とにかく、ここまで書ければあとはスムーズに書けるので次は速く更新できると思います。
静かな厨房...ここは遠月離宮の地下1階厨房。ここでなら邪魔は入らないと堂島は思ってここを今回のステージに選んだ。
「これから、田所恵の再試験を始める。田所くん準備はいいかね」
「はい...!」
田所の瞳には強い意思があるのを感じた堂島。何があったかは大体想像ついていた。
「それでは、調理開始!!」
田所が試験をしてる同時刻、雲雀はというと...
「雲雀さん恵は大丈夫なの!?退学って聞いてそしたら幸平が...」
「落ち着いて悠姫...!雲雀さんならちゃんと説明してくれるはずだから」
雲雀はあの後、極星寮のみんなを部屋に集めていた。みんなは田所や幸平のことについて雲雀に聞こうとしていた。
このままだと収集が付かないと思った雲雀はひとまずみんなを落ち着かせた。
「まず、一言...田所さんの退学は一旦保留になっています。保留なのでこれからの田所さんの結果次第では合格にもなりますが不合格...退学もあります」
「結果次第...?それってどういうことですか?」
「それはですね...」
そこからはこれまでの経緯を話した雲雀。その場にいる者は今、田所が受けている試験のことを聞き、さらに心配になっていた。
「恵大丈夫かな...」
「大丈夫よ幸平くんも付いているし、それに恵はいろいろとすごいこと経験してるから...」
「まぁ、僕達以上にあの2人はいろいろと体験しているから心配はないとは思うけどね」
「今は、無事合格することを願うしかねえな」
今は何もできないとわかり、この場にいる極星寮のメンバーは2人の合格を願っていた。
この場はお通夜みたいな雰囲気になりつつあるが、1人だけ違う者がいた。
「大丈夫ですよ」
そう、雲雀だった。1人微笑みながら生徒のほうを向いていた。その顔は、不安といったものが一切なく"あと少しで戻ってくる"といいたそうな顔だった。
一方、楯無は雲雀の顔を見て大丈夫と思っているが少し不安であった。そして、忘れられていた鶫は"たーちゃんなら大丈夫大丈夫♪"と言い部屋に戻っていた。この姉妹はよく似ているとみんなは感じていた。
田所の試験が始まってから1時間が経過した。そろそろ田所の試験結果が出ているころだ。みんなの緊張はさらに増し、その場は沈黙が続いていた。
「そろそろだね...」
「そうね...もう終わってこっちに向かってるわよ...」
この場にいる雲雀以外の者はただただ田所と幸平の無事を祈っていた。沈黙が続いている時、ふと雲雀が立ち上がり台所の方へ歩き出した。
「雲雀さんどうしました?」
「いえ、お茶を淹れようと思いまして。少し待っていてください」
「さすが雲雀さん...この状況でも落ち着いている...」
雲雀以外の全員が雲雀の落ち着き具合に驚いていた。本人はいつも通りのようにお茶の準備をしていた。
雲雀がお茶を淹れ終わり持ってくるとお茶碗の数がここにいる数より2個多かった。
全員が2個多いことに気が付くと雲雀が口を開いた。
「みなさんが心配しなくても大丈夫です」
喋りだす雲雀...扉の向こうから聞こえる足音...
「田所さんの作る料理はみなさんがよくわかってるじゃないですか」
徐々に足音が大きくなる...
「田所さんはすごい人です。だからこそ...」
ガチャリとこの部屋の扉が開く...
「笑顔で帰りを待ちましょう。そして...」
扉の方を振り向く雲雀...開いた扉の向こうには...
「おかえりなさい田所さん...お待ちしていましたよ」
目元が赤くなりながらも笑顔の田所がいた...
