とある反則の能力窃盗者   作:林檎

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どもども、こんにちは。

眠たい目をこすりながら作りました。

今回はちょっと長めです。

そして、ちょっっとグロイ場面があるので苦手な人は我慢するか諦めるか

どっちかを選んでください。

では、どうぞ!


Episode.14 虚空爆破事件

 

 

 

 

「う~……」

 

「ほら!知恵絞って考えて!!」

 

俺は急かされさらに呻る。場所は風紀委員(ジャッジメント)177支部の一室。

七月十七日、夏休みまであと少しなので授業数が減り、学生たちは友人などと遊ぶため

制服のままゲームセンターなどで遊んでる事だろう。

俺こと北里修也もそんなことをして遊びたいものだが、俺には仕事がある。

今現在、俺は目の前に置いてあるボロボロでお焦げが付いているのスプーンとボロボロお焦げが付いているの空き缶を見て推理をする。

しかし、俺がコナン君の様なひらめきが出るわけでもなく、椅子の背もたれに体重を掛け呻る。

 

「わっかんねぇー……。」

 

「……そっかぁ。」

 

と、言うと巨乳の女性……個法美偉は近くにあるソファにもたれかかる。

 

「てか、個法さん。俺でもわからないならこの世界では謎を解くことなんてできませんよ。コナン君連れてきてください。」

 

「北里君なら何かわかるかもって思ってたけどやっぱり無理か……。ついでにコナン君はこの世界にいないわよ?」

 

わかってます。

おっと、話について行けてない読者の皆様にご説明しよう。

一週間前ほどからこの第七学区を中心に能力を使った連続爆破事件が起こっている。

正確には虚空爆破(グラビトン)事件と呼ばれている。

能力の構造はいたって簡単。

アルミを基点にして重力子の数ではなく速度を急激に増加させてそれを周囲に一気にまき散らす。

ようはアルミを爆弾に変える能力だ。

俺が見ているのはその爆弾になっても尚、残ったアルミ片だ。

その遺留品をとある風紀委員(ジャッジメント)のサイコメトリーで調べたが手がかりのての字も見つからなかったらしい。

だから、俺の方に回ってきたのだが……。

 

「多分、犯人は手袋などをして遺留品に全く触ってないみたいっすね。微弱ながら能力の痕跡は見受けられるんですが、残念ですけどそれだけじゃ男か女かすら

 わからないっす。」

 

「……そう。」

 

「いっそ、AIM拡散力場を検索する能力でもあればいいんですが、残念ながら今までそんな能力は会ってませんしねぇー。」

 

俺はそう言いながらソファに寝転がる。

 

「んー、北里君はこの事件についてどう思う?」

 

「そうですね……。犯人は同一人物、だけど能力に関しては徐々に強くしてるんじゃなくて強くなってる感じですね。」

 

「徐々に強くなってる?」

 

「はい。一件目、二件目、数が増えるごとに能力の痕跡が小さいですけど強くなってる感じがします。」

 

「じゃぁ、この前の身体検査(システムスキャン)の後に短期間でレベルを上げたってこと?」

 

「信じがたいですがそういうことです。」

 

「……はぁ、どんどんわかんなくなっていくわね……。レベルを上げる能力者でも居るのかしら?」

 

俺は少しギクッとする。

もちろん、『あの能力』はまだ実用段階に達していないし、誰にも見せたことがない。

しかも、アイツ以外に『あの能力』を持ってるやつ、しかも俺より先に実用段階にいける奴なんてこの世にいるだろうか?

