その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「この本によれば、イレイザーにして仮面ライダーである灰原 悠の物語。」

「仲間達と共にバグスターを攻略していく彼らチームライダーズであるが、ユートピア、ロードバロンを撃破した直後、グレムリンがデンジャラスゾンビガシャットを強奪し、その力を取り込む。」

「暴走し、街に恐怖と混乱を与えていくゾンビグレムリンを倒す唯一の希望は、桜井 ハルナの…おっと、ここから先は未来のハナシ、だったね…。」





「ちょっと、オイそこのアホの上司!
何コレ?何で収録スタジオこんな真っ黒なの?何で本持って朗読風のあらすじ紹介なの?」

「いやぁー、なんか最近こういうカンジのあらすじ紹介が流行ってるって聞いて、私も流行に乗ろうかと。」

「直せ。すぐにスタジオ直せや全く。この後もここ使う団体居るんだぞ。
大体なんだこのバカデカい時計のセット、どうやってこんな狭いスタジオ内に運んだんだったく!」

「あぁちょっと待って!それ微妙なバランスで立っているから!!ちょっとーーッ!!」









時刻は陽が沈んだ夜、あと数刻で日付が変わるといった時間帯。

 

その日のテレビはゴールデンタイムを過ぎたにも関わらず、どのチャンネルもある事件を写すのに持ち切りであった。

 

テレビに映されている映像はヘリで上空から取られた映像。ヘリに乗ってるであろうリポーターが目にしてる光景に興奮を抑えきれず実況している。

 

「我々は今〇×街のセンター通りの上空を飛んで中継しております!お分かり頂けますでしょうか!?

今センター通りを、我々のモノだと言わんばかりに進行している、あの怪物の軍団の列を!!」

 

ヘリから撮影されている映像の中ではその数100は優に超える悍ましい異形の怪人。ガシャット、デンジャラスゾンビを取り込み自我を失っても尚活動し続けるファントム・グレムリンことゾンビグレムリン。

 

ガシャットの能力の一つである増殖を行い異形の怪人軍団を生み出したゾンビグレムリンは、ただ街を徘徊しながら道中にある乗り捨てられた車や建造物に触れては腐敗による浸食によって建物を倒壊させ、街を大いにパニックを引き起こした。

 

今も尚進軍を続けているゾンビグレムリンの群れ。腐敗による道路の浸食や、ビルの倒壊の所為で大きな災害となっていたのだ。

 

「あぁ!またビルが倒れました!!これで四つ目です!!

怪物の群れは、センター通りを南下し△▽街を目指しています!!周辺地域には避難命令を出されましたがこの惨劇を見る限り、被害はもっと甚大なものになると思われます!!

それとですが、怪物の群れ周辺に、仮面ライダーと思わしき姿がどこにも見当たりません!!

これまで怪物が出現するたびにその姿を確認された仮面ライダー!彼らの登場を、避難所にいる住民や、世間の声が大いに求めています!!彼らはこの助けを求める声に、彼等は応えるのでしょうか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。灰原家ガレージ地下ラボ。

 

端末にはそれぞれのチャンネルから映されるゾンビグレムリンの破壊活動という行進の映像を見て、秋は机を大きな音を立てて叩きながら立ち上がった。

 

「もう我慢できねぇ!オレは行くぜ!!」

 

「落ち着けバカ。座れ。今行ったって無駄死にするのが目に見えてる。」

 

「でもよ!…。」

 

「でももクソもねぇ!相手は不死身、おまけに触れたら腐って崩れちまう。

闇雲にどんだけ戦力をつぎ込んでも悪戯に消耗させるだけ、正に無理ゲーってヤツだ。」

 

「ッ…クソ!」

 

「秋。気持ちは分かるけど灰原くんの言う通り、今私たちが行っても到底敵いっこ無いわ。」

 

「悔しいのは我々だって同じだ。現状、唯一出来るのは住民の避難誘導だけなのだからな。」

 

ゾンビグレムリンに対し何も出来ない事に歯を食いしばるしか出来ない秋に、ハルナと艦娘を代表して来た長門が声をかけて秋の気持ちを落ち着かせる。

その傍ら、蓮司はラボの隅で蹲って背を向けた神太郎に声をかける。

 

「御覧の通りだゲンム。いい加減立ち直ってグレムリンの対抗策を…。」

 

「私のガシャットが私のガシャットが私のガシャットが私のガシャットが私のガシャットが私のガシャットが──。」ブツブツ

 

「…はぁ。まだ無理そうだ。」

 

「チッ!コイツじゃなきゃ攻略の糸口が見つかんねえのに!!」

 

「仕方ないわよ。自分の作ったガシャットが奪われた挙句、こんな事態が起こっちゃんだから、塞ぎ込みたい気分になっても可笑しくないわよ。」

 

「それでもデンジャラスゾンビを創ったのは他でもないアイツだ。ヤツを倒すには、どうしてもアイツが必要不可欠なんだよ。」

 

「でも、あんな状態の神太郎さんを無理矢理ってのも…。」

 

ガシャット関係の話になると、普段の穏やかな態度から一変、人が180°変わってしまったかのような奇行な態度を取る神太郎だが、今回ばかりはいつも通りでは無かった。

世界を安定に戻す為に自身の創り上げた最高傑作が奪われた挙句世界を混乱に貶めているというこの現実から、神太郎は自責の念で今にも押しつぶされそうだ。

 

あの時、ゾンビグレムリンが逃げるようにビルの屋上から跳び下りたその姿を見ていた神太郎は、この世の終わりを間近にしたかのような顔をしていたのを悠達は見ていたからハルナに言われずとも、神太郎がどれほど自分を責めているのかが分かる。

