今年に入って初の投稿ですが主人公変身しません。
その辺り温かい目で見てくれるとありがたいです。
(……出ないわね。留守なのかしら…。)
世間では休日とされている日曜日。
本日は何も予定の入って無いハルナは何の連絡も無く悠の家を訪れたのだがいくらインターホンを鳴らしても反応も無く留守なのかと思ったが
(家に居ないのならアジトかしら?)
何の躊躇いも無く敷地に入っていきガレージの裏口から中に入った。鍵が開いてると言う事は自分の読み通り二人はこの地下のラボに居ると言うことが分かり並んでるマシンの列を掻い潜って工具置き場の棚を少しずらすと地下に行く階段を下りて行く。
階段を下りながら中のラボを見渡すと確かにそこに人は居た。
居たのだが…
「巻雲ー、そこもうちょっと腕ピシっと伸ばしてー。……ん、オッケー。そのまま維持ね。」
「はーい。」
「ねぇちょっと後どんくらいこの体制キープしてればいいの!?そろそろ限界が近いんだけど…。」
「……何やってんのアンタ達…。」
何故か秋が某SF映画のような銃弾回避のポーズを巻雲が所々修正しながら傍で秋雲がスケッチブックとペンを手に描写していた。
「お、やっほーハルっち。ちょっと秋借りてるよー。」
「ハルっちって…まぁいいか、それよりも何を描いてるの?」
「コレ?ちょっとこのポーズが中々上手く出来なくてね~、こうしてモデル頼んで描いてるって訳。」
「へぇー…結構上手いじゃない。」
「いやぁ~そうでも無いよ~。次の夏コミに出すとしたら最高のヤツ描かなきゃいけないしさ~。」
「(夏コミって、この子一体何描くつもりなの…。)そう、頑張ってね……時に灰原君今日は居ないの?」
<彼は今休日を満喫しているよ。とは言っても、当ても無くバイクで走るだけの休日だがね。>
あえて秋雲の作品について聞かない事にしたハルナは悠の行方について聞き出し、それにクリムが答える。
尚、ハルナが最初にクリムを見た時喋るベルトと言うあまりの衝撃にフリーズしたというのは彼女にとって触れて欲しくない経験である。
「そう言えば、確かに上のバイクの台数が一つ空いてた気がするわね…。」
<これから来る戦いと、夏休みの秋の訓練に明け暮れるからね。今の内に息抜きでもしたらどうかと私が提案したのだよ。>
「……訓練!?」
ポーズを取っていた秋がクリムの口から聞いた訓練という単語に引っ掛かった所為で体制を崩してしまい腰を強く床に叩き付けてしまった。
「イタタ……ちょっとベルトさん!オレその話今聞いたんだけど…。」
<今言わずとも時期を見てキミに言うつもりだったよ。
夏休みを期にキミの足りない所を徹底的に改善しようと悠が提案したんだ。後キミの訓練に艦娘達の協力も考えてるようだから、その辺り覚悟しておきたまえ。>
「…ハ、ハハハ。…オレの人生二度目の夏休みが…訓練に潰れるって…。」
膝を着いて床に手を着く姿が何とも言えない雰囲気を出す秋にその場に居た三人は上手く声を掛けられなかった。
そんな時にタイミングが良いのかどうか知らないが資料を持った明石がそこに現れる。
「あ、あのー。」
<ム、明石か。どうかしたのかね?>
「あぁいえ、悠さんに頼まれてたブレイクガンナーの修復の件についてなんですけど、もしかしてお邪魔でした?」
<いや問題無い。彼は今居ないから戻った時に私が代わりに伝えよう。>
「でしたらお願いしますね。今の所ブレイクガンナー本体は問題無く使えますが、スーツの修復率がまだ6割ぐらいしか出来ていません。このペースですと完璧に直すのに早くて5~6週間といった所です。」
<そうか、分かった。キミ達に苦労かけて申し訳ないね。>
「いえいえお気になさらず。」
クリムと明石が話してる傍らでハルナが傍に居る秋雲達の小声で話しかける。
「……ねぇ。ブレイクガンナーってなに?」
「ん?あぁアレね、何て言えばいいのかな?…武器兼変身アイテム?」
「この間の戦いで壊れちゃったから明石さんと夕張さんが治してるんです。あの時悠さんもコテンパンにやられちゃったから皆すごく慌てましたぁ。」
「あの灰原君がコテンパン……これから秋もそういう奴等と相手するのよね…。」
今まで悠の圧倒的な強さを見せつけられた所為でイメージが付かなかったが、悠を倒すほどの強さを持つ敵と秋が戦うのかと思うと少し複雑な気持ちが湧き出るハルナだった。
そんなハルナを余所にクリムとの話を終えた明石が秋に近ずき
「ねぇ秋君。ちょっと頼みたい事が有るんだけど…。」
「あー!ちょっと明石さん!今秋にはポージングのモデル頼んでんだけど!?」
「そーだ!そーだ!。まだやって貰わなきゃいけないポーズがたくさんあるんです!」
「…まだあんなマトリクスポーズとらなきゃいけないの?オレ……。」
「大丈夫大丈夫。少し借りたいモノがあるだけだから…。」
所変わり海岸沿いの道路を走るバイクが一台。悠を乗せたマシンディケイダーは堤防の前で停車し、ヘルメットを脱いだ悠の顔に潮風の感触が肌に伝わった。
