とある反則の能力窃盗者   作:林檎

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祝!!二十話!!

長かった……。

今回は筆が全然進まないし、テストと重なるし、もう内容がペラペラです。

二十話目というのにすみません。

あと、今回から読者様のご指摘を受け、修也君の能力名の一部を変更させていただきます。

『能力窃盗者』をこれからは『能力窃盗』にし、読みを『スキルスチール』から『スキルスティール』に変更させていただきます。

過去のは正直変えるのが面倒なので遠慮させていただきます。

あと、題名の方はあえてあれのままにしときます。

では、どうぞ!


Episode.20 魔術師

俺は至って冷静だ。

俺の後ろで腹部から大量の血液を流して、倒れている少女は今朝、俺の家のベランダに引っかかっていた少女。

会って数時間しか経っていない。上条などの根っからの善人、正義のヒーローみたいな奴はこの状況で犯人と思われる人物と対面したらどうなるだろう。

自分とは関係ないのに激怒するだろう。

いや、少し前まで戯れていた少女だ。例え、善人じゃなくても力のある者だったらすでに攻撃してる奴もいるだろう。

しかし、俺は力があるのにも関わらず冷静に相手を見る。

見るからに不良という感じを醸し出している少年は俺より身長があり、日本語を巧みに使いこなす、見るからに外国人。

しかし、服は修道服。そう、たぶん神父だと思われる。

俺はそこまで相手を観察し、思考を巡らせ、言葉を発した。

 

「……貴様は何者だ?」

 

「……言ったじゃないか。僕は『魔術師』だ。」

 

魔術師。

一般的に人の目を誤魔化して不思議な事を業をするもの。

魔術には類義語として『奇術』『妖術』『魔法』『忍術』『呪術』『幻術』『催眠術』などたくさん存在する。

そして、コイツがインデックスの言っていた『魔術結社(マジックキャバル)』だった場合コイツは魔術師というのに嘘はないだろう。

俺は状況確認の為さらに質問をする。

 

「なんでこんな事をした……?それに、お前がインデックスの言ってた『追手』なら訊きたいもんだ。インデックスのどこにお前らの目当ての物がある?」

 

「これをしたのは僕じゃないよ……。でも、二番目の質問には答えてあげよう。」

 

と、口に咥えてある煙草を一旦口から離し、プハーと煙を吐き出す。

そして、再び咥え話し出す。

 

「『完全記憶能力』という言葉を知っているかな?」

 

サヴァン症候群。

知的障害のある者のうち、ごく特定の分野に限って、優れた能力を発揮する者の症状を指す言葉だ。

この学園都市の原石はすべてこの症状による能力だ。と言っている研究者もいる。

完全記憶能力者の例を挙げるならイギリスの医師ジョン・ランドン・ダウンが1887年、

膨大な量の書籍を一回読んだだけですべて記憶し、さらにそれをすべて逆から読み上げるという、常軌を逸した記憶力を持った男性を報告した、という話もある。

 

「……あぁ。知ってるさ。」

 

俺はここであることに気づく。

……なるほど、そう言う事か。

 

「なら話が早い。あるさ、魔道書は……禁書目録(ソレ)の頭の中に。」

 

「……。」

 

赤髪の神父は続けて言った。

 

「君なんかにはわからないだろうけど……、そいつはね、使える連中の手に渡ると少々厄介な代物なんだ。だからこうして僕達が保護してやりに来た、と。」

 

そう言い切ると神父は口から煙草の煙を吐き出した。

 

「保護ねぇ……。」

 

確かにそうだ。こいつの言っている話が本当であればインデックスは命を……いや、脳みそを狙われることになる。

今の学園都市の技術を使えば脳みそから無理矢理記憶を取り出すことも可能だろう。

科学にできると言う事は魔術でもできる。と言う事と考えても間違いではないだろう。

大体、魔術師なんでオカルト集団の考えることだ。薬物や拷問だってあるだろう。

インデックスの性格ならベラベラとそんな『危ないもの』を喋るわけがない。

この状況はまだ中学生ほどの少女にはきついな。

まぁ、だからと言って―――

 