それでもゾンビグレムリンを倒すには神太郎の頭脳がどうしても必要な為に、どうしようもない苛立ちが募っているのだ。

まずはこの状況をどうにかしないと元も子もない。

 

そんな中だ、頭を悩ませる問題を解決すべく、意外な人物が神太郎に声を掛けたのだ。

 

「そんなに思い詰めないで下さい。」

 

「夏音?」

 

「夏音ちゃん!?」

 

傍によってしゃがみ込み、肩にそっと手を載せ泣きじゃくる子供をあやすかのような優しい声色で神太郎に話しかける夏音の姿に悠達は驚くが、顔を俯いた神太郎が夏音に目を合わせた事で、一同はその様子を見守る事にした。

 

「おじ様は何も悪くない、でした。だから、元気出してください。」

 

「…いいや、そうでもないよ。私のガシャットが…私の才能が多くの人々を混乱に追いやってしまった…とても許さない事だ…!」

 

「…だからこそ、おじ様は元気になるべきだと私は思います、でした。」

 

「え…?」

 

「おじ様が凄く後悔して、自分を許せていないのは、ここに居るみんながよく分かっています。

そして怖がってる人達を助ける事が出来るのも、おじ様にしか出来ないのも。」

 

「…私が…助ける…?」

 

「ハイ。ここに居る皆さんは、おじ様の助けを必要としてます。」

 

自責の念から自分の世界に閉じ籠っていた為に、何も聞こうとも、見ようともしなかった神太郎であったが、夏音に言われるがままに目を向けた其処にあったのは、彼にとって真に信じられる者達の姿が。

 

彼らが自身に向けている目は、非難でも侮蔑でも貶める目でも無い。ただ自身が、神太郎が立ち直ってくれるのを信じて待っている。

 

「……そうだ。神の才能によって創られた傑作に対抗できるのは…神の才能だけだァ…。」

 

「お、おじ様…?」

 

「ありがとう夏音ちゃん。目が覚めたよ…。」

 

 

 

「あー、これは…。」

 

「うん…アレ、ね。」

 

「……。」

 

「ハァ、どっちに転んでもアレか…。」

 

 

「私は十分反省したァ!!!ここからが逆転劇だァ!!!敵は私の神の才能!!私がやらねば誰がやる!?

そうこの私、灰原 神太郎だァァァァアアアアアアアッ!!!!」

 

 

「え、えっと…?」

 

「夏音。よくやった。ファインプレーだ。でもこっから先は教育に悪いから向こう行ってよーなぁー。」

 

そっと夏音の耳に手を当てて塞ぎ目を背けながら離れさせる悠。

 

背後では完全復活を決めた神太郎が何時になくハイテンションで騒いでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、手間を取らせて申し訳なかったね。」

 

神太郎の調子がいつもの調子に戻り、さっそく作戦会議へ。

 

主題は勿論、不死身のゾンビを倒す方法。神太郎を前にゾンビグレムリンの攻略を早く知りたい四人だが、焦っても功は無いので静かに待っていた。

 

「…さて、キミ達が今か今かと知りたがっている不死身のゾンビの攻略法だが…。」

 

「「「「………。」」」」

 

 

 

 

 

 

「ハッキリ言って……そんなものあるかァァァアアアアアッ!!!

アレは私がアベルを倒す為に開発したとっておき中のとっておきだぞ!!攻略法なぞみすみすあってたまるかアアアアアアアアアッ!!!」

 

四人の期待を裏腹に、見事に裏切った神太郎だった。

 

「ダァーーッ!!!!薄々そんな気はしてたよ!チックショウッ!!!」

 

「大分間が空いたからまさかと思ったら…。」

 

「…どの道手詰まりか…。」

 

「万が一の為の自壊プログラム…もねぇな。ガシャットバカのコイツが仕込む訳がねぇか。」

 

 

皆が神太郎の打開策を期待してた反面、もしも、否、ガシャットに対し、人一倍所か神がかった情熱を抱いている為に、高い確率で攻略法なんて作って無いんじゃ、と思っていた為にそこまでのショックは無いものの、ふりだし所かマイナスの位置にまで下がってしまった為手当たり次第思い付いた考えを述べる方針にした。

 

 

 

「一定以上のダメージ与えての強制解除は?」

 

「無理だね。強制解除はドライバーの安全装置だ。直挿ししたバグスターでは意味が無い。」

 

 

「なら、オレがヤツの体をバラバラに斬って、その中からガシャットを取り出せば…。」

 

「それも無理だな~。恐らくガシャットはデータ状になってグレムリンの体内にあるから物理的に取り出すのは…。それ以前に蓮司君の剣が腐って、バラバラにする前に使い物にならなくなる。」

 

 

「あ!レベル0で弱らせたら、腐敗や不死身の能力も弱くなるんじゃ…!」

 

「無理だ。今のグレムリンはレベルX。未知数のレベルの領域ではレベル0の能力も効かないんだ…。」

 

 

「………これ、完全に手詰まりじゃない?」

 

 

完全にお手上げ。今の皆の心境を述べるなら正にコレだ。

 

お葬式みたいな空気が流れる誰も口にしないなか、悠が大きなため息を吐きながら懐からあるモノを取り出した。

 

「やっぱコレ使うしかねぇかぁ…。」

 

「あ、ディケイドライバー……そうか!ディケイドはアンデッドすら倒せるチートライダーじゃん!!んだよ、最初っからそれ出せばこんな湿っぽい空気…。」

 

「いいや、それも今回は止しといた方がいいよ。」

 

全てを破壊するディケイドの力でゾンビグレムリンを倒す事を考える悠だが、それに神太郎が冷静に待ったを掛けた。

 

