恋心短編集。   作:冴え渡る

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この話書いてて楽しいわ


私のお客さん。

地方のとある高校

私はその高校に通っている1年です。

 

部活動には入っていません。

私は世間一般的に見て『かわいい』分類に入ります。

なのでしょっちゅういろんな部活に勧誘されます。……まぁそれでも入る気はありませんが。

 

自分が欲しいものなどがある時はアルバイトをしてお金を稼いでいます。

家が貧しいとか言うわけではありませんが、親に頼るのはあまり好きではなかったので。

 

 

家の近所にある喫茶店

 

私はそこで平日の放課後にホールのお仕事をしています。

店長は優しいおじいさんで、バイトの先輩も頼れる姉御肌のいい人です。

 

 

いつものように仕事に勤しんでいるとうちの学校の男子生徒が来店してきました。

 

あまり見ない顔なので先輩だと思います。

その人は少し店内を見てからコーヒーを頼んで店の隅の席に着きました。

 

コーヒーを持っていくとその人はほんの少しだけ頭を下げ、鞄から小説を取り出して読み始めました。

 

大体このお店に来る人は私を見ると、料理はそっちのけで私の方を見てきます。

いや普通のお客さんも来ますが。

 

 

その人は本を読み始めるとその後、お会計の時まで一度もこっちを見ませんでした。

 

 

 

それからその人は放課後になるといつもコーヒーを飲みに来ます。

 

いつもと同じコーヒーを頼み、いつもと同じ席に座っていつもと同じように本を読み始めます。

いつも読んでいる本が違うので本を読むのが早いのだと思います。

 

店長はその人のことを気に入ったらしく、たまにお菓子やケーキなどをタダで持って行ってあげたりします。

その度にその人は少し気まずそうな顔をしながら頭を下げます。

 

 

 

 

 

最近、変なお客さんが来るようになりました。

ジュースを一杯だけ頼むと、ジュースには手もつけずにずっとこちらを見てきます。

1時間ぐらい経つとジュースを一気に飲み、私がレジの近くに立つとお会計を頼んできます。

 

 

それが1ヶ月続きました。

流石に怖くなって私は帰りを先輩と一緒に帰るようになりました。

 

ですがその日は先輩はシフトに入っていませんでした。

なんでもその日は外せない用事があるとかで。

店長は送ると言ってくれましたが私の家は少し離れた場所にあるので迷惑がかかると思い、私はその申し出を断りました。

 

 

 

1人で薄暗い道を歩いていると後ろにあのお客さんの姿が見えました。

私は怖くなって少し小走りになりながら帰りました。

するとそのお客さんも小走りでついてきます。

これはもうダメだ。そう思い全力で走りますがそのお客さんも走って追いかけてきます。

その時の私は恐怖で一杯でした。

 

 

 

追いつかれると思った時、曲がり角からあの人が出てきました。

その人はこちらを気づくと軽くお辞儀をし、後ろのお客さんを睨みつけます。

 

お客さんは走るのをやめ、後ろを向いて諦めるように帰ります。

 

 

私はそれを見ると涙が出てきてしまい、その人の目の前で大泣きしてしまいました。

 

 

 

その人の家は私と同じ駅にあるようなので、私はその人についてきてもらいました。

 

恥ずかしい話ですが……私は腰を抜かしてしまい、その人におぶってもらいました。

その時の背中はどこか大きくて優しい感じがしました。

 

 

 

駅まででいいと言いましたが、『ここまで来たから最後まで送ってく』と言われて結局家の近くまで送っていってもらいました。

正直言ってかなり安心しました。

 

 

 

 

その週はバイトを休みました。

 

 

翌週の月曜日

 

私がバイトに行くと、あの人はもういつもの席に座っていました。

店長曰く毎日来ていたようで。

 

 

 

私がいなくてもお店に来るという事に少しだけ苛立ちを覚えました。

私はその日からその人にアピールをするようになりました。

 

その人が来るとスカートを短くしたり、

 

できるだけかわいい笑顔で接客したり、

 

たまにお菓子を店長の代わりに持って行ってあげたりします。

その度にその人は嫌そうな顔をします。それでもお菓子は残さず食べてくれるのですが。

 

無口で何を考えてるのかわからない人。

でも優しくて頼りになる人。

 

 

 

 

 

私はそんなお客さんの事がーーー

 

 




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