クリムに言われて外に出てみたが特にこれと言って何の予定も無かったので取りあえずバイクに乗りながら何するか考えた結果海でも見に行こうという何の脈絡も無い考えに辿り着き今に至る訳である。
取りあえず堤防に腰を掛けてボーっと海を眺める悠。周りから通行人の視線がちらほら突き刺さるが気にしない事にした。
(男は何かあったら海を眺めると言う変な話が有るが………コレはコレで案外悪くないかもしれん…。)
何も考えず潮風の感触と波の音を感じる。ただそれだけで心が落ち着いてると言うこの感覚が実に心地良いのが分かる。それだけ自分は落ち着きが無かったのかと今までの過ごし方を振りかえようとするがかえって逆効果だと思い必死で頭から振り払った。
昼ぐらいまでこうして海を眺めていようかと思っていたその矢先である。真後ろに停めて有るマシンディケイダーに近ずく気配に気付き後ろへ振り返ると
「げッ……。」
「ヤッホー、ご無沙汰だねぇ♪」
ディケイダーの近くに立ってる女性を見て先程までの気分が一気に消し飛ぶ。視線の先に居た私服姿の燕は高さのある堤防に飛び乗り悠の隣に座りこんだ。
「いやーまさかこんな所で会うとは思わなかったよん。」
「あー、そうですねー、すごい偶然ー。」
「灰原君今日は一人?」
「ご覧の通り…。」
「ふーん。…これ灰原君のバイク?カッコいいね。」
「それはどうも…。」
「…うーん燕さんそんな嫌そうな顔されたの初めてだよん。というかちゃんと顔見て話しなさいって、ほら。」
他愛も無い話を受け流しながら悠は距離を空けるが離れると近ずきまた離れると近ずきの繰り返しの内痺れを切らした燕は無理矢理悠の顔を手に自分の方へ向けさせた。
「ちょっと、離してくれません?」
「ならちゃんと人の目を見て話しなさい。それが出来るまでは放しません。」
「………ハア。」
「……ねぇ、私の事そんなにキライ?」
「いいえ、納豆押し付けて来る以外普通ですよ。」
「そう……だったらさ、納豆押し付けるの辞めたら仲良くなってくれる?」
「…………は?」
思わず声に出てしまった。会ったら必ずと言っていいほどに悠の嫌いな納豆を勧めて来た燕が悠と親交を深める為に辞めるといい出したのだから。
「……ナニを企んでいるんです?」
「酷いな~。私は只キミとお近づきになりたいだけだよん。」
「…そうまでして近ずく理由が何なのか、俺としてはすっごく気になりますねぇ。…その笑顔の裏に何を隠しているのかが…。」
「………。」
燕の反応を窺ってた悠だがここで初めて真顔の彼女を見ると当たりだと確信を持つ。今まで感情豊かに表に出した燕が真剣な目で此方を見ているのだから。
暫く互いに見つめあう二人。だが恋人同士の様なモノでは無く一方が探る眼差しともう一方が獲物を獲る真剣な眼差しで見つめ合っていた。
「………。」
「………。」
「あーーーッ!!!お前達ナニ良い雰囲気になってんだ!この私を置いて!!!」
「あ、モモちゃん。」
「んげぇ。」
その場を壊すように突如割り込んで来た百代。突然百代が来たお蔭で悠の顔は燕の時と比べ途轍も無く嫌な顔を表に出した。
「なんであの脳筋女が…。」
「アレ言ってなかったっけ?私今日モモちゃんと一緒にお出かけなのよん。」
「ったく私がトイレに行ってる間に燕を横取りとはいい度胸だなぁ灰原。だがな、私を前に燕を取れると思うなよッ!」
うんざりした様子の悠に対し口調は怒ってる様子だが何故か顔は笑ってる百代は悠に向かって殴りかかって来る。百代の攻撃を即座に躱し、堤防下の砂浜に着地する。
「あっぶねぇなぁ。いきなり殴りかかるとか今時のチンピラすらしねぇぞ。」
「避けたか。だが次はこんなもんじゃあ無いぞ。さぁ燕を賭けての勝負を始めようかッ!」
「むしろそっちがメインだろ。…アンタにとってはさっ!」
「な!?」
理由はどうであれ悠と戦う口実が出来たと思った百代は下に居る悠に再度攻撃を仕掛ける。攻撃の手があと僅かと言った所で悠は足元の砂をすくい上げる様に蹴り上げ砂を百代目掛けて飛ばし目潰しを仕掛ける。
目に砂が入った所為で目を瞑ってしまう百代。ヒラリと悠が躱し何とか着地出来たがそれが大きな隙となってしまった。
「クッソォ目潰しとかひきょう、がっ!」
即座に後ろに回り込んだ悠に首に回し蹴りを喰らった百代。完璧に隙を突かれた一撃に百代の意識は途切れ気を失ってしまい勝負はあっと言う間に終わる。
ズボンに着いた砂を払い落とす悠を見て燕は呆然とする。百代が本気では無く不意打ちに近いとは言えあっさりと戦闘不能にしたのだ。武神を相手にここまでする悠に燕は自身が抱いてる悠の本性の考えがより深くなっていた。
そんな事考えてる内に砂浜から堤防まで登って来た悠は燕を素通りしディケイダーの元へ向かう。
「あれ行っちゃうの?」
「えぇ。折角の気分が脳筋の所為で台無しですから。」