「いやいやどうしてよ?だってディケイドの力さえ使えば…。」

 

「そのディケイドの力は万能じゃない。そうだろ?変身や攻撃用に使うカードも一度使えば24時間過ぎないと使えない。おまけにドライバー事態が腐敗の能力で壊れたら、我々は大きな切り札を失うリスクもある。今後の戦いに備えて、ディケイドライバーの損失だけはあっちゃいけない。」

 

「使えない理由は分かりますけど、その時間制のデメリットはどうにか出来ないんですか?神太郎さんならその位直ぐに直せそうだけども…。」

 

「それがねぇ~~、いや本気でやったよ?神の才能をフルスロットルで完璧に仕上げようと試みるも…全然ダメだった。いやホントコレ創ったショッカーの技術力には脱帽モノだよ…。」

 

「えぇマジ?神すら超える科学力って、ショッカーって実はトンでもねぇ組織?」

 

「伊達に長く悪名続かせてねぇって事だろ。」

 

 

「オイ。また何時の間にか話が全くの見当違いの話になってるぞ。

でだ、結局そのドライバーは使わないとして、どうやってグレムリンを倒すんだ?」

 

「「「「……。」」」」

 

蓮司の指摘に誰も答える事が出来ず、また黙り込んでしまう。

 

何も名案が浮かばず只時間が過ぎていくという最悪な展開になる中、ふと、本能的に食欲を刺激する匂いがラボ内に漂う。

 

「? この匂い…。」

 

「…味噌汁?」

 

「ハイ、正解です♪時間が無いのは分かっていますけど、少し体を休めないと。」

 

「私達もお手伝いしました!」

 

「おにぎり作ったにゃしー!」

 

「ぽーい!」

 

 

「お、マジで!そういやドタバタしてなんも食ってねぇから腹減ったぁ…。」

 

「うむ……まぁ、腹が減っては何とやらだな。」

 

「そこは素直にお腹空いたでいいと思うけど…夜食ありがとう、いただきます。」

 

「…俺も食うか。どの道これからまた戦うし。考えても何も浮かばないし。」

 

「そうだね。小休止して気分を変えるとしようか。」

 

悩み頭を抱える五人の元に夜食を作り届けてくれたラ・フォリアと吹雪達の登場に、一同はひとまず食事をとる事に。

お盆に載った味噌汁の入ったお椀とおにぎりを手に一時の休息を取っていた。

 

「うッ!?……梅干し…。」

 

「ん?なんだよロン毛、アンタ梅干しダメな系?」

 

「そうなんですか!?…ごめんなさい、まさか嫌いだと知らず…。」

 

「い、いや、気に病む必要は、無い…。」

 

「いや顔すっごく渋くなってるけど…。」

 

「ハ、お子ちゃま舌かよ。案外可愛い一面だ事で。」

 

「そういう悠兄さんだって納豆嫌いだから、お互い様じゃね?」

 

「うっせ!いいんだよあんなん好きになんなくても!!」

 

「アハハハ。キミ達ホント仲が良いね~…んぶはッ!?」

 

「うわ汚ッ!何やってんだよ!?アンタも嫌いなの当たったのかよ?」

 

「ガハッ!違ッ…この、おにぎり……甘いんだけど…?」

 

「はぁ?ゾンビ菌で味覚音痴にでもなったわけ?」

 

「違う!本当に甘いんだよ!!これ、多分塩じゃなくて、砂糖が振られてるんだよ!!」

 

 

「砂糖…!ゆ、夕立ちゃん。確か途中お塩が切れたから補充するって言って、戸棚の袋、開けたよね?」

 

「うん!………あ。もしかしたら砂糖の袋と間違えちゃったっぽい?」

 

「原因はソレか…。」

 

神太郎の味覚が正常であると証明された。塩と砂糖を間違えた夕立は流石に自身が悪いと思ったのか、しゅん、と落ち込んでいる。

 

「ごめんなさいっぽい…間違えたの夕立が食べて作り直すから、許してほしいっぽい…。」

 

「う…ま、まぁ糖分は疲れた脳に良いからね。別に作り直さずとも……作り、直す?………ああぁぁッ!!!その手があったァ!!」

 

「ぽいッ!?」

 

落ち込む夕立を見て少し大人げない態度を取ったかと反省する神太郎であったが、突如砂糖inおにぎりを口に押し込んで飲み込むと、クククと小刻みに肩を震わせながら笑う。正直に言ってドン引きレベルである。

 

「ククククッ!やはり私は天才だァ!!イケる!これならばイケるぞォォォォォォッ!!!」

 

 

「ね、ねぇ、なんか変なスイッチ入っちゃってない?」

 

「いやいつもの事だろ…ていうか何か浮かんだのか!グレムリンの攻略法!」

 

 

「勿論さ!!相手が不死身で倒せないなら、不死身で無くせばいいいのさ!!…そう、ヤツのバグスターウイルスの特性を作り直す……リプログラミングさ。」

 

「ッ!そうか、確かに相手はコンピューターウイルスによって構成している存在だからプログラミングの書き換えも…。」

 

「フフフ、そういうことさァ…!」

 

 

「あのー、分かる人だけで話し進めてないで、オレ等にも教えてくれません?何さリプログラミングって?」

 

「簡単に言えば、遺伝子の書き換えによる細胞工学だ。本来ならまだモルモット程度でしか確立されていない研究分野だが、生物では無く電子で出来た遺伝子、プログラムなら、書き換えが出来るとヤツは思い付いたんだろう。」

 

「あ、彩守君、物知りなのね。そんな難しいのまで知ってるんだ…。」

 

「知識は豊富にあった方が良い。」

 

「えーっと、つまり?

