その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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お待たせしました。
今回は以前投稿した話と繋がっています。


融合

 

 

 

ーコツ…コツ…コツ…ー

 

照明が落とされてるとある精神病院の通路を一定のリズムで足音を鳴らす音が二つ。

前を歩く者は全身が金色で仮面を着けた者とその後ろに付いて来るように進んで行く機械の異形。その者達が目指しているのはある病室だった。

 

「ふむ、此処か…。」

 

金色の異形、ゴルドドライブとコブラ型のロイミュードは病室に掲げられてるネームプレートを見て病室に入っていく。個室の病室に居るのはベットに寝かされてる痩せ細ってる老人だった。

ゴルドドライブが覗き込むように老人の顔を見るとその目は開いておるが生気が無く虚ろな目をしていた。

それでもゴルドドライブには何か見えていたらしく、聞いてるかどうかも知らないのに老人に語りかける。

 

「あぁ分かるよ、キミの気持ち。その目は抱いていた信念や欲望を理不尽にもへし折られ絶望した目だ。ボクにはその気持ちが痛いほどわかるよ、同じ科学者としてね…。」

 

同情の言葉を並べて行くゴルドドライブは老人の眼前にあるモノを見せつける。

それは、今まで見た事の無い赤いバイラルコアだった。

 

「キミにボクからチャンスを上げよう。これを手に強く思い浮かべたまえ。

今までキミが抱いていた欲望を、それに掛けていた信念を!覚悟を!今一度それを思い出せばコレはキミに大きな力を与えてくれる。」

 

「……ア……アァ…。」

 

ゴルドドライブの言葉に反応したのか弱々しく細い腕を懸命に持ち上げゴルドドライブの持っているバイラルコアへと伸ばしていく。やがてその手はバイラルコアへと辿り着き、老人の思いに応えているのか赤く発光したバイラルコアは手にした老人の体と共に傍に居たコブラ型へと吸い込まれ、その体を赤い光と共に変えていく。

 

「フフフ、フハハハハッ!」

 

その光景を目にゴルドドライブは高らかに笑い声を上げる。

 

これから起こる騒動を楽しむかのように…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ~~。」

 

「あ、おはよう~。先食べてるよ。」

 

灰原家のリビングにて欠伸をしながらリビングに入った悠の目にテーブルにこれでもかと重ねられてるトーストを前に食してる秋の姿、と言いたいが重ねられてるパンのタワーが見事に重なりパンが喋ってるのかと思いたくなるような光景である。

 

「またラボで徹夜してたの?悠兄さんってホント生活不規則だよねぇ。はいコーヒー。」

 

「おうサンキュー。しょうがねぇよこればかりは、没頭すると時間忘れるって経験皆誰でもあるだろ?」

 

「いや流石にそれを不眠不休はやり過ぎだから。んで?ここ最近一体何造ってんの?」

 

「別にお前が今知らなくていいモノだよ。あ、そこのジャム取って。」

 

「はいよ。別に良いじゃん何造ってるか教えてくれてもさぁ~。

…あ、もしかして、オレ専用の新しい武器とか!?」

 

「野郎にプレゼントする趣味はねぇっつうの。お前は先ず道具に頼らず自分を磨きなさいって話。」

 

「えぇ~!?イイじゃん悠兄さんばっかりじゃなくてオレにも造ってくれてさぁ!