「…いや何かゴメンね。私の所為で……それにしても強いんだね武神のモモちゃんをあんな簡単に…。」
「大袈裟ですよ。相手が人間なんですから急所に正確に当てれば即座に落ちますよ。そういう風に出来てんですし。
それはそうと、あそこで倒れてるのお願いしますね。」
「う、うん。…て言うか大丈夫なのモモちゃん?首に思いっきし入ってたけど…。」
「加減はしましたよ。決して日頃の恨みを籠めて蹴ったなんてしてませんよ。俺は…。」
「ウソだよねそれ!?絶対恨み込めての蹴りだったでしょアレ!?」
「まぁ大丈夫でしょ、いかにもタフな感じみたいですから。んじゃ俺はコレで……。」
百代の始末と言う後処理を任せてディケイダーを走らせる悠。
悠の段々と小さくなっていく後姿を見て先程悠の言っていた言葉を思い返していた。
ー相手が人間…-
よくよく考えればこの言葉に引っ掛かる点が有る。
先程の悠を見て武道をしていると言うより戦いなれてると言った方が正しいのか百代を気絶させた悠の動きは無駄が無かった。この事から恐らくは燕と同等かそれ以上の場数を踏んでいると見て間違い無い。そして今引っ掛かっている言葉は別の視点から見たら人間以外の存在とも戦っていると思える。そう、燕が以前遭遇した機械の異形とか
(もしかして本当に彼が………だとしたら証拠掴む為にもやっぱり近ずかなきゃダメだねコレは…。)
(前からキナ臭いと思ってたけどなぁ~。ありゃビンゴってとこか…。)
ディケイダーを走らせながら先程の燕の様子を思い返す悠。適当にカマを掛けてみたのだが思いの外の反応見せてくれたので燕の見方を納豆押し付ける傍迷惑な先輩から納豆押し付けて来て此方を探って来る迷惑な先輩へと認識を改めていた。
(あの時なんかヘマしちまったか?もしかして見られたとか……次に会った時記憶消した方が良いかもしれんなぁ…………ん?)
燕の今後について考えている最中、隣の車道から黒塗りの車が三台縦に並んで走ってるのが横に目が付き、いかにも高官の乗る車と言った雰囲気を出している。
高そうな車と一瞬思って前を見る悠。そんな中三台の車の内真ん中に位置する車の後部座席側の窓が下に降り、これに気付いた悠が目に写ったのは見慣れた銀髪の女性
「あら、奇遇ですねこんな所で。」
「……。」
本日二度目の偶然の出会いでした。
「国に帰るぅ?」
「そうなんですよ。お父様ったら急に帰って来いだなんて言って来て、困ったものです。」
「そうかそうか、急に帰るとか言って驚いたけどお父様の言う事じゃ仕方ないな、うん仕方ない。」
「…気のせいですかね、なんか嬉しそうじゃありません?ここは普通残念がる所だと思うのですけれども。」
「いやまさかぁ…。」
「だったら目を見て言いなさい。顔背けないで。」
あの後走行中に話が有ると言われ止む無く停車した悠はディケイダーに跨った状態で傍に立つラ・フォリアの話を聞いていた。
ラ・フォリア曰く、飛行船の修理と乗組員の怪我の容体も良くなった頃合いに祖国から連絡が来てこの街は何かと物騒だから今すぐ帰って来いなどと言われたらしく空港に向かってる最中に悠を見つけたと言う訳である。
「でも物騒ってのはあながち間違って無いでしょ。お宅は実際どんなモノかその目で見た訳なんだしさ。」
「それはそうですけど急すぎますよ。私の承諾も無しに勝手に帰国の手配はするわで夏音にすら話して無いんです。」
「あぁそっか、叶瀬か……まぁここだけの本音、このまま叶瀬と一緒に向こうに行ってほしかったんだよねぇ俺としてはさ。」
「悠?」
「……この際だ、ハッキリ言うぜ。手短に…。」
悠の雰囲気が変わった事に気付いたラ・フォリアは何も言わずただ悠の言葉に耳を傾ける。
「この街はもうじき激しい戦いの場になる。だからアンタは国に帰ったらこの街に来るな、絶対にだ。」
「………。」
「叶瀬の事は心配するな。アンタに言われずともアイツの身はこっちで何とかする、それにもし俺がダメになっても任せられるヤツ等がアイツの周りには居るから問題は無いよ…。」
この先の戦い、少なくとも段々とその勢いは増して来る筈だと予測している悠はラ・フォリアの身を案じてこの街に来ない様に口にする。
今回ばかりは悠自身結果がどう転ぶか分からない程の状況であるため悠がラ・フォリアに対してしてやれる事は実際こうして忠告する位しか出来ないのだ。
「……そう、ですか…。」
「…あぁ、そういうこった…。」
悠の言った事に納得してくれたのか重くなった空気の場から口を開くラ・フォリア。流石に今回ばかりは分かってくれたと悠はこの時確信していた。
「でしたら本国に帰ったらお父様に色々報告した後何かしらの理由着けてちょくちょく此方に来ますね。今度来るときお土産持って来ますので。」
「あだぁッ!」
空気をぶち壊してくれた勢いにズッコケた自分は悪くないと後々悠はその時を語ったと言われている。
「おぉ!テレビで見たリアクション芸人並にイイリアクションですね。」