そのリプログラミングでグレムリンを書き換えて、不死身で無くす?……イケんじゃんそれ!!」

 

「でもバグスターウイルスに対するリプログラミングのプログラムって、そんなもん創るのに…。」

 

「問題なァいッ!!」

 

大きくデカデカと”神の才能!”と書かれた鉢巻を巻いた神太郎。近くのデスクに置かれた三つのブランクガシャットの内、一際大きなサイズのガシャットを手に取った。

 

「今から私が本気を出して、この製作途中の新ガシャットにリプログラミングのプログラムを作りアップデートさせる!

……だが、一つ大きな問題が…。」

 

「何だよ?」

 

「このブランクガシャットにリプログラミングのプログラムを入れたとして……それに見合うゲームのアイデアが全ッ然ッ、浮かばないんだァァァァァァッッ!!!」

 

頭を抱えて天井を見上げる神太郎。悠達は兎も角、ラ・フォリア達はどうリアクションを取ればいいのか呆然としている。

 

「…あー、それそんな深刻な問題?別にゲームじゃなくてもそれだけ使えれば…。」

 

「そんなものはもはやガシャットとは呼べんわぁぁぁあああッ!!!ガシャットはゲームが在って初めてその高い性能を発揮する!!それが私が作り上げた至高の芸術品なのだァァァァッ!!!」

 

「めんどくせぇこだわり持ちやがって…ゲームのコンセプトつったってそれこそ即興で出来るもんじゃあねぇっつうのに…。」

 

「またふりだしに戻るかよぉ、上げてから落とすとか…。」

 

「……!いや、どうにか出来るかもしれん……桜井。」

 

「え?ハイ。」

 

「お前、修学旅行の時ブランクのガシャットをマイティブラザーズのガシャットに変える事が出来たが、アレでまたゲームを創る事は出来ないのか?」

 

「「ッ!!」」

 

蓮司の思い付いた妙案。これに反応したのは話題に挙げられたハルナでは無く、悠と、背中を向けて天を仰いでいた神太郎だった。

 

「…分からない。あの時は無我夢中と言うか、意識的になんて、これっぽちだったし…。」

 

「無理か?」

 

「……でも、何とかやってみる。それでグレムリン…フリードを止められるなら。」

 

「オイ待て。その件についてはまだなんも分かってねぇんだぞ。

何も分かってない能力に頼るのは危険だ。桜井の身に何が起こるか…。」

 

「……いや。ここはハルナ君のその力に賭けよう。」

 

「オイ!!」

 

一人反対の異を唱える悠。だが神太郎はハルナの力でガシャットを創る案で方針を決める事に、悠は異議を挙げる。

 

「キミの言い分は分かる。だが状況が状況だ。今最善と言える手はこれしかない…。」

 

「だがな…!」

 

「待って灰原くん。私の身を心配してくれるのは嬉しいけど、こうしてる間にもグレムリンは止まってくれないわ。

大丈夫。私を信じて。」

 

「桜井………チッ!」

 

「決まりだね。だが、どうしてその作業には多少の時間がかかる…私の神の才能をフル活用しても、朝までかかってしまだろうね。」

 

現在の時刻は深夜1時。夜明けまで考えると、最低でも4時間は掛かってしまう。それまでゾンビグレムリンが大人しくするなど以ての外、進行するだけで被害を出す存在を4時間を野放しというは余りにも危険すぎる。

 

立ち塞がる問題を前に、悠、秋、蓮司は、なぜか突然手に持ったおにぎりを勢いよく食らいついた。その後もお盆に載ったおにぎりを次々と口に入れ、最後に味噌汁を豪快に飲み干し、お椀を置いた。

 

「ガシャットは朝に完成すんだよな?だったら…。」

 

「それまでオレ達がヤツを足止めする。ゲームエリアに閉じ込めれば周囲に被害を及ばない。」

 

「頭使うよりこっちの方がオレ向きだしね。でもなるべく早く頼むぜ!」

 

「キミ達…分かった。私も最善を尽くして取り掛かろう!!」

 

そう言った神太郎は一目散に端末の前に座り、凄まじいスピードでタイピングを始めた。

 

「うっし!んじゃあオレ達は行きますか!

おにぎりごちそさん!」

 

「馳走になった。では。」

 

「長門。動かせるヤツは総動員で出せ。基本はゲームエリア外に取り残されたグレムリンの捜索!上からも下からも隈なく探せ!一匹でも取り残しが居たら厄介だ。」

 

「了解した…もし、取り残しが居ないことが確認出来たら?」

 

「…捜索を続けるも、こっちに来るのも好きにしろと伝えておけ。」

 

「フフ…命令を受託した。即行動に取り掛かる!」

 

「あぁ…さて俺も…。」

 

「待って下さい悠。忘れ物。」

 

「あぁそうだった。今回は長丁場になるから…。」

 

そういいながら呼び止めたラ・フォリアの肩に手を置き、そのまま顔を近づけて唇を合わせる。

吹雪達は初めて見たお陰か顔を真っ赤にしながら興味津々に見られる中、夏音はわたわたと狼狽えていた。

 

「ん…今日は夏音達と此処で寝ろ。下手なシェルターより頑丈だ。」

 

「分かりました。くれぐれもお気をつけて。」

 

「あぁ。」

 

「あ…お、お兄さん!」

 

「ん?どうした?」

 

ラボを出ようと階段に足を掛ける悠だが、突然夏音に呼び止められた為に振り返る。

其処に居た夏音は、顔を赤くしもじもじとぎこちない動作が目立つ。そして意を決したような目つきを一瞬すると、目を閉じて顔を突き出してきた。

 

「…あー、えっと…。」

 

「ん…んん…!」

 

その行動の意味を察した悠はぷるぷると緊張で震える夏音を前に若干困惑しながら、ふとラ・フォリアを見ると彼女は何も言わずニコニコと笑ってるだけ。吹雪達中学生組もキャーと言いながらも興味津々にこちらを見ているだけで何も言ってこない。

 

「えーっと……あー、夏音?