答えは否、だ。

すると、個法さんが俺の反応を見て、顔を歪める。

 

「ま、まさか、そんな能力持ってんの……?」

 

「そ、そんな能力あるわけないじゃないですか~……。大体、持ってたら俺はすでにレベル6ですよ。」

 

「さ、流石にそうよねぇ~!!」

 

俺の頬から冷や汗が止まらないのは気のせいだ。

俺はゆっくり立ち上がりドアの方に向かって歩き出す。

 

「じゃぁ、ちょっと煮詰まった頭を冷やしてくるんでパトロールついでに。」

 

「分かったわ。ついでにムサシノ牛乳を買ってきてくれたらうれしいわ。」

 

「おっけーでーす。」

 

俺はドアを開け、外に出る。

外は蒸し暑く、頭が冷えるどころか煮えすぎてとろみがつきそうなくらい暑い。

学園都市なんだから都市全体をドームみたいなので覆って冷暖房くらい完備すればいいじゃないかと思うほどだ。

とりあえず、話を戻して……さて、どうしたものか。

俺が調べても何もわからないとは、犯人はよっぽど警戒心が強い人間だろう。

そんな警戒心が強い人間ってのは完璧な犯罪を犯すと調子に乗ってしまう。

つまり、また大きな事件が起きてもおかしくはない。ってことだ。

次か、その次か……。まぁ、あと多く見積もって二回以上起きると多分死んでしまう被害者も出てくるだろう。

 

「どうにかしないとな。」

 

無差別みたいだから俺の友達が巻き込まれたら困るしな。

 

「お、いいところに……。」

 

俺の目線の先には本格派のコーヒーの自動販売機があった。

俺は金を入れ、アイスコーヒーの砂糖入りでミルクなしのボタンを押す。

すると、数秒後にカップが出てくる。

俺はそのカップを手に取り、近くに置いてあるストローと蓋を取り付け日陰のベンチに座ろうとするため、目線をベンチに動かす。

そこには見たことのある二人組が座っていた。

 

「って、御坂と佐天さんじゃねぇーか。」

 

「あ、北里さん。」

 

「ん?アンタか。」

 

俺は佐天さんに許可をもらい、隣の席に座る。

そこで一息ついてから一口アイスコーヒーを啜る。

 

「アンタは忙しくないの?」

 

「あ、そう言えばそうですね。」

 

「あぁ、今は暇だ。どうせお前らが言ってるのは虚空爆破(グラビトン)事件の事だろ?」

 

「はい、初春も白井さんも忙しいみたいなんで、てっきり北里さんもそうかと思いましたよ。」

 

「俺だってその事件について知ったのはついさっきのことだ。」

 

「さっき?風紀委員(ジャッジメント)のアンタが?」

 

そう、俺が虚空爆破(グラビトン)事件のことについて知ったのは今日のことだ。

前にも言ったと思うが俺が風紀委員(ジャッジメント)に入る際に出した条件は三つ。

一つ目はパトロールによる抑止力強化。

二つ目が凶悪犯罪の解決への全面協力。そして三つ目がそれの始末書を書くこと。

しかし、どこまで行ってもここは学園都市。学生の街。

そこまで酷い凶悪犯罪なんて滅多に来ない。

まぁ、俺自体が世間に疎いってのもあって今日、爆破事件について知ったのだ。

ここまでの説明を俺は二人に話す。

 

「……なんて言うか、アンタって時々抜けてるわよね?」

 

「ははっ、よく制理に言われるよ。そう言えば、そっちは何の話をしてたんだ?」

 

俺がそう訊くと佐天さんが教えてくれる。

 

「いや~、なんかちょーっと、なんだかなぁーって……感じなんですよ。」

 

「ん?」

 

話の内容が掴めない俺に佐天さんは話を砕いて教えてくれる。

 

「簡単に言うと自分だけ何にもないなーって思ってるんです。初春に白井さんは頑張ってるし、御坂さんと北里さんはすごい人だし……。」

 

「そう言えば、佐天さんって……。」

 

「はい。レベル0です。その辺の関係で吹寄先輩と仲良くなったんですけどね。」

 

俺は少し黙り込む、レベル0。

俺が小さいときには全く無縁のものだと思っていた。しかし、研究所の外に出て無縁の物からもっとも縁のある物へと変わった。

そんな事を考えてると佐天さんが慌てて喋りだす。

 

「べ、別にそこまで重い意味はないですよ!?ただ、あたしにも能力があったら毎日が変わるかもーって……。」

 

「……ま、確かに能力があれば毎日が変わるかもな。でも、それはいい方向とは限らないんだぜ?」

 

「……へ?」

 

「気にしないでくれ。別に深い意味はないよ……。」

 

