とある反則の能力窃盗者   作:林檎

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みなさん、お久しぶりです。はじめての方は初めまして。

色々と試行錯誤した結果、なんか今回はほとんど科学だけになってしまった。

まぁ、問題はないでしょう。

定期テストが近いですし、更新速度はさらに落ちます。すみません。そしてご了承ください。

では、どうぞ!


Episode.19 木山春生

 

 

 

昔あった出来事だ。

ある施設の先生が俺と涼音が暮らす施設に出張に来たのだ。

その先生は俺と同じような親に捨てられた生徒、置き去り(チャイルドエラー)が集まるクラスの担任をしていたらしい。

だが、実際は大脳生理学の研究者で主にAIM拡散力場を専攻にしていると博士から聞いた。

俺の能力の開発に少しだけだが関わったとなっている。

その先生の名は木山春生。

目の下にできた大きな隈が特徴だ。

逆にそれしか特徴がなく、印象的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……暑い。」

 

俺は小さくそう呟く。

日本特有のじめじめした湿気の多い暑さは嫌いだ。

暑さが肌に纏わりつくような感覚ははっきり言って大嫌いだ。

 

「ここか……?」

 

俺の目線の先には水穂機構病院と掲げられていた、病院がある。

今朝、変なシスターがベランダに引っかかっており、それの対応をしている時に白井からの電話でこの病院に来るように指示をされた。

何だかんだあったが結局、上条は補習へ。インデックスは自分を匿ってくれる教会へと向かった。

俺はドアから入ろうとするが、自動ドアが開かないことに気づく。

そう言えば停電していたのを忘れていた。

俺は自動ドアを手動で開ける。いつも簡単に開いてくれるドアは案外重たい。そして、この暑さによる気怠さによりさらに重く感じる。

ドアを潜り、中に入るとそれはもう、中は地獄のように暑かった。

全てのドアや窓が手動で開く訳ではないらしく、中は蒸し風呂状態だった。

数回キョロキョロすると、受付の前のベンチに白井が座っていた。何故か御坂と。

 

「……おいおい、マジかよ。」

 

御坂美琴。学園都市第3位電気使い(エレクトロマスター)別名超電磁砲(レールガン)

数日前、とある事件で御坂に不味い現場を見られ、本気で脅したら少し仲が悪くなってしまった。

白井の話だと俺にひどく怯えてるとかなんとか……。

今ここで再会するとやっぱり気まずい空気になってしまうだろう。

だからと言って白井に呼ばれてるし、ここまで来てサボるのもおかしいだろう。

 

「はぁ、こんな事ならエセ魔術師について行けばよかったよ。」

 

「エセ魔術師ってなんですの?」

 

「うおっ!?」

 

突然俺の前に姿を現せた白井黒子。

 

「お、お前!さっきあそこにいたじゃないか!?」

 

「北里さん?暑さで私の能力すら忘れてしまいましたの?」

 

いいや、ばっちり覚えてるはずだ。

だが、俺はお前がまだ俺に気づいてないと見込み、油断をしていた。

突然人が目の前に現れビックリしない方がおかしい。

すると、白井が小さな声で俺に喋りかけてくる。まるで、御坂に聞こえないようにするための様に。

 

「今日はお姉様はご機嫌がよろしいですの。何があったかはわかりませんが今のうちにお姉様に謝ったら逆鱗にも触れないでしょう。」

 

「なんで機嫌がいいんだよ?」

 

「北里さんがよく知っている類人えn――ゴホン、殿方と追いかけっこしてたんですの。」

 

「……だから停電したのか。おかしいと思ったよ。雨も降ってないし雲すらなかったのに急に落雷とか……。」

 

上条。お前はホントに罪深きものだ。

それにしてもアイツはクラスの女子(制理以外)にフラグを立てて、しかも回収をしないというのを御坂にもやったのか。

それはなかなかできないことですごい事と言うのはわかるが、それのせいで白井が機嫌が悪い。

はぁ、ホントにエセ魔術師について行けばよかった。

 