ね、お願い!プリーズ!ギブミープリーズ!」

 

「うるさいな朝から、静かに朝食も食えんのかお前は…。」

 

秋のおねだりを聞き流しながらパンをかじりながら近くにあったリモコンでテレビをつける悠。

朝のニュース番組では、今朝方川辺に全裸の男がうつ伏せに倒れていた事で騒がれてる様子が映し出されておりテレビを見ながらコーヒーを口にしていた。

 

「お願~い悠兄さ~ん。オレにも悠兄さんの天才的な新兵器造ってよ~。」

 

「あぁもううるさいし全然テレビ聞こえないし……はいはい分かった分かった。その内ね、その内。」

 

「言ったね!?今言ったよね!?それ後からやっぱり無しとか言うのは無しだからな!?」

 

「ハイハイ、造る造る。だから静かに食べ…。」

 

「いよっしゃあーーー!!!んもう悠兄さんマジ大好き!!!」

 

「これ以上騒ぐと無しにすっぞさっきの話。」

 

子供みたいにはしゃぐ秋を見てラボで今手掛けているアレについて尚更言えなくなった悠。

 

黙々とパンを食べてる秋を見てアレを渡すべきかどうか言われたら、今の秋ではまだ渡すべきでは無いと悠の目から見て取れた。

 

(実力以前にコイツが成長してくれなきゃ今渡しても自滅するのがオチか…。)

 

『続いてのニュースですが、今先程臨時ニュースが入りました。』

 

パンをかじりながらテレビからのニュースに耳を傾ける悠。そんな悠に釣られて秋もテレビに釘付けになる。

 

『昨夜未明、△□町〇☓区の精神病院で、隔離病棟に入っていた患者の姿が見られなくなったとされました。

隔離病棟の監視カメラからは何も映っておらず、警察は今現在行方を追っているとのことです。』

 

「病院から脱走ねぇ~。これってそんな騒がれるニュースなの?」

 

「隔離病棟って事は余程ヤバいヤツが閉じ込められてるって事でしょ?そこから居なくなったって言うのは刑務所脱走したのと同意語って事。」

 

「へぇ~。」

 

『あ、今先程居なくなった患者の詳しい情報が入ったようです。』

 

悠が秋に説明してる最中、テレビの画面が変わりベットに寝かされてる入院患者の写真が写しだされる。

 

その画面を横目で見た悠は目を見開くや否や突然立ち上がり、突然の行動に秋も面を喰らったような表情であった。

 

『抜け出した入院患者は、西川 総一郎、男性、年齢は73歳、全体像はこの様になってます。

西川 総一郎は数か月前に路上で半裸に倒れてる所を通報で駆け付けた警官に保護され、身元を聞こうにも狂言ばかりを口にする西川に精神科医は重度の精神疾患と診察し、隔離病棟へ移したそうです。

それではこれにつきまして……。』

 

「ゆ、悠兄さん?」

 

テレビでは精神科医のコメントが写しだされてるなか、未だ立っている悠に秋が声を掛けるも悠は反応を示さなかった。

 

「………少し、用事が出来た。お前は気にせず学校に行け。」

 

「え、ちょっと!悠兄さん!?」

 

リビングを後に速攻でラボを目指す悠。ラボに着くや否やすぐさま端末を前にある情報を得る為一心にキーボードをの音を鳴らし始める。

 

<どうした、いきなりここに来たと思ったらハッキングなど…。何を調べている?>

 

クリムが何時もと様子が違う悠に声を掛けるも、帰って来た答えは真相をぼかしたような答えだった。

 

 

 

「後始末の洗い残しがあったかどうかの確認に、ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ~もう!なんなのさ!悠兄さんったらさぁ!!」

 

学園への登校する道を秋はご機嫌斜めで一人で歩いていた。

機嫌がよろしくない理由は言わずもがな朝の悠の態度にである。リビングから出た後ラボに向かったと思えばいきなり飛び出してガレージのバイクに跨り何も言わず何処かへ行ってしまったのである。

 

それが気に食わなかったのか、あからさまな表情を隠す気は無く一人恨み言を言いながら歩いている訳である。

 

「大体悠兄さんって何時も一言二言足りないんだよなぁ~、なにが大した事じゃ無いだよ、ウソ丸見えだっつうの!

