その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「前回のあらすじ!
なんやかんやあった体の総入れ替えが元に戻り、俺は自慢の超秘密兵器でバグスターを撃破したのだった!」

「…最近オレの扱いがどうにも悪い気がする。」

「あん?剣バカが何ほざいてんだ。」

「それもこれも全部キサマの所為だ。特にオレを呼ぶその剣バカと言うのが特に気に入らん。」

「じゃあ改名する?変身するライダーから取るとして…。
分かった!メロン馬鹿にしよう!」

「それではただのメロンが好きなヤツではないか!というより一番抜けて欲しいバカが健在だ!」

「そっかぁ、じゃあ…サソリ男?」

「安直すぎる!」

「ちなみにお前星座なに座?」

「さそり座だが?」

「おお!じゃあ、さそり座の男!」

「何処で聞いたフレーズじゃないか!」

「じゃあ改名も済んだ所で、今日の最新話どうぞ!」

「オイ待て!全然納得がいってないぞ!!
というかさっきから流れてるこの音楽は何だ!?絶対に歌わないからな!」

「と、言うけど~?」

「歌わん!!」




目覚

「………残るバグスターは後6体、か。」

 

ガレージ地下のラボにて、神太郎は一人端末画面に映し出されている各レジェンドライダーのガシャットに×印の着いていないガシャットを眺めながら一人呟いた。

 

傍らのデスクには、これまで大きな壁として立ちはだかった強敵を倒した証し、ゲームクリアして勝ち取ったガシャットが整頓して並べられている。

 

(今にして思えば少し妙だ。アベルの目的が完全なバグスターの誕生ならもっと妨害を仕掛ける筈。

なのにヤツは半数を切って尚積極的に動いた記録が無い……むしろ私達にバグスターを倒させている気がする。

だとすればヤツの目的は一体…。)

 

 

 

 

 

 

その頃の悠は学園にて昼休み、昼食を取りながら真向かいに座るゼノヴィアの相談を聞いている最中であった。

 

「一子の様子が可笑しい?」

 

「あぁ。最近何処か無理していると言うか、上の空というか。本人にそれとなく聞いても大丈夫の一点張りで、見ていてどうも放っていおけないんだ。」

 

「ふぅむ……まぁその原因は、言わずもがなと思うが。」

 

「あぁ。十中八九モモ先輩の事だろうな。」

 

ゼノヴィアから受けた内容は嘗てロイミュードと融合し未だ目を覚まさない百代の安否が畏怖している一子の事だった。

未だ病室のベッドで眠る百代はロイミュードと同調し過ぎた為に昏睡状態としてあの日からずっと眠ったままで一向に目覚める傾向が見られないと言う。

 

「そこでモノは頼みなんだが悠ならモモ先輩を目覚めさせられないかなと思ってな、ハルナの力や、お義父様ならあるいは。」

 

「うーん…期待してる所非っ情に申し訳ないんだが…嫌いだからとかやりたくないとか関係なく、そればっかはどうにもならないんだよ。」

 

「どういう事だ?」

 

「ゼノヴィアだから説明するが、ロイミュードと融合した人間はロイミュードにプログラムされた破壊衝動とコアによる闘争本能の刺激によって元の人格を凶悪に変貌させて胸に秘める欲求を満たそうとするのが融合進化態のロイミュードだ。

でもコアを破壊すれば元に戻って、軽い昏睡状態の後に日常生活に難無く戻れる。」

 

「ならばなぜモモ先輩は未だ目を覚まさないんだ?」

 

「ゴリ…彼女が使っていたコアが俺の知り得ないコアだったのが原因だと見ている。

アレは恐らく従来のコアより強く闘争本能を刺激する機能が着いていたのと、ゴ…もうイイやゴリラで。」

 

「…まだ根に持っているのかキミは…。」

 

「一応ね。んで話を戻すが、ゴリラが普段から戦いに飢えていた欲求がロイミュードの破壊衝動と見事マッチして従来のより余計精神に負担が掛かった。簡単に言って一種のオーバードーズってカンジ。」

 

「…じゃあモモ先輩は。」

 

「こればかりは本人の回復力次第だ。俺らがしてやれる事は何も無い。」

 

「そうか…。」

 

「…すまないな。期待に添えられなくて…卵焼き喰うか?」

 

「気にしないでくれ、此方も些か無理を言った。後卵焼きは頂こう。」

 

差し出した弁当箱から箸で卵焼きを口に運んだ後ゼノヴィアは改まって悠に頼みごとを持ち掛けた。

 

「モモ先輩の事は分かった。ならば一子の事をどうか頼めないだろうか。」

 

「元気づかせるのなら俺なんかより、それこそ…アレ……なんちゃらファミリーに頼めばイイんじゃないの?付き合いとしては向こうが長いんだし、連中も一子の事となれば即座にOKを出すと思うんだが。」

 

「風間ファミリーな、キミもいい加減覚えてくれ…その風間ファミリーなんだが、一子と同じく意気消沈でどうも頼みづらい空気なんだ。

だから一子が元気になってくれればファミリーの活気を戻す為にもイイ発破になると思って。」

 

