その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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「前回のあらすじ!
ゼノヴィアとのデートを途中で中断されて怒り心頭だった俺は難無くバグスターを倒したが、突然現れた謎の仮面ライダー、クロノスの襲撃を受けて変身が解除された!
しかも変身してたのはあの番堂!?一体どうなる最新話!」

「全く前回は酷い目に遭った…!」

「なんだよゲッソリとしちゃって、アイツとの話し相手そんなに疲れる?」

「良いように弄ばれた挙句貴様との艶話聞かされた此方の身になってみろ!
お前等ッ、夫婦でもないのにッ、あんな事毎日…!」

「いやいやコレといった一線は超えてませんから、Bの段階ですー。」

「それでも節度と言うのものがあるだろう!ただでさえお前の所には年端もいかない子達だって居るのに!」

「あぁそういえばこの間ウラナが王女に教わってたぞ、男をイチコロに落とすやり方、って。」

「ウラナァァ!!」







 

 

思い掛けない相手の登場にも関わらず、悠はネビュラスチームガンを下ろす事は無かった。何であれ目の前にいる相手は倒すべき敵であるに変わらないからだ。

 

そんな悠に対し、番堂はワザとらしく肩をすくめる等の動作をして余裕の表れを見せて来る。

 

「やれ相変わらず怖い顔だ事で、この姿を見て何か思うとこは無いのかい?

何で肉体を失った私が、こうして人間の姿をしているのかとか。」

 

「下らないクイズ出してるつもり?どうせガワをコピーしたロイミュードのボディだろ?」

 

「正解、やっぱり分かってしまうか…。でも、コレは流石のキミでも見ただけで分からないだろう?」

 

そう言いながら番堂は身に着けてる色違いのバグバイザーを撫でる。

 

「このバグバイザーⅡとクロニクルガシャットは、キミ達のデータとゲムデウスを創る過程で出来た私の最高傑作。

自惚れに聞こえるかもしれないが、我ながら恐ろしい才能だよ。イヤイヤやらされてた作業の過程で、コアドライピアより優れた発明をしたんだからね。」

 

「あ?…ゲムデウスを創った?」

 

「あれ?気にするとこソコかい?

地味に傷付くなぁ、今日は完成したクロノスお披露目に来たのに…。」

 

「知っても知らなくてもどうだっていいよ。

アンタぶっ潰して、そのガシャットとドライバー壊すだけだし。」

 

「フッ…言うと思った。

でも生憎だがそれは不可能だよ。クロノスが完成した今、キミ達はもう私には勝てない。」

 

「随分言うじゃねぇか…。」

 

悠が再変身しようとライドブッカーからカードを取り出した時だ、番堂が右手を突き出し、悠が変身しようとしたのを手で制してきたのだ。

 

「?…んだよ?」

 

「もう少し待った方がいいんじゃないか?そろそろキミの仲間が来る頃だ…ホラ来た。」

 

余裕綽々の態度で番堂が振り返ると、そこには番堂の言ってた通り秋達四人がやって来た。

 

やって来た四人は、悠の前に居る番堂の姿に首を傾げる。

 

「おッ待たせー!…って、誰だありゃ?」

 

「オイオイ何を言って…おっと、そういえばこの姿を見せたのは彼だけだってのをすっかり忘れてたよ。」

 

「?…なんか、どっかで聞いた事ある声…?」

 

「…ッ!その声、ゴルドドライブか!」

 

「え!?…えぇ!?」

 

「あれが、番堂の素顔…?」

 

蓮司が言った言葉に隣の秋は目を点して驚くなか、番堂はパチパチと拍手する。

 

「正解だサムライ君。やれお嬢さん達はともかく、キミとはそこそこ長い付き合いだというのに…。」

 

「プププー!シュウって鈍感ー♪プギャー!」

 

「う、うっせぇ!しょうがねぇだろ初めて見たんだから!!」

 

 

 

「さて、役者は揃った事だしそろそろ始めようか…。」

 

