恋心短編集。   作:冴え渡る

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許さない。

でも、見捨てない。





そんな話。


待っているから。

 

 

 

 

 

もう何年も前の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私には1人の”幼馴染”がいた。

 

私と彼は近くに住んでいながら、あまり仲が良くない。

というか、あまり遊ばない。

 

私はいわゆる『クラスでもイケてる方』に属せる人間だった。

 

だが彼は『自分の世界』から出てこない人間で、周りとあまり馴染まない。

 

彼がクラスで虐められても、私は助けられなかったし。

彼も私には助けを求めなかった。

 

 

 

 

 

 

 

高校卒業間際の事

 

 

私の父は落ちぶれた。

 

 

部下の失敗が原因で仕事をクビになり、酒に溺れ、母も愛想を尽かして出て行った。

 

私はなんとか父を励まそうと努力した。

新しい職を探してあげようとハローワークにも何度も行ったし、できる事はなんでもした。

 

だが父からすればそれは『娘に殆どの面倒を見てもらっている』という事で、私は父のプライドを激しく傷つけてしまった。

 

 

 

 

 

父が家で酒に酔っていた時の事

 

父は何を思ったのか、私を犯そうとした。

 

何度もやめてくれと言った。

 

 

 

だがやめて貰えなかった。

 

 

 

抗えるはずもなく、私は父の子を孕んでしまった。

 

父はそれまでに色々と罪を犯しており、私の妊娠が発覚して刑務所に入ってしまった。

 

決まっていた大学も行かなかったし、周りの友達との付き合いもやめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1年後

 

私はいよいよ臨月を迎えた。

 

やはり命を捨てるのは嫌で、私は父の子を堕ろす事をしなかった。

 

 

 

だが私はただの浪人生。

 

子供を1人で育てていくのは無理があるし、金銭的な問題もある。

 

出産の不安を1人で乗り切れる自信も無かった。

 

重い足取りで産婦人科をでて行くと、幼馴染の彼と出会った。

 

私なんかと話もしたくないだろうと思い素通りをしようとすると、なんと彼の方から話しかけてきた。

 

話す内容は簡単な挨拶で、こちらのお腹の事については一切触れてこなかった。

 

 

それから彼とは食事をしに行った。

 

妊娠の不安が一気に押し寄せてきて、私は彼に全ての悩みを打ち明けた。

 

彼は私の話を黙って聞いてくれた。

 

 

この子を孕んで、初めて私の側にいてくれた人。

 

 

私はそれだけで安心できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その数日後

 

私はお腹の子を無事に産めた。

 

かわいい女の子で、私に似ていた。

 

私が初めて産んだかわいい女の子。

 

相手が父親だろうが関係ない。

この子は私の子供に変わりないのだから。

 

 

 

だが側に父親がいないと、やはり不安なものだ。

 

これから一人でこの子を育てなければならないのだから。

 

 

すると突然

 

私の部屋のドアからノックの音が聞こえた。

 

私が許可を出すと、なんと彼が入ってきた。

 

 

 

彼は私に出産祝いを持ってきてくれた。

 

かわいい赤ちゃん用の服と、いくらかの育児用品。

 

おそらく私の状況を察してくれたのだろう。

 

友人として、わたしの出産を祝ってくれているのだ。

 

そう思っていたが、彼は言った。

 

 

 

『俺が面倒を見る』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから5年

 

今ではこの子も5歳になり、彼も私達のために働いてくれている。

 

彼とは結婚していない。

 

愛は感じているが、彼と子作りをしようとしても彼は拒む。

 

私を抱きしめてくれるが。

 

多分、経験がないから怖いのだろう。

そう思うと可愛く思えてくるから不思議だ。

 

 

 

 

私は今、彼ととある刑務所に来ている。

別に父を許した訳ではない。

別れを言いに来た訳でもない。

 

 

私の父に会うために。

 

 

 

もう覚悟はできてる。

 

父に報告するのだ。

 

彼との結婚を。

 

今日この事を父に言った後に、私達は婚姻届を提出しに行く。

 

大丈夫だ。

 

何も怖くない。

 

なぜなら

 

彼が、

 

この子が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

側にいるから。

 

 

 

 




妊娠




この年からすると少し怖いものがありますね。


まぁ、もうちょっと上の年代からすると羨ましいのでしょうがね。
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