某日、文月学園の某所にて。
「ふはははは!! ふははははは!!!!」
「……部長よ、どうしたのじゃ?」
「む、秀吉か。クックックッ、この演劇部部長である俺様に何の用だ?」
「誰に自己紹介しておるのじゃ……
単に部長が大声で笑っていたから何事かと様子を見に来ただけじゃよ」
「ほう? つまりそれはこの俺が大声で笑っていた理由をどうしても知りたいと。そういうわけだな?」
「まぁ、間違ってはおらぬのじゃが……」
「何、簡単な事だ。
ついに台本が書けたのだ。会心の出来だ!!」
「……またどうせろくでもない台本なのじゃろう?」
「またとは何だまたとは」
「部長は演技だけは上手いのじゃが、台本となると致命的じゃからなぁ……」
「ふ、ふん、そんな事を言っていられるのも今のうちだ!
さぁ見るが良い。この至高の台本を!!」
我が部下である秀吉に台本を押し付けると、秀吉は不審な表情をしながらも台本を開く。
そしてその台本の出来故か、秀吉は驚愕して目を見開き、そしておそらくは『こんな素晴らしい台本を読んでしまったら素晴らしさのあまり他の物語がつまらなくなってしまうのではないか?』という恐怖からか顔がどんどん真っ青になっていった。
ふはははは! そんなに素晴らしいか!!
「……部長よ、これを本当にやるのかのぅ?」
「当然ではないか。我々で演劇の新たなる歴史を刻むのだ!!」
「……はぁ……まぁ、こんな人でも部長じゃからのう。ワシにできる事であれば手伝うのじゃ」
「分かっているではないか秀吉よ。
ではそうだな……これを演じる役者を探してくれないか?」
「む? 演劇部の部員ではダメなのかのぅ?」
「これの登場人物は兄と妹。故に、役者も兄妹だ!!
その方が観客にとっても分かりやすい!!」
「うぅぅむ……兄と妹のぅ……」
「どうだ。誰か居ないか?」
「……そう言えば、剣は一応兄で、光は一応妹だったのぅ」
「ああ、前によく来てたお嬢ちゃんか。兄が居たのか」
「うむ。ちなみに双子でどちらも二年生じゃ」
「最高じゃぁないか!!
よし秀吉よ、早速連れてきてくれ!!」
「まぁ、ワシは構わんが……
……数分後……
「連れてきたぞい」
「おお秀吉よ。でかした!! 次回の作品ではヒロイン枠をやろう!!」
「要らんのじゃ。そもそも部長に役を決める権限は無いのじゃ」
「な、なぜバレた!!」
「……おい、帰って良いか?」
「兄さん落ち着いて。ここの部長は演技だけは上手いけどそれ以外は残念な人なのよ」
「……ったくしゃーない。で、その部長サマが一体何の用だ?」
「話が早いではないか空凪兄よ。貴様には俺が書いた究極の台本を演じてもらう!!」
「……帰って良いか?」
「剣よ、部長も一度合わせたら気が済むと思うのじゃ。
ここはワシに免じて一度だけで良いから演じてくれんかのぅ?」
「……光はどうする?」
「まあいいわ。この部長は残念な人だけど、不快な台本を書く人ではないわ。
……多分」
「……仕方あるまい、付き合おう」
「おお! やってくれるか!!
ではこれが台本だ。頼んだぞ!!」