とある反則の能力窃盗者   作:林檎

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今回は涼音ルートだけです。

オリジナルのストーリ書いてる時が一番燃えてきます(笑)

ついでに頑張って三人称で通してみました。

では、どうぞ!


Episode.15 暗闇の中での激戦①

 

 

 

 

 

「んだよ!?ついてねェ!」

 

学園都市のとある裏路地を大学生くらいの青年が走る。

その青年はちょっとしたことから学園都市の暗部に関わるようになった人間の一人だ。

しかし、任される仕事はすべて雑用。ろくな仕事は回ってくるはずもないし、雑用以外の危険な仕事をやりたいとも思わなかった。

だが、彼とその雑用をしていた仲間が稼げる仕事があると誘ってきたのが運のつきだったかもしれない。

 

「クソッ!なんでよりによって上層部御用達の組織に目を付けられるんだよ!?」

 

そう言いながら、青年は裏路地のつき当たりを右に曲がる。

しかし、その先は行き止まりだった。

青年は小さく舌打ちをして方向転換をする。

 

「わ!?」

 

「うぉ!?」

 

後ろを振り向いた瞬間目の前に高校生くらいの女性が居たので青年は思わずよろめき後ろの壁に背をもたれる。

 

「び、びっくりした~……、いきなり振り返らないでよ!」

 

「うっせぇ!大体なんでテメェみたいなやつがこんなところに……―――ッ!?」

 

青年は今更気づいた。

その少女の右手が血塗れな事を。

 

「ま、まさか……ッ!?」

 

少女はゆっくり首にかけている笛を咥える。

 

「その笛、まさか、お前が、レベル5第8位『音の女神(アポロ)』……!?」

 

少女が笛を吹いた瞬間、青年の頭部が弾け飛ぶ。

 

「ふぅ、これでしゅうりょーっと……。」

 

『お疲れ、涼音。今、処理班をそっちに送ってるわ。あなたは帰ってきなさい。』

 

通信機も何もないのだが、涼音の耳にはちゃんと仲間の千秋の声が聞こえる。

 

「うん。ご飯はある?」

 

『んー、シャケ弁じゃだめ?』

 

「えー。ま、いっか。」

 

少し嘆息しながら涼音は後ろを向く。

そして、路地のつき当たりから一人の青年が出てくる。手には拳銃を持っている。

 

「はぁはぁ……!」

 

「……。」

 

涼音はしゃべらない。

しかし、拳銃の銃口は涼音に向けられている。

 

「し、しねぇ!!!!」

 

引き金が引かれる前に、男の頭が弾け飛ぶ。

しかし、涼音は能力を使っていない。なぜなら涼音の能力使用条件に『元となる音』がいるのだ。

すると、涼音の耳に声がまた聞こえる。

 

『油断しちゃダメよ?』

 

「別に大丈夫だったのにー。」

 

千秋は今、見晴らしがいい高いビルの屋上に居る。

千秋は手に持っているスナイパーライフルのボルトを引く。すると、薬莢が飛び出る。

その薬莢を拾い、ポケットの中に入れる。

 

『それにしてもちーちゃんの狙撃術はぴか一だね。見事にこめかみの所に当たってるや。』

 

耳から聞こえてくる涼音の声を聞き、ライフルを分解し始める。

 

「ターゲットは全員始末いたし、さっさと帰りましょ。」

 

『りょーかい。』

 

千秋は近くにあるギターケースにバラバラになったライフルの部品を一つ一つ収納する。

 

「やっぱり今日はサバ缶にする?」

 

『えー、シャケ弁でいいよー。』

 

これは闇の世界のちょっとした日常。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ~。」

 

涼音は女子としてらしからぬ大きな欠伸をする。

背中を伸ばし、こった首を回す。すると、首が気持ちよくなる。

 

「ちょっと、だらしないわよ。涼音。」

 

「ごめんごめん。」

 

涼音はそう言いながらテーブルに置いてあったコップを手に取り、中の激甘に作ったコーヒーを一口含む。

ここは第八学区にあるアパートの一角。いつものアジト。

そこに学園都市の暗部組織『メロディ』の千秋と綾崎涼音は居た。

 

「それにしても、りーだー遅いね。」

 

「まぁ、リーダーの奴が一番厄介らしいわ。」

 

「え?じゃぁ、私が行けばよかったんじゃないのかな?」

 

そういう涼音に対して銃の手入れをしながら千秋は返答する。

 

