その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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シンスペクターカッコよすぎだろ!?
マジで原作に出てくれなかったのが惜しいって思いました。

後パーフェクトノックアウト強すぎ!二つのイイとこ取りのフォームだと思いました。


正体

 

 

 

正体

 

若獅子トーナメント決勝戦当日。

 

その日は決勝戦と言うのもありスタジアム内の活気が最高潮であり、生中継されていた試合映像もこの日は勝ったチームがそのまま武神である百代と戦うと言うのもあって世界中に流されている。

 

そしてその世界中にその姿を見せているのが悠を単独踏破した松永 燕と直江 大和の知性チームと…。

 

【チーム・アンノウンですがこれまでの試合結果は、一回戦にチーム・フラッシュエンペラーをダブルノックダウン。二回戦にチーム・セイントキャッツの塔上選手をK.O.。そして準決勝のチーム・デスミッショネルズの武蔵坊選手をK.Oで倒してます。】

 

【一回戦以降は二人では無く、ほぼ一人で二人相手していたのが目についたな。コイツも中々に強そうでどっちか勝ってもワクワクして来たぞ♪】

 

今だ素顔を見せずに楽々と勝ち上がってきた謎のチーム、アンノウンに今や悠を倒した燕と同等に観客の目を引くチームだ。

 

そして間近に対面している燕は相手が強者である事が雰囲気からして察したが、それと同時に感じるモノが。

 

(なんだろうなぁ、このイヤな感じ…。前に何処かで感じた様な…。)

 

「燕さん…?」

 

「っと、ゴメンゴメン。なに大和クン?」

 

「いえ、何か珍しくボーっとしてたんで、大丈夫かなって…。」

 

「平気平気♪決勝だから少し緊張しちゃったかも…それよりも…。」

 

「えぇ。いつも通りオレは出来るだけ下がって見てますよ。流石に得体の知れない相手に突っ込む勇気は無いですからね。」

 

そうだね。と、燕が短く答えて相手を見据える。

目の前の二人組は大和が少しでも有利に事運ぶために素性を調べ上げようと色々手を尽くしたが、顔どころか名前すら結局分からず仕舞いに終わった。

大和の情報収集の良さを知ってるからこそこれから戦う相手が昨日戦った悠よりやり辛い相手になると一種の懸念を感じさせていた。

 

そんな事を思いながらも次第に開始の時間が迫って来ていた。

 

【今試合は決勝戦につき、文字通り技と技の競い合いと言う事でバトルフィールドのルールはありません!

さぁお待たせしました。試合……開始ィーーーーッ!!!】

 

「行くよんッ!」

 

試合開始の合図と共に燕は長所の瞬発力を活かし先手を仕掛けに行く。

 

対するアンノウンは二人の内一人がゆっくりと前に出て燕に向かって行く。その歩調からかなりの余裕が窺えた。

 

「セィッ!」

 

先ずは様子見と言った風に燕は差ほど威力を抑えた横蹴りを繰り出す。それに対戦相手は全身を筒んでたローブから片腕を出してそれを軽々しく受け止めた。

 

(この程度じゃ入らないか…それなら…!)

 

受け止められた足をすぐさま引き、今度はフェイントや拳を含めた連打を仕掛けて来た。

コレに対戦相手は両腕で受け止めガードしていき、端から見れば防戦一方の状況となった。

 

【松永選手、パンチ・キックの怒涛のラッシュを繰り出してきたぁ!!チーム・アンノウンは防戦一方に迫られています!!】

 

【…いや、そうでもないぞ。】

 

【へ…?】

 

解説の百代の一言に理解出来なかったが、その意味は次第に形となって目に見えてきた。

 

燕の反撃の間を与えないラッシュの嵐は次第に勢いを増して行くが、対戦相手は燕のラッシュを両腕から片腕で受け止めて来ていた。

これは燕の動きが読めて来たと言ってる様なモノだった。

 

「ッ…でぇえいィッ!!」

 

自分の動きが読まれてる事に気付いた燕は跳んで渾身の後ろ回し蹴りを胸目掛け繰り出す。が、それは胸に入る前に容易く受け止められ片足を掴まれたまま身動きが取れなくなった。

 

「…飽きたな。」

 

「え…。」

 

ふと発せられた声に呆気を取られる中、足を掴まれてた手が離され自由となった燕は下がって距離を取る。

 

今聞こえた声は紛れも無く目の前の人物から発せられた声だ。声からして男だと判断した燕を余所に男は落胆したように話し続ける。

 

「ここまで歯ごたえの無い相手と戦って決勝ならそれなりに楽しめると踏んだが…期待外れだ。

腕のあるヤツ等が出ると聞いて出て見た結果がコレか…。」

 

「アララ、もしかして私もう負け確定?それはちょっと気が早いよん。」

 

相手の言葉に流石の燕も顔を強張らせるが、そんな事など気にした様子も無く一方的に喋り続ける。

 

「そう言えばお前、前の試合で妙な鎧を着ていたな。

アレを身に纏え。そしたら少しは出来る様になるかもな。」

 

「お生憎様、アレは今日使わないつもりだよん。

どうしてもって言うならそれに見合ったモノを見せて欲しいなぁ。例えば…その素顔とか。」

 

「フッ……まぁいいだろう。ここまで来たら…。」

 

男はローブに手を掛けその素顔を曝した。

その素顔に会場内はざわめくなか、解説席に居た百代がその素顔に反応を見せた。

 

【ん?……確かアイツは…。】

 

【知っているんですか川神さん!?】

 

【あぁ。確かアイツ空手部の勝村だ。前一度遊んで中々倒れなかったから覚えてる。でも…。】

 

【でも?…。】

 

【アイツ確か何ヶ月か前から不登校になってる筈だ。このタイミングで姿を出してると言う事は、修行でもしてたのか?…。】

 

百代の解説席からの言葉に会場内は様々な反応の声に包まれる中、リング内で素顔を曝した勝村と燕はその場から動いていなかった。

 

「へぇ~。誰なのかなぁって思ったら空手部の人かぁ…。」

 

「フ…ククッ…。」

 

「?…何が可笑しいの?」

 

「なに。…此方の記憶は曖昧に残っているが、コイツ自身は意外に人気者だと言う事にな…。」

 

「何言って…。」

 

「さて、お前が知りたがってたオレの正体だが…オレは…。」

 

「ッ!?」

 

【な、なんだぁーー!?コレは一体…!?】

 

次の瞬間、勝村の体から異様な気が発せられそれは武道家でも無い観客にも見える程の不気味なオーラが勝村の体から出ていた。

 

会場内は一気に困惑の渦に巻き込まれるなか勝村の姿が次第に変わって来る。それは人から異形の姿へ、エビの様な頭部が特徴の赤い怪人。ファントム・バハムートへ。

 

