新ライダービルド、中々イイじゃないか!
エグゼイドに続いて神作品になる事を楽しみに見ています!
「フフフ♪これでまた、一つ進化した♪」
ダークドライブの新しい力、タイプフューチャーの姿をアベルはコンテナ用のクレーンの上から高みの見物をしていた。
<まさか……複数のコアを直結させて蘇生させる所どころか、新たな姿にまで…!?>
「アッハハハ!流石のキミも思いつかなかったかい?コアドライピアにあーんな使い方があったなんて。」
<複数のコアによる出力の倍増にならボクも手を付けていたさ…だが、コアの同時稼働によるフィードバックに耐えられるボディが無く、ボディを改良しても、コアの出力を微々調整しようにも、ボクの納得行く作品が出来なかった…!
それをまさか、あの男が…ッ!>
「ぁーあ。男の嫉妬ほど見苦しいモノは無いんだよねぇ…さってと。どの位のモノか、じっくりと見させて貰おうか。」
【ブェアアァァアーーーーッ!!!】
「──フッ!」
一瞬にして間合いを詰めて来たアシュラの拳は正に枷が外れた獣の爪。速く、鋭く、力強いそれをタイプフューチャーとなったダークドライブは慌てる事無く片手で受け流した。
【ブゥアッハッハッハッハァ!!ブェエエァアアッ!!!】
「フッ──シッ──ホッ──。」
片や責める手を一切止めず次第に増していく者と、受け止め、流しながら守りに徹する者。奇声に近い豪気な笑い声を挙げる者と一言も発さず冷静に見る者。
そして、戦いを一刻でも長く、ただ長く楽しみ続けたい者と争いを嫌い一刻も早く終わらせたい者。
二人は正に相反する者同士であった。
「ッ───ハッ!」
【グハアァッ!!!】
ダークドライブの目が一瞬光ると迫る拳を右に半歩ずらして躱し、逆から来る拳を右腕て流すと左の掌底を胸に叩き入れた。
【ガハッ……ッ!ゥオオオォオッ!!】
「ッ──!」
尽かさず攻めの姿勢に掛かるアシュラは六本全ての腕を使って瞬時に殴りかかるも、またも目の光ったダークドライブが合間を縫うようにヒラリと軽く躱してみせた後後ろに回り込み無防備な背中に後ろ蹴りを入れた。
そのまま前倒れに倒れるアシュラ。攻撃が一向に当たらない事に業を切らしたか、かつてダークドライブを苦しめた技を繰り出して来た。
【ムソウオォセェエエケェエエエーーーーンッ!!!!】
「出たッ!あの変態みたいな連続突き!」
間近で受けた事のある秋は苦い顔になる。腕が六本と言う反則に近い体の構造と格段に上がったパワーが組み合ったあの技は受けるのも躱しきるのも不可能に近い。
腕を曲げ此方との間合いを詰めるアシュラに対しダークドライブは…。
「…理性ぶっ飛んでるのに関わらず、ちゃんと技名は言うんだな。」
<それ程体に染みついた習慣は早々抜けきれないようだね。>
「当てる前に技名言って、手の内曝す習慣は治した方がいいけどな。」
【ルアァァァァアアアッ!!!】
迫り来るアシュラに対し終始余裕の態度を示していた。声を掛けようとする秋だがその前にアシュラが拳の届く範囲に辿り着き、嵐の様な突きがダークドライブに振り掛かる。
「無駄だ。」
<今の私達にキミの技はもう通用しない。>
襲い掛かる豪打の嵐を目を光らせたダークドライブはその場から動かずにいた。
ダークドライブは自身に当たる拳だけを両手を駆使して的確に流したり、上体を反らして回避、我武者羅に振るって当たらずに空ぶる拳は見逃したりなど、その身で受けきるしか出来なかった豪打の嵐をいとも容易く防ぎ切った。
そしてから来る拳を右に半歩引いて滑らかな動きで受け流しながら懐に入って密着する程近づくと、腰から中心に捻ってた体を腰から順に回し突き出した肘鉄がアシュラの鳩尾に見事決まった。
【ゴエェッ!…ガッ、ハッ…!】
「セァッ!」
顎下から突き上げる右の掌底、左足を前に踏み込んだ左の崩拳、追い打ちと言わんばかりの助走をつけての飛び膝蹴り等受けのからの一転、攻めの姿勢に入ったダークドライブの攻撃はアシュラに対して効果のある様子を見受けられた。
【グ…グゥゥ……ガァアアアァアッ!!!】