俺個人としては、できればこう…ロマンチックに、思い出に残るような場面でしたいから、ここは…愛情たっぷりのハグで…ダメ?」

 

「ムーッ……分かった、でした。」

 

「OKおいで。幸運の女神のラッキーを俺に分けて頂戴な。」

 

 

「ちょっと悠兄さん!早く行こう…って、まだイチャイチャタイムかよ!夏音ちゃんには申し訳ないけど早くしろって!!」

 

「ちょっと待ってろ!……よし充電完了。これで今回も生き残れる。

…今日はもう寝な。どうせ学校は休みになるだろうから、ゆっくりな。」

 

「はい。気を付けて、いってらっしゃい、でした。」

 

「おう!」

 

そうして悠は今度こそラボを出て、ゾンビグレムリンの居る現場へとアクセルを吹かした。

 

ラボに残ったハルナは現場へと出た悠たちを見送りながら、多少の不安を感じていた。

悠を説得する際あぁも強気で言ったが、今となってはやはり上手く出来るかどうか、それ以前に自分は大丈夫なのかと懸念の思いが揺らいでしまう。

 

「ッ…つ~…なんか最近、頭痛が多いな…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<< STAGE SELECT! >>

 

選んだステージは山中の大きく開いた土地。悠を真ん中に横に並ぶ三人の前には、増殖によって数を100にまで増やしたゾンビグレムリンの群れが獣のような唸り声をあげながら三人を睨むように見ていた。

 

「うっわ。ここまでくると最早壮観だね。色んな意味で。」

 

「さて、おさらいだが俺達はあくまで足止め。なるべく消耗するような技や動きを極力避けろよ。」

 

「言われずともだ。だがオレは生憎剣を振るう事しか出来ないのでな。」

 

三人はゲーマドライバーを装着。悠と蓮司はデュアルβを、秋はレベル0の爆走バイクガシャットと新たに手にしたプロトガシャットを手に構えた。

 

 

「第伍拾戦術──」

 

<< BANG BANG SIMULATION >>

 

「段位五十段──ッ!」

 

<< TADDLE FANTASY >>

 

「爆速──」

 

<< BAKUSOU BIKE >>

<< JET COMBAT >>

 

 

 

「「「変身ッ!」」」

 

<< ガッチャーン!──DUAL/LEVEL UP! >>

 

 

<<──BANG BANG SIMULATION! 発進! >>

 

<<──TADDLE FANTASY! >>

 

<<──BAKUSOU BIKE!──アガッチャ! >>

<< ──Fli!High!Sky! JET COMBAT! >>

 

ゾンビグレムリンの群れ前に、スナイプレベル50、ブレイブレベル50、そしてモノクロのアーマーを身に着けたレーザーターボコンバットゲーマーが並び立った。

 

「…?アレ、お前ソレプロトガシャット、何で扱えんだよ!」

 

「へっへーん、特別仕様ってヤツ♪」

 

「んだそれ、こっちは死に掛けたってのに…。」

 

「無駄話してる場合か…来るぞ!」

 

 

『『『『『『ゥウ゛ァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!』』』』』』

 

 

「後でクソ上司に問い詰めよ…作戦開始!」

 

「いざ、参る!」

 

「マッハでぶっ飛ぶぜぇ~ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌンァァァァアアアアアァッ!!!!まだだァ!!限界を超えろォ!!今こそ真の神の才能が試される正念場だァァァァァァァアアッ!!!」

 

端末を三台も使って作業スピードを一切緩めない神太郎の目は、最早狂気に染まるくらいに血走っていた。

 

ラボの片隅で耳栓をし、持ってきた布団を敷いて寝ているラ・フォリア達とは別に、椅子に座って待つハルナは何もする事なく只時間が過ぎていく一刻を過ごしていた。

 

「………。」

 

「そうして待ってるよりも少しは寝た方が良いですよ?」

 

「うひゃぁッ!?」

 

突然掛けられた声に驚いて変な声をあげてしまうハルナ。ハルナに声を掛けた早霜は毛布を手にハルナに差し出していた。

 

「い、何時から居たの…?」

 

「ずっと前、ですよ?フフフ…。」

 

「そ、そう。アハハハ…。」

 

幼いながらも妖艶な笑みを浮かべる早霜に乾いた笑みしか返せないハルナは恐る恐る毛布を受け取った。

 

「…不安ですか?」

 

「え?」

 

「先に行った三人の事か、それともこれから来る自分の役割か、思い詰めていらっしゃるのでしょう?」

 

「…両方だね。上手くいけるかどうかで三人の命運が決まっちゃうし。」

 

「なら大丈夫ですね。」

 

「え?…それってどういう意味?」

 

「アナタが悠さん、秋さん、蓮司さんを思っているなら、きっと上手くいく。そういう事です。」

 

「?…。」

 

 

「出ぇエエッ来たぞォォォォォォォォォォォオオオッ!!!これが神の成せる業だァァァァッ!!!!」

 

「え!?出来た!?早ッ!!!」

 

声高らかに立ち上がって天に掲げるガシャットを手にしている神太郎の目はもう真っ赤になる程血走っていた。

 