【な、ななななぁーーーーッッ!?!?】

 

【か、勝村が、ば、化け物に…ッ!?】

 

「フゥーー。」

 

突然の事態に会場内は騒然と騒ぎ立つ。それはそうだろう、なにせ今まで姿をくらましてた生徒が突然出て来てその上異形の存在に姿を変えたとなれば騒がない筈がない。

 

バハムートの出現に悲鳴の声が上がってるなか、当のバハムートは首を鳴らして後ろのもう一人のローブをまとった人物に声を掛ける。

 

「オイ。オマエモモウ戻ッテ良イゾ。」

 

「Oh!やっとKa!!イヤーこの姿だと肩がこっちゃうから参ってたYo!」

 

「肩ガコル程オレ達ハ脆弱デハ無イダロウ…。」

 

もう一人の発言に呆れるバハムートを差し置き、もう一人の方にも不気味なオーラが発せられると姿が変わり、ファントム・シルフィの姿となった。

 

「フィ~。ヤッパコッチガイイNe!人間ノ頃ノ姿トハ言エ窮屈デ仕方ナカッタZe!」

 

「アァ。力ヲ抑エタ状態デヤルノモ一興ダト思ッタガ、ヤハリコノ姿デ暴レルノガイイ。」

 

「アナタ達……一体、何なの?人間の頃って、どういう…。」

 

「貴様ニハ関係無イ事ダ。

…ソレヨリモ此方ハ望ミ通リノ姿ヲ見セタ。次ハオ前ダ。アノ姿ニナッテ戦エ。サモナクバ…。」

 

「コウナッチャウYo!」

 

シルフィが風を纏って飛び上り観客席に向けて竜巻の様なモノを生み出しそれ操り出すと竜巻に巻き込まれ人々が吹き飛ばされていく。

だがそこまで強く無かったのか吹き飛ばされた人は怪我を負ったもの大事に至らない程度であった。

 

これを皮切りにパニック状態になった観客は我先にと立ち上がり逃げようと通路口に向かって行くが、通路口前でシルフィの操る竜巻が通さないと言わんばかりに逃げる人々を吹き飛ばし、会場内から出られない状況になってしまう。

 

上空で無数の竜巻を操ってるシルフィはこの光景に滑稽に笑い出す。

 

「ノンノン。途中退席ハ許サナイYo!ホラホラァ、早クシナイトミ~ンナボクノ風デ華麗二飛バサレチャウYo?」

 

「ッ…大和クン!出来るだけでいいから此処から離れて!!」

 

「燕さん!!でも…!」

 

「いいから早く!!」

 

これ以上無い程に声を荒げながらも大和の身を案じて下がるよう叫んだ燕。

この時燕は開始前に感じた違和感の正体に気付いた。一度前にロイミュードによって感じた事のある、死の恐怖。その時に無理矢理体が覚えてしまったのかもしれない。

 

体が無意識に反応したのだ。目の前の二人が人ならざるモノだと。

 

体が無意識に震えながらもベルトを取り出す。燕が今感じている恐怖はあの時の比では無かった。

あの時は機械的に標的を排除する為に動く機械人形であるが今相対している怪物はそうではない。人から姿を変え、独自の思考を持ち、言語を話し、そして…此方に対して明確な威圧を放ってる事がロイミュードとの違いであった。

 

「ドウシタ?早クシロ、サモナクバマタ弱イ人間共ガ吹キ飛バサレルゾ。」

 

「ッ…言われなくとも…ッ!」

 

意を決してベルトを装着し、起動しようとした時だった。

 

空から突如人影が降り、燕とバハムートの間に割り入って来た人物が現れた。

 

「モモちゃん!?何やってるの!、早く逃げて!!」

 

「大丈夫だ燕!ここは私に任せろ!!

…にしても勝村ぁ、お前見ない内に随分変わり果てたじゃないか、えぇ?」

 

「…誰ダ貴様ハ?」

 

「姐さん危険だ!!ココは学長か九鬼の部隊が来るのを待った方が良い!!相手は化け物だぞ!?」

 

「心配するな弟。化け物に変わった所で相手はあの勝村だ。前の時と同じように軽く揉んでやる。」

 

「何ダ?オ前ガオレノ相手ヲスルト言ウノカ?…マァイイ。コノ際ダ、適当ニ遊ンデレバヤツモココニ来ルダロウシナ。」

 

「フフフィ!ムシロキミハソッチガメインダRo!?ダカラ態々コンナオ遊ビノオ祭リニ出テSa!」

 

「退屈過ギテ我慢ナラナカッタンデナ。暴レル口実ガ欲シカッタノサ。」

 

「コッチを無視して何喋っているんだお前達は!まぁいいさ、ジジィ達が来る前に私が倒してやる!怪物相手にどこまでやれるかずっと試してみたかったんだ!」

 

「モモちゃん!!」

 

「姐さん!!」

 

「ホォ、ソウカ。ナラ掛カッテ来イ。

シルフィ。オ前ハ邪魔ガ入ラナイ様ニシロ。タダ、ヤツガ来タラソイツハ入レロ。」

 

「オ~ケィ~!」

 

バハムートはシルフィに露払いを任せ、パキポキと拳を鳴らす。

 

「サテ、少シハ楽シマセテクレヨ?」

 

「ハッ!、それは此方のセリフだ!行くぞ勝村ぁ!!」

 

「駄目ぇモモちゃんッ!!お願いだから止まって!!」

 

「いい加減にしろよ姐さんッ!!この前の機械人形にだって敵わなかったのにどう戦うって言うんだ!!」

 

「なッ!?離せ二人共!!」

 

このままでは本当に取り返しのつかない事になると感じた二人は百代を抑えに掴み掛るが、当の百代に二人の言葉は届いてなかった。

今百代の頭にあるのは戦う事だけ。この怪物に勝てば恐れるものは何も無い。そう、あの男さえも…。

 

「邪魔…だぁ!!」

 

「「うわッ!!」」

 

力任せに二人を振り払う百代。

本気で力を振るえるであろう異形に向かって駆けだす。

 

「行くぞ……勝村ァアアァアッ!!!」

 

「来イ。」

 

百代がバハムートに向かって拳を構え、対するバハムートも拳を構え突き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< CLOCK・OVER >>

 

 

 

「ッ!お、お前は…!?」

 

「ホゥ…思ッテタヨリ早ク来タナ。」

 

 

「──ハァ。」

 

 

二人の間に入り、突き出された拳を掴み止めた人物が現れた。そう、クロックアップでぶつかり合う寸前に止めに入ったダークカブトの出現に百代は目を丸くし、バハムートは嬉しそうに口を開くなかダークカブトは百代を振り払って下がらせ、バハムートには蹴りを繰り出すが回避され空を切る結果となった。