「身内が落ち込んでるのとそうでないとじゃ大分空気違うか…………分かった。絶対とは言えないが善処はしてみるよ。」

 

「本当か!」

 

「まぁあの一件には無関係とは言えないからな。そうと決まれば…。」

 

悠は箸を置き、懐から携帯を取り出し操作し耳に当てる。

 

「……あぁもしもし。灰原ですけど。今電話大丈夫?……ああそんな大した話じゃないんだけど、今度休みヒマ?………あぁもし都合が良かったら一緒にお出かけでもどうかと思って……あ、大丈夫?OK、じゃあ待ち合わせの場所とか時間は後ほど連絡するんで、はいそんじゃ…。

ん?どうした?」

 

「いや…随分行動が早いな。」

 

「今の内予定作っておいたほうがダブらないし、急に誘うのも向こうに悪いから。」

 

「……分かってはいるがなんか腑に落ちない、な!」

 

「あ、俺のハンバーグ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ワン子、灰原何て言ってたの?」

 

「え、そ、そんな大した話じゃないよ?只今度の休みに一緒にお出かけしないか?だって。でも急にどうしたんだろうユウ、急に一緒に行こうだなんて…。」

 

「…ワン子。それ、デートの誘いだって気付かない?」

 

「デート?…あ、そうかデートか~!それなら納得………え。」

 

 

 

その後、響き渡る一子の絶叫が悠達のクラスまで届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽が完全に落ちた夜。悠は自宅の一室に足を入れる。

電気も付けず進んでいく先にはベッドに寝かされた秋の姿が。あの時悠を庇った胸の傷は完全に癒え体は正常に戻ったが、未だ目を覚まさずただ時間だけが過ぎていく。

 

「テメエも何時までサボって眠ってやがる……殴って叩き起こさなきゃ起きねえか。」

 

口調こそ何時もの悪態着く態度だが、その顔付きは自信を責め思い詰めたような目をしていた。

 

暫く一定の寝息を立てて眠る秋を見届けた後、部屋を出ようと扉に手を掛けた所でおもむろに口が開いた。

 

「…そんなに寝ていたきゃ寝てろ。そうしてる内に全部終わらせてやる…。」

 

その後の言葉を向ける事無く悠は部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

そして日が経ち一子とのデートの日。悠は待ち合わせの場所にて一足先に着き一子の到着を待っていた。

 

「………やっぱ早く来すぎたか……ん。」

 

携帯画面の時間を見ながら不意に呟く悠。そんな彼の視界に此方に向かって全力で走って来る一子の姿を捕えた。

 

「やーおはよう。随分慌ただしく来たねぇ。」

 

「ゴメン!!寝過ごしちゃって遅れた!!」

 

「いやいや、待ち合わせ時間の30分前は遅刻じゃないよ。」

 

「で、でもユウはそれよりも早く来てるじゃん…。」

 

「俺は待ちきれなくてね、楽しみだったから。」

 

「ッ~~!!そ、そう、なんだ…!」

 

「ん………ハァ。」

 

「?…どうしたの?」

 

「うん?…あぁなんでも、じゃあいきますか。」

 

「うん!」

 

二人は待ち合わせの場所から並んでその場を離れる。

 

そこから離れた建物の物陰から顔を覗かせ並び歩く二人を追う幾つもの視線があった。

 

 

「行ったな…。」

 

「よし、このまま後をつけるぜ。」

 

「うん。」

 

「さっき灰原先輩コッチ見てましたけど…もしかして気付いたんじゃ。」

 

「まさか、この距離だぞ。早々簡単に見つかる訳がない。」

 

「ワン子ったら普段着でデートに行くなんて…今度いろいろ教えてあげないと。」

 

「いいか皆、ワン子が心配だからって後をつける事にしたけど、くれぐれも慎重に。特にキャップ、この中じゃ一番尾行に向いてないのキャップなんだから気を付けてな。」

 

「おう!任せとけ!!」

 

「シーッ!言ったそばから声抑えて!!」

 

一子を気にし見守ると言う名目で二人を尾行して行く風間ファミリー…。

 

 

 

 

 

 

(……なんで俺はちゃんとしたデートが出来ないんでしょうねぇ。)

 

の、存在に気付いてしまった悠は胸の内でまともなデートをしてない事に嘆いていた。

 

 

 

そんなスタートを切った悠と一子のデートでまず向かったのは映画館だった。

 

受付で券を買う二人を遠くから見ていた風間ファミリーは二人の見る映画が表の看板にデカデカと載っていた流行の恋愛ストーリーを買ったのだと思い、場内に入った後急いで買って入り込むもそこには二人の姿が無かった。

 

「アレ!?ワン子と灰原いないよ!?」

 

「もしかして、あの時本当に気付いて私達を振り抜く為に…!?」

 

 

「…いや違う、多分二人は…。」

 

 

 

 

 

 

「おぉ!──ッ!よしッ!」

 

(いや、そこはローキックから顔面に膝だろ…。)

 

