シドニアの似非騎士   作:駄作製造工場長

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訂正は後日行う予定です。


第9話

モニターに爆炎が広がる様子が映る。自機の放った弾丸によって一機の衛人が撃破された。残りの衛人は三機、衛人相手に有効な腕部の誘導飛翔体(グレネードランチャーとミサイルを合わせた様なモノ)の残弾数は二発。三機を相手するには一発足りない。残り一機には高速速射砲か、カビザシか、それとも意外性を突いて腕部のスパイクを使おうか…

 

残り一機をどうやって調理しようか悩みながらも、陣形を無視して単騎で突撃をかましている一機に狙いを付け、誘導飛翔体を一発放つ。高速速射砲によって動きを制限された一機は此方の予想する方向に回避行動を行い、此方の予想した通りに爆炎を生じさせた。

 

「一機撃破。残りは二機だぞ」

 

相手を煽る様に呟く。ミノフスキー粒子は散布されていないのだが、事前に通信を切断しているので無意味な独り言に過ぎない。

 

敵の衛人は残り二機。僅かな時間で戦力の半分が失われた事に動揺したのか一機の動きが悪くなる、だがそれも一瞬だけだった。もう一機が叱咤でもしたのだろう。先程とは打って変わって動きが変わった。一機が絶えず此方の死角に入る様に動く。死角に入った敵の方を攻撃しようとすると、フリーになったもう一機が此方に向かって弾丸を放ってきた。中々出来た連携攻撃だが、四機残っている内にする戦法だったな。此方が一機だけだと侮ったのが駄目だったな。

 

目の前の一機に狙いを定める。自機のスラスターを思いっきり噴射させて、一気に距離を縮める。目の前の一機が迎撃の為に高速速射砲を放ってきた。

 

流石に弾丸は見切れないが、敵衛人の腕部を見れば大体の射線は分かる。加えて敵衛人は動揺しているのか必要以上に腕部がブレている。敵衛人から放たれた弾丸を避ける為に自機の脚部を小刻みに動かした。衛人の射撃管制システムは大まかだが理解している、ガウナの様に直線的な移動をするモノを補足するのは得意だが小刻みの動きには弱い。知識が功をせいした。回避を成功させたと同時にお互いの距離が更に縮まった。相手の動揺と注意を誘う為にわざと外れる様に誘導飛翔体を放つ。敵衛人の注意が誘導飛翔体に向いた隙に、右手に持っていたカビザシを模した槍を短く持ち、敵衛人のコックピット部分を斜めに突き刺した。敵衛人のコックピット部分に槍の先端が突き刺さり、装甲が潰れた。あの位置では搭乗者は即死だ。確認するまでもない。

 

泡状分解するガウナと違って、衛人相手に突き刺した槍は衛人の装甲が曲がったりして直ぐには回収出来ない。槍の回収は諦めて、残り一機を片付ける事にした。

 

槍は放棄。誘導飛翔体は残弾なし。高速速射砲は牽制に使い過ぎた所為で残弾三割。さて、これでどうやって調理しようか…そんな事を考えていると敵衛人が此方に突っ込んで来た。此方は槍を放棄したが、敵衛人は槍を装備している。狙いは接近戦だろう。直線的な動きなので迎撃しようと思えば楽に出来るのだが、それでは面白くないので敵衛人の誘いに乗ることにした。

 

敵衛人が此方に接近、槍の有効範囲にまで近付いて来た。敵衛人が此方のコックピット部分に向かって槍の先端を突き刺そうもするが、自機を回転させて回避をした。槍は刀と違って攻撃面が極端に狭い、加えて先端は単なる尖らせた金属に過ぎないの。度胸と技量があれば軽く自機をズラすだけで致命傷は回避出来る。モニター一面に広がる敵衛人の頭部、お互いの機体が接触する音が聞こえた。

 

「あんまり武器に執着しない方がいいぞ」

 

