Prologue
時間は日付も変わった深夜のこと、大抵の人は明日に備えつつ心身ともに休めているのもいれば未だに起きて夜の仕事に行く人もいるであろう。
そんな中、民家から離れた夜道を歩む男が一人。片手のスマートフォンを見ながら歩く様はマナー違反だがそれを注意する人間は周りにいない。男は特に急ぐ様子も見えず、ただこれから起きるであろう事態に対して考えながら目的地に進んでいた。
「…おー、やってるやってる。」
男が何気なくつぶやいた言葉はここから先の人気のない森から聞こえるはずのない金属音や爆発音などが聞こえてきたからだ。
聞こえてくる音からはこの先は戦争でもしているかのような激しい状態だというのが分かる。だが男はそのようなことには一切気にする様子もなく。
「こんな時間にまぁ近所迷惑な事で…とにかくサクッと片付けますか。」
手に持っていたスマートフォンを仕舞い代わりに取り出したのは中心に窪みのある小さな小刀が付いた黒いバックル。
自身の腰に当てバックルの両側から黄色い帯状のものが巻き付いたの確認すると、次に取り出したのは赤黒いオレンジが描かれた錠前の様なモノを顔の横に構えた。
「───変身。」
<< ブラッド・オレンジ! >>
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「ハァ、ハァ…全く手こずらせやがって。」
森の中にいるのは二人の男、いや正確には一人と一人だったモノであった。この二人は神の不手際により第二の人生と力を与えられ、望むがままの生き方をしていたのだがほんの些細な揉め事により一人の命が消えたのだった。
「ハッ!ざまぁみやがれ!人様のオンナを横取りしようとしたお前の自業自得だぜ。もっとも最近目障りになってきたから近いうち殺そうと思っていたけどなぁ!!」
周りが大きく陥没してるところや木々がなぎ倒されている中心で、男は何言わぬ死体に歪んだ笑顔向けながら汚い言葉を履きつつ愉悦に浸っていた。
「さて、そろそろ帰って今日もお気に入りの女で楽しむと…ん?」
男がこの場から離れようと思っていた所にこちらに近づいてくる足音が聞こえた。だが男は差ほど焦ることなく
目撃者ならば口封じに殺し、女ならば今日のお楽しみとして喰らってやろうと思っていた。振り返って近づいてくるものがどんな奴なのか見ようとした瞬間男は目を見開いた。
「なんだ?…お前…。」
男の目の前にいたのは、想像超えるものであった。
全身に青色のスーツを纏い、腰には小刀が付いたベルトにはカバーを外した錠前、上半身に血のような赤黒い甲冑を身に着けて、頭部にも三日月のマークが付いた兜を被っていた。
一言で表すなら鎧武者、そのような存在が自分の目の前に立っているのだ。
「…鈴木信彦、で合ってるな?」
「!!」
鎧武者は男の質問に答えず、逆に質問してきた。この質問の内容に男は再度目を見開いた、何故ならその名前は何を隠そう自分が前世の時の名前なのだから。
「…そうか、お前も俺と同じ転生者か!!」
「まぁね。それで?」
「投影開始!」
男もとい転生者の両手が光った後に黒と白の双剣が握られ、鎧武者に切りかかって行った。
鎧武者は慌てる様子も無く右手に持ったオレンジの断面を模している赤い刀を横に振るい、双剣諸共転生者を弾き飛ばしたのだ。
「ぐあっ!!」
飛ばされた転生者は、先ほどの戦いで消耗はしているものの鎧武者に投影した剣が簡単にバラバラにされてしまった事に目の前の鎧武者は本気で殺らなければ殺されると自分の本能がささやいてた。
忌々しげな顔を隠す事も無く、黒い弓を出すとドリルのような剣を矢に変え鎧武者目掛けて最大出力で放った。
「偽・螺旋剣!!」
放たれた矢は真っ直ぐ鎧武者目掛けて進、凄まじい爆音と光と共に着弾した。
