遂にBABELとの決戦を迎えた我々チームライダーズは、悠君の考案した作戦に則りオーディンを撃破しハイパーゼクターをゲッチュ!
だが決着が着くという瀬戸際にアベルが乱入しヤツは真の狙いであった新たな力、ゲムデウスとなって我々を苦しめた!
おのれアベルゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!」
「ちょっとちょっとおやっさん!
なんでおやっさんがあらすじ紹介しちゃってんの?いっつも悠兄さんがセンターマイク陣取ってるのに。」
「いやー、それが悠君タイミング悪くもあの時期に入っちゃって…。」
「あの時期?まさか…発情期!?」
「前回の話は関係ないよ。その答えは、最新話で。」
BABELとの決戦の時から二日。
From:桜井 秋
To: 暁 古城 遠山 キンジ ゼノヴィア・川神 川神 一子
件名:マジヤバい
────────
悠兄さんがマジヤバい状態。オレどころかラ・フォリアちゃんすら手に負えない。
マジヘルプ。
((((…何だコレ?))))
いきなり今朝方送られてきた一通のメール。差出人の裏の顔を知る面々は脈絡も何も無い文面に虚を突かれるも、友人または想い人の危機を知らせる知らせに朝早くから灰原宅へ訪れたのだが…。
「……なぁ秋よぉ。」
「うん。言いたい気持ちわかるよ。何だアレって。うん。」
「分かってんなら尚の事説明してくれよ…何なんだありゃ。」
「………ぁ~。」
やって来た四人と二人(雪菜と凪沙)を待ち構えていたのは縁側に腰掛ける悠であったのだが、その様子は何時ものと違うのは目に見えていた。
普段の立ち振る舞いとはかけ離れ、魂が抜かれてると言うべきか、真っ白に燃え尽てると言うべきか。全体的に身が入っていない悠の瞳には生気が感じられなかった。
「灰原?…オーイ!灰原!!」
「どうしちゃったのユウ!?アタシの事分かる!?ねぇ!!」
「………………ん~。」
「アレは…催眠の一種か?無気力な状態にし、闘争意欲を無くさせる為の…。」
「ありえますね。灰原先輩は仮面ライダーの中で中心人物でもありますし、戦力の低下という意味では大打撃ですよ。」
「…いや、そういうんじゃないんだよ姫柊ちゃん。まぁ、実際似たようなもんでもあるんだけど…。」
キンジと一子が声を掛けたり肩を揺すってもまともな反応を返さない悠の様子に、ゼノヴィアと雪菜は催眠の一種を掛けられたのだと考察したが、秋はそれを否定し、神太郎から告げられた真相を語った。
曰く、悠は仕事柄肉体精神の他に第六感や生存本能といった使える能力全てをフル活動で用い長い年月戦って来た。
が、いくら強靭な肉体と精神を持っても悠は限界のある人間であることに変わらない。空気を入れ過ぎて破裂する風船の様に、限界が訪れるのだ。
簡単言えばエンスト状態。あるいは、考えるのやーめた・EX状態。
「昨日目覚めたらあんな状態で…こっちが声かけても引っ叩いても”あ~”とか”ん~”しか言わねぇし!ゆっくりノロノロとトイレ行く以外ボーっとしてピクリとも動かねえし!
