とある反則の能力窃盗者   作:林檎

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お久しぶりです。

もう言い訳はしません。

今回は吹寄さんとの仲を深める感じで。

亀更新たぶんまだ続きます。


Episode.12 梅雨

 

 

憂鬱だ。

こんな日は。

俺は教師のつまらない授業を聞き流しながらボーっと教室の窓から外を見る。

外は雨が降り注いでいる。

今日、学園都市が打ち上げた人工衛星『おりひめⅠ号』に搭載された世界最高超高度並列演算器(アプリリュートシミュレーター)

樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』が梅雨入り宣言をした。

教室は空調で管理されているが外はじめじめとしているに違いない。

能力を使えば湿気など俺に関係はないと言っても過言ではないだろう。

だが、俺はむやみに能力を使うのが好まない。

それにこれは能力者にしかわからないと思うが、たまに能力を使いたくない日。と言うのがある。

わかりやすく言うと今日は勉強をしたくない日や運動をしたくない日などと同じ感覚だ。

理由は人それぞれで様々だが、今日の俺の場合は特にないのだが……。

何故かすごく使いたくない。

 

「そこで重要になってくるのが『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』だ。」

 

教師がそう言ったら学校の授業が終わるチャイムが鳴る。

 

「じゃぁこれで今日の授業は終わり、今日の所をノートにまとめて提出な。」

 

そう言い残しながら教師は教室を後にする。

それにしてもどうやって帰ろうか?

今日は朝に雨が降ってなかったから傘を持ってくるのを忘れた。

俺はポケットから携帯を取り出し、天気予報を見る。

この学園都市の天気予報は一秒単位で表示されている。

見るところ明日の午前4時頃に雨が一時間だけ止むみたいだ。

今は午後4時。12時間も待ってられるかよ。

 

「はぁ……。」

 

ホントに憂鬱だ。

 

「北やーん!ため息ついとったら上やんみたいに幸せが逃げるで!」

 

俺のことを北やんとか呼ぶバカはこの世の中に二人しかいない。

しかも、よくわからないエセ関西弁で呼ぶのは一人だけだ。

 

「あのなー、青髪。俺だって憂鬱の日だってある。」

 

この青い髪でピアスをしている奴は通称青髪ピアス。本名は……なんだっけ?

 

「へぇ~、あんな美人さんの彼女が居ってもかぁ。北やんは贅沢やなぁ。」

 

「だから吹寄は彼女じゃねぇ。」

 

この学校でもそんな噂が絶えない。

何が悪いのだろうか。

ただ、一緒に登校し、ただ昼飯を一緒に食べ、ただ一緒に帰り、ただ一緒に晩御飯を作って食べて、ただ一緒に勉強し、帰る。

そんな普通の毎日を続けてるだけだ。

別に友達となら普通じゃないか。別にやましい気持ちはない……。ホントだぞ?

 

「北やんは何もわかってない。何もや。」

 

「ドヤ顔で何言ってんだよ。ばーか。」

 

そんなくだらないことを言っている青髪をバカにし、俺は立ち上がる。

 

「んじゃ、俺は帰る。」

 

「あっれー?今日は吹寄はんと一緒に帰らへんのか?」

 

「あぁ、なんか用事があるらしい。」

 

「へぇ~、そっかぁ……って今日は学級員会がある日やん!?」

 

「お前、行かなくていいのか?」

 

「行かないと―――!」

 

その瞬間、軽快な音が校舎中に響きわたる。

 

『えー、1年7組の青髪ちゃーん!早く3年1組の教室に来てくださーい!!』

 

声の主はうちのクラスの担任の月詠小萌先生だ。

 

「……どないしましょ?」

 

「早く行け。」

 

 

 

 

 

 

 

青髪はあの後『小萌センセに叱られるんなら結果オーライや!』と言っていたが

学級員会の顧問は小萌先生とあのゴリラ先生なのだから、どっちに叱られるかは……言わなくてもわかるだろう。流れから。

まぁそれは置いといて、今俺は学校の靴箱に当たる場所でどうやって帰るか検討していた。

先ほど言った通り、今日俺は能力を全くと言ってもいいほど使いたくない。

使いたくないのレベルを越してなくなればいいのに。とも思ってるくらいだ。

おっと言いすぎたな。

 

「はぁ、どーしようか。」

 

