腐れ谷2のデーモン『不潔な巨像』を倒した俺と かぼたんとセレンの三人は一時楔の神殿へと帰って気たのだった。
「もうあなたったら何を独り言いってるんですか。
せっかくセレンさんが神殿に来てくれたんですから何かおもてなししないと。
セレンさんもいらっしゃい。
ここは何もない所ですけどゆっくりくつろいでくださいね♪」
「何やらすいません。
しかしこの神殿には初めてきましたがここはずいぶんと快適な場所ですね。
私はこの神殿からの要石経由ではなく直接腐れ谷に向かったのでここまで人の温かみを感じる場所に来ていなかったことを悔やんでしまいますよ」
この神殿は俺が最初に来た時とは大きく変わり、ルカやタカノといった、子どもたちの笑い声が響き、かぼたんが畑の隣で育てている花を摘んできてはあちこちに飾っているので明るく楽しい雰囲気なのだ。
その様子にこの世界の現状、特に腐れ谷で長く生活していたセレンは物珍しそうに辺りを見渡している。
「あ、パパおかえりなさい♪
そっちの人はお客さん?」
「ルウソパパは本当に かぼたんママ以外の女の人からもモテるんですね♪
そういう私もルウソパパが既婚者でなければ狙うんだけどな♪」
出迎えてくれたルカとタカノが俺達の周りをくるくる回りながら絡んでくる。
あぁ、これこそが癒しだよなぁ~。
「ははっ、ルウソさんは元気のいいお子さんが二人もいたんですね。
お譲ちゃんたち、始めまして。
私は騎士のセレン。
弟と聖女様を探すために来たのだ」
子ども相手にも丁寧な礼をするセレンはその立ち姿の凛々しさもあって子どもたちにもあっという間に懐かれていた。
「ところでルウソさん。
一旦神殿に戻ってきたのは何か理由があるのですか?」
俺達三人は体力的にも問題ないのに腐れ谷から引き返したことを疑問に思っているのだろうセレンが聞いてくる。
「それはだな……
かぼたん」
「はい?」
かぼたんは隠しているつもりだろうが俺にはわかる。
「君は妊娠してるんじゃないか?」
その一言でその場にいた全員が驚いた。
俺も腐れ谷に行くまでは気づかなかったが、エリアを進んでいくうちに かぼたんのお腹の中で新たなソウルが形成されているのがはっきりと気づいたのだ。
「あなた、よくわかりましたね。
まだ一か月ですからもう少ししてから言おうと思ったんですけど」
初夜ですぐに身籠ったんだな。
あのあとひと月もの間『嵐の祭祀場』で海水浴を楽しんだけど俺はその時には気づけなかったけどさすがにひと月もすれば気づくさ。
「なぁに、分かったのはついさっきだよ。
とにかくおめでとう。
元気な子を産んでくれよ」
「わー、ルカお姉さんになるんだー♪」
「なんか感動的な話ですね。
そうなれば無茶をしないで かぼたんママは神殿でゆっくりして身体を大切にしてくださいね♪」
ルカとタカノがはしゃぐ姿に俺は安堵した。
ルカもタカノも俺達とは血の繋がりがないから寂しがるかとも思ったが大丈夫のようだな。
「なるほどそれでルウソさんは引き返したんですか。
確かにあれ以上奥へと進むと疫病にかかってしまうかもしれませんし、妊娠中の女性にはきついでしょうね」
「普段の かぼたんなら平気なんだろうけどさすがに今無理をさせるわけにはいかないしね。
という訳で今日はお祝いをして腐れ谷3の攻略は明日にしよう。
セレンも毒の沼に浸かってたんだから少しは疲れてるだろうし、万全な状態で挑む方がいいだろ?」
「確かにそうですね。
しかしお祝いですか……
それならば私がアストラエア様と旅に出た弟に出したヴィンランド家に伝わる料理を御馳走しましょう」
そうしてその日はトマスとボールドウィンとユーリアも誘い、飲んで食べての大賑わいとなった。
もちろんフレーキは誘ってない。
その様子を恨めしそうに見るフレーキは。
「うぬぬ、デーモンの分際で人間様の食事を口にするなど許せんな。
いつの日かあいつらにこのフレーキ様の偉大さを教えてやる!」
と、明らかに危険な発言をしている。
だが、せっかくのこの世界での生き残りなんだから出来れば助け合いたいしいつかはわかり合える日が来るかもしれない。
だがそんな甘い考えが後に悲劇を起こすことになるとはこの時の俺は予想だにしていなかった……
恋する女性は強いですがそれが一度母となったらまさに無敵の力を得るのです……
でも本編中で生まれるとは限りません。もう少しで完結しちゃいますしw
フレーキは本当に最後悪役になっちゃいましたがフレーキを助けるIFエンドでも書こうかな。
嫌な奴が消えるのもいいけど嫌な奴がいい奴になって仲良くなるような明るい前向きな話も好きですし。