「今回は俺があらすじ紹介するぜ!
悠兄さんが悠爺さんになっちゃってどうにか戻そうと外へ出かけた矢先にザコ怪人集団が襲って来たと思いきやソレは罠!
兵藤のヤツが悠兄さんからライダーの奪ってリュウガモドキになっちまいやがった!
一体どうなる最新話!」
「なぁ、何でオレこんな狭いとこに連れてこられたんだ?」
「え、だってキンジセンパイ補欠メンバーになったからその紹介にだけど?」
「補欠!?結果的にマジで加入してんのオレ!?」
「大丈夫大丈夫。補欠だからそんな重労働じゃ無いよ?
悠兄さんとロン毛のケンカ止めたり、ウラナの面倒見たり、おやっさんの面倒見たり、メシの買い出し行ったりとか。」
「それってただの雑用じゃねえか!!仮面ライダー要素全然無いし!」
ゲンムがレーザー達と合流する前、ビルの屋上で神太郎はアベルに対しアナザーリュウガ、兵藤 一誠の事に着いて問い詰めていた。
本来なら一誠は、悠が掛けた暗示によって真面目な好青年へ変わり、今も周囲の信頼回復の為に日夜励んでる筈。それが何故アナザーリュウガとなって敵対しているのか、その真意を元凶であるアベルの口から聞き出していた。
「アベル。彼に一体何をしたんだい?
今の兵藤 一誠の人格からでは、あのような暴挙にでる筈が無い。」
「べっつにィ~?掛けられていた暗示と、消された記憶を元に戻してあげただけ♪ゲムデウスの力なら、ちょちょいのちょい♪てね。」
「余計な事を…だがそれだけでは無いんだろう?
記憶を消されたのと暗示を掛けた腹いせにあの様子、どう見ても不自然だ。お前が何か焚きつけたとしか思えないんだがな。」
「フフッ…そんな難しい事はしていないよ。ボクはただ、教えただけさ。
彼が、兵藤 一誠が本来歩む、栄光の道をね──。」
「…うァ…ゥ…プ…ッ!」
アベルの前には、吐き気を抑え込んで蹲る一誠の姿。
先程一誠に厳重に駆けられた暗示と失った記憶の伝達。そして彼にとって身に覚えのない記憶を脳に送り込んだ影響で処理が追い付かず混乱しているようだ。
そんな一誠の頭の中では、支配する様に自身が赤い鎧を身に着け戦っている場面がイヤでも浮かんでくる。
北欧の神と神獣の狼が、黄金の獅子の鎧を身に着けた筋骨隆々の青年が、聖槍の神器を手にした漢服の青年が。
数分経つ頃にはやっと記憶の全容を飲み込むことが出来たのか、激しく運動したかのような汗と荒い息遣いで顔を上げアベルを見上げる。
「なんなんだアンタ…?さっき頭に流れ込んできた、アレは…?」
「ボクかい?ボクはしがない神、とだけ言っておこう。
先程キミが見た記憶は、本来ならばキミが歩むべき栄光の道さ。」
「栄光の、道?…オレが、さっき見たアイツ等と戦う事がか?」
「あぁ。キミはあらゆる困難、強敵とぶつかり、見事打ち勝って栄光への道を進むんだ!
そしてそのご褒美として、キミはあらゆる美女のハートを掴むんだよ♪」
「ハート…そ、それってつまり、ハーレムって事か!?そうなんだよな!?なぁ!!」
「あぁ勿論だとも!キミは歴代最強の赤龍帝の名に相応しいウッハウハなハーレムライフを過ごすのさ!
そう…それが本来のキミの辿る物語りならね。」
「ど、どういう事だよ!?」
「本来この世界に居るべきでない存在がメチャクチャに好き勝手してる所為で色々ズレが出たんだよ。
キミが倒すべき敵も、訪れる展開も、ソイツが壊しまくってるのさ!」
「な…ふ、ふざけんじゃねえ!!誰なんだよソイツは……ッ!もしかして…!」
「お察しの通りだよ♪今や世界中が注目してる謎に包まれた存在!……仮面ライダー、そう、キミを可笑しくさせた灰原 悠の存在がこの世界を狂わせているんだ♪」
「ッ…アイツが……あの、クソ野郎の…ッ!」
[惑わされるな!!その男の言葉に耳を傾けるな!相棒!!]
「ッ!ドライグ!?」
突如一誠の左腕が光ると、左腕に一誠の神器である赤龍帝の籠手が現れ緑の宝玉越しに一誠とアベルの会話の間に強引に入り込んだ。
[良いか相棒、よく聞け!あの男がお前をあんな人格に変えたのか、それはッ──ッ!?グァァァアアアアッ!?]
「ドライグ!?」
「ダメダメダメダメェ。まだ話の途中なんだから、躾のなってないトカゲちゃんは、めッ!だぞ♪」
アベルが宝玉に妖しげなオーラを帯びた人差し指をチョンと触れた直後に、神器の中のドライグが悶え苦しむ絶叫を上げる。
「ドライグ!おいドライグ!!
お前!ドライグに何をしたんだよ!?」
「まぁまぁ落ち着いて、すこーしおねんねさせた・だ・け♪
さて、話は戻すけど、キミがさっき見た記憶の中で、今と違う光景が見えたよね?どんなんだった?」
まるで小さい子供相手にニコニコと笑みを浮かべるアベルの得体の知れなさに恐怖心すら覚える一誠は、言われるがままに先程の見せられた記憶の映像を思い返す。
鎧を纏った自分が、見知らぬ相手と死闘を繰り広げ戦い、最後にボロボロになりながらも勝利を掴む姿。
そしてそんな自分を取り囲むオカ研の仲間達と愛する女性…。
「…アレ?なんで…。」
「気付いたね?そう確か例の彼にベタ惚れの彼女。ゼノヴィアって言ったけ?
