それは俺が授業の終わった休憩時間。自販機の前でコーヒーを飲んでる一時にあったやり取りだった。
「連続誘拐事件?」
自販機の前でコーヒーを飲んでる最中、話のネタとしてここ最近起きている事件について古城が話し始めた。
「それが一体なんだっていうの?」
「いや、その事件なんか色々おかしいところがあるみたいでさ、誘拐されるのは皆若い男で、身代金の連絡も無し。警察も武偵クラスに捜査協力出しているみたいだけど、それでも未だに進展なしの難事件なんだってさ。」
「若い男……そういえばクラスの席に空きが結構あったけど、まさか…。」
「そのまさか、この学園からも被害が結構出てるらしいぜ。」
(…まさか、ね…。)
「すまない、ちょっといいか?」
一連の誘拐事件ついて思う所があるなか、二人の元に一人の男子が近づいてきた、その男子は武偵クラスの生徒が着る制服を身に纏い、武偵クラスの証と言える手帳を二人に見せる。
「オレは武偵クラスの遠山 キンジだが、今誘拐事件について話していたよな?
何か知ってる事があれば教えてくれないか?」
「いや、オレはただ会話のタネに話しただけだし、知ってることもニュースで見た情報だけだからなあ。」
「俺も今初めて聞いたところですからねぇ。」
「そうか…分かった。知ってると思うがここ最近ウチの学園の生徒も被害にあってるらしいから、くれぐれも「キンジー!アンタ何してるの!早くしなさい!」ったく分かったよ!すまん!じゃあオレはここで。」
遠山 キンジと名乗った男は二人に事件に巻き込まれないよう警告した後、遠くから叫ばれたピンク髪の女子に呼ばれその場を後にした。
「…なんか結構大変らしいねぇ。」
「そりゃあ武偵の奴等が血眼になっても手掛かりがないんだから躍起にもなるだろう。…っと、そろそろ授業だ。」
「あぁ。[PiPi!!]ん?」
「どうした?」
「…いや、何でも無いよ。」
悠は上司から送られてきたメールを見て懐に仕舞う。
悠が思っていた仮説が今明らかになった瞬間だった。
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「灰原先輩。」
「ん?…あぁ姫柊さんか、今日も暁と放課後デート?」
「違います!」と古城と同じように否定した彼女は中等部に在学している[姫柊 雪菜]、いつも古城と一緒に見かける事が多く、背中にギターケースを背負っているのだが音楽に関して全くの知識がないらしく、なんでいつもソレ背負っているのと悠が質問した時は答えがうまく言い表せない様子だったのが今でも覚えている。
「灰原お前何やって…って姫柊!」
「やぁ暁。ダメじゃない、彼女を待たすようなマネしちゃあ。」
「だから違うって!というかお前いつも分かってて言ってるだろ?!」
「まさかぁ。そんな意地悪い性格してないよ?」
((絶対ウソ だ!・ですね! ))
適当に話してお互い別れた後、古城と一緒に帰宅していた雪菜が悠について話し出す。
「そういえば暁先輩、灰原先輩とはどうやって知り合ったんです?」
「灰原?ああアイツと初めて会ったのはアイツが転入する直前でさ、凪沙が夜遅く出て帰ってこなかったから捜したんたけど、アイツが凪沙をはぐれ悪魔から助けたところをオレが勘違いしてアイツが凪沙を襲った奴だと思ってさ。
ぶん殴ってやろうとしたら、逆にこっちが腹パンされてダウンした。」
「えっ、第四真祖の先輩に一撃で!?」
「ああ、マジで痛かった。オレもさりげなく聞いたんだけど”鍛えてるんで”の一言で済まされた…でもどうしたんだよ?お前が灰原について聞きだすなんて。」
「いえ、先輩が藍羽先輩と矢瀬先輩以外に話す人は見かけないし、それに…。」
「なんだよ?」
「……気のせいかもしれないけど、灰原先輩って何か隠してるように見えるんです。
誰からも見せたくない、本心っていうのが。」
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古城と雪菜がそのような会話をしてるなか、背後から一人の制服を着た茶髪の女子が古城を獲物を見るような目で見つめていた。
雪菜に対しては逆に目障りだと訴えるような目を向けるが、当の二人は会話に夢中で気付いていない。
そんな彼女も前の二人に意識が向き過ぎていた所為か、背後に立っている男の存在に気付けていなかった。
「そんなに男のケツ追っかけるの好きなの?」
「!!」
女子は後ろから急に声をかけられ咄嗟の反応で振り返ると、両手をポッケに入れた悠が立っていた。
「あなたは…確か転校生の。」
「悪いね、生憎人の名前を覚えるのが苦手だからアンタの事分かんねえや。
それで、次の獲物は暁ってところかな連続誘拐の犯人さん?それとも星野 レイ改め山本 友子?」
