ついにルウソと かぼたんの神殿地下での『古い獣』との戦いが終わります。
それにしてもこんな悲しい結末になってしまうなんて、ハッピーエンドを目指していたのにどうしてこうなってしまったのか…… 。
「私は一緒には戻れません。
この『古い獣』と共にまどろみの中に行きます……」
「え?」
それは予想もしていなかった。
かぼたんはずっと変わらず俺の側にいてくれるものだと思っていた。
だが彼女の表情を見ればそれがどれだけ嘘だと思いたくとも本当のことなのだと……なぜか理解できてしまった。
「ははは、なんだよそれは。
かぼたんのお腹の中には俺の子どももいるし、上に行けばルカやタカノ、トマスやボールドウィン達が俺達の帰りを待っているんだ。
そうだ、アストラエアとガルが腐れ谷に国を作るし、それの手伝いもあったな。
とにかく俺達にはまだまだすることがあっただろう?」
「……そうですね、とても楽しい日々でした。
しかし私は火防女。
この世界のすべてを救うためにも私は『古い獣』をまどろみに導かなければいけません。
『古い獣』はデーモンではなくただのソウル塊に過ぎず、生物ではありません。
今回こうして人間界に存在しているのもあの『なりそこないのオーラント』がその強大な力を悪用しようとしたためなのです。
故に死というものがなく封印するしか対処法はなく、それが可能なのは私だけ。
あなたとの新婚生活はとても楽しかったです……もっとずっと一緒にいたかったです……でも私は火防女なんです。
この世界を救うためにも『古い獣』は存在していてはいけません。
だからこそこれは『古い獣』を唯一まどろみに導ける私がしなければならない使命なのです」
俺はここで かぼたんがこれは冗談でしたと言ってくれることをどれだけ願っただろう。
考えたことがないわけじゃない。
『古い獣』は実際には『なりそこないのオーラント』というデーモンに操られてオーラント王になりすましてこの世界を色のない濃霧で世界を包みこんだが、その『古い獣』を操っていた存在が消えた今『古い獣』をデーモンの世界に返すことができるのは かぼたん一人だけというのは言われるまでもなく俺にも理解できる。
だが納得できるわけないだろう!
「なんだよ……なんだよそれは!
おい最高神!
俺はお前の頼みを聞いてこの世界を消滅させようとしたデーモンを倒したぞ!
今度はお前がこの状況を何とかしてみろ!!」
俺は叫んだ。
最高神が聞いているかどうかはわからないが俺をこの世界に送ったのだから当然この状況も見ているはずだと思ったのだ。
「あなた……もういいんです。
私はあなたから一人の女としての幸せを十分すぎるほどもらいました。
これから先、あなたが生きていくこの世界を救うための礎となれるのなら私はこれほど幸せなことはありません。
どうか今度はあなたも自分自身のために幸せになってください……」
かぼたんも俺も、流れ落ちていく涙を拭うこともなくただ立ち尽くしていた。
「あれ?
どうしたんでしょうね。
私の眼は蝋で潰されているのに……
涙だけは出るんですね……」
「やめろ……行かないでくれ かぼたん
俺には君が必要なんだ!
君がいなくなったら俺はどうやって生きていけばいいんだ!」
考えろ、考えるんだ!
誰もが幸せになれる方法を、かぼたんと別れずに済む方法を!
「さぁあなた。
もうお別れです。
このまま上に戻ればあなたは普通の生活に戻ることができます。
どうかルカとタカノをよろしくお願いします。
あの子たちも私たちの大切な子なんですから」
かぼたんは『古い獣』の中心。ソウルの源に触れるとそのソウルをどんどんと自分の中に流し込み、『古い獣』の力を弱めていく。
俺は考えがまとまらずただ立ち尽くしてその様子を見ていたがその時、
「はーっはっはっは!
これはいいタイミングで来ることができたようだな!
久し振りだルウソ殿、それに黒衣の火防女!
賢者フレーキ参上だ!」
背後から突然声がしたと思ったら現れたのはフレーキだった。
「お前!
なんでここにいるんだ!?」
「なんで?だと。
それはお前の娘二人からデモンズソウルを抜き取ろうと思い、いいところまで追い込んだのだがキレた『大袋』のトマスに神殿の上からこの地下の穴に突き落とされてな。
地面に叩きつけられる前に『一度きりの復活』の奇跡を発動させたのだが間に合わなければ死ぬところだったぞ。
おかげで弟子は落下の衝撃で死んでしまったがな」
くそっ!まさかこの局面でこいつが現れるとはな。
それにしてもトマスは無事なのだろうか、あいつは戦えないのに賢者フレーキを穴に突き落とすだけの無茶をしたってのか?
「さぁて、ではここでその『古い獣』のソウルをいただいてお前たち二人を殺してやるとしよう。
私だけの国を作り、この世界に私という新たな秩序を作りだすためには君たちは邪魔なのでね」
どうすればいいんだ、考えろ考えろ考えろ!