そう。俺や涼音みたいに。

能力があることで不幸になる。

もちろんその逆だってあり得る。

しかし、能力は時に幸せを奪い、絶望を運んでくるものかもしれない。

でも、それでも、能力は人を魅了する。

他人とは違う力、異端の力、未知の力、それを見せつける事、見つける事、それは俺たち人間の欲望なのだろう。

すると、佐天さんが言う

 

「あーあ、『幻想御手(レベルアッパー)』とかあればレベル5も夢じゃないのになー……。」

 

「れべるあっぱー?」

 

「都市伝説の一つですよ。能力のレベルを簡単に引き上げてくれる道具なんですって。」

 

そう言いながら佐天さんは紙コップに入った氷を口の中に入れる。

 

「へぇ。」

 

「まぁ、脱ぎ女も居るくらいですからひょっとして―って思ってみたんですけど、まぁあるわけないんですけどねぇー。」

 

幻想御手(レベルアッパー)か……。

まさか、な。

すると、御坂が急に言う。

 

「ねぇ、みんなで行こっか?」

 

「へ?」

 

「はぁ?」

 

俺は話の内容がつかめなかった。

 

「だから、みんなでお買い物行こうかってことよ。明日、初春さんも黒子も非番だし、みんなで行った方が楽しいじゃん。」

 

「あ、そうですね!あの二人の息抜きも兼ねて!」

 

ま、俺には関係のないお話しか。

俺は紙コップの中に入ってるアイスコーヒーを飲み干し、空になった紙コップを清掃ロボットの前に投げ捨てる。

 

「んじゃ、俺は支部に戻るから。」

 

「あ、北里さんも一緒にどうですか?」

 

「なにを?」

 

「だから、お買い物ですよ!吹寄先輩もつれて!」

 

「ありがたい誘いだけど、遠慮しとくよ。あと、制理は明日健康グッズ巡りに行きつけの店に行くらしいから無理だと思うぞ?」

 

「アンタはなんで来ないのよ?」

 

「俺は明日非番じゃないからな。あと、あの事件もほっとけない。下手したら死者が出るかもしれないからな。」

 

「……そうね。」

 

「ま、白井と初春にはちゃんと休めって言っとくから心配すんな。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日。

昨日に昨日に引き続き、授業は四時限で終了した。

もちろん、補習対象者は最終下校時刻まで小萌先生と勉強しなければならない。

俺はそんな事はありえないし、吹寄もまた俺が教えているから補習を受けるような成績は取っていない。

まぁ、受けているのはいつもの面子。上条、青髪、土御門のデルタフォースだ。基本最後まで補習を受けるのはこの三人なのだが……。

とりあえず、俺は事件のことが気になり、風紀委員(ジャッジメント)の177支部に向かっている途中だ。

 

「……ん?」

 

俺の目線に入ったのは少女だ。

もちろん、変態的な目線ではない。

その少女は片手にメモの様な小さな紙を持っており、周りをきょろきょろ見回してる。

普通に見れば迷子だろう。しかし、どうだろう?

この学園都市に常識は通じない。

もしかしたらあれは大人の女性で年がら年中煙草を吸い、酒を飲んでいるのかもしれない。

まぁ、それはうちの担任の先生なのだが……。

とりあえず、風紀委員として見過ごす訳にもいかず、俺は少女に近寄り声をかける。

 

「どうしたんだ?」

 

俺は同時にしゃがんで少女と同じ目線にする。

ここで「黙れクソオス豚が。テメェ如きの家畜が私に話しかけんじゃねぇ。」とか言われたら俺はどうすればいいだろう?