<< KAMEN RIDER CHRONICLE >>

 

番堂は手に持ったクロニクルガシャットを起動させると、腹部に装着したバグバイザーⅡのAボタンを押すと軽快なメロディーの待機音が辺りに鳴り響くと番堂は持っていたガシャットを手放す。

手から落ちたガシャットは重力に従って地面に落ちていくと誰もが思ったが、ガシャットを意思があるかの如く番堂の周りを飛び回ると、独りでにバグバイザーⅡのスロットに挿しこまれていった。

 

<< ガシャット! >>

 

 

「ッ!──なんだあのガシャットは!?」

 

「オイ見ろ!アイツおやっさんと同じドライバー着けてる!」

 

 

「とくとご覧あれ、私が作り上げた最高傑作…クロノスの力を────変身──。」

 

<< BUGL UP! >>

 

<< 天を掴めライダー! 刻めクロニクル! 今こそ時は、極まれりィィィ! >>

 

ドライバーのトリガーを押すとバグバイザーⅡから現れたパネルと数字が番堂の背後で時計のようになると眩い緑の閃光を放った後、パネルが頭上から番堂を通過していきその姿を番堂の最高傑作と言われてる、仮面ライダー…クロノスへと変えていった。

 

「おぉ~!なにアレ!なにアレ!!」

 

「ゴルドドライブじゃ、ねぇ…。」

 

「また新しい仮面ライダー!?…もう勘弁してよぉ…。」

 

「………。」

 

 

「フフフ…さぁ、キミ達も早く変身したまえ。」

 

「ッ…言われなくたって秒でぶっ潰してやるよ…!」

 

変身したクロノスは悠達に変身するよう勧める。その態度が癪に障った悠は、しかめっ面のままドライバーを展開したのに続いて蓮司達も各々ドライバーを身に着けた。

 

「「「「「変身ッ!───」」」」」

 

「フフフ…。」

 

クロノスを中心に囲っている五人。

 

ディケイド真・激情態、斬月・ジンバーメロン、デッドヒートマッハ、エグゼイド・マキシマムゲーマー、パラドクス・パーフェクトノックアウトゲーマー。

 

それぞれ武器を持った五人のライダーに囲まれてるにもかかわらず以前余裕のクロノス。武器も構えも取らずリラックスな状態で悠然と立ち尽くすだけ。

 

「どうした?遠慮なく来ても構わないよ?」

 

 

「あぁ!?上等じゃねぇかこのヤロー!!」

 

「待て!露骨な誘いに乗るな、どんな能力を有してるか…。」

 

「灰原君、どうする?」

 

「もー!難しく考えないでワー!っといっちゃおうよ!」

 

「……。」

 

ディケイドの脳裏に浮かぶのは、知らぬ間に攻撃を受けて変身が解除された時。意識が水のエルに向いていたとはいえ、クロノスの存在に気付けない筈が無い。

 

だとしたらあの時の攻撃はクロックアップのような超高速移動による攻撃だとディケイドは予想するのだが、どうしてか腑に落ちない。第六感というべきか、先程から得体の知れない危機感がヒシヒシと肌で感じているのだ。

 

 

「も~!みんな行かないなら、アタシ一番!!」

 

「ッ!?オイ待てウラナ!!」

 

「オレももう我慢出来ねえ!マッハでぶっ潰す!!」

 

「秋!?…あぁもう!!」

 

「チィッ!止むを得まい!!」

 

「あぁもう!なるようになれ!!──クロックアップ!」

 

堪え性が無いパラドクスはディケイドの呼び止める声を聞かずパラブレイガンを手に先行。それに続くようにガタックが飛び出ていき、エグゼイドと斬月が二人の後に続く。

そしてディケイドも四人がクロノスへと向かって止まる気配が無い為、予想しているクロノスの超高速移動に対抗する為クロックアップを発動させて地面を蹴った。

 