彼女ねぇ、本当なら今頃グレモリー眷属になるだけじゃなくて、キミの強さにホの字になっていたんだよ?」
「ハァッ!?ぜ、ゼノヴィアが、オレの事を…!?」
アベルに対し警戒心を露わにしていた一誠だが、アベルの一言によって態度は一変。目の色が変わった一誠にアベルは追い打ちをかけるべく、一誠の耳元で囁くように言葉を投げる。
正に、悪魔の囁きとも言える呪文を。
「悔しいよな?本来ならキミが受けるべき愛情を彼が受けて。
恨めしいよな?彼女の身も心も、キミを嘲笑うかの様に彼は好きにしているんだぜ?
そんな彼はキミに何をした?キミの活躍所か、頭を弄って、大好きなモノすら奪ったんだぜ?
そんな彼を、灰原 悠を……殺したくないか?」
「…殺、す………アイツ、を…。」
「そうだ。そうすれば全て元通り。
キミの栄光も、ハーレムも、そして、ゼノヴィアも。彼女の身と心をキミが好きに出来るんだぜ?
なら、どうするべきか。ん?」
「……殺す。アイツを、灰原を……殺す!!」
俯かせていた顔が上がるとその瞳には明確な殺意が宿っていた一誠。アベルは何も言わず口元を歪ませながら、一誠の手を取り、その手にブランクのライドウォッチを持たせる。
「それならコレを使いたまえ。コレはキミが彼と同等の力を得る為の、仮面ライダーの力を奪い取れるアイテムさ。
それを使って彼から力を奪い、殺したまえ。それが奪われてきたキミがすべき正当な報復さ。
その為のチャンスはボクが作っておこう。キミはその時が来たらコレを使うんだ。いいね?」
「…殺す…アイツを、オレが…!この手で……!」
一誠はまるで憑りつかれたように呪詛を吐きながらウォッチを手に路地裏から立ち去っていく。
その後ろ姿をアベルはただ笑みを浮かべて眺めていた。ショーを間近に楽しむ無邪気な子供のように。
「───とまぁこういうカンジで、赤龍帝・兵藤 一誠は、歪んだ世界を正す為仮面ライダーとなって、元凶を打ち倒すのだった!…的なフレーズが映えるかな?」
「……ハァ。全く、この世界に来てからホントいい性格になったようだな。」
「へ?」
「確かに彼等、仮面ライダーがこの世界の流れを大きく変えただろう。
だが、それを抜きにしてもこの世界は幾つもの世界が合わさって生まれた、本来なら存在して有り得ない世界だ。
そんな世界で、基は一つの世界の物語が何の問題なく進んでいくと?」
例えばの話をしよう。
もしも仮面ライダーの存在が大きく知れ渡ったコカビエルの大規模テロ未遂事件。
その事件に灰原 悠ではなく、暁 古城がなんらかの形で巻き込まれたら?
彼は第四真祖の力を使いコカビエルを倒す事で三大勢力、その他の勢力に目を着けられた結果、彼が本来辿るべき物語に加え、自然と冥界のテロ騒動等に巻き込まれていく騒然とした道を歩む事になっていただろう。
もしも遠山 キンジを含めた武偵達が、犯罪組織イ・ウーと対面した際に、戦闘狂である川神 百代が風間ファミリーを引き連れて介入してきたら?
イ・ウーを難無く無力化し逮捕したか、将又逆に、無理な介入の所為で武偵側の状況が悪化し逃げられるか。その際の負傷者、又は死傷者も出る。
どちらの結果にせよ、キンジを達も大きく歩んでいく道を外れる羽目になっただろう。
「だから必ずしもこの世界の兵藤 一誠が本来の物語の通りに事が進めない可能性が大いにある。
そんな事はこの世界を作った張本人のお前が一番知っている筈だ。
…アベル。いい加減話してくれないか?お前は何を企んでこの世界を創った?ゲムデウスの力で何をするつもりだ?」
「……なぁカイン。お前さぁ、自分がカミサマで良かった、なんて思った事あるか?」
「?…どういう…。」
「あ、アレ助けなくていいの?やられちゃうけど。」
アベルが指差す方には、水流で吹き飛ばされたレーザーとドライブにアナザーリュウガが青龍刀を手に跳びかかって行く場面。
神太郎はすぐさまゲーマドライバーを装着し、ビルの屋上から飛び降りた。
「ボクは…オレはね、カイン。自分がカミサマで良かったなんて思った事ないんだ。だって……。」
『しゃらくせぇんだよお前等ぁ!!消えろォッ!!』
「「「グァァッ!!」」」
そう言いながらアナザーリュウガは、右腕の籠手を巨大な角が生えたサイの頭部に変え向かって来た三人のライダー達を力技で弾き返した。
その後、サイから紫の体色をしたコブラの頭部に変えると、右腕を大きく振るう事でコブラが鞭の様に不規則な動きで翻弄し、口内に鋭く生えた牙でボディへと傷を付けた。
『アッハッハッハッハ!!最高だな仮面ライダーってのは!!赤龍帝なんかと全然違う!!
