今回に関してはキャラ崩壊がえげつないです。
深海の世界観については完全にイメージなので現実じゃありえんコトも多々あります。
あと当然のように入る残酷描写(
HELLSHIP 第3話
「…ちょっといいか?」
「何だ」
「どうもまた、厄介な深海のが出たようだ」
「そんなことか…なら"奴等"に任せておけばいいんじゃ?」
「少なくとも東方と…南方ならな」
「…ほう!すると…」
「今回のは西方海域だ。つまり、こちらからも距離はさほど変わらん。奴等警戒して、私等のいるMI島には周って来んだろう」
「久しぶりです…ククッ、こんなに楽しみなのは…!」
「お前の言う『誇り』にかけて行って来い!」
「誇りなど…とうに捨ててますがね」
カスガダマ島沿岸部は、一言で言えば酷い有り様、であった。
森林や草原は焼け野原と化し、動植物の姿は見えない。
「うわぁ…何の為にここまで…」
島に降り立った正規空母の2人。そのうちの1人が呟く。
「こういう輩こそ、"典型的なゴミ共"だ」
「ですね、マスター」
2人は島の中心部に展開している多数の要塞と、その上空を飛び回る無数の艦載機を見て言った。
「何ダ、ヲ前達ハ。此処ハアタイノ領域ダ!」
要塞の中央に浮く艤装に乗った、装甲空母の深海棲艦が此方に気付いて言う。
「誰がお前の領域だと決めた」
「ハ?決マッテルジャナイ、アタイダヨ」
「はぁ…」
Yは呆れた、という感じで大きな溜め息をつき、
「…仕置きが必要みたいだな」
弓を構える。
「アタイハ…強イヨ?」
直後、浮遊していた無数の艦載機が2人に襲い掛かる。
「E、仕事だ」
「はい…サポートお願いしますね、マスター」
2人は弓を引き、矢を放つ。そしてその矢はたちまちコウモリに姿を変え、敵艦載機を迎撃する。
「使いこなせているじゃないか」
「自分でもびっくりです」
「次が来るぞ」
今度は要塞からの砲撃だ。こちらもコウモリを展開し、砲弾から身を守る。
「まぁ、多少当たったところで何の支障も無いがな。特にお前は」
「はい、自分で言うのも何ですが私のステータスって凄いですね、何せ耐久と装甲が…」
「お前は元々がそういう種だからな。流石、水鬼級は伊達じゃない。…もっとも、私等にとってそんなモノは飾りでしかないがな」
「ですね………あれ?」
気が付くと、あれだけ激しかった砲撃が止んでいる。あれ程要塞や艦載機が展開していたのだから、この程度で止むはずが無い。
「…そうか」
「…マスター?」
「前を見ろ」
「………っ!!」
あれ程展開していた艦載機や要塞が消えている。いや、消えたのではない。
その場所には沢山の艦載機や要塞の残骸があった。つまり、"誰かがやった"ということだ。
無論、深海棲艦の姿も無い。
「マ…マスター、これは一体…」
「戻れ」
「…へ?」
「下手したら死ぬぞ、先に戻れ」
「そんな…マスターを置いて帰るなんて…と、兎に角!何が起こってるんですか!?」
「"奴"が来る」
「…?」
ザッ…ザッ…ザッ…
足音が聞こえる。
ザッ…ザッ…ザッ…
それは、段々と近付いて来る。
ザッ…ザッ…ザッ…
現れたのは、黒く長い髪の、赤いワンポイントの入った弓道着のような服を着た少女だった。
しかし、両手には赤黒い飛行甲板のような剣を持っている。
「え、艦むs…」
「我等は海神の代理人…神罰の地上代行者…
我等が使命は…我が神に逆らう愚者を…
その肉の最後の…一片までも没せしめること…」
「「「SIIIIIIIIIINK!!!」」」
その少女からは、異様な程の殺気が出ていた。
「E、隠れておけ」
「は、はひぃ…」
Eは近くの焼け焦げて枯れ果てた木の裏側に逃げる。
Yは上着と帽子を脱ぎ捨て、目の前の少女に向かう。
「此処に居た深海棲艦はどうした…」
「始末した。とんだ雑魚だった…楽しむ間すら有りはしない」
2人はじりじりと間合いを詰めていく。
互いがすれ違う。
「残っているのは…HELLSHIP(貴様ら)だけ」
「そうか…」
ガキンッ!
一瞬にして、2人の刃がぶつかり合う。
(飛行甲板…あんな使い方も!?)
Yは飛行甲板に暗黒エネルギーを集中させ、一つの大剣にしていた。
対して、向こうの少女は両手の剣で応戦する。
「…誇りを捨てた一航戦…アカギ!」
「貴女に言われたくないわ」
2人は暫時剣を交え、少し離れて体勢を立て直す。
「__ハアッー!」
ズバッ!
