side 乾輝
転生する時の光が収まったから目を開けてみた。するとそこは……。
「知らない天井だ。」
『お前は何を言ってるんだ…。』
「……アルビオン、ノリってやつだ。」
前世の二次小説で良く使われてたから使ってみたが呆れられてしまった…。
「ここで目が覚めたということはここが俺の家って事か。」
『みたいだな。なぁ、相棒、とりあえず家の中を見て回ったらどうだ?』
「ああ、それもそうだがその前に。」
俺は天照から貰った勾玉を握り。
[天照、聞こえてるか?]
[はい!バッチリ聞こえてますよ!]
[ああ、良かった。今回は転生出来たってだけだからもう切るぞ?]
[む……。少しくらいお話したかったですけど、転生したばかりですし、わかりました。次の時にいっぱいお話して下さいね!絶対ですからね!]
[ん、わかったわかった。またな?]
[はい、またっ。]
そう言って通信は切れた。……少し悪いことしたかもな。
「まあ、いいか。さてと、家の中を回って確認して、その後に外に出て散歩しながら町の形を覚えてくか……。」
『新しい世界や町が楽しみだな。』
『だな。相棒、早く行こうぜ!』
確かに新しい家や町を見て回るのは楽しみではあるな。とにかく、ドライグも急かしてくるから行くか。
俺は内心ワクワクしながら歩き出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜10分後〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ふむ、思ったよりも家の中が広かったな。天照が優遇してくれたのか?
しかも歩いてる時に金はどうなのかと思って通帳を見たら一生使い切れない量の今額が入っていた。一緒に天照の手紙が入って居て読んでみると。
『乾輝さんが心配なのでいっぱい入れちゃいました!足らなくなったら何時でも言って下さいねっ♪』
と書いてあった。…………天照、嬉しいけど過保護にも程があるだろ…。俺って元は高3なんだが……。まあ、貰えるもんは貰っとくけど。
『相棒…。これは…………。』
『乾輝、流石に……。』
言うな。何も言うな。考えるのもめんどくせぇからもういいんだ。
『お、おう……。』
『わ、わかった…。』
二天龍の気遣いが心に染みるなぁ……。
「外、出るか……。」
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「ん……。良い天気だ、絶好の散歩日和だなぁ。」
家の中では気付かなかったが今日は晴れのようだ、季節的には春か。
日の光が急に来たため目を覆ったが、心地良い暖かさが体を包んでくれる様だ。
「さて、適当にぶらぶらするか。」
家の前から見た感じでは住宅街みたいだ。少し歩いて商店街でも探してみるか。そう思って歩き出した。
「多分天照のことだから海鳴に転生したんだろうけど……そういえば高町なのはの実家が翠屋って店で滅茶苦茶美味い、らしいんだよな。行ってみるか。」
俺は絶品の甘いものが食べられると思って気分良く歩いて公園に差し掛かった所で……。
「………ぐすっ…。」
………啜り泣く音が聞こえて嫌な予感がした、が、気になって除いてみると。
「ぐすっ……ひっく…」
高町なのはと思われる女の子がベンチに座って泣いていた。
「(ああ、そういえば、この頃は父親が意識不明なんだったな……。無視、したいけど……流石に泣いた女の子を無視することは出来ないな。仕方無い。)」
俺は高町なのはであろう女の子に近付いて。
「なぁ、君、少しいいか?」
と、声を掛けた。………警察の問い掛けみたいになってしまったな…。
「!?な、何…?」
「いや、通り掛かったら泣き声が聞こえてきたからな。どうしたんだ?」
「…………なのは、泣いてないもん……。」
やはり、高町なのは本人か。
でも、目を真っ赤にして言われても意味無いぞ。
「でも、涙が出てんじゃねぇか。」
そう言って俺は汚れた時用のポケットティッシュを使って強引に涙を拭いてやった。
「にゃっ!?な、なにするの!」
「うるせぇ、大人しくしてろ。」
暴れる高町の肩を掴んで動きを止めてからまた拭いてやっていると諦めたのか。
「………むぅ…。」
と、可愛いらしい声を出して大人しくして目を瞑って代わりに頬を膨らませた。
『乾輝…。それでは不審者の様なものだぞ……。』
……いいんだよ!段階を踏む手間が無くなったろ!
『はぁ…。』
なんだ、アルビオンは俺の親なのだろうか……?
まあ、それよりも今の状況を何とかしなければ。
「ん、よし、もういいぞ。」
「ん……。」
少し落ち着いたのか目は赤いが泣き止んだみたいだ。
「………ねぇ、あなたの名前何ていうの?」
「ん?ああ、俺は基護 乾輝だ。さっきは悪かったな。」
「ううん。いいの。涙拭いてくれたから…。なのははね、高町なのはって名前なのっ!」
「そうか、高町は「なのは!」……はい?」
「なのはって呼んで欲しいの!」
この子は何を言ってるんだ……?