大和の読み通り二人は一子が興味を示したカンフー映画を見ていた。

 

尚、風間ファミリーは勝った券が勿体ないとの事で恋愛映画を見た結果、思いも寄らない名作に涙流し危うく二人の尾行を忘れ返ってしまう所だったと。

 

 

 

 

「あー!面白かったねユウ!」

 

「あぁ、以外にもストーリーしっかりしていて驚いたわ…ちょっと早いけど昼飯にでもする?ちょっと行ってみたい所があって。」

 

「いいよ!急いで朝ごはん抜いてきちゃったからお腹ペコペコだし!」

 

 

 

 

 

「グス…二人共移動したようだぞ。」

 

「ズズッ!…思わず失態を犯したが、次はそうはいかんぞ。」

 

「ゥゥ…恋愛映画ってあんな感動モノだったんだね。ボク甘く見過ぎてたよ…。」

 

「ぉう゛…オレ様もいつかはあんな彼女を筋肉でモノにしてやるぜ…!」

 

「……ハァ、私もいつか大和と…。」

 

「オイ皆、いい加減泣き止もうぜ。」

 

 

 

 

 

 

 

「………えっと、ユウ?」

 

「どうした?ホレ行こうぜ。」

 

一子は悠に押されるままにその建物の中に入っていく。

 

学生の身分じゃ中々入れない、名の知れたな有名ホテルの中に。

 

(え、待って、ご飯食べに来たのに何でホテル?……も、もしかして…!)

 

 

 

 

 

※回想中

 

「キャ…ユ、ユウ?」

 

連れ込まれた客室のベッド押し倒される形で寝転ぶ一子の上に覆い被る悠。

 

「え、えっと…ご飯は?」

 

「あぁ悪いな。ありゃ嘘だ。これから美味しくご馳走喰うのは、俺の方だ。」

 

「え…ご馳走って…。」

 

「明日も日曜で休みだし……朝までゆっくり、楽しもうか。」

 

「え……ぁ。」

 

見下ろす悠の顔が段々と近づいていき、やがて…。

 

 

 

 

 

※回想終了

 

(も、もしかしてアタシココで大人の階段昇っちゃうの!?どうしよう、今日下着地味な色の着ちゃってるよ!?)

 

「おーい、何処行ってんの?コッチコッチ。」

 

「は、ふぁい!………アレ?」

 

悠が指差す看板に一子は目が点となって凝視した。

 

 

期間限定ランチビュッフェ

 

 

「……えっと。」

 

「今ペア割で安くなってるし、腹減ってるなら丁度いいと思って。」

 

「………うん、そうだね。」

 

 

何処か納得のいかない目になっている一子だったが、有名ホテルの料理を前にした途端人が変わった様に喜んで食べたとか。

 

 

 

 

 

「驚いたぁ。灰原ったらワン子をホテルに連れ込むからてっきり…。」

 

「オレは即座に乗り込もうとした皆を止めるのに疲れたよ…。」

 

「にしても美味そうだなぁ…。」

 

「犬のヤツが美味そうに食べるから余計にな…。」

 

「ていうか何でボク達隠れてあんパンと牛乳手に隠れてるの?」

 

「何言ってんだよモロ!あんパンと牛乳は張り込みの定番だろ!?」

 

 

「…あのぉ、お客様。ちょっとよろしいですか?」

 

 

 

 

 

昼食後、二人は昼食の席でこれからの予定を話した結果体を動かしたいとの一子の要望を聞いてホテルを出た。悠の視界の傍らに従業員と警備員に注意を受けている集団を見掛けたが、一子の視界に入れないよう誘導した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ速吸君、お疲れ様。」

 

「神太郎さん!お疲れ様です。今日はどのような?」

 

「いや、秋くんの様子を見にね。」

 

その同時刻。灰原宅ではラボから一息いれる為に出て来た神太郎が秋の見舞いに部屋を訪れると、毎日看病に訪れに来ている速吸と会う。

 

「まだ起きる気配を見せないかい?

 

「はい……秋さん、何時になったら起きるんでしょうね。」

 

「傷は完全に癒えて問題無いのだがね。

やっぱり中に居るキマイラ自身も一種のスリープ状態だから目覚めないっていうのもあるだろうし。

……何か、起きるきっかけがあればいいのだが。」

 

「きっかけ、ですか?」

 

「あぁ例えば……お姫さまの目覚めのキス、とかね。」

 

「キッ…!そ、そそそそそそれで秋さんが目覚めるのならッ!わ、私…!!」

 

「あー、ゴメン。キミ達は悠君と違ってそこまで馴れて無かったんだねぇ…。」

 

ニヤニヤとからかって言った冗談を真に受けた速吸は、顔を真っ赤に慌てふためく姿に神太郎は自分の非を素直に言った。

 

「んもう!……でも本当にきっかけが見つから無いと起きないんだったら、一体どうすればいいんでしょう…。」

 

「速吸君……キミがそんな心配してどうする。

キミは彼がココで一生眠り続けるような人間だと思うかい?私は思わない。私はね、秋君が起きてまた皆を賑やかにしてくれる光景しか浮かばないんだ。それが桜井 秋という人間なのだと。」

 

「神太郎さん……そうですね!

