その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「前回のあらすじ!
バグスターである強敵ハートを倒した俺と秋。秋も目覚め戦力も元に戻り、残るバグスターもあと五体。
バグスターへの完全な決着も、刻一刻へと近づいて行くのであった…。





ってこれだけ?いつもの乱入者とか無し?つか今日のあらすじ何でこんな真面目なの!?
あの、すいませーん!コレ台本間違えて無い!?え、これだけ?…ネタが切れた!?
え~、ちょっと待ってよ、まだ最終回まで結構あるぞコレ、大丈夫なのかよこんなんで…えぇ~~?」






行事

秋が目覚め戦力が万全の状態へと戻った悠達ライダー達は、突然神太郎の収集の声が掛かり、一同はガレージ地下ラボへと集まっていた。

 

集まった悠達の前に立つ神太郎は何時に無く真剣な顔つきで、一息入れた後、口を開いた。

 

「…皆、突然の呼び出しで申し訳ない。

今日集まって貰ったのは他でも無い、秋君が目覚め戦力が万全に戻り、残るバグスターもあと五体。ここまで本当に良く頑張ってくれた。

でもだからとって油断は出来ない!敵は何時何処で何を企んでいるのか分からないのだから!

そこで私はこれから起きるであろう脅威に備え、これを考えた…!」

 

「「「「………。」」」」

 

前に置いてあるホワイトボードを勢い良く裏返し、そこに大きく書かれていたのは…。

 

 

 

 

ーLet‘sハロウィン!ー

 

 

 

「もうすぐこの街切っての大規模イベント、波朧院フェスタに皆で参加して一層の団結力を深める事を提案します!!」

 

 

 

「ハイ解散。お疲れっしたー。」

 

「何時に無く真面目だから何を言うのかと思えば…。」

 

「正直もうそういうのでノレる歳じゃないしねー、オレ等。」

 

「私もそういうのは基本苦手なんで、すいません…。」

 

 

「って待てェーーーいッ!!!」

 

帰ろうとする四人の前に神太郎は必死の形相をして立ちはだかって止めた。

 

「キミ達若者だよね!?なのに何そのドライな空気!?若者ならもっとこういう年間行事をわぁー!とノリノリで行くもんじゃないの?」

 

 

「見た目はピチピチの十代だけど、実際爺さんなんで。」

 

「オレも35で死んだから決して若人と呼べんな。」

 

「オレは21歳でーす!」

 

「私は……二十代後半とだけ…。」

 

 

「………た、確かにッ、キミ達は一度死んで蘇ってるから、そうなんだろうけど!

さっきも言った通りこのイベントでより一層の団結力を…!」

 

 

「無理。」

 

「断る。」

 

「別にこういうのに出なくてもオレと悠兄さん超息合ったコンビネーションだし?この間もそれでバグスター倒したし?」

 

「………すみません。」

 

 

「………なんだよ!!最近の現代人はさぁ!!こういうイベントをキャッキャウフフと楽しむより、冷めたカンジで眺めるのが定石なんですかぁ!?今時マジになっちゃってダッサーとか言われる時代なのか!?いいじゃんはっちゃけちゃって!こちらとら只それ眺めるだけでやれる機会なんかこれぽっちも無かったんだぞチッキショーーッ!!!」

 

 

 

 

「あれ絶対アイツがやりたいだけだな。」

 

「団結云々はただの口実だった訳か。」

 

「つーか薄々そんな感じしてたけどね。」

 

「本当に大丈夫なの、あの神…。

あれ?でも待ってよ、確か今年の波朧院フェスタって中止になった筈じゃ無かった?他でも無い私達の所為で。」

 

「その筈だったんだが、このイベント待ち遠しにしてるのがまぁたくさん居たって事で、中止に対する抗議文が結構あったらしい。

だから例年より時間早く切り上げて、警備を最大限まで厳重して行うんだと。」

 

「へぇ、悠兄さんやけに詳しいね?」

 

「遠山が愚痴ってたんだよ。その警備に武偵生徒ほぼ全員が就くらしい。

夏音達も張り切って仮装する衣装どうするかって話してたし。」

 

「だがそれでもオレ達には関係の無い話だ。

こんな事に付き合うより剣の鍛錬に専念した方が有意義だ。」

 

「そうよねぇ、実際イベント中に怪人とかバグスターが出たらどの道私達が行かなきゃいけないし。」

 

 

先程の前口上で告げた理由よりただの私情による企画だった事が判明した為にそれこそ四人は冷めた目で神太郎を後目にラボから出ようと階段を目指したのだが、膝を着く神太郎のポツリと呟いた言葉に四人の足が止まるのだった。

 

「いいもん、イベントが終わったら配ろうと思ってた新しいガシャット、私一人で使っちゃうもん…。」

 

 

「「「「ッ!?」」」」

 

「うぇッ!?ちょっとなに!?何で皆して目ぇ見開いて取り囲んじゃってるの!?怖いよ!!」

 

 

「今、ガシャットって言ったか?」

 

「言ったな。新しいガシャットと言ったな?」

 

「あるなら早く頂戴よ。知らぬ間に皆10とか50とか持ってるのにオレだけ3なんだからさぁ。」

 

「流石にコレは無視できないわよね…。」

 

「待って待って落ち着いて!その視線だけで人殺せそうな威圧感抑えて!!

確かにあるよ!まだ出来て無いのもあるけど、渡せられるガシャットはあるよ!!」

 

「「「「じゃあ寄越せ!」」」」

 

 

「…フ、フフフ。ブゥァアーーーッハッハッハ!!!なれば私のいう事を聞くんだなぁ!!キミ達に私が造ったガシャットを与える権利は、何を隠そうこの私にあるのだからなぁ!!」

 

「「「「……。」」」」

 

したり顔で優勢に立った神太郎に四人は気に喰わないと言わんばかりに顔を顰め睨みつけるも当の神太郎はドヤ顔の笑みを浮かべるだけで、それが一層癇に障る。

 

「フフフ。さて、なにわともあれ参加すると決まった訳だし、キミ達の仮装する衣装決めといこうか。」

 

「衣装って、この間ラ・フォリアさん達が来ていたあの際どいのを…?」

 

「え、何その際どいって、ねぇ!際どいってどこをどう際どくしたの!?」

 

「マジになって聞いてくんなバカ。」

 

「あぁハルナ君のその心配は無用だ。前回私が選びに選んだ衣装は子供教育上悪いと非難されてね。」

 