おやっさんは風邪のようなもんだ、って言ってるけど!……あんな悠兄さんオレ見てらんねぇんだよ!!」
「…なぁ、それって真面目な話なんだよな?」
何処か温度差を感じるリアクションであった。
「だって!だってアレ見てよ!!」
「悠さん。お茶持ってきましたよ。」
「お兄さん、肩揉みしましょうか?」
「…ん~。」
「ぽ~い…。」
「にゃしィ~…。」
「もうアレただのお爺ちゃん!悠爺ちゃんだよアレ!!」
「…帰っても良いか?」
悠の周りには甲斐甲斐しく世話してる吹雪と夏音に加え、胡坐をかいた膝の上で丸くなってる睦月に膝に頭を乗せて寝転がる夕立。その光景はまるで縁側で日向ぼっこしてるお爺ちゃんと孫娘と猫と犬である。
「だが、戦えないという状況はマズイんじゃないか?敵の戦力も遥かに強くなっている今だからこそ…。
聞いてる限りでは、この現象今が初めてという訳では無いんだよな?」
「うん。なんか大体5年の感覚で起きるって。一日で戻る時もあるし、三日や五日…一週間も続いた時もあるって。」
「フム…どうにかして元に戻す方法は無いのか?」
「色々試してみたんだど、ねぇ?」
「えぇ。効果無しでした。」
降参のポーズを見せるラ・フォリア。メールの文面にあったように、ラ・フォリアでも手に負えないという内容が気になったので凪沙は問い掛けて見た。
「あのー、ちなみにどんな方法で戻そうとしたんですか?」
「あぁ。それはですね…。」
ラ・フォリア曰く、決戦直前のあの出来事をきっかけに刺激を与えればと思い、文字通り体を張った方法を行った。
前に絶賛してくれたナース服で、あーんしながら食事をさせたり、時にはメイド姿で膝枕をさせたり、時には大胆に川内や神通も交えて地下のドッグで水着着用の混浴など。
とにかく悠の本能に刺激を与えて覚醒させようと試みたラ・フォリアであったが、悠はこれといった反応見せず失敗に終わった。
「やっぱり水着は着ないで混浴した方が良かったんでしょうけど、お義父様含めた皆に止められたので…。」
「結果云々は兎も角、何考えてるんですかラ・フォリア王女!?」
「そうだぞ!どうして私にも世話させてくれなかったんだ!!」
「気にするとこそこかよ!?」
「まぁそんな血の涙が流れる程のうらやまなサービス受けても…。」
「あ、食べた!リスみたいでカワイイ!」」
「こうすると食べてくれるんですよ。」
「次アタシにもやらせて!」
「もしゃもしゃもしゃ…。」
「一向に良くなる気配が無いんだよねぇ…。」
「というか餌付けされてる…。」
「まるでナマケモノみたいですね。」
凪沙にお菓子を食べさせられる悠を見て頭を抱える秋だが、ここでふとゼノヴィアがあるアイデアを思いついた。
「…あ!そうだ彩守だ、アイツなら…!」
「彩守?…成程、普段顔合わせたらすぐ喧嘩するけど…。」
「それを逆に利用すれば、灰原先輩も目を覚ますかも!」
「…あー、それなんだけどさ…。」
「私達も思い付いたんですけど…。」
「「「「………。」」」」
曰く、蓮司は誰よりも一番に目が覚めこのままではゲムデウスに勝てないと思った蓮司は山籠もりに行ったという。
ついでにウラナは蓮司を追いかけに山へ行き、ハルナはウラナを一人に行かせるのが心配な為に着いて行き、今は無事蓮司と合流して行動を共にしている。
「その山ってのが一日掛かる程の距離でさ、帰って来るのにもうちょい時間掛かるって…。」
「…もう打つ手無しじゃ無いか。」
「いえ、まだお義父様が。
昨日からラボに籠っているので、何かしらの手を…。」
「おや?お客さんかい?」
ラ・フォリアが神太郎の事を話してる最中に、当の本人がリビングに現れる。その手に紫の拳銃とバルブの付いたショートブレードを持って。
「神太郎さん手に持ってるそれって…。」
「コレかい?彼がこの武器を大変気に入ったらしくてね、コレで元に戻せないかと思って昨日の内に造ったんだ。」
神太郎は縁側に座る悠の前に出て、ディケイドになって使い心地を大層気に入ったと言っていたネビュラスチームガンとスチームブレードを見せる様に眼前に持って来た。
