 

一様に朝の挨拶をする。

仄の個人を識別出来ていないが、

姉気分の煉と焔ではなさそうだ。

 

「珍しい組み合わせだな。何かあったの?」

「ナカザトを待ってたんだよ、じゃあ行こっか」

「はい?どういう事だ?」

 

質問をするが返答とばかりに仄姉妹に腕を引っ張られ、何処かへと誘導される。なんか恐い。

 

「科戸瀬、仄姉妹、説明してくれると非常に助かる」

「ん?あぁ、ごめんごめん。

ちょっと舞い上がっちゃって忘れてたよ」

 

仄姉妹が腕を離す。

 

「ヒ山さんから聞いたよ、

僕達に言われて自分探しの旅に出るんだって?」

 

ヒ山が密告しやがった。いい年したオッサンが倍ぐらい年の離れた女の子に影響されて、自分探しの旅を始めちゃうとかかなり恥ずかしいからバラさないで欲しかった。あと、科戸瀬の説明は微妙に説明になっていない。

 

「え~っと、ナカザトの旅の理由って結局は趣味探しなんでしょ?」

「まぁ、そうなる……のかな?」

「という訳で、ナカザトを僕達の趣味に勧誘しようとしたんだ」

「……科戸瀬、趣味あったんだ」

「あっ、ごめん」

 

科戸瀬がばつの悪そうな表情を浮かべる。此方も科戸瀬の無趣味発言について本気にしてた訳じゃないから別に良いけど。それにしても科戸瀬の趣味って何?そして仄の二人は何故ここに居る?二人に向かって湧いて出た質問をする。

 

「シドニア百景、これが僕達の夢と趣味なんだよ!!」

「ナカザトも私達の野望に参加しようよ!!」

「ナカザトさんも私達の趣味に付き合いませんか?」

 

珍しく興奮している科戸瀬と仄姉妹。科戸瀬からカタログの様なモノを手渡された。タイトルはシドニア百景。手に取ってパラパラと閲覧する。居住区、校舎裏、訓練宿舎の通路、公衆浴場、地下配管、菓子屋、公園、補修配管、小林の私室……あ~うん、俺の為にプレゼンしてくれている三人に悪いがシドニア百景ショボくね?あと小林の私室が百景入りしているのが謎だ。シドニア船員小林の扱いが分からん。

 

シドニア百景の内容がショボイので、三人の誘いを断ろうとしたのだが三人の真剣な眼差しに負けて誘いを受け入れてしまった。凄まじい情熱だ、この情熱を訓練に活かしてくれたらなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

科戸瀬と仄姉妹(燥と炯だった)の三人に案内される形でシドニア中を案内される事になった。シドニア船員として一週間近く生活しているが、宿舎と訓練室以外に外を出たのは初日(小林の私室(?)と東亜重工)以外にないので全くの土地勘がない。俺達が何処へ向かっているのかも分からない。科戸瀬に質問をする。

 

「俺達は何処に向かっているんだ?」

「実は行き先は決めてないんだ」

「なんだよそりゃ……」

「今回は勧誘の為に雑談しながら適当に散歩をするのが目的だったからね。どうせだったらシドニア百景で気になった場所に行こうか?僕達が案内するよ」

 

科戸瀬から再びシドニア百景の本を渡されるが受け取れない。何故なら俺の両腕は仄姉妹によってガッチリと拘束されているからだ。両腕を振り回して力尽くで引き離そうとするが仄姉妹は見た目以上に身体能力が高いのかビクともしない。

 

「仄姉妹、離してくれないか?

このままだとシドニア百景が見れん」

「そうだよ二人共、ナカザトが辛そうだよ」

 

俺と科戸瀬で仄姉妹を説得するが離れる気配がない。

 

「ナカザトさん、私達姉妹の区別がついてないんですよね? 」

「どっちが燥で、どっちが炯なのか当てたら離して上げるよ」

 

突然の無理難題。個人名じゃなくて総称で連呼してたのが不味かったか。確率的に言えば当て感でもイケなくはないが、仄姉妹には前々から言いたい事があったのでこれを気にいう事にした。

 

「お前等の区別なんか出来ないし」

 

発言した瞬間、両腕の関節が僅かだがあらぬ方向に曲がった。一応加減されているのか折れてはいないが関節が痛む。区別云々は俺の所為じゃないだろ。

 