「……って御坂は?」

 

「ですから、追いかけっこのせいで徹夜で疲れて御就寝してますの。」

 

そう言いながら白井は先ほどまで座っていた椅子の方を指差す。

そこには暑いのにもかかわらず、コクンコクンと首を振っている御坂の姿があった。

……おっと、あきれてる場合じゃない。俺には大事な用もある。

 

「じゃぁ、さっさと状況を教えてくれ。」

 

俺はそう言いながらポケットから腕章を取り出し、右腕あたりにつける。

 

「とりあえず、今専門家の方に介旅初矢を含めた同じ症状の人を見てもらってますの。」

 

「……同じ症状?」

 

「……これはわたくしも先ほど知りましたの。今週に入って身体に異常のない学生が意識不明で次々と倒れてるらしいですの。」

 

「……なんかの能力によるテロか?」

 

「その可能性を確かめるため今見てもらってますの。」

 

「ふーん。」

 

俺は素っ気ない返事をする。

すると、奥の廊下から数人の白衣を着た人が出てくる。

どうやら雰囲気からして彼らが専門家チームだろう。

そして、最後に出てきたのは肩までかかる少し長い髪に目の下に大きな隈を持つ女性。

よれよれの白衣の両サイドのポケットに手を突っ込んでいる。

いかにも研究者という顔。そんな顔を俺は見たことがあった。いや、知っている顔だった。

確か、昔。数年前、俺と涼音がまだ一緒で博士が健全だった頃。そう、確か涼音が変なあだ名をつけていた。しかし、あだ名は覚えてない。

俺はなんてこの人のことを呼んでいた?確か―――

 

「――木山先生?」

 

「君は………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お姉様、終わりましたわよ。お姉様。起きてくださいな。」

 

白井は浅い睡眠から深い睡眠に入りかけている御坂に声をかけた。

何回か肩を揺らす。しかし、御坂の返事はない。

 

「おね……。」

 

白井の言葉が途切れたと同時に白井の目が獲物を捕る獣の目になった気がするのは気のせいなのだろうか?

すると、白井の口から少量のよだれがタラーッと出てきた。

気のせいではなかったようだ。

そのよだれを手の甲でふき取るとゆっくりと御坂に顔を近づける。

 

「では……ここは一つ目覚めのキスで――」

 

そう言いながら白井の唇は御坂の唇に向かってゆっくりと近づき、そして――

 

「―――ふぁ?」

 

いいタイミングなのか悪いタイミングなのかわからないが御坂が変な声と共に起きる。

まぁ、白井にとっては完全に悪いタイミングだ。

すぐさま御坂は白井が自分に何をしようとしたかを寝ぼけながらも察し、御坂の握り拳は白井の頭にめり込む。

流石に病院と言う事もあって御坂は電撃を使わなかった。

 

「普通に起しなさいよ!」

 

「起きなかったではありませんの~。」

 

「……変な誤解受けるでしょーが。」

 

そう言いながら御坂の目線が横にずれ、研究者を見る。

 

「ふふふ、既成事実は周りから築き上げていくものですのよお姉様。」

 

ゴチン。

今度は御坂の拳が白井の頭に火を噴く。

 

「下らねえことやってねえで御坂は顔でも洗って来い。」

 

俺がそう言うと御坂はギョッとした顔をし、先程まであった声ではなく小さ目な声で言う。

 

「……わかってるわよ。」

 

と、いい残しトイレの方へ行く御坂。

どうやらまだ脅しが利いているようだ。

静かなのはいいが流石にあれじゃあ関わりずらい。

ま、仕方ないか。

 

「とりあえず、同僚がバカなことしてたんで自己紹介が遅れましたね。木山先生。」

 

「別にかまわないよ。北里君。」

 

そんな挨拶を交わしていると白井が言う。

 