「アレは完全に貴様の趣向が入った選別だろう。」

 

「まぁね。で、今回新しく選別したのをキミ達に着て貰う。大丈夫、今回は全然健全な格好だから。

さぁそうと決まればこのボックスに入りたまえ!!」

 

 

「「「「………。」」」」

 

何時の間にか服屋にある試着室のボックスが四つ置かれており、一人盛り上がってる神太郎を余所に、四人は終始冷めた気持ちでそれぞれボックスに入っていった。

 

 

そうしてカーテン開けて出て来た四人。自身が用意した格好になっている事に神太郎は満足気に頷く。

 

「ほうほういいじゃない!やっぱり皆顔立ちが良いから私のイメージ以上に似合ってるよ!!」

 

 

「…いや、只々恥ずかしいんですけど…。」

 

「和装はいいのだが…髪や瞳までやるとは…。」

 

「…ねぇ悠兄さん。これってさ…。」

 

「あぁ…絶対そうだよな。これ。」

 

 

 

仮装テーマ:時の車窓から

 

・悠=嘘吐き青亀(憑依時)

 

・秋=お子様紫龍(憑依時)

 

・蓮司=眠り金熊(憑依時)

 

・ハルナ=暴力系ヒロイン特異点

 

 

スーツ姿で眼鏡を掛けた悠、キャップやヘッドホンを着けたダンサー衣装の秋と黄色の和服の蓮司。黒いフリル付きスカートと白のカーディガンを来たハルナを除き男性陣はカラーコンタクトとエクステを付けている。

 

「……これ絶対電王だよね?つか悠兄さん、イメージ超ピッタリなんですけどwww。」

 

「俺達がライダーだからってライダー関連の仮装ってか。」

 

「え、そうなのコレ?」

 

 

「まぁね、これなら悠君や蓮司君も抵抗感なく着れるだろう思ってね!」

 

「みなさーん!今日晩御飯…ってあら!どうしたんですか皆さん珍しい格好して!」

 

「やぁラ・フォリアちゃん。今波朧院フェスタに出る用の衣装決めをしている所でね!」

 

「まぁ!お義父様達も出るのですか!てっきり参加しないとばかり…。」

 

「ハハハ!あ、そうだ。ラ・フォリアちゃんの分もあるんだけど、着てみるかい?」

 

「え、いいのですか!」

 

「いいともいいとも!あ、あそこのボックスにラ・フォリアちゃんの衣装入ってるから。さて、私も着替えるかな!」

 

 

「…絶対王女も参加させる気だったなアイツ。」

 

「完全にスケベ親父の要素入ってるわね。」

 

「ラ・フォリアちゃんの仮装……イイと思います!!」

 

(帰りたい…。でもガシャットが…。)

 

 

 

 

 

 

 

「着てみました!どうですかね?」

 

「ほほう、いいじゃないいじゃない!!ラ・フォリアちゃんのイメージ通りだね!!」

 

 

仮装テーマ:時の車窓から

 

・ラ・フォリア=時の列車の客室乗務員

 

・神太郎=時の列車のオーナー

 

 

「ウワァオ、やっぱナオミちゃん衣装で来たよ。で、どうする悠兄さん?釣りに行かないの?答えは聞かないけど。」

 

「お前なんやかんや乗せられてんじゃねえか。」

 

 

「いよぉし!この調子でどんどんいっちゃおう!!──」

 

 

「おー!」

 

「「ええー。」」

 

(帰りたい…。)

 

 

 

仮装テーマ:風の都の住民

 

・悠=ゾンビ傭兵

 

・秋=ハーフボイルド探偵

 

・蓮司=不死身の刑事

 

・ハルナ=風の女子高生(E)

 

・ラ・フォリア=風の女子高生(Q)

 

・神太郎=恐怖の父親

 

 

「フッ。これでオレも、男として磨かれたハードボイルドに…。」

 

「いやハーフボイルドだろ、元ネタもお前も。」

 

「ヒッデェー!てか、悠兄さんは安定のエターナル?」

 

「仕方ねえだろ、コレが置かれてたんだから。」

 

「これが今のJKスタイルですか、このような服は凄く新鮮なカンジですね!」

 

「まぁ、これ位ならまだ大丈夫、かな?」

 

「…目立つな、全身赤とは…。」

 

「ハッハッハッハ!みんなやる気になって来たね!さぁドンドンいくぞ!」

 

 

 

 

 

仮装テーマ:欲深き者達

 

・悠=アイス大好き鳥怪人

 

・秋=着飾り猫怪人

 

・蓮司=ラスボス(笑)虫怪人

 

・ハルナ=パンツ大好き旅人

 

・ラ・フォリア=愛欲シャチ怪人

 

・神太郎=欲望大好き会長

 

 

 

「うっわー、一層コスプレ感ある格好になったねえ、カツラとか…悠兄さんなんか右腕も付けちゃって!」

 

「お前…金髪合わねえなぁ。」

 

「…今度は緑か…。」

 

「…うん。このエスニックなカンジの服はイイわよ。正直に良いわよ。

でもこの枝にぶら下げたパンツはいる?え、どうしても必要?マジ?」

 

「あら、随分と変わりましたね悠。」

 

「お前も相当変わったぞ、銀髪が青とか、もう別人レベルだ。」

 

「変ですか?」

 

「……いや、似合ってるよ。」

 

「う~ん!ハッピィバースディッ!!」

 

「うわッ!、何、いきなりどうしたのよ?」

 

「あー、気にしない方が良いよ。」

 

 

 

 

 

 

仮装テーマ:青春、宇宙学園

 

・悠=二面性カンフー留学生

 

・秋=友情番長

 

・蓮司=アメフトキング

 

・ハルナ=チア部長

 

・ラ・フォリア=不思議系JK

 

・神太郎=反同盟乙女座

 

 

 

「宇宙、キターーーーーッ!!!」

 

「るっさい!本編同様心臓止めて黙らすぞ!」

 

「止めて!悠兄さんが言うと洒落にならないから!!」

 

「うっわ、チアの服とか……ヘソ出しちゃってるし。」

 

「そこまで気にする事か?」

 

「お義父様は随分凝った格好ですねぇ。仮面まで被って。」

 

「あぁ。やるからには徹底的にやるとも。」

 

「あら、声も変わってるのですね。」

 

「檜○!?」

 

「突然どうした、桜井?」

 

 

 

 

 

 

仮装テーマ:マジックinショータイム

 

