とある反則の能力窃盗者   作:林檎

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レールガン2期面白いですよねぇ。

ついに妹達編に入るとなれば、むぎのんとかアイテムの活躍も期待ですねぇ。

今回はアニメの第一話を参考に書きました。

まぁ、見苦しいかもしれませんがその辺はご了承ください。


Episode.13 始まりの夏

 

 

 

 

「暑い!」

 

「うるさいですの。」

 

あまりの熱気に叫ぶと俺の隣にいた白井が文句を言ってくる。

今日は七月十六日。夏休みまであとちょっとだ。

今年も地球温暖化のせいか、例年より気温は高い。

 

「つーかよ、なんでこんな暑い日にパトロールなどしなきゃならんのだ?こんなに暑ければ犯罪を起こす気にもなくなるだろう?」

 

「世の中には暑いのが大好きで暑いだけでテンションが上がり、犯罪を犯す輩がいるんですの。」

 

「うっわー、俺には理解がしがたいなぁ。」

 

「大体、貴方なら能力でこの暑さも何とかできるんじゃないですの?」

 

俺は数秒時間を空けて言った。

 

「んー、地球を太陽系から外したら涼しくなるかな?」

 

「そんな事したら涼しさを通り越して全人類凍死確実ですの。」

 

俺は大丈夫だろう。

そんなくだらない会話をしていると白井の携帯が鳴る。

 

「もしもしですの。」

 

なんか『もしもし』に『ですの』付けたら変だな。

話を聞く限り相手は初春のようだ。

それにしても白井の携帯はいつみても変だ。はっきり言って使いにくくないのだろうか?

ついでに俺の携帯は学園都市の最先端技術で作られた新型のスマホだ!

え?どうでもいいって?

 

「どうやら、あなたの出番ですの。」

 

白井はいつの間にか通話を終え、携帯をスカートのポケットにしまいながら話を続ける。

 

「第七学区のとある裏路地に女性が一人、不良に連れ込まれたとの通報があったそうですの。詳しい話は初春に電話して聞いてくださいな。」

 

俺はポケットから携帯を取り出し、初春の電話番号をアドレス帳から探す。

 

「白井は来るのか?」

 

「もちろん、私も行きますが、あなたの方が速いですの。」

 

「りょーかい。」

 

そう短く答え、初春に電話を掛ける。

 

『はーい、裏路地の件ですね?ナビしますんで、向かってください。』

 

「分かった。」

 

そう言いながら俺はテレポートを開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

『そこの路地の突き当りを左へ、5メートル先を更に左です。』

 

携帯から聞こえてくる初春のナビの通りに俺は左に曲がる。

すると、前には走って逃げている犯人グループの一人らしき人を見つけたので、テレポートで先回りする。

 

風紀委員(ジャッジメント)だ!大人しく捕まりやがれ!!このクソッたれが!!」

 

「なっ!?」

 

男は足で急ブレーキをして、後ろを向き逃げようとするがそんな暇を俺が与えるわけもなく、テレポートで背中にドロップキックを喰らわせる。

 

「――かはっ!?」

 

男は地面に倒れる。衝撃が強すぎたか、男は数回咳き込む。

体制が崩れた俺はテレポートで立て直し、男の方に向かう。

男はまだ立ち上がれそうではなかったので俺はすかさず男の手首に手錠を掛け、もう片方は縦樋につける。

 

「――クソッ!!ついてねぇっ!」

 

「ま、運が悪かったな。」

 

俺はポケットから携帯を取り出す、通話状態のままだったので初春に報告する。

 

「一人確保したぞ。他のバカはどこにいる?」

 

『えっと、そこの道を真っ直ぐ行って三個先の曲がり角を右です。』

 

「了解。連れ込まれた女性って大丈夫か?」

 

俺はそう言いながら全力で走る。

 

『えっと……、早くしないと……――』

 

