仮面ライダー【レイヴン】   作:ODEN

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第2話「組織」

 

前回までの仮面ライダーレイヴンは...

 

「圭介っ.....逃げろっ.....!」

 

「ああ?いいだろ別に...実質、俺のトロイドが一番扱いやすいしな」

 

「やっちまった...」

 

「仕事?....あるのに....」

 

「...ああ、もういいさ。やってやる...!」

 

「【レイヴン!スタート!】」

 

....

....

 

俺は高校時代、ちょっとした武術を練習していた。...武術といってもほんの少し齧ったくらいで、大会に出るような腕前では無かったんだけど。

しかし、高一から続けていたおかげでそれなりの体力と知識は付いていた。ヒトの弱い部位とか、色々。

今目の前にいる怪物_蜘蛛のような姿をしたそいつに、俺の知識と努力は通用するのかはわからなかったが_

 

ただ一つ、確信が持てた事がある。

 

__勝てると。

 

素早く懐に潜り込み、腹と思われし部分に右手を振り上げ、アッパー。

続いて怯んだ隙を見逃さず、そこから勢いよく蹴り上げる。

怪物はよろめきながら後退、体勢を整えようとするが__

白銀の超人は、既に怪物の頭上に飛び上がっていた。

 

【レイヴン!ヒッサツ!マキシムストライク!】

 

腰に巻いたベルトから、ハリの効いた電子音声が発される。

右脚に力が溜まるのを感じながら、俺は怪物目掛けて急降下。

 

「っ....せぇえぇい!!」

 

裂帛の気合いと共に、俺の右脚は確かに、怪物の装甲を貫いた。

ガシャリと怪物が崩れ落ちる音がする。そして、次の瞬間_爆散。

舞い上がる火の粉と煙の中を、俺はゆっくりと、歩くのだった。

 

...

 

「凄いわね....アレが、【レイヴン】」

赤黒い煙の中で薄青く光るツインアイをモニター越しに見つめながら、紫髪の女性ーー清隆 真澄は呟く。

「レイヴドライバーの性能も大した物だけど、それよかあの適合者...」

真澄は、底知れぬ胸の高揚を感じていた。

「...やっぱり、来てもらわなきゃ、ウチに」

真澄の背後には、同じ組織の者と見れる人間が数人。

 

「いよいよね...」

 

「今迄調整し続けた甲斐がありますよ、もう...」

 

「反撃が始まるのか...【反脳世界連合の】」

 

...

 

「お疲れ様!本部の方から見てたわ、君の戦いっぷり」

気付くと、背後から女性の声が聞こえた。

振り向くとそこには_自分を超人へと変身させた、このベルトを渡したあの紫髪の女性がいた。

「...で、結局俺に何の....」

紫髪の女性は俺の言葉を遮るかのように平手を突き出す。

「用は支部に戻ってからにしましょ?ここで話すと後々厄介だし」

そう言うと紫髪の女性は後ろに停めていた黒塗りの車を指差す。

言われてから辺りを見回すと、成る程、先程倒した怪物の死骸があちらこちらに転がっていた。

確かにこのままここに居座ってると、警察やら何やらが飛び出して来るのは確実だったので、仕方なく俺は紫髪の女性の車に乗り込むのだった。

 

「そういえば、自己紹介がまだだったわね...私は真澄。清隆 真澄よ」

信号機が赤に変わった。真澄と名乗った女性は窓越しに前を見つめながら、ハンドルを握りそう言う。

助手席に座った俺は無言のまま真澄(これからは”真澄さん”と呼ぶ事にする)...真澄さんを見る事しか出来なかったが、気不味い空気を察したのか、真澄さんの方から話を切り出してきた。

「んで、貴方は?さっきは事態が事態だったから聞けなかったけど...」

と。

ナイスタイミングな話題だった。

俺は少し咳払いすると、自分の名前を名乗る事にする。

「神居...圭介です」

それを聞いた真澄さんは納得したように頷くと、

「なら、神居君ね。これからよろしく」

「これから...?」

信号が青に変わった。

「これから」という新しい話題を聞こうとした所で、二人を乗せた車は再び走り出す。

 

車は何故か_地下道を走っていた。

いや、ここを走るのは最初の時含め実質二度目になるのだが、混乱していたせいか周りを良く見る事が出来なかった。

走る車以外何もない薄暗い地下道の中で、思い出したように真澄さんは言う。

「あ、ここから先の施設の事は組織の人以外他言無用だから...よろしくね?」

頷くしか無かった。

というか、俺にはそんな事を話せるような仲間はいない。

「...で、この車は何処に...?」

思いついた疑問を投げかけてみる。

「さっきの怪物を仕向けた...【ブレイン】っていう組織のメタ的な存在、【反脳世界連合】通称【レジスタンス】の中心街支部...【アース】。そこに向かってるわ。言っちゃえば秘密基地みたいな物ね」