もしかしたら急にガバッ!と起きて、「ハラ減ったー!」とか言いそうですね!」

 

「ハハハ!違いな………うん?待てよ、もしかしたら…。」

 

 

 

 

 

 

 

その頃の悠は一子と共にアミューズメントパーク内にて存分に有り余る体力を振るっていた。

 

「──ウラッ!」

 

「おぉ!またホームラン!」

 

「この程度楽勝楽勝。銃弾弾くより簡単だな。」

 

バッティングゾーンにて140キロスピードのボールをホームランゾーンへ当てまくる悠。全球ホームランと言う記録を残し彼等はパーク内のアミューズメントを色々周っていく。

ボーリング、フットサル、フリースローに卓球など、二人だけだが充実した時間を過ごしていった。

 

「んー!いや~遊んだ遊んだ!!なんだかこんなに動いたの久しぶりな気がする!」

 

「そいつは良かった。」

 

一休みにベンチに座り買った飲み物を一子に渡す悠。隣に腰掛け肩が触れた際に思わずドキッと胸が弾むが、その後は思わず顔がほころぶ一子であった。

 

「さて、このあとどうするか。もう少しココで遊んでいく?」

 

「そーだねぇ、ココはほとんど周ったし…”PiPiPi!”…あ、ちょっとゴメン…ゼノヴィア、どうしたんだろ?」

 

一子の携帯が鳴り画面からゼノヴィアからの電話だと分かると、ベンチから立ち通話に出る。

ゼノヴィアからの突然の連絡を受けた一子は顔色が一変し携帯を切るや、血相を変え悠に詰め寄る形で誤りを入れた。

 

「ゴメンユウ!アタシこれから病院に行かなきゃ!!」

 

「病院…まさか。」

 

「お姉さまが目を覚ましたって!だから本当にゴメン!!」

 

一子は頭を下げてその場を後に走った。

パーク内から出てタクシーでも拾おうと周囲を見渡すもなかなか見つからない事にこのまま走って行こうかと思った矢先、後ろから手を掴まれる。

 

「こっち。」

 

「え?ユウ!?」

 

一子の手を掴んだ悠は一子を連れて人目の無い裏通りへ、辺りを見渡し再度人が居ない事を確認すると懐から取り出しだロックビークルを開錠。ローズアタッカーへと変形させ、驚いている一子にヘルメットを渡す。

 

「乗りなよ。裏道使って飛ばしていけばそんな時間掛かんないから。」

 

「ッ!…うん!お願い!!」

 

一子は悠の誘いに乗りローズアタッカーの後部座席へ。多少荒い運転に悠の腰に回す手の力が強くなりながらも着実に病院に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

そうして病院に着いた二人は走り出そうとする一子を病院だからと言って落ち着かせながら百代の居る病室へ。

悠は部外者なので部屋の外で待機する形で残り、一子は扉を勢い良く開けそうになるのを堪え静かに開けた。

 

そうして目に入ったのは先に報せを受け来ていた祖父とゼノヴィア、そして上半身を起こしベッドに座る目覚めた百代の姿だった。

 

「お…お姉さま!」

 

「か、一子、か?」

 

一子は起き上がってる百代の負担にならないよう静かに抱き締める。百代は目覚めたばかりで未だ現状を把握できていないのか多少狼狽えていたように見えたが、自身を抱きしめる一子を払い除ける事無くその手を背中に回した。

 

その後に慌ただしく開かれる扉の向こうに目をやると、病室まで走って来たのか、息を切らした大和達風間ファミリー達が揃って目覚めている百代を目に、目を見開く程驚いていた。

 

「姉さん!!」

 

「モモ先輩ッ!!」

 

「大和…それに、皆も…。」

 

涙ぐみながら百代の目覚めを喜び掛けよる大和達。百代もファミリーの様子に気が緩んだのか薄っすらと涙目になり、その様子を鉄心は思わず涙して喜んでいた。

 

「うむ……モモの様子も可笑しくは無いじゃろうし、邪魔者は去るとするかな。」

 

「私もこの場は空気を読むべきだな。」

 

鉄心に釣られゼノヴィアも病室を去り、残ったのは百代を含めた風間ファミリーだけが残された。

 

「本当に良かった…姉さんの目が覚めて、本当に…ッ!」

 

「あぁ!コレで風間ファミリー復活だぜ!!」

 

「おぉ!キャップの調子が戻った!」

 

「みんな……すまない。みんなを見たら私は相当な目に遭っていたようだな。」

 

「?それはどういう事ですか?」

 

「その…実は、覚えて無いんだ。

私がどうしてここで眠っていたのか、何をやったのか……思い出そうにも、思い出せなくて…。」

 

「ッ!」

 

頭を抑え顔を伏せる百代に、一子は一人、驚いた表情を隠せずにいた。

 