俺は曲がり角に来たので急いで道を曲がる。

そこには6人くらいの不良が集まっていたのであそこで間違いはなさそうだ。

しかし、その瞬間、大きなバチバチ!と言う音とともに電撃が走る。

そして不良はバタバタと黒焦げで倒れる。

 

『―――不良の人たちがまる焦げに……って遅かったですか。』

 

「……あのなぁー?御坂、またお前か?」

 

「ん?風紀委員(ジャッジメント)?結構早かったわね……ってアンタか。」

 

『学園都市』

東京西部を切り拓いて作られたこの都市では超能力開発がカリキュラムに組み込まれており、230万人の人口の実に八割を占める学生たちが

日々、『頭の開発』に取り組んでいる都市。

そんな街での俺たちの物語の始まりは夏だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく!学園都市の治安維持は風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)の管轄ですのよ。」

 

白井は御坂に向けて言う。

 

「って言われてもさ、黒子達が来る前に終わっちゃうんだから仕方ないじゃん。」

 

あの後、数秒後に白井が到着し逃げた不良を捕まえ、事件は一件落着となった。

 

「今のところ私の全戦全勝!!……アンタとあの馬鹿を除けばね。」

 

と、そう言いながら御坂は俺を睨んでくる。

俺に勝とうと思うことが間違いだぞ?

 

「あのなぁ御坂さん。権限のない学生が暴れると睨まれるぞ?」

 

「なら、ああいう不良を守るためにアンタが早くる事ねー。」

 

すると、俺たちの隣をドラム缶のような形をした警備ロボが通る。

御坂はそれを横目に入れながら言う。

 

「しっかし、学園都市ってのも名前負けよね。」

 

「え?」

 

「街中にセキュリティつけてあんな警備ロボットまで動いてんのにあの手の原始人が絶滅しないんだもの。」

 

そう言いながら御坂は小さくため息をつく。

 

「どんだけ科学が発展しても犯罪を犯す馬鹿くらいはどこにでも居るさ。」

 

すると、白井が俺に続いて言う。

 

「だからこそ、『風紀委員(わたくし)』がいるんですもの。」

 

「それにセキュリティも捨てたものではありませんのよ。なにせ、学園都市は科学技術の最先端が詰め込まれた実験都市ですから。」

 

「そう?」

 

白井は続けて言う。

 

「学園都市とそれ以外では技術に三十年もの開きが……あら、お姉さま?」

 

御坂はすたすたと自動販売機の方に歩いて行く。

すると、御坂が自販機の前で軽くステップを踏むと同時に

 

「ちぇいさーっ!!」

 

ドンッと自販機にはやってはいけない振動を無理やり回し蹴りで喰らわせる。

すると、ガコンッとジュースが一本出てくる。

 

「最先端がこのザマじゃ泣けてくるわね。」

 

「お前なぁ……?」

 

せめて風紀委員(ジャッジメント)がいないところでやれ。

御坂はジュースを取り、プルタブを引く。すると、プシュと中の炭酸が少し抜ける音がする。

俺は不意に空を見上げると、ちょうど俺の上あたりに超薄型の液晶を搭載した飛行船が通る。

その液晶に書いてある文字を見て少し焦る。

 

「って、もうそろそろ身体検査(システムスキャン)じゃねぇーか……、俺は間に合うと思うけどお前ら大丈夫なのか?」

 

俺がそういうと御坂が携帯をポケットから出し、時間を確認する。

ついでに携帯もカエルだ。

 

「げっ、黒子テレポートお願いできる?」

 

「はぁ、まぁいいですけど……。」

 

「じゃ、アンタも遅れないようにねー。」

 

「おう。」

 

俺が短く返事をすると、御坂と白井がテレポートで移動する。

 

身体検査(システムスキャン)か……。」

 

と、独り言を呟き、軽くため息をする。

 

 

 

 

 

 