下手に攻めているだけでは通じないと生命の本能で感じ取ったアシュラはエネルギー光球を次々と創りだしダークドライブに放った。
だが元から狙いなど付けて無いようで光球はダークドライブとかなり外れた位置に着弾していくが、爆発から生じた土煙や爆煙等がダークドライブの視界を奪っていく。
<大分慎重に来たな、煙幕を仕掛けるとは…。>
「問題無い、こうなる事もとっくに”視えてる”。」
煙幕の中心地で棒立ち状態のダークドライブ。
慌てる様子も無くブレードガンナーをガンモードに構える。
「一時方角──。」
【ガッ…!】
「五時──九時──二時──六時──。」
【グァ!──ギィ!──ンガァ!──ブァアッ!】
目で狙いを付けず淡々と狙った方角へガンナーを撃つダークドライブ。それに合わせて聞こえる着弾音と呻き声を暫く聞くと、迷いを振り払ったような雄叫びが聞こえる。
【グァアァアァーーーーーーッ!!!】
<悠。>
「あぁ。”自爆技に巻き込まれる”のはご免だ。」
背後からダメージ覚悟で向かって来るアシュラをダークドライブはノールックで高く後ろに跳躍。掴みかかろうとしたアシュラの腕を躱し背後からチャージしたガンナーを連射。
威力を挙げたガンナーの光弾を浴びダメージを与えた。
【グッ…ァ…ァアア……ウオォオオオッ!!!】
<フム。どうやら回復したようだな。>
「やっぱりあれ厄介だな…さてあれはどうすべきか…。」
<それなら私に任せてくれ。いい案があるよ。>
「オーケー。なら任せた。」
<い、今の動きは…!?>
「ほっほォ~。これはこれは、何処かで見たような光景だねェ?そうまるで…キミのやり方と似ているねェ?」
番堂はパッドの内部からダークドライブのスタイルが自分と似通ってる所に気付く。
相手の戦闘スタイル・武器・スペック等のデータを収集し、それを基にコンピューターがどう動くべきか最適な答えを瞬時に導きだして戦うスタイルがゴルドドライブのやり方。データ情報が要の戦略的なスタイルだ。
それに対し同様の動きがダークドライブにも見られる。だが番堂はそれ以前に何処か不自然な点を見出していた。
<………やはり可笑しい。彼がもし仮にボクと同じやり方で戦っているのだとしたら可笑しい話だ。>
データは以前戦った時に記録されてるのならあって当然だ、先程のラッシュも一度受けたのならその時のデータを基に攻撃パターンを分析して回避できる。煙幕の時も行動パターンを知れば同様だ………だが。
最後のは妙な所があった。>
「あ~、確か自爆技を避けた所だっけ?」
<そうだ。あの時は特攻して行ったのを除いて技のモーションとかの不自然な動きは一切無かった。なのに彼はそれを大袈裟に跳んで避けた…まるでそう来るかが分かっていたように…。>
「そういえばさっきから何かと言っていたなぁ、視えてるとかどうとか。………もしかして、”次に何が来る”か分かっていたりして?」
<バカな。何かしらのアクションが無い限り先を予測して動くなどそんな芸当が…………いや、待て……先を予測?……まさかいやそんな事…。>
「おんや?一体何に気付いたのかな?科学者さん♪」
<…過去のデータを基にあらゆる動きの変動を計算して推測を立てる予測計算がある。天気予報や経済社会にも使われてるヤツだ。>
「ほォ~?てことは何?今彼が行っているのはその予測計算ってヤツ?」
<その可能性は大いにあるが…………そうだとしたらなんなんだアレは!?
前回戦った時のデータだけで相手の次の行動を予測して戦うだと!?それも的確に当てる!?あくまでも確証で無い予測計算を用いるなんて、そんなのこのボクですら不可能な事だ!!>
「不可能、ね……でも今の彼なら…いや、今じゃなくとも最初から出来たんじゃないかなァ?」
<ッ!?一体どういう事だ!?>
「今彼が変身しているドライブシステム…アレは元々今より遥か未来の技術で作られた謂わばオーバーテクノロジーの塊だ。
それが今使ってるシフトカーやらコアの同調が切っ掛けで演算能力が大幅に上がったら?」
<ッ!>
「フフッ♪予測計算…いや、あそこまでいったら”未来予知”、って所かな?
