GATE×オリ主&オリ国家   作:オシドリ

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ネタその2.
GATEの特地にオリ主&オリ国家を突っ込んでみた。


序章 接触編
第1話


 

 「だっ、だまされた………」 

 

 黒髪の男が一人、浜辺で膝を突いていた。辺りには何もなく、海は昨今の海洋汚染など知らないとばかりに澄んでいる。

 作業服姿の、中肉中背でパッとしない顔立ち。作業員をしている一般人です、と言えばそのまま通じる日本人である。実際その通りであった。

 

 

 この一般人な男がこのような場所にいる理由は、旅行中詐欺にあったわけでも失恋したわけでもなく。

 

 異世界転生、いや、この場合は転移だろうか?

 

 まあそういう事を経験したためであった。

 

 詳しく説明すると、その日の朝に遡る。

 

 男はもうすぐ中年というお年頃で、独身。家はアパート一階の1DK。家賃は3万2000円也。男のいる田舎だと普通のアパートになる。

 物にこだわりの無い男であるが、アパートの一室には一風変わったものがある。

 それは、ホームセンターで買った小さな神棚である。買った理由もなんとなく、という感じで。

 

 買ったからにはちゃんとやった方が良いのかな、と男は思い、それ以来、朝起きたら新しい御神酒に取替え、毎日お祈りするのが日課となっていた。

 

 その日は昨晩ネット小説を見ていたので、「ちょっと異世界行ってみたいな」とお祈りしてみた。

 そして日課を済ませて作業服に着替えたら暗転。

 気がついたら一面真っ白な空間に立っていた。

 

 人型の光る靄が言った。

 最近のネット小説にあるようなチート転生をしてみないか? と。 

 

 これは、あれか。

 

 なんか知らんが、きっとお祈りが通じて神様が願いを叶えてくれるのか?

 

 ファンタジーだ! 

 俺TUEEEだ!!

 ハーレムだ!! 

 

 神の言う、なんとも浪漫溢れる話に男は食いついた。

 

 そして、神と男の協議の結果、チートは一つだけ。身体と精神はサービスで強化するとのことだったので男は希望するものを言い、行先は剣と魔法の世界となった。

 男は神様に感謝を告げ、そして異世界だと思われる土地に降り立った。

 

 自分の手を見てみれば、皺に油が染み込んで刺青のようになっていない。

 昔の、若い頃の手である。

 

 神様の話は本当だったんだ! これは期待できる!

 

 早速、貰ったチートを確かめてみた。確かにチートはあった。

 

 貰ったのは「モノづくりの知識と才能」。

 

 だが、同時に絶望することとなった。

 

 神様からの伝言には、ここは無人島であるらしい。ここから東へ行った先には「ファルマート大陸」と言う大陸があり、そこなら人がいる可能性がある、らしい。ならその大陸へ行けば、と思うのだが、その間の海が問題であった。そこは荒れ狂う海流とメルヴィルの白鯨やクラーケンのような大型の海獣がわんさかいる海域であり、誰も近づかないし、島に辿り着く者もいない場所であった。

 

 居るのは、モンハンよろしく凶悪な竜種や未知の生物などが存在する人外魔境の島。

 

 人間は、己一人だけである。

 

「――いや、まだだ、やってやるッ! やってやるぞ俺はッ!! 絶対に美人の嫁さんを貰うんだァ――!!!」 

 

 男の夢、それは美人で気立ての良い嫁さんを貰って幸せに暮らすことである。またここに連れてきた神様にも一回文句を言わないと気が済まなかった。

 

 その為にはこんな所で朽ち果てるわけにはいかなかった。

 

 そして、男は行動を始めた。

 

 ただ、島での生活は地獄そのものであった。

 

 まずは本拠点になる場所を探し歩き、浜辺からさほど離れていない場所に拾い集めた枝と石で小屋を建てた。

 

 そこから周りを開墾していき、少しずつ大きくしていく。

 

 人間は男たった一人しかいないが、自分以外の部屋や物を作り置き、地道に大きくしていく。いつか島に人が来るかもしれない。流れ着くかもしれない。

 そう信じていたからだ。

 

 ある程度、本拠点の建築も終わった頃、ようやく造船を始めた。

 浜に船台を設置して伐り出した木材を加工して船を造り、ごわごわした葉から繊維を紡いで帆にしてみた。

 

 そして出港。

 

 その結果は、あえなく失敗。

 

 沖に出ようにも船は小さく、海流に押し流されて座礁してしまった。

 

 リベンジだ! と決意を新たにした時には島の獣らによる襲撃が起こり、どうにか撃退したものの拠点は半壊する羽目になった。

 

 ならば魔法だ! ファンタジーなら転移魔法の一つや二つあるだろう!