……あぁイイですよ。こうなったら…。」

 

<< DRIVER ON! >>

 

何か吹っ切れたように、路地に入って人目が無い事を確認しビーストドライバーを起動させる秋。

 

「学校に行けとは言われたけど、別に探っちゃいけないなんて言われてないから良いよな?」

 

<< GRIFFON GO! >>

 

右サイドのスロットに指輪を嵌めると目の前に出現した魔方陣がプラモデルのパーツのように組み立てられていき、使い魔であるグリーングリフォンを召喚する。

 

「悠兄さんが何処に居るか探して来てくれ。」

 

グリフォンは秋の出した指示を了承するように鳴き、そのまま空へと飛び立っていった。

グリフォンが飛び去った後を見て満足気になる秋だが、そこに口を出す者が一人、いや一匹。

 

[こんなくだらない事にいちいち我の魔力を使うなヒヨっ子。使いたければそれ相応のモノを寄越せと前に言った筈であろうが。]

 

「いいじゃんか使い魔一匹ぐらいの魔力使ったって、それにお前の言うそれ相応って無理有り過ぎだろ!?

なんだよ変身する度黒毛和牛一頭分って!?そんな要望聞いてたら破産するわ!」

 

[フン、貴様の命と言わないだけ破格の待遇だと知れ。……いや、本当ならば貴様をこうして生かしてる事がそれだな。]

 

秋の中に居るキマイラは自らの不満を隠す事の無い様子で心中を口にする態度に秋は反論しようとするが思う様に口が開かない。

何故ならばキマイラがこうして不満を口にする理由が自分にも嫌ほど分かっているからだ。秋自身自分の実力と言うのが悠に比べて劣っているのが分かるし、その中でも魔法の才は以前キマイラが口にした通り十全に扱いきれてないのが今までのファントム戦を通じて嫌ほどその身に思い知らされたのだ。

 

[それと貴様はあの小僧に相手にされない事に不満を抱いてるようだが、その程度の事でムキになるなどケツの青い餓鬼のすることだ。貴様に何も言わず出たのならばそれ相応の理由が有ると言う事だろう。]

 

「…なんだよ、急に慰めるような事言っちゃってさ。」

 

[勘違いするな。貴様が如何にも餓鬼だから情けなさすぎて口にしたまでよ。実力は云々中身まで未熟など我からしたら堪ったものではないわ。]

 

「……まぁ一応礼は言っとくよ。そりゃ悠兄さんだって人間だし、隠したい事はあるとは思ってるけどさ………それでも一応はコンビなんだし……。」

 

[……フン、ならそれに相応しい様に一刻も早く成長する事だな。うだうだ女々しい事言う前に行動で示せ…。]

 

「キマイラ…お前…。」

 

[…我は寝る。今度勝手に魔力を使ったら暫くは貸さんからな…。]

 

そう言ってキマイラは秋に話し掛けてこなかった。

秋からしたら呆然とするのは仕方なかった。あのキマイラが自分を気に欠けた様な言葉を掛けてくれたのだから。

 

(…そうだよな。まずオレがするべき事は悠兄さんに追いつかなきゃいけない事だよな!)

 

秋の心の中で今一度新たに自分が目指すべき目標が立った瞬間であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、悠はライドチェイサーに跨りある目的地を目指していた。

街から外れコンクリートの景色から辺りが森林に囲まれてる道を走らせながら悠は今朝のニュースについて独自に調べた情報を並べていた。

病院の診察カルテから見て西川の体はかなり衰弱してる事も有ってまともに一人で歩ける筈がない。それなのに病室から居なくなったと言う事は西川の脱走を手助けした第三者が居ると言う事だ。それが何者かは分からないが、もし西川が以前何をしていたか知っている人物であったならば。

 

(……今回ばかりは空回りに終わってくれと願うばかりだな…。)

 

胸の内で淡い願望を抱いてる矢先目的地が目に見えて来たのでその一歩手前の地点でライドチェイサーを停止させる。

周りが木々と煉瓦積みの塀に囲まれてる建物の門には児童養護施設と言う看板が立て掛けられており、一先ずライドチェイサーを林の中に隠し塀の角から顔を覗かせ正門であろう出入り口を見張っていた。