長ったらしい説明だな...と感じつつ、俺は再び前を向く。

目の先には駐車場らしき場所が見えてきた。

 

エレベーターを上がると、如何にもメカメカしい通路が俺を出迎えた。

「【仮面ライダー】って、聞いた事あるかしら」

突然何なんだ...と思いながら、俺は「名前くらいは」と答える。

「その世界では悪の組織【ショッカー】が出てくるんだけど、さっき言った【ブレイン】っていうのがそれに値するの。それで、貴方が変身した存在【レイヴン】が_」

「【仮面ライダー】、って事ですか」

言葉を引き取るように、俺は真澄さんに言いかける。

「そ。そして、【ブレイン】に対抗する正義の組織がここ、【反脳世界連合】通称【レジスタンス】って訳」

 

...

 

「やっぱり現れたか、レイヴン...」

「どうやら、君のトロイドがやられたみたいだよ...B〈バスター〉」

青装束の男が、Bと呼ばれた赤装束の男に皮肉めいた声で言う。

「っせぇな....倒された所でまた作り直しゃいい話だろ....」

そう言うと、Bは手元にあった乾電池状の物体を握る。

すると、物体はうねうねと不気味な動きを繰り返し...

牛のイメージを持つ、怪物となった。

「さあ、第二ラウンドだ...」

 

...

 

「_要するに、そのブレインとかいう脳みそ軍団から、地球を守れって話ですね?」

少し言い出すのを躊躇っていたのだろうか、真澄さんは俺の声を聞くと虚を突かれたような顔をした。

「...察しが良くて助かるわ。簡単に言えばそうなるかな」

頬を掻き、真澄さんはたははと笑う。

「...まあ、受けませんけど」

「それじゃあこれからよろ....って、あれ?」

わざわざ知識も力も無い俺が、得体の知れない怪物共と戦うなんて馬鹿げた話だ。

最もそんな物騒な案件を押し付けるなら、軍関係の人物とかもっと適任な人がいるだろうに...

「...もしかして、『自分には向いてない』とか思ってない?」

_それを見越していたのか、真澄さんが口を開いた。

「...まあ、そうですけど」

観察眼でも鋭いのか?この人は...

「その件なら大丈夫よ。...というか、貴方にしか頼めないかも」

「俺にしか?」

浮かべた疑問符に満足しながら、真澄さんは続ける。

「そ、貴方しか頼めないの。【レイヴン】は装着者を選ぶ『適合者システム』という物があってね、その名の通り選ばれた者しか変身出来ないって面倒くさいギミックがあるのよ...で、現時点で変身を確認できたのは貴方とあと一人。要するに二人しかいないわ」

...これ、新手の詐欺じゃないよな?

「それじゃあ、そのもう一人に頼めば...」

「残念ながら、その人はもうこの世にはいないわ。...助けられた事はない?【レイヴン】に」

真澄さんが、含みを持たせた笑みを浮かべた。

「.......!」

そうだ。俺は確かに【レイヴン】に助けられた。

家族も友達も誰一人失ったあの日に、希望を見出してくれた存在。

それが、レイヴンに変身出来た「もう一人」だったようだ。

「彼は果敢に【ブレイン】に挑み、そして散った。彼の意思を継いでみたいとは思わないかしら?」

あの日、俺に見せてくれた唯一の希望_。

今度は俺が、希望(それ)に_。

「...わかりました」

まだ不安要素は山程あるが、やってみない事に他はないだろう。

第一俺にしか出来ないらしいのだ。ならば尚更理由が出来る。

「やりますよ、【レイヴン】。それが今の俺に出来るというのなら」

それを聞いた真澄さんは、納得したように頷いて笑みを見せた。

「...良かった」

 

「...因みに、給料は...」

仮にも【仕事】だ。それ相応の対価が無ければ...

「あー、給料?...えっとね、このくらいかしら...」

メモ帳に手早く記し、俺に手渡す。

「どれどれ、一、十、百、千、ま...ってまだまだ0がある...」

「世界を守ってもらうんだから、これくらいなきゃ、ね?」

十分危険は伴うが、暫く生活に支障は出なさそうだ。

 

 

次回、仮面ライダーレイヴンは...

 

「牛の....何だっけ」

 

「トロイド。それが奴らが送る改造兵」

 

「...まあいいや、倒せればどうって事ないしな...」

 

「あの姿は...」

 

「【レイヴン!セイバー!】」

 

次回「蒼剣」

 

レイヴン、装着(スタート)!

 

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