「お二人は知り合いですの?」

 

「まぁな……。俺の能力の研究を担当してた研究員の友人?かな。」

 

「ふふ、とんでもないよ。北里君。一介の研究者である私とあの天上博士を一緒にしないで欲しい。」

 

「天上博士?どこかで聞いたことが……?」

 

白井が素朴な疑問を口に出すと木山先生は淡々と答えた。

 

「当たり前だよ。天上博士はレベル5を3人も作り上げ、AIM拡散力場の発見から始め、能力開発の基礎を作った天才科学者だよ。私など……あの人の足元にも及ばない。」

 

「……北里さんはそんな人に能力を開発してもらったのですの?」

 

「あぁ。」

 

俺は白井の質問に対し、短く答えた。

 

「……では、本題に入ろうか。君たちが担当の風紀委員(ジャッジメント)で間違いはないか?」

 

「は、はいですの!」

 

「……昏睡状態の学生は?」

 

「私は医者じゃないから治すことはできない。こうなった原因を究明するのが仕事だからね。」

 

とりあえず、今わかっていることを簡単に整理しよう。

まず、その昏睡状態になっている学生の中には実際の能力と書庫(バンク)に登録してある能力とに差がある。

例を挙げるなら以前起こった虚空爆破(グラビトン)事件の犯人、それに夏休み前に起こった銀行強盗の発火能力者(パイロキネシス)とかだ。

しかし、それらの犯人や昏睡状態の学生などには能力的共通点はない。

すると、俺の思考の隅で何かが引っかかる。

そう言えば、今まで見てきた能力者は書庫(バンク)に登録した能力が変わるわけではない。どちらかと言えば能力が強くなっている。いや、レベルが上がっていると言っても過言ではない。

短期間でレベルを上げる方法……、俺はそれを誰かから聞いたはずだ。

確か……―――

 

「―――幻想御手(レベルアッパー)……。」

 

「え?」

 

俺がそう言うと真っ先に食いついて来たのはいつの間にかトイレから帰ってきた御坂だ。

しかし、反応を示しただけで少し俺に引け目で話しかけてはこなかった。

 

「……幻想御手(レベルアッパー)?なんだい、それは?」

 

そう訊いてきたのは木山先生だ。

俺は以前、佐天さんに教えてもらった事を思い出しながら説明する。

 

「……都市伝説の一つですよ。使うだけでレベルが簡単に上がるって言う。」

 

「北里さん?貴方まで佐天さんと同じような事を言いますの?」

 

そう言って、バカを見る様な目で俺に言う白井。

 

「無視はできないさ。その幻想御手(レベルアッパー)を使った時の副作用とかで昏睡状態に陥る。ってなると書庫(バンク)との食い違いと昏睡状態の辻褄が合う。」

 

「……なんの根拠があって言ってるの?」

 

ようやく口を開いた御坂はそう尋ねてきた。

 

「根拠は確定できるもんじゃねぇ。だけど、昏睡状態の学生の中には書庫(バンク)の情報と能力の値が合わないケースもある。全員がそうとは言い切れないかもだが……。無視はできない。」

 

「……簡単に能力を上げる、か……。それは私たち科学者にとっても能力者にとっても夢の様なものだな。」

 

そう言って何か感慨深そうに言う木山先生。

 

「……一応、白井は初春に頼んでインターネットを調べてもらっといてくれ。今日、病み上がりの初春には悪いけどな。」

 

「了解ですの。」

 

白井は返事をすると、スカートのポケットから携帯を取り出し操作する。

電話をしていないと言う事はメールで済ませたのだろう。別に問題はないので俺は何も言わない。

 

「……じゃぁ、先生が脱ぎだす前に涼しいところに行きますか。」

 

その数秒後には木山先生が服のボタンを外しかけるので俺が能力で無理矢理止めたのは想像ができるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