「ほ~ら悠君。見て御覧コレ、キミの為に造った新しい武器だよ~。ホラホラ。」
「………あ~~。」
「…ダメかぁ…やっぱ元に戻るのを待つしかないかぁ。」
肩を落としてお手上げ状態の神太郎はスチームガンとブレードをテーブルに置いて椅子に座り大きく息を吐く。
「仕方がない。ハルナ君達も戻ってくると聞いてるし、有事の際は自然と戻るまで彼抜きで頑張るしかないか。」
「うぅッ、オレは何時まであんな悠兄さんを見なくちゃぁいけないんだ…!」
「よしよし。そう心配せずともなんやかんやで元に戻ると思いますよー。」
「うむ……ならばいっその事…。」
同時刻、とある路地裏にて。
「…殺す……野郎の所為で……オレは…オレは…!」
壁にもたれながら憎悪を隠そうとしない一人の男。その手には黒い懐中時計の様なガジェットを手に進んでいく背中を、アベルはニヤニヤと愉悦な笑みを浮かべて見送っていた。
「楽しい喜劇を期待してるよ。主人公クン♪」
その頃の悠達は、ゼノヴィアの発案でエンスト状態の悠を引き連れて外へ出ていた。
曰く、このまま家で静かに過ごすよりも、外へと出向いて何かさせれば何かの拍子に戻るのではないかという僅かな可能性に賭けてみた行動である。
一子とゼノヴィアに両側から腕を組む形で連れて行かれてる悠を背後から眺めるキンジは、灰原宅から出る間際の神太郎との会話を思い出す。
「───えっと…神太郎さん、コレは…?」
キンジは玄関前で神太郎から呼び止められるや否や、先程悠の為に造ったと言っていたネビュラスチームガンとスチームブレードをキンジへと手渡し、受け取ったキンジは困惑な顔を浮かべる。
「私個人から武偵のキミに依頼をしたくてね、彼の警護を任せたいんだ。その武器はその為に使ってくれたまえ。」
「依頼、ですか?…でも武偵の依頼は正規の手続きが…。」
「あぁ平気平気!さっきクリムに頼んでキンジ君のデータベースに警護依頼を入れておいたから!形式上これは公式な依頼という事で。」
「何処も問題無くねぇ!?」
「まぁ気にしない気にしない♪ちゃんと報酬も弾むし…ね?」
「う……ま、まぁ、頼まれた以上は…。」
「よろしい。あ、そうそう後コレも。
出来れば使う機会が起きて欲しくないが、念の為に…。」
「ッ!…こ、コレって…!?───」
「───ハァ。まるで爆弾抱えてる気分だ。」
「慣れだよ、慣れ。財布の次に大事と思えばいいんだよ。」
「いやそれは無理があるだろ。」
立ち寄ったゲームセンターの一角で、懐に仕舞った神太郎から託されたモノの重圧に弱音を吐くキンジに、隣に立つ秋から言葉を貰うも気は晴れずにいた。
視線の先にプリクラで写真を撮りに行った悠と一子とゼノヴィアが。ちなみに古城達が居ないのは有事の際、大人数でいると警護しづらいのと、古城の力を大っぴらに披露する機会を無くす為である。
美女二人に挟まれて誰もが羨む光景であるが、依然として悠は魂が抜けた状態のまま二人にされるがままである。
「にしても、悠兄さんに泳げない以外にこんな弱点があったなんて。」
「なんだかんだアイツも人間、って事なんだろ。神太郎さんも言ってたじゃあねえか。」
「一種の”現実逃避”、かぁ…。
まぁ確かにアレはキツイかもなぁ。悠兄さん寝る間も惜しんで特訓したりオレ等のドライバーやマシン整備してくれたり…あと一歩って所であんな結果は、なぁ。」
「…分からなくはねぇなぁ……オレも、灰原とはベクトルが全然違うけど、現実から逃げたいって思う気持ちは色々あるし。」
「へぇー……張り合う気は全くないけどオレだってココに来る前色々あって、それこそ死にたい位イヤな事あったなぁ…。でも流石にあぁはならなかったけど。」
「…今更だけど、あんな状態が定期的に起きる程アイツは長い間苦労してたんだな……オレ達じゃあ想像つかない程のもん背負ってよ…。」
「…ホント。スゲェよ悠兄さんは…ま、あんなんじゃ尊敬もクソもねぇけどな!」
「言ってやるなよ、ソレ。」
「やぁすまない、待たせたな。」
「おー、どんな具合に撮れたよ?……ブッ!ブハッハッハッハッハッ!!!
