GATE×オリ主&オリ国家   作:オシドリ

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すみません、遅れました。
しかもうまく書けなかった……。

恐らく、批判も出る話だとは思いますが、楽しんでいただければ幸いです。


第13話

 アメリカ合衆国 ホワイトハウス

 

 この頃、ホワイトハウスでは現大統領ディレルを含めて扶桑国について議論が交わされていた。

 

「日本人が関わった異世界の国家、か……」

 

 一体どこのB級映画のシナリオだと、ディレルは思った。

 ここ最近、日本に都合の良い事ばかりが起きている。

 最初は<門>。これが日本の銀座に開通した際には多くの人命が失われた。痛ましいことだ。

 だが、資本主義の観点から見れば<門>と、その先にある世界は可能性の詰まった宝の山なのだ。その為、現在は資源の値が下がり、また日本に有利な条件で交渉を持ち掛ける所も多く、日本の経済は好転している。

 これに加え、<門>の向こうに日本と関わりの深い国が現れたのだ。しかも、友好関係を結ぶにあたり、地下資源の所在地を教えたという。これで開発が進むのは容易に想像できた。

 全くもって面白くない、とディレルは内心舌打ちをする。

 

「それになんだね? あの鎧を着たサムライは? まるでジャパニーズアニメに出てくるような存在じゃないか」

「そちらは現在調査中です。パワードスーツという情報もあります。私見ですが、あちらの世界には魔法があります。扶桑国では古くから使用されているとの報告がありますので、恐らくはパワードスーツを造り出せる独自の魔法が発達したのでしょう」

「成程、魔法か。便利な言葉だよ」

 

 全く実務的に答えるクロリアンに、ディレルは皮肉で答えた。

 

「まあ現状では実用品かどうか、全く分からないという事か。そのスペックを詳しく調べるようにしてくれ」

「はい、大統領閣下」

「しかし、大統領になって大真面目にファンタジーな話をすることになるとは思わなかったよ」

 

 ディレルの言葉に、全員が苦笑した。誰だって現実に剣と魔法の世界に繋がるとは思わないだろう。

 それに、とディレルは目の前の画面を見やる。そこには白髪の人と蛇のように長い龍、剣歯虎が映し出されていた。

 神というのはもっとこう、神々しい存在だと思っていたが、存外普通なのだなと思っていた。

 だが、この存在によって大きく揺れ動いたところがあった。

 宗教界、特にキリスト教やイスラム教、ユダヤ教に代表される一神教である。

 彼らにとって神とはたった一人であって、あのような人間やケダモノではない、というのが彼らの主張であった。故に神を騙る存在に対し、罰するべきだと本気で言っている者まで出てきており、各地のデモに参加するようになった。

 

「ふん、熱心なのは良いことだ。だが、時と場合を選んで欲しいものだ」

 

 来賓は扶桑国使節団の友人扱いとなり、手は出せなくなった。

 そして、日本は昨今の途上国の追い上げで斜陽化しつつあるとはいえ、経済大国の一つである。アメリカの極東地域における影響力と、経済の結びつきを考えれば敵対できるはずもなかった。

 それなのに、これを分かっていない連中はデモを行い、口だけは勇ましいことや対話で解決しようなどと好き勝手に言いまくっている。ましてや、幾つかの団体には中国系の資金が投入されているのが分かっていた。

 お蔭で声だけは大きく、アメリカ国内でも大きな問題となっていた。

 

 この事実に、ディレルは怒り狂いそうになっていた。いや、既になった。近くにあったゴミ箱を蹴り飛ばし、怒りに任せて踏み潰したばかりだった。

 

「で、何か良い知らせはないのかね?」

 

 溜まった怒りを吐き出すように、ディレルは言った。

 

「良い知らせかどうかはわかりませんが」クロリアンが言った。「未確認の情報ですが、フソウの兵達は自衛隊の兵器に関心があるようです。特に重火器に注目しているようです」

「ほう? 彼らにはパワードスーツがあるのではないのか?」

「このパワードスーツは生産が難しいそうです。また火器がマスケットや前装填式の大砲ぐらいしか無いらしく、一般兵の火力を上げる為だと予想されます」

「成程、自衛隊が使う兵器は我が国の物も多い。ここから接触してみるか」

 

 扶桑国がどの程度の国家かは分かっていないが、それでも一国である。もし、これで兵器を売り込めれば莫大な利益が予想できた。

 ディレルとて、代金の全てを金銭で払ってもらおうとは思っていない。

 むしろ、パワードスーツの技術や希少資源で交換しようと考えていた。これがあれば、国内産業は潤う。また外交で有利に立つことができる。そして自身の成果として、支持率も上がるというものだ。

 

「ふむ、ならば日本政府に仲介を頼むとしよう。なに、彼らも友人の頼みを断らないだろうからね」

 

 僅かに機嫌を戻し、机に置かれた資料を見やる。そこには、本位内閣の閣僚達の不正や裏献金、数々の汚職行為が記されていた。

 