「コメディアン目指す気なんてこれっぽっちもねぇっつの…。
と言うか話聞いてた!?俺ですら予測出来ない事態になるから危険だって!」
「えぇ、ちゃんと理解してますよ。」
「だったら…。」
「此方も本音言わせてもらいますけど……それがなんだって言うんです?」
「……え?」
ラ・フォリアの言葉に思わず目が点になる。先程までの雰囲気がラ・フォリアの所為で一気に剥がれ落ち今では逆にラ・フォリアの雰囲気に呑まれそうな悠である。
「アナタがこれからどれ程の脅威と立ち向かうか今のではっきり分かりました。ですがそれで私がジッとしてる理由にはなりませんよ。アナタ少し女性と言うモノをナメているところ有りません?」
「………いや、ここ最近女って怒らしちゃいけないなって思う事が色々…。」
ファントム持ち上げる女が居たり、下級とは言えロイミュード倒す女達も居たりで、この世界の女とんでもねぇと思い始めてるのは本当の事である。
「でしたら私の事もナメてもらっちゃ困りますよ。一国の王女以前に私だって女なのですから。」
「いやでもさぁ………ほら一応キミ王女なんだしそうちょくちょく国離れるのはどうかと…。」
「その辺は向こうのお父様が上手くやってくれますよ。実際こうしてここに居るまでの間なんとかやってくれてるみたいですし。というか、ぶっちゃけ私居なくても良くない?ってカンジですよホント。」
「ねぇキミなんか変な方向に毒されてない?もう言ってる事その辺に居る女子高生と何ら変わりなくね!?」
完璧にラ・フォリアのペースに呑まれてる悠。流石の歴戦の仮面ライダーでも敵わない相手が居るようである。
「ハァ~~~。もうなんかキミと居るとホントに調子が狂うよマジで。」
「フフッ。アナタのそんな姿を見られるのが私だけだと思うと役得ですね……っといけませんそろそろ時間の様です。」
「あァ。さっさと行け、家に帰ってジッと大人しくしてなさい。イヤマジでお願いします。」
「だが断る♪それではまた近い内に…。」
そう言って近くに停めて有る車へ向かおうとしたラ・フォリアだったが行く前にもう少し悠の慌てふためく顔を見ようとイジワルそうな笑みを浮かべる。
「あ?」
肩に乗せられた手に気付いた悠は項垂れてた頭を上げ手を置いたであろう人物を見ようとすると目を閉じて此方に顔を近ずけて来るラ・フォリアの顔が迫ってた。
今回もしてやったりといった風に気疲れした悠の口元を狙う。だが自身の唇に触れた感触は以前と違い目を開けると悠が人差し指でラ・フォリアの口元に当てていた。
「流石に三度目はやらせねぇよ。」
「あら残念。別れの挨拶くらいしてくれてもいいじゃないですか。」
「俺は日本人なの。欧米スタイルは受け付けてません。」
「もう、…でしたら今度キスするときはアナタからしてくださいよ。」
「俺がその気になったらね。天地ひっくり返ってもあり得ないだろうけど。」
「そうですか、でしたら次会った時は是非ともその気にさせてみせますよ。」
彼女なりの宣戦布告なのかそれだけを口にし停めて有る車へと乗り込み走り去って行った。
車が見えなくなったところで深く溜息を吐き、メーター部に額を乗せた。
「ホンッッッと、手に負えない王女サマだこって…。」
道路脇にポツンと停まってる状態で先程までのやり取りにおいて完璧に逆転された事に嘆く悠。ラ・フォリアに対してなのかそれとも女性に弱いのかどうか知らないが今の悠は見るからに女の尻に敷かれるタイプの男と言われても可笑しくない姿だった。
そんな悠の携帯に着信が入る。項垂れた状態でポケットから取り出し画面に写しだされてる相手の名前を見る。
「(凪沙ちゃん…。)はいもしもし。」
「あ、ゆーくん今大丈夫?」
「あぁ、今日はどうしたの?」
「うん。今日ね浅葱ちゃんが見つけた隠れ家的な喫茶店に行こうかって話になってね、これから行こうとしてるんだけど、行くメンバーが私と古城くんと雪菜ちゃんと夏音ちゃんと浅葱ちゃんと矢瀬くんなんだけど矢瀬くん急に予定入っちゃって古城くんが男一人肩身狭い思いしてて可哀そうだからゆーくん来れないかなぁって。あぁ勘違いしないでねメンバー補充とかそういう扱いじゃなくて元から誘おうかって思っていたから矢瀬くん来ても来なくてもゆーくんもちゃんと頭数に入れてたから!それとももしかして今立て込んでいるとか?それならそれで別に全然断ってくれて構わないんだけど…。」
「……あぁ…うん、大丈夫です、ハイ…。(何時にも増してスゴいマシンガントーク。)」
電話でも容赦ないトークの嵐に圧倒されつつ、時間的には昼時なので予定の無い悠からしたら断わる理由も無い。
「あぁでも今バイクで外出てるから、その店バイク停めていいかどうか分かる?」
「バイク?うんちょっと待って浅葱ちゃんに聞いてみる……………大丈夫だって!駐車場のある店らしいよ!」
「じゃあ俺はこれからその店に向かうからもし先着いたら席取っとくよ。」