こ、こりゃあナイスセンス!!ハハハハハハハハッ!!ヤッベ、コレマジ笑える!LINEに載せちゃお。」
「どれ…ブフッ!!た、確かにコレは…!」
「中々の傑作だろう?」
「ゼノヴィア~!ちゃんとアタシの分切っておいてね!」
「言われずとも分かってるさ。さて、次は何処に行こうか。」
「…ん?何か騒がしいな…。」
「…見に行く?」
撮ったプリクラの出来栄えに、思わず腹を抱える程爆笑する秋とキンジ。二人に手引き歩行される形でゲームセンターから出た悠達であったが、外に出るや否や人々の悲鳴が響き、辺りが騒がしいくなっていた。
何事かと野次馬興味で騒いでる場所へ足を進めると、逃げ惑う人々の背後からゾロゾロと向かって来る異形の集団が手当たり次第に破壊行為を広げ街を混乱へ導いていた。
「お、おい秋。あれは…?」
「えぇ?、マスカレイドに屑ヤミーにダスタード……こりゃもしかしなくてもアベルの仕業じゃん。」
「どうするの!?向こうは凄い数だけどユウはこんなんで戦えないし!」
「此処は逃げるが得策だな。だがかと言ってアレを放っておくと被害が酷くなる一方だ。」
「オッケー。ならオレはココで食い止めておくから、悠兄さんを頼んだぜお三方。」
<< BAKUSOU BIKE >>
<< SHAKARIKI SPORTS >>
「爆速──変身ッ!」
<< ガッチャーン!──LEVEL UP! >>
<< BAKUSOU BIKE!──アガッチャ!>>
<< ──シャカシャカ!コギコギ!──SHAKARIKI SPORTS! >>
「しゃぁ!マッハでザコ掃除だぜ!!」
秋はレーザターボプロトスポーツバイクゲーマーへ変身し、単身怪人の軍団へ突っ込んでいった。先頭のマスカレイドドーパントへ飛び蹴りをかました。
「オラッ、っとぉ!!──ホラ行った行った!」
「すまん!無理はするなよ秋!!」
「悠の事は任せておけ!」
「えっと!、うんと!……き、気をつけてね!!」
「急げ一子!反対側を頼む!!」
「おうさ!ドリャ!!……にしてもアベルのヤツ、今になってなんでこんなザコを仕向けてやがんだ?…ソラッ!──ま、後でいっか!!」
募る疑問を抱きながらもレーザは肩のトリックフライホイールを取り外し怪人軍団向けて投降。ホイールがピンボールの様に次々と敵にヒットしながら、その数を減らしていった。
一方のキンジ達は、キンジを先頭に絶賛お荷物状態の悠をゼノヴィアと一子が両サイドから腕を組んで引っ張る形でレーザーが戦っている場から離れ、灰原宅を目指して走っていた。
「よし!この辺まで来ればもう大丈夫だな…。」
「あぁ。後はお義父様に…どうした一子?」
「う~ん…いや、なんかね?アタシ今、もしかして?って思ったのが浮かんできて…。」
「?」
「もしかしてなんだけど、今さっき暴れてたのはシュウとアタシ達を分かれさせる為にワザとやって、本命は…。」
「いや待て!それ以上は言ったらいけない気が…!」
「…キンジ。もう遅かったようだぞ。」
キンジが一子の推論を止めようとするが、背後から聞こえる多数の足音に振り返ると先程街道で見たばっかのマスカレイドドーパント、屑ヤミー、ダスタードの集団がキンジ達の前に出て来た。
「あぁ、フラグが…。」
「一子ぉ…。」
「えぇ!?アタシの所為!?…あぅぅ、ゴメン…。」
別動隊の怪人達に追い込まれたキンジ達。キンジは取り敢えず神太郎から受け取ったネビュラスチームガンを取り出して構えるが、とても後ろの三人を連れて突破出来そうにな状況では無い。
その時キンジの脳裏に浮かんだのは神太郎から保険として渡された爆弾級のアイテム。チラリと横目で未だ正気に戻る気配の無い悠を見て、キンジは覚悟を決した。
「フゥ……二人共、灰原を頼むぜ。」
「遠山君?」
「キンジ、何を…ッ!それは…!!」
キンジを意を決して取り出したのは、本来悠が使うべきのマッハドライバー。キンジはドライバーを装着すると次に取り出したのは、一本のキーだった。
数時間前
「え…コレ…。」
「悠君のマッハドライバーだよ。一度使ってるから使い方は分かるよね?」