「―――お前らがインデックスを攻撃した事には変わりねぇよな?」

 

神父はピクリと眉を動かし、言った。

 

「その傷は僕がやったんじゃないよ。僕の仲間……とでも言っておこう。」

 

「関係ねぇーよ。それにインデックスは朝言ってた。『背中を撃たれた』って。つまり、お前らはインデックスを攻撃した。」

 

「……確かにね。僕も攻撃したよ。だけど、彼女にはその時―――」

 

「―――『歩く教会』とやらが守っていたから?だから、言ってんだろ。関係ねぇーって。」

 

俺はさらにはっきり言った。

 

「お前らがどんな立派な理由を持ち上げようと結局はガキにキッチリ攻撃してんじゃねぇーのかよ?」

 

「だから保護だよ……。人間だってするだろ?絶滅の危機にさらされている動物を罠で捕まえる。その際にちょっと怪我をする道具を使っても仕方がない。」

 

「だから、関係ねぇーよ。テメェーらは何の罪もない子に攻撃したんだよ!『守られてるから』って言う偽物の大義を身に纏って!」

 

「―――ッ」

 

神父は何かで胸を突かれたような顔をしていた。

俺はゆっくりと神父に近寄る。

 

「おい、偽善者。お前と俺、どっちが本物の偽善者か決めようぜ?」

 

「偽善者…ね……。君も確かに偽善者のようだ。彼女を助けようとしているのが本心じゃない気がするよ。」

 

「当たり前だ。アイツは俺の生きる道の中で不必要だからな。アイツが死んでも生きてもどっちでもいいんだよ。だけど、今回は特別だ。」

 

「そうかい……。名は名乗っとこう。僕の名前はステイル=マグヌスだ。そして、魔法名……殺し名は『Fortis931』意味は我が名が最強である理由をここに証明するだ!」

 

そう言って神父は咥えていた煙草を投げ捨てる。

すると、その吸殻から炎が火柱となって燃え上がる。

その炎が神父の手に集まる。

 

「巨人に苦痛の贈り物を!」

 

そう叫ぶと灼熱の炎は俺に向かって一直線に飛んでくる。

しかし、俺はそれをベクトル操作で右手で弾き飛ばす。

 

「―――っな!?」

 

「じゃぁ、こっちも名を名乗ろうか。俺の名前は北里修也だ。学園都市に9人しかいないレベル5の第0位反則の『能力窃盗(スキルスティール)』だよ。」

 

そして俺は一呼吸おいて言った。

 

「テメェの名が『最強』なら俺の名は『反則』だ。反則と最強は全然意味が違うから気を付けろ?この不良神父。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?情報が集まらない?」

 

第七学区のとあるマンションの一室でメロディの工作員千秋はリーダーである男に訊いた。

 

「あぁ。理由はわからないが何らかの情報操作かもな……。」

 

「誰がやってるのですか?理由が読めません。」

 

そう問うのはメロディーの工作員の一人、千春。

 

「俺でも分かんねーよ。誰がどうやって何のためにやってるのかも分からねーんだ。」

 

リーダーは疲れ果てた顔でぐったりとソファーにもたれかかる。

 

「でも、全部が全部わからなかったって訳じゃないんでしょ?」

 

そう訊いたのはテーブルを挟んで向かい側のソファーに座っているメロディの主力、綾崎涼音だ。

 

「……一応な。木山春生は数年前から『共感覚性』の論文を次々に発表している。」

 

「きょ、きょうかんかくせい……?」

 

キョトンとした顔で訊く涼音。

 

「一つの感覚を刺激することで二つ以上の感覚を得る事だ。涼音にもわかるように言うと……。」

 

そこで言葉が詰まるリーダー。

もちろん、例えはあるのだが、涼音に通じるかわからなかったのだ。

そこに千秋が助け舟を出す。

 

「赤系の色を視ると暖かく感じたり、青系の色は冷たく感じたりするでしょ?」

 

「うん。」

 

「暖色、寒色ってやつですね。」

 

そう補足を伝える千春。

 