第七学区にあるとあるアパートの一室。

そこにメロディのメンバーが集まっていた。

 

「……じゃぁ、大脳生理学者、木山春生についての情報収集に行きたいと言いたい所だが……、どうした涼音?ソワソワして?」

 

そうメロディのリーダーが工作員の一人綾崎涼音に問う。涼音は浮かない顔で言った。

 

「……えっと、はるみー先生は知り合いって言うか……顔見知りって言うか……、会うのはちょっと不味いかも……。」

 

「知り合い?それって涼音が前居た研究所に居たってこと?」

 

狙撃の名手、千秋は涼音に訊く。

 

「うん……。私の能力の開発担当じゃなくて、しゅうくんの方なんだけどね……。」

 

「しゅうくんって誰ですか?姉さん?」

 

そう涼音に訊いても分からないと思った千春はこのメンバーの中で一番涼音との付き合いが長い姉の千秋に訊く。

 

「えーっと、確かレベル5第0位の反則だっけ?」

 

「うん。名前は北里修也。だからしゅうくん。」

 

「は、反則ですか……。」

 

涼音の意外な知り合いに千春は唖然とする。

 

「まぁ、反則の事は今はどうでもいい。今重要なのは木山春生の方だ。涼音、覚えてる事でいいから何かあるか?」

 

「胸が大きかった!!」

 

即答で答える涼音。

別に涼音に悪気があるという訳ではない。

 

「……確かに重要な情報だ。だが、もっといい情報は……?」

 

リーダーは呆れ気味に涼音に再度問う。

しかし、この時点で涼音以外のメンバーは全員いい情報はもう出てこないだろうと思っている。

 

「他に印象に残ってるのは目の下にでっかい隈があったよ。あと、確か……えーあいえむ?だっけ?まぁいいや。なんかそんなのをせんこーしてるって聞いたよ。」

 

「AIM拡散力場を専攻にしている……。目の下に大きな隈……。確かに涼音の言っているはるみー先生とやらは木山春生で間違いないようだな。」

 

すでに涼音が言っている人物が木山春生かどうかすら疑っていたリーダー。

 

「一応、今回の依頼はその木山春生の捕獲……らしい。」

 

そう依頼内容をメンバーに伝えるリーダー。

しかし、不安は残る。

数秒の沈黙の後、最初に喋ったのは千春だ。

 

「で、そのはるみー先生とやらは何をしでかしたんですか?暗部の方に依頼が回ってくるとなるとそれなりの理由がありますよね?」

 

「いい勘だ、千春。確かに何をやったかは俺たちの知る余地もないが……、今回の依頼人が特殊でな。推測を立てる為に情報収集をしようと思ってな。」

 

「肝心の依頼人って誰?」

 

そうリーダーに問う千秋。

 

「学園都市統括理事長。」

 

「はぁ!?」

 

「えっ!?」

 

「ふぇ?」

 

上から千秋、千春、涼音だ。

千秋と千春が驚いたのも訳がある。

学園都市統括理事長。この世界の科学技術の結晶の学園都市のトップ。

あの第七学区に存在する『窓のないビル』の住人。

長年暗部をしてきたメロディにも関わりはない。

そんな人間の一言によって自分の命さえも消せてしまう、ある意味一番関わりたくない人間。

そんな人間からの直接に依頼。リーダーが不審に思うのも無理はない。

 

「……なんで、そんな人から直接ですか?それなら関わりが多いと思われるスクールに依頼すれば……。」

 

そう怯えた顔で訊く千春。

怯えるのも仕方がない。相手は学園都市の支配者だ。

 

「そうだ。だから、俺は理由が知りたい。なんでそんなトップが俺たちなんかに依頼をしたのか……。とりあえず、ろくな事にはならない。今回の依頼は用心しろよ。」

 

「了解です。」

 

「分かったわ。」

 

