GATE×オリ主&オリ国家   作:オシドリ

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遅くなりました。
今回は「実際に作ってみた」の話になります。
楽しんで頂ければ幸いです。


閑話3

 ある日の昼下がり。

 日本国と扶桑国による「アルヌスの街」建設ラッシュもある程度落ち着き、余裕が出てきた時である。

 守人は分社にて、ネットに接続して某大手動画投稿サイトにアクセスして、有名な動画を片っ端から見ていた。

 

「ほうほう……、ふんふん……、ああ、これは……」

 

 現在、扶桑国は日本のみと国交を結んでおり、活動資金は地球側では稀少な素材とコスプレ衣装やフィギュアと言った工芸品の輸出によって賄っていた。

 また扶桑国の大使館はアルヌスにある為、日本がちょっとした善意と打算から受け口になっていた。

 だが問い合わせが多すぎて手が回らなくなっていたのだ。

 

 そこで日本側からの勧めもあり、扶桑国のホームページや通販サイトを公開したり、日本側と協議してマスコミからの取材もある程度は受けていた。

 

 しかしである。写真も映像も無い為、扶桑国の簡単な歴史や有志の者が描いた風景画、その日の活動記録しかないホームページと通販サイトはアクセスが集中しすぎて何度も増強しても毎回サーバがダウン。今も不安定な状況が続いていた。

 また取材してくる者の礼儀の無さとしつこさには誰もが参っていた。それを我慢して取材を受けても、根掘り葉掘り聞いた上でこちらの言った言葉を拡大解釈して面白可笑しく報道するものだから、報道される内容が偏ってしまう。

 

 ホームページと通販サイトはともかく、マスコミに好き勝手言われるのは癪に障る。

 そこで扶桑国は考えた。

 人は言葉では中々上手く伝わらない。絵が必要となる。なんやかんや言われながらも、テレビが視聴されるのは誰でも分かる絵があるからである。

 ならば、自分達でテレビと同じ事をすればいい。つまり、ネットでの動画の配信である。

 ホームページは不安定なため、動画投稿サイトを使う事になった。これなら上手く使うことで生の声を配信し、多くの人に知って貰える。多くの人に見て貰えればそれだけ広告費が入るそうで、こちらに有益な情報を配信しつつ資金を稼ごうという試みであった。

 その代わり、動画投稿サイトはとんでもない事になりそうだが、今の状況が改善されるなら割と知ったこっちゃなかった。

 

 そこで様々な動画を作ったが、コレというモノが無い。

 昨年の動画投稿サイトで年間再生数10位以内に輝いたのは、劔冑の一騎打ちや龍神の戦闘、また銀座事件のドキュメンタリー映像や扶桑国使節団の訪問、ビルの合間を縫うように飛ぶ太郎の動画などである。

 

 なので、最初に投稿するものはこのくらいインパクトがあり、娯楽に満ちたものが欲しいと扶桑国側は考えていた。

 というのも、のっけからバリバリに主義主張の詰まった動画を出すより、娯楽の多い動画の方がとっつきやすい。それに大体の先進国は民主主義だ。「扶桑国と仲良くした方がいいよ?」と言う様な思惑を含ませた動画を見た有権者が賛同し、数が多くなれば各国も対応を考えなければならない。

 

 だが、今の所用意できたものは、竜士、つまり翼竜に乗った兵の目線から撮影したもの。アルヌスの街を上空から撮影したり、雲海の中を飛び回り、編隊を組んで急降下や急上昇などの戦闘機動を収めた動画となる。また剣歯虎(サーベルタイガー)の日常と題して兵と共に街中を巡回したり、愛らしい剣歯虎の毛並みを整えたり、街の子供達とじゃれ合う心温まる動画。あとは奇声を発し、木剣でひたすら立木に打ち込みを続ける筑紫兵の鍛錬動画、竜の鱗を使用した当世具足の製造動画、日本に輸出するコスプレ衣装の制作動画、等々。

 これらは地球側でもあるパラモーターで撮影した動画やペットの猫の様子を撮影したもの、武具や服の制作動画は幾つもある。扶桑国からすれば、それがちょっと変わった位の認識しかなかった。

 