・悠=ヤンキー不死鳥

 

・秋=マヨネーズ好き魔法使い

 

・蓮司=ドーナツ好き魔法使い

 

・ハルナ=猟奇殺人鬼

 

・ラ・フォリア=忠誠MAX蛇女

 

・神太郎=元祖・天ッ↝才物理学者

 

 

 

「へぇー、さっきのエスニックもオシャレだったけど、コッチはコッチでイイわね!」

 

「…なぁ悠兄さん。アレ、言った方が良いかな?」

 

「止めとけ。基もココでもロクな印象が無いからな。」

 

「むしろ言ったらそれこそ、ハルナ君が絶望してしまいそうだよ。」

 

「?…三人は何をコソコソ話しているのでしょうね?」

 

「ムグムグ…知らん……ドーナツ、食うか?」

 

 

 

 

 

仮装テーマ:フルーツ戦国時代

 

・悠=メロン兄貴

 

・秋=ブドウ弟

 

・蓮司=バナナ強者

 

・ハルナ=ピーチ秘書

 

・ラ・フォリア=女神さま

 

・神太郎=レモン博士

 

 

 

「…またスーツか。」

 

「イイじゃないですか、キリッとしていてカッコいいですよ?」

 

「そういうお前こそ……。」

 

「ん?何ですか?」

 

「…いや、その……綺麗です。正に女神ってカンジで…。」

 

「フフ♪どうも。」

 

 

「うわー、あそこ甘い空気出しちゃってるんですけどぉー、マスクメロン並の甘々な空気出してるぅー!」

 

「ここでレモン味のキッス出る?出しちゃう?」

 

「下らん…”グキッ”ッ!?」

 

「彩守君?…何で何も無いとこで足挫いてんの?」

 

「わ、分からん、オレとした事が一体どうして”グキッ”ヌゥッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

仮装テーマ:フルスロットル刑事物語

 

・悠=トップギア刑事

 

・秋=マッハな写真家

 

・蓮司=喜びハートフル怪人

 

・ハルナ=愛メディケア黒怪人

 

・ラ・フォリア=トップギア婦警

 

・神太郎=嫉妬メガネ怪人

 

 

 

「追跡!撲滅!いずれも、マッハー!…うーん、やっぱこの格好で言うと気分違うねぇ!

アレ?悠兄さんチェイスのカッコにしなかったの?」

 

「俺もそうかと思ったんだが…。」

 

<私も戦闘以外で巻かれるとは、思いも寄らなかったよ。>

 

「二人共、一体何の話をしてるんですか?」

 

「お!ラ・フォリアちゃんの婦警スタイル、いいねぇ~!グッド!!

あぁさっきね、悠兄さんのカッコが……あ、そういう事。」

 

「?…どうしたんですか?」

 

「いいやなんでも…ラ・フォリアちゃん、取りあえず悠兄さんの隣に立とうか。」

 

「…暑い。しかもまた派手な赤。」

 

「これバレリーナ?……うーんこれはちょっと…。」

 

「フフフ、やはり私の聡明で的確で完璧なチョイスに狂いは無かった!ウフフ!」

 

「オイ、五月蠅い、そして何かキモい。」

 

「ッ…私はキミの上司なのに…キィーッ!!」

 

<何故ハンカチを噛むのかね?>

 

 

 

 

 

 

 

 

仮装テーマ:不可思議ゴースト

 

・悠=亡霊シスコン兄貴

 

・秋=命燃焼系幽霊

 

・蓮司=たこ焼き王子

 

・ハルナ=一つ目幽霊の正体

 

・ラ・フォリア=たこ焼き王子の姉

 

・神太郎=全ての元凶

 

 

 

 

 

「…ねぇ、これってさ…。」

 

「…猫だな。」

 

「うん。猫だね。」

 

「モグモグ…ゴクン。猫だな。」

 

「可愛らしい猫さんですね。」

 

「うん!猫じゃ!ニャー!」

 

「いや猫は分かってる…どうして私だけ猫の着ぐるみだって聞いてるのよーーッ!」

 

「…そういや夏音は今どうしてるか…。」

 

「え、なんでそこで急に夏音ちゃん出て来たのさ?」

 

「分かんないけど…何か気になんだよ!夏音の事が!!」

 

「え、なにマジになってるの?」

 

「そういえば、蓮司はどうしてたこ焼きを食べているんですか?」

 

「いや、着替えと共に置いてあったから…それにこのたこ焼き、美味い。」

 

「龍驤ちゃん特性タコ焼きの虜になったかい、蓮司君!ワシにも一つちょーだい♪」

 

「無視するなぁーーーッ!!」

 

 

 

 

 

仮装テーマ:チーム・ゲーマードクター

 

・悠=闇医者(光)

 

・秋=嘘吐きアロハ監察医

 

・蓮司=甘党天才外科医

 

・ハルナ=ドジっ子ゲーマー研修医

 

・ラ・フォリア=ラスボス龍戦士

 

・神太郎=神

 

 

 

「白衣という事は、今度は医者か?」

 

「みたいだなぁ…一人浮いてるのいるけど。」

 

「え、オレの事?」

 

「他に誰がいんだよ。何でアロハシャツの上に革ジャン羽織ってるの?暑いの寒いのどっちなの?」

 

「いやオレに聞かれても…でも、なーんか悪い気しないんだよねぇ、コレ♪」

 

「ラ・フォリアさん、なんか……カッコいい。」

 

「そうですか?ありがとうございます。ハルナもよくお似合いですよ。」

 

 

「悠ーーーーッ!!」

 

「おぉッ!?川内!?何やって、ってそのカッコ…。」

 

「うん!事情はよくわかんないけど、闇医者にはポップなゲーマーがセットだからって、来ちゃった!」

 

「姉さん、そんな恰好で悠さんに抱き着かないでください!!」

 

「イェーイ!今日の那珂ちゃんなんだが気分がノリノリのパッピーなカンジー!」

 

 

 

仮装テーマ:チーム・ゲーマードクター

 

・川内=天才ゲーマーJK

 

・神通=音ゲーキャラ(仮)

 

・那珂=音ゲーキャラ

 

 

 

 

「ブェーーーァッハッハッハッハッハ!!!滾るぅ!!私の神の才能が何故だが知らんが滾るぞーーーーーッ!!!」

 

 

「「「「うるせぇ!!!」」」」

 

「ドゥゥウエエァァァアアアァアッ!?!?!?」

 

