魔法剣士ほむら☆マギカ   作:黒沢さん

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こんにちは。

楽しんでくだされば幸いです。


1話

暁美ほむらとして転生してから早数日。俺は念願のほむホーム(ほむらの家)の前まで来ていた。

 

原作アニメでもそうだが、暁美ほむらは一人暮らしという設定だった。つまり俺もこれから一人暮らしをしていかなければいけないのだろう。

 

病院は目を覚ましてから2日後、あっさりと退院する事が出来た。カレンダーに書いてあった日程を確認するに、どうやら見滝原中学に転入するまで後3日程空きがあるらしい。これから3日間、何をして過ごすかは何も決めていない。というか、なにをすれば良いのか全く分からない。当たり前だ。アニメの世界に転生したというのに、そう簡単に順応してたまるか。

 

まあ、とりあえずは他の患者のいる病院よりも一人になれるほむホームにいた方が幾分かはマシなので素直に退院してきたという訳だ。これからの事は開いた3日間で考えれば良い。

 

そう言う訳で、俺はほむホームの扉に鍵を差し込んで中に突入する。

 

ほむホームの中は、アニメ同様、かなり前衛的なデザインをしていた。生活のしやすさを捨てて奇抜なデザインを一直線に突き進んだ設計に思わずある意味で脱帽したくなる。おい誰だこの家デザインしたやつ。

 

ソファー、テーブルなどは全てアニメ通り。違うところがあるとすれば歯車とかワルプルギスの夜の頭を彷彿とさせるあの鎌のついた振り子時計がないくらいだろうか。あれ、もしかしてわざわざ買いに行っていたんだろうか?

 

ただ、歯磨き粉などの生活必需品が全くないため、一回ホームセンターなどに買いにいく必要があるだろう。今日はまだ時間はたっぷり残されているので、今日の内に一通りは揃えたい所だ。

 

しばらくゆっくりしようとして、この家にお茶や食べ物が一つもないことを知って、俺はこれから出かける事にした。

 

早速出かける準備をしながら、俺は『俺』の事について思い出す。

 

俺ーー皆藤三月は、普通の男子高校生だ。成績は平均。運動神経も平均的。一般的な家に生まれて、平凡な日常を過ごしてきたザ・一般人。ちなみに彼女いない暦=年齢の童貞様だ。部活には一応剣道部に所属していた。中学の時、友達と剣道を始めて以来ずっと続けていたものだ。才能はあんまり無かったが。

 

で、今回、そんな俺は転生を果たしてしまったのだがーーーやはり、『俺』は死んでしまったのだろうか。いや、転生したのだから俺は死んだんだろう。何故死んだかは皆目見当もつかないが。

 

…まあ、『俺』としての意識があるのでそこら辺は余り考えない様にしよう。『俺』は死んだが、俺はまだ存在している。今はこの事実だけでよしとしよう。

 

問題は、『暁美ほむら』に転生してしまった事だろう。

 

何故暁美ほむらに転生してしまったかは知らないが、事実として俺の体は暁美ほむらのものだ。これから見滝原中学校に転入するとなれば、たとえ俺が何をしなくても鹿目まどか率いる原作組みとは関わってしまうだろう。特に巴マミはベテランの魔法少女だ。俺が行動を起こさなくても俺の存在に気付いてくる可能性が高い。

 

巴マミは佐倉杏子との一件により、他の魔法少女に対して少なからず攻撃的になっている筈だ。敵対するのは絶対に嫌だ。怖いし。

 

それに、俺には『行動を起こさない』という選択肢は残されていない。

 

俺の体は暁美ほむらのものだ。つまり、俺は実質的に魔法少女と言う存在に分類されてしまう。魔法少女の持つソウルジェムは常に穢れを溜めつづける。穢れがソウルジェムを真っ黒に染めるまで溜まった場合、魔法少女の魂は魔女として生まれ変わってしまう。魔法少女は魔女にならない為に、常に魔女を倒してソウルジェムを清められる唯一の存在であるグリーフシードを集めなければならないのだ。