「えぇ。でも、アレはオレが灰原の体に入ってから使えた訳で、今のオレじゃあ…。」
「分かってる。だからコレを。」
ドライバーを恐る恐る受け取ったキンジへ次に手渡されたのは、ドライブのクレストが描かれた一本のキーであった。
「コレは?」
「ネクストライドロンのキーさ。だがコレには、悠君がドライブとして戦って来た戦闘データが詰まっている。
シフトカーやシグナルバイクの代わりにコレを使えばキンジ君も変身出来る……筈。」
「筈!?そこ一番大事なとこでしょう!!」
「まぁまぁ、理論上では可能性大だから!それにさっきも言ったようにそれは保険。秋君も付いてるし、そう易々使う事は無いだろうから!───」
「──ったく、コイツと居ると本当にロクな目に遭わないぜ…慣れちまったけどな!」
<< SignalBike/ShiftCar!──Rider! >>
「フゥゥ───変身ッ!」
<< 超! DEAD HEAT! >>
ネクストライドロンを起動キーであると同時にドライブの戦闘データが収められたトライドロンキーをマッハドライバーへ装填すると、凄まじい熱気を全身から放ちながらその姿が光に包まれて変わっていく。
頭部は本来のドライブと同じ形状であるが、一部黒が混じった赤にパーツが剥き出しになっており。ボディは魔進チェイサーの様にジャンクパーツで構成されたメカメカしい姿となっていた。
「ッ…変身出来た!」
「キンジ、それは一体…。」
「詳しい話は後だ!──ウオォォォ!!」
変身したキンジ、超デッドヒートドライブは、ネビュラスチームガンとスチームブレードを手に怪人軍団へ。
向かって来たマスカレイドドーパントへネビュラスチームガンを発砲。命中して倒れるマスカレイドの後続にダスタードが忍者刀を構えドライブの元へ。
ドライブはダスタードの振るう忍者刀をスチームブレードでいなし、受け止めながら、スチームガンで発砲し数を減らす。
すると残っているダスタードがドライブに向けて炸裂弾を投げる。投げられた炸裂弾により、ドライブはその身を宙へ投げ出される。
「グァァッ!───こんのッ!」
<< Burst! キュウニ・超! DEAD HEAT! >>
ドライブはマッハドライバーのイグナイターを勢いよく四度押し、熱気を放ちながら加速してダスタードへ接近した。
<< ELEK STEAM! >>
「オリャアッ!!」
ドライブはブレードに着いてるバルブを回し、刃から電撃を帯びた蒸気をダスタードへ振るうと、電撃によって感電したダスタードは塵になって消えた。
「おぉ…確かに凄いなこの武器…。」
「遠山君凄い、ユウみたいに戦えてる…。」
「伊達に武偵の強襲科に属して無いという事か…ム!」
マスカレイドとダスタードを相手にしてるドライブの目を掻い潜ったのか、数体の屑ヤミーがゼノヴィア達の元へ襲い掛かって来るが…。
「デュランダル!」
襲って来た屑ヤミーを、手元に呼んだデュランダルの一閃によって消滅させたゼノヴィア。悠を抱いた一子を守るように前に立つ。
「ッ!悪い!!大丈夫か!!」
「こっちは平気だ!コイツ等大した事は無いようだ、なッ!」
「あぁ!でもッ、数が多すぎる!!」
ゼノヴィアも加わりマスカレイド、屑ヤミー、ダスタードを次々と撃破していくも数の多く一向に減っていく様子が見えない。
幾らキンジがドライブになっていても、このままでは物量に圧されてしまう。危惧したゼノヴィアは、後ろにいる一子に叫んだ。
「一子!どうにかして悠を起こしてくれ!!流石に雑魚でもこの数相手は厳しい!」
「えぇ!?でも、どうやって!?ラ・フォリアさんだってお手上げだったんだよ!?」
「目覚めのキスでも何でもいいからとにかくやってくれ!!このままでは時間の問題だ!早く!!」
「キ…!ッ~~~!!!」
銃撃と剣戟の騒乱の中に関わらず、一子の耳には何も入っておらずただ脳裏に浮かぶ光景を思い出しては頬を真っ赤に羞恥に悶えていた。
校舎裏で二人、自身の頬に手を添えて唇同士を合わせた場あの場面を。
(ァ、アレをココで!?無理だよ!!人前で、そんな、エッチな事…!)