 

 

「Oh!流石ニアレバカリハ手ノ施シヨウガナイYo!…ア、デモアレハイイノカ。

フゥ~。コレデ怒ラレズニ・「デェリャァ!!」・What!?」

 

後ろからの奇襲に反応出来ず地に落ちて行くシルフィ。ファルコマントを羽織り奇襲に成功したビーストは地に降りて、倒れ込んだシルフィを逃がさないよう目を反らないでいた。

 

「アイタタタ…。」

 

「馬鹿メ、簡単ニ後ロヲトラレオッテ…。」

 

「ビースト、ソッチはお前に任せる。逃がすんじゃねえぞ。」

 

「当然!ソッチこそちゃんとやってよ!」

 

分担を決め、バハムートをダークカブト。シルフィをビーストが相手する事になりビーストはシルフィに向かって行く。

シルフィが地に落ちたと同時に逃げ出す事が出来なかった観客は一斉に逃げ出し場は騒然となった。

 

そんな喧騒のなかバハムートは周りに目をやらず真っ直ぐダークカブトを見据える。

 

「噂ノ仮面ライダー…ズット戦イタイト思ッテイタ。コレダケノ騒ギオ起コシタカイガアッタ。」

 

「俺と戦りたいならんなまどろっこしいせず直接来いよ……喜んでぶっ潰してやるからよ。」

 

「フッ、ソウ簡単ニ出来ルカナ?」

 

「あぁ、とっとと掛かって・「オイお前等!!」・あぁ?」

 

邪魔をされた挙句勝手に話を進められ癪に障ったのか百代がダークドライブに突っ掛かり睨み付けて来た。

 

「ソイツを倒すのはこの私だ!邪魔者は引っ込んでろ!!」

 

「いや、邪魔はむしろお前だけど?」

 

「なんだと…ッ。オイ勝村!!お前の相手は私だろう!!私と戦え!!!」

 

「失セロ。オ前ハ仮面ライダーガ来ルマデノ準備運動ニ過ギン。」

 

「ッ…。お前等ァ…ッ!」

 

「姐さんもう逃げよう!!どうしてそこまで戦いたがるんだよ!?………もう分かってるだろう?これはもう、姐さんの望んでる戦いじゃないんだ!!!」

 

「そうだよ!だから此処はこの人達に任せて逃げよう?」

 

「………ダメだッ…!」

 

「何でッ!?」

 

未だ大和と燕の考えに抗って戦おうとする百代。

百代と長い付き合いだから分かる。本当は百代も少なからず恐怖している事に。その証拠に掴んでる腕から振るえてるのが見て取れる。

どうしてそこまで意地を張る必要があるのか強く問い出したら口籠りながら答える。

 

「強く……強くなる為に必要なんだッ。

戦ってッ………それこそ今までの相手より強い奴と戦わなきゃ、私の……あの男に刻まれたあの感覚が…ッ、消そうにも消えないんだ…!」

 

「姐さん…。」

 

百代が戦う理由…それは刻まれた恐怖心を消し去る為。

 

これまで相手してきた対戦相手に高揚心を感じさせてくれた強者は居た。それをもっと、長く味わいたいだから百代は戦いが好きだ。これまでにない位楽しいから。

 

だがそれとは対象に百代は味わってしまった。得体の知れない恐怖心を。しかもまともに此方に見向きもしない男に。心に刻み込まれた溝に百代は苦悩を味わう羽目になった。

 

恐怖心を振り払う為に大和達から離れ修行をした時もあった。その時苦手な精神修行も嫌と言う程した時があった。

だが、それでも百代の脳裏にあの時の光景が嫌でもちらつかせた。

 

自身を見下す様に殺気を放ってきた悠の姿が。

 

 

百代は修行での克服を諦めた。元々自身の才能だけでほぼ今の技能を身に付けた百代にとってトラウマに近い感情を修行で抑制するのは困難だからだ。

 

ならどうすればいい?どうすればこの恐怖心を消せる?悩みに悩んだ末、たどり着いた答えが…。

 

 

「だから離せ大和!!私はあの怪物と…仮面ライダーを倒す!!そして…強くなって灰原を倒す!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──全く。」

 

 

ーぺチンー

 

 

「へ?…──」(ガクッ)

 

 

呆れた視線を仮面の下で向けながらダークカブトはコレ以上は時間の無駄だと思い百代の意識を奪った────デコピンで。

 

「フゥ…そのままソイツ引きずって逃げろ。今すぐに。」

 

「え?…あ、ハイ。」

 

「お前…何したんだよ!?」

 

「何って…デコピンで黙らせた。」

 

デコピンで百代の意識を奪った事に一時呆然としたが、デコピンで百代の意識を奪った事に納得がいかないと言った風に大和が声を荒げるもダークカブトはありのままの事実を告げる。

 

「ホラさっさと行った行った。ただでさえお前等場違いなんだから──。」

 

 

 

 

 

ーガンッ!ー

 

 

 

「「ッ!!」」

 

 

 

ほんの一瞬の出来事だった。

 

ほんの少し、一秒にも満たない一瞬の時間。ダークカブトが後ろに居る大和達に振り返ったのを見計らって先程まで静観してたバハムートが間合いを詰めよって攻撃して来たのだ。

 

バハムートの攻撃はダークカブトのクナイガンで受け止めたが、大和はともかく燕ですら反応出来ない位の一瞬の攻防が目の前で見せつけられた。

 

「オ喋リハ終ワリカ?ナラソロソロ行カセテ貰ウゾ!!」

 

「思いっきりフライングしてんじゃねえか!!」

 

受け止めた拳を跳ね除けてダークカブトもクナイガンを駆使して攻撃して行く。

 

大和は燕と百代を肩に担ぎながらダークカブトとバハムートの繰り広げる攻防を見てそう時間が掛からない内に察する。

 

アレは自分達が踏み込んでいい領域では無い。ダークカブトが場違いと言っていたのが的を得ている位に両者が放つ一撃一撃が気迫と殺意を帯びてるのが分かるからだ。

 

「…大和クン、行こう。早くモモちゃんを此処から遠ざけないと。」

 

「…ハイ。」

 

一先ず百代が目を覚ました際に無茶な事しないようどう説得するべきか、大和の脳内で巡り合わせながらこの戦地と化した会場から出る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃観客席ではシルフィによる妨害が無くなったために観客はスタジアム内から出ようとしているのだが、考えてみて欲しい。数カ所ある通路口に万単位の人間が一斉に入ったらどうなるか。

 

当然、スムーズに進まずつっかえる。

 