相手に聞こえないと分かっているが敵衛人に指摘をしてしまう。お互いの機体が接触する程の距離では槍は邪魔でしかないのだが、敵衛人は槍を捨てようとせずに此方を押し出そうとする。シドニア船員にとって槍(カビザシ)は命よりも大事な物なのだが隙だらけだな。頭部のヘイグス粒子を放ち、敵衛人の頭部を破壊。自機の右腕の電磁ブレードを使って敵衛人のコックピット部分を切り裂いた。敵衛人の動きが止まった。四機目を撃破。これで追手の衛人は全機撃破だ。

 

モニターが暗転、電源が切れたのか真っ暗になる。

 

「疲れた…」

 

溜息混じり呟きながら仮象訓練装置からゆっくりと出る。先程の戦いは単なるシュミレーションでの出来事だ、そうでなきゃ世話になった人達を殺すなんて事は出来ない。こんなんでも俺は義理堅い性格だ……と思う。薄情な奴かも知れないけど。ポケットに入れていた戦闘糧食を口にしながら、対戦相手達が来るのを待つ。

 

「四対一で負けるとは思わなかった。

あの時の台詞は嘘ではなく本当だったのだな」

 

先程のシュミレーションの対戦相手の一人であるサマリが此方に近付いて来る。握手を求められた、意味は分からないが取り敢えず受け入れた。

因みに「あの時の台詞」とは、俺がサマリに救助された際に言った冗談の事だ。確か「慣れない機体だけどやろうと思えば三対一でも勝てる」だったかな?ニュアンスが違うかも知れないけど大体こんな感じだった筈だ。

 

「あ~クソッ、調子に乗った訓練生の鼻を明かそうとしたら、明かされたのは此方とか意味が分からねぇよ!!」

 

弦打(シュミレーション前に名前を聞いた)が頭を掻きながら此方に近付いて来た。乱暴な物言いだが弦打に苛立ちを感じない。説明に困るがこの結果を最初っから知っていた様な雰囲気だ。

 

「俺が勝てたのは一対多数と、衛人同士の戦いに慣れていたからだよ。逆に言えばそっちの敗因は多数対一と、衛人相手の戦いに慣れてなかったからだ。次戦えば勝敗は分からん」

「余裕だな、おい」

 

仮象訓練をやっていて分かったが、シドニアは衛人同士の戦いをあまり重視していない様に感じた(反乱を恐れて意図的に行っていないかも?)。重力祭では衛人同士の戦いが行われるそうだがルールを調べるとアリーナに近く、実戦には程遠い。先程のシュミレーションでも、サマリ班は多数に無勢と此方をナメており、作戦も一斉射撃という単調なものであった。個々の技量は中々のモノだったので、最初っから此方を包囲する戦法だったら流石の俺も危なかっただろう。

 

「個々の指摘をさせてもらうと…まずはサマリ、槍が使い難い接触戦では槍は手放せ。相手は衛人、サマリの武装は只の槍なんだからあんまり執着するな。後は数の理を活かした戦法を最初からやれ」

 

指摘されたサマリは言い訳も反論もせず真面目に聞いていた。堅い奴だな。

 

「弦打は動揺し過ぎ、機体越しからでも感じ取れたぞ」

「お前はエスパーかよ…」

 

弦打が呆れる。他にも戦闘序盤でサマリを庇い過ぎと指摘したかったが、何となく騒動が起きそうな気がしたので後で個人的に伝えておこう。

 

「士浪弟はヘイグス粒子の扱いが上手いが狙いが率直過ぎだ、機体を直接狙うんじゃなくて相手の行動を制限する様に撃て。後はサマリ班の中でお前は最も厄介な奴だという事を自覚しろ」

「と、言うと?」

「敵はお前を真っ先に落とすという意味だ。

実際に凄くウザかったからお前を最初に殺した」

「やっぱりか」

 

「最後は士浪兄、お前は……頑張れ」

「なんか俺だけ違くね!?」

「もっとチームを意識して動けば?隊長の命令は絶対なんだから命令が間違ってても連携の為に聞いた方が良いぞ」

 