「貴方には一番無理よ。なんたってスパイとして研究所に潜入して重要な情報を盗ってくるて言う仕事よ?」

 

「わぁー。私だったら研究所を無力化してからやるからなぁ~。」

 

「それじゃぁ、足が残っちゃうでしょ?そういう事よ。」

 

すると、涼音がドアに目を向ける。

それと同時にドアが開く。

 

「あ、りーだー。お帰り。」

 

「おう、ただいま。」

 

メロディのリーダーの帰還だ。

彼はきっりちスーツ姿で手にはノートパソコンが入るくらいのカバンを持っている。

それを地面に置くと、上着を脱ぎながらネクタイを緩める。

 

「お前ら、うまくやってくれたみたいだな。」

 

「ま、雑魚が五人ほど来ただけよ。」

 

今日の依頼のメインは情報の強奪なのだが、あの研究所の味方に学園都市第2位『未元物質(ダークマター)』率いる『スクール』が存在した。

今、真っ向からぶつかり全面戦争となったらどうなるかわからない。隙を見て別の組織が襲撃してくるかもしれないので危険性を考慮し隠密行動とした。

一ヶ月にも及ぶ潜伏期間のうち、厄介ごとが起きないように毎日外を見張っていたのは千秋と涼音だ。

余談だが涼音にはスクールのことを伏せている。千秋とリーダーは前々から涼音が垣根帝督を敵視しているのを知っていたのであの仕事がスクールに直結していると知れば暴走してもおかしくなかったのである。

今のメロディに、いや学園都市に暴走した涼音を止める手段はないだろう。あの反則を除けば、の話だが。

 

「それにしても意外だったわよね。機械系はリーダー得意だし……。」

 

「狙撃系は千秋が得意だもんな。」

 

「そうそう!今日のちーちゃんの狙撃すごかったんだだよぉ!」

 

千秋は涼音を横目にため息をつきながら言う。

 

「涼音には能力以外に秀でた才能はないけど……。」

 

「むむっ!?それは心外だよ!ちーちゃん!!」

 

「じゃぁ、何ができるのよ?」

 

「えーっと、楽器全般なら……。」

 

「……夢は武道館ライブ?」

 

「残念!夢はお嫁さんだよ!」

 

「無理だな。」

 

「無理ね。」

 

「え!?」

 

すると、涼音の動きが止まる。

 

「どうした?」

 

「りーだー。携帯なってるよ。」

 

「え?」

 

そう言われ、カバンに入っている携帯を取り出すとブーブーとマナーモードだが確かに音声着信が来ていた。

 

「おー、流石涼音。」

 

「えっへん!」

 

リーダーは胸を張っている涼音を苦笑いで見ながら電話に出る。

 

「もしもし。」

 

『お、出たな。さっきの依頼よくできたな。報酬はがっぽり入れといたからな。』

 

メロディに指示を出している学園都市の上層部だと思わっれる男の声。

名前も顔もわからないのだが、メロディに依頼を持ってくる。

 

「あぁ、今回は結構やばかった。色々、面倒な依頼ばっかり持ってきやがって。」

 

『おいおい。こっちはお前らの能力を買って依頼してんだ。文句は言うなよ?』

 

リーダーは一回ため息をつき、問う。

 

「で、お前がそんな事を言うためだけに電話してくるはずがないよな?次の依頼か?」

 

『ご名答。流石だなリーダー。惚れちまいそうだ。』

 

「やめてくれ、ゾッとする。」

 

『冗談だって。えっと、とりあえず、説明始めるぜ。』

 

「待ってくれ。」

 

そう言いながら携帯を操作し始める。

 

「新しい依頼?」

 

千秋が問う。先程の様な顔はしておらず、スイッチが入ったようだ。

 

「あぁ。涼音もよく聞いとけよ。」

 

「うん。」

 

リーダーが携帯をテーブルの上に置く。

携帯はスピーカーモードになっておりあちらの声が響いて聞こえる。

 

『もういいか?』

 

「あぁ、始めてくれ。」

 

『まず、今回は学園都市に存在するとある研究所を潰してほしい。』

 

「へぇ、お前らが潰してほしいって言うくらいだから相当危ない実験でもしてんのか?」

 

『その通りだ。奴らは置き去り(チャイルドエラー)を使った非人道的実権を繰り返し行っている。』

 

「それはあなたたちがいつもやってる事じゃない。」

 

『今回は訳が違う。その実験は学園都市には有益なものではない。逆に不利益だ。』

 

「どんな実験なの?」

 