今日はただでさえスタジアムには過去最高の入場客に加え、各世界中からの報道陣も詰め寄せて来ているので立ち見で居る人間も居るのだ。

 

そんな最中で幸運と呼べるのは強いて言えば騒動の中心が観客席ではなくリング内で留まってると言う事。ライダー二人の配慮的行動かどうかは不明だが巻き込まれる心配は無さそうだと見て取れる。…この状況下では冷静な人間にしか判らない事だが。

 

 

そして決勝戦を見に来ていた古城達も中々進まない人込みの中に立ち尽くす一方の状況であった。

 

 

 

 

「あぁもう一向に進まないわね!ちゃんとスタッフ避難誘導してるのかしら!?」

 

「多分してねえんじゃね?マニュアルに怪物が出た場合とか、流石に載ってねえだろ。」

 

「それでも避難誘導位は出来るでしょうに…ていうかアンタさっきから何見てんのよ?」

 

「ん?あぁコレ?ホレ。」

 

愚痴を溢す浅葱が携帯を片手に熱心に見ているの矢瀬に気付き追及すると、携帯を見せて来る。

画面にはリング内で戦っているビーストとシルフィ。切り替わってダークカブトとバハムートが写しだされてた。

 

「ちょっとコレって…。」

 

「あぁ。まだどっかのテレビ局が逃げずに撮ってるらしいぜ。大方視聴率狙いだろ。

ホラ、古城達も見てるぜ。」

 

そう言われて矢瀬の指差す方へ目をやると浅葱は一気に不機嫌な顔つきになる。

 

古城を中心に両側から雪菜と紗矢華に挟まれた形で見ていた。

普段ならこのまま何かしらの理由を着けて古城に突っ掛かりに行く浅葱だが、今回はふと何時もと様子が違う事に気付いてしまう。

 

何処か信じられないと言った風に見える古城と、いつも以上に真剣な顔つきの雪菜と紗矢華。何処か近寄りがたい空気に浅葱の足は止まってしまう。

 

 

 

そして当の古城は携帯に写しだされてるバハムートを見て、とある言葉が脳裏に駆け廻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

ーありゃ元人間だよ。ファントムってのは、人間の命と引き換えに生み出された…バケモノさー

 

 

 

 

(…本当、だったんだな。灰原の言ってた事は…。)

 

 

古城はバハムートが人間の姿から怪人態へ変わった時の事に目を疑ったがそれと同時に昨日悠が言った事が嘘偽りの無い確かな証拠を見たのだ。

 

何とも言えない複雑な心境の中、雪菜と紗矢華は別の事を考えていた。バハムートと戦っているダークカブト、仮面ライダーについて。

 

(また見た事の無い仮面ライダー……見た限り転移みたいな能力を有してるタイプでしょうか。そしてビーストと言われてる金色のは見た事の無い魔法を使う仮面ライダー…。本当に彼等が灰原先輩と桜井先輩?)

 

(雪菜から聞いた時は半信半疑だったけどまさか本当だったなんて…。それよりもあの仮面ライダー達をどうするか……確保に行こうにもテレビに映し出されるんじゃ下手に行けないし…。)

 

雪菜はダークカブトとビーストの正体を、紗矢華は組織からの任務について考えてるのを余所に凪沙はバハムートとシルフィの姿を見たお蔭で人外に対する恐怖症が出てしまい夏音が傍に付いていた。

 

「凪沙ちゃん大丈夫ですか?」

 

「うん…なんとか。少し耐性が着いたのかな?アハハ…。(ドンッ)うわッ!」

 

心配そうに声を掛ける夏音に少しぎこちない笑顔で応える凪沙。

何とか心配をかけたくないと強がる姿勢の凪沙だが、背後から我先に逃げようとする人物とぶつかり前垂れに転びそうになる。

 

来るべき痛みに反射的に目を瞑る凪沙だが、地面に打ち付けられる前に誰かが腕で受け止めてくれた感触が。古城が受け止めてくれたのかと思い目を開けて顔を上げると。

 

「あ…。」

 

そこに居たのは凪沙にとっては安心出来る人間がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わり、ビースト、シルフィの戦況はビーストが有利に進めていた。

 

シルフィの振るうハルバードをダイスサーベルで弾き、踏み込んで突く。追撃に前蹴りを腹部に入れシルフィを吹っ飛ばした。

 

「Hey!ドウイウ事ダYo!聞イテタ話ヨリモズット強イジャナイKa!」

 

「一体いつの話ししてんだよ?こちらとら伊達にイジメらてねぇっつの!」

 

「グレムリンノヤツ…ッ、適当ナ情報教エヤガッテ!…グール!!」

 

一対一では分が悪いと感じたのかシルフィはグールの魔石を散りばめ十数体のグールを呼び出す。

 

グールが一斉にビーストへ襲い掛かりに向かうその時、一体のグールに光弾が当たり倒れた。

 

「What!?」

 

「お、来た来た。」

 

ビーストの後ろから歩いて来たのはブレードガンナーを構えたダークドライブ。銃口を真っ直ぐ向けたままビーストの隣に立った。

 

「Hey!ココデ新手トカアリカYo!?」

 

「アリっしょ、そりゃ当然。…オレあのウルサイのやっから、そっちはグールお願いね。」

 

「……。」

 

「よし!さぁ~て…。」

 

ビーストの要求に首を縦に頷いて返事するダークドライブを見て満足そうなビーストはハイパーリングを指に嵌める。

 

<< HYPER! GO!>>

 

<< HyHy-Hy-HYPRE! >>

 

「うっし!一気に行くぜぇ!」

 

強化形態のビーストハイパーになりダークドライブと共にシルフィとグールに向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてダークカブト、バハムートの方は…。

 

「フンッ!」

 

「グッ…。」

 

ダークカブトがバハムート相手に劣勢に追い込まれていた。

バハムートから繰り出される突きや蹴りの連続攻撃にダークカブトは捌き切れず、振り降ろしたクナイガンは蹴りで手から離れてしまい丸腰になる。

 

カウンター戦法をメインに立ち回るダークカブトですら中々反撃する間も無いくらいの攻めの姿勢。如何に好戦的な性格を表に出したような戦況にダークカブトが苦しめられる。

 

「ドウシタ?先程カラ距離ヲ取ルバカリジャナイカ。コレデハ歯ゴタエガナイゾ。」

 

「そりゃどうも失礼。今日ちょっと調子悪いみたいでな…。」

 

「ソレハ大変ダナ…ダカラト言ッテ加減ハセンガナ!」

 

「余計な気遣いだよッ。」

 

走り出すバハムートにダークカブトも遅れずスタートを切って走り出す。

 