確か二番目にヤった筈だ。突撃思考の獣臭がする動きだった。槍を持っていたので近接戦闘が得意だと察するが、サマリの指揮は火力によるゴリ押しだったからコイツの長所を活かせなかったのだろう。だからと言って相談無しで単騎で突っ込むのは論外だ。ふと、サマリを見ると俺の台詞を受けて落ち込んでいた。

 

「どうしたサマリ?」

「いや、これが実戦だったら私の指揮が原因で全滅してたんだと思ってな…」

「別に指揮自体は問題なかったと思うぞ」

「……どういう事だ?」

 

サマリが不思議そうに此方を伺う。惨敗したとは言え、四対一で尚且つ相手が衛人ならば、火力差でゴリ押しするのが最も被害が少なくて堅実的なやり方だ。途中二機がヤられてから作戦を柔軟に変更したのも良い判断だっと言える。さっきも言った気がするが、サマリ班の敗因は慣れだ。

 

「気を使わせてしまったみたいだな…すまない」

「気を使ってないから謝んなよ」

「現に私達は……いや、ありがとう」

「ありがとうって……勘違いが凄まじいな。

まぁ、貸しにしていてやるから後でなんかくれ」

 

サマリと会話をしていると、弦打が間に入る。

 

「さっきの戦闘、お前がサマリの立場だったらどうする?」

「う~ん、戦わないかな」

「……絶対に戦うとしたら?」

 

個人的にはちゃんとした答えを言ったつもりだったのだが、言葉が足りなかったのか弦打に伝わってなかったみたいだ。小馬鹿にされたと勘違いしたのか弦打が苛立ちながら再び質問をする。今度はちゃんと答えないと……

 

「衛人はヘイグス粒子なしではマトモに動かないから、敵衛人のヘイグス粒子を使い切らせる戦いをするのが効果的だな」

 

詳しくは敵衛人の攻撃に即応出来る距離を保ちつつ、敵衛人がヘイグス粒子を使って回避行動を取るようにチマチマと攻撃をする作戦だ。サマリの一斉射撃と似ているが、倒すと消耗させるでは目的がまるで違う。この作戦でも敵によっては全滅する恐れがあるが、後続の部隊と合流する時間は稼げるのが大きなポイントだろう、と言ってもさっきのシュミレーションでは後続の部隊なんて居やしないけど。ぶっちゃると俺が対人戦に特化し過ぎているからサマリ班の勝ち目は最初から薄かったんだよなぁ……とは言わずにサマリ達に簡潔に伝える。

 

「って訳なのでサマリの指揮は問題なかったぞ」

「いや、それでも実際に……」

「まぁ、隊長の指揮だけが原因じゃないんだから一々気にするなよ」

 

弱気になっているサマリの背中を思いっきり平手打ちをする。弦打、士浪兄弟が俺の意見に同意なのか頷く。なんだよ隊長想いの良い部下たちじゃん。若干男女仲臭が漂っている感じがするけど。意味もなく頷いていると弦打に話しかけられた。

 

「教官みたいだな」

「つい最近まで本当に教官だったからな」

「記憶喪失っていう話は何処いったんだよ?」

「うっ、あだだだ、頭が痛いなー」

 

弦打に指摘され、ワザとらしく頭を抑える。

色々事情があるんだ。大人だったら察してくれ。

まぁ隠す必要はないけど、説明が面倒臭いのだ。

どうせ信じて貰えないし。

 

「……深く聞かない方が良さそうだな」

「そうしてくれると非常に助かる。

どうしても事情が知りたかったら小林に聞け」

「艦長にか?そいつは自殺に等しいぜ」

 

サマリが事情を察して、弦打が大袈裟に答える。

 

「さてと、お腹も空いたし帰るか。

勝負前の約束通りに四人の驕りなー」

「給料前なのになぁ…噂だと人間一人ぐらい食べるんだろ?」

「げぇ…聞いてないぞ」

「高価なのは無しの方向で」

「それじゃあ重力おでんでどうだ?あそこなら安いしお酒も飲める」

 

サマリの提案で重力おでんを驕ってもらう事になった。この場から立ち去ろうとする。

 

「お前等!!帰ろうとするな!!!」

 