『君たちが知ることではないよ。』

 

「えー、けちー。」

 

『では、その研究所は第一学区に存在している。住民は少ないから派手にやってもあまり損害は出ないだろう。』

 

「そこまで派手にはしねぇよ。問題は警備だ。」

 

『詳しいことは後でメールで送信する。今は簡単なことを言おうか。』

 

電話の男は一息ついて言う。

 

『相手にはレベル4が3人ほどいる。気を付けろ。以上だ。』

 

そう言った男は通話を終わらせる。

リーダーは携帯を取り、ポケットの中にしまう。

 

「つー訳で、作戦決行は明日でいいな?今日は体を休めるよーに!作戦は俺が練る。気にするなよ。」

 

「大丈夫なの?レベル4が3人も居るらしいわよ?」

 

「大丈夫だ。こっちにはレベル5が居るしな!」

 

「……へ?私?」

 

「……心配になってきたわ。」

 

「奇遇だな。俺もだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の夜。

メロディのメンバーは第一学区に存在する研究所の前の道路にワンボックスカーを止め息を潜めている。

 

「じゃぁ、作戦について説明するぞ。」

 

リーダーがそう言いながら目の前にあるパネルを操作する。

パネルには研究所の地図が表示される。

 

「まず、ここの研究所の最高責任者を確実に殺す必要がある。」

 

「どこにいるの?」

 

「施設の一番奥だ。それより、問題はこっちだ。これを見てくれ。」

 

そうリーダーが言うとパネルに画像が表示される。

 

「なにこれ?」

 

「簡単に言うと核シェルターみたいなもんだ。ま、学園都市特製だから普通の核爆弾でも傷一つ付かないと思うけどな。」

 

「もしかして、この中に隠れてるの?」

 

「その通りだ。しかもセキュリティもしっかり。ボディガードもレベル4の奴らしいし、はっきり言って手の打ちどころがないって感じだな。」

 

「じゃぁ、どうするの?」

 

涼音の質問にリーダーは即答する。

 

「まず、ターゲットの方は千秋に任せよう。お前の能力だったらこれくらいは壊せるよな?」

 

と、言いながらリーダーは千秋の方を見る。

 

「まかせて、この世のある物質なら私に分解できないものはないわ。」

 

「任せたぞ。そして、俺と涼音は能力者の相手だ。」

 

「二人で三人相手するの?」

 

「そうだ。涼音なら二人くらい楽勝だろ?」

 

「うん。能力にもよるけどね。」

 

リーダーは車のドアを開け、外に出る。

 

「よし、ミッションスタートだ。」

 

涼音たちはその一言で動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウーウーウーッ!

警報が研究所に鳴り響く。

 

「来たか。」

 

「おいおい。予定よりちょっと早くね?」

 

「………。」

 

研究所の地下二階。

そこには三人の能力者が居た。

 

「つーか、メロディって強いの?」

 

金髪で煙草を口にくわえた青年が訊く。

その目線の先には厚い筋肉を纏った屈強な兵士の様な男が座っている。

 

「強い。あの天才科学者、天上博士が開発した原石、『音の女神(アポロ)』が居るからな。」

 

すると、机の上に置いてあるモニターに四十代後半の男性の顔が映る。

 

『やぁ、諸君。気分はどうだい?』

 

「んー、別にー。」

 

「問題ない。」

 

『それじゃぁ、君たちは作戦通りに動いてくれたまえ。』

 

「りょーかい。」

 

そう言いながら金髪の男は咥えていた煙草を灰皿に押し付けて火を消す。

 

「あ、そそ。そいつらの顔とか知らないから見せてくれよ。」

 

『よかろう。』

 

すると、モニターが切り替わる。

そこには研究所の廊下を走っている三人組が映っている。

 

『真ん中の子が綾崎涼音だ。』

 

「じゃぁ、あの横の男が俺の相手かぁ……。」

 

「………。」

 

「おいおい。千春ちゃんよぉ。ホントに殺っちまうのかぁ??」

 

「……関係ない。私は、命令されたから、殺す。それだけ。」

 

「うっお~。こわっ。」

 

「煩いぞ。」

 

「はいはい。黙っときますよぉーだ。」

 

そう言いながら金髪の男は新しい煙草を咥え、火をつける。

 

『では、よろしく頼むよ。』

 

モニターの電源が切れる。

三人はほぼ同時に立ち上がり、指定された場所に移動し始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やけに静かだね。人の気配がないみたい。」