ココまでの進化を遂げるなんて……心が躍るなァ♪」
「──ッ!あーー。」
<どうした悠?>
「いや、次何が来るのが視えたんだけど…。」
【ハァアアアアアーーーーーッ!!!】
露骨に嫌な声色のダークドライブ。その理由は腰を落として技のモーションに入ってるアシュラにあった。
それは以前の戦闘で一子達をその身で庇う際に受けた星殺しという技のモーション。しかもその時の状況と同じ後ろには秋達がまだ動けずにいる為、躱すに躱せない状況であった。
「アレまた受けるのヤダなぁ。」
<OK。ならば私が引き受けよう。>
「ん、任せた…。」
ダークドライブの目がダークブルーからイエローの単眼へ変わるなかアシュラは特大の一撃を放とうとしていた。
【ホシゴロシィィィィイイィイッ!!!】
「ッ!やっべぇあの技…!悠兄さん避けろォ!!」
「いやそれだとアタシ等に当たっちまうだろアレェ!?どうにかしておくれよ!!」
「皆伏せろォ!!」
あの時よりも範囲が広くなった特大のビームは真っ直ぐとダークドライブと秋達への直撃コースへと向かって迫る。
特大のビームを前にダークドライブは足を少し広げ両手を前に突き出し…。
<──ハァッ!!>
【ッ!?!?!?】
「………へ?」
バリアの様な壁が現れるとビームを海へと逸らし着弾した海水が大きな水柱となって散る。いとも簡単にビームを逸らしたダークドライブにアシュラはおろか背後の秋達も唖然としてる。
「ゆ、悠兄さん…?」
<フム…みんな無事のようだね。>
「アレその声…まさかベルトさん!?」
<あぁ。コレはだね…おっと。>
【ガァアアアァアッ!!!】
説明を施そうとするクリムにアシュラが破れかぶれで特攻するが、これを前から察知していたのかヒョイと軽く躱し横蹴りを喰らわせて下がらせた後アシュラに向かいながら語り出した。
<私はあの時、悠を死なせない為に彼の心と一時的に融合した。そしてこのシフトカーの力でこうして悠の体を借りて戦う事が出来るようになったのだ。>
「AIデータのベルトさんと悠さんの融合?…それって正に一心同体って事じゃないですか!」
「…何でしょう、この気持ち……嫉妬ですかね?」
【ブァアアァアーーーーッ!!!】
<さて、私はこの暴れん坊を止めなくては…。>
勢いが一向に止まらないアシュラは体当たりを仕掛けにダークドライブへ突進。ダークドライブは踵のホイールを起動させる。
機動性能をあげたダークドライブはアシュラの突進を回避し高速移動でアシュラを翻弄。
残光を纏いながら繰り出される高速移動にアシュラは物の見事に嵌ってしまい、目で追い切れずにいた。
そんなアシュラの死角を突いてダークドライブは拳にエネルギーを溜めアシュラの懐に叩き入れる。
<ヌゥンッ!!>
【ガハァッ!!】
拳に纏っていたエネルギーがアシュラのボディに吸い込まれるように浸透していく様を見届けたダークドライブ、クリムは構えを解いた。
<これで厄介な能力は封じた。後はキミに任せるとしよう。>
目の色がイエローから元のダークブルーへ、意識が悠へと移り変わり首を鳴らして具合を確かめる。
「サンキュークリム。んじゃこっから…スパート掛けるか!」
【ンナァァアァアアーーッ!!ァアァアーーーーーッ!!!】
頭を掻き毟りながら発狂するアシュラは最早百代の面影を残していない。このままでは精神が完全に壊れるのも時間の問題。
故にここからはスピード勝負。アシュラを…百代を負の遺産から解き放つ為に…。
「オラァッ──!!」
【グウゥゥッ!!!】
ホイールを全開に回しアシュラとの間合いを詰めたダークドライブのストレート。発狂し狂い叫んだアシュラの頭部に入り、悶絶しだす。
「そろそろコイツ等のお披露目だ。」
<< COME ON! >>
<< FLARE!/SPIKE!/SHADOW! >>
シフトフューチャーに着いてるスイッチを押すと、何処からか現れたマックスフレア・ファンキースパイク・ミッドナイトシャドータイヤがダークドライブの左腕に集まった。
<< タイヤ・カキマゼール! >>
<< ATTACK 1・2・3! >>
集まった三つのタイヤが混ざり合う様に回転していくとダークドライブの左肩には、炎・棘・刃が合わさった一つのタイヤが出来上がっていた。
「タイヤが三つくっついた!?」
「そうですアレです!!アレが元々私達が考案してたコンプセントですよ!!」
<< ATTACK 1・2・3! >>
イグニッションキーを回しシフトアップするとミッドナイトシャドーの能力でダークドライブが四人に分身。アシュラを取り囲むとファンキースパイクの棘をアシュラへ向かって放出した。
「ハァアッ!!」
【グッ!……ガァァアアアッ!!!】
四方から飛び交う棘がアシュラへと襲い掛かる。直撃、或いは外した棘が今度はマックスフレアの能力で真っ赤な爆炎の炎がアシュラを取り囲み、業火の熱がアシュラのボディを侵食していく。
「お前達も暴れて来い。」
<< COME ON! >>
<< SPIDER!/COBRA!/BAT! >>