俺がこの数年避けてきたことがある。

それが身体検査だ。理由は二つ程度だ。

一つ目が俺が学園都市に敵対心を燃やしていることと関係している。

俺がもし、ミスをしたら『レベル5第0位の北里修也はここにいる』と書庫の検索で簡単に引っかかってしまう。

そんな事をしたら制理や他の関係のないやつが巻き込まれる可能性が高くなる。特に上条。アイツは要注意だ。

俺はそんなことは望まない。

そして二つ目が生徒にばれないようにするため。

やはり、俺の通っている学校は少々レベルが低い学校だ。

うちのクラスは馬鹿で頭のねじが一本抜けた奴らが多いが、やはり他のクラスや学年にはレベル5を妬んだりする奴も少なからずいるだろう。

そんな奴らからの嫌がらせなど冷たい目線などがはっきり言って嫌なので、仕方なくの対処だ。

ついでに俺の風紀委員(ジャッジメント)書庫(バンク)ではレベル5、しかも学校は長点上機に入ってるってことにしといた。

まぁ、実際意味のない悪足掻きなのだろうが、自分に『最善の行動をしてなかった』と言う言い訳を言わせないようにしている意味もある。

 

「ホントに良いんですか?北里ちゃん?」

 

「はい。」

 

今、俺としゃべっているのは俺の担任の月詠小萌先生だ。

一見、ただの幼女にしか見えないこの人は立派な俺の担任の先生でもあり、頼れるいい先生だ。

そして俺は今、生徒指導室で二人きりで話している。

別に校則を破ったから呼び出されたなどではない。もちろん、ちゃんとした理由がある。

 

「では、北里ちゃんの能力は空間移動能力(テレポート)のレベル2と言う事にしときますね。」

 

「ありがとうございます。小萌先生。」

 

俺は座りながらも、深々と頭を下げる。

 

「いえいえ、私は生徒の頼み事は断れないですから。」

 

本当にこの先生には救われる。

これほどいい先生には会ったことがない。

俺は椅子から立つと、今度は腰も折り曲げ深々と礼をする。

 

「ホントに……ありがとうございます。小萌先生。」

 

「はい。私は頑張る生徒の味方なのですよ。」

 

俺はもう一度礼をして指導室を後にする。

小萌先生には入学当初からお世話になっている。

その代わりと言ってはなんだが、よく晩御飯のおそそ分けや部屋の掃除などをしている。

余談だが小萌先生の部屋は一人暮らしの三十代後半の男性の部屋より汚い。

話を戻すと、入学当初にあった身体検査(システムスキャン)は今回と同じ方法で回避した。

実際、今の俺のレベルや詳しい能力に関しては全く分からない。

いや……俺の能力の測定法を知っているのは博士だけなので、もう俺の能力を調べる事は不可能だろう。

 

「もうそろそろ夏休みかぁ……。」

 

できるのであれば夏休み中に涼音の有力な情報を見つけれればいいのだが……。

 

「なにボケーッとしてるのよ?」

 

後ろから不意に声をかけられ思考を一旦中断し後ろを振り向く。

 

「なんだ、制理か……。」

 

「なによ?私じゃ駄目だったの?」

 

「い、いや!そんな意味ではないぞ……!!」

 

俺はおでこを光らせる制理に殺気を覚え、慌てて謝る。

 

「で、どうだった?身体測定(システムスキャン)。」

 

「駄目だったわ。変わらずのレベル0。」

 

「……そっか。」

 

制理の能力に関してだが俺が教えてやればいいじゃないか。

と、よく俺の能力を知っている奴には言われる。主に白井と初春。ついでだが二人とも制理と面識はある。

しかし、それは不可能なのだ。

やはり、能力を使うときの感覚とは人それぞれで同じ能力でも演算式が多少違うことは多々ある。

なので俺の能力は『他人の能力を奪う能力』なので、他人の演算式もわかるんじゃないか?と言われる。

だが、俺は能力を奪った後自分風の演算式に無意識に変えてしまってる。

簡単に言うと『奪ったものを改造する』って言う事だ。

つまり、『奪った奴の能力に似ているが違う能力』ってことになる。

だから教えるとなると先生と同じようなことしかできない。

まぁ、実際制理の能力はややこしくて……まぁ、その辺の事はいつか話そう。

俺は俯いている制理の肩を叩く。

 