クロックアップして姿が見えなくなったディケイドと四人のライダーが四方から向かって来るのに対し、クロノスは両手をバグバイザーⅡのA、Bボタンに手を掛けた。

 

 

「やれ騒がしいな───。」

 

 

<< PAUSE >>

 

 

「──うん、やはりこういう静かなのが一番良い…。」

 

クロノスがボタンを同時に押した途端、クロノスを除いた全ての時間が停止する。

 

クロノスを中心に、パラブレイガンを振り上げるパラドクス、ゼンリンシューターを突き出そうとするマッハ、巨大な拳を引くエグゼイド、無双セイバーを振り下ろそうとする斬月、そしてクロックアップで姿を消していたディケイドがクロノスの死角でソードモードのライドブッカーで斬りつけようとした体制のまま、五人全員がクロノスの支配する世界に捕らわれていた。

 

 

<< ガッチャーン! >>

 

「確かこういうのを、”作業ゲー”というんだったかな?…って、言っても答えてくれるわけ無いか…。」

 

腹部のバグバイザーⅡを手に持ったグリップと合わせてチェーンソーモードにすると、Bボタンを押した。

 

<< キメワザ! >>

<< CRITICAL SACRIFICE! >>

 

「フゥン!!───ッ!!」

 

エネルギーで伸びたチェーンソーの刀身を回転しながら自身を取り囲んでいるライダー五人に斬り付けた。

 

チェーンソーが触れた僅かな間だけ五人が動くが、その後は再び静止する。

クロノスはバグバイザーⅡを元のバックル状態に戻すと、ゆっくりとした歩調でエグゼイドとパラドクスの間を通り抜けた所でクロノスは再度ドライバーのボタンに手を掛けた。

 

「さて、どんなリアクションを見せてくれるかな?」

 

<< Re・START >>

 

 

押したと同時に停まった時が動き出す。

 

クロノスの背後で五つの小さな爆炎が立ち昇る。振り返ると、苦痛の声を漏らす悠達が変身を強制解除された状態で地面に倒れる姿が、何時攻撃されたのか理解出来ず混乱する悠達の表情を目にクロノスは愉悦に浸った。

 

 

「ッ~~!どういう、事だ…!?」

 

「何時、攻撃された…ッ!?」

 

「ガハ…ッ!…野郎ッ、クロックアップかなんか使ったのかよ…!」

 

「だったら俺もまとめてやられてねぇ!

2回も受けたからイヤでも分かる…ありゃ高速移動とか瞬間移動なんてモンじゃねぇ!もっと、別の何かだ…!」

 

「なら一体何なんだ?ヤツの能力は、一体…!?」

 

「……。」

 

「?…ウラナどうしたの?」

 

「…アタシ、分かっちゃったかも…。」

 

「「「「ッ!?」」」」

 

 

「ほぉ?」

 

 

「攻撃しようとした時、アイツのベルトから聞こえたの…ポーズ、って。」

 

「ポーズ?…何だソレは。」

 

「ポーズって、アレでしょ?ゲームしてる途中でトイレ行ったり菓子取りに行ったりするとき使う、一時停止…あ。」

 

「待って、一時停止?」

 

「まさか…いくらなんでもそんな事…?」

 

ゲーム通であるウラナだから気付いたポーズの意味。意味を知らない蓮司に秋が詳細を説明する中で、ウラナの顔色が青ざめている理由を知った。

 

クロノスの真の能力を察し困惑する悠達の仮説を確かにさせたのは、拍手するクロノスの一声だった。

 

「いやはや、まさかもう気付かれるとは驚いた…そこのお嬢さんが気づいた通り、クロノスの能力ポーズは、私以外の全ての時を──停止させる。」

 

「「「「「ッ!!」」」」」

 

受け入れがたい真実を前に、五人は言葉が出なかった。

 

時間停止──時間という自然の摂理さえも覆すその能力にはどんなに強力な武器も技も、どれだけ速く動こうにも、時間を停められてしまっては全て無意味と化してしまう程に圧倒的な能力を有するのが、今、目の前にいる。