Yの大剣が、アカギと呼ばれた目の前の少女を捉え、切り裂く。
「っ__!」
アカギは腹の辺りから血を噴き出して倒れ伏す。
「…手こずらせやがって」
Yはそう言うと、Eのいる方に振り向いて、無事を確認した。
しかし、Eの顔は未だに恐怖に引きつっている。
「やはり怖いか…だが、安心し__」
「マスターーーっ!!!」
Yは再び振り向いた。だが、遅かった。
アカギの2つの剣は、Yの両掌を突き刺す。
「なっ…そんな、馬鹿な」
「捉えて…いるわ…クククッ!」
アカギの周囲に、暗黒エネルギーが溢れ出す。気が付くと、腹の辺りの傷はほぼ完全に癒えていた。
「自己修復能力(ゲージ回復)…!」
暗黒エネルギーはたちまち、巨大な要塞型の艤装に姿を変えた。そしてそこから、無数の剣か現れた。
剣は、動けなくなったYを捉え、切り刻む。
「マスターああああぁぁぁーーー!!!」
「Nサマ、大変デス!」
「どうしました?」
HELLSHIPの本拠地に戻ったNは、情報集めの為に駆り出している探査型浮遊要塞の報告を聞いて、ぞっとした。
「裏組織…『Midway(ミッドウェー)』ガ…動イテイマス!」
「場所は!?」
「カスガダマ島沿岸部…」
「戦力は!?」
「戦力ハタダ一人…『誇りを捨てた一航戦』、アカギ!!!」
「っ…!」
要塞の報告を聞くと同時に、Nは飛び出していた。
(ここは…深海高速鉄道を使うか)
深海高速鉄道の本土から最も近い駅は硫化島海底駅。そこから鉄道に乗れば、恐らくここから2時間程でカスガダマ沖海域に到着する。
(あの2人は朝…大体5時間程前に出発したから…深海鉄道の在来線で丁度今頃島に着いたあたりか)
Nは1時間も経たずに硫化島に到着。そこから深海ゲート(※)を通り、深海高速鉄道硫化島海底駅に着く。
Nは他の深海棲艦に紛れて、西方海域方面への列車に乗った。
「ヲ…見慣レナイ人」
「そうね…私は余りこれは使わないから」
「貴女ハ、何処ノ海域?」
「色々変わるから…特には決まってないかな」
「ヲッ、ソウナノ…」
そして1時間半程列車に揺られ、カスガダマ沖に到着する。
(流石高速鉄道…早いですね)
Nは駅を出ると、急いでゲートを通って海上に出る。
("あの"Midwayと…"あの"アカギと…マスターが会ったところで、戦闘にならないはずが無い!まして今はEまで居る…どうか無事だといいけれど)
風を受けて、Nのマフラーが大きくなびく。
やがてカスガダマ島の影が見えたのと、悲鳴が聞こえたのはほぼ同時だった。
「…さてさて、突撃致しましょう」
Yの身体は、ズタズタに引き裂かれていた。
「はぁっ…はぁっ…」
Eは半泣きで、眼前の少女と対峙していた。
「どうした、貴様は戦わないのか?」
「うっ…ううぅ」
眼前の少女は暗黒エネルギーを出し、巨大な要塞型艤装を展開している。
それは、深海棲艦のモノに変わり無かった。
「どういうことか…分からないよ、私…」
やはりこれは夢なのか。数日前からずっと夢を見続けているのか。
「…まぁいい。貴様は特別に、じっくりといたぶってやるか」
艤装から艦載機を出す。それも、白い、ボール状の。
「ううううぅぅぅ…!」
「私にお任せ」
ばっ、と飛び出してきたのはNだった。2つの尻尾のような艤装を薙ぎ払い、艦載機群を撃墜する。
「Nさんっ!」
「…HELLSHIPの情報屋」
恐らくそれは、Nのことを指しているのだろう。
「Midwayめ、何のつもりだ!?」
「み、Midway…?」
「話は後です。今は__」
「えっ、Nさんっ…それより、マ、マッ…マスターがっ」
「そうだ、情報屋。お前のトコの空母のババァ、ズタズタに引き裂いてやったぞ?」
「…それだけか?」
「何?」
「ズタズタに引き裂いて殺した、それだけか!?その程度で…我々HELLSHIPがやられるとでも!?」
「…ク、それこそ、慢心__」
「勝ったと…思っているのか…カワイイナァ!!!」
「なっ…何ぃぃぃぃぃ!?」
Yは自身の身体を暗黒エネルギーで染め上げ、黒い塊は無数のコウモリへと姿を変え、上空へ舞い上がる。
「…マス…ター?」
やがて、コウモリがまた集まって黒い塊となり、真っ黒な人型のシルエットが出来る。
「…成る程、これでは殺しきれん」
アカギは艤装を仕舞い、真っ黒なオーラに身を包む。
「次は皆殺しだ」
やがてアカギは黒いオーラとともに消えた。
「先に戻っている」
こちらの黒い塊も、塵となって消えた。
「えっと…その、あの」
「まずは帰りましょう、Eさん」
こうして、カスガダマ島には何日ぶりかの平穏が訪れたのであった。
(※)深海ゲート
この世界とは決して繋がることの無い深海の世界と、こちらの世界を行き来できるゲート。
深海棲艦にしか見えず、通ることが出来ないとされているが、詳細はまだ不明である。