 そこで、話を聞いた守人も何かいい案が無いか、考えているのだ。

 まあ、簡単に言えばちょっと暇だし、面白そうなので何かモノづくりに良いネタが思いつかないかなー、と動画見ている訳である。

 

「しかし、どうしたものか」

 

 動画を見終わった守人は疲れた目を解し、固まった肩を軽く揉み解しながら思案する。

 実際に動画を視聴した守人も、今のではインパクトが足りない様に思えた。扶桑国という事で視聴数は稼げるが、出すならばやはり面白いものでなければ。またこちらは初心者なのだから、最初から全力全開で行かなければ世界中の視聴数を稼ぐ猛者共に負けてしまう。

 となると、地球世界には無いような、もっと珍しいものが必要なのだ。

 でも何が良いだろうか。

 扶桑国と言えば技術。そして己はモノづくりを得意とする。なら、やっぱりこれに沿ったものが良いだろう。

 

 某狩猟ゲームの様な武具を造る。

 既に当世具足の動画があり、被るから却下。コスプレ衣装の制作も同様。

 

 同人誌。

 ちょっと違う様な。あといまいち、こう、パッとしない。

 

 リアル・マインクラフト。

 時間と場所が無いから無理。というか、周りから怒られる。

 

 劔冑の鍛造。

 失敗したときの焼死体などグロ注意。

 

 魔法。

 

「ああ、魔法。これが良いの。祭りの時も受けが良かったし。そういえば、この間隊長さんらから貰ったゲームに良いのがあったの。

 よし、実際に作ってみるか」

 

 止める者は、居なかった。

 

 

   ***

 

 

 数日後。

 普段、自衛隊が訓練に使う荒野には守人から呼び集められた者達が集まっていた。

 扶桑国からは太郎や不破。そして菊池に動画撮影班。

 日本側から暇していた伊丹や倉田などオタクな自衛官が。また勘が働いたのか、ロゥリィに連れられてテュカ、レレイの三人娘も見学に来ていた。

 

「なんで休暇をエンジョイしていた俺まで……」

「隊長はいいじゃないすか。俺なんて折角ペルシアさんと仲良くデートしていたって言うのに……」

 

 伊丹と倉田がぼやく。

 まあ、伊丹はともかく、倉田はデート中からの呼び出しである。

 イタリカの一件でネコミミで美人メイドのペルシアと知り合い、それから順調に交流を重ねてリア充となりつつあった。今回の呼び出しも、それを妬んだ連中が画策したとか、何とか。

 

「おや、儂が最後かの?」と、ゆったりとした歩みで守人が現れた。手には竹箒と小さな風呂敷を提げていた。

 

「いえ、先程集まったばかりです」菊池が言った。

「今回、動画に相応しい、画期的な道具を作り出した、とお聞きしましたが……」

「まあそう慌てるな。さて、今回のびっくりどっきり道具は……」

 

 まずはこれ、と手にしている竹箒を持ち上げる。

 

「これ、見た目は唯の箒。実際に日本に行って買ってきたものじゃな。しかし、これは儂がちょいと弄ってあっての……」

 

 竹箒を地面に置き、喉歌とも呼ばれる独特の一人和声を呟く。そして起動。

 

「『上がれ』」

 

 すると、ふわり、と竹箒が宙に浮いたのだ。

 

「つまるところ、これは空飛ぶ箒って奴じゃな」

 

 おお、と日本側からどよめきの声が上がった。

 誰か試しに乗ってみないか、と守人が言うと、ピシッ、といち早く手が上がった。レレイであった。

 守人は手招きし、レレイに箒を手渡す。心なしか、レレイはちょっと嬉しそうである。

 

「じゃあ、乗り方を教えよう。まず、こいつはちょいとコツがあっての。乗る時は太ももか膝で挟むと良い。動かし方は――」

 

 守人が詳しい説明を始め、レレイは小さく頷きながら細かい部分を訊ねていく。

 操作自体はそこまで難しいものでは無く、『上がれ』『進め』『止まれ』と言葉を口にすることで動くようになっている。あとは身体の重心移動、また言葉を重ねる、例えば『速く』『進め』と言う事で細かな操作も可能としている。

 

「では、やってみると良い」

「ん、『上がれ』」

 