 

「アベルのゲムデウスが最強のバグスターなら、クロノスは最強の仮面ライダー…。今日を境に思い出させてあげるよ。

キミ達が恐れるのはアベルだけじゃない。私…いや、我々BABELの脅威は、まだ潰えて無い!とね!」

 

悠達にクロノスを存在を大きく刻みこませた番堂。

 

やろうと思えば直ぐに倒せる筈の悠達五人に背を向けて悠々と立ち去るその姿を前に、悠達は起き上がって向かって行く気力など無い時点で、今回の番堂の目的は達成されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~驚いたねぇ!まさかボクに隠れてそんなスゴイの創ってたなんて」

 

「……ハァ。」

 

満足のいく実験を果たし戻って来たクロノスを迎えてきたアベルの登場に、右肩上がりだった高揚感が一気に下がった。

 

「アレレ?なんかガックシとしてるけど…ボクの所為?」

 

「ソレに気付けただけでも上出来だよ。

お出迎えのところ申し訳ないが、失礼するよ。少し調整したい所があるのでね。」

 

アベルの横を通り過ぎて去ろうとするクロノスだが、通り過ぎる前にその肩をアベルが掴んで止めた。

 

「…何かな?私はヒマではないのだがね。」

 

「いやねぇ?なんだが随分と自信がついたように見えたからつい、ね?…

どう?キミのその自信作と…。」

 

肩を掴むアベルの手が人の手から異形の手に変わると、ギシギシと音が鳴る程の握力で掴んでくる。

 

が、その手をクロノスは軽い力で振り払った。

 

「おや?」

 

「折角のお誘いだが、遠慮しておくよ。さっきも言った通り調整が必要なのでね。

…満足のいくモノになったら、遊んであげるよ。」

 

「へぇ?……そっか!なら、お楽しみにとっといておこうか♪」

 

「………。」

 

無言で青の場を立ち去っていくクロノス。アベルは表情こそ笑顔だったものの、その目は笑っておらずただ小さくなっていくクロノスの背を見送るだけ。

 

そんな視線を背中で感じ取るクロノスも、アベルの耳に届かない程の声で呟くだけだった。

 

「精々胡坐をかいとくとイイさ…今の内に、ね…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場面は変わり、灰原家のガレージ地下ラボ。そこに悠達五人は集まっていた。

 

先の戦闘で負った傷は今ではすっかり治っているが、皆浮かない顔色であった。理由は言わずもがな、新たに敵として現れたクロノスが原因だ。

 

「ハァ…時間停めるとか、最早マンガやアニメの域じゃんかよぉ…。」

 

「秋。私達が今居るの、そのマンガやアニメの世界よ…。」

 

「あ、そだったねぇ…。」

 

「ゲムデウスだけでも参っているのに、新たな強敵、か…。

決して甘くない戦いだと自覚はしてたが、流石にコレばかりはな…。」

 

「ムリムリムリ!!時間停めるとかそんなチート相手に勝てないよぉ!!うわ~ん!!」

 

アベルのゲムデウスに加え、時を止める仮面ライダークロノスの襲来に心が折れかかってるライダーズ。

 

漂う空気が重く暗い雰囲気に包まれてる中で、唯一目を閉じて一言も発しなかった悠が立ち上がったと同時に口を開いた。

 

「ハァーッ!もうダメだ!

辛気臭い空気吸ったってなんッもイイ事ねぇ!取り敢えずコーヒーっと…。」

 

「悠兄さん。よくそんなKY的な事言えるねこのムードの中で…。」

 

「そうか?俺からしたらそんな空気に浸りたいとは思わないが。」

 

「灰原君、アナタ分かってる?あのクロノスとか言う仮面ライダー、時間停めるのよ!ジ・カ・ン!!

