後日談っぽい話もルウソが主人公の話のあとに書いていますが、とりあえず原作準拠(一応)の話はあと少しです。
腐れ谷も攻略したことで最後は『古い獣』を倒すだけとなった俺は昨日はぐっすりと眠り、次の朝早くに目を覚ました かぼたんとルカに起こされ、一緒に水場で顔を洗う。
今朝も かぼたんが朝食を作ってくれたのでトマスやボールドウィン、ユーリア達もやってきてみんなで食卓を囲む。
そして少し遅れてアストラエアとガルもやってきた。
「おっはよー♪」
「……おはようございます」
この二人は昨日神殿に備え付けられた部屋を借りて二人一緒に寝たわけなのだが肌がぴちぴちで明るい笑顔のアストラエアと、それとは対照的に生命力を吸い取られたかのようなガルのやつれ方は昨日までとは比べものにならないほどだった。
「ふふふ♪
昨日はガルが激しくって私は寝不足になってしまいましたわ♪
今夜もよろしくねガル」
「……これ以上はさすがの私も無理です。
アストラエア様は騎士の私よりも体力がありすぎます……」
ずいぶんとお盛んなことで。
「はいはいお二人ともしっかりと朝ごはんを食べてくださいね。
今日はルウソさんが『古い獣』を倒して世界を救う記念すべき日なんですから♪
……それとアストラエアさんとガルさんには私が作ったオリジナルの栄養剤を用意してますから今夜もどうぞ励んでくださいね♪」
アストラエアは子どものように笑顔になり、これまた対照的にガルは夜のことを考えてうな垂れているようだ。
そして食後、最後のデーモンにしてこの世界を滅ぼそうとする元凶に立ち向かうための準備も終えて俺は かぼたんと二人で並んで神殿の中央付近に立つ。
神殿には巨大な剣を持つ像が飾ってあったのだがこの像が持つ剣が落ちてきて地面に大穴を開ける。
「懐かしい声が聞こえます……
ルウソさん。
共に獣の元に参りましょう」
そうして神殿のみんなに見送られながら俺達は穴の底へと飛び降りた。
必ず生きて帰る。
だからみんな待っててくれよ……
ここは……白い場所だな。
そしてあれが『古い獣』だろうか……
それは古い樹木がいくつも絡み合ったかのような姿をしており、かぼたんはそのデーモンをゆっくりと近づいて来るように命令しているようだ。
「神殿に戻る要石は後ろに置いてありますのでもしも忘れものがあったら今から取りに行っても構いません。
忘れものはありませんか?」
「ああ、それは上で確認したから大丈夫だ」
最後まで心配症な所も可愛いな、ここからは何があるかわからないし俺がしっかりと かぼたんを守ってあげなければ。
「では一緒に行きましょう、あなた。
この『古い獣』はただの大きなソウルの塊にすぎません。
本当に倒すべき化物は……デーモンはこの奥にいます」
かぼたんに促され、俺達二人は『古い獣』の口の中に入っていく。
『獣に呼ばれた者よ。
デモンズソウルを求めるか。
あるいは要人の小僧にそそのかされたか。
どちらにしろ初めての巡礼者だ。
歓迎しよう』
謎の声が頭の中に直接響く。
そしてさらに道を進んでいき奥にあった霧の壁を抜けた先にそれはいた。
醜悪な外見をし、オーラント王が使っていたのと同じ剣を持つ泥のようであり、人の負の感情がそのまま集まったかのような表現の難しい物だった。
「お前が余のデーモンを全て屠ったものか。
ここに来たということは私を屠りに来たのだろう。
だが、元よりこの世界とは悲劇だ。
故に神は獣という毒を残した。
ソウルを奪いすべての悲劇を終わらせるためにな。
本当は誰も望んではいないのだ……
貴様、わからないか、元より誰も望んでいないということを!」
すでに全てのデーモンを倒したことでこのデーモン、『なりそこないのオーラント』とやらは一人では何もできない存在なのだろう。
その体を必死に動かし、俺を殺そうと必死になって攻撃してくるがその攻撃は俺の肌にかすり傷一つつけることができないほどの弱弱しいものだった。
「……たとえこの世界が悲劇だとしても俺の周りには俺が戦うことで喜んでくれる人たちがいる。
笑顔を向けてくれる人たちがいる。
だから俺はどんな結末だろうとこの世界を救ってみんなで笑って暮らせる平和な世界にしたいんだ!」
俺の拳はたった一撃で『なりそこないのオーラント』のわずかに残った命を刈り取った。
「あなた……終わりましたね……」
俺の腕をとり、優しく寄り添ってくる かぼたん。
「ああ、終わった。
これで家族仲良く平和に暮らしていこう。
そうだ、君のお腹の中の子の名前も考えてあげないとな」
俺はこれからの幸せな生活を想像するだけで心が躍るようだった。
これで全てが終わったのだ。
だが かぼたんは悲しそうな顔でこう言った。
「私は一緒には戻れません。
この『古い獣』と共にまどろみの中に行きます……」
「え?」
それは俺が望んでいた答えとは違い、俺の思考を奪う一言だった……
次話はトマス達――神殿の上で待っている組の話です。