<< バイラル・カキマゼール! >>
<< CHASER VIRAL! >>
右肩に取り付けられたサーキュラーダイナミクスに三台のバイラルコアが吸い込まれるとダークドライブの右腕にファングスパイディーの爪先が取り付けられたテイルウィップが現れた。
「タコから人間に戻してやる!」
地面に叩き付けたテイルウィップをアシュラ目掛け不規則な動きを宿しながら振るう。
テイルウィップは巧みな鉄鞭術でアシュラの背中から生えた四本の腕を狙い、ファングスパイディーの爪が根元から生えてる腕を両断し、機械仕掛けの腕は悉く地に落ちアシュラは魔神から人の形へと戻っていった。
【ガッ、アァアッ!………ァアアーーーーッ!ァ……ッ!?】
腕を斬り落とされた事により即座に再生を試みるアシュラだったが、一向に再生する気配が無い。本能で感じ取る言葉に出来ない恐怖を前に、その答えがベルトのクリムから聞かされる。
<キミの厄介な再生能力はもう使えないよ。先程私が加えた攻撃と共にアンチプログラムをキミのボディに叩き込んだ。
トーナメントの松永 燕が取った手と同じだ。キミの体が機械であるロイミュードだからこそ出来た芸当だがね。>
「ついでにご自慢のビームも自爆も出来なくなっちゃったってね。」
【グッ!グッ!!グッゥゥゥウゥ!!……ンァアアアァーーーーッ!!】
腕を突き出して技を放とうと試みているアシュラだが一向に出る気配も無い。
完全に打つ手を封じられたアシュラの思考には最早ダークドライブを倒す事しかない。技も使えない絶体絶命の危機感が錯乱状態の為に感じ取れてないのか、丸裸の状態になっているに関わらずダークドライブに臆せず特攻を仕掛けに行った。
【アァアーーーーッ!!ガアァァァッーーーーーッ!!!!】
「…そろそろシメるか……いい加減哀れに思えて来たぜ。」
<これ以上の暴走は彼女の身が持たない。
先程のアンチプログラムをコアにだけ作用するよう再プログラミングを施した。必殺技を叩き込め!>
「おう。メモリブレイクならぬ、コアブレイクだ。」
<< ヒッサーツ! >>
<< FULL THROTTLE! FUTURE! >>
【アアァアァアーーーーーッ!!!】
「───ハッ!」
必殺技のモーションに入り空へ跳び上がるダークドライブ。狙いを真正面に向かって来るアシュラに目掛け右足を突出す。
「いい加減目ェ覚ませや、このゴリラ!!」
【グッ!?──グァァアアアァアァアーーーーッ!!】
突き出した足がアシュラの胸に突き刺さる。
ダークドライブのキックに遥か後方に吹き飛ばされるアシュラ。蹴りを入れた部分から青いデータの塊がアシュラに浸食しながら火花を散らすと宙に飛んだまま爆散していった。
散っていく炎の中から地に落ちる人影。戦闘の影響でボロボロになった百代が気絶しながら地に倒れ、傍らには粉々に砕け散ったバイラルコアが欠片となって散る。
着地したダークドライブは後ろの歓声の声に包まれながらも倒れた百代の傍に近寄る。
<終わったな。>
「あぁ。……後は、事後処理だな…。」
場所は変わり、都内病院の一室。
個室の中心に置いてあるベッドに横たわっているのはシュラロイミュードと化した百代に重傷を負わせられた祖父の鉄心。一命は取り留めたものの体に巻かれた包帯や点滴の数に予断は許せない状況。
そして傍らには義理の孫である一子、ゼノヴィアが着いていた。
ベッドの傍で椅子に腰かけた一子は顔を伏せながら事の顛末がさっきまで起きていたかの様に鮮明に頭に浮かんでくる。
機械の異形と化した尊敬する姉が祖父と…心から親しくなりたいと無愛想な友人が自分を守る為に、死んだ事。
あの後怪物と化した姉は何処かへ飛び去っていき、友人も共に行動していた男子が放心状態で傍に停めてあった車に乗せて走り去り、残った自分は目の前で起きた事実を受け入れられないまま、駆けつけた救助隊に保護されて一日が経った。
「一子………いい加減何があったのか教えてくれないか?
何故爺様がこんな有り様なのか、どうしてキミがそこまで落ち込んでいるのか…一体何があったんだ?」
「………。」
ゼノヴィアの追及に一子は答えてくれない。
ラ・フォリアから帰る様に言われ渋々川神院に戻るとゼノヴィアを待ち構えてたのはこの世の終わりであるの様に慌てふためく川神院の不穏な空気だった。
聞けば昨日義祖父である鉄心が街で暴れてたロイミュードに致命傷を負わせられ生死の境を彷徨っており、傍に居た一子もロイミュードの襲撃現場の間近に居た所為かショック状態で誰とも口を交わさないぐらい塞ぎ込んでいると言う。
コレを聞いたゼノヴィアはすぐ鉄心の入院している病院に駆け込み、今に至る訳である。
何度目かもわからない押し問答に頭を搔くなかドアのノックする音が聞こえる。看護婦かと思い入る様返事すると部屋には言って来たのは大和、京、忠勝の三人だった。
「大和、京にゲンさんまで、一体どうした?揃いに揃って。」
「学園長が深手を負ったって聞いてね、それとワン子の事も聞いてゲンさんがいても経ってもいられなくて…。」