そんな相手とどうやって戦えっていうのよ…!」

 

「それはまだ分からないが、どの道俺達が取る行動は決まってる。

ゲムデウスとクロノス、両方と戦って、勝つ。或いは負けて死ぬ。それだけ。

ならそーんな頭抱えてファントムが出そうな顔するより、コーヒー飲みながら打開策を考える。」

 

「打開策…時間を停めるような相手とどう戦うつもりなんだ?」

 

「それはまだ分からん。が、結局は人の手で創った科学の産物。あ、それとゲムデウスもあの野郎が創ったってさ。なら何処かに付け入る穴が有る筈だ。」

 

「…ユウは、勝てると思ってるの?」

 

「勝ちにいくんだよ。じゃなきゃ俺達もこの世界もお終い、だ…。

それとも何?お前等もう勝てないって諦めムード?負ける気満々?」

 

悠なりに発破をかけた一言。それに触発されたのか、四人の目の色が僅かに変わり始めた。

 

「貴様の幼稚な挑発に乗るのは非常に癪だが…お前の言う通り、勝つ気で挑まなければ負け戦になるだけだな。」

 

「…だな。こんなウジウジしてたら速吸ちゃんにみっともないって言われちまうわ…うっし!目ぇ覚めたぜ悠兄さん!!」

 

「よっしゃーーッ!!アタシもやる気出た!クロノスがなんぼのもんじゃーい!」

 

「もんじゃーい!」

 

蓮司、秋、ウラナが立ち上がって戦う意志を見せる中、ハルナは立ち上がった三人の様に踏ん切りをつけれなかった。

 

(みんな…どうしてそう前向きになれるの?相手は時間停めるチートなのよ?なんで…。)

 

ハルナも先に立った三人と同じように声高らかに立ちたいが、その理性が一線を超えてくれずに葛藤する中、四人は対クロノスについて話し合っている。

 

「で、その付け入る穴ってどんな穴よ?ケツの穴?」

 

「カンチョー?」

 

「突きなら得意だ。ただ尻にはやりたくないが。」

 

「まぁケツも股も思いっきり蹴るのは確定だとして、妙案はこれから糖分取ってだな…。」

 

「いや、それ入れすぎじゃない?角砂糖10個とか…。」

 

「本気モードに入る為に必要なんですー。」

 

「じゃあアタシも砂糖たっぷりココアー!」

 

「オレが淹れてやるからコイツの真似はするな………って、ちょっと待て。」

 

「なんだよ?何か案浮かんだのかよ?」

 

「いや…ゲンムのヤツは何処に行った?」

 

「「「…あ。」」」

 

クロノスの事ばかりに目がいって本来いるべき男の存在を完ッ全に忘れてた悠達。こればかりはハルナも声を上げた。

 

「そういえば、今日一日見て無いわね…。」

 

「こういう時こそヤツの本領発揮すべき場だというのに…ヤツは何処行った!?」

 

今は少しでも知恵が必要な状況で肝心な時に居ない神太郎に文句を吐く蓮司であったが、ガレージに繋がる出入口が勢いよく音をながら開かれた。

 

「「「「「ッ!!」」」」」

 

「ただいま~…?どうしたの皆?」

 

階段を降りて来たのは、話に上がっていた人物である神太郎だった。珍しくオシャレな装いで紙袋を持っており、一斉に目を向けて来る悠達に困惑してるようであった。

 

「お前…何処行ってたんだよ?」

 

「私?いやぁー開発作業に行き詰ったもんで、ちょっと気分転換に、ね?あ、お土産に美味しいって評判のケーキ買って来たんだけど!…何かあったの?」

 

「実は…。」

 

事の詳細を一切知らないであろう神太郎に全てを話す。新たな敵として現れたクロノスについて、その恐るべき能力についてを。

 

話しを進めるにあたって、神太郎は顔を俯きワナワナと肩を震わせて来た辺りから、”あ、こりゃ来るな”と五人の考えが一致しながらも、クロノスに関する報告を全て聞いた神太郎の反応は…。

 

 

「……フッ…フフフフフフハハハハハハハハハハ!!ダァァーーッッハッハッハッハッハッハ!!!