そして互いに限界まで拳を握り、踏み込んだ左足に重心をかけ捻った腰を戻すと同時に拳を突き出す。

渾身の力を籠めた両者のクロスカウンター。決めたのは…。

 

 

 

 

「──ガハッ…!」

 

寸での所で頭を下げ、ダークカブトの拳を躱したバハムートの拳は的確に鳩尾にめり込んでいた。当たる箇所が比較的小さい頭部を狙ったダークカブトより、当てる箇所が広い胴体に狙いを着けたバハムートに軍配が下った。

 

「…ガッカリダ。マサカコノ程度ダッタトハ、ナァッ!!」

 

「グァッ!!」

 

腹部を抑えよろめくダークカブトにバハムートは横蹴りを入れ後ろに吹き飛ばすと、腕に付いている刃から衝撃波をダークカブト目掛け放った。

 

ダークカブトの立ってた場所に爆発の爆煙が立ち上り、たちまち姿を隠される。

 

しばらく時間が経つとダークカブトの変身に必要なゼクター、ダークカブトゼクターが爆煙の中から飛び出て彼方へ飛び去って行く。

 

次第に晴れて行く煙からやがて人影が徐々に見えてきた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──セェーフ、大丈夫?」

 

「ゆーくん!」

 

凪沙を腕で支え立ち上がらせたのは古城から別行動を取っていると聞かされた悠であった。

 

凪沙が悠の名前を挙げた途端携帯に釘付けだった古城達から、”え?…”という表情で悠を見て来た。

眼が点になりながら携帯に写し出されてる生中継の映像と悠を交互に見比べるも、古城達の目には凪沙の傍に立ってるいるのは何処からどう見ても悠であった。

 

「灰原…何で…お前…。」

 

「え?なにその扱い。俺此処にいちゃいけない扱い?…いや確かに昨日はアレ、言い過ぎたかなぁとは思ったけどよぉ。いや待った、どちらにせよそういうカンジになるのは分かってて言ったけど…。」

 

「おーい!悠兄さん!もう何も言わず先に行かないでよ!!こんなに人わんさかいる所でさぁ!!」

 

「桜井先輩!?」

 

遅れて姿を見せた秋に雪菜が声を上げる。

雪菜の脳内ではこの間遭遇したマッハと名乗る仮面ライダーが完璧に秋と同一人物であると予測してた分、こうして姿を現わした事にかなりの衝撃を受けていた。

 

(いや待ってください。確か確認されてる仮面ライダーは三人……あの黒くてタイヤを肩掛けしたのが!

灰原先輩達があのリング内にいる仮面ライダー達じゃなくとも、どちらかが黒い仮面ライダー……ッ!?)

 

雪菜は学園襲撃に現れたダークドライブの正体が悠か秋のどちらかと考え付いたが携帯を見るとハイパーになったビーストの隣にダークドライブが並んで立ってる光景に絶句し呆然と立ち尽くした。

 

「ちょっと暁 古城!全然話が違うじゃない!!アイツ等が仮面ライダーじゃなかったの!?」

 

「いやそれを言ってたのは姫柊でオレは特に何も…。」

 

「あーらら。こう言う時も仲良さ気でまぁ…。」

 

「アレが古城センパイ等にとってのデフォなんじゃない?まぁ悠兄さんも似たようなモンだけど、ッテ痛ぁ!?」

 

「ハイハイ次無駄口叩いたら強制的に黙らす…っといけね、俺ちょっと失礼させて…。」

 

「何処行くのゆーくん?」

 

古城達と離れようとする悠に凪沙が袖を掴んで呼び止める。未だ混乱が絶えない人込みの中で視線が悠に集まり当の本人は特に変わった様子無く答える。

 

「あー、ちょっと忘れ物、ね。」

 

「…灰原、お前まさか会場に…?」

 

「…昨日の話を聞いたなら、俺が行く理由、言わずとも分かるでしょ?」

 

「それでも危険だ!!」

 

「百も承知。でもだからって行かない理由にならない。」

 

「お前ってヤツは…!どうしてそう変な所で頑固なんだよ!?」

 

「まぁまぁ!二人が何いがみ合ってるか知んないけど、オレも付いて行ってストッパーになるって!」

 

「秋、お前灰原のやってる事知ってるのかよ!?」

 

「え?あー、そりゃあ…まぁ、一緒に住んでる訳だし?」

 

「だったら何で止め…。」

 

「せ、先輩!!紗矢華さん!!コレ見てください!!」

 

悠が仮面ライダーで無い事が判明した古城は悠を止めようと説得を続ける最中、雪菜慌てた様子で携帯を二人に見せ付ける。

 

悠はその隙にこの場を去ろうと足を運ぶが、両腕の袖が引っ張られる。

振り返ると凪沙と夏音がしかめっ面で不安そうな顔で悠を引き留めてた。

 

「えーっと、二人共?」

 

「ゆーくん…また一人で勝手に行っちゃうの?」

 

「…前みたいな事はイヤ、でした。」

 

二人は学園襲撃時に悠が単独行動して傷を負って帰って来た事が今でも鮮明に記憶している。

 

また一人で勝手に行かせたら今度は命に関わる傷を負うかもしれないと言う懸念を抱く凪沙と夏音に、悠は一瞬困った顔をした後、二人と正面で向き合い…二人を抱き寄せた。

 

「「ッ!」」

 

「だ~いじょぶだって!ヤバくなったら一目散に逃げるから、無傷で帰って来るよ!だから待ってて、ね?」

 

二人の身も元に優しげな声で言うと軽く頭を撫でて悠はその場から去った。

突然の事にポーっとする二人の視界に今度は秋が入り、”今回はオレも居るから!”と言って悠の後を追い掛けた。

 

そのやり取りを少し離れた所で浅葱が見ていた。

 

「…灰原ってあんな大胆な事する奴だったっけ?」

 

「ぬおッ!おい浅葱見て見ろよコレ!!衝撃映像だぞオイ!!」

 

「何よ一体何が…って、これマジ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リング内で立ち上る爆煙が晴れるとそこに立っていたのは一人の男だった。

 

特徴的なエンブレムが入った黒のジャケットを羽織り、茶髪に所々青いラインのメッシュを入れた頭髪のおよそ二十代と見れる成人男性。容姿は整ってるが鋭いナイフのような眼光が見える。

腰や太腿に取り付けられたホルスターにナイフや拳銃が着けられてる所を見ると何処かの兵士にも見えなくない格好。

 

それが今、生中継で全世界に配信されている仮面ライダーであろう男の素顔だった。

 

「…フゥ。さっきは効いたなぁ。お蔭で変身が解かれちまったぜ…。」

 

「ホォ。ソレガオ前ノ正体カ…。聞イテタ特徴ト大分違ウガ…ソンナ事ハドウデモイイ。オレニトッテ戦レバイイダケダ。」

 