 

そして、それは俺も例外ではない。多分ソウルジェムが真っ黒に染まった場合、俺は魔女になってしまうだろう。魔女になるなんて絶対に嫌だ。よって俺も魔女退治に出向かなければならないのだ。

 

ただ、それは巴マミも同じだ。巴マミは魔法少女が魔女になる事を知らされていないが、街を守る為に魔女や使い魔を頻繁に倒し回っている。つまり、巴マミと接触する可能性はかなり高いものと言える。鬱だ。

 

原作組と関わったら、絶対に絶望フラグが増加する。ただでさえ魔法少女になって絶望フラグ満載なのに、更に5人の魔法少女と知り合いになるとかぶっちゃけ不味すぎる。俺は平穏に生きたいのだ。

 

さらに、鹿目まどかの魔女化に対しても何か行動を起こさないとならないだろう。何たって鹿目まどかが魔女化すれば、地球規模で魂を救済されてしまう。暁美ほむらが渡ってきた時間軸で鹿目まどかは必ずと言っていい程魔法少女になるか死ぬかの2択しか選ばない。俺は鹿目まどかを殺すなんて事絶対出来ないし、知っている以上世界が救済されるのも阻止したい。絶望しか無いじゃない。

 

つまり、何が言いたいかと言うと。俺は何が何でも原作組と関わらなければならないのだ。なんてこったい。

 

適当にパーカーを着て家を出る。ホームセンターまでの場所は携帯電話のマップを使うので問題なく分かる。

 

ちなみに、試しに魔法で視力や体の異常を何とかしようとしてみた所、問題なく治った。視力の場合、逆に男のときの俺よりも断然良くなってしまった。魔法の力って、スゲー。

 

ホームセンターまで来て、とりあえず日用品をどんどんカートに突っ込んでいく。お金については親から一定の仕送りがあるので問題は無い。そう言えば退院した時も家にきた時も、親は一回も会いにきてくれていないが。もしかして暁美ほむらってネグレクトされてるっぽい?

 

…まあ、そちらの方が俺としては動きやすいので都合がいいのだが。何か微妙な気分だ。

 

とりあえず基本的な日用品と、包丁、まな板、フライパン、小さな鍋を購入。これでまあ何とかなるだろ。一人暮らしした事無いから良く分からないが。

 

ついでにお昼ご飯としておにぎりやお茶を買っておく。体は女の子なのでおにぎり一つ二つで多分足りるだろう。

 

それと、家具コーナーを通りかかった時、自己主張する様に目立つ所においてあった鎌付きの振り子時計に視線がいったが、特に購入する事なく素通りした。時計は目覚まし時計などで済ませるつもりだったからだ。

 

家に戻れたのは12時半程だった。

 

とりあえず家具や日用品の設置は後回しにして、お昼ご飯を先に食べる。女の子の体という事で少ない量を買ってきた訳だが、予想以上に暁美ほむらは小食だった。おにぎり一つで充分って拒食症一歩前じゃないですか?え、女子って皆そうなの?

 

食べ終わり、家具や日用品を必要な場所に置いたり整理したりして、ふと窓から空を見てみると既に空が赤み始めていた。買ってきた時計の針は午後4時をさしていた。家の整理だけだというのに無駄に時間を食ってしまったな。まあ、こうして黙々と作業していた方が色々と落ち着くし、良しとしよう。

 

さて、家の整理が終わり、ついにする事が無くなってしまった。ので、これから使い魔退治に出かける事にした。

 

とっととグリーフシードを集めれる様にならないと不安なので魔女を倒せる様にしておきたかったし、それに、暁美ほむらとしての魔法少女の能力がどれくらいかをちゃんと知っておきたかったからだ。

 

そう、魔法少女の死因は何も魔女になることだけではない。魔女や使い魔などに殺されたり、魔法少女同士の戦いで死んでしまったりという事も多々あるのだ。

 

強くなる必要がある。少なくとも、そこらの魔女に負けない程度には。

 

その為の使い魔退治である。使い魔なら魔女程強い訳でもないだろうし、俺一人でも倒せるかもだし…倒せる、よね?