「一子ぉ!キミの考えてるくらい分かるぞ!だが大丈夫だ!キスなんて慣れてしまえば、こんな所でも余裕で出来る!!」
「じゃあゼノヴィアがやってよぉ!!」
「おぉぉい!!こんな所で言い争うなよ!!こっちは結構キツくなってき、うおぉぉぉッ!?」
中々煮え切れない一子を後押しするゼノヴィアだがそれでも一向に進展せず、ドライブはスチームガンで牽制しつつ二人を注意するもダスタードに強襲され危うい状態。
そんな三人を取り囲む怪人達。進攻の勢いを更に上げようと、大群が一斉に駆けだした途端、一番最後尾にいた怪人達が爆散した。
「オゥラァッ!!マッハで倒してまた参上!!」
「秋!」
上空でプロトコンバットバイクゲーマーになったレーザターボが、地上に居る怪人達へガトリングによる制圧射撃をお見舞いする。
「ウラウラウラウラウラウラァァァァッ!!!──ヤッベこれ超キモチィ!ゴミのようだってなぁ!!」
「うぉぉぉい秋ッ!!お前オレ達も下に居るって事忘れんなよぉ!!」
「んんッ?何だあのドライブ?悠兄さんじゃねえのは確かって事は…キンジセンパイか!?」
一通り怪人達を蹂躙したレーザーは、ドライブの元へ降り立つ。
「ハァ…なにわともあれ助かったぜ。」
「どういたしまして!にしても、センパイもライダーになっちゃっうとはねぇ…ようこそ絶賛崖っぷちのチームライダーズへ!歓迎するぜ、後輩!」
「違うからな!コレは緊急事態だったから仕方なくな!!
つかお前等みたいなクセの強い集団に入ったら身が持たんわ!」
「ちぇ、こき使ってやろうかと思ってたのに…。」
「オイ。」
「フゥ。取り敢えずは難を逃れたな………一子、もうやらなくても大丈夫だぞ。」
「ん~~ッ!……え。」
ようやく意を決した一子が目を閉じて顔を悠に近づけていたが、ゼノヴィアの一声により、呆然としたまま固まってしまう。
「は、はわわわわわ…!!」
「ハハ、邪魔してすまなかったな。向こうを向くから気にせずするといいさ。」
「で、出来るかぁーーッ!!」
真っ赤になった一子を揶揄ったゼノヴィアは宣言通り一子に背を向けるが、一子はゼノヴィアの背中をポカポカと叩いた。
一子がゼノヴィアの元に行ってしまった為に今の悠は地面にうつ伏せの状態で寝かされていた。そう、完全に無防備な状態だ。
そんな絶好のチャンスを、遠く影に隠れて一部始終見ていた者が、遂に動く。
(今だ!)