「そうか…。それよりもさっきの一撃でやっと目が覚めたよ。ありがとう。喝を入れてくれた礼に…。」

 

男は取り出したロストドライバーを装着し、ガイアメモリのガイアウィスパーを鳴らす。

 

<< ETERNAL >>

 

「うんと楽しませてやるよ。…地獄をなぁ──変身。」

 

 

<< ETERNAL >>

 

 

男はエターナルに変身するとローブを脱ぎ捨て、合計四本のメモリをスロットに挿し込む。

 

 

<< ACCEL MAXMUM DRIVE! >>

 

<< JOKER MAXMUM DRIVE! >>

 

<< SKULL MAXMUM DRIVE! >>

 

<< VIOLENCE MAXMUM DRIVE! >>

 

 

「地獄カ…面白イ見セテミロ!」

 

「フンッ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< タイヤ・コウカーン! >>

 

<< MAX FLARE! >>

 

グールの相手をしていたダークドライブは手元に来たシフトカー・マックスフレアをシフトブレスに装填しタイヤコウカンをすると、ブレードガンナーのブレード部に炎を灯らせグールに斬り付けていく。

 

振るった太刀筋に炎が生じる事によって焼き切られてくグール。粗方斬り伏せた後、ダークドライブは新たにミッドナイトシャドーを手にする。

 

<< タイヤ・コウカーン! >>

 

<< MIDNIGHT SHADOW! >>

 

<< Sha,Sha,SHADOW! >>

 

シフトアップで五人に分身し残っているグール達に無数の手裏剣を投げつけ一掃するダークドライブ。

 

何の問題無くグールを撃破して行くダークドライブの傍らで、シルフィを相手取ってるビーストはダイスサーベルとミラージュマグナムを駆使し圧していた。

 

 

<< HYPER! MUGNUM STRIKE! >>

 

「も一つおまけサービス!」

 

<< Four! >>

 

<< HYPER! SABER STRIKE! >>

 

「エ!?チョッ、Time!Time!!」

 

「オリャァ!」

 

サーベルから出現した魔方陣から召喚したファルコン、カメレオン、ドルフィン、バッファロー16体の幻影がシルフィに向かい、シルフィはハルバードで幻影を打ち払って行くが次第に勢いが増してく突撃攻撃に受けきれず被弾して行く。

 

そして追い討ちと言わんばかりにミラージュマグナムの銃口を向け、キマイラの幻影・シューティングミラージュが発射され、巨大な幻影の魔力弾はシルフィの体を貫いた。

 

「ゴハァッ!!………Oh、Jesus…!」

 

シルフィはそのまま後ろに倒れながら爆散。

ダークドライブも全てのグールを撃破し、一つの戦いは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌンッ!」

 

「ウㇻァッ!」

 

そしてもう一つの戦いであるエターナルとバハムートの戦闘は、壮絶と化してた。

 

文字通りただの殴り合いと化してたからである。拳同士がぶつかり合う瞬間空気を破裂したような音と衝撃を出しながら二人の殴り合いは劣る事無くむしろ勢いが増すばかりの近接戦である。

 

「「ハァッ!!」」

 

二人の拳が互いに胸に突き刺さり両者同時に後ろに飛ばされる形で距離を取った。

 

「…フハハハッ!コレダ!コノ感覚…コウイウ戦イヲ望ンデタ!!」

 

「それは良かったなァ。だがそろそろ幕引きだ。向こうも終わったらしいし、何時までも長引かせる必要も無い。」

 

「ソレハ困ル。出来ルダケ長ク、コノ高揚ヲ味ワイタノデナ!」

 

跳躍力を活かしたスタートダッシュでエターナルとの間合いを詰めに来たバハムート。拳に魔力を纏わせ最大威力の業をぶつけるつもりだ。

エターナルは更に二本のメモリをスロットに入れ強化する。

 

<< HERT MAXMUM DRIVE! >>

 

<< UNICORN MAXMUM DRIVE! >>

 

エターナルの右腕に灯った炎が螺旋状に回転しながら半歩引いて構えた。

 

六本のメモリによる肉体強化+攻撃力強化。後は放つタイミングを見極める集中力。

 

踏み込んで拳に魔力を籠めたバハムートのパンチが突き出された瞬間を、エターナルは狙った。

 

「──デェァッ!!」

 

「ッ!!グアァァアッ!!!」

 

カウンターで放ったエターナルの一撃はバハムートの拳を突き破り、バハムーとの顔面まで到達すると、頭部が螺旋状に渦巻く炎に呑みこまれながら弾き飛び散りそのまま爆散していった。

 

突き出した腕から炎が消えるとメモリの能力を解除し、一息吐くエターナルの元に駆け寄るビーストとダークドライブ。

 

「状況は?」

 

「問題、無し!観客席にもそれらしき敵影無しだってさ。ね?」

 

ビーストの言葉に頷くダークドライブ。

 

「そう。じゃあ後残るは(ピー・ガガッ)…始まった。」

 

エターナルの視線の先に先程までリング内を写してたスタジアムの巨大液晶画面に突如ノイズが走る。

 

ノイズが徐々に消えてくとそこに写しだされたのはリング内の様子では無く、一人の男性が写ってる別の映像が写しだされてた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──全国各地の皆様方。突然の事に未だ困惑している方も御出ででしょうが、今この場を借りて皆様に深い謝罪とお聞き願いたい警告を前以て申し上げます。』

 

 

「コレって…モグアイ。」

 

<既に調べは尽いてるぜ。この前のBABELとか言うヤツ等がやった事とまんま同じだ。>

 

「全世界に配信ってコト?…モグアイ!今すぐこの映像の出所調べて!!」

 

<それも既にやってる。正直言って厄介極まりないぜコイツァ。まるで意志を持ってるかのようにこっちの侵入を防いでやがる。>

 

「それでもやって!今ここで逃がしたら恐らくもうチャンスは無いわよ。」

 

<ケケッ。全く人使いが荒いぜ…。>

 

前回の時同様の手口と知りながらハッキングしてる出所を調べようとする浅葱を余所に映像に写しだされた男性は話を続けた。

 

 

 

『私の名は、クリム・スタインベルト。BABEL撲滅を目的とした組織を立ち上げた一人であり、今会場内に居る仮面ライダーを生み出した者の一人です。』

 

『先程ご覧になりましたように、我々はBABELの構成である仮面ライダーと生み出された怪人を相手に武力を振るい、決して一般市民の皆様には危害は加える事はございません。──ですが。』

 

