魔法剣士ほむら☆マギカ   作:黒沢さん

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どうも、黒沢さんです。

今回ハーメルンに初投稿させて頂きました。稚拙な文章ですが、どうぞ最後までお付き合いください。楽しんでいただけたら幸いです。


プロローグ

真っ赤に塗りつぶされた世界を眺めながら、俺は地面に倒れたまま呆然としていた。

 

目の前に広がるのは夕焼けの茜色よりも美しい紅炎。それらは絶対的な熱量を持ってしてあらゆるものを燃やし、爛れさせ、焦がし、勢いを更に強めていく。俺の日常を薪にして、高く高く燃え上がる。

 

普段俺が使っていた机も。

 

寝転がって漫画を読んだベッドも。

 

床も壁も天井も。全てが紅色に染まっていく。

 

ふと、そんな赤一色の世界にぽつんと黒いナニカが紛れ込んでいる事に気が付いた。

 

黒いナニカは人の形をしていた。そのシルエットは女にも見えるし男にも見える。酷く若く見えるし、年老いても見える。ゆらゆらと揺れるその姿は揺蕩う様に曖昧だ。

 

 

こいつか。

 

 

そいつの存在を確認した瞬間、俺の心が、炎よりもどす黒く燃え上がる。

 

 

こいつがやったのか。

 

 

手が焼けても、足が燃えても、身体が焦げようとも、俺の意識は既に目の前にいる不確かな存在に釘付けだった。

 

 

こいつが、これをやった犯人か…!

 

 

「あ”っ…あ”あ”…っ」

 

叫ぼうにも喉が爛れて人の声すら出ない。既に喉は炎の熱にやられていた。

 

飛びかかろうにも感覚すら無い。手足は既に爛れて消えていた。

 

身体はぴくりとも動かない。当たり前だ。既に燃え尽きている。

 

憎い。歯がゆい。殺したい。俺はこいつを殺したい。俺を殺したこいつを、俺は殺したい!

 

幾らそう願っても、幾ら殺したいと求めても、俺はついに一つも動く事すら出来ずに、燃やされた。

 

今、眼球が熱で潰れた。これであいつの姿を睨みつける事すら出来ない。

 

消え行く心の中に到来したのは、死に対する恐怖でも全てを燃やされた悲しみでもない。ただただ純粋な殺意と、それを成し遂げれない自分の無力に対する無念さだけだった。

 

そして、俺は、皆藤三月はそこで息絶えたのだった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

身体が異様な程重たい。

 

意識がゆっくりと浮上していく中、俺はまずそんな事を思った。

 

感覚的にベッドの上で横になっているのは分かるが、そのベッドの質感が俺が長年愛用してきた古臭いベッドの質感とは違う事に気が付いて、俺は瞼を開けた。

 

「ん…」

 

目を開けると、視界を白一色が埋め尽くした。

 

ぱちくりと辺りを見渡す。どうやら俺は病室で眠っていたらしく、真っ白いカーテンがちらちらと視界の端で揺れていた。

 

「…何で病院なんだ?」

 

俺は首を捻って無意識に疑問を口にした。ほぼ反射的にここに来る前の記憶を思い出そうとするが、何故か靄がかかったかの様に思い出せない。何とか思い出せたのは、自分の部屋のベッドに横になって布団を被った、という所までだった。それから何が起こったのかは全く分からない。普通に考えるとそのまま眠りについたんだと思われるが、それで病院で目を覚ましたくらいなのだから眠っている間に何か変な事が起こったのだろう。

 

そんな事を考えながら起き上がると、ふと肩に髪の毛が掛かる感触がして俺は体を硬直させた。見てみると、髪の毛が腰辺りまで伸びているではないか。呪われた日本人形も裸足で逃げ出す程の伸びっぷりだ。ナンダコレ。

 

「えっ、えっ?」

 

俺、どんだけ眠ってたんだ?こんだけ髪の毛が伸びるってことは1年や2年では説明がつかないだろう。5・6年間髪の毛を切らないで過ごしたとしても怪しい所だ。

 

これだけ髪の毛が長くなるまで入院するなんて。俺、どれだけ危篤状態だったんだよ!