コレがあればオレは何でも出来る気がしてきたぜぇ!!ハッハッハッハッハ!!』
「ッ…悠兄さんの力だってのに、言いたい放題言いやがって…!」
「でも実際歯が立たねぇ…!」
「コレがアナザーライダーとやらの力か…!」
「フフフ♪思ってた以上に使いこなせてるなぁ彼。この調子ならこの二つを持たせても…っとォ!!」
「ハァッ!!」
突如感じた気配にアベルはその場を飛び退くと、自身の頭があった場所に大剣の切っ先が通った。倒れてる悠にアベルと入れ替わるようにしてゼノヴィアと一子が傍に立った。
「貴様!先程悠に何をした!?それと兵藤のあの姿はなんだ!!アレはまるで…!」
「お察しの通りだよ。アレはそこに倒れてる彼の力。
もっと詳しく言うなら、仮面ライダーリュウガは彼ではなく、兵藤 一誠となったのさ♪」
「ッ!…貴様…ッ!」
「ゼノヴィア駄目!!アタシ達じゃ敵いっこないよ!」
「しかし…!」
「ゼノヴィア君!一子君!!悠君を連れてこっちへ!!早く!!」
アベルに対し敵意を向けるゼノヴィア。そのまま感情任せにアベルへ斬りに掛かって行きそうな彼女を一子が止める中、ゲンムが二人に向かって叫んだ。
ゲンムからの呼びかけにゼノヴィアはアベルに対して睨み続けながらも一子と共に悠を運んでゲンム達も元へ。レーザーとドライブがガトリングとスチームガンでアナザーリュウガを牽制して足止めするなか、二人はゲンム達と合流した。
「よし!ココは一先ず撤退するぞ!!キンジ君、その銃を!!」
「え!?あ、ハイ!!」
『ッ!させるかぁ!!ゼノヴィアを置いていけぇ!!』
ドライブは言われるがままにネビュラスチームガンをゲンムへ手渡す。アナザーリュウガはゲンム達が撤退するに感付いて阻止しようと、レーザーのガトリングに被弾しながらも、特攻して来た。
「上手くいってくれよ!───ッ!!」
ゲンムはスチームガンのトリガーを引くと、銃口から出たのは弾丸ではなく黒い煙がゲンム達を包み込む。
黒い煙に包まれ姿が見えなくなり、アナザーリュウガは青龍刀を振るって煙を払ったがそこには誰も居らず、完全に逃げられた後だった。
『ッ~~!!ウガァァァァァァッ!!!!
あの野郎どもォ!!オレのッ!オレのゼノヴィアをォォォッ!!』
「あ~らら。逃げられちゃったね♪」
感情を抑えきれず手に持った青龍刀で瓦礫を壊したり地面に叩き付けたりしてるアナザーリュウガに、ケラケラと笑いながら近寄っていくアベル。
アナザーリュウガは八つ当たりにアベルへ青龍刀を振るいそうになるが、アベルの手にしてる二つのアナザーウォッチを目に捕らえた。
『お、おいソレ…!!』
「あぁ。丁度隙だらけだったから貰ってきたよ。良かったら使うかい?」
『寄こせ!…おぉ…!!』
半ば奪い取る形でアベルから二つのアナザーウォッチを手に入れたアナザーリュウガ。ウォッチを手に感慨深く胸に広がる愉悦感に浸る姿は正に憑りつかれたと言って良い様子だった。
『これだけあれば、オレは理想のハーレムを造れる!!……そうだ、これでアイツの女共だって…!』
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一方、ネビュラスチームガンの持つワープ能力で灰原宅へ帰還したゲンム達。
突如としてリビングに現れた黒い煙から六人も出て来たとあって家の中で一騒動が起こりかけ、その際に悠の顔がゼノヴィアの胸部に埋もれたというハプニングもあって、悠が目覚めた時に起こるであろう面倒事が一つ増えたと記しておく。
そんな事はさておき、ライダーの力を奪われた所為か意識を失ってる悠を部屋に寝かせ、神太郎達はラボへ集まる。
重々しい空気が漂う中、神太郎がアベルから聞いたアナザーライダーについての全容を秋達へ話していた。
「──とまぁ、あのウォッチとかいう時計でライダーの力を奪い、それをあのような形で使うのがアナザーライダー、アナザーリュウガという訳さ。」
「んだよそりゃ…あんなのが仮面ライダー?どっちかというとライダーよりの怪人じゃねえかよ…。」
「どっちとも言えるかもね。で、問題はここから。
ゼノヴィア君達から聞けば、アベルがさらに二つもウォッチを持っていたという事だ。」
「それって、単純にアナザーライダーがあと二体出て来るって事ですよね?」
「あぁ。悠君の持ってるベルトを見てみたが、リュウガのカードデッキを含めてライダーベルトと戦極ドライバーが無くなってる。故に…。」
「アナザーダークカブトと、アナザー武神鎧武って事?
うわぁ~、武神鎧武はともかくクロックアップ使えるダークカブトか…ちょっと厳しいか?」
「…?、ゼノヴィアどうしたの?なんか顔色悪いよ。」
「……すまない。私の責任だ。
私が、悠を外に連れて行こうだなんて言ったばっかりに、こんな…。」
「いやいや、こりゃゼノヴィアちゃんだけの責任じゃないっしょ。
向こうの狙いが悠兄さんだって気付かず易々と乗せられたオレにも責任あるし。」
「それを言っちゃオレもあるよなぁ。アイツの近くに居たのはオレだし。」
「ゼノヴィア一人が気にする事じゃ無いよ。アタシだって悠の傍にちゃんとついてればあぁならなかったのかも、って反省してるんだし…此処は皆で痛み分けしよ、ね?」
「一子、秋、キンジ……すまない。」
「そういえば兵藤のヤツ、なんかやけにゼノヴィアに関して執着してなかったか?