『我々は慈善団体では無い。故に、我々に対し危害や何かしらの妨害を受けた際、しかるべき対処を取らせていただきます。無論必要であれば、武力行使も惜しみません。くれぐれもご理解の程をよろしくお願いします。』

 

『そして今コレを見ている○○街の住民達に、警告します。

BABELの最終行動は未だ不明ですが、少なくと○○街で大規模な行動を起こす事は確かだと推測できます。故に、我々の対立も街道をメインに勃発する可能性が高い訳です。』

 

『一般市民の方々。我々は皆様の人命を尊重し、○○街への避難退去を強くお勧めします。特に魔族登録されている魔族の方や三大勢力所属の方はファントムが狙っていますのでご注意を。』

 

『我々が申し付けたい話はこれで以上です。が、今皆さまにとって一つ気になってしょうがないと言う方が恐らくいるかもしれないので……克己君。』

 

画面上のクリムが人名らしき名前を言った後リング内の映像に変わり、中心部に立っていたエターナルが変身を解き素顔を見せた。

 

『今回予想外のハプニングが起きてしまった為、これを機にご紹介しましょう。

彼は、大道 克己。我々の主力戦力である三人の仮面ライダーの一人です。』

 

そう紹介すると画面上に大道 克己の映像と傍らに仮面ライダーの姿が写されたフリップが写される。

 

大道 克己の映像を中心に、リュウガ・サイガ・オーガ・ダークカブト・ガオウ・ディケイド・エターナル・武神鎧武・斬月・フィフティーン・魔進チェイサーが写しだされた。

 

『彼は我々組織創設から幾つものライダーシステムのテストプレイヤー兼前線部隊の一人として大いに貢献をしてくれた優秀な兵士です。

共に居る二人、ビーストとダークドライブも我々が選びに選び抜いた数少ない精鋭です。』

 

『…克己君。一先ず君達は戻りたまえ。』

 

 

「了解…変身。」

 

<< ETERNAL >>

 

大道 克己はクリムの撤退指示を受けると再度エターナルに変身し、ビーストとダークドライブがエターナルの肩を掴む。

 

<< ZONE MAXMUM DRIVE! >>

 

エターナルと傍に立っていたダークドライブの姿が一瞬で消え、画面上のクリムに映像が戻る。

 

『皆様。今回のBABELと我々の抗争は一種の戦争と言っても過言ではありません。

ですので皆様には今回の戦争について理解していただきたく、最後にこの言葉を此処に送ります…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この戦争に、正義はありません。全ては、個々の欲望によって引き起こされたものです。──では失礼。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やってくれたね。彼等。」

 

「えぇ。まさか私達が調べ物している傍らでこんな事を計画してたとは。」

 

場所はBABEL、ドクターことゴルドドライブのラボ。そこではゴルドドライブと大臣が先程の映像を見ていた。

 

「にしてもまさか待機命令を破ったバハムートとシルフィがあんな所に居たとは……まさか手引きされたんですかね?彼等に。」

 

「それは無いと思うよ。じゃなきゃ遠回しに巻き添え喰らう住民の避難を勧めて来ないって。彼の事だから、来る来なかった場合の二パターンを用意してたんじゃないかな?」

 

「それで今回は来たパターンを使ったと言う訳ですか……にしても良く彼の考えが思いつきますね。もしかしてアナタと彼って似た者同士ですか?」

 

「さぁどうだろうね。…所で、彼はこんな大胆な行動を起こした訳だが、どうするつもりだい?」

 

「そうですねぇ……このまま例の黒ローブの男を調べるにも時間が掛かりそうですし……ここは私達も彼を見習って大胆な行動に出ましょう。」

 

「大胆な行動?まさか今度はキミが街に出て市民に演説でもするってかい?」

 

「フフフ。まさか…久しぶりに、体を動かしたいと思ってるんですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リング内から姿を消したエターナル達は、スタジアムのボイラー室に姿を現わした。

 

周囲に誰も居ない事を確認を取ると背伸びしたビーストの変身が解け、観客席で古城達と顔を合わせた筈の秋がエターナルに振り返る。

 

「ん~ッ!…ふぅ。作戦は一先ず成功、ってヤツ?」

 

「あぁ…。」

 

エターナルも変身を解くと先程全世界に正体を曝した大道 克己になるが、克己の腕からメモリが取り出されると姿が次第にその姿を変わっていき、そこには大道 克己では無く悠が立っていた。

 

「俺達は、な。…と、噂をすれば。」

 

悠が視線を向けた先には此方に向かって歩いて来る二つの人影。

 

 

待ち受ける悠達の元に現れたのは、目を疑う事に古城達と遭遇した悠と秋の二人であった。

対面するのは同じ顔だがどちらも大して驚く様子も無くさも当然の如く口を開く。

 

「尾行は?」

 

「問題無し!念の為遠回りで確認したしからバッチリ!」

 

「そ、で?上手くいった?」

 

「うん!向こうは完全に私達をユウちゃんとシュウちゃんとして見てたよ、キャハ♪」

 

後から来た悠は何時もの無表情面では無く無垢に近い笑顔を見せ、秋に至ってはノリが完全にギャルに近くポーズも取ると言う何時もと何処か違う雰囲気を見せていた。

 

「…うん。上手くいったのはいいけど、オレの顔でキャハ♪は止めてくんねぇかなぁ…自分で言うのもアレだけど…キモチ悪い。」

 

「俺も自分のニコニコ顔見るのがこんなキツイとは…それ、もう脱いでイイよ。て言うか脱いでください。」

 

「え!?脱げだなんて、ユウったら何時の間にそんな大胆に「いいから脱げ。」ちぇ、つまんない。」

 

悠と秋が身に付けていた服を引き剥がす様に脱ぎ捨てると、そこに居たのは悠と秋では無く悠達に変装してた川内と那珂であった。

 

「ん~ッ!いやぁ中々面白かったなぁ男の人に変わるってのも!」

 

「うんうん!お芝居の練習に丁度良いかもね!」

 

「…本当にちゃんとやってくれたんだよな?キミ達……あぁそれと。」

 

何処か不安になる悠は此方を見据えるダークドライブに視線を移す。

 

「お前もよくやってくれたよ。クリムは必然にハッキングに手が回るからオート状態のドライブは機能できなかったし。」

 

「…いえ。」

 

ダークドライブから凛とした女性の声が聞こえるとブレスに装填されてるシフトネクストを外すと変身が解除される。

ダークドライブに変身していたのは、神通だった。

 

「私も大変貴重な経験をしました。まさか私が仮面ライダーになれるなんて…。」

 

「AIデータのクリムが入って無いドライブドライバーだからな。ブレスとシフトカーがあれば誰だって変身できる。」

 

「それ聞いて天龍がすっごく文句言ってたよねぇ。”なんでオレじゃねぇんだァ!?”って…。」

 