「ただいま帰りました...!」
「あれ?俺は...?」
無事田所は四宮の試験を合格した。あの後、心配していた悠姫たちは小さい宴みたいなことをしたとのこと。
それから田所は順調に次々の試験を無事合格していった。田所を見た雲雀はその成長ぶりに少し驚きを感じていた。
あの日の田所が帰ってきた後、少し時間が経つと雲雀は部屋から退出しある人の下へと向かっていた。
「どうでしたか、田所さんの腕は...」
「...うむ、少しだが君と同じ感じがしたな」
「ふふ、そうでしたか」
夜遅く、遠月リゾートの外
ベンチに座る2人
「田所君は君と同じく、食べる人への思いが篭っている一品だった。さすが、君が気に入っている生徒だ」
「立場上そうゆうのはしてませんが...田所さんには少し期待していることは確かです。ですがそれはこの学園の全生徒にも言えます」
「はは、君らしいではないか」
「それで、あなたの思惑は良い方へ行ったようですね」
涼しい風が吹く中、雲雀は堂島に言った。近くの川の音がいい音を出している。
「ふふ、そう思うか?」
「ええ、それに関しては私にできることはありませんでしたから上手くいったのならそれで構いません」
「君らしいな...だが、生き延びたからってまだ合宿の他の課題で落とされるかも知れんぞ?」
「大丈夫ですよ。あの極星寮にいるんですから」
「はは、そうだな」
かつていた場所だからこそわかることだった。昔の思い出に浸る2人に月光が当たる。
「そろそろ部屋に戻ろう。まだまだ合宿は始まったばかりだからな。倒れられたら困ってしまう」
「そうですね。それに、もうすぐ恒例のあの課題が始まりますから」
その言葉にお互い苦笑いをした。経験者同士苦労を知っているためそうせざるおえなかった。
「あの課題か、今回はどんな風に生徒たちを悩ませるんだろうな」
「これも必要なことですからね...今回は確か卵...あら?」
雲雀が会話を中断しポッケに入っている携帯を取り出した。
そこには『千冬』と書かれていた。電話相手は織斑千冬からだった。雲雀は堂島に"すいません"と言い電話を出た。
「もしもし千冬?どうしたのかしら?」
『ああ、すまない仕事中だったか?それとも寝ていたか?』
「いえ、ちょっと外で知り合いと話をしていただけですから」
雲雀の言葉に少し安心した千冬。一咳してから今回の本題に入った。
『それでだな、そっちで仕事している所悪いんだが...こっちに戻って来れることはできるか』
「戻るですか?学食の方は私がいなくても回せるとは思いますが...」
『いや、学食は関係ない。今回は明後日行われる学年別トーナメントの手伝いだ。養護教諭(保健室)の先生が都合によりいなくてな...確か雲雀は『養護教諭免許状』を所得していただろう?』
「ええ、持っていますよ?ですが、他の先生方も持っているかと」
"ちゃら~ちゃららら~"
ここで、説明しよう。養護教諭免許状とは所謂「保健室の先生」の正式名称は「養護教諭」のこと。
養護教諭も「教諭」だから、国語や数学などの教科指導を行なう先生と同じく養護教諭の「免許状」を有していなければならない。(コピペ)
"ちゃらららら~ん"
『それがいなくてな...急な話ですまないと思っている...』
「そうですか。少し待っていてください」
雲雀は今の話を堂島に話した。堂島も話の内容を理解し"それなら致し方あるまい"と許可を得た。
「コホン...わかりました。こちらも許可が出ましたので行けそうです」
『そうか、感謝する...』
「気にしないでください。その学年別トーナメントは明後日です...ね....」
『ん?雲雀?』
言葉を言っているときに気づく雲雀。今回の合宿は6日間で行われる。昨日から始まり今日の分は終わった。つまりあと4日間行われる。学年別トーナメントは明後日の2日後に開催され明日戻らなければ間に合わない。
じゃあ、今この合宿に参加しているIS学園の生徒会長さんは何を考えているのだろうか。
「いえ、明日には戻りますから待っててください...1人連れて帰りますから...」
『ッ!?....よ、よろしく頼む...そうかあいつはそっちにいるのだったな...』
電話越しから伝わる只ならぬ気配に千冬はとある生徒会長のこれから起こることを予想した。
『(まぁ、自業自得だな。良い薬になるだろう)』
「それでは、私は戻る準備をしますから切りますね」
『ああわかった、それじゃあおやすみ』
「ええ、おやすみなさい」
電話を切り、先程の話に戻ろうとする雲雀。それを中断するかのように堂島が話し始めた。
「うむ、では荷物を片付けておくといい。こっちには戻っては来ないだろう?」
「いいのですか?間に合うようでしたら戻ってくる予定ですが...」
「怪我人が出てしまったら戻っては来れないだろう。ISとやらは危険なものと聞いてるからな」
「...わかりました。ならそうさせてもらいます」
これ以上言っても話が進まないと感じた雲雀。
「安心しろ。話は私から上の方にしておく」
「色々とありがとうございます。それでは」
お辞儀をし自分の部屋に戻っていく雲雀。そして、その夜にとある生徒会長はこっぴどく起こられたそうだ。
一応次で遠月編はラストですね。まぁ、次は主に雲雀さんがいなくなってからの話になると思いますが...
あとあの話題の変なお父さんも出ると思います。
では、速く更新できるようがんばります!!