「ま、気にすることないさ。少しずつ頑張っていけばいつか結果は付いて来るもんだ。とりあえず、クレープでも奢ってやるよ。第七学区のふれあい広場に新しく店ができたらしいんだ。」

 

「……ホント?」

 

「おう。」

 

制理もなんだかんだ言って女の子だ。

甘いものは好きに決まってる。

 

「……仕方ないわね、行ってあげるわよ。」

 

あれ?なんでこんな上から目線なの?

 

 

 

 

 

 

 

はい、時間は吹っ飛びいつの間にか第七学区ふれあい広場に到着。

 

「……なんでこんなに人がいるのよ?」

 

広場は人で埋め尽くされていた。

見回すと学園都市では珍しい親子連れだ。

 

「休憩は一時間ですー!あまり遠くに行かないでくださいねー!!」

 

そう女性が大きな声で言う。

女性の服装は見た目からバスガイドといったところだろう。

以前俺と涼音が乗ったバスは中学入学予定者が集まった奴なのだが

今居るのは保護者が多いので来年の学園都市小学校入学予定者の見学の様なものだろう。

制理はバスガイドさんを見て言う。

 

「アレのせいって訳ね。」

 

「ま、仕方ないだろ。タイミングが悪かったみたいだし。」

 

と、言いながら俺と制理はちょっとした行列に並ぶ。

すると、制理がメニューと睨めっこをしながら声を張る。

 

「脳を活性化する十二の栄養素が入ったクレープですって!?」

 

「……お前なぁ?」

 

ここまで来てお前は『脳を活性化する十二の栄養素が入ったシリーズ』を食べるのか?

どこまで栄養に飢えてんだ?

 

「ね、ねぇ!修也!」

 

「わかったよ!買ってやるから、そんなトランペットを見つめる少年みたいな眼差しで俺を見るな!!」

 

「あ、ありがとっ!!」

 

なんだよ?これ以上とない美しい笑顔は?

お前はどこぞの『脳を活性化する十二の栄養素が入ったシリーズ』ハンターだ?

すると、ドサッと列の一番前の人が膝をついて倒れる。

いや、あれは落ち込んでいるのか?

 

「……って、御坂?」

 

「知り合い?」

 

いや、あんな大勢の人の前で落ち込む人は残念ながら俺の知り合いにはいないはずだ。

俺はふと、クレープ屋の看板をちらりと見る。

そこには『先着100名様にゲコ太マスコットプレゼント!』と書いてあった。

そのゲコ太とやらを知っている。

よく電撃を飛ばしてくる奴が身に着けているものだ。

しかし、その知り合いはどちらかといえば常識がある人間だ。まして、こんな人ごみの中あんな風に落ち込む人ではないはず……だ。

 

「いや、知らない。」

 

ここは見なかったことにしておこう。

俺は御坂らしき人から意識を逸らすためメニューを見る。

んー、ここは普通にいちごのクレープでいいか……。

そんな事をしていると列が前に進んだのか、俺と前の人には二メートルほどの間があったので前に進む。

その時、俺の横を通りすぎて行ったのは俺の知り合いの御坂のそっくりさん。何故かスキップだ。ホントにこの子は俺の知り合いなんかじゃありません。

何故かスキップをしている御坂らしき少女の後を黒髪のロングヘアーの少女が歩く。

 

「あら、涙子じゃない?」

 

「え?」

 

そう言って声をかけたのは俺の後ろに居る制理だ。

 

「あ!?ふ、吹寄先輩!?」

 

どうやら制理の数少ない後輩みたいだ。

 

「あれ?知り合い?」

 