逃げる時もゼノヴィアの名前言ってたし。」
「…あ、言われてみれば。そういや他にもハーレムだとかなんとか…。」
「多分アベルが何らかの洗脳を施してる可能性が高いね。今の彼は正気では無いから何を起こすか分からない。急いで彼の行動パターンを読んで止めないと。(危ない危ない。下手に勘繰られてしまったら一大事だ。)」
神太郎がキンジの気が付いた点に関して知られたら不都合な為、これ以上探られないよう上手く誤魔化し、話は一誠の次の行動についてとなった。
「う~ん。灰原の仮面ライダーの力を奪った兵藤が次にしそうな事…。」
「あ!分かったのぞきじゃね?リュウガなら鏡の中に入れるから、それで女湯とか!」
「おい秋。いくらなんでもそれは……いや、これまでの悪評を考えればそれも無くはない、か?」
「えぇッ、やだぁそんなの…。」
「…そういえば兵藤のヤツ、奪い返す、と言っていた。それで悠を目の敵に…あ。」
「「あぁ!!」」
「へ?なになに!?」
「しまった。何で私も早く気付かなかったんだ…。」
ゼノヴィアの発した言葉がピースとなって一子を除く面々が一斉に気付いた。
一誠の狙う標的が、自分達のすぐ近くに居るという事に。
一方その頃、意識の無い悠を自室のベッドにて寝かされている姿を、ラ・フォリア含む中学生組が見守って…否、睦月や夕立に髪をいじられてツインテールの頭にされながらも、まだ起きる気配は一向に無い。
「…お兄さん。起きませんね。」
「心配せずとも大丈夫ですよ夏音。悠ならその内目を覚まします…。
ですので今度は、この鼻メガネを掛けてみましょうか!」
「あの~、いくら目を覚まさないからってそういうイタズラして大丈夫なんですか?」
「吹雪ちゃん!そういう細かい事は後回しでいいにゃしぃ!」
「見て見て!花丸ほっぺっぽい!」
「あら、カワイイですね。」
「えっとぉ…ど、どうしようか夏音ちゃん?」
「え、えっと…と、取り敢えず顔拭くタオルとお水持ってきます、でした…!」
「あ、それなら私も手伝うよ。」
「う~ん、何かイマイチ…あ、そうだ確か如月ちゃんに貰ったリボンが部屋に!」
「夕立も探してくるっぽい!」
夏音と吹雪は悠の看病する為の道具を取りに、睦月と夕立は悠を着飾るための小道具を取りに部屋を出て、残っているのはラ・フォリアだけとなった。
残されたラ・フォリアはベッドに肘を乗せながら、ツインテールで花丸ほっぺの悠の頬を指先でツンツンと突いく。
「大変な目に逢っているというのに、お可愛い顔で寝ちゃって…。」
ーキィィィィィン…キィィィィィン…ー
「?…何ですかこの音?……ッ!!」
『フゥゥゥ…へへ。こりゃイイぜ。』
突然彼女の耳に聞こえる不気味な金切り音。音の出所を探すラ・フォリアは、机の上に置かれていた手鏡が水面の波紋の様に揺れてるのに気づいた直後、手鏡から黒い影、アナザーリュウガが現れた。
ミラーワールドを通じて、誰にも気づかれる事無く直接乗り込んで来たらしい。ラ・フォリアは眠ってる悠を庇う様に、アナザーリュウガへ銃を突き付けた。
銃を突き付けられたアナザーリュウガは臆する様子も無く、ラ・フォリアを見定めるような視線を向けている。
「アナタですか。秋の言っていたライダー擬き、というのは。」
『擬きじゃない!オレが、オレが仮面ライダーなんだよ!そこで寝ているヤツよりずっと強い、最強のな!』
「あら、ジョークがあまり得意でないのですね。お世辞にも笑えません。」
『こうしてソイツから奪ってやったのがその証拠なんだなんよ!だから…。』
「ッ!」
アナザーリュウガは、ラ・フォリアの持つ銃を青龍刀で弾き飛ばし、彼女の手を掴んで自分の方へ引き寄せた。
『お前も、オレのハーレムの一員になれよ。アンタはソイツが強いから、仮面ライダーだから好きになったんだろ?だったらオレの事も好きになってくれるよなぁ?』
「………。」
『安心しろよ、オレはソイツと違って悪魔で赤龍帝だ!この力で直ぐ上級になれれば将来は安定、アンタも悪魔になれば綺麗なまま長生き出来「お断りします。」…なんだって?』
「お断りします、と言いました。アナタはどうも女性の気持ちが分かっていないようですし…。先程から私の胸ばかり見ているのも不快ですし。だから…。」
ラ・フォリアは掴まれていない手に、シフトカー・バーニングソーラーが握られた手をアナザーリュウガの眼前にまで持ってくと、バーニングソーラーから眩い発光が起こった。
『グァァッ!?目ッ、目がァ!!』
「こうした手も見透かせられないんですよ、下心ばかりでは。」
『ッ!!こんの…ッ!』
「うりゃあ!…ッ!てんめッ何やってんだよ!!──変身ッ!」
<< HENSHIN >>
『ッ!──放せッ!!』
「ウオォォォォッ!!!───ッ!!」
アナザーリュウガが目を抑えながらもラ・フォリアへ詰め寄ろうとしたその瞬間、部屋のドアが蹴破って中に入ってきた秋がガタックに変身しながらアナザーリュウガにしがみついたまま窓をぶち破って部屋から外へと出た。