「…おい一子。」
何時もなら大和の言葉にぶっぎらぼうに否定する忠勝だが、塞ぎ込んでる一子の傍に近寄り顔を覗かせる。
忠勝の目に、天真爛漫と言う言葉が合う彼女からは想像出来ない顔色の悪さに思わず顔が顰める。
「カッちゃん………ッ!」
声を掛けて来たのが忠勝だと知ると一子は忠勝に抱き着いて溜まってた鬱を吐き出す様に嗚咽して鳴き出した。忠勝はそれを拒まず背中に手をやって受け入れる。
「大丈夫か?今日は戻って少し眠って休んだ方が良い。」
「カッちゃんッ……アタシッ…アタシッ!…。」
「無理して言わなくていい。とにかく今は休め。今のお前にはそれが必要だ。」
一子の気分を出来る限り鎮める忠勝。一子のケアを忠勝に任せても大丈夫だと思った大和はゼノヴィアに鉄心がやられた事の顛末を聞こうとする。
「ところで本当に何があったんだ?川神院の門下生に聞いても分からなかったし、ワン子があそこまで酷くなるなんて…。」
「まだモモ先輩も見つかってないのにね、キャップ達が今も捜してるけど全然進展ないし…とんだ不幸続きね。」
「それが私にも何が何だか理解できていないんだ。
モモ先輩も、悠も行方知らず。爺様は瀕死で一子があんな状態…本当に不幸の連鎖だな。」
鉄心と一子の件に加え百代の失踪。今風間ファミリーにとって最大の騒動と言ってもいいかもしれない。
立て続けに起こる事件に大和達が頭を抱えると病室内に携帯の着信音が聞こえる。
「?…おい、一子。お前携帯の電源切って無かったのか。」
「え?…アレ?アタシちゃんと切った筈なのになんで?」
音の正体は一子のポケットに入っている携帯から来るものだった。
病院内に入る前携帯の電源を消した筈だが消し忘れてただろうか?と思いながら携帯を手にすると画面にはメール受信と書かれていた。
そしてメールの内容を読み上げてくと一子の顔色が変わり始める。
「え……うそ………ッ!」
「ッ! オイ一子!何処行く!?」
メールの内容を読み上げた一子は病室を飛び出していった。
途中看護婦に走らないよう注意されたがそんな言葉は一子の耳に届かなかった。一子が目指す先は、病院の正面出入り口。
自動ドアを抜けると一子の目にメールを送り主であろう人物が姿を見せていた。後から追い掛けてきた忠勝たちもその姿を目に大層驚いた表情をしている。
正面口から少し離れた所、ネクストライドロンに腕を組んだ姿勢で寄りかかってるダークドライブが一子達を待ち構えていた。
「アレは…仮面ライダー!?」
「トーナメントに居たヤツ…どうして此処に?」
(ベルトさん?……いや、悠、なのか?)
「なんでたってこんな所にあんなのが…ッ!?オイ一子!何やってやがる!戻って来い!!」
忠勝の静止を聞かず一子はダークドライブの元まで真っ直ぐ向かって行く。ゼノヴィアもそれに続くが他はダークドライブの警戒心によって足が動かずにいた。
ダークドライブの元まで辿り着いた一子。一子と後に続いて来たゼノヴィアを確認したダークドライブはネクストライドロンの助手席部へ。
車内から横抱きで外に出したのは気を失った百代であった。
「アレは!…姐さん!!」
「モモ先輩!!」
ダークドライブが抱えた人物が百代だと知ると止まっていた大和達の足が一斉に動き出した。一子達も元まで来るとダークドライブが百代を抱えたまま歩み寄って来る。
思わずたじろいでしまうが、ある程度近づくと百代を大和達へ差し出す様に前に突き出して来た。
暫く間が空いた後意を決して大和が百代を受け取る。呼び掛けて無事を確認しようにも目を覚まさない百代にダークドライブが大和達に事の顛末を説明する。
「暫くは目を覚まさないだろうが心身共に問題は無い。目覚める前の記憶は多少失ってるだろうが、お前等の事は忘れてはいないだろう。」
「…アンタ。一体姉さんに何をした!?」
「敵に操られてたソイツを強引な手で元に戻した。」
「操られてたって、モモ先輩が?そんな…。」
「あり得なくはないだろう。コイツは良い様につけ込まれる程の問題児だって事に、身近に居たお前達が知らない訳無いだろう。」
「「……。」」
「…ま、今回の顛末を考えればコイツは立派な被害者でもあるがな……コイツが今後どんな人間になるかはお前達に掛かってるぞ。」
「オ、オレ達が?」
「仮にもファミリーだなんだ名乗ってるなら、身内の暴走に体張ってでも止めて見せろってハナシだ。今回はお前等じゃ手に負えない騒動だっから俺が動いたが、コイツが今後似たような事をしないとはハッキリ言えない。それだけ問題児だからな。」
「「………。」」
「…失いたくないのなら、必死に繋ぎ止めて見せろ。」
「「ッ!」」
「…お前達にそれだけの覚悟があればのハナシだがな…。」
「ま、待って!」
「一子ッ!?」
大和達に百代の今後は自分達に掛かってるという重い言葉を放った後ネクストライドロンに乗り込もうとするダークドライブを一子が呼び止めた。
「………。」
「あ、あの……アナタは……えっと…。」
(一子?……まさかキミ、彼の正体を…?)