「お前達は内面では個別化出来てるのに、どうして見た目は同一なんだよ?髪型だけでも変えろ。仄姉妹!!腕を離せ、そして後ろを向け!!」

 

仄姉妹に怒声混じりに命令する。

仄姉妹が恐る恐る従う。

 

取り敢えずとして外面の変化を付ける為に髪型を変えようとする、と言ってもハサミを入れる訳にはいかないのでヘアバンドを使う程度だ。ヘアバンドは所持していないが、お弁当箱用のゴムバンドなら背負っているバックにあるのでそれを使おう。

 

「髪弄るから動くなよ」

「えっ?」

「こっち向くなよ」

 

仄の頭を掴んで固定する。

髪型は…三つ編みにするか。

諸事情で慣れているのでササッとこなす。

 

「ほら、出来だぞ」

 

三つ編みの完成。仄が手探りで確認する。

 

「おぉ〜、これでトライポフォビアって二度と言われないかな?」

「トライ……なんだって?まぁいいや。

没個性気にしてるならお洒落でもしろよ。

今度教えてやるから姉妹間で情報共有しろ」

「はーい」

 

もう一人の仄の方へ向かう。此方の方の仄は先程の一件を見て趣旨を理解しているので大人しい。

 

「ナカザトさん、どんな髪型にするんですか?」

「一応聞くけど希望は?」

「え~っと、ドレッドヘアーって出来ます?」

「……それって男の髪型じゃないのか?」

 

真面目そうな口調の癖にファンキーだ。そもそも専用の道具がないと無理だろ。使えるゴムバンドは一つなのでサイドテールにした。

 

「兎にも角にも個人を識別して欲しかったら髪型ぐらい変えろ。ところでどっちが燥で炯なんだ?」

「私が燥だよ」

 

三つ編みの仄が燥なので、サイドテールが炯だ。

二人共満足した様なので話の本題に入ろう、科戸瀬からシドニア百景のカタログを受け取ろうするが、科戸瀬が半目で睨んでくる。

 

「なんすか?」

「いや、女性の扱いが上手だな〜って思って。

もしかしてナカザトってそういう人なの?」

 

科戸瀬から物理的に距離を取られる。

お前は中性だろ、警戒するなよ。

唯一の同姓(?)の友達だから凹むんだけど。

 

「女性の扱いじゃなくて、子供の扱いが上手なんだよ。さっきの三つ編みだって子供にやったやつだぞ」

 

仄姉妹と似た様な娘達の教育系(教えられる程の技量があり、性格的にマトモな奴が俺しかいなかったという理由で)をやっていた経験があるからな。アイツ等、あの騒動で生き残っていればいいんだけどなぁ……

 

「ふ〜ん、まぁ、信じてあげるよ」

 

科戸瀬、それは信じてる人の目じゃないぞ。

このままいくと俺が不利になりそうな気がするので、科戸瀬からシドニア百景のカタログを奪い取って行き先を決めようとする。パラパラとページを捲るが、建造物が多くて楽しめそうにない。公衆浴場には興味が湧いたがこの面子では悲惨な事になりそう。更にページを捲っていると興味深い項目が目に入った。ここだ、ここに決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

模型専門店。俺がシドニア百景の中から選んだ場所だ。模型、俗に言えばプラモデル。内容についての詳細な記載はなかったが、もしかしたら模型専門店と言うぐらいなので衛人のプラモデルぐらいなら売っているのかも知れない。

 

「ナカザトってこういうのが好きなんだ」

「意外と子供なんですね」

「子供というか男の子なんでしょ」

 

3人とも若干冷め気味だ。

巨大ロボットに乗っているくせに……

機体を熟知するには有効なんだぞ……

三人の冷めた目を無視して模型店の中に入る。

 

店の中はプラモデルが引き詰められた棚が人が横歩きで通れる程度の間隔で設置されている。かなり窮屈だが、不思議と圧迫感は感じない。

 

「あれ……もしかしてアンタは一週間前に救助されたナカザトクルドじゃないか?」

 

店主のおじさんに話し掛けられる。どういう報道をされているのかは寮内にテレビがないから不明だが、顔出しされているらしい。許可を出した覚えがない。まるで犯罪者みたいな扱いだ。

 

「よく分かりましたね」

「そりゃ連日報道されていたからね。そういえば一昨日の報道によると衛人の操縦が神懸かり的に上手いって言ってたけど本当なのかい?」

「訓練生の中では、って話ですよ」

 