「モトイ政権にはまだまだやって貰うことがある。彼らを揺さぶりつつ、口や手を出せるようにするんだ」

 

 こうして、アメリカは扶桑国と友好関係を築くべく、また日本との協調関係を強くしようと硬軟おり交ぜて働きかけるのであった。

 

 

   ***

 

 

 さて、日本に戻る。

 

 夜。

 赤坂迎賓館では、総理主催の晩餐会が行われていた。

 

 出席者は、日本側は本位首相以下閣僚達と官僚達。扶桑側は守人、菊池大使以下使節団員が。

 ここに伊丹達も(強制的に)加わり、総勢四十名ほどとなった。

 本来は両国の関係者達や関わりの深い者、例えば企業や著名人などが集まって行うのだが、扶桑国と関わりのある人物など現時点では居らず、また昼に皇族の方々も参加した祝宴を行ったこともあり少ない人数となった。

 

 晩餐会そのものはフソウ国でもあるものの、国が違えば作法も違う。事前に日本側に頼み、服装や作法について講義を受けていたが、外交の場でもある。用意していた紋付き袴と振袖に着替えた後でも直前まで打ち合わせや作法についての確認に余念がなかった。

 

 太郎と不破、そしててばさきと剣歯虎の世話係となった者以外は出席となった。太郎達は厩舎にて、日本側の差し入れもあって皆で食事と酒を楽しむことになる。

 

 急遽参加する事になった伊丹達はここで服装と作法の確認を行った。時間がなかったので簡単な説明のみであった。

 ただし、自衛官三人は太郎閣下こと喜納大臣によって恥ずかしくないようにと、きっちり短時間で叩き込まれることになった。

 

「なぁんで、こんなことになっちゃったんだろうね……」と伊丹。

「なんか、休みになってませんね」と富田。

「隊長、後で今回の代休をお願いしますよ?」と栗林。

「先輩は良いじゃないですか。私なんて巻き込まれた側なのに……」と梨紗。

 

 全員、守人が用意した礼服に着替えていた。どうやってサイズを調べたのか分からないが、ピッタリだった。

 

 伊丹だけは、ピシッと服を着ているのだが着慣れていない所為なのか、あまり似合っていなかった。

 他の面々を見てみる。女性は服と化粧で変わるというが、その通りだった。

 肌の露出が少なく、化粧を受けて清楚な姿になった栗林を見て、「やっぱり素材は良いんだなあ」と思ったり。

 ロゥリィ、テュカ、レレイ達三人娘の着飾った姿にいつもと違う眩しさと背徳感があって思わず赤面してしまったり。

 ピニャとボーゼスは、お姫様と貴族令嬢なだけあって堂々としており、何か惹きつけられてしまうものがあった。

 

 最も、彼女たちは使われている生地の肌触りと仕立ての良さに驚いていたが……。

 後に日本の生地を手に入れた守人が仕立てた礼服だと聞き、卒倒しかけたのだが、それは別のお話。

 

 礼服姿で決まっている富田を見てボーゼスが顔を赤くして「はいはい、おめでとさん」と思わず笑ったりしながら、伊丹達は会場の隅にある、一つのテーブルに固まることになった。

 あくまでこの晩餐会は日本国と扶桑国とのやり取りによるもの。友人扱いである彼らを巻き込むのは良くないだろうし、また言葉の問題もあり、気心知れた者と一緒の方が良いだろう、というものだった。

 まあ昼の祝宴で散々言い寄られていたから、夜ぐらいはゆっくりとしながら料理と酒を楽しんで下さいという配慮もあった。

 ここでロゥリィ、テュカ、レレイ、そしてピニャとボーゼス達は、日本のおもてなしに目を丸くしていた。

 

「これ、綺麗ね。こんなに綺麗な硝子を見るの初めてよ」

「椅子がフカフカ。柔らかい」

「これは、石の皿? いや、それにしては随分と滑らかですね……」

「磁器と言う陶器の一種らしい。描かれている絵も素晴らしいな……」

「……凄いわねぇ。今まで色んな所に招待されたけどぉ、此処まで見事なのは初めてよぉ」

 

 ほぅ、と感嘆したようにロゥリィは呟いた。

 無色透明で歪みの無いグラス、精緻な細工を施された銀食器、磁器の皿。どれも帝国には無い代物である。

 そして会場となった花鳥の間は、天井や欄間、壁面に飾られた絵画やゴブラン織風綴織に由来している。室内は直線や平行線を使った繊細な模様のあるアンリー2世様式であり、重厚な雰囲気があった。

 

「まあ、ここは元は皇族が住まう館として設計されたしね。今は国賓をもてなす際に使うけど、恐らくこの国で一番の宿泊施設じゃないかな」

 

 伊丹の説明になるほどねぇ、とロゥリィは納得して椅子にもたれ掛かる。天井に描かれた美しい絵画を見あげ、壁に飾られた七宝焼の花鳥図を眺めたりと、食事が始まるまで楽しそうにしていた。

 正直、伊丹達には純粋に楽しめる彼女らが羨ましかった。

 