「…はっ、ははははっ!!どうだ!!いくらなんでもこれだけならあいつもくたばって…!?!?」
転生者が矢を放った着弾点から爆煙が晴れるの見ると所々煙が出てるものの、それ以外は全くノーダメージの鎧武者が立っていた。
「何…だと、い、今のは本気の一撃だったんだぞ!なんで平気なんだよ!!」
「簡単なハナシ、おたくの本気がこのアーマーに傷つくレベルじゃないって事でしょ?」
鎧武者は転生者に語りかけながら歩んでいく、転生者から見てそれは鎌を持った死神が自分の命を刈り取ろうとしている光景に等しかった。
「さて、こちらはそっちの本気の一撃とやらは喰らったから、…今度はこっちの番でいいんだよなぁ?」
「う、うわあああああああああああ!!!」
その一言に転生者はもう正気を失い、無闇に剣を大量に投影しては自棄具足気味に剣を放った。対して鎧武者はベルトに付いている小刀を二回ほど倒し、腰を落として剣を構えた。
<<ブラッド・オレンジ オーレ>>
「ゼアァッ!」
「ッ!、があああああああっ!!!」
構えた刀が赤く発光しこちらに飛んで来る刀剣類目掛けて振るい、振るった刀から放たれた斬撃が刀剣類を全て砕いた。
一撃で全て無力化され唖然とする転生者の前に、鎧武者はそのまま転生者に近づいて切り掛かり、転生者の右肩から腰まで縦一文字の切り傷を刻み、転生者は大きくのたれ回って悲鳴を上げた。
「はぁはぁ、なん、でだよ。なんで俺がこんな目に合わなきゃ…。」
「…お前、それ本気で言ってんのか?」
怒気含ませた言葉に転生者は情けない悲鳴を上げるが鎧武者は刀を転生者に突き立て、言いたいことを包み隠さず言った。
「自業自得って言葉知ってるよな?今のアンタが正しくソレ。
好き勝手やったツケが今になって返って来たんだよ。こーんな形でなァ…。」
鎧武者が淡々と喋っている中、転生者はもう生きた心地がなかった、逃げようにも突きつけられた刀を前に手足が震えて挙句の果てに失禁までしていた。
「いやだ、いやだ!!死にたくない!ようやく手に入れられた人生なんだ!力なんだ!こんな形でおわっ<ザシュ!!>・・・・・。」
転生者の心の叫びともいえる言葉は最後まで言える事無く、鎧武者が振るった刀で転生者の頭は胴と離れたのであった。
「言ってるだろうがよ、自業自得ってな。」
鎧武者はベルトに嵌ってる錠前のカバーを閉じて自身の姿を元に戻した。そのままスマートフォンを取り出し何処かに電話を掛けた、3コールくらいなった後相手に通じ、業務連絡のように電話の相手にターゲットである転生者の処理を伝えた。
「終わったぞ……あァ特に変わりなしだった……はぁ?今すぐぅ?……ハイハイ了解、エサやったらすぐ向かいますよっと。」
男は電話を切った後、懐から片手サイズの手鏡を取り出してそれを先ほどの転生者の死体にかざした。
「ほら、ちゃんと仲良く分け合って食えよ。」
それが合図かのように手鏡から何かが飛び出し、転生者の死体を手鏡の中に引きずり込んだ。
そういえばと思い、本来消すべきであったもう一人のもあったなと思い出したのであたりを見回すと少し離れたところにあったため、そいつの死体も先程と同じように手鏡の中へと引きずり込んだ。
死体の片付けを済ますと、男の前に灰色オーロラがカーテン状に掛かっていた。
男は何の迷いもなく暖簾を潜るかのようにオーロラに入って行った。するとオーロラは最初からなかったかのように消えてゆき、その場に残ったものは、激しい戦争の跡地のような更地だった。
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以上、初めての投稿でした!
何か意見や感想あったらじゃんじゃん来てください!