もう濡れるのを覚悟して帰るか、それとも自分の意志に逆らい能力を使うか。

俺の頭の中に出てきたのはこの二択だ。

そして、俺は迷わず足を踏み出す。

 

「もう、濡れて帰ろ。」

 

俺の今日の意志は固かった。

今の俺は一種の鬱病なのだろう。

俺の頭からポツポツと水滴が当たる。

もちろん、量が量なので俺の制服は一瞬で水に浸る。

もう十秒も歩けば絞って水を出すことも可能になってくるだろう。

カバンは濡れないように奮発して買った、学園都市特製の防水カバンだ。教科書類は大丈夫だろう。

俺は走ることもせず、ただ、歩いて家を目指す。

なんだろう、頭がボーっとする。悪いけど今日は吹寄にご飯を作ってられないかもな。体がだるいや。

そんな状態で歩いてると、頭を覚醒させる衝撃が走る。

 

バチッ!

 

俺はふとその衝撃がした方向を見る。

そこは学園都市にたくさんある裏路地だ。

もちろん、よからぬ輩がよく集合している場所だ。

 

「……?」

 

俺はあの衝撃がなんなのか知りたく、裏路地に入っていく。

分厚い黒い雲がかかっているので太陽の明かりは極薄だ。

そのせいか、裏路地は暗く、いつもより狭く感じる。

数秒進んでいると、足に何かが当たる感触がした。反射的に下を見ると少し火傷の様な跡がある手があった。

もちろん手だけと言うグロテスクな状態ではない。

手の先をよく見ると、ちゃんと火傷で黒焦げの本体もある。

 

「って、なんで黒焦げなんだよ。」

 

思わず、一人なのにツッコんでしまった。

すると奥から一人出てくる。

 

「んー?風紀委員(ジャッジメント)?結構速いわね……ってアンタ!!」

 

ん?俺の知り合いの中で俺をアンタと呼ぶ奴はいないと思うんだが……?

そんな思考の中、薄暗い裏路地の声のする方に目を向ける。

そこにいたのはいつの日か能力を奪った学園都市が誇るレベル5の第3位の超電磁砲(レールガン)こと御坂美琴の姿だった。

何故か傘がカエルだ。カバンについてるストラップもカエルだ。今の女子中学生ではやっているのだろうか?俺はあれが可愛いとは思えないが、どう考えてもゲテモノにしか見えないが、まぁ、ここ最近の若者の流行りはよくわからない。

あれが俗に言うキモカワ系なのだろうか?それともゆるキャラ系?いや、前者はありえても後者はありえないだろう。

てか、あれって子供向けの番組でチラッと見たことあるぞ?アレか、アンパ●マン的存在なのか?

てか、俺はなんであんなカエルにここまで頭をフル回転させないといけないんだ?

ま、そんな事はどうでもいい。

俺はとりあえず、第3位に返事をすべきと考え、口を開く。ここまでの使用時間0.2秒。

 

「あー、あの節はどうも。」

 

と、俺は頭を下げる。

もちろん、今回は能力を使う気はないので適当に終わらせる気だ。

 

「あの節はじゃないわよ!!……ってアンタ傘は?」

 

「んー?あー、家に忘れた。あと、俺は一応風紀委員(ジャッジメント)だけど今日は非番だし、今回はたまたま通りかかっただけだ。」

 

「あっそう……。てか、忘れるところだったけど、あの時の屈辱は忘れないわよ!勝負よ!私と勝負しなさい!!」

 

「しょうぶ……?」

 

コイツは何を言い出すのかと思えばそんなことか……。

あの時のことがそんなに屈辱的だったのか?

 

「えーっと、アレか?モブキャラ扱いされたことか?」

 

「それもあるけど!!」

 

それについての文句なら作者に言ってくれよ。

てかあるんだ。

 

「んまぁ、勝負については良いけどよ、今日はパス。」

 

「えっ!?なんで!?」

 

「そんな気分じゃないから。」

 

「知らないわよ!アンタの事情なんか!」

 

なんだよこの強行突破。あなたを動かす動力はなんですか?戦闘ですか?

あなたは飢えてるハイエナですか?