「感覚がイメージを連想して、別の感覚を刺激するってことよ。」

 

「……訳わかんないよ。みんな日本語喋って……。」

 

「涼音には難しかったかしら……、まぁいいわ。それでリーダー。それ以外で何かわかったことは?」

 

そう千秋が訊くとリーダーは小さく呟く。

 

「ない。」

 

「え?」

 

「だから、無いんだって。この俺が全力で探してそれだけだ。」

 

「じゃぁ……これからどうするんですか?」

 

そう千春はリーダーに訊く。

リーダーは頭を掻きながら言った。

 

「そうだな……。理事長の真意がわからん以上深追いをするのは避けたい限りだが……。依頼を先延ばしするのも避けたい。」

 

「じゃあ……?」

 

「……七月の二十四日。つまり四日後に決行だ。」

 

「了解です。」

 

「りょーかい」

 

「了解。」

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい。

魔術師ステイル=マグヌスはそう思った。

プロの魔術師であるステイルはたとえ高校生だと言え、手加減をするつもりはなかった。

だが、その高校生に向けて放った摂氏3000度の炎剣はどこにでも居そうな高校生にいとも簡単に片手で弾かれたのだ。

 

「おいおい?魔術師さんよぉー?まさかこれで終わりとかねーよな?」

 

「っく!!」

 

ステイルはすぐさま新たに炎剣を作り、修也に向け振り下ろした。

しかし、今度は手を使う動作すらせず炎剣を弾いた。

 

「―――っな!?」

 

ステイルは驚愕する。

どんな魔術師でも自分の魔術をこうもいとも簡単に弾いた者はいなかったからだ。

修也はステイルにゆっくり歩みながら言う。

 

「この俺に戦いを挑んだっていう勇気は認めてやるけど、でも、そう言う勇気は蛮勇って言うんだぜ?」

 

ゆっくり、ゆっくり、修也はステイルに歩み寄る。

台詞をすべて言い切る頃には修也とステイルの距離はほんの1メートルほど。

 

「選べ。今ここで死ぬか。インデックスから身を引くか。」

 

ステイルは恐怖した。

コイツは人間じゃない。と直感で感じた。

ステイルは全力で一回後ろに跳び、呪文を唱える。

 

「世界を構築する第五元素の一つ偉大なる始まりの炎よ!その名は炎、その役は剣!顕現せよ!!我が身を喰らいて力と為せ!!」

 

ステイルを中心に炎が巻き上がる。

 

「殺れ。『魔女狩りの王(イノケンティウス)』!!!」

 

現れたのは3メートルはある炎の巨人。

 

「へー。ホントに魔術って呪文唱えたらできるんだな。」

 

修也は思考を巡らす。

 

(コイツはRPGでよくある『一つの事柄に特化した奴』みたいだな。)

 

例を挙げるとすれば、回復に特化した回復術師(ヒーラー)や呪文攻撃に特化した者や接近戦に特化した者と様々だ。

では、ステイルは炎に特化した者。その弱点を突けば修也は勝ちと考えた。

 

「炎の弱点は水って相場が決まってんだよ!」

 

修也がそう言うと、手に数センチほどの水が集まる。

 

「……あー、そっか。あのデッカイやつが熱すぎて周りの水分が蒸発したのか……。」

 

日本の夏は湿気が多いので水が集まりやすいのだが、巨人付近の湿度は10%弱だった。

集まる水も集まらない。

すると、巨人が修也目がけて動き出す。

 

「めんどくせぇ。」

 

炎剣を弾いたように修也は右手で巨人の腹部あたりを弾け飛ばす。

その隙を見て前に出ようとするが修也は異変に気づき、足を止める。

弾き飛ばしたはずの巨人が体を修復し、また、出現をしたからだ。

 

「……ッチ!」

 

修也はもう一度巨人を振り払う。

しかし、結果は同じだった。

 

(……どういうことだ?やっぱり、魔術は理解不能な点が多いな……。)

 

「……ルーン。」

 