「ん?…なんだ?」
「へ?何々?なんぞや?」
「んもぉーーッ!!」
「ハッハッハッハ。オイオイ一子。そろそろその辺に…ッ!?」
「うわ!?何ッ?そ、そんなに痛かった?」
「お前は…。」
ゼノヴィアが背後を振り返ると、倒れてる悠の傍に立つ一人の男。茶髪で若いその男はゼノヴィアもよく知ってる人間、否、悪魔だった。
「兵藤!どうして此処に…?」
「貰うぞ!……お前の、力ァァァァッ!!」
悠にの傍に立つ男、一誠は、手に持った黒い時計の様なガジェットを起動させると、それを悠の体に押し付けた。
ーGuoooooooo!!ー
鏡像の世界・ミラーワールドではとある異変が起こっていた。
悠が契約しているモンスター、ドラグブラッカーの体が消えかかっていた。ドラグブラッカーだけでなく、ダークウィングやベノスネーカーも、契約を結んだモンスター達が次々とその存在が最初から無かったように消えていく。
ーGuoooo…──ー
そして最後まで残っていたドラグブラッカーも、最後まで咆哮をあげる事無く、消えていったのだ。
そして現実世界では、一誠が悠の体に押し当てていた時計を離すと変化が起きる。無機質な時計の画が、光の針が一周するとある無機質な画から顔の様なモノ描かる。
一誠はその変化を見ると、歪な笑みを浮かべ、狂った様に笑い出した。
「ハハ…アッハッハッハッハ!!やった!!奪ってやったぞこのクソ野郎から!!ハハハハハ!!」
「おい兵藤!一体悠に何をしたんだお前!」
「ククク…ゼノヴィアァ、待ってろよ、今オレがちゃんと…元通りにしてやっからよぉ!!」
<< RYUGA >>
一誠は時計型のガジェット、アナザーウォッチを起動させるとそれを自身の体内へ埋め込んだ。するとくぐもった不気味な音声と共に黒い帯に包まれるとその姿が大きく変わる。
「ッ!?…んだよソレ…。」
「アレって、灰原の…。」
「な、何アレ…怖い。」
「ッ…兵藤、貴様…!」
一誠の変わった姿に、レーザーとドライブが困惑し、一子がその姿に畏怖し、ゼノヴィアは逆鱗に触れたように怒りを露わにする。
全身が強固な龍の鱗を鎧の様に纏い、左手には巨大な黒い青龍刀、右手は黒い龍の頭部が籠手となっており、格子状の鉄仮面に覆われた頭部の奥には赤い目と剥き出しになった歯牙が禍々しい要素を出していた。
そして特に目を見張るべきが胸部に書かれた数字と文字。”2019”の数字と、”RYUGA”の文字がイヤでも悠の変身するライダー、仮面ライダーリュウガを思わせていた。
『ハハハハハ!!感じる、凄い力だ!これで、これでオレも…仮面ライダーだ!!』
歴史を歪ませるもう一人のリュウガ…アナザーリュウガが狂気の産声を上げた。
そしてその誕生の瞬間を、元凶であるアベルはビルの屋上から足をブラブラと揺らしながら大層満悦そうに眺めている所に、背後からくる気配に気付いて振り返らず話し掛ける。
「どうだい?中々に面白そうだろう、カイン?」
「色々と聞きたい事があるが…何だいあの時計は?
ライダーの力を奪い、尚且つあのような姿にさせるアイテムなんて、私は知らないんだが?」
「あぁアレ?この世界を創る前に面白い男と会ってね。なんでも、平成ライダーの歴史を消したい、とかいってさぁ。」
「なんだって?」
「んで、興味を持ったボクはその為に必要な人柱を彼に教えたんだ。あのウォッチはそのお礼に貰ったんだよ。」
「歴史…人柱……まさか、特異点?」
「正解♪やっぱこれだけ言えばすぐ分かるよね。
でも彼失敗したみたいだよ?だって、なーんにも変わって無いし。」
「…白々しいな。」
「ん?」
「最初からその男の野望が失敗すると読んでいたから特異点を教えたんだろう?平成ライダーの存在が消えれば、お前がゲムデウスの力を得ることが出来ないからな。」
「あぁーー……バレた?」
振り返ったアベルの顔は、イタズラっ子が見せるような笑みを神太郎へ向けていた。
「フゥ…そんな事よりも、そのウォッチとやらと、あのリュウガモドキについてまだ聞いてないが?」
「あっとそうだったね。
まぁカンタンに言っちゃえば、アレは歴史を歪ませる裏の仮面ライダー。アナザーライダーだって。」
「アナザーライダー…。」
「そ、差し詰めアレはアナザーリュウガ。現時点を持ってこの世界の仮面ライダーリュウガは灰原 悠ではなく、兵藤 一誠となったのさ。」
『ハハハハ!アハハハ!!』
「おいテメェ、悠兄さんに何やったんだよ。奪ったってのはどういう事だ!!」
『見ての通りだよ!コイツから力を奪ってオレのモノにしてやったんだよ!!