 

「え、えっとね、ここに行きたいの!」

 

そう言いながら少女は俺にメモを渡してくれた。

この子はどうやら純粋で心優しい子なのだろう。よかった、よかった。

 

「……って、ここ、セブンスミストじゃねぇーか。」

 

セブンスミスト。

第七学区に存在する大手株式会社が経営する洋服店だ。

品揃えは女性向けの服が全般で、休日にカップルや女子が友達同士が行くような少し小さ目なデパートの様なものだ。

しかし、何故こんな少女が一人で行こうとしてるのか?ま、その辺は本人に訊いてみるか。

 

「何しにここに行くんだ?親は……いねぇだろうから兄弟や友達とかは?」

 

すると、少女は首を横に振る。

 

「テレビの人がおしゃれの人がここで服買うって言うから服買いに来たの!私もおしゃれしたいし!あと、友達とかをビックリさせようと思って今日は一人だよ!」

 

とりあえず、事情は分かったが、流石にこんな小学生上がりたての様な少女をここで置き去りにするのは心が痛む。

仕方がないが、道案内するか……。

 

「とりあえず、一人じゃたどり着けそうもないし、一人じゃ何より危ないから俺が付いてってやるよ。」

 

「ホント!?ありがと!!お兄ちゃん!」

 

俺は一言、どういたしましてと言い、セブンスミストがある方向へ歩き出す。

 

「でも、お兄ちゃん良いの?風紀委員(ジャッジメント)って今忙しいんでしょ?それに最近先生が『れんぞくばくはつじけんが起こってるからきをつけろ』って言ってたし……。」

 

「じゃぁ、尚更だよ。君みたいな小っちゃい女の子が巻き込まれないように護衛してやるよ。」

 

「え!?ホント!?やったー!!かれんな姫を守るナイト様だね!!」

 

そうだと良いな。

 

 

 

 

 

 

 

 

何だかんだ話しているとセブンスミストまで付いてしまった。

何故かこの子と話していると涼音のことを思い出した。

精神年齢が同じと言う事なのだろうか?

……あり得る。

 

「お兄ちゃん、このおようふくどうかな?」

 

「いいんじゃねぇか?そうだな、夏をイメージした淡い水色に少し薄い藍色の水玉のコンセプトがいいと思うぞ。」

 

「……おにーちゃんってたまにぬけてるね。なんて言うか、見てほしいところはふくじゃないよ。」

 

……?

意味が分からないぞ?

だってこの服どうかなって聞いてきたのはそっちじゃないか?

 

「つまり、わたしが言いたいのは、おようふくが似合ってるかどうかだよ!!」

 

「そ、そうでございますか、北里さんは学びましたよ!」

 

「おにーちゃん、それくらい察してあげないとモテないよ?」

 

……いいよ、俺はどうせ一人ぼっちの一匹狼だもん。

泣いてなんか……いないもん。

あれ?なんか目から水が……。

 

「じゃぁ、私あっち見てくるね!!」

 

「おう、俺はここに居るからあんまり遠くに行くなよ。」

 

「うんっ!!」

 

そう元気よく返事をする少女を見届け、見えなくなったところで俺は少しため息をつく。

 

「なんで俺は小学生に説教されなきゃならんのだ……。」

 

俺は再びため息をつく。

そして、少し周りを見回すとそこには一人の少女が一つの服を手に取り顔を歪ませていた。

そう、みんなが大好き御坂美琴さんだ。

 

「アイツ何やってんだ?ストラップと睨めっこの次は服と睨めっこか?」

 

ものすごい挙動不審の御坂さん。

他人から見れはとっても恥ずかしい人なのだが、以前の広場とは違い他人の目が少ない。

俺は少しため息を出し、御坂の方に歩み寄る。

後ろまで来て、話しかけようとした瞬間、御坂が急に服を持って俺の前あたりになる大きい鏡の前で持っていた服を自分の前に持ってくる。

御坂は「なかなかいいじゃない……。」と呟き、そのあと鏡越しで俺と目が合う。

すると、御坂は顔を真っ赤にし、持っていた服を後ろに隠し、俺の方を向く。

 

「よ、よう……。」

 

「よ、ようじゃないわよ!?なんでアンタがここに居んのよ!?」

 

「って言われてもなぁ……。」

 

すると、タイミングがいいのか悪いのかわからないが後ろから声が聞こえた。

 

「おにーちゃん!このおようふくどうかな?」

 

「ん、いいんじゃないかな。夏らしくワンピースで明るい黄色。そうだな、周りの飾りから見てひまわりをイメージした服だな。」

 

「………。」

 

何故か俺は小学生からすごく冷めた目で見られる。

あれ?俺なんかミスった?