なんで知ってるんだよ?……衛人の訓練学校での出来事も報道されているのか。仮象訓練装置の訓練結果は何処かに集約している筈なので、そっから情報が漏れたのか?疑問がハッキリとしたので探索に入ろう。若干三人が置いてきぼりを食らっている気がするが気にしたら負けなので気にしない。だって今日は俺が主役だし。

 

「五式衛人」

パッケージを見ると箱型のコックピットに手足を付けた様な形をしている。今の衛人とはまるで違う形だ。衛人の名前を有しているという事は作業用ではなく、戦闘用なのだろう。衛人の歴史を感じさせるプラモデルだ。取り敢えず買おう。

 

「十四式衛人「雷光」」

先程とは打って変わって人の形をしているが、衛人の最大の特徴である背部推進器が搭載されていない。ある意味で特徴的なのでこれも買いだな。

 

「十五式衛人」

形は今の衛人にそっくりだが、ヘイブス粒子を搭載していないとパッケージの説明欄に書かれている。ガウナ用の隠密機体なのか?それとも試作機なのか?詳細が分からないのでこれも買いだ。

 

「一七式衛人 白月改 継衛 」

現在のシドニアの主力衛人の一つ前の機体だ。これは十七式衛人をエースパイロット向けに改修された機体らしい。徹底的にチューンされており、操縦は複雑だが現在の十八式衛人の性能を遥かに凌駕していると書かれている。へぇ~まだ現存していると書かれているし、一度乗ってみたいな……そんな訳でこれも買いだ。

 

「 MS-06 ZAKU II」

通称ザクⅡ。ジオン公国軍を象徴するモビルスーツだ。一年戦争の序盤では連邦軍の通常兵器相手に猛威を奮った。戦争終盤ではビーム兵器を搭載した連邦製のモビルスーツや、ドムやゲルググといったジオン公国軍の次期主力モビルスーツの登場により、主力モビルスーツの座はその2機に譲られたが、数々のパイロットと技術者に好かれており、陣営問わず後続機が開発されたベストセラーモビルスーツだ。これも当然として買い…だ、…………へ?

 

「なんで此処にザクⅡが!?」

「うわぁ、突然どうしたの!?」

「エムエス……ロク?なんですかこれ?」

「一つ目の巨人?気持ち悪い…」

 

狭い店内で思いっきり叫ぶ。なんでザクⅡのプラモがあるんだよ。不思議そうにしている三人を尻目に店主に質問をする。

 

「おぉ、お目が高いね。これはつい最近、東亜重工が販売したプラモデルだよ。名前はザクⅡだったかな?今までにない機体だから売れてるんだよ」

「でしょね!!」

 

やっぱり東亜重工か。やりやがったな佐々木の野郎、モビルスーツを再現出来ないからって模型で再現しやがったな。真実知る人間が語らない限り、ザクⅡは空想上の兵器という扱いになるが無茶苦茶過ぎるだろ。せめて俺に許可取れよ。後で佐々木に文句を言うとして、ザクⅡには罪はないので購入する事にした。合計5つの箱をお店のレジを持っていく。後ろから悲鳴が湧いたが気にしない。

 

「一度に随分と買うんだね。

もしかしなくても模型造りが趣味かい?」

 

おじさんの質問を受けて思わず固まる。個人的には欲しい物を買っただけだったのだが、おじさんには模型造りが趣味の人に見えた様だ。曖昧に返事をすると、おじさんが「君も男の子だね」と深く頷いた。

 

何というか「趣味」という単語を重く捉えていたが、単純に好きな事をすればいいだけの話だったのだ、自分探しの旅の最終地点が模型専門店なのは釈然としないが、探していたモノが見つかったので良しとしよう。一人で納得しているとおじさんが「あっ!」と何かを思い出した声を上げた。

 

「君を見て思い出したんだが、ちょっとサインを貰ってもいいかい?知り合いの女の子が君のファンでね。サインをしてくれるのならニッパーとかオマケしちゃうよ」

 

おじさんに言われて気が付いたがニッパーや接着剤といった制作ツールを一つも買っていなかった。サインを書ける様な身分ではないし、俺のサインを欲しがる娘が本当にいるのかは謎だが、無料でモノが手に入り、今後も利用するであろう店主の機嫌を損ねる訳にはいかないので提案を受け入れる事にした。

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