 

 

 

 

 

仮装テーマ:愛と平和の創造者達

 

・悠=ホテルおじさん(私服)

 

・秋=ドルオタ農家

 

・蓮司=サイボーグメガネ

 

・ハルナ=売れっ子ネットアイドル

 

・ラ・フォリア=スパイ女記者

 

・神太郎=激マズコーヒーマスター

 

 

 

 

「………。」

 

「ぶッwwww…悠兄さん、ソレwwww」

 

「こ、これはもう、放送事故レベルでしょwww」

 

「?…Tシャツに書かれてる漢字、アレなんて読むんですか?」

 

「い、威風堂々、だ……あの格好で、堂々と…ッ~~~~!!!」

 

「じ、自分が選んで、アレだけどww…これは破壊力が……ブハハハハハッ!!!」

 

「……オォッラァァアアアッ!!!」

 

「ぶへェ!?」

 

 

 

 

 

 

「あーーー…終わったぁ。」

 

「無駄に長かった…。」

 

「いやなんやかんやでオレ結構楽しめたぜ?」

 

「いいわよねぇアンタはそうお気楽で…。」

 

「私も楽しかったですよ♪なんなら普段着にしたい位気に入った服もありますし。」

 

「そうかそうか、気に入ってくれて何よりだ!

さて一通り袖を通してみたわけだが、当日は何を着るんだ?」

 

「マジであの中から選ぶ気かよ。」

 

「当然!だって徹夜で選んだんだし!」

 

「そんな事に徹夜しないでもっと有効に働けないのか…。」

 

「……ん?ねぇ、今私気付いたんだけど…。」

 

「ん、どったの姉ちゃん?」

 

「私達、さっき着た中から選んで出るとして……私達が何の仮装しているかって、気付く人いる?」

 

「「「「「……。」」」」」

 

時間が止まったかと思う位に一時物凄く静かになった。

 

「…確かに、誰も仮面ライダーの着ていた格好とか言われても、全然分かんないよね。」

 

「パッと見で個性的な私服と見られるのがオチになるな。」

 

「俺なんか三度もスーツ着てるし…ていうかよ。普通に考えて、仮面ライダーのカッコしてるって教えたら、俺等の正体曝してると一緒じゃね?」

 

「「「「「………。」」」」」

 

またしても時間が止まったような静寂が続いた。

 

「……どうして誰一人ソレに気付けなかったんだ。」

 

「うっわ、なんか、別の意味で恥ずかしくなってきちゃったよ。」

 

「うん…完璧に失念だったわね。」

 

「え…何々、え、ねぇ、ちょっと、止めてよ、まさか…。」

 

 

「「「「全部却下!」」」」

 

「そんなあああああああッ!?!?!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな事も有り波朧院フェスタ当日。

 

彼等は神太郎の考案した衣装は着ない事にしたものの、イベント自体参加せねばガシャットが手に入らない為にどの道仮装して出なければならないのは変わらない。

 

故に悠が考案した衣装に各々着替えリビングに集まっていた。

 

「…ねぇ灰原君。この格好…。」

 

「ん?なんだ、サイズが合わなかったか?」

 

「いや、サイズは全然問題無し、むしろ結構着心地いいよ。ただこの格好なんだけど…。」

 

そう、ハルナを含めリビングに居る悠、秋、蓮司は黒のスーツに身を包んでいる。

 

銃器や刀といった武器を持って。

 

「コレ、何をテーマにした仮装?」

 

「ロシアンマフィア。」

 

「………は?」

 

「いやだからロシアン…ああそうか、まあマフィアと言うのはいわゆる海外版ヤクザみたいな…。」

 

「違う。意味なら知ってるから。さっきのは?はなんでロシアンマフィア?」

 

「理由としてあげるなら用意できる衣装が倉庫にあったコレと…。」

 

「あら、ハルナも着替え終わりましたか。」

 

「ラ・フォリアさ…ん?」

 

背後から聞こえた声に振り返ったハルナ。そこにいたのは自分と違ってスカートタイプの黒スーツだが、その上に首元にファーが着いた白いコートを羽織っていた。

 

目がパチクリと見開くハルナが悠に視線を戻すと、悠はその通りだと言わんばかりに頷く。

 

「ボス役がロシア系に見えるから、ロシアンマフィアにした。」

 

「ラ・フォリアさんがボスなのォォォオオオッ!?」

 

リビングにハルナの絶叫が響く中、日本刀を手にした蓮司がソファーから立ち上がった。

 

「とにかく数は揃ったから行くぞ。こんな茶番とっとと終わらせるに過ぎる。」

 

「ちょいちょい。なーんでオタクが仕切っちゃってるのさ?」

 

出発を促す蓮司の提案をショットガンを持った秋が異論を出す。

 

「剣バカはともかく早めに行くのは賛成だ。早く行かねえと大混雑でロクに動けなくなる。」

 

「まぁ、それほどのお祭りなんですね。」

 

悠もライフル銃を手に外へと出ようとする所であったが、ふとハルナが違和感を感じ取った。

 

「ちょっと待って、神太郎さんは?一緒に周るんじゃないの?」

 

「あぁヤツなら…。」

 

 

「ゴラ゛ァァアアアッ!!!!これは、どういう事だアァアァアアアッ!!!」

 

 

「ギャァアアアァアッ!!!」

 

リビングの扉から勢いよく出て来た、グリーンフェイスのゾンビメイクをした神太郎の登場に、ハルナは思わず悲鳴を上げた。

 

「後ろから当て身で気絶させられ、起きた時にはこの特殊メイク、おまけになんか臭いんですけどォォオォ!?」

 

「そりゃゾンビだから腐敗臭はするだろ。」

 

「そこまでリアルにしなくていいわぁぁ!!おまけに洗っても洗ってもメイクも匂いも落ちないし!!どうしてくれ”ダァンッ!”…──。」

 

「え…えええええええッ!?ちょっと灰原君!?なに撃ってるの!?ていうかそれ本物!?本物の銃持って来ちゃったの!?」

 

「大丈夫だよ、ホラ、これゴム弾。当たっても死なない仕様だから問題なし。」

 

「それ以前に本物使ってる時点でアウトでしょうがぁ!?