 レレイは一発で箒を浮かべる事に成功した。

 おおー、と周りから拍手が起きる。

 レレイはそれに答える事も無く、そのまま箒に跨るとそのままスイー、と空を飛び始めた。

 最初はゆったりとした速さで人の頭ぐらいの高さで飛んでいたが、だんだん慣れて来たのか速度を上げ、螺旋状に上昇したかと思えばそこで急降下、更にバレルロールや宙返りと空中機動を行う。

 一度地表スレスレまでゆっくりと高度を下げるとそこから一気に加速、急上昇し、イルメルンターン。一八〇度ロールして背面飛行しつつ急降下。そこからスプリットSと、見ている方はハラハラするが、当の本人は無表情のまま自由気ままに飛んでいた。

 そして一通り楽しんだのか、レレイがゆっくりと降りてくる。速度を緩め、伊丹の前にピタリと止まった。竹箒から降りる。

 

「ただいま」レレイが言った。

「あ、ああ、お帰り」

 

 何でおれの前に? と思いつつも伊丹が答えた。

 

「楽しかった?」

「すっごく。自分が思った通りに飛ぶ事ができる。でも乗り心地が悪い」

「そこら辺はまあ、仕方ないじゃろ。竹箒にしたのはお約束という奴じゃしな」

 

 二人の元に守人が近づく。そして竹箒を受け取ると、一言二言レレイに体調に問題無いか訊ねる。

 飛行中は魔法を展開し続ける事になるので負担が大きいのだが、レレイは少し疲れた程度で特に何もない様だ。

 

「まあ、原理は出来たから、今度はもっと楽に、もっと乗り心地の良いバイク型で造ってみようかの」

「楽しみ」と、レレイは無表情のまま小さく頷いた。

 

 さて、これだけで終わりではなく。まだもう一つ残っている。

 

「さて、今回の本命は、これじゃな」

 

 守人はカメラに向かって満面の笑みを浮かべると、箒を脇に置き、手に持っていた風呂敷の包みを解く。

 現れたのは、小さな木箱だ。蓋を開け、中から取り出したのは、数枚の御札であった。

 

スペルカード(・・・・・・)である!」

 

 ばばーん。

 

「さて、この御札。これに熱量を流す。そして、自身が思い描く弾幕を投影する。するとこの御札に登録され、籠めた熱量が尽きるまで弾幕を打ち出す事が出来る」

 

 以前、伊丹に暇潰しにと勧められてプレイした、腋出し巫女や魔女、妖精やら妖怪やら神様やらが出てくる某弾幕ゲームのそれと同じである。

 

「おおッ」と、オタク自衛官と一部の扶桑人らは騒めいた。実際にゲームの様な事ができると思うと、やっぱり心が躍るものなのだ。

 

「一応聞きますけど、安全対策とか大丈夫なんですか?」伊丹が訊ねた。

「見た目は派手だがの。中身は唯の光と音だけの存在で威力は全く無い」

 

 曰く、交流祭で見せた魔法の応用であるらしい。あの魔法は光と音を生み出すだけだが、守人が無駄に技術と素材を惜しみなく投入し、作り上げたという特殊な紙に刻み込んでいる。

 これを使う事で、本気であってもルールの範囲内で安全に戦う事ができるという。

 

「まあ、実際にやって見せるのが一番じゃの。とりあえず、太郎」

『はい?』

 

 離れた場所でとぐろを巻いていた太郎が声を上げる。

 

「ちょいと弾幕ごっこをやってみんか?」

『ふうむ、面白そうですねぇ』

 

 太郎は風を操作して御札を受け取ると、兎に似た瞳を細め、爪先で器用に挟んだ御札をしげしげと眺める。そして何か思いついたのか、ニヤリと笑った。

 

『ふむ、守人。どうせなら賭けをしませんか?』

「あん、賭け?」

『ええ、勝った方が何かを奢るというもの。私は酒が良いですね』

「なんじゃ、大五郎とかビックマンが欲しいのか?」

『あれはあれで悪くないのですが、今回欲しいのは山崎50年というウイスキーです』

 