声が聞こえた。

修也は後ろを向く。

そこには腹部から大量出血をしているにも関わらず、ゆっくり立ち上がろうとしているインデックスの姿。

しかし、修也は違和感を覚えた。

あのインデックスは違う。まるで、別人のようだ――と。

 

「お前、インデックスだよな?」

 

「はい。私はイギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』所属の魔道書図書館、魔法名『Dedicatus545』正式名称『Index-Librorum-Prohibitorum』です。」

 

無機質な声。まるで、感情を捨てた、失ったかのような抑揚がない声。

 

「で、るーんってなんだよ?インデックス。」

 

「『神秘』『秘密』を指し示す、二十四の文字にしてゲルマン民族より二世紀から使われる魔術言語で古代英語のルーツとされています。」

 

(簡単に言うと魔術を発動するときに使う言葉ってことだな。)

 

修也は数秒考え込み、次訊くべき質問をインデックスに問う。

 

「じゃぁ、このデッカイ奴はどうやったら倒せるわけ?」

 

と、修也が訊いたと同時に巨人は手に持っていた炎の十字架を修也に振り下ろす。

修也はそれを片手で受け止め、インデックスの返答を待つ。

 

「あたりに刻んだ『ルーンの刻印』を消さない限り何度でも甦ります。例えるならそれは、夜の湖に映る月と同じ。いくら水面を剣で切り裂いても意味はありません。」

 

(……つまり、このマンションの中にその刻印ってやつがあるからそれを壊せばいいんだな。)

 

修也はテレポートで廊下から外へ移動する。

そして、下の階に再びテレポートする。

 

「……うわっ。悪戯とかのレベルですまねーぞこれは……。」

 

修也が目にしたのは壁一面にコピー用紙が貼り付けられている。

修也はその一枚を剥がし、観察する。

 

「……コピー用紙にくっ付けてたのは魔力とかじゃなくてセロハンテープ……。オカルトってズルい……。」

 

すると、上の階からあの炎の巨人が降りてくる。

そして、目にもとまらぬスピードで修也目がけて一直線に突撃する。

 

ドコォォォォンッ!!

 

鈍い衝突音が聞こえたと思えば、修也はテレポートで巨人の攻撃を避けていた。

巨人は衝撃で体の一部が崩れ、それを修復している。

その隙に修也は上の階にテレポートする。

 

「……戻ってくるのが早いね。僕はてっきり逃げ出したのかと思ったよ。」

 

「わりぃな。どっかの誰かさんがコピー用紙を人の家にペタペタ貼り付ける悪戯があってな。」

 

修也がそう言い切ると修也の後ろから激しい熱気が襲ってくる。

もうあの巨人が来たのだ。

 

「……もう君の負けだ。君がどんな異能者かは知らないが、君では魔女狩りの王(イノケンティウス)は止められないよ。」

 

「ふーん、じゃぁ教えてやるよ。」

 

巨人が再び炎の十字架を出し、修也に振り下ろす。

修也はそれを片手で受け止める。

 

「……戯言は聞きたくない。殺れッ!魔女狩りの王(イノケンティウス)!!」

 

そうステイルが叫んだ瞬間、魔女狩りの王(イノケンティウス)が砕け散る。

 

「―――ッな!?」

 

修也は炎の十字架を受け止めていた手をゆっくり下ろす。

すると、修也の腹部が徐々に赤く染まっていく。

 

「いってぇ……。奪ってみたのは良いけど、奪ったと思えば半端じゃないダメージ受けたんだけど……。」

 

「う、奪っただと……ッ!?」

 

「あぁ、これが俺の能力。『能力窃盗(スキルスティール)』だ。覚えとけよ?このクソ神父。」

 

修也はゆっくり、ステイルに向かって歩みを進める。

 

「も、もしかしてインデックスの『歩く教会』を壊したのは……!?」

 

修也は右拳をステイルの顔面にめり込ませ言う。

 

「残念。俺じゃないよ。だから、俺の仲間にはお前らの魔術を一瞬で木端微塵にする化け物が居るから気を付けろよ。」

 

 




短いですよね……。

すみません。

誤字脱字などがありましたら申し付けてください。

では、また更新するときにお会いしましょう。
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