なぁぁあああにィが最強の仮面ライダーだァァァァァァッ!?!?!?この私を差し置いてのポッと出如きがァァッ!!!」

 

(((((うわ出たぁ…。)))))

 

来ると分かってたが、久々に目の当たりにした発作的な狂気発言に加えエビぞりという珍行動に、冷めた目を向ける五人だった。

 

そして、暫く好きにさせてようやっと落ち着いた神太郎は若干息を切らしながらもクロノスに対する打開策を悠達と共に考案していく。

 

「フゥ…時間を停めるポーズ、か…何とも思い掛けない所をついて来たな、番堂 天治は。」

 

「ポーズもそうだが、多分クロノス単体のスペックも相当なモンだと思って良いだろうなぁ…。」

 

「現状思いつくのはポーズをする前に斬る、位だが決定打には程遠いだろうな…。」

 

「ハイパークロックアップ…も、ダメそうだなぁ、あん野郎の事だから対策取ってるだろうし…。」

 

「う~~~ん…。」

 

「ハァ……完全に、手詰まりね…。」

 

 

 

 

「──いや、一つだけある!」

 

「「「「「…え!?」」」」」

 

突如、神太郎が放った言葉に反応を見せる悠達五人。が…。

 

「と言っても、実現させるにはまだほど遠いんだけどね~…。」

 

「「「「「……。」」」」」

 

正に上げて落とす発言にイラっとしながらも、神太郎の言う可能性について聞き出す。

 

「その一つだけの案って、さっきも言ってた行き詰った開発の事言ってるの?」

 

「まぁね、これがまぁ中々手強くて…。」

 

「前から思ってたが、貴様一体何を作っているのだ?」

 

「確か、ウェイドの一件の後からだったよな?やたらと気合入れて開発作業に入れ込んだの。」

 

「なに作ってるのおじちゃん?」

 

「う~ん……そうだねぇ、こんな状況だしもう言ってもいいかな。」

 

神太郎は席を立ち開発作業に使っていた端末を立ち上げると、その画面を悠達に見せた。

 

五人が端末の画面を見ると、そこに描かれてたのは新しいガシャットのゲームであろうタイトルが英文で写っていた。その名も…。

 

 

「「「「ハイパームテキ?」」」」

 

「むてき?」

 

ウラナだけ英語が読めなかった為に四人の後からたどたどしい発音でゲームのタイトルを読み上げた直後、神太郎は新アイテムであるハイパームテキの開発に至る経緯を語りだす。

 

「ほら、この前一緒に戦ってくれた仮面ライダービルド。桐生 戦兎から教えて貰ったんだ。」

 

「桐生が…?」

 

「あぁ…───。」

 

 

 

 

 

───

 

──

 

 

 

「ハイパームテキ?…」

 

「あぁ。その反応だとこっちの世界ではムテキはまだ無いのか…。」

 

「ムテキ…そのガシャットは一体、どんなゲームなんだ!?教えてくれ!」

 

「い、いやぁ、オレも詳しくは聞いてないんだけど…その名の通り、正に無敵になれるガシャットらしいぞ?」

 

 

 

──

 

───

 

 

 

 

 

 

「──無敵になれるガシャット、か…。」

 

「もしそれがあったら、クロノスもゲムデウスも倒せるって事!?スゲェじゃんよムテキ!」

 

「あぁ。私もそれを聞いてゲムデウスの攻略に必要だ!って思って開発に取り組んだが…。」

 

「上手くいって無い、って?」

 

ハルナの指摘に、神太郎は首を縦に頷いた。

 

「桐生 戦兎から聞いたハイパームテキを一から創るとなると、普段キミ達の使ってるガシャットと比べて膨大なデータが必要なんだ。

これまでの過去の戦闘データや、この間の正月でやったVRバトルも含めても、半分にも満たしてない…。」

 

「え、あの争奪戦って最初からその為の催しだったの!?」

 