 そして研究の結果、転移魔法自体はあるものの、どうも条件があるようで男には無理なことがわかってしまった。

 

 となると、やはり船で大陸に行くしかない。

 

 ――まず、島を脱出する為の船を造る前には、襲撃を受けてもビクともしない拠点が必要になる。

 

 男はそう考えた。ただ、どうせなら見た目にもこだわりたい。

 

 男は凝り性であり、もし将来の嫁さんが流れ着いた時にみすぼらしい家に招き入れたくはなかったのだ。

 

 かつて旅行や画像で見た風景を思い浮かべ、知識を頼りに村を作り。町になり。そして都市としていった。

 

 その間、何度も危険があった。

 

 島の生物に追いかけられ、噛みつかれ、切り裂かれたこともあった。

 

 島の風土病で倒れたこともあった。

 

 間違って毒のある植物を食べて幻覚や腹痛に悩まされたこともあった(今でも極上の美少女だと思って木の洞にしつこく話しかけていたのは黒歴史である)。

 

 何度も死にかけたが、貰ったチートでどうにか生き延びていった。

 

 

 そして、転移から数十年経って、本拠点は見違える姿となった。

 

 開拓が進み、本拠点近くに棲む危険な生物は男が地道に駆逐し、または捕獲して調教。特に剣歯虎(サーベルタイガー)の群れの調教に成功したことが大きく、突発的な襲撃にも対応できるようになっていた。

 

 

 そしてこの本拠点は港町として、好きだったクロアチアの「ドゥブロヴニク旧市街」のような要塞都市を建設していた。隣接する岸壁には飛空船があった。

 

 水上では海流はどうにかなっても、大型海獣による攻撃が防げない為、男の持つモノづくりの知識と技術、そして島で取れる素材を組み合わせて完成した代物であった。

 

 この飛空船は数度に渡って人が居るとされるファルマート大陸へと行くことになった。

 

 だが、一度もヒトに出会うことはなかった。もしかしたら、ファルマートにもヒトは居ないのかもしれない。

 そして他の大陸を回ってもヒトを見つけることはできず、男は諦めてしまった。

 

 ――せめて、楽しく生きて、自分が居たという証だけは残しておこう。

 

 それから男の生活は当初と変わっていた。

 

 ある時には本拠点からさほど離れていない鬱蒼と生い茂る原始の森の中を探索していた時、樹齢何千年にもなりそうな大木を中心にポツンと開けた場所があった。

 まるでアニメの世界だ、と思った瞬間、かつての日本の風景を思い出し、懐かしさと寂しさからここに神社を建立しようと考えた。

 

 大木の周りを切り拓いたのちに塀を立てて入り口には鳥居を造り、奉るための社を建てた。

 今まで拠点づくりで慣れていたお陰か、非常にスムーズに作業が進んだ。

 

 ある時にはある大陸で発見した野生の稲を品種改良し、美味い米が採れる長閑な田園風景を作り上げたり。

 

 ある時は島で一番高い山に登り、そこに居た天龍と呼ばれる東洋竜とお互いの勘違いから戦闘となり、お互いにボロボロになったあと和解。そして天龍は時折、都市に遊びに来るようになったり。

 念話と呼ばれる術で会話ができる天龍との会話は、男にとって一番の楽しみになっていた。

 

 ある時には、公園に桜の木を植え、春には酒造した清酒を飲みながら花見をしたり。

 

 偶に起きる竜種や獣らによる襲撃にも備え、男はサブカルチャーの中で再現できそうなものの開発を進めた。

 

 具体的には火縄銃や大砲。モンハンのような世界なので大タル爆弾、落とし穴、天龍の鱗を加工した武具などだ。 

 

 尤も、火縄銃や前装式の大砲程度では龍種の鱗に傷が少しつく程度で余り意味がなかったが、大タル爆弾や落とし穴などは良い成果を上げることになった。

 

 楽しいこともあった。悲しいこともあった。沢山のことを繰り返して、繰り返していった。

 

 ただ、それも終わりのようだ。

 

 男は、年老いてしまっていた。これまで無茶してきた所為か、もう、身体を動かすこともままらなくなっていた。

 

 だが、最後にやるべきことがあった。

 男は、己が生きていた証を残す為、一領の甲冑を造り上げていた。白を基調とし、所々に赤い飾り紐で装飾された劔冑(ツルギ)。未だ完成していない。あとは、心鉄として己の魂を吹き込むだけである。

  

 男が最後の仕上げを行う時には、飼い猫である剣歯虎(サーベルタイガー)や知己の天龍らが来ていた。

 これが存在していた世界では、名工の鍛錬を経た上物の劔冑は独自に動くことが可能。その極一部は生前の人格が残るというが、さてどうなることやら。

 

「嫁さんは居なかったが、存外、良い人生だったなァ……」

 

 そう言い残し、男は劔冑に魂を吹き込んだ。

 

 劔冑は、完成した。

 

 残された猫と天龍は男の遺言通りに、劔冑と男の遺品を神社に保管することにした。

 

 中でも最も長命な種族である天龍は「もし、自分らと似た言語を使う人間が来たら渡して欲しい」との願いを叶えるべく、受けた恩と言葉を次の世代へと伝えていき、時折男が遺した都市の様子を見ながら険しい山の上で待ち続けていた。

 

 そして、ここから始まる。

 

 男の造った劔冑には、男の精神がしかりと宿っていたのだ。

 覚醒するまで時間がかかったが、人格が残っていたのだ。

 

 後に、劔冑は神へと至る。

 そして住んでいた島は「扶桑国」と呼ばれるようになり、島の住民、そしてヒトからも崇められるようになった「守人」の始まりであった。

 




・ドゥブロヴニク旧市街

 クロアチアにある、赤い屋根と周りを囲む城壁が特徴的な港町。
 ジブリ映画の「魔女の宅急便」や「紅の豚」の街のモデルになったともいわれる。

 2016/8/11 大幅な文章の修正と変更を行いました。

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