フラフラと幽霊の様にハルナに歩み寄る神太郎。思わず逃げ出した気持ちになる光景だったが、ハルナは神太郎からアップデートを済ましたブランクガシャットを受け取った。

 

「後は……任せ、た…ぞ……Zzzz──。」

 

「おっと…この人は私が看ておきますので、ハルナさんは気にせずに。」

 

「う、うん…。」

 

限界が来て死んだように寝てしまったの神太郎を抱えて早霜はラボから出ていった。

残されたハルナは大きく深呼吸をした後、ゲーマドライバーを装着した。

 

<< ガッシャット! >>

 

「ふぅー…よし。集中。集中よ…。」

 

ハルナはこのガシャットに命を吹き込むと言っても過言では無い重要な作業するため、ひとまず心を落ち着かせることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって、ゲームエリア内でゾンビグレムリンの群れを相手にしているライダー三人は…。

 

 

「ウオォォォォォッ!!!」

 

十門の砲塔から放たれる精密な砲撃によりスナイプへの接近が出来ないゾンビグレムリン達。頭、足などを中心に撃たれ、地面を這いつくばっている。

 

 

「ハァァアアッ!!」

 

一方のブレイブも触れたら即腐蝕するという厄介な能力を危惧し、ガシャコンソードを氷剣モードにしてゾンビグレムリンを凍らせたり、黒い波動を使って弾き飛ばす等して相手取っていた。

 

 

「オラオラオラオラオラァッ!!」

 

レーザーターボはジェットコンバット特有の飛行能力で、空からガトリングを乱射してゾンビグレムリンの動きを止めていた。

 

だがそれでもゾンビグレムリン達は止まる様子など一切見当たらない。頭と足を撃たれ弾き飛ばされても直ぐに再生して立ち上がったり、氷漬けにされてもドス黒い瘴気を放ちながら氷が溶け、ガトリングの弾丸を受けても平然と立ち上がる。

 

 

『ア゛ァア゛アァ~~~…!』

 

『ォ、ゥオオオ~~…!』

 

『ウ゛ガァア~~…!』

 

 

「ダァーッ!分かってたけどマジキリがねぇ!!」

 

「つべこべ言わず手をッ、動かせッ!!」

 

「とにかく時間を稼げ!桜井が来るまでどうにか持ち堪えるんだ!!」

 

<< 分身! >>

 

スナイプは近くにあったエナジーアイテム、分身を取り込み四人へと数を増やして砲撃。忽ち多くのゾンビグレムリン達を撃ち抜いて動きを止めるも、その後からさらに多くのゾンビグレムリン達がやって来る。

 

「ハァ…やっぱキスしておけばよかったか?…いや、流石に中学生相手はアウトか…。」

 

「何を言ってるんだ貴様はッ!」

 

尽かさずブレイブが声を荒げながら波動を放ちゾンビグレムリンを弾き飛ばす。

 

「戦いの最中に不謹慎も程があるぞッ!」

 

「ハッ、モテる男の悩みってハナシ。」

 

「堂々と言う事か!」

 

砲撃と氷柱を放ちながら言い争う二人。そんな二人の背後からゾンビグレムリンが迫るが、上空から放たれたガトリングの弾丸が二人を守った。

 

「ったくアンタ等仲良いね。ちょっと妬けちゃうんですけど?」

 

「「誰がこんな奴と!…あぁ?」」

 

「いやそういうとこ言ってんですけど…。」

 

フォローを入れたレーザーターボが二人の頭上からやり取りを見て半ば嫉妬混じりに呆れて眺めているなか、ゾンビグレムリンは更に増殖し、その数をまた更に増やしていった。

 

「げぇ、まだ増えんのかよ。オレゾンビ嫌いになってきた。」

 

「普通好きになるようなもんじゃあねぇだろ。」

 

「だが思っていた以上に厄介だぞ。これでは何時此方が全滅するか、時間の問題だ。」

 

「それでもやるっきゃねぇだろ。ここまで来たからには…!」

 

数を増やし一歩一歩不気味にこちらへと向かって来るゾンビグレムリン達を前に身構えるスナイプ達。

 

だが何処からか聞こえて来た轟音の直後、ゾンビグレムリン達の足を止めるように上がった爆炎がスナイプ達を守った。

 

「ッ!今のは…?」

 

「砲撃音…アイツ等マジで来たのかよ…。」

 

「おぉ!アレは!」

 

スナイプ達が背後を振り返ると、そこには砲撃音を鳴らしながら此方へと向かって滑走して来る艦娘達。

 

数はゾンビグレムリン達と比べて僅かに劣っているが、三人で相手取るよりも遥かに心強い援軍の到着だった。

 

「待たせたな!駆逐、軽巡、重巡、戦艦、空母。合わせて約70隻到着した!」

 

「長門。捜索の方は大丈夫な訳?」

 

「あぁ。念の為今も軽空母達とレベルの低い者が当たっている。

ここに居るのは高レベルの練度が高い者達が自ら志願した精鋭達だ!」

 

「ここからは大船に乗ったつもりで任せてね♪」

 

「陸奥…分かった。正直三人じゃ手に負えなかったんでな。働いてもらうぞ。」

 

「悠ーーーッ!!!──ブヘッ!?」

 

スナイプ目掛け飛び込んでくる人影をスナイプはヒラリと交わし、飛び込んできた張本人である川内は盛大に地面にダイブする形となった。

 

「痛ッたぁ~~~…もう!そこは受け止めるところでしょ!!」

 

「いや、俺今両手コレだから…。」

 

 

「お~~ご立派~。」

 

「北上さん!私達には魚雷がありますからね!」

 

 