…ちょっと待って、それだったらもしかして、他の三人も!?」

 

「おう!でも人に当てなきゃ、セーフっしょ?」

 

「オレのは自前だ。練習用のだから刃は潰してある。」

 

「私は悠に作って貰った銃がありますので。今回はそれを使います!」

 

「えぇぇ~~?…そこまで本格的にやる?」

 

「ガシャットの為だ、やるからにはもう徹底的にやるぞ。」

 

「では時間も限られてますし、皆さん行きましょうか!あ、でもお義父様が…。」

 

「問題無いだろう。コイツはなんやかんやでタフだし。勝手に起きて勝手に外出てるって。」

 

「神太郎さんはもうそういう扱いなのね…。」

 

「なら問題無いですね。では皆さん、アルティギアファミリーの出陣です!」

 

「…なんか違うと思う。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんやかんやありながらも黒スーツへ身を包んだ五人は、丸々一つの会場となっている街へと出向いた。

 

街中は仮装した人達で溢れ返っていた。中には最早着ぐるみとしか言えない格好をしてる者や、水着と指して変わらない大胆な格好に出てる者など、様々な風景が見られた。

 

「うわー、すっご。みーんな作り込み半端無いね。」

 

「これはもう魑魅魍魎…いや、百鬼夜行と言えるな。」

 

「いやそれは大袈裟な気が…。ねぇ、私達なんか、結構視線集まって無い?やっぱこの格好この中じゃ浮いてるんじゃ…。」

 

「じゃあ戻ってアホ上司が用意した服に着替えるか?」

 

「…このままでいいです。」

 

「まぁそこまで変に意識せず折角のお祭りなんですし、今日は楽しみましょう!こういうのは楽しんだもの勝ちです!」

 

「お!イイ事言うねぇラ・フォリアちゃん!」

 

「秋。今の私は、ボスですよ?」

 

「おっと、コレは失礼しましたボス!」

 

「ハイよろしい♪」

 

 

 

 

「ねぇねぇちょっとあれ見てよ!」

「え、何々?何処?」

「あそこよ、ホラ、あそこの黒スーツの集団!」

「何アレ?M.○.B.?」

「違うでしょ、武器が普通だし。」

「ていうかあの銀髪の人スッゲエ美人!オレ声掛けてこようかな?」

「オレは黒髪の子が好みだなぁ。」

「ちょっとあの白メッシュの彼、超イケメンなんですけど!」

「刀持った背の高い彼もカッコいい!」

「私ショットガン持った男の子が好み!あどけない顔に黒スーツって組み合わせが好き!」

「ていうか結局何の仮装してるんだ?」

「分かった!きっとあの銀髪の美人はどこぞのお嬢さまで、他の四人はその護衛だ!今日のイベントを知ってお忍びで遊びに来たんだ!」

「「「「それか!」」」」

 

 

 

 

「…やっぱ視線が集まってる気がする。」

 

「気にすんな。無視しろ無視。」

 

 

 

 

 

 

 

「……それで、この後はどうするんだ?」

 

「どう、って、そりゃお菓子貰ったり配ったりするんだろ?ハロウィンなんだし。」

 

「お菓子…?」

 

「彩守君…もしかしてハロウィン知らない?」

 

「オレの居た世界にはハロウィンと言う行事など無かった。」

 

「え、そうなの?」

 

「ハロウィンが無い世界って、一体どんな世界だったんさ?」

 

「…ココとは少し違う。似ているようで似てない。」

 

「いや、それ答えになって無いんだけど…。悠兄さん知ってる?」

 

「まぁな。でも説明はまた後日。」

 

「でしたら、蓮司にとっては初めてのハロウィンという事ですね!」

 

「そういう事になるな…とにかく菓子を貰えばいいんだな?それなら大した事は無い様だ。」

 

「本当に出来るのかよ?年中剣しか頭に無いヤツがそこらの人間に声掛けて菓子貰うとか。」

 

「フン、言っていろ。精々その眼が節穴だったと知る前に威張ってるがいい。

そうだな……あそこに居るのでいいか。」

 

「え、アレに行くの?」

 

蓮司が視線で指した方へ目をやると、ビルの壁を向いて背中を見せている大柄の男二人。

 

ハルナの目に飛び込んで来たのは、その二人がどこぞの世紀末アニメにでも出て来そうな肩パットに裸の上半身に袖が破れた革ジャンのモヒカン頭と言う如何にもという格好に苦笑いを浮かべていた。

 

「別にあんなのに態々行かなくても…。」

 

「一番近いのはあの二人だ。こういうのは最短で迅速に済ませるに限る。」

 

「あ、ちょっと!」

 

「まぁまぁ姉ちゃん、ここは静かに野郎を見守っててやろうぜ。」

 

「失敗したらしたで温かく迎えてやればいいからな、ザマァって。」

 

「うわ、この二人最低だ…。」

 

「まぁそこまで神経質にならずとも、蓮司なら上手くやってくれますよ。」

 

「ラ・フォリアさんのその自身は何処から出て来るの?」

 

ひたすら心労が溜まるハルナであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よぉお兄ちゃんよォ、早いトコ出しちまいなよ、ホラ。」

 

「お菓子と一緒によォ、オレ達にお金恵んでくれよォ。なぁ?」

 

「ひィィィ!か、勘弁してください!!」

 

ピエロの仮装しお菓子の入った籠を持った男性を前にモヒカン頭の二人組は壁に追いやって囲んで菓子とは別のモノを要求しているようであり、普通に見ても穏やかとは言えない状況であった。

 

「ヒヒヒ!中々粘んじゃねぇかオイ、ならちょーっと、痛い目に「オイ。」あん?」

 

「んだぁ?オメェ。」

 

モヒカン二人組が後ろから声を掛けられた為に振り返ると、そこにいたのは刀を手に立ち尽くしていた蓮司だった。

 

「菓子を寄越せ。」

 

「あ?…ヒャハハハ!オイオイ聞いたかよ?」

 

「ああ!菓子寄越せだと?言ってくれんじゃねえか兄ちゃん?おぅ?」

 

「……。」

 

蓮司の突然の要求に男たちは蓮司をバカにした態度で詰め寄って来た為に、蓮司の中にあるスイッチが無意識の内に入った。

 

敵を前にする剣士としての自分に。

 

「「ッ!?」」

 

「…菓子を寄越せ。」

 

「「ぴィッ!?」」

 

先程よりも若干声が低く刀の鍔に指を当てる。

 

その蓮司の姿が男達の目には何倍よりも大きく、まるで鬼に睨まれた様な錯覚を覚えた。

 

「「あわわわ…!!」」

 

「菓子を…寄越せ!」

 