残されたラ・フォリアは腰が抜けたように床に座り込むと、入れ替わるようにゼノヴィアと一子、吹雪達が駆け寄ってきた。
「ラ・フォリア大丈夫か!?ケガは!?」
「ご、ごめんないラ・フォリアさん!!わ、私達、みなさんを守らなきゃいけなかったのに…!」
「…えぇ。なんともありません。ただ少し安心して腰が…アハハ。」
「よかったぁ、ユウも無事……なんだよね、コレ?」
こんな時になっても、悠は一向に目を覚まさなかった。
『グゥ…ッ!』
「よっと!──よォ、悠兄さんだけじゃなくてラ・フォリアちゃんまで手ぇ出そうとしやがって!覚悟しろよこのライダー擬き!!」
ガタックによって外へと連れ出されたアナザーリュウガ。ガタックの言った言葉に反応しているのか、肩を震わせていた。
『擬き、じゃねぇ!…オレは……仮面ライダーだぁぁぁぁぁぁッ!!!』
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「ッ!──カブトになりやがった!」
怒りの叫びと共にその身をモヤに包んで変えた姿。黒い甲殻類のような外皮に身を包み、腰に巻かれてるベルトには土に埋もれている幼虫が収められ、頭部は額から兜のように黒い一本角と黄色い目の中に手の指が入り込んでいる。そして両足には、”2019”と”DARK KABUTO”との文字が書かれていた。
まるでワームのサナギ体とダークカブトを合わせたアナザーライダー、アナザーダークカブトは剥き出しの口から唸り声を上げながらガタックを睨みつけた。
『ウ゛ウ゛ゥゥゥゥゥ…ッ!!』
「へッ、予め予想ついてたからそんな驚いてないぜ!その為にコイツにしたんだしよ!──キャストオフ!」
<< CAST OFF! >>
<< CHANGE STAG BEETLE! >>
「クロックアップ──ッ!」
<< CLOCK UP! >>
『ウ゛ゥッ!!』
<< CLOCK UP… >>
ガタックと比べて低くくぐもった音声と共にアナザーダークカブトもクロックアップで高速の世界へ。
カリバーを手に攻めて来るガタックに対し、アナザーダークカブトは無手で挑むが、武器が有る無いでは流石に差があるらしく、アナザーダークカブトはガタックに圧されていく。
二刀による上段、袈裟懸け、逆袈裟懸け、切り上げ、横薙ぎの連撃に、アナザーダークカブトは体から火花を散らす。
「セイッ、リャアァッ!!」
『グァァァッ!!』
連撃のシメと言わんばかりの、仰け反った状態から勢いよく振り下ろした二刀の上段にアナザーダークカブトは地面を転がる。尽かさず距離を詰め追撃を仕掛けるべく、ガタックは起き上がろうとするアナザーダークカブトにカリバーを振り下ろした。
「セアァッ!!──」
『ッ!!──ッ!』
<< PUT ON…>>
「ラッ!──ッ!?んだそりゃ!?」
振り下ろしたカリバーの一撃は、アナザーダークカブトの外皮に傷着ける事無く、何層にも重ねたゴムの弾力によって跳ね返された感触を感じながら目の前の立ち上がってきたアナザーダークカブトを見据える。
黒から一変して白い装甲、というよりも丸みを帯びた肉片とも呼ぶべき鎧は、サナギになる前の幼虫に見える。黄色の目と口以外を全て肉の鎧に包んだ姿は、アナザーダークカブト版のマスクドフォームと言った所だ。
丁度この時、アナザーダークカブトが立ち上がったと同時にクロックアップの効果が切れ、時間の流れが元に戻る。
『フフフ…今、何かしたか?』
「あぁッ!?上等じゃねえかこの野郎!!」
アナザーダークカブトの挑発ともいえる言動にガタックは悠のライダーの力を使う一誠に対して感情的になっていたのもあってか易々と乗っかってしまう。
カリバーをアナザーダークカブトを斬り付けるために振るうが、弾力性に富んだ肉の装甲に刃が通らず、ダメージが入らない。
「んだこれ!?まるでゴムの塊みてぇ…!」
『終わりか?なら、こっちの番だァッ!!』
斬撃に対する攻撃が効かないと察したガタックに、アナザーダークカブトは此方の番だと言わんばかりの攻撃をガタックへ見舞わす。
攻撃はインファイトによる打撃だが、防御面に優れてるだけでなく、パワーの性能も上がるマスクドフォームの
一撃はガードしたガタックを怯ませるほどの一撃を有していた。
「グッ…!!」
『オラオラァ!!さっきまでの威勢はどうしたァ!?』
アナザーダークカブトはガタックへの攻撃の手を休めず、寧ろ勢いを増して殴り掛かって行く。ガタックは重い一撃を防ぎながら下がっていく防戦一方で、反撃に打って出ても、肉の鎧の前にカリバーの刃は通らず、蹴りを繰り出しても怯む様子は一切見られない。
<< CAST OFF… >>
「ッ!?──ウアァァッ!!」
『ッ──フゥゥゥ…ハッ!』