百代がロイミュードとして街を壊し、人を襲い、そして、仮とは言え、人一人の命を奪った事を覚えていないと。

もし今の百代が全てを思い出してしまったらどうなってしまうのだろうと危惧する中でファミリー達との会話が続く。

 

「え…覚えて無いの?モモ先輩てっきり仮面ライダーに勝負を挑んで負けちゃったからこうなったのかと…。」

 

「仮面、ライダー?…私は、仮面ライダーと戦ったのか?」

 

「うん。今は分からないけど、姉さんを病院に連れて来たのは仮面ライダーだよ。確か黒で車に乗った。ワン子も見たよな?」

 

「う、うん…。」

 

「黒い、仮面ライダー…車……。」

 

「まぁ何があったかは知らないが、ともあれ一件落着だな。

…それはそうと犬。お前灰原に何か可笑しなことはされてないだろうな?」

 

「クリ!?な、何言っちゃてるの!?」

 

「何って、お前があの男に何か手を出されてないかと聞いているに決まってるだろう!」

 

「灰、原……?」

 

「?モモ先輩?」

 

 

「灰原…仮面ライダー……灰原、仮面ライダー、車、灰原、仮面ライダー、車──ッ!」

 

「ね、ねぇどうしちゃったの!?モモ先輩、何か可笑しいよ!」

 

「お、オレ様に聞かれても…!」

 

「姉さんどうしたの!灰原が何だって言うんだ!!」

 

「ダメ!それ以上は言っちゃダメ!大和!!」

 

「わ、ワン子?」

 

 

ワン子が突然叫んだ事に驚くメンバーを差し置き、百代は半ば錯乱状態となりながら頭を抑え取り乱し、完全なトドメとなったのが、那珂の様子が可笑しい事に気付いて入って来た鉄心達の後ろから、悠が顔を覗かせた。

 

百代は釣られて扉の方へ、悠の顔を見た途端、走馬灯の如く、処理の追い付かない程の壮絶な記憶が蘇ってくる。

自身の拳が、今しかいに入る男の命を奪ったその瞬間が。

 

 

「あ…あああ!……アァアァアアアアァアァアアアーーーーッ!!!」

 

「お姉さま!!」

 

「姉さん!!」

 

発狂し叫び出す百代に駆け寄る一同だが、百代の体にオレンジのノイズが奔り出した途端、反射的に伸ばし掛けた手が引っ込む。

 

「な、なんなんだコレは!?」

 

「発症!?こんな所で…!」

 

「ァァァアアアァアッ!!!」

 

 

百代の体から飛び出て行ったオレンジの塊は病室の窓を突き破って外へ、悠は塊を追いかけ病室の窓から外へ飛び出す。

後ろから声が聞こえるも無視し、落下しながらゲーマードライバーを装着。

 

<< BANGBANG SHOOTING >>

<< JET COMBAT >>

 

「第参戦術──変身ッ!」

 

 

<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>

 

<< BANGBANG SHOOTING! アガッチャ!── >>

<< ──JET COMBAT! >>

 

<< STAGE SELECT! >>

 

スナイプコンバットゲーマーへ変身すると塊に接近し、ゲームエリア展開と同時に閉じ込めスナイプは姿を消す。

 

一子は窓から消えたスナイプ安否を祈りながら、ベッドに横たわり苦しむ百代の傍へと近寄った。

 

 

 

 

「──っとぉ、さぁて今度はどいつが出てくんだ?」

 

海が断崖が見える海岸のエリアにスナイプは徐々に人型に模る塊、バグスターのを前に両腕のガトリングを構え待ち構えていた。

 

塊はやがてオレンジから金色へ、機械染みたボディに頭部のバッファローを思わせる巨大な角と、胸部に剥き出しになった人間の心臓と思われる部位に、スナイプは仮面の下で苦笑いを浮かべる。

 

「あんのゴリラ、どんだけロイミュードと縁があんだよ…。」

 

『んん………ココは……そうだ、オレは…。』

 

金色の機械怪人、ハート・ロイミュードバグスターは辺りを見渡し目の前のスナイプの姿を捕えると、前に一歩踏み出す。

 

『その姿、お前も仮面ライダーか。』

 

「まぁ一応、(金色?俺の記憶じゃ赤だった筈だが…)…出て来て早々悪いんだけど、アンタ削除させて貰うよ。」

 

『そうか…いいだろう。オレがこうして再び存在してる大体の状況は理解した。

仮面ライダーとの戦い、拒む理由は……無いッ!!』

 

「ッ!!」

 

ハートの全身から放たれる高エネルギーの放出にスナイプは思わずたじろぐ。

 

(何だよこの凄まじさ!データで知ってるハートとは全然別モンだ!)