すると、まるで俺のことはなかったかのように少女は御坂の方を見る。

 

「あ、ときわだいのおねーちゃんだ。」

 

「昨日のカバンの子……。」

 

どうやら御坂とこの子は面識があるみたいだ。

 

「お兄ちゃんって……、アンタ妹いたの?」

 

「いいや、俺は正真正銘の一人っ子だ。俺はこの子が洋服探してるって言うから風紀委員(ジャッジメント)として付いてきてるだけ。」

 

「あのね、オシャレの人はみんなここに来るってテレビでいってたの。わたしもオシャレするんだもん!」

 

「そうなんだ。」

 

すると、少女が俺の袖を引っ張る。

 

「ねぇねぇ!おにーちゃん!あっちにも行こっ!」

 

「はいはい……、じゃーな御坂。」

 

「んー……。」

 

何故か不機嫌な御坂さんをほっといて俺は少女について行く。

 

「じゃぁ、ここで待っててね!!」

 

「おう。」

 

俺は短く答える。

そう言えば、今日御坂と初春と佐天さんは遊ぶと言っていた。

白井は仕事熱心だから多分、今頃支部で缶詰状態だろう。

とりあえず、俺の仕事は犯人確保とできるだけの捜査協力かな……。

ま、今日はあの子の付き添いで一日が消えそうだな。

そう考えていると不意に俺のポケットから振動と音が聞こえる。

俺はその根源が携帯であると考えポケットから携帯を出す。

 

「電話……?個法さんから?」

 

俺は通話ボタンを押す。

 

「はい、もしもしー。」

 

『北里君!?今どこにいるの!?』

 

「あ、え、っと、別にサボってる訳じゃないんですよ!?今、警邏中で……!!」

 

『そんなことどうでもいいわ!!例の虚空爆破(グラビトン)事件の続報よ!!』

 

俺はその言葉を聞いて、眉をひそめる。

 

「ホントですか?」

 

『衛星が重力子(グラビトン)の爆発的加速を探知したの!今、近くにいる風紀委員(ジャッジメント)を急行させているわ!北里君も速やかに現場に向かって!』

 

「観測地点は?」

 

「第七学区の洋服店、セブンスミストよ!!」

 

……マジかよ。

 

「初春に連絡は?」

 

『白井さんがもうしてるわ!あなたは今どこに居るの!?』

 

「その現場ですよ!!」

 

『――えっ!?ちょ―――プープー』

 

俺はそういい残し通話を終了させる。

すると、タイミングよく近くのスピーカーからアナウンスが聞こえてくる。

 

『ご来場のお客様にご連絡します。現在当店の――――』

 

説明を聞く限り、客を混乱させないように偽造した表側の放送だろう。

俺は初春が動いたと察し、とりあえず、あの子を探す。

 

「………いない。」

 

見渡すが切りはどこにもいない。

俺はとりあえず、店内を探し回ることにした。

もちろん、どこまで行っても子供だ。アナウンスの意味など知らないに決まってるだろう。

それに下手したら爆発に巻き込まれるかもしれない。

ちょっとの間だ。そんな遠くには行ってないはず……!!

今自分がいるフロアを確認したがいなかったので俺は階段で一階下に降りる。

 

「……マジかよ。」

 

そこには避難する人で溢れかえっていた。

いや、この人たちはこれが避難だとは知らないため、我先にと言う人はおらず、ゆっくり移動していた。

しかし、量が量だ。

こんな人ごみの中あんな小さな少女が耐えれる訳がないだろう。

俺はその人ごみの中に入り、入り口を目指す。

外でとりあえず、あの少女を探すことにしたのだ。

数分後、外に出た俺は人ごみをかき分け少女を探したがどこにもいない。

 

「つーことは中か……?」

 

どうやら避難が終わったらしく、出入口の所には誰もいない。

俺は人ごみをかき分け、再度中へ向かう。

中は店員も避難し終わったようでもぬけの殻だった。

とりあえず、さっき少女がいた階の一階下をエレベーターで昇る。

エレベーターから降りると俺は少女の捜索を開始する。

探していると、目の前に初春と御坂の姿が見えた。初春の近くにはあの少女も。

すると、初春が少女の持っていたぬいぐるみを投げ飛ばし、叫ぶ。

 