 ちなみに「山崎50年」は2005年と2007年、2011年にサントリーで限定販売された、1本100万円する超高級ウイスキーである。

 太郎は地球世界の様々な酒を買い集めている最中にこの酒を知り、是非呑んでみたかったのだが、いま現在、手持ちは全て他の酒購入に使い込んで無かった。

 

「お前は馬鹿か」守人が呆れた表情で言った。「それに、儂は賭けをやるとは言っておらんが」

『おや、逃げるのですか?』

 

 ニタリと太郎は笑った。安い挑発だ。

 

「ほう? 儂が逃げるとでも? 良いだろう。儂が勝ったら逆にそのウイスキーを奢って貰おうか」

 

 だが守人はあえて乗った。天龍の約束は絶対であるから、どうやってでも購入資金を用意するだろう。

 周りの面々は止めてもらおうと、不破に視線を送る。だが、呆れたような表情で不破は静かに首を横に振った。こうなると止められない為、好きにやらせるしかないのが分かっていたからだ。

 

 

 という訳で。

 

 

 準備も終わり、対峙する両者。

 その周囲には騒ぎを聞きつけたのか、多くの野次馬が集合していた。これを商機と見た商魂逞しい者共が急いで弁当やマ・ヌガ肉や焼鳥、ドライフルーツや飴などの甘味、ビールやジュースなどを持ってきて売りつけていた。不破も一番見晴らしの良い場所に寝そべりながら、商人らから奉納された馬肉に齧りついていた。

 丁度昼時だったので、それぞれ思い思いに食事をしながら戦いは今か今かと待っていた。

 片や、扶桑国最古の神である守人。

 片や、気象を操る龍神・一目連太郎。

 その中間地点でロゥリィはダン、とハルバードの石突を大地に叩き付ける。

 

「今回はわたしぃ、ロゥリィ・マーキュリーが立会人を務めるぅ」

 

 遊びとはいえ、滅多に見られない正神同士の対決だから非常にノリノリである。

 

「制限時間は十分。使用するのは両者二枚のスペルカードのみ。それだけを守っていれば好きに戦いなさぁい。

 それ以外の攻撃、また負けを認める、被弾回数の多かった者を負けとするぅ。それでいいかしらぁ?」

「問題無い」 

『こちらも』

 

 守人は箒に乗り、太郎はそのままゆっくりと浮かび上がり、距離を取って対峙する。その周囲に配置された神官らが詠唱し、流れ弾を防ぐ結界を張った。

 

「では、始めぇ!」

 

 ロゥリィのハルバードが振り落とされたと同時に、太郎がスペルカードを掲げる。

 

『我は姓は一目連、名は太郎。扶桑国は龍洲霊仙の龍神なり。畢竟の正神守人にいざ一槍馳走せんッ!』

 

 カメラがある事を忘れずに、ラスボス風にノリノリで口上を述べる太郎。同時に、疾風が駆けた。

 

「うわッ!?」

「きゃあ!」

 

 突如巻き起こった突風に地上にいた伊丹やロゥリィ達は身構え、重心を低くして堪えた。

 そして目を開けると、辺りの光景は一変していた。

 

 ゴウッ、と太郎を中心に吹き荒れる風に空に浮かんでいた白い雲が千切れ、消え去る。代わりにおどろおどろしい黒雲が何処からともなく現れ、空を覆い隠し、陽の光を遮る。黒雲に稲光が走り、ゴロゴロと雷鳴を響かせる。

 空に薄っすらと見える太郎が、ゆるゆると前腕を持ち上げた。

 すると黒雲からざぁと雨が降り始めたかと思えば、雨粒が空中で停止する。

 いや、雨粒じゃなかった。水色に輝く、無数の弾幕。

 龍神の持つ圧倒的な熱量に物を言わせた、息を呑むほどに美しい弾幕であった。

 

 ――水符「春の嵐」

 

 宣誓と共に、太郎の前腕が振るわれた。

 そして、猛烈な勢いを持って中空に浮かぶ守人へ弾幕が襲い掛かった。

 しかし、その光の奔流の中へ守人は突撃し、弾幕はすり抜ける様に抜けていった。

 

『むうッ!』

 