 

『さぁ行くぞ見知らぬ仮面ライダーよ!オレの心に火を着けてみせろ!!』

 

「上等…!削除開始!!」

 

向かって駆けだすハートに、スナイプはガトリングの銃撃を放った。

 

 

 

 

 

 

その頃の灰原家では、ハートバグスターの出現を察知していた。

 

「何ッ!?悠君がバグスターと交戦だと!?」

 

「はい!確認した所、ドライブのバグスターだと。」

 

「ドライブのバグスター…直ぐにクリムを悠君の元に向かわせるんだ!私の考えが当たっていたならタイプフューチャーでも勝てるかどうか…。」

 

「えぇッ!?そこまで強いんですか!?」

 

「あぁ。強敵だ……とにかく悠君一人じゃ厳しい。直ぐにハルナ君と蓮司君にも…!」

 

「た、大変です!」

 

吹雪が慌てた様子で神太郎の元へ、最悪とも呼べるニュースを報せに駆け寄った。

 

「ろ、ロイミュードとデビルファントム、三つの反応を確認!現在近くにいたハルナさんと蓮司さんが、二つの地点で交戦しています!」

 

「何ィッ!?このタイミングでか!?……マズイな、残り一つの箇所は私が行かねば被害が…だがそれでは悠君の支援が…。

致し方ない。速吸君。さっき言った例のアレの準備を…。」

 

「ッ!…ほ、本当にするんですか!?」

 

「こうなれば一か八かだ!彼を…秋君を目覚めさせるんだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌラァアアアァアッ!!」

 

スナイプは迫りくるハートに束の間も与えぬと言わんばかりのガトリングによる斉射をハートに喰らわせていたが、ハートはガードすらせずボディに当たる弾丸に一切怯む様子すら見せずにスナイプへと特攻を仕掛けに行った。

 

『ォオオオッ!!』

 

「ッ!」

 

気迫の籠ったパンチをスナイプは紙一重で躱す。間近で通り過ぎる拳は喰らってはいけないと本能で感じ取りながら背中のバーニアを吹かし空へ飛び立とうとするスナイプの足をハートが掴んだ。

 

「ッ!?」

 

『何処へ行こうと言うんだ?──フンッ!!』

 

「ォォアァァッ!?」

 

スナイプを片手で豪快に振り回し投げ飛ばしたハート。スナイプは断崖の岩壁に激突し、あまりの衝撃に変身が解除されてしまった。

 

「ゴホッ……んの馬鹿力が…!」

 

『どうしたその程度か?オレの知る仮面ライダーはもっと強い人間だったぞ。』

 

「ぺッ……まだまだこっからに決まってんだろ!」

 

『その意気だ!行くぞォ!!』

 

再度仕掛けに走るハートの足元が爆ぜる。

ハート自身にとっては軽微にもならない攻撃だが足止めには十分、二人の間にネクストライドロンが間に入り、運転席部のドアが独りでに開かれた。

 

<遅れてすまない悠!さぁ早く私を!!>

 

「ったく待ち過ぎたっての!」

 

ネクストライドンの中に居るクリムを取り出しドライバーとして装着する。ドライブドライバーを身に着けた悠を見て、ハートは驚いた様子を見せる。

 

『クリムッ!?何故お前がその男と居るんだ!?』

 

<ム?私を知っているのかね?>

 

「誤解の無いよう言っとくけど、コイツはアンタの知ってるクリムじゃない。」

 

『ならばそのクリムは…。』

 

「──俺の相棒だよ!」

 

<< FIRE! ALL CORE/ENGINE! >>

 

「変身ッ──!」

 

<< DRIVEtypeFUTURE! >>

 

ネクストライドロンと一つになり、ドライブタイプフューチャーに変身。ハートは始めて見るドライブの姿に驚いた感情を隠しきれないでいた。

 

『オレの知らない、ドライブだと…!?』

 

「仮面ライダーダークドライブ…いっちょヨロシク!」

 

<Start our Mission!>

 

ダークドライブは専用武器、ブレードガンナーを手に呆然と立つハートに斬りかかる。

 

ハートは咄嗟に上から来るブレードの攻撃を腕でガード。反撃に残った片方の拳で殴りに掛かるも、ダークドライブがブレードガンナーのグリップ部で受けた。

 

『ダークドライブか……面白い!その力、見せてみろ!!」

 

<< COME ON! >>

<< DUMP!/MIXER!/GRAVITY! >>

 

<< タイヤ・カキマゼール! >>

 

ダークドライブの元にランブルダンプ、スピンミキサー、ローリンクラビィティがシフトフューチャーへ吸い込まれていくと、三つのタイヤがダークドライブの左腕に。

 

黒と黄色の警戒色のタイヤを肩に、ランブルダンプの付属武器、ランブルスマッシャーとローリングラビィティの10tオモーリを手にしていた。

 

<< コウジゲンバー! >>

 

近接戦に特化した合体タイヤ、コウジゲンバーに変えるとハートに向かって駆け出し、10tオモーリを振るった。

 

「オラッ!」

 

超重量の鈍器として振るわれた重い一撃は流石のハートも受け止め切れず、体がたじろぐ。

その僅かな隙を突いて高速回転するランブルスマッシャーを突き立てる。ガリガリとハートの強固なボディが火花を散らしながら削られ、ハートに初めてのダメージが入った。

 

『グッ……やるじゃないか…!』

 

「そりゃどうも!お礼にコレ、どーッ、ぞッ!」

 