「ホント!?ならお願いね!」
凪沙から店の名前と場所を聞いて電話を切った後携帯でその店までのルートを調べ一先ず店へ向かうのであった。
「あ、アレじゃない?おーい!」
大通りから離れ凪沙から聞いていた場所に近ずくと向こうが早かったのか店の前にいる集団が目に写り、スピードを緩めて古城達の近くで停車させる。
「はぁー、すげえバイクだなぁ。何と言うか……独特?」
「確かに、そこまで詳しくないですけど見た事無いデザインですよね…。」
「あー…まぁ色々いじっちゃった所為でこんなカンジにね…。」
「…あれ?この間乗せてもらったのとは違うバイクです…。」
「え!?夏音ちゃんゆーくんに乗せてもらったの!?」
「は、はい。この間家まで送ってもらいました。」
「はいはい。灰原のバイクの話は一先ず置いといてお腹空いてきちゃったしお店の中入っちゃいましょ。」
「そんじゃ俺は取りあえずバイク置いてきちゃうから先に入ってて。」
そう言って店のすぐ隣にある駐車場の空いてるスペースに手押しでディケイダーを置くに行く悠。ディケイダーを見て下手に他のバイクも人目に見せれば即正体がバレてしまうリスクが有ると思ってしまいカモフラージュに一般のバイクが必要かと考えながらジュエリーと言う喫茶店へ入る。店に入ると何故か入り口近くに突っ立っている古城達が居るので何事かと思い前を覗き見ると。
「ん?なんだ灰原も居たのか。」
「あらら……。」
視線の先には悠に気付いた那月がカップを手にカウンター席に座っていた。
「那月ちゃん何でココに!?」
「教師をちゃん付けで呼ぶな馬鹿者。此処は喫茶店なのだ、こうして茶を飲んでいるに決まっているだろう。
そういうお前達こそそんな大人数で茶会でも開くのか?」
「先生知らないんです?このお店開いてる日も時間帯もバラバラだけど隠れた名店で結構有名なんですよ。料理も美味しくて店の雰囲気も良いって。その割に口コミが少なくてそこまで表立って無いんですけど。」
「ほぉそうなのか、試しに入って中々の腕だとは思っていたが…その辺はどうなんだ?店主。」
「そんな買いかぶり過ぎですよ。私はただ趣味で始めただけですので。」
カウンターの前で立っている黒いエプロンを着けた三十代と思われる男性が遠慮気味に答える。店の中を見るにどうやらこの店主と言われてる男性一人で経営してる様であった。
「さて、馳走になった。また邪魔させてもらうぞ店主。」
「ありがとうございます。」
「あれ、もう行くのかよ那月ちゃん。」
「私はこう見えて忙しい身なんだ。ゆっくり紅茶も飲めないくらい非常にな。」
カウンターに代金を置き古城達の間を通り抜ける那月。その時悠の持っていたヘルメットに目が付く。
「今日はバイクか、灰原。」
「…えぇ、気分転換に…。」
「そうか、くれぐれも事故は起こさない様に。生徒が起こしたとなると私も動かなきゃいけないので面倒な事この上ない。」
「俺の心配は全然無いんすね…。」
「心配されて欲しくば、いい子にしろという話だ。」
それだけを口に那月は店から出た。これから仕事の場へ行こうと歩を進めたが何か思いついたように突如踵を返し駐車場へ向かう。駐車場には先程悠が置いていったマシンディケイダーがポツンと置かれておりディケイダーを前に近ずいていく。
(廃工場に残されたタイヤ痕は確か大型バイク……実際に調べてみればもしかすると…。)
「何やってるんです先生?」
ディケイダーのタイヤ部をまじまじと見つめていた那月だが後ろから聞こえてくる悠の声に気付き意表突かれた気分を味わう。意識がディケイダーに向かれていたとは言え知らぬ間に自分の後ろを取っていたのだから。
「……いや何、随分変わったバイクかと思えばお前のだったのか…それより何故お前がココにいる?」
「ヘルメット置きにきたんすよ。思ってたよりスペース喰っちゃうんで。」
「そうか。………それにしてもお前は随分と変わったモノを持っているな。聖剣並の鉄の剣や変なデザインのバイクなど…。」
「…まぁそれほどでも。」
「…………さてと、時間を食ってしまったな。休日だからと言って羽目を外しすぎない様に。」
暫く無言の空気が続いたが、那月は自身の魔術でその場から姿を消していった。
那月の去って行った後を見てヘルメットをディケイダーに置きながら深く溜息を吐いた悠であった。
「ゆーくん、こっちこっち!」
「はいはい。」
店の中へ戻った悠はテーブル席に着いてる古城達の元に行き、凪沙誘われるがままに席に腰を下ろす。余談だが悠の向かい側の席に若干睨んでる古城を真ん中に雪菜と浅葱が座っており、悠の隣にご機嫌な凪沙を真ん中にその隣で少し不満げな目をしてる夏音の視線については気付かなかったと言う。
「さて灰原も来たことだし早速注文でもしましょ。ここ喫茶店だけども出してる料理は美味しいらしいから期待してるのよねー、那月ちゃんも認めてたくらいだし。」
「浅葱、今日は割りカン無しだからな?」