「気のせいかしら、なんか私の艤装に似ているような…。」

 

「ドイツ艦を参考にしたのではないか?」

 

「そうだとしてもビスマルク姉さまの方がずっと素敵です!!」

 

 

「秋くんの頭のこれって、もしかして、モヒカン?」

 

「うっわ見てよ飛竜!これガトリングだよガトリング!!私達の艦載機には無いヤツだよ!」

 

「ア、アハハハ…二人共ちょっとタンマ、タンマ。」

 

 

「おぉ!…これは、中々。」

 

「………。」

 

「菊月よ。カッコいいのは分かるが相手も困ってるぞ。その辺にしとけ。」

 

 

「お前達!何時まで話し込んでいるんだ!!敵は前方60m、数150以上!触れたら即腐ってしまうという厄介な能力を持ってる!!故に絶対接近戦は避けるんだ!!」

 

「チィ!オレの刀の出番無しかよ!」

 

「残念ね~。折角改二なっての初陣なのに~。」

 

 

「それじゃあ悠君、的確な指示、よろしくね♪」

 

「ハ?…いや俺?」

 

「だって今の悠提督らしいカッコしてんじゃん。特にこの帽子とか!」

 

「いやコレはちゃんとした機能が在る……筈。」

 

「それでも悠さんのご命令なら私達にとって心強いです。どうか。」

 

「ここが見せ場だよ!お義兄ちゃん!」

 

 

 

「……分かったよ。正直こういうのは苦手なんだが…。

…奴らを一点に集める!包囲網を敷いて中心砲撃で中心に追い込め!!

空母は後方で艦載機を発艦後爆撃の準備!奴らが中心に集まったら爆撃だ!!だが密集の中心に間違って落とすな!!あくまで周囲にばら撒いてデカい爆発で一歩も動けなくしろ!!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 

スナイプの指示が出た途端彼女らの行動は早かった。

ゾンビグレムリン達に砲撃で牽制しながらあっという間に円を描いたような包囲網を完成させ、そこから容赦の無い砲撃や魚雷による雷撃によって、散らばっていたゾンビグレムリン達が押し込まれて徐々に密集されていく。

 

「まだまだイクデース!バーニングラァァブ!!!」

 

「気合れますよぉぉぉぉッ!!!」

 

「榛名も負けません!!」

 

「直接殴れないのは些か不満ですがね!!」

 

「それには大いに同意だ霧島ァ!!これでは大和型の面子が立たん!!」

 

「殴る事が全てでは無いですよ武蔵!これも立派な艦隊戦です!!」

 

 

「…今だ!爆撃投下ァ!!」

 

 

「一航船!参ります!!」

 

「遅れないでよね、五航船。」

 

「それはそちらもでしょう!?翔鶴姉!私たちはアウトレンジから行きましょ!!」

 

「私も付いて行きますよ瑞鶴先輩!!」

 

「瑞鶴!焦って功を急がないで!!」

 

「葛城も調子に乗らないで!!あくまで牽制、牽制よ!!」

 

「正確、的確に落とす。」

 

 

密集されているゾンビグレムリン達の周囲に大きな火柱が次々と立ち昇っていく。直接では無いものの凄まじい爆風と熱によってまともに動く事など出来ない。

 

「オォ!!すげえじゃん艦娘ちゃん達!これならガシャットが出来るまでの時間が出来るぜ!!」

 

「バカ、戦況が良くなったからって油断すんな…相手は常識じゃあ図れないバケモンなんだぞ…。」

 

 

これならばと思った矢先、爆風と熱に追い詰められているゾンビグレムリンが動きを見せる。中心にいる一体、本体と思われるゾンビグレムリンに、増殖して増やした分身体が次々と一体化し、その体がみるみる内に大きくなっていく。

 

「な、なんだありゃー!?」

 

「ば、馬鹿な!と言わざる得ないですわ!!」

 

「で、デッカくなっちゃったぁ…。」

 

100体以上のゾンビグレムリン達が一つとなり、巨人ともいえる全長30mは行きそうな巨大なゾンビグレムリンが現れた事に、優位だった戦況が一変してしまった。

 

「ッ!全員回避行動!!一歩も止まるな!!即的になるぞ!!

空母!艦載機でヤツの注意を地上のヤツから逸らせ!!秋!お前も行け!!」

 

「了解ィ!!チックショウあんなんアリかよ!!」

 

 

「悠さん!」

 

「神通!!小隊を組んでヤツから離れるよう指示飛ばせ!!俺等が前に出る!!」

 

「オイんなん無茶だぜ!!あんなデカいのに三人で行くとか!」

 

「的が一つな上にデカくなったのはある意味好都合!お前らも続けて離れての牽制砲撃頼む!!」

 

「オイ悠!!」

 

巨人となったゾンビグレムリンに立ち向かって行くスナイプとブレイブ。

 

彼らの命懸けの時間稼ぎは困難を増していくばかりであった。

 

 

 

 

 

 

 

<< ガッチョーン──ガッチャーン!──ガッチョーン──ガッチャーン! >>

 

「ッ!……どうして!何で何も起こらないの!?」

 

スナイプ達が決死の足止めをしている頃、ハルナはガシャットを完成させるべく一人奮闘していたが、その成果の予兆は一向に現れない事に、苛立ちと焦りが徐々に募っていくばかり。

 

こうしてる間にも先に行った三人の命が、そう思って何度もドライバーのレバーを操作しても、何の反応見せてくれない。

時間も既に夜が明ける時間となっている。段々追い詰められているハルナの目にうっすらと涙が浮かぶも、それでもガシャットは何の反応を見せない。

 