「逃げてください!!あれが爆弾です!!!」

 

「―――な!?」

 

その刹那、激しい爆発がビルを揺らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある路地裏。

ある少年……介旅初矢は薄く笑う。

 

「クククッ……。」

 

その笑いは路地裏の奥に入るほど比例して大きく、激しくなっていく。

 

「(いいぞ!今度こそ逝ったろう!)」

 

介旅は自分の感情を抑えられずに声に出して言う。

 

「スゴイッ!スバラシイぞ!!僕の力!!徐々に強い力も使いこなせるようになってきたッ!!」

 

その声は路地裏全体に響く大きさまでに来ていた。

しかし、聞くものは誰もいない。

それは先ほど起きたセブンスミスト爆破のせいだろう。

ただし―――

 

「もうすぐだ!!あと少し数をこなせば無能な風紀委員(ジャッジメント)もアイツラもみんなまとめて……!!!」

 

――一人の反則を除いて。

 

「吹き飛ば―――ゴガッ!!」

 

少年は数バウンドしてプラスチックのごみ箱にぶつかる。

衝撃のせいで介旅の肺から空気がすべて出たのか、介旅は咳き込む。

 

「ゴホッゴホッ!!い、一体何が……!?」

 

介旅の目線の先にはある一人の男が立っていた。

そう、この学園都市の反則。北里修也だ。

 

「……要件は言わなくてもわかるよな?爆弾魔。」

 

その言葉を聞いた瞬間、介旅は今まで感じたことのないような恐怖に襲われた。

しかし、彼は高慢だった。

先ほどの爆発を起こせた。自分はこんなやつよりも強い。と、思っていたのだ。

 

「な、何のことだか、僕にはさっぱり……。」

 

「ま、確かに大した威力だったよ。……でもな、死傷者どころか誰一人掠り傷一つ負ってねぇよ。」

 

「バカな!?僕の最大出力だぞ!?」

 

「へぇ。」

 

「―――っは!?」

 

「い……いや、外から見てもスゴイ爆発だったんで……。」

 

介旅はゆっくりと修也に気づかれないように自分のカバンを開ける。

中には大量のスプーン。そのスプーンの一つを手に取る。

 

「中の人はとても助からないんじゃないかなと……思ってさ!!!」

 

そう言いながら介旅は持っていたスプーンを修也に投げつける。

すると、スプーンの重力子は急速に加速し一気に爆発する。

バゴォン!!と轟音が路地裏に響く。

 

「ハハッ!!どうだ!!これが僕の力だ!!!!」

 

介旅は自分が勝ったと信じて止まなかった。

そして、舞い上がった砂煙がビル風によって流され、現実を見た介旅は震えあがる。

足が震え、自重を支えきれなくなった足が崩れ地面に尻もちをつく。

 

「な、なななんで、傷一つないんだ……っ!?」

 

そう修也は無傷なのだ。

理由は簡単だ。ベクトル操作で爆発の際に起こったベクトルをすべて後ろに受け流しただけなのだから。

修也はテレポートで瞬時に介旅の前に移動し、尻もちをついた介旅の鳩尾あたりにそっと足を置く。

すると、介旅がどれほど反抗しようと力を込めようと逆らうことができず、地面にねじ伏せさせる。

そこで介旅は自分がどんな化け物と戦っていたのかに気づく。

 

「ハッ!今度は学園都市の反則さまか。」

 

「あ?」

 

「いつもこうだ……。何をやっても僕は地面にねじ伏せられる……。」

 

介旅は今まで胸の内に秘めていた感情を爆発させる。

 

「殺してやるッ!!お前みたいなのが悪いんだよッ!!風紀委員(ジャッジメント)だって……!!力のある奴は皆そうなんだろうがッ!!」

 

修也は少し足の力を緩める。

 

「そうだな。俺は善意で風紀委員(ジャッジメント)やってる訳じゃねぇ。」

 

「……は?」

 