「「ひゃああああぁぁッ!!!」」

 

口調が強くなった際に思わず声を上げてモヒカンの二人は逃げていった。

 

逃げていくモヒカン二人を見て、蓮司は首を傾げる。

 

「?……間違っていたのか?「あ、あの!」む?」

 

「ありがとうございます!お蔭で助かりました!お菓子が欲しんでしたら、是非コレ持っていってください!」

 

先程モヒカン二人に絡まれていたピエロの男性は蓮司に深々と礼を言い、手に持っていた菓子の籠を差し出していた。

 

「いいのか?正直こんなには要らないのだが。」

 

「いいですよ!あなたのお蔭でボクの財布は無事でしたし、どうぞ遠慮なく!」

 

「…そうか、ならありがたく頂く。」

 

「ええ!…時にお兄さん、それ何の仮装しているんですか?」

 

「ロシアンマフィアだ。」

 

「マフィア…なんか、カッコいいですね!」

 

「……そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなやり取りがありながらも、蓮司は堂々とした態度で悠達に菓子の籠を突き出していた。

 

「どうだ。ちゃんと貰って来たぞ。」

 

「……なんか、違くね?」

 

「気のせいかかな?彩守君最初お菓子貰うじゃ無くて、奪おうとしてなかった?」

 

「途中から殺気に近いモノ出してたしな?」

 

「………そうか?」

 

「ダメだこりゃ。さっきは結果オーライだがこの調子で行かせたら俺達マフィアどころかチンピラに成り下がっちまう。」

 

「なら今度は皆で行きましょう!これなら蓮司も間違えずにお菓子を貰えますし、ハロウィンがどのようなものか知ってもらえるでしょうし。」

 

「その方が良いかもね。

いい彩守君?お菓子を貰う時は菓子を寄越せじゃなくて、トッリクオアトリートって言うの。」

 

「とりっくおあ、とりーと?」

 

「お菓子をくれなきゃイタズラするぞって意味なんですよ。」

 

「成程……菓子を寄越さなければイタズラすればいいんだな?」

 

「まぁそういう事になるけど、基本これ言えば皆お菓子くれるからそんな気構えなくてもいいよ。」

 

「分かった。」

 

 

「なぁ悠兄さん、姉ちゃんはともかくラ・フォリアちゃんフォミリーの事アットホームの方だと勘違いしてない?」

 

「いや、ちゃんと説明はしたから意味は分かってる…筈だ。」

 

端から見れば、末っ子に常識を教える母親と姉の画に見えた。

 

 

 

 

 

 

「いやー、沢山貰いましたねぇ。」

 

「こんだけありゃ充分だろ。」

 

「いや、これ有り過ぎだと思うけど…。」

 

大通りを歩く五人の手に武器と共に大量のお菓子が抱えられていた。

 

あの後蓮司に分かる為の手本として全員で行って菓子を持ったりしたのだが、今抱えられている菓子の殆どはお礼として貰った菓子が大半である。

 

先程蓮司が追い払ったモヒカン頭の男達が他にもまだ居たらしく、行く先にカツアゲや女子を連れ去ろうとした場面に遭遇し追い払うと言う場面が何度も続いた結果、悠達は大量の菓子を手にする事が出来たのであった。

 

「ていうかどうなってのよこのハロウィン。なんでこんなに世紀末が出て来るのよ?今そんな流行ってるの?」

 

「確かに妙に気になるが、散々追っ払ったし、近くの武偵にも言っておいたからもう大丈夫だろ。」

 

「だといいんだけどなぁ…。」

 

「それはともかくさぁそろそろお開きにして帰らねえ?もう菓子持てそうにないし、モヒカン狩りで疲れちまったし。」

 

「右に同じく。」

 

「うーん、正直もう少し見て周りたい所なんですけど…。」

 

「だったら一度帰って悠兄さんと見て周りなよ。ここ最近二人きりになる機会減ってきているでしょ?ね、悠兄さん?」

 

「テメエ…。」

 

「それはいい考えですね!と言う訳で、一緒にどうですか?悠。」

 

「ホラ、ラ・フォリアちゃんその気になっちゃったよ?」

 

「行ってあげたら?秋の言う通りここ最近色々あって構ってあげられなかったのは本当だし。」

 

「……分かったよ。」

 

腹が立つくらいニヤニヤと笑ってる秋と指摘するハルナに押され悠は渋々承諾した。これにラ・フォリアは満足したと物語る様に満悦な笑みを見せる。

 

方針が決まり五人は帰路に着こうと踵を返したその時だった。

 

 

 

「見ィィつけたぞテメエ等ァ!!」

 

 

「あ゛?」

 

「アラ?」

 

「ム?」

 

「オロ?」

 

「え……何なのアレ?」

 

 

悠達の前にゾロゾロと現れて来た集団。

 

その全員が、モヒカン頭の世紀末集団だった為にハルナが引き攣った表情を浮かべた。

 

「…ねぇ。今日ってハロウィンよね?決して世紀末祭りとかそういうのじゃないわよね?」

 

「その筈だぞ。というかそうだろう。」

 

 

「オメェ等だなぁ?ちょくちょくオレ等の邪魔してきやがる黒スーツの五人組はぁ!!」

 

「オレ達関東暴走族”武羅須斗”を敵に回す事しやがって、覚悟できてんだろうなぁ!オォンッ?」

 

 

「アレ、仮装じゃ無くてコスチュームだったんだ。」

 

「何時時代のファンションセンスだよ。」

 

 

「武神のアマがナリ潜めてるから今の内にオレ等のシマ広がせようとした時によォ!ふざけたマネしてくれやがって!!」

 

「タダじゃおかねえぞコノ野郎!!」

 

「待て。」

 

バットやら鉄パイプを持ってやる気に満ちた集団をかき分けて前に出るこれまた一際大きな体格のマスクを被ったモヒカンが悠達に姿を見せた。

 

「リ、リーダー!」

 

「オレ達”武羅須斗”を前に五体満足で帰れたヤツは一人もいねえ、当然テメエ等もそのつもりだ。だが、気が変わったぜ……そこの銀髪の女ぁ!」

 

「?…私ですか?」

 

「お前さんよォ~く見ればイイ女じゃあねえか、オォ?お前がオレの女になれば、そこの四人は無事に帰してやるぜ。」

 

 

「………あのぉ。」

 

 

「オゥ?もう決まったか?」

 