突然鳴り響いた女性の怒声。それと同時に鉄の塊が頭部を掠めた。飛んで来た鉄の塊は大型のスパナ、つまりは襲撃犯の正体は東亜重工の佐々木だ。

 

「仕事道具投げんなよ。次やったら本気でブチのめすぞ!!」

 

因みにエロ動画の件で既に一回殴られている。

 

「煩い。何此方の要件すっぽかして呑みに行こうとしてるのよ!?」

 

あ~、それは悪かった。お腹空いてたから素で忘れてた。現在俺達が居る場所は東亜重工の仮象訓練室だ。小林命令で俺の専用機を東亜重工で造る事になり、その関係で東亜重工に打ち合わせで来たのだが、俺の実力を怪しんだ佐々木が非番のサマリ班を呼び寄せ、なんやかんやで俺の実力を測る為にシュミレーションを行ったのであった。

 

「それで、お前の御眼鏡には適ったかな?」

「癪だけどアレを見たら認めざるを得ないわね。今現在す~っごく忙しくて、す~っごく人手が足りない危機的状況だけど我慢するわ」

「ヤベェ…久しぶりにキレそうだ」

「ちょっと気持ちは分かるが今は落ち着け」

 

士浪兄に宥められる。

 

「佐々木、あんまり不平不満を口にするな。

ナカザトの方は急ぎじゃないんだから気楽にやれ」

「…おやっさん」

 

年配の男性が現れた。

佐々木が以前口にしていた人らしいな。

察するにベテランの技術者って感じだ。

こういう裏方の人に嫌われると、一人のパイロットとしてはマイナスにしかならないので出来る限り丁寧に接しよう。……佐々木は知らん、アイツは後でシメる。

 

「忙しい時にすいません」

「操縦士が裏方を気にするな」

 

おやっさんと呼ばれる人に肩を叩かれる。

佐々木と違って話が通じそうな人で助かる。

 

「それで、お前は何を造らせるつもりなんだ?衛人の新型か?十八式の改造機か?それともMSって奴か?」

 

おやっさんに矢継ぎ早に質問をされる。

 

「可能ならば新型の衛人でお願いします」

「……別に忙しいっていう訳じゃないんだが、十八式衛人の改造機じゃ駄目なのか?そっちの方が色々と都合が良いぞ?」

 

おやっさんの言いたい事は分かる。既存の物を流用して造った方が整備性や互換性が高く、補給の望めないシドニアにとっては有り難い話だとは思うのだが、先のシュミレーションで意見が変わった。今の衛人では俺の実力を発揮出来ない。色々な人から期待を寄せられているのに並の戦果では申し訳がないので思い切った選択を取った。

 

「ぶっちゃると十八式の操縦系統だとキツイんですよね」

 

サマリ班を単騎で圧倒出来たとは言え、勝因は操縦技術ではなく戦闘経験に依るものが大きい。それも当然としてたった一週間で学んだ衛人の操縦技術と、八年近く実践で培ったモビルスーツの技術とでは比べるまでもない。あと操縦の自動化が腹立つので絶対になくして欲しい、と提案するとサマリから不思議そうな顔をされた。

 

「私は操縦が自動化される前の機体に乗っていた事があるのだが、自動化が嫌だなんて意味が分からないな」

 

確かに操縦系統の自動化は便利かもしれないが、事前に決められた動作を行うという事なので言ってしまえば動作に乏しくなってしまう。ガウナにどれ程の学習能力があるのかは知らないが、対人戦では致命的とも言える欠点だ。加えて操縦の自動化は操縦者の安全を第一に考えられて構成されているので、俺みたいな強化人間には歯痒さを感じてしまう。

 

「歯痒さってどういう意味よ?」

「速度制限と脚部スラスターを自動制御をしてるだろ?アレが凄く邪魔なんだよ。俺の専用機にはなくして欲しい」

「アンタって馬鹿なの?死ぬわよ?」

 