すると、御坂さんは頭からバチバチ電撃を走らせる。

 

「あのなぁ、俺とお前じゃレベルが違うの。だから、お前が負けるのは目に見えてる訳だ。諦めてさっさと帰りな。」

 

「やってみないとわかんないでしょ!!てか、私もレベル5よ!アンタなんかに負けるわけないでしょ!?」

 

この学園都市のレベル5は現在確認されてるだけで9人。

その中の二人が原石と呼ばれている珍しい能力者だ。

そしてその他の七人は学園都市の能力開発で生まれた人工の能力者だ。

その七人の中でも、第6位から第3位まで強さの比較だと団子状態らしい。

しかし、第2位と第3位の間には到底乗り越えることができないような圧倒的な壁がある。

そして、この俺第0位と第1位の間にも同じような壁があってもいいだろう。

ましてや、第3位と第0位は完全に圧倒的な天と地よりデカい壁があっても過言ではないだろう。

ま、俺は第2位に負けたんだけどな……。

あれ?なんかイライラしてきた。

 

「強がりはやめとけ。お前がどんなに努力しても俺に勝つことは一生無理だ。」

 

すると、御坂の頭から電流がパチパチと流れる。

 

「一生無理ですってぇ……!?」

 

何か地雷を踏んだらしい。

 

「言っとくけど今日の私は最強よ?あんたは雨に濡れてるみたいだし、空には雷雲がある……!!」

 

……言っとくけど、俺はその気になれば天候とかも操れるからな?

その気になれば服だって、地面だって一瞬で水分を飛ばすくらいできるからな?

てか、本気出せば周囲のすべての物質を絶縁体に変える事もできるんだからな。

ま、今はそんな気分じゃないけど。

 

「はいはい。じゃぁ、俺の負けでいいよ。マイリマシタ、モウユルシテクダサイ。」

 

「………っ!!!!」

 

その瞬間、電撃が俺に向かって飛んでくる。

俺は紙一重で躱す。

 

「……あっぶねぇなー、おい。」

 

「何?舐めてんの?流石の私もキレるわよ?」

 

そう言いながらバチバチと電撃を飛ばす。

もうキレてるじゃないか。

この娘は相当短気らしい。もう少し余裕を持ちなさい余裕を。

 

「もう、いいだろ?大体、お前は俺の能力の事どうせ知ってんだろ?なら、勝てるわけがないだろ?諦めろよ……。」

 

俺は最後に大きなため息をつく。

すると、御坂は少し黙り、口を開く。

 

「確かにアンタは私より、レベルが上かもしれない。でも、私はやられっぱなしは趣味じゃないの。」

 

「よく言うぜ……。」

 

なんだろう。頭が痛い。

ま、こんな目に会ってたら頭も痛くなるけどな。

 

「そっちから来なくても私から行くわよ!!!」

 

そう言いながら御坂がバチバチと電気を走らせる。

なんだ?おかしいぞ?こうもなれば無理やりでも能力を使えばいいのに使えない。

気分の問題なのだろうか?いや、違う。

頭がボーっとして働かないんだ。演算ができない。

あれ?どんどん御坂が歪んで見えてきたぞ?御坂だけじゃない。その辺の空間が全部……。

その瞬間、俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗い闇が俺に囁く。

 

『お前は何を目的に生きてる?』

 

目的?そんなの決まってる。

楽しい普通の日常の為に生きてるんだよ。

 

『それは本当に叶えれる事なのか?』

 

できるに決まってる。

今までそのために頑張ってきたのだから。

 

『それならお前は目的の為の《物》を何か得たのか?』

 

《物》?

なんだよ?それ?

 

『言い方を変えよう。お前は今まで何を得れた?』

 

得た?

俺が得たもの?

 

『そうだ。お前は何を得た?』

 

……俺は、俺は……何も、得てない。

涼音も助けれてない。アイツも倒せてない。

 

『では、何を失った?』

 

涼音を……博士を……大切な日々を……。

 

『そうだ。お前は何も進んでなんかいない。』

 

進んでない……?

 

『そうだ。お前は涼音を探すことすら諦め始めてるんじゃないか?』

 

そんな訳ない!!

俺は諦めてなんかいない!!

 

『なら何故、お前は止まっている?お前は何故、今の現状で満足している?』

 

してない……!!

俺は!俺は……!!

 

『お前は何もわかっていない(・・・・・・・)。』

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はゆっくり目を開く。

そこは暗闇ではなく、見覚えがある天井。

俺は重い体をゆっくりと起こす。

 

「あ、目が覚めたのね。」

 

「吹寄……?なんでここに?てか、ここは……?」

 

見渡そうとするが体が思う様に動かない。

 

「ここは病院。で、北里が倒れたから運ばれたの。」

 

「俺が?なんで……?」

 

「風邪よ。風邪!!そんなことも分からないくらい重症なの?」

 

風邪……?