低いくぐもった音声の内容を聞き入れた瞬間、身を包んでいた肉の鎧が弾かれ、至近距離に居たガタックは弾き富んだ肉片を受けて吹き飛ばされる。
本来の姿になったアナザーダークカブトは、ベルトに触れると電撃らしきエネルギーが頭部の角に集まった直後右足へ、そのままガタックに向けて跳び、必殺のキックを叩き込んだ。
「グァァァッ!!──」
『フハハハハハッ!良いザマだなァ!オレに楯突くヤツは皆、オレに倒される運命なんだよぉ!!』
「ふッ…ざけんなッ!ソイツは元々悠兄さんの力だろうが…!他人の力でデカい顔しやがって!」
『もう違うって言ってんだろ!オレが仮面ライダーだ!!ハーレムを築けられる、強いヤツなんだよぉぉぉッ!!』
<< STAGE SELECT! >>
『あ?なんだよ…?』
「これって…ッ、おやっさん!」
突如、辺りの風景が住宅街から廃工場らしき場所へと変わり、ガタックはこの現象がゲーマドライバーのステージセレクトの能力だと気づくと、倒れたガタックの前にゾンビゲーマとなったゲンムと超デッドヒートのドライブが庇う様に現れる。
「やれまったく、先走りが過ぎるよ秋君。相手は悠君のライダーの力を使うが、未知数の相手だ。慎重にいかないと足下を…云わずとももう味わったか。」
「ぅ……面目無いっす。」
「とにかく少し休みたまえ、思ったより傷が深いようだしね。
キンジ君。先程も言ったが、キミはもう無理する必要は無いんだぞ?」
「本音言えば喜んで下がりたいっすけどね。でも状況的に見て、ザコなオレでも居ないよりはマシでしょうに。」
「そうか、心遣い感謝するよ。約束の報酬を何割か上乗せしておこう。」
「そりゃどーも。お陰でやる気出ましたわ。じゃあ基本オレが後方支援って形で。」
「あぁ。援護は任せた───思う存分神の才能を見せ付けてやろうぞォッ!!行くぞアナザーライダァァーッ!!」
「キャラ変わり過ぎだろ!?」
「キンジセンパーイ。アレ、何時もの光景なのよ。」
『ハッ!何人来ようが無駄なんだよぉ!!』
<< BUZIN GAIM >>
ソードモードのブレイカーを手に振り回しながらアナザーダークカブトへと駆けるゲンム。そんなゲンムを嘲笑いながらアナザーダークカブトはもう一つの姿へと変わっていった。
紺色の着物らしき服装の上に赤の鎧を纏い、刀が頭に突き刺さったかのような頭部の後ろには長く白い髪が垂れている。鎧の赤みは紅葉の落ち葉を思わせる色合いだが、よく見ると僅かに黒味を帯びており、返り血を浴びたようも見える。
身の丈並みの大きな大剣を肩に担ぎ、目を覆う白いバイザーに血走っているかのような赤い線が入っている顔を上げたソレの両肩には”2019”と”BUZIN GAIM”の文字。
ブレイカーを大胆なモーションで振って来たゲンムに、アナザー武神鎧武は大剣を振り下ろし、ブレイカーを弾いた。
「ムゥ!──今度は武神鎧武か!!」
『ウオォォォォォォォッ!!』
「神太郎さん!───ッ!!」
雄叫びを上げながら大剣を構えゲンムへと特攻を仕掛けるアナザー武神鎧武。
ドライブはいち早くゲンムを援護射撃できる場所へ移動すると、ネビュラスチームガンを構えアナザー武神鎧武に向けて発砲。足下に三発ほど撃ち込み、動きが止まった所へ更に連射。
アナザー武神鎧武は大剣を盾変わりに銃弾を防ぐが、その隙を狙いゲンムがブレイカーをハンマーモードにして接近し、豪快に振るった。
「キェアアアァッ!!」
『ッ!──この…ッ!』
「こっちも居るって事忘れんな!」
懐に入り込み、剣を満足に振れないアナザー武神鎧武にブレイカーを連打で叩き込む。翻弄するゲンムを後方からドライブがスチームガンによる射撃でアナザー武神鎧武を追い詰め、アナザー武神鎧武に僅かな焦りの色が見えて来た。
「ヴェアァッハッハッハッハッ!!!どうやら剣の腕はそこまでじゃ無いようだなァ!?こんな私でも余裕で見切れるわァ!!」
『このッ!…調子に乗ってんじゃねえ!!』
「ヴェアァッハッハッハッハ!!神の才能を侮るッ──”ダァンッ”──がはッ!?」
「神太郎さん!──アレって…!」
『ハハハハハハ!侮ってたのはどっちだァ?』
優勢に立っていた筈のゲンムが火花を血の様に散らして吹き飛ばされていく。
離れて見ていたドライブは、ゲンムが吹き飛ぶ直前に鳴った発破音でその正体に気付いたが、アナザー武神鎧武が大剣の他に手に持っていたモノはドライブの予想を僅かに違っていた。
「銃……いや、鉄砲か!」
アナザー武神鎧武が手にしていたもの正体は、ドライブの予想していた通り飛び道具である銃であったが、その形状はライフルというより戦国時代に刀と槍を超えて合戦で勝負を左右する主流の武器となった火縄銃、赤い鉄砲であった。
「ぐぅ…ッ!まさか銃を使うとは…いや、悠君は普通に使ってるから持っていて当然なのか…ッ!!」