ダークドライブは手に持っていた10tオモーリをハートに投げ付ける。10tオモーリの能力である重力操作に手ハートの動きを封じ、ランブルスマッシャーで一点集中の必殺技を思い描くダークドライブは、足元のホイールにてハートに接近する。

 

だがハートはダークドライブの予想外の行動を取った。

 

『──ムンッ!』

 

「ハァッ!?」

 

<う、受け止めただと!?>

 

投げ付けられた10tオモーリを両腕でキャッチしたハート。能力の重力操作で体に掛かる重さが倍となっているのに当の本人はそれを思わせる様子など全く見せていない。

むしろ円盤投げの要領で回転し、ダークドライブへと投げ返そうとしていた。

 

『返すッ、ぞォッ!』

 

「えぇちょ、まッ!ドオォワァッ!!」

 

足のホイールを使っての直線移動のお蔭で咄嗟の回避が間に合わなくなりダークドライブに10tオモーリが当たり、後方へ吹っ飛ばされた。

 

『この技には見覚えがあったんでな。どう対処すればいのか直ぐに分かったよ。』

 

「あッそう……じゃあこれならどうだよ!?」

 

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『ッ!!それは、チェイスの…!』

 

「ソォラァッ!!」

 

ダークドライブはコウジゲンバーからチェイサーバイラルによる攻撃に切り替え、ファングスパイディーの爪とテイルウィップの鞭を合わせた変幻自在の攻撃をハートに喰らわせる。

 

ハートは向かって来る鞭を拳で弾き返していくが、予測不能と言える広範囲から来る攻撃を全て捌き切れず、幾つか損傷を負ってしまう。

 

ダークドライブは鞭を戻し、今度はファングスパイディーとウィングスナイパーを合わせた形態へ。

爪先から放たれた高出力のビームにハートは真っ向から受け止めるも耐え切れず、吹き飛ばされてしまう。

 

吹き飛ばされて倒れるハートを目に、ダークドライブは一切の油断を見せず構えていた。

 

「…今の、大分効いたと思うか?」

 

<分からない。あの強固な防御力だ、一切の油断も出来ん。>

 

「クリム、ヤツのデータは集まったか?」

 

<攻撃パターンの解析なら8割を終えた所だ…だがまだシステムで読める程のデータが足りない。>

 

「ならこのままチマチマ撃って、出方を見よう。それで集まったデータで完封勝利だ。」

 

<OK。些かスマートでは無いが、それしか勝つプランが無いなら仕方ない。>

 

ダークドライブとクリムが勝つ為のプランを立てていく中、倒れ込むハートは、静かに拳を握り締め、感情を募らせているようであった。

 

『ハ…ハハハ! まさか、チェイスの力も使うとはな…!これは本気で挑まねばならなくなったなァ!!』

 

<悠!気を付けろ!!>

 

「分かってる!」

 

起き上がるハートから放たれる尋常じゃ無い程のオーラが辺り一面を包み込んだ。

 

『ヌゥウアアァァアァアアアァアーーーーーーッッッ!!』

 

<来るぞッ!>

 

ハートは先程よりも強烈なプレッシャーをダークドライブへと向けながら特攻。

ダークドライブは再度ファングスパイディーとテイルウィッパーの鞭をハートに向けるが、ハートはダメージをモノとせず受け止め、鞭を引っ張り、ダークドライブを思い切り引き寄せた。

 

「ヌォオッ!?」

 

『ウオオオオォォオオオーーーーッ!!!』

 

<ッ!この技は!!>

 

引き寄せられ宙に浮きながら向かうダークドライブに、ハートは凄まじいラッシュをダークドライブに繰り出し、ダークドライブは宙に浮いたままそのラッシュを浴び、最後にストレートを浴びて吹き飛んでいった。

 

「ガハッ!…い、今の、デタラメなラッシュって…!」

 

<川神百代の無双正拳だ!感染者の技を使えるようになったのか!>

 

『オレもよくは分からないが、持てる力を以って戦うのがオレの流儀だ!』

 

「やれやれ…清々しい程の正々堂々っぷりな事で。」

 

『さぁ、続きと行こうか?』

 

拳を構え未だ衰える事の無い闘志と威圧を放ちながら向き合うハートを前にダークドライブは仮面の下で冷や汗を流した。このままデータを取り、予測計算を用いてもあのハートに通用するかどうか危ういムードになって来ていた。

せめて後一人、人手がいればこの状況をどうにか出来そうなのだが、今だ来ない増援に恐らく別の所でも怪人による戦闘が起きているのだと推測を立て、ならばいっその事クリムを単独でダークドライブにさせて二人掛かりで行こうと考えるも、タイプネクストではハートのヘビー級の一撃に耐えられるかどうか。

 

ならばいっそ考えを切り替え、高望みをしても来る筈の無い増援に期待するのを止めてハートに立ち向かっていく決心を着けた。

 

「クリム、こっから正念場だ、気合入れてけ!」

 

<私にそのようなプログラムは無いが…奴に勝つにはフルスロットルで攻めなければ勝てない!全力でいくぞ悠!!>

 