「いえ、それはお断りします。それよりも気になってるのがありまして……どうしてマスクにトゲが着いてるんですか?」

 

 

「………へ?」

 

 

「あ、それオレも気になってた。アレ何処で売ってんの?ってカンジに。」

 

「うーん、ド○キとか、アキバとかじゃねえの?流石にスーパーやドラッグストアにあんなん置いてねえだろ。」

 

「いやいや、あんな図体でアキバとか行ってたらもうキャラ崩壊所じゃ無くね?」

 

「買って無いのなら、作ったのではないか?」

 

「作ったって!あの、図体でチマチマとトゲ着けて…ブッww!」

 

「それはそれでギャップあって可愛いですね!」

 

 

 

「………。」

 

「り、リーダー?…。」

 

 

「というかそもそも何であんなマスク着けてるかどうかって話しじゃなかった?」

 

「そりゃあもうアレでしょ、カッコいいからーって理由で着けてんだろ?」

 

「だとしたら美的センスを疑うレベルだぞ。アレでは無いのか?人に見せたくないコンプレックスとか。」

 

「例えばどんな?」

 

「フム…たらこ唇、出っ歯…あとアゴが割れてる、とか。」

 

「「「ブッ…!」」」

 

「ちょっと失礼過ぎるでしょ皆!

確かにセンスが世紀末の時点で終わってるにしろ、タラコでも出っ歯でもケツアゴにしろそこは黙ってあげるべきでしょ!?もうそれが優しさって言う位のお約束でしょ!?」

 

「いや今かーなーり酷い事言ったぞ桜井。」

 

 

 

「…ち、違うもん!べ、別にこれは只花粉症だからしてるだけだし!!タラコでも出っ歯でもケツアゴでもねえし!!……グス…違うもん…。」

 

「リーダァアアーーーッ!?」

 

「テメエ等よくもリーダーを!!ゼッテェ許さねえ!!」

 

 

 

「……今俺等なんかしたか?」

 

「「「……うーん?」」」

 

「最悪だなアンタ等!?」

 

 

「もう許さねえ!ぶっ殺しちまえ!!」

 

「女はとっ捕まえてたっぷり可愛がってやるぜぇ!!」

 

「ヒャッハーっ!」

 

武器を持って大多数で向かって来るモヒカンヘッドの集団を前に、悠達は特に変わった素振りを見せない。

 

落ち着いた様子で一人前に出る悠。菓子の袋を置き、ライフルの銃口を向かって来る集団に向けて、発砲した。

 

 

ーダダダダダダッ!ー

 

「「「「うぎゃああああッ!!!」」」」

 

「な、なんだありゃあ!?」

「や、野郎銃撃ちやがった!!」

「おもちゃじゃ無かったのかよ!!イカれてやがる!!」

「いや!コイツ等死んでねえ!気絶してやがる!」

 

 

「さて、みなさん…。」

 

ラ・フォリアは懐から悠から貰ったナイフの着いた銀の拳銃を取り出すとスライドを引いた。

 

それに続いて、秋はポンプアクションを起こし、蓮司は刀を抜刀する。

 

「あちらの皆さまはどうやらヤンチャが過ぎている様なので、イタズラでは無く……お仕置きをあげましょう♪」

 

「Yes、ボス。」

 

「ラージャ♪」

 

「承知。」

 

「え……え?」

 

 

「ふ…ふざけやがってぇええッ!!テメエ等やっちまえええ!!」

 

「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」

 

 

「オォ、来た来た。」

 

「桜井、お前はボスの傍に居ろよ。」

 

「え、あの、ちょっと?…」

 

「いざ参る──セェァアッ!!」

 

 

「「「「「うぎゃあああああッ!!!」」」」」

 

「な、なんだあのロン毛!?バカ強ぇ!!」

「あんなヒョロイ体でどうして吹っ飛ばされてんだ!?」

「みんな時代劇みてえにバッサバッサやられちまってるゥ!?”ダァン!”ブギャ!?」

「テッちゃーん!?」

 

 

「ハッハァー!そらそら!トロいぜオタク等ァ!!」

 

「こんのガキ!ぁばぁ!?」

「速ぇぇ!?速すぎて追いつかねえ!!」

「おまけにコイツ散弾使ってやがる!死なねえけど当たったらヤベ、アビャアッ!?」

「ト、トシちゃんもやられたー!?」

 

 

 

「やれやれ、もう少し静かに出来ないものか…。」

 

「しゃーッ!後ろ取ったぜマヌケぇ!!」

「死にやがれーーッ!」

 

 

「──フンッ!!」

 

「「あべしッ!?」」

 

「蹴られたぁ!?」

「大の男二人有り得ねえくらい吹っ飛ばしたぁ!?」

「てか野郎後ろに目が着いてんのか!?明らかに頭かち割られる所だったろ!?”ダァン”グハッ!?」

 

 

「フゥ……ホント静かにしてくんねえかな…。」

 

 

 

「な、何だコイツ等!?」

「お、女を人質に取れ!あの三人とぶつかって行くのはダメだ!!」

「ついでに色々触れるぜ!ヒャッハー!」

 

 

「アラアラ、此方に来ましたか…?ハルナ?」

 

「……ったく、どいつもこいつも…。」

 

ハルナがゆらりとラ・フォリアの前に立つと両手に金属のプレートが着いたグローブを嵌めた。

 

「どいつもこいつも好き勝手言いたい放題やっちゃって、まともな私がバカみたいじゃん……少しは自重覚えろこのバカ男共がァァアアアッ!!」

 

「「「「「「あぎゃああああッ!?」」」」」

 

ここでハルナの着けたグローブに着いて説明。

 

彼女のグローブにはライダーシステムに使われてる特殊合金を特別な加工法で繊維状にし編み込まれた為に防刃、防弾はおろか、熱や電気も通さない優れた耐久性。手の甲に着いたプレートは衝撃を倍増する機能が組み込まれており、ハルナの怪力も合わさって途轍もないパワーを引き出す事が出来る。

 

結論…。

 

 

「しゃんらぁーーッ!!」

 

「「「「「「うびゃああああああッ!?」」」」」」

 

 

ハルナの武器が一番ヤバい。

 

 

「こ、こいつらバケモンだ!!」

「もうヤダ!!こんなヤツラとやってやれるか!!」

「オレ、もう国帰る!」

「お母ちゃああああん!!」

「止めて!もう降参!!だから撃たないで!!」

 

 

「て、テメエ等何逃げてんだ!!それでも”武羅須斗”の一員か!!」

 