「うーんどうしよっかぁ。ゆーくん何食べるの?」
「んー……ホットサンドセットで。」
「…灰原先輩それだけで足りるんですか?暁先輩ですらもう少し食べますよ?」
「よく言われるけど俺としてはコレで十分なんだよねぇ。」
その後、注文を聞きに来た店主が全員分の注文を伝票に書き、料理が来るまでの待ち時間は会話の時間となった。
「そういや灰原。叶瀬が言ってた違うバイクってよ、アレ以外にもバイク持ってるって事か?」
「あ、それ私も気になってた。灰原ってもしかして金持ち?」
「あー、貰いモンだよ。親戚の。」
「親戚って、海で会ったあの子等か?」
「朧達とは別のね。貰って俺が色々弄るのに興味が出てきた所を気に入られて要らなくなったのを俺が貰うようになったの。」
「ふーん。じゃああのデザインも灰原が?」
「まぁね。」
「それよりもゆーくんさ、私としては夏音ちゃんを後ろに乗せたって言う話どういう事か教えてくれない?さっきから私それが気になって気になってねぇ。」
「(……アレ?凪沙ちゃんってこんな気迫出せる娘だっけ?)それは、ほら、廃教会の帰りに遅くなるとあれだから帰り送っただけだし、ねぇ?」
「ハイ。猫さん達のお世話手伝ってもらってるだけじゃなくて家に送って貰えてお兄さんには本当に助かってます。」
「それでもいいなぁ、夏音ちゃんゆーくんに乗せてもらって……ねぇゆーくん今度良かったら…。」
「ダメ!二人乗りのバイクは危険だから絶対ダメ!」
「先輩……。」
「古城、アンタねぇ…。」
「えぇ~!?それは無いよ古城くん!」
「ダメなものはダメ!オレは許さんぞ!二人乗りなんて!」
「落ち着けよ暁。お前の豹変ぶりに叶瀬がビビッてんぞ。」
「い、いえ。少し驚いちゃっただけです。」
「うッ…、ま、まぁオレもちょっと興奮しすぎた。悪い。」
「ホントだよ。ごめんね夏音ちゃんウチの古城くんが。」
「大丈夫です。凪沙ちゃんのお兄さんも凪沙ちゃんが心配で大声出したんですし。」
「と言うか只の度が過ぎたシスコンなんだけどねコイツの場合。」
「ですね。」
「同感。」
「……ここにオレの味方は居ないのか。」
料理が来るまで楽しく喋りました。
「ふぅ。久々に働きましたねぇ、にしても彼女あれだけ食べて大丈夫なんでしょうか…。」
悠達が食事をして去って行ったテーブルに並べてある皿の山を片付けながら店主である男性は一人呟いた。
自身が作った料理が口に合ったのか追加の注文が絶え間無く来た時は驚いたが、その追加分を全部浅葱が一人で食して光景は更に肝を抜かれるというダブルパンチを喰らったと言うのはこの店を開いてから初めての出来事であった。
「愉快な若者たちでしたねぇ……(カラン)・いらっしゃいま、あぁ君でしたか。」
ドアに着いてるベルが鳴り客が来たかと思い振り返るとそこに居たのは赤いジャケットを着た男が居た。
「ん?なんだ、今日は珍しく客が来たのかよ。」
「えぇ、と言っても常連さんと高校生くらいの団体さんですがね、これがまたよく食べる人が居たもので久々に疲れましたよ。」
山盛りの皿を片付けている姿を見て男は店主に声を掛ける。二人の様子を見るからに付き合いがある関係の様だ。男は”へぇー”と言いながらカウンター席に着き店主も皿を厨房のシンクへ入れカウンターの奥に立った。
「で?次の行動は何時起こすんだ?」
「私の準備が整い次第です。今回は規模が大きいですから前準備はしっかり整えないといけませんからねぇ。」
「あっそう。にしてもよぉ、あの鳥野郎また勝手な行動してるらしいじゃねえかよ。コッチだって暴れてぇのに何時になったら好き勝手させてくれんだぁ?」
「もう少し我慢なさい。言わずとも次の行動が上手く行けばその時はアナタの好きにさせてあげますよ。それよりもアナタ溜めに溜めたツケは何時になったら払ってくださるのですかねぇ?」
「……出世払いで頼む。」
「はぁ、全く君と言う人は…。」
時刻は大きく跳んで日が暮れる寸前の夕方。
喫茶店での食事の後古城達と別れた悠はディケイダーを一旦置いて徒歩で街を歩き回った。
そこでも奇妙な偶然の出会いが相次ぎ、どこぞのファミリーの一人が勝負を仕掛けて来たり二丁拳銃を持ったツインテールの女と日本刀を持った黒髪ロングの女の激しいバトルを止めてる知人に助けを乞われたり等されたが詳しい話は省略させていただく。
そのような感じで過ごしていく内に時間はあっという間に過ぎていった。悠は疲れた表情で公園のベンチに座り自販機で買った缶コーヒーを手にもうすぐ暗くなるであろう夕焼けの空を眺めていた。
「…なんか休む筈が色々有り過ぎて休まんなかったなぁ…。」
今日一日を振り返りボソっと呟く。心身共に休める筈が様々な出会いにより休む間も無かった。予定無しの一日がこんような騒然とした休日になるとは思っていだのだが不思議と嫌と言う気持ちはこれっぽちもなかった。
(…もしかしてこう言うのが普通の高校生の過ごし方か?)