「高町。」
「…………。」
「高町?」
「ふーんっ。」
「…………なのは。」
「うんっ!」
やれやれ……。
「さっき、なのははどうして泣いてたんだ?」
「………あのね、私のお父さんが病院に居るの…。
でね、お母さんは忙しそうだし、お兄ちゃんはなんだか怖いし、お姉ちゃんもいつもと違うの………。ぐすっ…それでお母さんがいい子にしてたらお父さんも治るって言ってたから。迷惑掛けたくないからお外に出てここで大人しくしていい子にしてるの……。」
ふむ……。なるほどな。…………め、めんどくせぇぇ…。これどっちも悪いだろ。家族もなのはに気を配ってやろうぜ。なのはもなのはで子供なんだから遠慮しなくてもいいだろ…。まあ、やってみるか。
「なのは。それは違うぞ。」
「ふぇ……?ど、どうして!?なのはいい子にしてるのにっ!」
「それはいい子にしてるとは言わないぞ。もっと我侭を言ってやれ。そっちの方が家族も嬉しいだろ?」
「な、なんで?我侭言っちゃうとなのは悪い子になっちゃうよ?」
「なのははずっと我慢してたんだろ?家族としてはその方が寂しく感じるんだよ。」
「そ、それは………。」
「じゃあ、なのはは家族にあんまり構ってもらえてないのは寂しくないのか?」
「……寂しい。」
「だろ?それと一緒なんだよ。わかったならほら、家族の所に行ってきな。」
「………乾輝君にも一緒に来て欲しいの…。」
少し格好つけて去ろうと思ったら袖を掴まれてしまった……。どうしたものか…。
「いや、それはなのはが解決することでだな…。」
「じゃ、じゃあ、なのはのお家のお店に一緒に行くだけじゃ、ダメ?」
む……それは確かに魅力的だ。翠屋の場所も知らないし。
「………仕方無い。わかった。一緒に行くから、案内任せたぞ?」
「うんっ…!!任せてなの!」
嬉しそうになのはがそう言って俺の手を握って歩き出した。………手をつなぐ意味ってあるか?まあ、機嫌良さそうだからいいか。
俺はそんな事を考えながらなのはに手を引っ張られてながらも歩いた。
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「………ここがか?」
「うんっ。『翠屋』って言う喫茶店なの!」
店の見た感じは雰囲気がいいな。後は味が気になるな。
「ただいま〜っ!」
「あら、なのは、どうしたの?その子はお友達?」
考えてる間に店内に入ったみたいだ。この人が……高町 桃子か?映像とかで見たことはあったが、本当に母親には見えないくらい若く見えるな。
「うん!乾輝君って言うの!」
「初めまして。基護 乾輝です。なのはとは今日公園で会いました。」
礼儀としてお辞儀はした方がいいだろう。
「あらあら、礼儀正しい子ね。初めまして、なのはの母の高町 桃子です。よろしくね。」
「はい、よろしくお願いします。」
さて、座って注文をでも。
「お、お母さんっ。今日ね、お母さんとお兄ちゃんとお姉ちゃんにお話があるのっ!」
今それを言うか……。
「お話?わかったわ、じゃあ、お店が終わったらのさましょう。2人にも言っておくわね。」
「うんっ、わかったの!」
あれよあれよと言う間に話が終わったな……。
「あ、そうだ、乾輝君、何か食べていく?」
「ええ、食べていきます。噂でも美味しいと聞いたので。」
前世だがな。
「あら、本当?では、こちらの席へどうぞ。なのはも一緒に行って、何か食べる?」
「そうするのっ。」
椅子に座るとなのはがパタパタと走ってきて隣に座った。向かい側じゃあダメだったのか?まあ、いい。なのはにおすすめでも聞いてみるか。
「なのは、メニューは何がおすすめなんだ?」
「えっとね、シュークリームがとっても美味しいの!」
「シュークリームか。'じゃあ、それにしよう。すみませ〜ん!」
「は〜い!」
桃子さんとは別の女性の声が聞こえてきた。
この声は確か……
「あっ、お姉ちゃん!」
「あれ?なのはじゃない。いつ帰ってたの?それとそっちの男の子は?」
そうだそうだ、姉の高町 美由希だ。
「さっきなの。お母さんに乾輝君と一緒に何か食べていきなさいって」
「乾輝君?そっちの男の子?」
「うんっ!なのはのお友達なの!」
「どうも、基護 乾輝です。」
「あ、うん。高町 美由希だよ。よろしくね。」
「はい。こちらこそ。」
「うん。それでは、ご注文はなんですか?」
やはり喋り方を変えているんだな。
「じゃあ、シュークリームとブラックのホットで。」
「ブラック飲めるんだ……。かしこまりました。なのはは?」
「乾輝君のと同じのがいいのっ!」
「え、でもブラックって苦いよ?飲める?」
「挑戦してみるの!」
「う〜ん、まあ、いいのかな?少々お待ち下さい。」
そう言って美由希さんは下がって行ったが……。
「なのは、ブラックで本当に大丈夫なのか?」
「わかんない!」
「そ、そうか……。」
そして、そこからなのはと話し始めて20分くらい経った後だろうか。器用に俺に向かってのみなかなかの大きさの威圧が飛んで来て何事かとその方向を見てみると。
「お待たせ致しました……。」
と言いながらテーブルの前に男がやってきた。
間違いない、高町家の長男。高町 恭也だ。
「あっ、お兄ちゃんなの!」
「なのは。そっちの男の子は誰だ?」
「え?お友達の乾輝君なの!」
「ほう、君が美由希の言っていたなのはの友達かぁ……。」
そう言いながらも配膳の手を止めないのは流石だな。
………面白そうだ弄ってみるか。
「はい。基護 乾輝です。お義兄さん。」
「ふにゃっ!?か、乾輝君!?////」
「誰がお義兄さんだ!?なのははやらんぞ!」
おお、期待通りの反応だ。あれ?なのは、なんで赤くなってんの、あれ?