中々口から言葉が出ない一子。目の前に居るのが悠本人かどうかなのかまだ分からない為公に口に出来なかったのだ。そんな一子の様子にゼノヴィアは一子が悠の正体を知ったのかと推測を立てるなか、口籠る一子にダークドライブが口を開く。
「俺は幻でも無ければ死人でも無い。」
「ッ!」
「キミが見たモノは全て事実だ……俺は今、ここに居る。」
「ッ~~~~~!う…うあああああああぁんッ!!!」
ダークドライブの言葉の意味を理解したのか、腰が抜けた様に地べたに座り込むと強張ってた顔の緊張が一気にほぐれ一子は大声を上げながら泣きだしてしまった。
泣きじゃくる一子を理解出来て無いが取りあえず慰めるゼノヴィアと京の光景を目に今度こそ立ち去ろうとしたが、またしても呼び止められた。
「オイ待て!」
「…今度は何だ?」
「お前一子に一体何しやがった!?テメエは…一体何なんだよ!?」
「…最初の質問に関してはそこで泣いてる彼女に聞けばいい。後二つ目の質問は…そんなの分かりきってるだろう?」
「何だと?」
「俺は仮面ライダーダークドライブ。それが答えだ……お。」
乗り込もうとするダークドライブの元に一台のシフトカーが手元にやって来たのを見てダークドライブは手を差し伸べた。
「ご苦労だったマッドドクター…これで事後処理は済んだ。」
「あ、オイ!」
手元に乗せたマッドドクターと共にネクストライドロンに乗り込んだダークドライブは病院を後にした。
残ったのは百代を抱える大和と泣きじゃくる一子を宥めるゼノヴィアと京。一先ず病院内に戻ろうと提案した大和に従い忠勝は納得のいかないまま流れに従うのだった。
そして病室に戻ると生死の境を彷徨っていた鉄心が何事も無い様に起きていたのを見て一子がまた泣きだしたのは少し後の話だった。
<…? 悠。何処に行こうとしているんだ?>
「…ちょっと寄り道さ。」
─────
───
─
「…確かにアンタはこれまで人として間違った事をしてきた。それしか手段が無いとしても、許される事じゃ無い…。」
「…だろうな。」
「…でもね、アタシ思うの。手段は兎も角、大事なのはそれをするにあたっての目的だって。」
「目的、ねぇ……まぁちょーっと肉体労働がキツイ分保障とか保険やら条件良かったから…。」
「本当にそう言える?」
「………。」
「…ウソが下手くそね。」
「……あぁそうだ。あの野郎を殺してから俺個人の戦う目的はもう無くなってた。
かと言って一度受けた以上中途半端に投げ出すのも後味悪くてよぉ……んで、暫く続けてたら見ちまったんだよ。
奴等にひどい目に遭わされた被害者がさ…あの時の自分とダブって見えちまって。」
「……。」
「あぁ、コイツ等もオレと同じ被害者かって。理由のある、無いの悪意に弄ばれた同類だってのに…。そう考えたら奴等がより一層憎く感じられてな。俄然やる気が出たってワケ…。
気にいらないヤツは全部ぶっ潰す。それが今まで戦い続けてきた目的……自分勝手だろ?」
「……私はそう思わないな。私には自分と同じ辛い思いをさせたくないって聞こえるわよ?」
「都合の良い耳だな。」
「でもあながち間違いじゃ無いでしょ?私見てたもの。アナタがしてきた事は間違った事だけじゃないって。」
「………え?」
何かトンでもない発言をした様であるが困惑する悠を余所に彼女の言葉は続く。
「アナタが沢山の命を奪ったのと同じ位、沢山の命を救って来た…ちゃんとやってるじゃない、ヒーロー。」
「ッ……でもッ…でもよッ!オレは…ッ!お前等を…ッ!」
「…もう。」
頭を抱えて苦痛の表情を浮かべる悠の顔に、白く温かい感触が包まれ面と向かって向き合わされた。
「ちゃんと分かってるから。アナタがどれだけ傷ついて苦しんできたか…私達がどれだけアナタに重荷を背負わせてきたのか……アナタがどれだけ嘘吐こうが自分を偽ろうが、アナタの本質は今も昔のまま。」
「ッ…。」
「信じてるから、アナタが誰よりも優しくて強い人だって…私は信じ続ける。
過去のアタシ達に縛られず今在る命を…未来に繋げて。」
「カナ…ッ!」
思わず零れた涙が頬を伝って地面に落ちる。カナはそんな悠に優しい笑みを向ける。今まで彼が背負って来た心の傷を癒す様な慈愛の眼差しを向けて。
そんな悠の胸が光が灯りだす。自身の体から謎の光が出ている事に動揺する悠と対象にカナは少し悲しそうな表情を浮かべる。
「……迎え、来たみたいだね。」
「迎え?…どういう事だよそれ!?」
「言ったでしょ、ココはあの世との中間地点。つまり、元居たの所に帰るって事よ…ほら。」
カナが指差した方へ向けると、黒一色の世界にイヤでも目に付く様なカラフルな光が次々と悠を囲う様に集まっていた。オレンジや黄緑や紫、十五個の光が悠の周りを飛び交うと悠の体が浮き出した。
「ッ!…カナッ!」
「…こうして久振りに会えて嬉しかった。やっぱり悠は悠だって、安心したわ。
戻ったら皆にちゃんと謝んなさいよ?」
「………あぁ。」
体が徐々に浮き上がっていこうとする前に悠はカナに手を伸ばした。
上手く姿勢を整えてカナの頬に手をやり、ゆっくりと自身の顔を近づけ…。
「ッ!?」
「ダーメ。そういうのは死んでるのとじゃなくて、生きてる人にしなさい。」
口を合わせようとする直前に自身の唇に彼女の人差し指が触れて辿り着かなかった。呆然とする悠にカナは悪戯に笑みを浮かべる。
「…ハハ、死んでも変わらず手厳しいなぁ。」
「もう…何時までも昔の女をズルズルと引きずってんじゃないわよ、女々しいったらありゃしない!