「よもやただの遊びで無くちゃんとした目的があったとは…。」

 

「アタシもやりたかったなぁ…。」

 

「となると、ハイパームテキのガシャットが出来るのは、まだ当分先。って事ですか?」

 

「………いや、今思い付いた。短時間でハイパームテキガシャットを完成させる案が。」

 

「またウラナの力に頼る気か?」

 

「ふぇ?」

 

「あぁ。でも今回は一味違う。」

 

そう言いながら神太郎が懐から取り出したのは、レベル0用のマイティアクションXとデンジャラスゾンビのガシャットだった。

 

「キミ達が使ってるガシャットと、バグスターを倒して集めたレジェンドライダーのガシャット。そしてプロトガシャットに…悠君のディケイドライバーを使って創る。」

 

「俺の?」

 

「ガシャットは分かるとして、何故コイツのドライバーが必要なんだ?」

 

「ガシャットには無いライダーの力を有してるからだよ。

集めたレジェンドライダーはクウガからゴーストだが、ディケイドライバーにはゴースト以降のライダーのデータが入ってる事をスチームガンとブレードを創った時に知ったんだ。知ってかい?ネビュラスチームガンとスチームブレードは、ビルドと同じシステムで出来ているって。」

 

「そうだったのか……あ、そういえば。」

 

「何々?どったの悠兄さん?」

 

「いや、この前の戦いでディケイドになった時、常磐達の武器も使えたんだよな…。」

 

「え?ソウゴ達の武器を!?」

 

「あぁ、ゲイツの弓も、ウォズの槍も。」

 

「ジオウ達の武器?…可笑しいな、この前見た時はジオウのデータなんて無かった筈だよ?」

 

「えーっと?つまりソレって…。」

 

「常磐達と会い、仮面ライダージオウという存在を知ったから武器を使えた、か…?」

 

「え…アレ糖分パワーで出せたんじゃねぇの?」

 

「イヤイヤんなワケ無いでしょ!」

 

「でしょー!」

 

両サイドから秋とウラナのツッコミが入る悠は砂糖入りコーヒーを飲む中で、ハルナがある事に気付いた。

 

「ちょっと待って、要はこういう事?

例え灰原君の知らない仮面ライダーが居ても、会ってその存在を知っちゃえば、そのライダーの武器を使えるって事?」

 

「それとそのライダーの固有能力も、と考えていいかもね。ラウズカードとかウィザードの魔法とかも使えるんだし。」

 

「…それってさぁ、ぶっちゃけ言っちゃって、チートじゃね?」

 

「チートね。」

 

「他人のモノを横取りとは、何とも性悪な。」

 

「…ねぇコレ普通に泣いてもイイ事案だよね?」

 

「アハハハ、まぁそういう仕様だから仕方ないし、味方に居るんなら全然問題無いし…。」

 

「ん~?だったらさぁ、今日会ったクロノスの能力も使えちゃうって事?」

 

「「「「「…え?」」」」」

 

「え?だってそういう事じゃ無いの?クロノスも仮面ライダーなんだし。」

 

ウラナが放った言葉にウラナを除いた五人の目が見開いた。

 

ドライバーに無かった仮面ライダージオウ、ゲイツ、ウォズの武器が使えた原因がハルナの告げた仮説と合ってるなら、同じ仮面ライダーであるクロノスの能力…ポーズも使えると。

 

「ねぇ…コレって、希望見えたカンジじゃね?」

 

「あぁ。一筋の光明が出て来たな。」

 

「そうと決まれば、早速…。」

 

悠達は所有しているガシャットと、保管しているプロトガシャット、レジェンドライダーガシャットを作業台に並べる。

 

プロトガシャット9本。

ソレを基に作られた正規版とレベル0、タドルレガシーとハリケーンニンジャを含めた14本。

ウラナのギアデュアルと悠、蓮司の持つβにブラザーズ、マキシマムの5本。

クウガからゴーストまでのレジェンドライダーガシャット17本。

そして悠の持つディケイドライバー。6人の前に、合計45本のガシャットとドライバー1個が並べられた。

 