彼女は俺たちの母校、柵川中学の制服を着ているが俺は全く顔に身に覚えがない。

千人以上生徒が居る学校だったが俺は一度見た顔を忘れることはあまり無いので今年の一年生だと言う事はわかる。

 

「小学校の時、掃除の縦割り班で一緒だった子よ。」

 

「へぇ~。」

 

俺は適当に返事を返す。

すると、涙子と呼ばれた少女は口元に手を当てる。

しかし、何故か口元がにやけているのがわかる。

 

「あっれ~?あの完全無欠の最強吹寄先輩にもついに彼氏ですかぁ~?」

 

「――ばっ!?」

 

彼女じゃない。

と言いたいのだが、制理さんにそう顔を真っ赤にされるとどう反応すればいいかわからない北里さんです。

俺が吹寄おでこDXを喰らわないために考え出した答えは無言だ。

 

「――なんで、貴様は何も言わないのよ!!」

 

ゴンッ

結局、吹寄おでこDXは俺に火を噴いた。

多分、何を言っても結果は同じに感じたのは俺だけでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~、吹寄先輩の事初春たちも知ってたんだ。」

 

「はい。まぁ、私たちの場合は北里さん経由なんですけどね。」

 

そう言いながら佐天涙子と初春飾利はクレープを一口食べる。

今俺たちは広場のベンチでクレープを食べている。

結局、あの御坂らしき人は本物だった。

 

「ほらお姉様、遠慮なさらず♡」

 

「いらないって言ってんでしょ!?何よ!トッピングに納豆と生クリームって!?」

 

「ほらほらぁ~♡」

 

と、そんなやり取りを御坂と白井はやる。

俺はそれを横目に制理を見ると、とても幸せそうな顔だった。

 

「あたりだわっ……!『脳を活性化する十二の栄養素が入ったシリーズ』で一番のあたりだわっ!!」

 

今までのはハズレが多かったのだろうか?

しかし、幸せそうな制理にそんなことは言えない。

 

「そうそう!聞いてくださいよ!佐天さん!」

 

「ん?どうしたの?」

 

「なんと!北里さんはレベル5なんですよ!!」

 

「え!?マジですか!?」

 

また初春のしゃべり癖が……。

 

「何位なんですか!?」

 

佐天さんがグイッと攻めてくる。

どうやらこの子は『レベル5は妬みの対象』ではなく『レベル5は尊敬の対象』になっているらしい。

まぁ、妬んでくる奴よりかはまだ尊敬されてる方がいいかもしれない。

 

「ま、今のところは0位になってる。」

 

「ぜ、0位ですか!?」

 

佐天さんは立ち上がる。

 

「ま、まてまて、そんな大声で言うな。」

 

「す、すみません。」

 

そう言いながら少し顔を赤くして座る。

どうやら少し恥ずかしかったようだ。

 

「てか、その話本当ですか?第0位って言えばあの最強をも倒したことがあるって言う反則ですよね?」

 

『あの最強』と言うのはやはり一方通行(アクセラレーター)の事だろう。

確かに戦って倒した、と言う事にはなっているかもしれないが、アイツはあれが本気だったかは今の俺には分からないことだ。

 

「まぁ、間違いではないよ。」

 

「ま、マジですか……。」

 

「ふぇ~……。」

 

すると、御坂が近寄ってきて佐天さんの目の前にクレープを出す。

 

「はい。」

 

「はい?」

 

「味見でしょ?さっきのお礼。一口どうぞ。」

 

「え……?」

 

佐天さんはそう言って戸惑いながら一口食べようとすると、白井が爆発する。

 

「おおおおお姉様はわわわわたくしと言うものがありながらさささ佐天さんと間接的なベーゼを―――」

 

「アンタの友達にはついて行けないや。」

 

と初春を見る佐天さん。

初春は苦笑いであははっ……と言う。

駄目だよ。アイツに付いて行ったら何処に行くかわかったものじゃない。

すると、不意に初春が後ろを振り向く。

 