胸の中で自問するが普通の生き方とはかけ離れた悠にこの答えはどうしても帰って来ない。大きく息を吐いて空を見上げる悠だが悠の座ってるベンチの隣に断わりも無く腰を掛ける男が現れ悠に声を掛ける。
「随分と気の抜けた顔だな。この前とはえらい違いじゃないか。」
「これが普段の俺なの。出来る男はスイッチの切り替えが上手いんだよ。」
「成程。それがキミの正体がバレてない秘訣の一つと言う訳か。」
「別にそこまで深く考えてる訳じゃないんだけど…。で?お宅も一人で休日の真っ最中かい?ルシファーさんよ。」
「その名前で呼ぶのはやめてくれないか仮面ライダー。」
「ならそっちも言うなよ、こんな所で…。」
突如現れたヴァーリは何の気迫も無く友人と話すように語りかけて来るが、悠は何時でも戦闘できるようにポケットの中のドラゴンフルーツのロックシードに手を掛けていた。
「で、実際の所何しに来たのさ。まさか偶然会ったとか言わないよな?」
「そのまさかだよ今回は。近い内冥界で事をやらかすつもりだから今の内に休息を取っていた所偶々キミを見かけただけだよ。」
「冥界?」
「知らないのか?悪魔の住む世界だよ、オレ達からしたら敵の本拠地と言ってもいいくらいのね。」
「おーおー、そいつはご苦労様なこって。……て言うかそれ俺に言っちゃて良かったの?」
「悪魔側からしたらキミもオレ達と同じ目で見られてる身みたいだから言った所で何の障害にもならないさ……そう言えば話は変わるが近い内英雄派がキミの所に来るかもしれんぞ。」
「英雄派?…何それ?」
「禍の団の内の一つのチーム名で、過去の偉人の末裔が揃っているチームらしい。しかも全員神器持ちの凄腕揃いだ。」
「ふーん……で、なんでそんな大層なチームが俺なんか、俺の先祖農民らしかったけど。」
「堕天使幹部のコカビエルを倒し、三代勢力から狙われてるキミの存在は彼らの目に付く絶好の存在なんだよ。英雄派は三大勢力を毛嫌いしてるようだからな。連中はキミをあわよくば仲間に引き込む気だろう、それか邪魔な存在として倒しに来るかどちらかだな…。」
「…なんでまたそんな話を俺に?」
「フッ、別に深い意味は無いよ。ただこうしてキミと話すのにこんな話の類しか思いつかなかっただけさ。」
「…あっそう。…それなら今度は俺からの忠告。」
「ん?」
「…金色の仮面ライダーに手を出すな。」
「!、何だって!?」
悠の言葉に反応し立ち上がって目を見開くヴァーリ。そんなヴァーリに気にも留めず悠は話し続ける。
「そいつ等は下手したら俺よりも実力は上だ。見かけたら下手に戦おうとしないで逃げるのが賢明だよ。」
「……そいつ等と言ったな?つまりそれは金色の仮面ライダーが一人では無いと、そういう事だな!?」
「そうだよ。一人は魔法使いに、もう一人は剣と盾のライダーだ。もしかしたら俺が確認してないライダーも居るかもしれん。」
「………ク…フハハ…。」
「?」
興奮してるのか口に手をやり笑い声を必死に抑えてるヴァーリ。やがて落ち着いたのか今日一番の笑顔でベンチに座ってる悠に目をやる。
「あぁすまない、つい興奮を抑えきれなかった。そうか、キミ以外にも仮面ライダーが…フフ、今日はキミに出会って本当に良かったよ…。」
「おーい、もう一度言うが下手に戦うなよ。連中は俺と違って優しくしてくれないぞ?」
「あぁ、分かってるさ。……フフ、フフフ…。」
(いや、絶対分かってねぇだろ…。)
忠告のお返しに此方も忠告したが内容がマズかったのか、ヴァーリの顔からコイツ絶対やらかすと見て取った悠だった。
「さて、非常に良い時間を過ごした。オレはこの辺で失礼するよ。」
「あぁ。お宅が無様にやられないよう精々祈ってるよ。」
「心配には及ばんさ。キミとの決着はいずれ付けるまで簡単には死なんよ。」
「いやそれいわゆるフラグってヤツじゃ…ってもう行っちゃったよ…。」
悠が言い終わる前に立ち去って行ったヴァーリ。どうしたものかと思ったが先程ヴァーリは冥界に行くと言っていたし早々奴等と会う機会は無いだろうとヴァーリの心配を片隅にやったのであった。
それこそが、最大のフラグと知らずに…
[なぁヴァーリ。先程ヤツの言ってた金色の仮面ライダーだが…。]
「あぁアルビオン。オレは今日と言う日ほど世界が広いと感じた事は無いよ、少し前まで今の赤龍帝の存在にがっかりしていたあの時が嘘みたいだ。仮面ライダー……どこまでもオレを楽しませてくれる。」
