オラリオにドラマを求めるのは間違っているだろうか 作:龍神王聖人
紫炎の如くのオーラを纏う巨大な腕?というより手が黒竜の爪を掴み力が拮抗を果たす。
その紫炎のオーラは隠れていた月明かりに照らされると体長約10~15メドルの大きさに幅5メドル程の大きさを誇る巨人が姿を表した。
ガーレさんは目の前の光景に固まり、驚愕の表情を浮かべ、俺も衝撃を受けていた。
須佐能乎。
写輪眼の上位型、万華鏡写輪眼を開眼し稀に出てくる能力で、個体別々だが、共通点は巨大な骸骨に紫炎のようなオーラを全身に纏い、巨人を彷彿させる姿にある。また、使いこなせば使いこなす程、人に近い姿に成っていくらしい。
今、月明かりに照らされた須佐能乎は骸骨ような姿をしており、須佐能乎の初期段階である事が分かった。
(ん?・・・待てよ?初期段階?・・・)
ふと、父の須佐能乎を見て疑問に思う。
(そう言えば、万華鏡写輪眼の開眼法は確か・・・いや、やめた。今を生きる事を考えよう)
俺はそこまで考えると、そこで考えるのをやめ、そのまま紫炎の巨人を眺めた。
その巨人の中には父がいた。
そして父は黒竜の攻撃を片手から両手に爪を掴み、前足を受け止め、地面にその巨体ごとめり込めながら、俺に背を向けながら口開いた。
「リキト、ガーレ・・・、お前たちに話と頼みがある・・・。」
「・・・この状況で頼み事とは随分と縁起が悪いじゃないか。・・・死ぬ気かい?」
ガーレさんは父の言葉に肩をすくめながら、次の瞬間に鋭い目つきで凄んだ。
(死ぬ気?まさか!いや、まさかそんな・・・だって・・・)
父は死ぬ覚悟をしていた。
そんな現実をこの十歳の体は否定して受け入れられない。精神も肉体に引っ張られているためか、冷静さを欠いて、取り乱していく。
そんな中でも、父の言葉は続いていく。
「・・・まず、リキト、お前には一族についてと一族に伝わる能力についてだ。いつまで鎧が保っていられるかはわからないから、あまり長くは話してられないから、簡潔に伝えておく。 」
膨大なチャクラを消費し続いていて、つらい筈なのに発狂したり、弱音を吐かないのは、使い慣れた業かステイタスの影響だからか、それとも子を思いやる気持ち故かは定かではないが、それでも苦痛を滲ませながらも気丈に耐えている姿にその父としての大きさを見せられたら気がした。
父は苦痛に滲ませながらも言葉を紡いでいく。まるで、自分の息子に一族の命運を授けるが如く。
「我が一族は嘗て『うちは』と名乗っていた。極東の地では名門の家柄だったが、神々が降臨する前の『古代』に衰退し、神時代でも一族の誇り故に神の『恩恵(ファルナ)』を受け付けずに数を減らし続けて今となっては我々とヤマトタケル・ファミリアの方に血筋が薄くなった者が居るのみ。
うちは本家の血筋を引く家は『写輪眼』の争奪戦から逃れる為に『うちは』の姓を捨てる道を選び今にいたる。
だが、だからと言って血筋にこだわる必要はない。お前は自由に生きなさい。」
だから一族に縛られるなと、父は暗にそう言った。
「かつて、古代の極東で名門だった『うちは一族』は神時代の始まりの頃に2つの一族に別れ、そして、その血筋が濃い家の一族であるうちだけが一族を最も多くを知る一族だ。
父さんはもう長くない。だからお前にはこの鍵を授ける。場所は写輪眼を開眼していればわかるはずだ。」
父は首に掛けていた鍵を俺の首に掛けて、そう言うとニカっと笑う。
そして、一族に伝わる(遺伝とも言える)能力については簡単にではあるが、NARUTOと同じ説明を受けた。
「アマツマラ様にも話は付けてあるから、入るか入らないかは自由だ。だがら、お前は自由だ。元気に羽ばたけよ。あと、資料室にある俺の眼もやる。自由に使え。詳しい情報はうちはの資料を調べなさい。」
父の言葉(愛情)に涙が止まらない。
死なないでくれ。俺の十歳の身体はそう叫ぶ。しかし、父は微笑むだけだ。
微笑みを見せたあと、父はガーレさんへと向き直り空気を変えた。
「ガーレ。」
「・・・なんだい。」
ガーレさんの瞳に懐かしさと悲しさが宿る。まるで、今まで出会った日からの日々を懐かしむような。まるで、これから目の前の友人に別れを告げるかのような。
ガーレさんはそんな感情を瞳に浮かべ、父に続きを促した。
「リキトを頼む。」
一言。たった一言で現状で死に別れに等しいとも言える言葉をガーレさんに告げ、黒竜へ向き直った。
そして、次の瞬間、黒竜の瞳に写輪眼が宿り自身を傷つけ始めた。
幻術による攻撃。写輪眼の幻術で黒竜の身体を操り自分に攻撃させたのだ。
しかし、
『グオオオオオーーーーーー!!!!!!!!!!』
黒竜は咆哮で、幻術そのものを打ち払って見せた。