「ん?」

 

「どうした?」

 

「いえ……、あそこの銀行なんですけど……。」

 

初春がそう言ったので俺はその銀行を探す。

銀行は道路を挟んだ向かい側にあった。

 

「なんで昼間から防犯シャッター下ろしているんでしょうか?」

 

その瞬間、防犯シャッターがどんどん膨らみ始める。

そして、火と黒い煙と共にシャッターが爆発する。

俺は素早くポケットから腕章を取り出す。

白井は手に持っていたクレープを一瞬で口の中に詰め込む。そして、スカートのポケットから腕章を取り出す。

 

「初春、警備員(アンチスキル)への連絡を頼む。俺は怪我人の有無を確認する!」

 

「りょ、了解です!」

 

「制理、御坂、佐天さん。悪いけどちょっと手伝ってくれ。怪我人が居たら俺に報告頼む。」

 

「え?修也は行かなくていいの?」

 

「まぁ、白井がいるからな。」

 

すると、白井は口の中の物をやっと呑み込めたのか、御坂に話しかける。

 

「お姉様、今度ばかりは私たち風紀委員(ジャッジメント)のお仕事ですの。大人しく、北里さんの指示に従ってくださいな。」

 

「……わかったわよ。」

 

なんだか物足りなさそうだ。

とりあえず、俺は周りの人を落ち着かせるためさっきのバスガイドさんの方へ向かう。

バスガイドさんの力を借りて、できるだけ周りの人を落ち着かせる。

あー、来年の入学希望者は少なくなるかもな。

 

「ちょ、修也、人が多すぎるわ。流石の私でも仕切りきれないわよ。」

 

「そこは何とか頑張ってくれ。ま、馬鹿が多いあのクラスをまとめるよりかは簡単だから。」

 

「駄目ですって!今広場から出たら!」

 

「で、でも!!」

 

初春の声が聞こえたのでその方向を見ると、どうやらバスガイドさんと初春が少しもめているみたいだ。

 

「どうしたんだ?」

 

「そ、それが――」

 

初春が言い切る前にバスガイドさんが言う。

 

「男の子が一人足りないんです!」

 

「え?」

 

「少し前にバスに忘れ物をしたって言ったきり……!」

 

「じゃぁ、みんなで手分けして探そう。バスガイドさんは待っててください。危ないんで。」

 

「……は、はい。」

 

俺は制理と御坂と佐天さんを呼び、事情を説明して男の子の捜索を開始する。

 

「ねぇ、アンタの能力で何とかならないの?」

 

そう御坂が訊いてくる。

 

「んなこと言われても、できるならもうやってるつーの。」

 

俺はとりあえず、バスの中を御坂と捜索する。

しかし、中には誰もいない。

 

「そっちは?」

 

「だめですー!」

 

「ホント、どこ行ったのよもぅ!」

 

次からは迷子を捜す能力を探さないとな……。

 

「しっかし、バスに忘れ物取りに行ったのにどこにもいねぇってどういうことだよ?」

 

そんな思考を巡らせていると、外から声が聞こえる。

 

「なんだテメェ!?離せよ!!」

 

俺はふと、その声の方向に目を向ける。

バスのフロントガラス越しに制理と強盗犯。制理が必死でつかんでるものは迷子と思われる子供だ。

 

「貴様が離しなさいよ!!子供を巻き込んでいいと思ってるの!?」

 

「クソがっ!!」

 

強盗が諦めたのか、制理の顔を一回蹴る。

その瞬間を目にした時、

 

 

 

 

俺の中で何かが切れた。

 

 

 

俺はテレポートで外にでる。

 

「……ヤバいですの。」

 

「あ、アイツは!?」

 

と、白井に捕まった犯人の一人が言う。

 

「知ってますの?」

 

「あ、当たり前だ。アイツは、風紀委員(ジャッジメント)で最も危険な男……。反則のレベル5『能力窃盗者(スキルスチール)』の北里修也……!」

 