「俺も最初はやる気のありそうな天龍で良いかなぁとは思ってたんだが、アイツだと俺のスタイルと比べられて中身が別人って気付かれる可能性が出て来たからねぇ。

だから射撃も体術も剣術もこなせる神通を選んだ。前に組手やって俺のやり方と近かったのを覚えてたし。」

 

それを聞いて神通は若干顔がほころび、照れた表情を隠さずにいるのを川内がムッとなり背後から悠に抱き着いて悠の肩から顔を出して頬と頬を合わせて来る。

 

「私もぉ、ユウの事ちゃ~んと見ていたから、周りに気付かれない様に上手くやれたんだよ?」

 

「分かってるよ。お前達も居てくれなかったら、この作戦はここまで上手くいかなかった。

だから皆には後でそれ相応のボーナスを用意して…。」

 

「私はボーナスよりも二人の時間が欲しいなぁ~。出来れば、二人っきりのぉ、や・せ・ん。とか?」

 

「…………………前向きに検討する。」

 

かなりの間を空けたが満足したのかかなりご満悦の川内に頭を撫でる悠に秋と那珂はニヤニヤしたり、神通は未だに自分の世界に入っていた。

 

川内を下ろし、悠は心境を切り替えてこの場に居る全員に語りかける。

 

「とにかく今日の作戦で、世間は大道 克己というこの世界に存在しない人間を仮面ライダーだと知った。勿論、三大勢力も、武偵も、おチビも、獅子王機関も…九鬼も。

後の問題は九鬼が…いや、あの男が造り出そうとしてるブツを阻止する事。

青葉から新しいネタが来たが、第一号がもうすぐ完成らしい。今回の作戦で俺のマークは完璧に消えたなら九鬼は必ず接触する。

これには俺がメインで動く。お前達には俺が抜けたカバーで大変になるだろうから今の内に心しておけ。」

 

「オウ!」

 

「了解!」

 

「了解しました。」

 

「那珂ちゃんにお任せッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は大きく変わり天界・明石の工作室内。

 

ここ数日工作室に籠りっきりの所為か着ている作業着は工業油まみれで髪もボサボサ、目の下に濃いクマが出来たりとどれだけ不摂生な生活を送ってるか見て分かる。

 

一緒に作業している夕張も同様にどれだけ寝て無いのかが見て取れるように目の焦点が若干合って無いが、今の二人は疲労感など感じない位に上がるテンションが抑えきれずにいた。

 

「遂に……遂にここまでッ…!」

 

「コアドライピアのメカニズムを一から理解し、艤装システムに組み込めるよう改良、調節したり…!」

 

「秋くんのドライバーとシグナルバイク、悠さんのブレイクガンナーとベルトさんのデータを基に、艦娘の体に耐えられるよう調整を繰り返し…!」

 

「各船種にも適用できる、艦娘専用・量産型ドライバー…。遂に…。」

 

「「遂に──出来たァアアァアッ!!!」」

 

歓喜の余り抱き着いて跳びはねる二人の前に、作業台に置かれた銀色のマッハドライバーと錨が描かれたキーらしきモノ。

 

二人が前々から計画してた艦娘も敵仮面ライダーと対等に戦う為に考案したのが、艦娘にだけ使えるドライバーの開発。

今まで二人は悠から反対されるかもしれないと言う考えから気付かれないようコッソリとやって来たつもりだったが、案の定この前悠に感づかれてしまった。

明石はこの計画がおじゃんになってしまうのかとばかり思っていたがまさかの許しを貰い、今まで隠れて行った作業も堂々と出来るようになったので二人は根気の続く限り、作業に没頭した。

 

そうして出来上がったのが艦娘専用・量産型ドライバー。理論上では艤装の恩恵に加え、仮面ライダーと同等の耐久力が得られる。

 

跳びはねていた明石と夕張はここで限界が来たのか二人同時して仰向けに倒れる。

 

「ぁ~……やりきった。私達、やったんですね。」

 

「えぇ。やる事はまだ一杯あるけど、やりきったわ……。」

 

「………あ。そう言えばアレ、どうします?」

 

「アレ?…アレってなんだったっけ?」

 

「ホラアレですよ~。最初秋君のドライバーの構造理解する為に複製してみてぇ、コアのメカニズムも理解出来た時に明石さん深夜のテンションでチェイサーのデータ基に造った、あの子……アレ、何処に仕舞いましたっけ?」

 

「……。」

 

明石の額に汗が伝う。

そしてゆっくりと上半身を起き上がらせた後夕張に向かって言う。

 

「……取り敢えず。一度寝よ。充分睡眠取ったら、死に物狂いで探そう!」

 

「……………ハイ。」

 

その直後に二人は固い床の上だと言うのに爆睡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えーっと、これをこうして……よし!出来た!」

 

時刻は深夜のビルの屋上。

 

そこに地べたに座って作業してたアベルの手には赤と黒のライダーガシャット。

 

二つのガシャットを地面に置いた15個にあわせるように並べる。

 

「これで17個全部が揃った……さぁ~て、後はコレを使って下準備をすれば…。」

 

懐から何か取り出そうとした時に、それは起こった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< STAGE SELECT! >>

 

 

 

「──アレ?」

 

 

瞬間、世界が変わった。

 

ビルの屋上に居た筈なのに何処かの広場の様な場所へ、おまけに空は日の落ちた夜だったのに日が昇って青い。

 

「これは…?──!」

 

アベルが謎の現象に周りを見渡す中、背後に居た人物に気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

全身を黒いボディスーツに纏われ、胸部に格闘ゲームの様なゲージが描かれたギザギザ頭に赤い目。右手にはパッド型の武器らしきモノを取り付けている。

そして極め付けは腰に巻かれてる黄緑色のベルトに装着しているアベルと持ってるのと同じライダーガシャット────そう、誰も見た事も無い仮面ライダーだった。

 

 

 

 

 

「───フ…フハハハハハハッッ!」

 

 

突如姿を見せた仮面ライダーにアベルは高らかに笑いだし、跳びはねたりして笑う様はサプライズを受けた子供のようであった。

 

「ハハハハハッ!!!まさかッ…まさかお前がココに来るとはッ!!アハハハッ!!しかも、そんな姿にまでなってッ………あぁ~、いいよぉ。歓迎するよ。───ようこそ!!ボクの造り上げた舞台へ!!!」

 

 

両手を広げ迎え入れる姿勢のアベルに、黒の仮面ライダーは右手のパッド型の武器の銃口をアベルに向けた。

 

<< チュ・ドーン! >>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







最後に出て来たライダー。お分かりですか?

本当はもっと先に出すつもりだったけど、今日の放送見てつい…。
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