 

まさかの事態に俺は目を白黒させながらベッドの上に立ち上がり、自分の体を見下ろす。

 

「…何だよこれ!」

 

見下ろそうとして、めちゃくちゃ悪い視界に俺はやっと気が付いた。と同時にベッドの近くのサイドテーブルの上に眼鏡ケースがあるのにも気付いて、急いで眼鏡を取り出して改めて自分の体を見下ろした。

 

よく見ると手足ともに酷く華奢だ。胸だけは何故か膨らんでいてめちゃくちゃ柔らかいが、まあそう気にする程ではない。肌が異様な程白いのは長年の入院生活の弊害か。触ってみると赤ちゃんの肌のようにすべすべだった。手足が鉛の様に重いし、立つだけでしんどいってどんだけだよ。

 

俺の身長、体重、体格は一般的な男子高校生のデータを全て網羅していた筈だ。普通の中の普通。キングオブザノーマル。それが俺の唯一の個性だった筈だ。

 

それがどうした。まさかここまでやつれて華奢になってしまうとは。やはりずっと病室で眠っていたのが原因なのか。

 

鏡はどこだ。俺は部屋中を見渡して、近くに姿見があることを発見した。急いでベッドから降りて姿見の前に立ち、思わず俺は息を呑んだ。

 

鏡には、美少女が映っていた。

 

非常に良く整った目鼻立ち。唇は薄桃色で弾ける様に柔らかい。清流の様に腰まで流れる黒髪は非常に美しいが、癖毛なのか左右に分かれている。肌はシルクの様に白い。まだ幼い所為か未だ完成しているとは言い難いが、それでもモデル顔負けのプロポーション。

 

唯一の欠点は目が死んだ魚の様に濁っていて非常に無気力そうなくらいだが、それを差し引いても絶世の美少女と言うに相応しい少女がそこにはいた。

 

「…はい?」

 

しばらく見つめあって、俺は素っ頓狂な声を上げた。よく考えると声も少し大人っぽい感じがするがとても可愛らしい。

 

だが、それ以上に俺はとある事実に驚愕していた。

 

いや、俺が美少女に生まれ変わっていただなんて事も確かに大事件だが、それ以上に重大な事に俺は一瞬で気付いてしまったのだ。

 

「…これって…まさか暁美ほむら…?」

 

そう。この姿はまさしくあの暁美ほむらの姿だった。

 

暁美ほむら。『魔法少女まどか☆マギカ』に登場する非常に重要な立ち位置のキャラクターだ。詳細は原作かウィキペディ◯で。

 

「…いやいや、待てよこんちくしょう。完全に暁美ほむらだっていう証拠も無いのに、そんな決めつけて…」

 

そう、もしかしたら違うかもしれない。俺が実は痩せたら美少女になってしまう体質で、その時の姿が暁美ほむらに非常に良く似ていた可能性もあるかもしれない訳でして。

 

 

 

それから数十分後。俺の希望的観測の多分に入った推測は儚く砕け散る事となる。

 

まず机の上にあった転校手続きに必要な書類やら何やら。そこには何の躊躇いも無く『暁美ほむら』の名前がででんと書かれてあった。『見滝原中学校』に転校するらしいし、これは完全にあの『暁美ほむら』の体ですわ。なんてこったい。

 

次に何か指に嵌められていた指輪。これの正体は言わずもがなソウルジェムだった。紫色のソウルジェムの持ち主なんてもう『暁美ほむら』以外にはいないだろう。ちなみに指輪の状態から普通の宝石の状態に変えることも普通に出来た。

 

「…」

 

うん、現状確認が終わって、認めたく無いけど状況は飲み込めた。

 

俺は、どうやらアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の世界に、しかも重大な立ち位置にある暁美ほむらとして転生してしまったらしい。

 

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