塔の騎士の要石を使って楔の神殿に戻ると、かぼたんが要石の側で体育座りをしていた。
「……もしかして待っててくれたのかい?」
コクン
かぼたんは赤くなりながらも静かに、そして小さくうなずいた。
その表情はかすかにだが、微笑んでいるように見えた。
「えっと、わざわざ出迎えありがとう。
今回も無事に帰ってこれたよ」
「ううん、私が待っていたかったから……でもなんかすみません。
迷惑でしたよね。
私としたことが、出過ぎた行いをしてしまい申し訳ありませんでした」
そう言って慌てて立ち去ろうとするので、俺はつい、かぼたんの手を握ってしまった。
「「あっ!」」
「……えーと、本当にうれしかったよ。
ありがとう、かぼたん。
これからも俺の帰りを待っていてくれ。
待ってる人がいると元気になるんだ」
「えっと、私なんかで良ければ……」
かぼたんは顔をそむけるが耳まで真っ赤にしている。照れ屋なのだろう。
「ルウソ様と一緒にいると心が温かくなるんです。
すいません。
私なんかと一緒にいてもルウソさんは嬉しくなんかないですよね」
いやいや、かぼたん。君どこまで控え目なんだよ。
「迷惑なんてことはないさ。
俺はこれまでずっと一人で孤独に過ごしてきたから、自分を恐れずに接してくれる人に会いたくてこの世界へと来たんだ。
これからももっと積極的に話しかけてくれ」
「はい、ありがとうございます♪」
うん、若い娘はこうでなければ。
かぼたんも十分可愛いんだからもっと自覚を持つべきだよな。
そうしてしばらく、かぼたんと話をした後、手に入れたデモンズソウルやアイテムなどを預けるためにトマスの元へと向かった。
「よう、トマス。
アイテム預けに来たぞ」
「あんた、無事だったんだな。
それにしてもすごいなあんた。
あのデーモンと戦って退治しちまうってんだから。
俺も戦えたらなあ……」
俺の預けた荷物を袋に詰めながらそう呟くトマス。
その表情にはかつて妻子を見捨てたことへの公開もあるんだろうな。
「……別に強くてもいいことなんてないさ。
俺はこの強さのために迫害に近い扱いを受けてきたからな。
強すぎる力ってのは災いを招く。
まぁ、こんな俺でもこのボーレタリアではデーモンを倒すのに必要とされてるからここにいるんだけどな」
「それでもあんたはすごいよ。
俺は時々考えるんだ。俺は何でここにいるのかって。
俺なんてあの災厄の時に妻子より先にあいつらを庇ってデーモンに殺されるべきだったんじゃないかってね。
ハハハッ、すみません。
湿っぽい話で」
トマスのやつ本気でそう思ってるんだな。ここはひとつ励ましといてやるか。
「そんなこと言うなよ。
俺はトマスには十分助けてもらってるし、お前がいるだけで俺は精神的に救われているんだ。
もっと元気だせよ!」
過去を捨てろとは言わないが今生きている以上トマスにも幸せになってもらいたい。
「そう言われるとなんだか元気が出てきたな。
ありがとうルウソさん。
俺はこれからもデーモンを倒すあんたのためにここで荷物番をやっていくよ」
トマスは元気が出たようだ。
さて、少し疲れたし今日はもう寝るとしよう。
着いてすぐにデーモン退治に出向き、すでに二体のデーモンを殺してるしな。(楔の神殿までの道中はノーカン)
俺は適当に階段の近くに横になって眠りについた。
その様子を、かぼたんが眺めていたがしばらくして俺の近くにきて一緒に横になって眠った。
ひとりで寝るのが怖いのかな?
さて、明日もデーモン退治で忙しくなるだろうな。