鉄砲で撃たれた箇所を抑えるゲンムだが、アナザー武神鎧武は追撃に鉄砲を放つ。身を転がして回避するゲンムだが、鉄砲は連射が可能であるらしく次々とゲンムに向けて火を噴いた。
『ハハハハ!神の才能ってのはそうやって地面を転がるのがそうなのかぁ!?アッハハハハハハハ!!』
「なんだとおぉッ!?言わせておけばッ──ガァッ!!」
『ハハハハ!また命中!!オラどんどん行くぞッ───ッ!!んだァ!?』
「銃の扱いだけなら、オレだって負けてねえぞ!」
優勢に立って高笑いするアナザー武神鎧武の鉄砲を持つ手に一発の弾丸が当たった。
思わず落としそうになるが堪えたアナザー武神鎧武は、スチームガンを此方に向けて構えているドライブを目に苛立ちを覚える。
『テメェ、さっきからチマチマ撃って来てうぜぇんだよぉ!!』
「ッ!?何だありゃ?──”ダァンッ”──んがッ!?」
アナザー武神鎧武は自身も直ぐ傍にクラックを生成してその中に鉄砲の先端を入れる。空間に現れたファスナーの存在に驚くドライブの背後に、小さなクラックが開き、そこから鉄砲の銃口がドライブへと向けられていた。
「後ろ!?あのファスナーってこんな使い方出来んのかよ!?──ッ!」
『ォォォオオオッ!!』
背中を撃たれたドライブへアナザー武神鎧武は肉薄し大剣をドライブ目掛け振り下ろそうとしていた。既に剣の間合いに入り込まれたドライブは回避する余裕が無い。
そんなドライブの前に、白い影がドライブを庇う様に前に立ち、アナザー武神鎧武の一撃をモロに喰らった。
「がはぁッ!!───ァァ…。」
<< GAME OVER >>
「じ…神太郎さん!!」
『アッハッハッハ!!まずは一人ィ!!次は…「まだだァァァッ!!」ハァッ!?』
ドライブを庇い消滅したゲンムを前にして満足気に笑うアナザー武神鎧武だが、背後から襲い掛かって来たゲンムの奇襲に気付かず、背中にブレイカーの一撃を喰らってしまう。
『テメェなんで生きてんだよ!さっき消えただろうが!!』
「残りライフ94!ライフがある限り私は何度でも蘇るのだァァァァァァァァッハッハッハッハ!!」
「えぇ~…そんなのアリかよ…。」
『どこぞの焼き鳥みてぇに…!上等だよ!!あと94回殺せばいいって事だろうが!!』
<< RYUGA >>
アナザー武神鎧武は、再びアナザーリュウガの姿へ。右の龍の籠手に炎が灯り、龍の口から黒炎が吐かれようとしていた時だった。
<< NASTY VENT >>
『ッ!?グォォァァァァッ!?!?耳ッ、耳がぁ…!』
「な、何が…。」
「フゥ……ようやく援軍の到着か。」
アナザーリュウガに襲い掛かる超音波攻撃。上空飛行するダークウィングの姿を見てゲンムは安堵の溜息を吐いた直後、ゲンムとドライブの前に、ナイトが地面へ着地を決めた。
「彩守!」
「遅い到着だがいいタイミングだね。狙ってたのかい?」
「これでも急いだ方だ。それと時に、そこに居る奴とヤツは何だ。」
「オレだよ、遠山。遠山 キンジだ。」
「遠山?何故お前がライダーに…それにヤツもよく見れば、あの男の…。」
「詳しい説明は後、とにかく今はヤツを倒そう…それはそうとして、ハルナ君とウラナ君は?一緒じゃないのかい?」
「ハァ!?お前姉ちゃんたち置いて一人空飛んできたのかよ!?なんて野郎だ!!」
「おぉ秋、もう大丈夫なのかよ動いて…。」
「おうもバッチリ!それよりもどうなんだよロン毛!!甲斐甲斐しく付いて行った姉ちゃんたちを置いて来たのかよ!?あぁん?」
「二人ならあの男を起こしに家に向かったぞ。今ならそろそろ…。」
『ァァァッ!!また一人増えやがってぇ!!何人来ようが一緒───グァァァッ!?』
憤慨するアナザーリュウガに炸裂する数発の光弾。ゲンム達の背後から放たれたソレの正体を知るべく振り返ると、此方に向かって歩いてくる三つの影。
エグゼイド、パラドクス、そして、ブレードガンナーを手に構えているダークドライブだ。
「姉ちゃん、ウラナ…ベルトさん?」
ガタックはダークドライブがクリムがなっているのもだと思ったが、その考えを否定する様にダークドライブはシフトフューチャーを取り出す。
<< FIRE! ALL CORE/ENGINE! >>
<< DRIVEtypeFUTURE! >>
「タイプフューチャー…クリムだけのドライブでは、タイプフューチャーになる所かシフトカー達の力を使えない。という事は…。」
「え、悠兄さん?本当に目を覚ましたのかよ!!姉ちゃんスゲェじゃん!どうやったのさ!?」
「ア、アハハハ…。」
「………。」
ダークドライブはタイプフューチャーへとタイプチェンジした事が、目の前のダークドライブが悠であるという証拠となり喜ぶガタックであったが、目覚めさせたというエグゼイドからは乾いた笑みしか聞こえず、ダークドライブは何も口に出さなかった。
「?…おい灰原、どうしたんだお前?さっきから黙りこくってよ。」
「そうそう!何か言う事あんじゃねえの?迷惑かけたな!とか、あの野郎俺の力奪いやがって!とか、真っ先に言いそうじゃん。」