銀行強盗はすでに車に乗って逃走しようとする。

しかし、そんな事今の俺に関係ない。

奥歯からギリギリと歯を食いしばる音が聞こえる。強く拳を作る。

俺は能力を空間移動能力から座標移動に切り替え、犯人を俺の前に移動させる。

 

「―――っな!?」

 

「おい、何逃げようとしてんだ三下。」

 

「――っひ!?」

 

犯人は立とうとしてるが立ち上がれずにズリズリとズボンを地面に擦りながら後ろに移動する。

 

「だから、何逃げようとしてんだって、つってんだろ?」

 

俺は重力を操作して犯人の周りの重力を20倍にする。

犯人は呻き声を上げ、地面に倒れこむ。

俺はその状態の犯人を容赦なく足で踏みつける。

 

「――がはっ!!」

 

「お前、自分が何やったのかわかってんのか?あ‶ぁ!?」

 

「わ、悪かった!!俺が悪かった!だから許してくれ!!」

 

「ふざけんな。お前なんて生きてる価値もねぇよ。死ね。」

 

俺は地面に仰向けになっている犯人の頭めがけてベクトル操作で簡単に岩をも砕く力を込めた拳を振り下ろす。

その瞬間、俺の拳を中心に放射線状に地面がひび割れ、アスファルトが捲り上がり、周囲に激しい衝撃波を拡散させる。

しかし、犯人の頭はグロテスクに砕け散ってもなく、頭の数センチすれすれを俺の拳が通ったのだ。

あまりの恐怖だったのか、犯人は泡を吹いて気絶をしている。

 

「お前、生きる価値もねェけど、死ぬ価値もなかったよ。次こんな事してみろ、一生の苦しみを与えながら殺してやる。」

 

しかし、返事は返ってこない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫よ。これくらい―――ッイツ……!」

 

制理は擦った頬をそっと抑える。

どうやら顔を蹴られたみたいでちょっとした擦り傷がある。

あの後、警備員(アンチスキル)が到着し、この惨状を見て唖然としたとは言わずともわかるだろう。てか、また始末書書かなくては……。

俺はその擦り傷にそっと手を当てる。

 

「っちょ―――!?」

 

「騒ぐな、ちょっと集中させろ。」

 

すると、制理の頬の傷が見る見るうちに治っていく。

俺の能力の中で最も難しいのが治癒だ。

自分の傷ならまだしも、他人を治すとなれば話は別だ。

俺が他人の怪我で治せるのは骨にヒビくらいが限度だ。

 

「あ、ありがと……。」

 

「良かった……。」

 

「ひゅーひゅー!ラブラブですね!吹寄先輩!!」

 

と、野次を飛ばしてくる佐天さん。

 

「―――っな!?る、涙子!!」

 

と、制理は佐天さんを追いかけまわす。

 

「ま、そんだけ走れれば大丈夫か……。」

 

すると、隣に気配を感じたので横を見るとそこには御坂がいた。

 

「ホント、無茶するわねアンタ。」

 

「ははっ、友達を傷つけられたらお前だってキレるだろ?」

 

「いやいや、流石にあそこまで破壊しないわよ。」

 

「まぁーな。」

 

ギャアギャア騒いでる制理達と後始末に追われている初春と白井を横目に入れ、俺は空を見上げる。

すでに、空は茜色に染まっていた。

 

「ホント、退屈しねぇな。この街は。」

 

「そうね。」

 

 

 

 




一回試しに書いたやつではあの強盗さん、死にかけました。

てか、ボッコボコにしちゃいました。

流石に修也君の立場が危うくなるので取りやめにしたのですが……、

そういえば、最近涼音が登場してないのでもうそろそろ登場すると思います。

さて、勝手に私が考えた吹寄さんの能力は一体どんなのでしょうか!?

お楽しみしてください。

誤字脱字があれば報告してくださると幸せです。

ではでは。
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