佐々木に失礼な事を言われたが、言いたい事は分かる。速度制限は操縦者の安全を考えて付けられたモノであり、脚部スラスターを自動制御しているのは操縦者の操縦ミスで機体が予想外の方向に飛んで行かない為に付けられているモノだ。その二つを外せと言っているのだ、正気とは思えないだろうが俺の身体は普通よりも頑丈に出来ているので今よりも速くても問題がないし、操縦ミスを犯すなんて真似はしない。

 

「アンタの要望は聞いてあげるけど、後で耐G検査と、自動制御をなくした衛人のシュミレーションやりなさいよ」

 

口にしたら殴られるから言わないけど意外と優しいな。

 

「なんだよ、意外と優しいじゃねぇか」

 

佐々木の性格を察して黙っていたのに、弦打がボソリと呟く。佐々木が弦打の鳩尾を打撃した。俺の時は躊躇なく顔面だったのに……この差はなんだよ。

 

「話をまとめるぞ。操縦系統はお前が「乗っていた」モノをベースにして、十八式みたいな自動操縦支援システムを一切搭載しない方向で良いんだな?」

 

おやっさんが話をまとめる。俺が乗っていたモノとは、ドーベンウルフのコックピットブロックだ。可能ならばアレをそのまま流用して欲しい。

 

「機体自体の要望は?」

「衛人自体は悪い機体じゃないので十八式を元にする形でも構わないですよ。そこら辺は専門職の人達にお任せします……あっ、武装は外付けを前提にして貰っても良いですか?」

「外付けって、槍とか拳銃みたいな感じか?」

「そうです。実弾を連射するタイプと、実弾を多数同時に放つ近距離タイプ、狙撃するタイプがあれば助かります。それとヘイグス粒子を撃てるのがあれば更に助かります」

「そんなゴチャゴチャさせる必要があるのかよ?」

 

次々と要望を口にしていると、弦打から必要なのかと聞かれた。確かに衛人自体に多数の武装が搭載されているので、わざわざ持つ必要もないかと思うが、手持ち武器にも長所はある。

 

多数の武装を瞬時に使い分けした方が様々な状況に対処出来る。尻尾を巻いて逃げる状況に陥ったら重い武器を手放して機体軽くするという手段を取れるし、武装を外付けすれば銃先だけを後ろに向ける事によって相手に背中を見せたまま(要するに武器だけを敵に晒して攻撃が可能)攻撃する事も可能だ(命中率は度外視だが)。これは可能かどうか分からないが、武装を外付けする代わりに機体腕部の武装を外して、空いた部分に装甲や射撃管制システムを搭載するというのもアリな話だ、武器自体に射撃管制システムや光学機器を搭載するのも無くはない。

 

「っても結局は個人的な趣味だけどな」

「個人的な趣味とは言え、そこ迄言われたらやらないわけにはいかないわね。皆が過労で死ぬかも知れないけど……」

 

そこは知らん。量産機と専用機ならそりゃ量産機の製造が最優先だ。事実俺関係の納期は先なんだからゆっくりやればいいじゃん。取り敢えずの打ち合わせは終わったから俺は帰る、そんで四人に重力おでんを奢ってもらう。おやっさんと佐々木に別れの挨拶をしようとすると、佐々木に肩を掴まれた。

 

「なに逃げてるのよ?」

「別に逃げてねぇよ。打ち合わせが終わったから帰るんだよ」

「あれだけの打ち合わせで造れる訳ないでしょ。一々呼ぶのも面倒臭いから完成するまで此処に居なさいよ」

「嫌だ。いつまで掛かるんだよ、学生舐めんな」

「サマリ班を圧倒した奴が学校で何を学ぶって言うのよ?学長には私から言っておくから暫く此処に居なさい、そして私達の仕事を手伝って死になさい」

 

どこのマフィアだテメェは!?

面倒事に巻き込まれる前に逃走しようとすると、突然頭部に走った。視点がグラグラとなり、立つのが困難になる。倒れそうになるのを踏ん張って耐えていると再び頭部に衝撃が走る。今度は耐え切れず、床に倒れ込んでしまう。意識が朦朧とする。視界が暗くなる最中、巨大なスパナを手にした佐々木が微かに見えた。

 

あ、の…野郎……殴り、やがっ、たな……

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