「あぁ!行くぜ……?」

 

『?…何だこの音は?』

 

覚悟を決めハートへと駆けだそうとしたダークドライブだが、何処からか聞こえてくるエンジン音がダークドライブ並びにハートの動きを止めた。

 

「…コッチに、来てる?」

 

<このエンジン音…まさか…!>

 

クリムが音の正体に気付くと同時に姿を見せたのは、ライドマッハーとライドチェイサーが合体した魔進、ライドクロッサーがダークドライブの背後から跳び越え、二人の間に着地した。

 

「ライドクロッサー?、一体、誰が…。」

 

中央のカバーが開き、中に居る操縦者が地に降りる。

 

その姿を見た途端、ハートに単身向かって行く覚悟が抜け落ちた気がした。

 

「お、お前…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーらら、起きて早々トンでもねぇ騒ぎだこって…やっぱオレ居ねえとどうしようもねえなぁ、悠兄さん♪」

 

「秋ッ!」

 

半ば呆然とするダークドライブに駆け寄る男、家を出る時も未だ昏睡状態の秋がおちゃらけた笑みを見せながら隣に立つ光景に、理解が追い付かなかった。

 

「お前、どうして…!」

 

「姉ちゃん達が他の怪人相手して助けに行けねえって言うからさ、オレが叩き起こされたってワケ。」

 

「叩き起こされたって…どうやって?」

 

「あー、それはねぇ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分前。

秋の部屋は、煙に包まれていた。

 

 

 

「秋さ~ん。ほーら、美味しそうなお肉が焼けてますよぉ~?」

 

「炊き立てのご飯もありますよー?お肉の油とタレが合わさって、美味しいですよー?」

 

「…あのぉ、これで本当に秋さんが起きるんですか?部屋で焼き肉って…。」

 

「あ、吹雪ちゃん。お肉、焦げてるでした。」

 

「う~ん、カルビ美味しいにゃし~♪」

 

「夕立はホルモンも好きっぽい~♪」

 

灰原家に残っている女性陣が、部屋に置かれた七輪を囲んでの焼肉。窓は開けているもののお蔭で部屋は肉の焼ける匂いで充満してた。

 

「でも神太郎さんが言うには、中に居るキマイラさえ起こせばソレに釣られて秋さんも目を覚ますと言ってました!

だから皆さん、秋さんの前で、美味しく焼肉を食べてください!」

 

「えぇ喜んで協力いたしますよ。

いや~、にしてもこのハラミ美味しいですね~♪」

 

「このイチボ、っていうのも美味しいです。」

 

「わ、私はロース好きですね!あんまり油っこくないのが良いです!」

 

「ん~♪サーロインが口の中でとろけるにゃしィ!」

 

「夕立は内蔵系が好き~♪」

 

 

「……う……に…肉……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───とまぁ、そんなカンジで。」

 

「………なんだそりゃ。」

 

<そ、そんな起こし方があったとは…。>

 

 

『………。』

 

 

秋から告げられた目覚めの話しに、敵であるハートも呆然とするなか、静まった空気を秋が前に一歩出てぶち壊した。

 

「とにかく!今はアイツ倒すのが先決っしょ?久々に行こうぜ悠兄さん!」

 

「ッ!馬鹿か!!いきなり目覚めて戦えるわけがないだろう!!」

 

「そうでも無いよ?たらふく肉喰ってキマイラもご機嫌イイみたいでさ、オレの体絶好調なのよ!だから問題ナッシング!」

 

「………。」

 

「…ハァ。

庇った事気にしてんなら、コレが終わった後に話そうよ。」

 

「ッ!」

 

「だから今は目の前の敵に集中!コレ、何時も悠兄さんが言ってる事っしょ?」

 

「………フン。」

 

思い詰めるダークドライブを前に、秋は目の前のハートを倒す事に集中すべきとの指摘を受けたダークドライブは秋の隣に立つ。

 

「…遅れたら容赦なく置いていくからな。それが嫌なら死ぬ気でついて来い!」

 

「へッ、なーに言っちゃってんの、久しぶり過ぎてオレの座右の銘忘れちゃった?

──オレは、常にマッハに行く男だって!」

 

<< SignalBike──Rider! >>

 

「Let,s!──変身ッ!」

 

<< MACH! >>

 

『ッ! お前は…ッ!』

 

 

「へへ…。

追跡ッ!撲滅ッ!いずれも、マッハ!仮面ライダァァーー…マッハァッ!」

 

 

 

「さぁて、仕切り直しだ!」

 

「そんでもって、オレ達コンビのリターンマッチだ!」

 

 

 

 

「「オオォォォッ!!!」」

 

隣にマッハを連れハートに向かって行くダークドライブ。

 

不思議と先程までの懸念や不安と言った感情が、今は無かった。

 

 

 






まさか自称神から本物の神の登場は驚きましたねぇ~。おまけに強者も出て来るとか、ジオウはオリキャスの見所があっていいですね!

映画のCMが流れて心待ち遠しいけど、平成最後って聞くとやっぱ寂しい気もしますね。

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