「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

とあるファミレス。

木山春生と御坂美琴、そして風紀委員の白井黒子と反則の北里修也はそこにいた。

席は少々広いが六人席。手前の奥に修也、白井と並び、修也の前には木山春生、その隣に美琴という感じの席順である。

各々の注文を済ました後で木山春生は口を開いた。

 

「さて先程の話の続きだが、同程度の露出度でも何故水着はよくて下着は駄目なのか―――。」

 

「「いや、そっちじゃなくて。」」

 

息をそろえて言ったのは美琴と白井。

 

「やっぱり、水着は見せる前提で着ますし……、それに下着の方が少し卑猥な色とか厚さとかじゃないですか。」

 

「え?続けるの?乗っちゃうの!?」

 

美琴のつっこみは空しくも空振り。

 

「そうだな……いや、しかし、この世の中には見せる前提で下着を買う人もいるぞ?」

 

「……確かにそうですね。でも、それは誘惑したい異性に見せるものだと思います。それに対して水着は不特定多数に見せています。」

 

「だが、どちらにしろ誘っているのには変わりがないぞ?」

 

「いや、本気で議論しないでくださいまし。」

 

美琴から変態の称号を貰った白井でもこの会話を止めた。

確かにいい齢した女性と男子高校生が水着と下着の議論を本気でする所など誰が望むであろうか?

そして、気を取り直して本題に戻る。

 

「北里君の話をまとめると、ネット上で噂で『幻想御手(レベルアッパー)』なる物があり、それが昏睡した学生たちに関係してるんではないかと、そう考えてる訳だ。」

 

「はい。」

 

白井がそう答えると続けて修也が言う。

 

風紀委員(ジャッジメント)の本部の方に連絡したところ、学生に注意を促すって案も出たらしいんですけど、まだ得体の知れない代物だから現段階では公表を見送って実態調査することに決定しました。」

 

「……ふむ、君たちの仮定が正しいとするなら妥当な判断と言える。」

 

そう言うとウエイトレスさんが来て、注文した飲み物を置いてくれる。

木山はアイスコーヒーを自分の前に持ってき、ミルクを入れる。そして、ストローで混ぜながら言う。

 

「能力のレベルが簡単に上がるといった効能や使用者が植物人間になると言った情報がひとり歩きした日にはまとまるものもまとまるまい。で、何故そんな話を私に?」

 

その質問は白井が答える。

 

「能力を向上させるという事は脳に干渉するシステムである可能性が高いと思われます。ですから―――」

 

「『幻想御手(レベルアッパー)が見つかったら、私にそれを調査してほしいと?」

 

「はい。」

 

白井は短く答える。

 

「構わんよ。むしろ、こちらから協力をお願いしたいくらいだ。」

 

「ありがとうございます。」

 

と、白井は礼儀正しくお辞儀をする。

そして、修也はふと外を見ると少し身を引く。

 

「び、ビックリした……。」

 

「へ?」

 

そこには窓ガラスにべっだり張り付いている佐天と恥ずかしそうにそれを見ながらこちらに手を振る初春がそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、何とか木山先生との会談を終わらすことができた俺たちは各々とバラバラになっていった。

 

「……いつの間にか佐天さんと御坂はいないし、お前らはどうすんの?」

 

そう俺は風紀委員(ジャッジメント)の同僚である白井と初春に訊いた。

 

「初春には支部に戻って『幻想御手(レベルアッパー)』について情報収集してもらいますの。」

 

「は、はい。分かりました。白井さんは?」

 

「わたくしは……そうですわね。緊急事態ですから少々強引な手段を取らせてもらいますの。」

 

「……出来のいい後輩に恵まれてるな。俺は。ってことで頑張れ。」

 

と俺が他人任せな台詞を言うと、白井が突っかかってくる。

 

「何言ってますの!?貴方も付いて来るんですの!!」

 

「嫌だよ。めんどくさい。大体、俺にはやらなきゃいけないことがあるんだよ。」

 