「ッ…お願いだからッ!お願いだから動いてッ!早く、早く行かないとッ、皆が…!!」

 

最早悲願と言っていいほど必死になるハルナ。頭が割れると言わんばかりにズキズキと痛む頭痛を抱えながら、レバーを動かす手を一切止めなかった。

 

 

<< ガッチョーン── >>

 

「お願いッ!……動け!…動けぇぇぇぇぇッ!!!」

 

声がはち切れんばかりに叫ぶ心の思い。

 

 

<< ガッチャーン! >>

 

 

そこから先、ハルナの視界が一瞬真っ黒になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『──とうとうここまで来たかー…ま、アレだけイライラしちゃったら仕方ないか♪』

 

 

『…うん。いいよ。今回はアタシも力になってあげる。このままじゃあの人が死んじゃうからね!』

 

 

『だから、その代わりに…──。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ゴァァア゛ア゛ア゛ッ!!!』

 

「「──ヌァアアァッ!!!」」

 

 

<< ガッシューン! >>

 

巨人となったゾンビグレムリンに立ち向かっていたスナイプとブレイブだったが、規格外のサイズの差に圧倒されてしまい、遂に変身が強制解除されてしまう。

 

「ウアァァッ!?──ガッ…!」

 

<< ガッシューン! >>

 

空を飛んでいたレーザターボも、振り下ろされた巨腕が翼に掠ってしまった事で墜落してしまい、変身が強制解除。

 

それによってゲームエリアも解けてしまい、場所が山中からビルの並ぶ街頭に変わってしまった。

 

 

「ちょっと、コレ…かなり、ヤバいんじゃね?」

 

「あぁ。激ヤバだ。完全にな…。」

 

「クッ…!これまでというのか…!!」

 

遠くから艦娘達が牽制砲撃を行ったり、此方に来ようとしている者が見られるが、ゾンビグレムリンは悠達の眼前という所まで近づいて来た。

 

「こうなりゃ最後の切り札を…!」

 

「…ッ!悠兄さん!アレ!アレ見て!!」

 

最早絶体絶命というこの状況。悠が最終手段としてデイケィドライバーを取り出した瞬間、秋が突然指を指している方向へ眼をやると、そこにはゾンビグレムリンの後方からこちらに向かって来る一台の車、ダークドライブ専用マシンであるネクストライドロン。

ネクストライドロンは、ボンネット部とルーフに巨大なキャノン砲が着くと、ゾンビグレムリンの膝裏に集中砲火し、バランスを崩させて転倒させると、股の下を通って、悠達の前で止まった。

 

そしてドアが開き、中から出て来たのはゲーマドライバーを装着したハルナが、ゾンビグレムリンの前に相対したのだ。

 

「桜井…完成したのか!新ガシャットが!!」

 

「…?姉ちゃん?」

 

「……あの佇まいは。」

 

 

背後の悠達の言葉に一切耳を貸さないハルナが取り出したのは、デュアルガシャット並みの大きなガシャット。

ガシャット下部にエグゼイドの頭部が象られた金と銀で出来たそのガシャットの起動スイッチが押された瞬間、彼女の目が、赤く染まった。

 

 

<< MAXIMUM MIGHTY X >>

 

背後のスタート画面には、巨大な顔を模したロボットに乗るマイティの画がデカデカと載っており、ハルナは起動したガシャットをドライバーへと差し込んだ。

 

<< マキシマムガッシャット! >>

 

 

「──変身」

 

 

<< ガッチャーン!──LEVEL MAX! >>

 

<< 最大級のパワフルボディ! ダリラガーン! ダゴスバーン! 最大級のパワフルボディ! ダリラガーン! ダゴスバーン! >>

 

ガシャットを差し込み、レバーを開くと同時にエグゼイドへと変身したハルナの頭上に現れたのは、巨大なエグゼイドの頭部を模したゲーマー、[マキシマムゲーマー]。

待機音がけたたましく流れる中、エグゼイドはガシャットの下部、エグゼイドの頭部を象られたスイッチを叩き付けるように押すと、マキシマムゲーマーが展開、エグゼイドが跳躍してその中に入ると同時に、閉められた。

 

「「ッ!!」」

 

「く…喰われたーーッ!?」

 

背後で秋が声を上げない悠と蓮司の気持ちも代弁するかのように叫ぶが、当のエグゼイドを飲み込んだゲーマーの頭頂部が展開され、エグゼイドの頭部が現れる。

 

その後、ゲーマーから巨大な足、腕と生えていき、やがてその姿は、一体の巨大なロボットとしての姿を現した。

 

<< MAXIMUM POWER!──X! >>

 

 

「手足が生えたーーーーッ!?」

 

「……。」

 

「…なんだそりゃ。」

 

 

台地が揺れる程の着地を決めたエグゼイド。唖然とする悠達を背後に、転んで起き上がった巨大なゾンビグレムリンに向けて、新たに誕生したエグゼイドの名を高らかに名乗り上げた。

 

「アタシは…仮面ライダーエグゼイド!レベル…99ッ!」

 

 

「ッ!…99!?」

 

「スッゲ!超上がってんじゃん!!」

 

「……。」

 

 

<< ガシャコンキースラッシャー! >>

 

「このゲーム…パワフルな大逆転クリア、決めてやる!」

 

新たな力、マキシマムマイティXを手に、エグゼイドの無双が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




ゲイツリヴァイブ・疾風って、まんまナイトじゃん。もうコレは制作スタッフも狙ってやってるとしか思えないですね。

それと今朝知ったまさかの斬月カチドキ!ビックリしましたねぇ~。
只でさえ強い主任をこれ以上強くさせてどうするんだ?もう誰も勝てねえよ…。
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