コイツがやったように…!オレが手に入れる筈のモノを全部コイツが…!!』
「何言ってか知んねぇけどよ…とにかくぶっ潰さなきゃいけねぇってのはよぉーく分かったぜ!!」
「待て秋!迂闊に行くな!!」
レーザーはドライブの言葉を振り切り単身でアナザーリュウガへ挑みに走る。
アナザーリュウガは右手の籠手に黒炎を灯し、龍の顎から火炎弾をレーザーへ放つ。レーザーは向かって来る火炎弾を飛行する事によって回避し、空からガトリングを見舞わせた。
「オラオラオラァ!!」
『くゥ…ッ!──うっとおしいんだよぉ!!』
青龍刀と籠手で防いでいたアナザーリュウガの右手に鏡像が重なると、黒い龍の頭部から紅色のエイのような形となった。
するとアナザーリュウガはエイになった右手をレーザーへ向けると、アナザーリュウガの右手からエイが発射する形で飛んでいった。
「な、なんだぁアリャ!?───ウワァァッ!!」
飛び出たエイは自立型の誘導弾の様に自在に空を掛けガトリングの弾を躱し、レーザーの元へ辿り着くと大きく爆発。アナザーリュウガの右手から飛んで行ったエイの正体は、自立型のミサイルだったのだ。
「グァァッ!──な、んだってんだ…!!」
「秋!大丈夫か!?」
『ハハハハハハハ!スゲェなオイ!!コレが仮面ライダーの力か!!
もっと!…もっとぉ!!』
地上へ落ちたレーザーの元へ駆け寄るドライブを他所に、アナザーリュウガは自身の力に酔いしれながらも今度は右手を水色の鮫の頭部へと変えた。
口を大きく開いた鮫の口部にはびっしりと並んだ歯がレーザー達へ向けられると、鮫の口部から高圧水流が発射される。
消防車から放たれる勢いを軽く超える程の威力を持った水流はレーザーとドライブを軽く飲み込み、二人は成す術無く吹き飛ばされていった。
「グァァアアッ!!──」
「ヌォァァァァッ!!──」
「秋!」
「遠山君!」
『ハハハハハハハハ!!
まずはお前達からだ!!消えろッ、この異物共がぁぁぁぁぁッ!!』
吹き飛ばされたレーザーとドライブにトドメを刺すべく跳びかかったアナザーリュウガ。左手の青龍刀を振り下ろしたが、突如横から現れた人物にその刃は止められた。
『あ゛ぁ!?なんだお前ェ!!』
「ッ、おやっさん!」
「神太郎さん!?」
「ッ──大丈夫か二人共!?ヌァァッ!!」
ソードモードのブレイカーで受け止めた青龍刀を弾き返したのは、ゾンビゲーマーとなったゲンムだった。
下がって距離を取ったアナザーリュウガは、忌々し気に三人のライダーを見るが、その視線が外れて全く別の存在を目に捕らえる。
一子を後ろにデュランダルを構えてるゼノヴィアを、仮面で隠した赤い瞳で見つめながら自身を鼓舞するかのように自らの野望を口にしだす。
『やってやる!奪い返してやるぜ!!オレのハーレムをなぁ!!』
「オーォー♪いいカンジじゃない。流石は主人公クンだねぇ…さて。」
一方のアベルはビルから降り立ち、地面に倒れてる悠の元へ歩み寄っていた。
「ん~、にしても丁度イイタイミングでエンストを起こしてくれたもんだよ。普段のキミだったらこういう展開にはならなかっただろうしね♪
だから…。」
ウキウキと興奮しながらアベルは懐から更にウォッチを、それも二つ取り出し、それを悠へと押し付けた。
「キミはたくさん持ってるからね♪折角だからもうちょっと、その力を頂くよ♪」
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三つの力が奪われても尚、悠の覚醒の兆しは見えなかった。
アナザーリュウガ(本作バージョン)
能力/契約モンスターによって変わる籠手の攻撃
ジオウも遂にクライマックス!克己ちゃんでレジェンド終わるかと思っていたが、まさかのチェイス!?
映画で剛とベルトさん出たのに本編ではチェイスとは、どうせなら進兄さんも出してあげれば良かったのに。