そう。やらなきゃいけないこと。

簡単に言うと人探し。

 

「無理矢理でも連れて行くと言ったら?」

 

「……言わなくてもわかるだろ。」

 

俺は視線に殺意を込める。

初春は少し肩をビクッとさせる。しかし、御坂でも怖気づいた殺気に白井はビクともしなかった。

 

「……わかりました。貴方がそんな目をすると言う事はただ事ではないのは分かったですの。では、わたくし達の邪魔をしないようにさっさとどっかに行ってしまってくださいな。」

 

「……了解。」

 

俺はそういい残し、テレポートで我が家に向かう。

帰る道中、頭の隅にあったあの言葉がフラッシュバックする。

 

―――じゃあ、私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?

 

その一言を放った少女は今、どこで何をしているか。

そんな事は今の俺にはどうでもいい。

しかし、地獄の底。その単語だけが俺の頭から離れようとしなかった。

 

「地獄の底か……。上等だ、地獄の底でも奈落の底でもどこでも行ってやる。アイツをぶち殺して涼音と一緒に制理の元に帰ってやる。」

 

何が何でも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寮に着くとすでに太陽は西に沈みかけていた。

しかし、なんだか世界が沈黙したように寮は静かだった。

どうやらすでに寮内の生徒は帰省しているだろう。

残念ながら俺には親はいない。いや、もちろん生物学上の親は居るだろうが、会いたくはない。

俺を生まれてすぐ捨てた奴らだ。人間とは思いたくない。今、俺の親と名乗る奴が今更出てきたら消し炭にしてしまうかもしれない。

『お前らのせいで俺は幸せを失った。楽しみを失った。大切な人を失った。』と言い。

もちろん、ただの八つ当たりだろう。だが、しないと気が済まないのは仕方ないかもしれない。

エレベーターに乗り、七階を選択すると、エレベーターは静かに上に上がる。

七階に到着し、自分の部屋に向かって歩き出す。

しかし、そこで異様な光景を目の当たりにする。

 

「……ん?」

 

おかしいと思ったのはまず清掃ロボ(ドラム缶)が俺の家の前に三台も居る事だ。

 

「……土御門あたりが悪戯で変なもんでも置いたか?」

 

その清掃ロボ(ドラム缶)の中心にあるものを確認するため身を乗り出し、確認する。

 

「―――――――!?」

 

絶句した。

そこに倒れているのは今朝俺の家のベランダに引っかかっていた少女。インデックスだ。

インデックスがそこに倒れてるだけなら俺は別に絶句なんてしない。

理由はインデックスの腹部から大量の出血があると言う事だ。

俺は清掃ロボ(ドラム缶)を無理矢理退かし、インデックスに走り寄る。

 

「おい!しっかりしろ!!おい!!」

 

しかし、反応はない。

 

「……なんだよこれ。ふざけんなよ……!誰がこんなこと……―――」

 

「――――うん?僕達『魔術師』だけど?」

 

若い男性の声。いや、しかし少しだけ幼さを感じる声が聞こえた。

俺はゆっくり後ろを向くと二メートルはある長身の白人がそこにいた。

漆黒の修道服に肩まである髪の毛は真っ赤に染まっており、左右の指にはすべて銀の指輪が付いている。

口の端では火の付いた煙草が揺れており、右眼瞼の下にはバーコードのタトゥーが刻んである。

 

「とりあえず、言いたいことを一つ言わせてもらうぜ。」

 

「ん?」

 

「未成年は喫煙禁止だ。このクソッたれ野郎が。」

 

この時、反則と魔術が衝突する――!

 

 

 




ついにステイル君登場。

ちなみに自分はイギリス清教の中では神裂が好きですね。

あ、でも一番はやっぱり御坂さんです。ツンデレ最高です。

どうでもいい情報公開してすみません。

次回は魔術だけかもしれません。

誤字脱字があったら言ってください。

ではでは。
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