「俺は偽善者だ。その気になれば何もかも奪うことができる悪党だ。力のある奴は自分の利益しか考えない……。お前の言うとおりだよ。でもな―――」

 

修也は足に再度力を込める。

介旅は呻き声を上げるが、気にしない。

 

「――別にそれが俺の友達を傷つけていい、子供を傷つけてもいい理由にはならねぇだろぉがよぉ!!!」

 

更に、力を込める修也。

 

「ぐがぁァああああ!!!」

 

「おい、お前、この程度で俺の気が済むとでも思ったのかよ!?」

 

「わ、悪かった!!僕が悪かった!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、修也は足を介旅から退ける。

介旅は数回咳き込んだ後、逃げようと試みるが、修也の殺気に当てられ身動きが取れない。

 

「じゃぁ、代償だ。」

 

「……え?」

 

「奪わせてもらうぞ。お前の―――」

 

修也が言い切る前に介旅の右腕の近くに置いてあったカバンがへこみ始める。

 

「―――腕を。」

 

ドガァンッ!!!!

ありえないほどの爆音とともに地面に血が飛び散る。

いや、血だけではない。肉片、爪、指。腕のあらゆる部位が地面に転がる。

 

「ぐがぁあああああぁぁぁぁああああああああ!!!!!」

 

介旅は絶叫する。

痛みに恐怖に絶望に。

何故なら、介旅の右腕は消えたのだから。

 

「大丈夫だ。いい医者を紹介してやる。たぶん、義手くらいは作ってくれるさ。」

 

「腕がッ!!腕がッ!?」

 

叫ぶ介旅は血が出ている右肩を押さえながら地面をのた打ち回る。

すでに爆発の炎で傷口は焼け、ふさがりかけている。

しかし、介旅は数秒後血が少なくなり、意識を失う。

修也はまるでゴミを見るような目で介旅を視線に入れ、数秒後後ろを向こうとするが修也は途中で体の動きを止めた。

何故なら、美琴が修也の背中にコインを持った手を付けているからだ。

 

「……なんでここまでしたの?」

 

「……簡単だ。こいつがお前たちを傷つけようとしたからだ。大体、今まで九人もの人を傷つけたんだ。十分な報いだろう。」

 

「アンタ、それ本気で言ってるの?」

 

修也は数秒開けて言った。

 

「あぁ。」

 

バヂィ!!と美琴の電撃が走る音が聞こえる。

これは警告だろう。

もし、次美琴の癇に障ることを言ったら、超電磁砲(レールガン)でぶち抜く、と。

 

「……撃っても良いんだぜ、御坂。でも、これだけは知っといて欲しい。」

 

「……何を?」

 

「俺には目的がある。その目的をもし、お前が邪魔するなら……――」

 

その言葉を口に出すのを修也はためらった。

しかし、修也は言う。

 

「―――容赦なくぶち殺す。」

 

美琴は殺気を感じた。

いつもどうでもよさそうな顔をしているあの北里修也からだ。

下手をしたら殺される。跡形も残さず消し飛ばされる。そう、直感で思ったのだ。

修也は美琴の警告を無視して後ろを向く、そして、そのまま路地裏を出ていく。

 

「……駄目だな。俺。」

 

修也はそんなことを呟く。

自分でもわかっていたことだった。

あんなことをすれば誰かにばれると。

 

「……明日か明後日か、また一人かな……。」

 

吹寄も縁を切ってくるかもしれない。

でも、それでも修也は気にしなかった。

あれが自分のしたかったことなのだから。

 

「外道だな。俺って……。」

 

修也は帰路について、家に向けて足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんか終わり方が変ですね。

とりあえず、補足説明しときます。

まず、初春たちを助けた方法なんですが

単純にテレポートして前に出て能力でかき消した、奪ったってことです。

んで、その奪った能力で介旅君の鞄をボカンってことです。

あと、久しぶりの三人称、疲れた。

よくわからないことがございましたら質問受け付けておりますので気軽に言ってください。

誤字脱字がありましたら教えてください。

では、次回は涼音ちゃん大活躍のオリジナル暗部ストーリーかも!?

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