 太郎が呻き声を上げる。

 無理もない。守人の動きに無駄が全く無いのだ。弾幕に比べれば緩慢な動きなのに掠りもせず、僅かな隙間を縫うように舞い続けている。

 太郎が弾幕を高速直線から低速誘導へ切り替える。細かい回避機動を続けながら守人は急上昇。そのまま加速し、黒雲を貫き、空を裂いて天頂を目指す。宙返りし、ぽっかりと空いた穴から急降下。

 それは正に流星の如く。正面から迫る弾幕は余りの速さに二分に断ち割れ、追尾してくる弾幕を振り抜いていく。守人はまるでサーフィンをするかのように竹箒の柄の上に立っていた。

 

「ハァッハ!!」

 

 スペルカード、発動。

 

 ――符ノ弐「天流乱星」

 

 高速・低速・直線・曲線、……。ありとあらゆる弾種が周囲に生成され、白色に輝く弾が光の尾を引き、順次発射されていく。

 太郎は迫りくる弾を身を躍らせて避け、無理だと判断したものには弾幕を張り、ぶつけて相殺させることで防いでいた。すると光が飛び散り、鮮やかな花火が空に咲き誇った。

 

 その光景に弥次馬達のボルテージも上がり、やんややんやと歓声を張り上げる。

 その声援に応えて魅せる決闘にする為なのか、お互いに意地を張り合っている所為なのか、両者は足を止めての弾幕の撃ち合いになった。

 しかし、それも直ぐに終わる事になった。御札に込められた熱量が尽きたのだ。

 

 即座に最後の一枚を掲げる。

 両者、同時に宣誓。

 

 ――符ノ壱「轟剣」

 

 抜刀術(いあい)からの振り抜き。たったそれだけ。ただ己の持つ膨大な熱量を練り上げ、放出するだけの技。巨大な光の柱となった一撃を太郎のいる上空へと斬り上げる。

 

 ――風符「天魔返(あまのまがえし)

 

 三拍手。回転を効かせて捻り込みの威力を上げた、一本の槍。ただしそれは、余りにも大きすぎる、全てを切り刻まんとする嵐で出来ていた。

 

 両者ともに小細工無しの真っ向勝負。

 轟音。ぶつかり合った衝撃で結界が吹き飛んだ。お互いに気にせず、負けられぬと渾身の力を込める。

 

 さて、抜刀術とは本来、一撃目で相手の攻撃をいなし、二撃目の斬り落としで決める技である。

 つまり、どういう事かと言うと。

 

「あっ」

『あっ』

 

 いなされた嵐の槍の矛先が逸れて、それが真っ直ぐと不破に向かっていき。

 

「ニャ?」

 

 ぴちゅーん

 

 無駄に再現度が高い、残酷で無機質な音が辺りに響いた。

 

 

 べしっ、べしべしべしべしべしっ!!

 

「いや、悪かったって、不破……」

『申し訳ありません……』

 

 微妙に毛並みがぼさぼさで不揃いとなった不破の猫パンチを喰らいながら土下座し、頭を地につけながら謝っている両者。

 徐々に頭が地面にめり込んでいこうが、二人が何か言っていようが不破は猫パンチを辞めなかった。

 

「く、首が……」

『顔が痛い……』

 

 ようやく猫パンチも終わると、二人とも肉奢れ、一番良い肉な、と不破が言う。

 熱量も尽きかけており、更に猫パンチによって疲れ果てていた両者は反論出来る筈も無く。ただただ頷くしかなかった。

 

 さてこの動画は公開される事になり、凄まじい視聴数を叩き出す事になり、連日お祭り状態となった。

 これを受けて守人は「空飛ぶ箒」の販売と「手軽に遊べる、美しい決闘」というキャッチフレーズでスペルカードの販売を目論んだのだが、馬鹿みたいなコストの高さと日本側から「色々と危険過ぎる」と駄目出しをくらい、お蔵入りに。

 空飛ぶ箒は動画の謝礼もあってレレイに譲られる事になり、スペルカードは不破によって封印されてしまった。

 

 暫くの間、不破からの反省しなさいとの言葉もあり、アルヌスでは土木工事や物資輸送などの細々としたバイトしながら資金を稼ぎ、美味い肉を買い集めていた正神二柱が居たという。

 


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