そしてその咆哮によってできた衝撃波が父を襲う。
「ぐううぅぅぅぅぅーーーーーー!!、早く、早く逃げろ!!」
衝撃波に対して須佐能乎で耐えしのぎながら、父はガーレさんに叫んだ。
ーーーーーっ
その声に従ったのかガーレさんは目の前の戦いに茫然と眺める俺の腕を掴むと南方向に走り出した。
移動するなか、途中で戻った俺は歯を食いしばる。何もできない悔しさから。溢れる悲しさと寂しさの辛さから。
俺はただただ歯を食いしばるしかなかった。
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辺りに地響きが鳴り響く。
黒竜の咆哮(ハウル)が、紫炎の鎧に放たれる。
先ほどと違って、威嚇の咆哮に濃密に圧縮した衝撃波を混ぜることによって、放たれる咆哮は強力な破壊力を持っており、それが世界三大冒険者依頼の『黒竜』ならばなおさら、強力な攻撃が、紫炎の鎧目掛けて放たれる。
すかさず、それを避けようと回避に移るが避けきれず咆哮が紫炎の鎧の肋部分を掠める。すると、
ーーーピキッ
咆哮を掠めただけ。ただそれだけで、1メートルにも及ぶ亀裂が紫炎の鎧に走っていた。他にも直撃は避けているものの、須佐能乎の鎧には各所にひび割れが目立っていた。しかし、世界三大冒険者依頼の一角に数えられる黒竜をた相手に初期段階の須佐能乎がその程度で済んでいる状態は奇跡的と言え、恐らく完全体の須佐能乎であっても直撃すればひび割れは、小規模ながら傷つけられてしまうかもしれない。
そんな圧倒的火力に晒されている状況の中、黒竜の咆哮に対してリキトの父にしてアマツマラ・ファミリアとしてのステイタスをフルに発揮して攻撃を逸らしたり、放たれる前に須佐能乎の腕で顎をかち上げたりしていた。
リキトの父ーーー千裏義人はうちは一族の末裔であり、代々血筋を薄める事のないように、受け継いできた。力弥はそれを嫌い、アマツマラ・ファミリアにいた千手の娘と契りを交わし、後に父が亡くなり当主となった姉が姓を『うちは』から『千裏』に変え、当時、既に子供が二人(・・)できていた義人を『うちは』改め『千裏』の一族に千手の娘共々迎え入れられた。
今、彼が思うこと・・・
それは
子供達を生き残らせること。
(リキトにはリキトの姉がいることを伏せているがいずれ姉さんが引き合わすだろう。
あとはあの子のためにどこまでやれるか(・・・・・・・・・・・・・・・)が問題だが、心配しても仕方がないだろう。)
義人は再び放たれる咆哮を余裕をもってかわしながら一つの覚悟を決めるように拳を握り締める。これはもはや幼い頃の癖のようなものだ。彼が子供頃、怖さと対峙するときによくやっていた。つまり、無意識にやってしまう程に恐怖の対象が目の前にいるのだ。怖くない訳がない。
だが、怖いのは何も自分だけじゃない事を彼は誰よりも理解しているのだ。
そんな中で、自分だけが怖さに怯え逃げる訳にはいかない。自分はアマツマラ・ファミリアの一員にして、リキトと篠美(ささみ)の親である以上、戦わなければならない。守るべき者を守るために。
力弥は決意を新たに黒竜という強敵とぶつかり合う。
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遠くから咆哮が飛んでくる。
それによる衝撃で海水をせき止めていた土砂を吹き飛ばし、天然ダムはそれをきっかけに崩壊していった。
戦闘は先ほどにも増して激しくなり、ダム決壊によってさらけ出された村に咆哮が時折飛来する。
そんな中、俺とガーレさんはアマツマラ様と合流を果たしていた。
「リキト!!、ガーレ!!、無事だったか!?」
アマツマラ様は会った途端に俺達へそう問いかけた。
「はい・・・、無事です。でも、」
「ーーーみなまで言う必要はない。義人から聞いておる。」
「・・・はい。」
アマツマラ様は優しく声をかけると、頭を優しく撫でてきた。
途端に涙が止めどなく流れ、安心したのかしばらく涙は止まることを知らなかった。
俺が泣いている中、ガーレさんはアマツマラ様に近づき、情報交換を始めた。
状況は深刻化しているようだった。
「先の戦闘で私は家族の犠牲で生き残った。なんとか鈴鹿は生き残ってくれたが、他の者達は私の為に・・・」
涙ながらに見えたアマツマラ様の表情は悲しみをたたえていた。
そんな様子を見ながら、何かを考えていたが何かを決意したような表情でアマツマラ様に改めて向き直った。
「アマツマラ様、お話があります。」
普段とは想像つかない口調でアマツマラ様にあることを持ちかけた。
矛盾な点、誤字、脱字、ありましたら言ってくれるとありがたいです。