……そうだ、この手はどうだろうか。
「フレーキ、ちょっと待ってくれ」
俺は『古い獣』をまどろみに導いている最中の かぼたんに近づき、
「かぼたん。
ちょっと耳貸してくれ……ゴニョゴニョゴニョ」
「え!確かにそれは可能かもしれませんね。
それなら試してみる価値はあります」
よし、作戦会議は終了、あとはフレーキを利用して。
「おい、フレーキ。
この『古い獣』のデモンズソウルをお前にやるから好きなだけ吸収してくれよ」
「なに!?
いいのか?私はこれを吸収したらお前たちを殺すぞ」
「いーのいーの。
どの道俺らのやり方じゃ かぼたんは助からないから俺にとっては死んだ方がマシだったんだ。
それなら二人揃って死んだ方がマシだからさ」
フレーキは簡単に信用してソウルに近づき吸収していく。
「おお、これこそが究極の叡智!
ついに私は人間を越えるぞぉー!」
その隙に俺と かぼたんは『古い獣』の中から脱出し、
「さぁて、では『古い獣』には恨みはないがやってみるか。
ここからが俺の力の発揮どころだ!」
外から見上げていると『古い獣』というソウルの塊ははだんだんとフレーキと混ざりあった存在となっていき、その姿は最初に見た時のようなただのソウルの塊ではなくフレーキという人間を元にした新たな生物へと変化していく。
そしてその様子をしばらく眺めていた俺はゴッドハンドを打ち鳴らし、それを思いっきり殴った。
「オラァ!」
一発ではなく、二発、三発、百発、千発!
「フレーキが『古い獣』を吸収してくれたおかげで『古い獣』はただのソウルの塊という無生物ではなくフレーキという人間を元に混じり合った生物となった。
それなら俺の拳で殺してしまえば封印なんて面倒な手段を使わなくても済む!」
そう、俺の策とは殺すことのできないただのソウルの塊であり、生き物ではない『古い獣』(無生物)をフレーキという人間(生物)に吸収させることで『死』の概念を持たせることにしたのだ。
「うぉぉぉぉぉー!
なんだこれは!
私は究極の生命体になったはずなのにぃぃぃー!
なぜこの私を殺せるのだルウソォォォー!」
そのフレーキからの問いかけに俺は笑いながら言ってやった。
「俺がお前よりも強いからさ」
こうして俺のこの世界でのデーモン退治は全て終わった。
最高神とは結局最初会ったときからずっと話していないがきっとどこかでこれも見ているのだろう。
かぼたんを救った俺にはどうでもいいことだけどな。
「それじゃあ上に帰ろう。
かぼたんも疲れただろうししっかり休んで元気な子を産んでくれよ」
「はい、フレーキさんのおかげで私もこうしてあなたと一緒にいることができますし、これからは死ぬまでずっと一緒にいられますからね」
殺した相手に感謝するのもどうかと思ったが俺は最後にこう言った。
「あんたのおかげで かぼたんと別れずに済んだよフレーキ。
あんたとの出会い、そして別れに感謝している」
そうして俺達は再び楔の神殿に戻って行った。
はい、別れましたw
いやぁ、最後を笑えるハッピーエンドにしたとはいえ、 かぼたんを泣かせてしまったのは胸が痛みました。この話の前書きはフリですw
まぁ、最後で挽回できたから大丈夫しょう♪
それと、原作で『古い獣』を かぼたんがまどろみに導いたのは、『古い獣』が殺すことのできない無生物で、かつ人間界に存在するだけで悪影響を及ぼす危険なモノだったからだと思うのですよ。
そのために『なりそこないのオーラント』なんかに利用されてたみたいですし。
私の考えでは、
1:デーモンの世界にいた名もない雑魚デーモンが人間の世界を乗っ取ろうと画策し、デーモンの世界でただ存在していただけの『古い獣』(無生物)と呼ばれるソウルの塊を見つけて乗っ取る。
2:ちょうど楔の神殿を見つけたオーラント王を殺し、王になりすまして国をいったん崩壊させる。
3:他のデーモンを『古い獣』の力を見せつけて誑かせて各地でソウルを集めさせ、それを元にさらなる世界侵略を試みる。
4:だがプレイヤーにボーレタリア王城4にて人間界で行動するのに使っていたデーモン『老王オーラント』を殺されてしまったので、『なりそこないのオーラント』という醜悪な姿になってしまう(古い獣のソウルを使いこなせなくなる)。
5:最後に『なりそこないのオーラント』となってしまった名もない雑魚デーモンは殺されたが『古い獣』というソウルの塊(無生物)が人間界に召喚されたまま残ってしまったので殺すこともできないから かぼたんが封印することで終わらせた。
と私は思っています。
何だか同じフロム作品の『シャドウタワー』のルード王のイメージに近いかもしれませんが、結局フロムは明確な設定を公開していませんからね。
これも私という、一人のフロム信者のフロム脳の妄想です。
では次話はエピローグですのでこのままお進みください♪