………………え?フラグいつ立った?
『慰めた辺りじゃないか?相棒。』
マジかよ……。めんどくせぇ…。
まあ、そんなことよりシュークリームだ。
「頂きます。」
「無視するなぁぁ!?」
「あぅあぅ………////」
「恭也さん。冗談ですから。」
「そ、そうか……。心臓に悪いな…。」
まずはひとくち。…………ふむ、生地はサクサク、食感がいいな。もうひとくち。中のクリームの舌触りが良く甘さも程よい。そしてブラックを飲む。口の中に広がる苦味、匂いも香ばしいな。これはもちろん……。
「美味い…。」
とつい笑みを浮かべてしまう。
「あ、やっと笑ったの。」
?なのはが何か言ってるが、まあいい。今はこれを堪能しよう。
「………うぅ…苦いの…。」
………やっぱり苦かったか、俺は涙目のなのはのブラックを取って角砂糖とミルクを入れてカップを返すと。早速飲んで。
「美味しいっ!ありがとなの、乾輝君!」
と、言われたから。
「どういたしまして…。」
苦笑混じりで返すしか無かった。
そして、食べ終わって少し経ってからそろそろ行動しなければと思い帰ることを伝えた。
「そろそろ帰るな。」
「えっ!?もう帰っちゃうの?」
「ああ、時間が時間だからな?」
「そっか……。ねぇ、また来てくれる?」
「ああ、ここのお菓子やブラックも美味しかったし、なのはと話すのも結構楽しかったしな。」
「そ、そう?えへへぇ………そっかぁ…。」
……何だか背後に花畑が見えるが、気のせいだろうか…。
そっとしておこう。
「あら?帰るの?」
「時間が時間ですからね。」
「そうね、では550円になります。」
「これで。」
「はい。450円のお返しです。またね〜。」
「ええ、また。」
さて、やりますか。
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「えっと、この病室だな。」
俺は今高町 士郎の病室の前にいる。
「お邪魔しますよっと。」
扉を開けて中に入る。するとそこには仮死状態で機械やコードを繋げられた高町 士郎が居た。
「これは……酷いな…。」
全身を包帯で包まれていた。普通の人なら確実に死んでいるだろう傷だが、生命力が違うのだろう。まだギリギリで生きていた。
「まあ、これなら何とかなるな。行くぞ、ドライグ。」
『Boost!』
赤龍帝の篭手を使って自分の力を2倍にした。
そして、50秒待ったところで。
『Transfer!』
右手に溜めておいた気に力を譲渡して。それを高町 士郎の中へと送り込んだ。
「さて、これで問題無いだろ。」
『そうだな。だが、相棒、甘くはないか?』
「まあ、気紛れだ。気紛れ。」
『………そういう事にしとこう。』
ま、これで明日にでも目を覚ますだろ。
ああ、やっぱり最初思った通り、めんどくせぇことに発展したじゃねぇか……。
side out
side なのは
「さ、なのは。お話って何かしら?」
ご飯を食べ終わってからお母さんがそう言ったの。
隣にお兄ちゃんとお姉ちゃんも居るの。
乾輝君に言われた通り自分の素直な気持ちを伝えるのっ!
「え、えっとね。なのははお父さんが病院に行ってからお母さんは忙しそうで、お兄ちゃんはなんだか怖くて、お姉ちゃんも様子が違ってて……。ぐすっ…なのは……はみんなの邪魔になりたくないから公園でずっと1人だったの…。ひっく……でも、今日乾輝君に言われて気付いたの…。やっぱり、寂しいことには変わらないって…………。我侭なのはわかってるの。それでも、一緒に居て構って欲しいの………。」
言いたいことを言い切ったら。
「なのは…。ごめんなさい。あなたの気持ちに気付いてあげられなくて……。」
「くっ……!俺はまだまだなようだ…。」
「なのは…。ごめんね。ダメなお姉ちゃんで………。」
みんな謝ってくれる…。それでも。
「なのはも、ごめんなさいっ!」
なのはも謝らなきゃ!
これでみんな仲直りなのっ!
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