 

使い魔退治で詰んでしまったらもうその時点で死亡エンドなので、ここはびしっと決めたい所だ。

 

とりあえず家の中で変身してみる事にした。

 

何気に魔法少女に変身するのはこれが初めてなので、上手く行けるかどうか内心不安で一杯だ。

 

「ええっと…ソウルジェムに意識を集中して…」

 

と、暁美ほむらのソウルジェムが紫色に輝いたかと思ったら、既に俺の変身は一瞬のうちに済んでいた。一瞬で服が変わるって不思議な感覚だ。

 

「…ん?」

 

ここで俺は変身した姿に違和感を感じた。

 

灰色と白を基調にした、スマートな印象の暁美ほむらの魔法少女姿。左手には案の定暁美ほむらの唯一の装備である時を止める盾を備えている。

 

だが、プラスα。何と腰の所に、両刃の剣が下がっているではありませんか。

 

「…ほむほむって剣持ってたっけ?」

 

首傾げ。いや、暁美ほむらは武器を持っていない。自分の火力の低さをカバーする為に重火器に手を出す様になった筈なのだ。剣なんて持っている筈はない。

 

とりあえず抜いてみる。すらっと刃渡りは50cm弱。両刃で、種類で言えばグラディウスの形に近いだろうか。違和感の無い長さだし、重さも丁度良い。まるで俺の為に作られた様な剣だった。

 

刀身は何と、紫一色だ。質感は暁美ほむらのソウルジェムに近いだろうか?半透明の紫色の水晶を削って作ったみたいな感じだった。

 

「…うーん…盾には剣…って事か…?」

 

俺は首を傾げて刀身を眺める。

 

まあ、別に良いか。あっても困る事は無い。

 

それよりも、確認したいのは盾の中身だ。暁美ほむらは盾に様々な武器を収納していた筈だ。ここで爆弾や重火器が手に入ったら色々と有利になる。俺は期待を込めて盾の中に手を突っ込んだ。

 

「…ん?空っぽっぽい?」

 

手は見る見るうちに盾の中に飲み込まれていくが、手に何かが触れる感触は一切しない。あれれ、おっかしいな。

 

数分間自分の盾の中に手を突っ込んで弄りつづけた結果、中に何も無い事が判明。なんてこったい。

 

「…つまり、現状武器はこの剣のみってことか」

 

腰に下げた両刃の剣の柄をさすりながら、俺は不安をため息に込めて吐き出した。え?大丈夫なのこれ?遠距離攻撃出来ないってヤバく無い?

 

「…とうっ」

 

ブオンッ。剣を抜きざまに振ってみる。腐っても魔法少女の腕力だ。紫色の軌跡が鋭く描かれて、空気をすぱっと切る感触が腕に伝わった。

 

「…ふっ…詰まらぬものを切ってしまった…」

 

なんてカッコ付けて鞘に収めてみたり。うん、使い心地がめちゃくちゃ良い所為か、抜いてから振る動作も、鞘に収める動作もそつなくこなせる。これが魔法少女クオリティーか。

 

「…そろそろ出るか」

 

しばらく剣を振って感触を確かめた後は、魔法少女の姿から普通の姿に戻って、俺は家の鍵を持って玄関へ向かった。

 

さあ、初陣だ。




やっぱり盾には剣ですよね。そうですよね。何も間違っちゃいない筈。

突っ込みどころ満載な駄文です。誤字脱字のご報告、ご感想、心よりお待ち申し上げております。
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