悠に自分の正体を暴かれた星野は前世の名前が出て来た事に驚きながらも目の前の男が自分と同じ転生者であると断定し、敵意を見せる。
「まさかアナタも転生者だったなんて驚きだわ。
古城君をモノにしたら次はアナタにしようと思っていたのだけど……仕方がないわね。レイジングハート Set Up!」
星野が何かの起動ワードを言った後、星野の体が光に包まれ光が晴れると白いロングスカート状の服装に変わり、手には機械的な杖を持っていた。
「アナタにはここで消えてもらう、そして私は古城君を含めた男たちで自分だけの楽園を築く!もうあんなブサイクだった自分とはおさらばするの!」
空中に飛んだ星野は、杖の先端部を悠に向ける。
対して悠は腰に白いベルトを巻き、今のご時世には滅多に見ない二つ折りの白い携帯を開く。
「前世の自分を否定する、か……それじゃあお前は本当の意味で生まれ変われねえよ。」
悠は白い携帯[サイガフォン]を開き、コードである[3・1・5]を入力し、エンターキーを押す。
<< Standing By >>
「──変身」
サイガフォンを閉じ、ベルトの[サイガドライバー]に差し込み横に倒す。
<< Complete >>
ドライバーから流れるフォトンストリームが体に纏われ、アーマー形成、青い発光と共に現れたのは白いボディにギリシャ文字のΨを模したライダー
空を支配する天の帝王[仮面ライダーサイガ]
サイガは左手を星野に指し、親指で首を切る挑発をする。
「ッ!アクセルシューター!」
挑発に乗ってか、星野はピンクの光で出来たボールを5つほどサイガに向けて発射。サイガは背中の[フライングアタッカー]を起動させ、空中へ飛び迫る攻撃を回避した。
「アナタも空を!でも空中戦なら私が上だよ!」
星野は先程の倍の数のボールを生成。不規則な動きで一斉にサイガに迫るもフライングアタッカーをライフルモードにしフォトンブラッドを濃縮した光弾を連射して相殺しながら回避行動を取っていた。
全てのボールを相殺した直後、ピンクの魔方陣から出た鎖がサイガの足に巻き付き動きを封じる。
その隙を見て星野は杖をサイガに向けて、自身の最大の一撃を放とうとしていた。
「くらえ!スターライトブレイカー!!」
星野の杖から放たれた範囲の広い広域砲撃。
砲撃がサイガを呑み込み姿が見えなくなる。星野が砲撃に呑まれたサイガの姿を見て自身の勝利を確信した直後、自分の体が後ろから何者かに掴まれた。
「ッ!?」
「That's too bad(残念。)」
自身を掴んでいるのが倒したと思っていたサイガだと気付いた時には凄まじいスピードで急上昇されていた。自身の出すスピードよりも速い速度から今度は急降下し始めた。
何をされるか察した星野だがサイガの拘束から逃げに逃げられず、加速した状態でそのまま地面に叩き落とされた。
「きゃあああああ!」
地面に激突した際、咄嗟に張った魔方陣と身に着けている服が多少のダメージを軽減したようだがそれでも星野に伝わった衝撃は重症を与えていた。
サイガは星野の後ろに着陸し近づいて行く、後ろにいるサイガに振り向いて杖を向けようとする星野だが、サイガの蹴りにより杖は弾き飛ばされ、首を掴まれて持ち上げられた。
「連れてった男たちは何処に隠した?」
「だ、れが…あな、たなん…かに……。」
「あっそ、最後の抵抗ってヤツね。だが…。」
サイガの質問をせめてもの抵抗に口を割らない星野だが、サイガの手に持っているUSBメモリの様な物に頭を挿され、何かが吸い取られる感覚を味わされた星野は投げられた。
「これでお前の口から聞く必要はなくなった。」
星野の頭に挿したメモリを見ながら、サイガはサイガフォンを開きエンターキーを押す。
<< Exceed Charge >>
フォトンブラッドがライフルモードのフライングアタッカーの銃口に集まり放たれた光弾は星野を拘束するポインターになりサイガは空中に再び飛び空中飛行を利用してポインター目掛けてキックを放つ[コバルトスマッシュ]が星野に当たる。
「ハァッ!」
「きゃああああああああ!!!」
サイガを共に押し込まれたポインターは星野の体を突き破り、光になっていた状態のサイガが元に戻った時にはΨのマークと共に青い炎に包まれた星野が灰になっていた。
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連続誘拐事件の被害者たちは匿名の電話を受けた警察によって無事保護されたが、未だに犯人については以前足取りがつかめないまま。
救助された日を境に誘拐事件が起こることがなくなったので警察は捜査を中断することを武偵クラスに発表した。
自販機の前で、自分のパートナーが納得いかず自分に不満をぶつけてくるキンジの愚痴を悠と古城が聞いてあげる光景がそこにあったそうな。
不味い、そろそろネタが切れそうだ。