アンタを好きな子一杯居るんだから、その子達の事を考えてあげなさいよ!いっその事全員幸せにするくらい気にかけなさい!!」
「それ仮にも元彼に言う別れ際の話か!?」
そうこう話してる内に悠の体はもう大分上がり始めていた。あと少しでお互いの姿が見えなくなる位にまでに。
「…じゃあ最後にこれだけ。
忘れないで、アナタは何時までも、どんなに変わり果てたってアナタは、私の…私達のヒーローだよ!
……行ってらっしゃい。」
「………あぁ。行って来る。」
「──どうだった?感動の再会は?」
悠の姿が光と共にこの空間から消えたのを見計らう様に、見送ったカナの元に一人の男が姿を現わした。
その男はこの黒一色の空間に溶け込むくらいの黒いローブを纏っていた。
「…えぇ。満足よ……いい加減あの背中を蹴ってでも前に出したかったもの。」
「そう。それは何より♪……さ、そろそろキミもあるべき場所へ還る時だよ。」
男がカナに向かって手を差し伸ばすとカナの足元から徐々に透け始め体が塵となって消えていく。
「…一応悠と会わせてくれたアンタには感謝するわ。でも、それ以外の事を私は一生許さない。」
「勿論♪そうなるよう仕組んだのはぜーんぶこのボクだし♪これから先も彼はボクのシナリオ通りに舞台を盛り上げてくれる。」
「…アンタが一体何企んでるか知らないけど、残念ながらアンタも思い通りにはならないから。」
「ホウ?」
体がもう首まで残ってる状態のカナは挑発めいた強い笑みを男に向けた。
「私が心底惚れた男が、アンタの性悪な顔に一発ぶち込むからよ…覚悟しておきなさい。」
それだけ言い残しカナはあるべき場所へと塵となって還っていった。後に残された男は今だ見えない全貌を隠しながら誰にも聞かれる事の無い返事を返す。
「…覚えてたら、ね♪」
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ダークドライブが辿り着いた場所は、お気に入りの場所でもある高台であった。
夕日が地平線に沈んでいく光景と共に街の全貌を一望しながら黄昏に耽っていた。
<悠……何時まで変身しているんだ?気にせずとも周りには誰も……ッ!>
「悪いけど……暫く、放って置いて……。」
口を出そうとしたクリムが思わず口を閉じてしまった。
水色の複眼から流れ落ちる水滴がベルトのディスプレイに落ちたてきたから。
<悠…。>
「大丈夫ッ、だっ゛でッ……ちょっと時間潰したらッ……またいつも通り、だからよッ…!」
<……あぁ。>
クリムはそれ以降喋らなかった。
今だけは、仮面に隠した弱き一面を隠す少年の心情を尊重したのだった。
場所は変わり灰原家では…。
「う~~~~ん…あーーーー、やっぱオレも一緒に着いてけば良かったぁ!!もう夜だぜ夜!?遅すぎるってさコレ!!」
「あぁもう鬱陶しい!!ちったぁ落ち着けよ!ったく…。」
「天龍ちゃ~ん?そう言うアナタもさっきから貧乏ゆすりハンパ無いわよぉ~?」
「なんて事でしょう……設計図通りに作ったとはいえ、未来予知が出来る兵器を私達は…!」
「あぁまだ信じられない!!科学の最高傑作ともいえる作品を自分達が手掛けたなんて…!」
「ちょっとアンタ達!!何そんな状態で酒飲んでのよ!?まだ怪我治ってないって言うのに!!」
「ヒャッハー!分かっちゃいないねえ飛鷹。全員無事生き残れた事に祝して呑んでんのさ!」
「全く、あんな事があったっていうのに気楽な…って、足柄!?」
「ひっくッ!……那智も呑みましょうよぉ~~。あの子も無事生き返ったんだし、呑まなきゃ損よぉ~?」
「ウフフフ…一時の平和ですね。」
「あわわ!これ止めなくていいんですか!?長門さん達は!?」
「今向こうの人達に伝えに行ってるわ…。」
灰原家のリビングでは、かなりの騒乱が巻き起こっていた。
悠の帰りが遅い事に落ち着かない秋と天龍に、体中包帯だらけの状態で酒盛りをしている準鷹と足柄、止めに掛かる飛鷹と酒の誘惑に手を出しそうな那智にシフトネクストを性能に未だ技術者としての興奮を隠しきれず早霜と沖波は終始眺めていたのだった。
「早霜ちゃん。この状況、作戦前と比べてむしろ酷くなってない?」
「そう?私は好きよ?この光景……これにあの人も混ざれば面白いのだけども…。」
「ほう?そのあの人ってのは、こんなヤツ?」
「キャ…ッ!」
「うわぁっ!?」
二人の並んだ顔の間に入る様に割って入って来た人物に驚かされる早霜と沖波。慌てて振り返ると、肩にクリムを担いだ悠がしゃがみ込んで手を挙げてた。
「ゆ、悠さん!?何時から居たんですか!?」