「あ、あのね秋。その、灰原くんなんだけど…。」
「え、何々?どったの?」
「今ね、灰原くんは……喋れないの。というか、声が出ないの。」
「は?……ハアアアッ!?」
「声が出ないって……本当かよ灰原!?」
「………。」
<あー、それについての代弁は私がしよう。今の我々は声に出さずとも意思疎通が出来るからね。
”声が出ない以外は問題ない。ヤツは俺一人でやる。その方が効率いい”と言っている。>
「一人で、って…。」
「…勝算はあるんだろうね?」
<”当然!”と言っている!>
皆を半ば無理矢理言いくるめてブレードガンナーを手に単身アナザーリュウガへ駆けていくダークドライブ。
『ハハハハッ!たった一人で向かって来るとか、頭狂ってんのかよ!!』
「───ッ!!」
アナザーリュウガは右腕を黒い龍から紫のコブラの頭部へ変えると、鞭となったコブラを振るいその歯牙でダークドライブを削らんとばかりに迫って来るが。
<< COME ON! >>
<< SPIDER!/COBRA!/BAT! >>
<< バイラル・カキマゼール! >>
<< CHASER VIRAL! >>
ダークドライブは右腕にテイルウィップを装着し、コブラの頭部を叩き落とす。そして左手に持ったブレードガンナーを連射し、アナザーリュウガへ光弾を浴びせダメージ与えた。
『グァァァアアッ!!──んの野郎ッ!!』
コブラの頭部からサイの頭部へと変え、盾変わりとして光弾を防ぎながらダークドライブ目掛けて駆けるアナザーリュウガ。間合いを詰め強力な一撃を叩き込もうと突きを繰り出したが、ダークドライブはウィングスナイパーを背に装着して空に飛び上がりアナザーリュウガを飛び越えて、無謀な背中にテイルウィップの一撃を叩き付けた。
『ガァッ!!───テッ、メェ…ッ!!』
<”お前のそのライダー力、俺から奪ったんだろ?だったらどういう攻撃かどういう戦術で来るかなんて簡単に読める、俺からライダーの力を奪ったのは失策だったな、ヒョロ男クン?”と、煽り口調で言っている。>
『ッ!……そうか、テメエかァ!!灰原ァァァァァァァァァッ!!!』
<< BUZIN GAIM >>
アナザーリュウガはアナザー武神鎧武へ変わると大剣を大きく振り被りながらダークドライブへ向かって行く。
ダークドライブはファングスパイディを構え、振り下ろされた大剣と激しく打ち合わせた。
「───なぁ、結局のところどうやって悠兄さんを起こしたのさ?」
「あー…それね…コレ使ったの。」
ダークドライブとアナザー武神鎧武が立ち回っているのを他所に、ガタックはエグゼイドに意識不明状態の悠ヲどのよう起こし、尚どうして声が出なくなったのかを聞き出した所、エグゼイドは懐から取り出したモノを皆に見せた。
「?な、なにソレ?なんかドクロ描いてあっけど?」
「待て、これ見た事あるぞ。確か…。」
「うん……デスソース。」
デスソースとは簡単に言ってしまえば物凄く辛いタバスコである。どれくらい辛いとかと言うと目に入ったら即座に医者の元に行かなければ失明するほどの刺激力を軽く有してる。
ー数十分前ー
「──え…ハ、ハルナ、それって…。」
「知っているのか一子?」
「う、うん。京がよく使ってるソースなんだけど…物凄く辛くて舌が可笑しくなるくらい…。」
「…彼女の舌は大丈夫なのか?」
「ハルナ、それで悠を起こすんですか?」
「う、うん、一応…でもちょっと迷いが…。」
「じゃあアタシがやるーッ!」
「ッ!ちょっとウラナ!そんなドバドバ口の中に…!!」
「────ッ!?!?!?!?!?ァァァァァアアアアアアアァアアァァァァァァァァッ!?!?!?!?」
「───という訳で、灰原君の喉が可笑しくなっちゃって声が…。」
「待て待て待てちょっと待って!何姉ちゃん?なんでそんなヤバい調味料使う気になったん?ていうかどこで買ったのソレ!?」
「誤解しないでよ!私はちゃんと反対したのよ!!」
「反対…って事は、ょっとしなくても…。」
「そうか。よくやったぞウラナ。お手柄だ。」
「えへへへへ♪レンジに褒められちゃったー!」
「「発端者お前かい!!」」
「山のふもとの土産屋に売っていたのでな。丁度いいと思って桜井達に渡しておいた。」
「おぉう。蓮司君だからこそ出来る荒業ァ…。」
「大丈夫よね私?この後殺されないよね…?」
この場の空気はそれほど緊迫した様子は無かった。
「やぁっとお目覚めかぁ。」
ダークドライブとアナザー武神鎧武の戦いをアベルは陰に隠れて眺めていた。
「ま、いくらライダーと同等の力でも高が知れてるし、別に倒す事にはそう難しい事じゃあないが……そのままじゃあ完全に倒せないと気づくのは何時頃になるかな?」
遂にジオウも最終回。イコール平成ライダーの終わりですね…。
それに伴って高岩さんが引退とは、まさに新時代到来ですね。