「こうして並べっと、壮観だねぇ…。」

 

「うん、我々の努力の結晶と言うべきだな!」

 

「ム?…レジェンドのガシャットはアベルが創ったのではないか?バグスターを生み出す為に。」

 

「ウラナのギアデュアルもアベルの制作者だな。」

 

「シャラァァップ!!半分以上は私が作り上げたんですゥ!!…ゴホン!でだ、ハイパームテキを創るにあたっての工程はこうだ。

これからのガシャットとディケイドライバーのデータを一つにまとめ、ソレをウラナ君とハルナ君の力でハイパームテキガシャットにしていくんだ。

そう例えば…様々な色の毛糸を編み込んで一本の毛糸にするのが私!、その糸でマフラーに編んでいくのがキミ達の役目だ!」

 

「俺達は?」

 

「うんうん。」

 

「キミ達は……成功を祈願してくれたまえ!!」

 

「戦力外通告か。」

 

「まぁまぁキミ達には他にやるべき事が沢山あるから!

…もしかしたら、桐生 戦兎の知るハイパームテキとは大分毛色が違うモノが出来てしまうかもしれないが、キミ達はそんなこと一切気にせずありのままに、キミ達の思い描くイメージで造ってくれ!」

 

「オーッ!」

 

「……ハイ。」

 

 

「だが、コレだけの量となると創る工程に限らず、いざ使う時も負担がかかるのではないか?」

 

「そこんとこ心配する必要無くね?オレがデッドヒートみたいに乗りこなせばイイだけだしよ!」

 

「あ…あーそういえば言い忘れたんだけど……多分、いや、多分じゃなく、ハイパームテキを使いこなせるのは、ウラナ君と一体化したハルナ君だけなんだよねぇ…。」

 

「え…私?」

 

「へーそうなんだぁ、姉ちゃんだけが………ハァァ!?」

 

「桜井が?…何故桜井しか使えないんだ!?」

 

「……そう、おたく知ったんだ。」

 

「「「?」」」

 

「アハハハ、キミも気付いてたんだ。私は桐生 戦兎から聞かされてね…。

イヤホンットパクリじゃ無いんです、私のオリジナルなんです、天文学的確率で偶然かぶっちゃっただけなんです…。」

 

「ちょ、ちょっとちょっと悠兄さん、どういう事なの?簡潔に説明して、うん。」

 

「ざっくりで言うと、エグゼイドは別世界にもいて、平成ライダーの一人ってハナシ。」

 

「ッ!?!?!?……は、ハハハハハ、もうなんか驚きすぎて、壊れそ…。」

 

「見たんだよ門矢 士がエグゼイドに変身するとこ。ソレがどう意味か言わずとも分かるだろ?」

 

「あ~~、そりゃもう確実じゃんよ…じゃあムテキガシャットって…。」

 

「エグゼイドの強化アイテム、って事だろうよ。」

 

「オイ、お前達は分かってもオレ達には全く理解できないのだが?一体どういう事なんだ?」

 

「そ、そうよ!エグゼイドが平成ライダーって、それってどういう意味なの!?」

 

仮面ライダーについて詳しくない蓮司とハルナ、そして首を傾げるだけのウラナに、悠は頭を掻いて一息吐いた後、ハルナを正面に見据えてハッキリと告げた。

 

「桜井。」

 

「灰原君…。」

 

「ハイパームテキガシャットは、エグゼイド…お前にしか使う事が出来ない。つまり、クロノスとゲムデウスを倒せるかどうか…全て、お前にかかっている。」

 

率直に且つ簡潔に告げられた宣告に対し、ハルナは目の前が真っ暗になりかけた。

 

 

 

 

 







総集編かと思いきやガッツリ本編に関わってそうな伏線がチラホラ、でもあと二週間が続くのはやっぱ辛い…。
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