 

涼音がそう言うと、リーダーが周りを見渡す。

 

「罠にでもはめられたか?」

 

「それにしては何もないじゃない。」

 

すると、涼音が足を止める。

 

「どうした?」

 

「二人、足音が聞こえる。」

 

「二人?三人じゃないのか?」

 

「うん。もう一人は……ごめん、どこにいるのかわからない。」

 

すると、突然リーダーの顔めがけて一筋の光線が走る。

しかし、その光線はリーダーの頬を掠る。

 

「あーあ、はずれちゃったー。」

 

暗い廊下の奥から出てきたのは金髪で煙草を咥えている青年と屈強な兵士の様な身体つきをした青年。

 

「早いご到着だな。」

 

「敵の情報を盗むのも兵法の一つだ。」

 

兵士の様な男が言う。

 

「情報は洩れてたっつーことか……。」

 

すると、涼音が千秋の方を向いて言う。

 

「ちーちゃん。こんなやつら一瞬で片づけるから先行って。」

 

「うん。」

 

涼音が笛を咥えた瞬間、兵士の様な男が姿を消す。

 

「―――!?」

 

男はいつの間にか涼音の背後にいた。

 

「俺は飯沼と言う者だ。殺し合いをやろうではないか。綾崎涼音。」

 

飯沼は涼音の腹部に回し蹴りを当てる。

体重の軽い涼音は二メートルほど吹き飛ぶ。何とか足と手を地面につけ、体勢を保つ。

 

「―――っく!?」

 

「涼音!?」

 

「おっと、よそ見は禁物だぜぇ?メロディのリーダーさん!」

 

リーダーは慌てて視線を前に向けると猛スピードで走ってくる金髪の男がすでに二メートルほどまで迫っていた。

金髪の男が手を前に出すと球状の激しい光を放つものが生まれる。

 

「っく!?」

 

リーダーはとっさに能力で壁に穴を開け、穴の中に飛び込む。

 

「いい判断だが、ちょっと、無駄かな!!!」

 

金髪の男が手をリーダーの居る方向に向ける。

すると、光の塊が一筋の線になり、それは壁を溶かし、リーダーの右腕あたりを掠る。

 

「くっ!?」

 

「リーダー!!涼音!!」

 

叫ぶ千秋を横目に入れながら涼音は笛を咥え、一度吹き、音速移動で飯沼と距離を取る。

 

「……ちーちゃん。リーダーと私は気にせず行って。」

 

「でも……。」

 

「大丈夫だよ。こんなの一瞬で蹴散らしちゃうから!!」

 

「……わかった。絶対に死なないでよ?」

 

「……りょーかい。」

 

千秋は振り返り、ターゲットが居ると思われる方向へ走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ……この辺のはずなんだけど……?」

 

千秋は荒い息を整えながら立ち止まっていた。

涼音とリーダー、仲間を信じ、背を向け、ターゲットに集中することにしたのだ。

しかし、走り続けてもターゲットが居ると思われる場所にたどり着けずにいた。

千秋はポケットから小さな端末を取り出す。

数秒操作すると、リーダーに事前に配布されていたこの研究所のマップが表示される。

 

「……もうちょい先か。」

 

千秋は再び走り出そうとするが、足を止める。

前に人がいるからだ。

 

「……あなたが三人目。って言う事ね。」

 

千秋の目線の先にはゆっくり近づいてくる人影が見えた。

千秋の場所からは上手く顔までは見えない。

 

「………。」

 

人影は少しずつ近づいてくる。

そして、足が見え、体が見え、顔が見えた瞬間、千秋の呼吸が止まる。

 

「……千春?」

 

千秋は無意識で呟いた。

千春。

その子は四年前以上に死んだはずの千秋の妹。

殺されたはずの妹。

 

 

 

 

 

 

 

つづく。




一話完結、できませんでした。

お手数かけてすみません。

一応、ここでおさらいしときますね。

千秋の能力は物質分解。読みはマテリアルデグレイションです。

名前の通り物質を原子、分子、素粒子と分解できる能力です。

リーダーの能力ですが、詳しい説明やらは一回も出てませんがお分かりの方もいると思います。

簡単に言うと重力操作です。単純ですみません。

そして、涼音ですが……、もういいですよね?音の能力です。原石です。以上!

ま、こんな感じですがいろいろと今回は謎を多く終わっちゃいましたね。

その辺についても次回明らかになります。

では、誤字脱字などがありましたらご報告してください。

長文失礼します。
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