あぁ、この体調不良は風邪と言うものなのか。

初めてなったからわかんなかった。

吹寄の話を聞くと、ホントに俺は倒れたらしい。

病院によると救急車を呼んだのは常盤台の生徒だったらしいので多分御坂だろう。

そのあと、学校に連絡が入って小萌先生に言われて委員会の途中を抜けて見舞いに来てくれたらしい。

 

「……ホント、心配したんだから。はい!」

 

そう言いながら吹寄は俺に皮を剥いたリンゴを皿にきれいに並べて渡してきた。

 

「わりぃな……。」

 

俺はリンゴを一口食べる。

 

「で?魘されてたけどどんな夢見たの?」

 

「へ?」

 

「だから、さっきすっごく魘されてたの。どんな夢だったの?」

 

俺はその質問でどんな夢だったのかを思い出した。

そして、俺は一つの疑問を吹寄に訊いた。

 

「なぁ……。俺ってこのままでいいのかな……?」

 

「はぁ?何言ってんのよ?」

 

「俺って、進んでないよな。涼音の手がかりは見つからないし、吹寄には助けてもらってばっかりだし……。ずっと昔から何も変わってないよな……。」

 

長い沈黙が流れた。

実際、俺たちは情報収集に全力で挑んだ。

しかし、学園都市のセキュリティーは甘くはなかった。

上層部の奥、そこのデータには涼音の居場所やら今何をしているかなどの情報があると推測したのだがセキュリティには超能力対策もしているみたいで涼音の情報は見れなかった。

俺たちは昔となんら変わってないのだ。

変わったのは年齢と体。

それ以外、俺たちは何も得ていない。

先に沈黙を破ったのは吹寄だった。

 

「確かにそうかもしれないけど……。私は絶対に諦めないわよ。」

 

俺は今まで思っていた疑問を吹寄にぶつける。

 

「吹寄って、なんで涼音のことを気にするんだ……?実際、たった一日あっただけだろ……?なんで……?」

 

俺の質問に吹寄は少し間を空けて答えた。

 

「……私ってこんな性格だから親友って子はほとんど居なかったの。」

 

「……え?」

 

俺はその告白に少々驚いたが吹寄の話を黙って聞いた。

 

「だけど、あの日、北里に話しかけて涼音と話して思ったの……。『面白い』って。」

 

なんか結構酷い解釈かもしれないが、確かにあの時の吹寄の笑顔は綺麗だった。

 

「そんな事思ってた後に涼音が誘拐されて、本気で助けたいって思ったの。」

 

また沈黙が流れた。

俺も助けたい。涼音を。

でも、俺はどうすればいいんだ。どうすれば先に進めるんだ。

俺は答えのない自問自答を繰り返し続けた。

すると、吹寄が言う。

 

「……さっき北里は進んでないって言ったけど、そんなことはないわよ?」

 

「……いや、進んでないよ。進んでたとしても多分遠回りしてる。」

 

「そんなことない!!」

 

吹寄の声が部屋中に響く。

 

「……そんなことない。絶対ない。」

 

「なんで言い切れるんだよ……。確証なんてないだろう!?」

 

「ある!この私が証拠よ!修也(・・)ががんばってきた事は全部私が見てる!辛いことも、うれしいことも全部私が見てきた!だから、自信を持って!」

 

吹寄は息を少し整え、言う。

 

「修也は進んでる。前に確かに一歩ずつ確実に進んでる。」

 

この言葉を聞いた瞬間、俺の心の中にあるモヤモヤの一部が消えた気がした。

わかってなかった何かがわかった気がした。

俺は小さく呟く。

 

「ありがと、制理(・・)。」

 

まだ、雨は止まない。

だけど、いつかは止む。

俺は制理の言葉を傘にして雨が止むのを待ち続ける。

いつか、輝かしい太陽を見るために。

 




なんだかんだ言って原作に行かなかった悲しさ。

とりあえず、今回についてはノリで書いたので内容は薄い気がします。

次回は今度こそ原作突入!てことでいいと思います。

ついでに個人的に書きたいのが……っと、これ以上言うとネタバレになりそうなので

今回はここまでとさせていただきます。

誤字脱字があれば報告ください。

それでは、次回もご暇があればそして待ってくださるならお読みください。

ではでは。
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