side修也
「………ここは……?」
俺が目を覚ますと白い天井が広がっていた。
もちろん、俺がいた施設の部屋の天井ではない。見慣れない天井だ。
横を向いてみると俺の腕には針が刺さっており、上からつるされた袋から
何らかの液体を俺の体の中に入れているみたいだ。簡単に言うと点滴だな。
とりあえず、起き上がろうとすると右肩と腹部に激痛が走る。
「くっ………!」
俺は痛みに耐えきれずまたベットに転がる。
「なんで……こんなとこに……?」
俺は吹寄の家に行って……晩飯一緒に食べて……そっから……何が……?
俺が今の状況を理解しようと頭を働かしていたら、ここからは見えないがドアが開く音がした。
「ん?気が付いたかい。」
そこには白衣を着てカエルのみたいな顔のおっさんがいた。
白衣?うちの施設の職員か?でもこんなやつ見たことないぞ?
「あの……ここはどこですか……?あと、なんで俺はここに……。」
「覚えてないのかい?」
「え?」
「君はとある研究所の中で死にかけてたんだよ?」
死にかけてた………?
何が何だかわからない。頭が混乱する………。
「少し記憶が混乱してるみたいだね。落ち着いて思い出してみなさい。」
落ち着いてって……何を………。
その時、俺の頭の中に記憶が戻ってきた。
「………!?」
「思い出したみたいだね……。」
「なぁ、博士は?天上博士は!?涼音はどうしたんだよ!?」
俺はカエル顔のおっさんの胸ぐらをつかむ。
「……残念ながら運ばれてきたのは君だけだ。」
なっ………!?
俺はゆっくりおっさんの胸ぐらを離す。
「はははっ……。なんだよそれ……。ふざけてんのか?なんで……なんで俺がこんな目に合わなきゃいけねぇんだよ……。」
涙があふれてくる。
悲しさもある。でも、それ以上に俺が守れなかった悔しさの方が大きい。
強さがあるのに。誰にも負けない能力が……力があるのに……何のために俺は……。
「落ち込んでるだけでは何も始まらないよ?ここで止まってもいいのかい?」
「……っるせぇ!!何にもわかんねぇ奴が知った口聞くんじゃねぇよ!!!」
「僕が悲しくないと思っているのかい?」
「……は?」
「僕だって悲しい。なんたって、親友を亡くしたのだから。」
この人の話によれば天上博士と幼少のころからの友人だったらしい。
「だったら悔しくないのかよ………。天上博士は殺されたんだぞ………?」
「確かに悔しいよ。でも、僕には救わないといけない患者たちがいる。だから、悲しんでいる暇はない。」
なんだよ……それ……。
「それに、君もやらなきゃいけないことがあるんじゃないかな?」
カエル顔は俺の体の上にパソコンとUSBメモリを置いた。
「そのメモリは君のポケットに入ってたものだ。」
……もしかして、あの時博士がくれたやつか………。
「僕は仕事が残ってるから別の場所に行くからそれは自分の手で見てくれ。」
そう言い残してカエル顔は部屋の外に出る。
俺はメモリを見つめる。
これを見なければ俺は前に進めない。だけど、見たらたぶん後戻りはできない。
見なければ俺の言う幸せってのがある。学校行って、友達作って、遊んで、バカなことしてワイワイ楽しんで、たまに怒られて……。
そんな生活もいいかもしれない。俺が望んでた生活そのものだ。でも………
「……涼音がいなきゃ面白くねぇ。」
俺はパソコンに電源を入れ、メモリを差し込む。
すると、一つのファイルとメモ帳が入っていた。そして、メモ帳の題名は
『修也君へ』
……俺への手紙らしい。
俺は何のためらいもなくそのメモ帳をクリックした。
『修也君へ、これを読んでいるということは私はもうこの世界にはいないだろう。』
なんだよ。これ……。ドラマでありがちな文章か……?
『そんなことは、どうでもいい。君に伝えたいことがある。』
伝えたいこと……?
『涼音君の能力についてだ。』
涼音の?
『君も知っている通り、僕は統括理事会に君たちの能力の結果を持って行った。だが、その能力の結果は最終的なものではない』
そういや、そんなこと言ってたな。
『君の能力は学園都市の能力開発によって生まれたもの……。だから、君の能力についてはすべて説明はできる。しかし、涼音君の能力は科学的説明は難しい。だが、これだけは確実に言える。涼音君の能力は危険だ。』
は?危険?
『涼音君の能力は簡単に言えば音を操る能力……。それだけではないかもしれない。』
え?
『涼音君の体には科学では説明できないような力がある。その力がもし、悪用されるのであればよくある話の世界征服など簡単にできるかもしれん。』
ぇー………。
『むろん、私が開発した能力でそんなことはさせたくない。あと、もっと重要なことがある。』
………?
『もし、誰かがその涼音君の未知なる力を吸い取るようなことをするなら。涼音君の命はないだろう。』
な!?
『あのエネルギーは涼音君の生命エネルギーとも直結してるみたいなのだ。もし、涼音君が誘拐されたりしたのなら早く探し出してくれ。』
そういうことは早く言えよ!
『最後にもう一つのファイルには君と涼音君の最終結果のデータが入っている。君が悪用するのであればすればいい。しないのであれば削除してくれ。君の好きにしてくれ。』
俺はゆっくりとパソコンを閉じる。
「はぁ、ほんと最後は博士らしいよ。」
自分の好きにしてくれ。……か。
小さい頃よく言われたな。『君たちの自由にしろ。決めるのは君たちだ。』って……。
俺はUSBメモリを引き抜き、手で握り潰す。
「これでいいんだろ?博士?」
俺はベットから降りて、近くに置いてあった俺の服をとる。てか、穴空いてるし。
「よし、まずは情報収集だな。」
俺は包帯を外す。
もちろん。傷なんて治した。さっきの間にな。えっと
「待ってろよ涼音。絶対に助けてやる。」
絶対に。
side修也end
ここは病院の中の一角
「ふぅ、ほんとに君はどこまであの子たちに重みを背負わす気だい?」
一人の医者はそういいながら一つの写真を見つめる。
そこに若いこの医者ともう一人が笑いながら肩を組んでいた。
「……学園都市第0位反則のレベル5
医者は外に出ていく修也を見ながらつぶやく。
「彼らがどう成長するのか……楽しみだね。天上………。」
彼が見上げた空は清々しく雲一つない空だった。
ここでお知らせがあります。
読者様のご質問で『一度にじファンで投稿されていた方ですか?似たようなタイトルだったので・・・』
と、いうものがありましたので
詳しくは活動報告のほうに書きました。
気になる方は見てください。
失礼しますm(_ _)m