 

「だったら…。」

 

ージャキー

 

「ひ、ひィ…!」

 

 

「アンタは最後まで付き合うよな、大将?」

 

「折角の祭りだもん、なぁ?」

 

「やられた部下の前で逃げ恥を搔く訳にはいくまい?」

 

後頭部に突きつけられる銃口と切っ先に最早退路を断たれたリーダーに逃げ場は無かった。

 

そんなリーダーの前にゆっくりと歩み寄るラ・フォリアとハルナ。

 

「て…テメエ等一体何モンだ?オレ達”武羅須斗”をここまでやれる勢力が、無名な訳がねえ…!」

 

「私達ですか?私達は…。」

 

ラ・フォリアは手にした拳銃を向けながら、誰もが見惚れる笑みを向けて、口を開いた。

 

「一夜限りのロシアンマフィア、アルティギアファミリーです。」

 

言葉と共に引いた引き金と同時に放たれたゴム弾はリーダーの額に当たり、リーダーは仰向けに倒れた。

 

「フゥ…では、帰りますか!」

 

コートを靡かせながら先を歩く彼女の後を、四人は返事を返して着いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。

 

 

「何々?

”ハロウィンの大騒動!大型暴走族一斉検挙!!制圧したのは五人の美男美女のロシアンマフィア!?”かぁ……私のいないとこで随分盛り上がったみたいだねぇキミ達……私、抜きで!!」

 

翌朝の新聞に載った一面を読み上げ、嫉妬の念を目の前に居る五人に飛ばす神太郎。

 

そんな神太郎を前に、悠は新聞を取り上げ、ある一面を神太郎に見せる。

 

「別にそんなかっかする事は無いだろ、自分だって思い出作りは出来たんだし、ん。」

 

指を指した一面は、今年の仮装大賞が載った一面。写真にはメダルを首に掛けノリノリでゾンビのポーズを取る神太郎がデカデカと写されていた。

 

「…ま、まぁ確かに?滅多に出来ない体験は出来たけど…それでも皆と周りたかったんだよ!!」

 

「子供かよ。」

 

「でもまぁこの新聞を見る限り、当初の目的だった団結力は深まったと見て良いね。」

 

「アレは貴様の作った口実では無かったか?」

 

「うるさーい!…ゴホン。

さて約束のガシャットだが、今はまだ出来ていないのもあるが、既に完成しているモノを渡そうと思う。まずは悠君。」

 

「お、やっとか。さてどんな……ってコレ…。」

 

「ム?」

 

神太郎が手渡してきたガシャットに悠だけでなく、蓮司も反応を示していた。

 

「コレ…ギアデュアルじゃねえかよ。これ剣バカが持ってた筈…。」

 

「…今も持ってる。」

 

「はぁ?」

 

「そう、二個めのガシャットギアデュアルだ。これでもう取り合いにならず済むだろ?

さて、次は秋君」

 

「お!キタキタ待ってましたぁ!……ってちょっとおやっさん?コレ爆走バイクじゃん。」

 

「フッフッフ。タダの爆走バイクじゃあ無いんだなコレが。それは私の持つα版と同じレベル0。バクスター相手に最も効果的であると同時に、スペックは今の所そのガシャットが一番だ!!」

 

「マジで!?」

 

「マジでマジで!

で、蓮司君とハルナ君、そして悠君に渡す新しいのはまだ製作中でね、近い内に完成させるからそれまで待っていてほしい。」

 

「なるべく早めに頼むぞ。敵は待っていてくれん。」

 

「まぁ程々に期待して待ってます。」

 

「これだけだったらマジキレてた所だったぜ…。」

 

新たに渡されたガシャットに不満を漏らす物と喜ぶ者もいるなか神太郎からの話しも終わって解散しようとした時だった。

 

ラボ内のアラームが鳴り響いた。

 

「「「「ッ!!」」」」

 

「バグスターか!…場所は××地区!反応は…コレは、カブトか!」

 

「カブトならガシャットじゃなくてもイケる!行こうぜ悠兄さん!」

 

「オメェが仕切ってんじゃねえ!」

 

「これで14体目か…。」

 

「えぇ…。」

 

「よし、団結力の深まったキミ達なら最早恐れる事は何も無い!チームライダーズ、出…アレ?」

 

ここはビシッと決めようと息込んだ神太郎だったが、既に四人はラボから出ており上からアクセルの吹かした音だけが聞こえて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

街道を奔る三台のマシン。Dカブトエクステンダーで先行する悠とガタックエクステンダーに乗る秋とハルナ、そしてサクラハリケーンで付いて来る蓮司がバグスター反応があった地点へともうすぐ着こうとした時だった。

 

 

ードガァァアン!ー

 

 

「「「「ッ!!」」」」

 

 

『グオオオオオオォッ!?!?』

 

突如ビルの壁をぶち破る様に街道に出て来た異形の怪人。全身が紫のカブトガニを基にした地球外生命体。

バグスター・カッシスワーム。

 

予想外の現れ方に悠達は停車した後警戒心を強めてカッシスに接近するが、カッシスの様子を見て何か可笑しい事に気付く。

 

「ねぇ、アレって…。」

 

「どういう事?なんでボロボロなのさ?」

 

 

『グァッ…馬鹿なぁ!こんな!こんな事がぁ…!!』

 

道端に倒れるカッシスは正に虫の息状態。左手に付けられてた筈の剣も真ん中からポッキリと折れた状態であり、相当のダメージを負ってる状態だった。

 

「どうなってる?バグスターにダメージを与えられるのはガシャットと条件を満たしたライダーだけだ。アレはどう見ても戦って傷ついた状態だぞ…。」

 

「ッ…まさか、いや、もしかしなくても…!」

 

悠は何かに気付いたようで、先程カッシスが出て来たビルへ目をやる。

 

煙の出る穴から聞こえて来る足音。ゆっくりと此方に向かって来る存在の気配を察したのか、一同はその姿を目で捕らえた。

 

金色の三本角と青いバラを手にした、仮面ライダーを。

 

「?…あらあら、これはこれは。」

 

 

「ッ!!」

 

「アレは…!」

 

「ッ、コーカサス…。」

 

 

 

「ウフフ…ようやくご対面ねえ、ボウヤ達。」

 

最強のライダーと云われる存在が四人の前に立ちはだかる。

 

 

 

 







もう少しで2019年と最後の平成ジェネレーションか…。早いもんですね。


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