「まあ、でも……」と伊丹。

「そうですね」と富田。

「アソコよりマシですね」と栗林。

「うんうん」と梨紗。

 

 目線を、会場の中心へと向ける。

 ゆったりとしている扶桑国側に対し、日本国側は微妙に緊張していた。

 

「まさか、歴史上の人物が劔冑になっているとは思わなかったしなぁ……」

 

 事の発端は、出席者の名前を確認したときである。事前に名簿を渡されてはいたが、そこに歴史上の有名人の名前があったのである。

 楠木や平、真田、千葉を名乗る者達。彼らは神隠しにあった者の末裔だと分かった。

 だが、一人だけ本人が居た。

 

 相州五郎入道正宗

 

 名刀「正宗」の名で知られる、鎌倉期に相州伝を確立した日本刀中興の祖。

 かつて「正宗は実在しなかった」とする説が唱えられたほど実像が定かではない伝説的な存在であるが、実在したのである。

 正宗は元寇襲来時に神隠しにあい、扶桑国の劔冑鍛冶師の元で修業したのちに身体を濃紺の劔冑へと変えていたのだ。

 そこで確認した所、来たのは劔冑の待機状態である濃紺の天牛虫。

 兵器である劔冑が正宗を名乗っている。だが、周りの扶桑国の面々は本人であると言っている。

 これはどういうこっちゃ? と、大騒ぎになったのである。 

 そして、守人から説明があった。

 

 劔冑の製造とは、専門である劔冑鍛冶師がおり、この者たちが生涯最後に造り上げるものだということ。

 全身全霊をかけて鎧を造り上げ、最後に心鉄として己の魂を入れて完成する。その方法は炉で赤熱するまで焼いた鎧を身に纏い、そして焼け死ぬ前に扶桑国のみに湧き出る泉に飛び込んで焼き入れを行うというもの。

 故に生涯で一人につき一領しか造りだせない兵器。それが劔冑。

 そして己自身が、劔冑であることを明かした。

 

 日本側からすれば、この一発はキツすぎた。

 扶桑国の存在である程度耐性が出来ていたと思ったが、そうでもなかったらしい。胃の辺りを抑えたり、何人かは卒倒しかけていた。お陰で急きょAEDを近くに用意する事になった。

 

 そして出席者の出自はともかく、劔冑に関しては全員に緘口令が敷かれた。今、この情報が流出するのは拙い。唯でさえ<門>に関してはややこしい事になっているのに、人権云々が絡むと収拾がつかなくなるからだ。

 

 どうにか落ち着き――というよりも、やけくそ気味だったが――本位首相と菊池大使、そして守人が挨拶を述べて始まったのである。

 

 晩餐会では両国の関係者が交互に座り、隣の席の方と話すことになっている。扶桑国やロゥリィ達も、精細な料理と酒、給仕達の細かい配慮に感嘆しながらも、非常に楽しんでいた。

 本位首相の両隣には、守人と菊池が座っていた。

 ここが一番平和である。二人とも常識を持った話せる御仁である。本位首相もにこやかな笑みを浮かべて会話を楽しんでいるようだった。

 

「はぁ、窮屈で面倒クセェ……」

<御堂よ! この場では作法は大事である!>

「お前が常識を言っていると調子が狂うんだよ……」

 

 正宗と名乗る天牛虫と会話する、近寄り難い雰囲気を持つ蒼髪の少女はひたすら行儀よく食事をしていた。

 

「あらあら。どうして皆さんこんなに緊張なさっているのかしら? は、まさか、私の美貌にあてられて!?」

「憚りながらお嬢様。それは痛い勘違いというものです」

 

 いかにも深窓の令嬢然とした長身の女性と、彼女個人の侍従である質素な身なりをした老婆はブラックジョークを連発していた。

 

 ……と、まあ、中にはいまいち話がかみ合わない面々もいるが、概ね風土や文化について談笑しているようだった。

 ただ、やはり似通っているとはいえ異世界人という事をまざまざと認識させられるようなことも多く、喜納や夏目ら閣僚達や役人達が時折顔を引き攣らせたり、見えない様に胃のあたりを抑えたりしていた。

 

「よし、決めたぞ」

 

 伊丹が宣言する。珍しくも真剣な表情であった。

 全員が注目する。

 

「俺はもう、巻き込まれたくない。よって、ここで終わるまで息を潜めている」

 

 巻き込まれて、胃の痛い思いをしたくなかった。せっかくの美味い飯と高い酒を楽しみたかった。

 幸いなことに、日本側は扶桑国側の相手をするのに手一杯であった。

 このチャンスを逃してはならない、との伊丹の言葉に誰もが頷き、ひっそりと食事と酒だけに集中することになった。

 

 途中、伊丹は喜納からの救援要請があったり、ピニャとボーゼスは首相と少しばかり会談したり、余興にと大鳥がコントラバスを演奏したりと、どうにか晩餐会を終えたのである。

 

 食事と酒は、大変美味しかったという。

 




2016/8/26 文章の修正・追加を行いました。

2017/1/26 文章の修正・追加を行いました。

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