「今さっき帰ったが?…いやにしても始めて見たなぁお前のビックリする様。キャ!なんて、カーワイイ。」
「……イジワル。」
「あ!……悠兄さーーーんッ!!」
「だぁーー!抱き着くなっての!!って鼻水!!鼻水着くからどけっての!!オイコラ!!」
「お!よーやく主役が来たねィ!」
「こ~ら!こんな遅くまで何処寄り道してたのよ!?コレは罰としてお酌してもらわなきゃね!!」
「こらそこの酔っ払い!未成年に酒呑まそうとするな!もう那智!アンタからも言ってやって…って呑んでる!?」
「ぷはッ!…一仕事後の酒は美味い!」
「悠さん!もう一度あのドライブになってください!!詳しいデータを基に、量産型の開発を…!」
「未来予知ってどんなカンジなんですか!?その辺りの意見も詳しく…!」
「オイ悠!オメェ今の今まで皆にどれだけ迷惑掛けて来たのかちゃーんと分かってんだろうな!?」
「ウフフ~。色々と覚悟しといてね~。」
「あぁもう分かってるから!!悪かったから取りあえずどいてくんな「悠ーーーーーッ!」ごはッ!?」
あっという間に囲まれた悠。しっちゃかめっちゃかの状態を脱そうと試みるが、突如天井から出て来た川内に体当たり紛いの抱擁を受け壁に激突する。
「悠~~~ッ!!生きてるよね!?私の事ちゃんと分かるよね!?本当にもう大丈夫なんだよね!?」
「今し方大きいダメージ…あぁやっぱいい。うん。素直に受け止めるよ。」
「うわぁあああぁああんッ!!」
これも今までの罰の一環だと思いながら後頭部の痛みと川内の涙と鼻水を受け入れる。頭を撫でながら落ち着かせていると、エプロン姿のラ・フォリアが姿を見せて来る。
「……よぉ。」
「あら、丁度良い時に帰ってきましたね。今日のご飯はちょっと奮発してますよ♪」
「マジで!?よっしゃー!」
「ヒャッハー!宴だ宴!!」
「えぇ。たくさん作ったから一杯食べてください…後で悠に全額支払わせるので♪」
「…あぁいいよ。好きに喰え!飲め!向こうの奴等も来れるだけ呼んで来い!!」
『おぉ~~!』
「…あ、そうそう忘れてました。」
「何?」
「…お帰りなさい。」
「…ただいま。」
翌朝。
「──…ん……あ~。」
目を開けるとそこは見慣れた天井だった。
リビングは昨日の宴会の残骸が広がり大半は床で雑魚寝状態。リビングのフローリングで目覚めた悠は両腕を枕に寝ているラ・フォリアと神通を起こさないよう退かし、上に乗っかって寝ている川内は引き剥がして昨日一番騒いでた準鷹と足柄の間に放り投げた。
所々転がってる酒瓶を面倒臭そうに片付ける悠。その時テレビの前に一人座って格闘ゲームしているハルナを目にした。
「桜井?…お前大丈夫なのか?起きて。」
「ん~?あー帰ってたんだ。お帰りー。そんでもって平気よー。家出、楽しかった?」
「あー…なんだ、色々迷惑かけたな今回の事は本当に…。」
「あ、ちょっと待って今一番、イイとこッ、そこ!この!うりゃ!」
悠の事などそっちのけでゲームに熱中するハルナ。コマンドを打ち込む指が別の生き物の様にコントローラーを操ってくとやがて画面にはGAME CLEREの文字が浮かび上がりエンドロールが流れる。
「いよっしゃパーフェクト達成!中々楽しかったな~。」
「お前、これクリアしたのか?最近買ったばっかのゲームだぞ?」
「まぁね、起きたらみーんなぐーすくか寝てたからヒマ潰しにね。次何やろっかな~?」
「………。」
ハルナの様子が何処かお可笑しい事に気付く悠。今のハルナからは何か得体の知れない何かがある。
そしてその疑問が裏付けているかのように嬉々とソフトを選ぶハルナの目が、赤く染まっていたのだった。
ここで改めてタイプfフューチャーの能力説明
・収集したデータによる予測計算。グレードアップした演算能力の高さにほぼ予測的中。ある意味未来予知とも言える。
だがその為には大まかなデータが必要なため初見の相手には予測計算が出来ない。
・クリムによるコンピューターウイルス。今回アシュラに叩き込んだアンチプログラムによって攻撃、回復に用いるエネルギー回路を麻痺させ機能停止に。他にもネットワークに通じてる機械も遠距離でのハッキングで操作可能に。
どこぞの電子の女王にも引けを取らない程の電子戦繰り広げられる程にグレードアップ。
・チェイサーバイラルはファングスパイディー、テイルウィッパー、ウィングスナイパーの同時使用はもちろん様々な組み合わせも可能(ファングスパイディー+テイルウィッパーで鞭の先に爪、テイルウィッパー+ウィングスナイパーで飛行しながら鞭の中距離戦等)トリプルチューンも魔進チェイサーの使用時に比べ倍の威力なっている。
ざっとこんな所です。