[(…これは幾ら言っても聞き入れてくれないな…今世の白龍皇は確かに強いがそれと同様に問題児でもあるか…。)ところで話は変わるが、お前も気付いてただろう?あの場にはぐれの悪魔がうろついていたのを…。]
「ん?あぁあれか。別に放っておいても構いやしない雑魚さ。それにソイツが彼を襲うとしても彼なら簡単に片づけられるだろう。」
[…それもそうか。(同情するべきはヤツを襲おうとする悪魔の方か…。)]
「……何かホントに色々あった日だったなぁ…。」
ヴァーリが去って行った後に残された悠は既に暗くなった空を見上げ一人呟いていた。
「………帰るか。」
夜には家に帰るとクリム達に言っておいたのでベンチから立ち上がってディケイダーを停めてる場所へ向かおうと歩き出すが突如後ろから鳴り響いた着地の音らしき地響きに歩を停め振り返ると黄色と黒の縞模様の下半身が蜘蛛で上半身が全裸の女性のはぐれ悪魔が居た。
「……また蜘蛛女かよ…。」
「あらァ?その口ぶりだともしかしてネラーク姉さんの事知ってるのかしらァ?この街で獲物を獲りに行ったっきり行方が分からなくなった私の姉さんを。」
「さぁ、あれがお宅の姉さんかどうか今じゃ分かりっこねえよ。」
「……どうやら会ったようだね。姉さんを前にこうして生きてるって事は…アンタが殺ったのかい!?」
「さぁ、どうだろうね…。」
白を切る悠の態度が気に入らないのかその顔が一気に歪み出し敵意を向ける。
「まぁいいさ。アンタが姐さんを殺ったかどうかは兎も角アンタに命は此処で消える。このアタシの手によってね!」
「…うるさいなぁ。」
此方が敵意を出してるのに対し全くと言っていい程様子が変わる気配の無い悠。確実に仕留めに行くはぐれ悪魔に対しそっぽを向いて頭を搔くぐらいにである。
「なんだって?アンタこの状況が解って無いのかい?」
「今日はさぁ、休みと言う名目でゆっくり過ごす筈がなんやかんやで騒がしくなるは何やでゆっくり出来なかったけどよぉ、まぁこういう日も有るかって時に空気読まず出て来るとかさぁ。」
「アンタさっきから何を…。」
意味不明な言葉に怪訝な表情で悠を見るはぐれ悪魔だが突如ポケットに手を入れ咄嗟に身構えるが取り出したのは片手サイズの手鏡だと知ったら構えていたのが馬鹿馬鹿しく思え、気でも狂ったのかと思っていた。
「生憎と今日はやる気無いんだよねぇ。だから…。」
手鏡をはぐれ悪魔へ向ける悠。一見観た所何の変哲もない鏡に何の警戒も必要ないと判断し悠に襲い掛かりに行くが
ーキィィィィンキィィィィンキィィィィンー
ーGuoooooooon!ー
「な、なんだコイツ等は!?」
突如手鏡から現れたドラグブラッガーを前に先程とは一変して余裕の無い表情になるはぐれ悪魔。ドラグブラッガーの眼光に恐れてるなか自分の周りがどうなっているのか気付いた、いや気付いてしまった。
自分は今得体の知れない怪物に取り囲まれてる事に。
黒い龍が、蝙蝠が、鋼鉄の牛が、毒蛇が、空を飛ぶ鱏が、銀色の犀が、白い虎が、姿を消す蜴が、二頭の鮫が
「俺はやる気無いからそいつ等が相手になってくれるよ。
…あぁもしかすると俺がやったあの蜘蛛女がお宅の姉さんならもうじき会えるよ。そいつ等の腹の中でさ。」
それだけをはぐれ悪魔に告げて悠は踵を返し去って行く。
後ろから聞こえる肉が切れる音と断末魔の悲鳴を耳にしながら。
「聞いたよユウ!何で一人で出掛けたのさ!?言えば私が一緒に行ったのに!」
「………。」
家に着いた悠を出迎えたのは不機嫌な様子の川内でした。
おまけ
~思いついた嘘予告~
「この世界に住む全人類に告げる!今から我々はこの世界を我が物とする!!」
次元を超えて現れた異次元からの侵略者!?
<このまま奴等の好きにさせてしまえば、世界は一気に奴等の手に落ちる!>
圧倒的な力に苦戦するライダー達
「コイツ、ヤベェ…逃げろ姉ちゃん…。」
「秋!」
想いもよらない強敵に立ち向かう術は!?
「クリム、最後まで一緒に戦ってくれるか…。」
<何を今更、地獄の底まで付き合う覚悟だよ!>
今、世界の命運を掛けた総力戦が始まる!
「気に入りませんねぇ、私達を差し置いて世界を手になど…。」
そして世界を旅するあの男も!
「成程、俺がこの世界でやるべき事が大体分かった。」
そして新たな力!
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「ここからが本番だぁッ!」
<Start our mission!>
劇場版! WORLD WARS!
もしかしたらやる、かも?