 

(もしヤツが未だあの研究を諦めきれないとしたら此処に来る可能性が一番高い。

…あの時判断をミスったな、消すならば徹底的に記憶を消しとけば…。)

 

後悔の念を抱くが今更どれだけ後悔しようと変わらない。それならばその不始末は自分で何とかしなければならない。それが秋はおろかクリムにさえ行き先を告げてない理由だった。

 

(!…あれは…。)

 

正門前を見張っていると反対側から人影が施設の中に入っていくのが見える。数は二人だがそのうちの一人に悠は目を見開いた。

 

(なんで遠山が此処に……いやそうか、確か任せたんだっけか。)

 

突如姿を見せたキンジに一瞬困惑する悠だがキンジが来た理由はすぐに分かった。

悠はあの時の事を思い出す、あの夜偶然にもあの場に現れたキンジに自身の手を掴みながら背に隠れた少女の安否を任せていた事に。それが最善の案だと確信して。

キンジがこのタイミングで此処に来たと言う事は彼も少なからず詳しい事情を知っているのだろう。この施設に居るであろう彼女の身を心配して。キンジの到来に面を喰らったが同時に思いもよらぬ誤算が来たことに内心安堵してた。

 

(あの時も勝手に押し付けて申し訳ないが、いざと言う時そっちは任せたぞ、遠山。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方そんな事を知らずに任されたキンジは今朝のニュースを見て彼女がいる施設内へと向かっていた。

この施設内に居る被害者であると同時にキンジ達が追ってるある人物の重要参考人でもある彼女の元に。

 

「なにチンタラ歩いてんのよ早く来なさい。」

 

「分かってるっての、と言うかアリア別にお前まで学校休んでまで来なくても良かったんだぞ?今回ばかりはオレの思い過ごしかもしれないんだし。」

 

「別にアンタに無理して付き合ってんじゃないわよ。久しぶりにあの子の顔見ておきたかっただけだから勘違いしないでよね。」

 

ハイハイと言いながら歩調を速めるキンジ、前を歩くアリアを見て珍しく気に欠けてるあの子が危険かもしれないと言うのはコンビを組んでるアリアも薄々感じているのだろう。じゃなければ学校を無断で休んでまで自分に付き合う事なんてない筈だからだ。

 

そうこうしてる内に何時の間にか着いたようだ、子供たちの笑い声が聞こえる室内の一室で彼女は椅子に座ってスケッチブックを手に何かを描いているようであり近ずいてく内に彼女が此方に気付いて今では笑えるようになった顔で此方を見上げる。

 

「キンジさん、アリアさん。こんにちは。」

 

「あぁ、こんにちは。」

 

「こんにちはミカ。元気にしてた?」

 

「はい、お陰様で。」

 

二人の前に肉親である西川から非道な扱いを受けてた少女、ミカは曇りない笑顔で応えた。

この笑顔を見てキンジは最初に会ったころと比べ大分年相応の反応をすることに少なからず安堵していた。

 

ミカとアリアが楽しそうに喋ってる光景を見てキンジは理由も無くあの時の事を思い出す。

ミカを保護して彼女の口から聞いたこれまでの自分にされた非道な行いについてキンジは珍しく怒りを覚えたのは今でも覚えてる。それと同時にあの時ほど自棄になってミカを苦しめた諜報人を捕まえてやろうとも思った時だった。ミカが逃げ出した研究施設の場所を突きとめ向かったのは良かったがその施設は原形を留めてない程焼け野原の状態になっており、近くの消防団から聞くと放火でも無い限りこれ程までの火災はあり得ないと言っていた。

これではミカを苦しめた諜報人の手掛かりが掴めない事に歯を食いしばるキンジだが同じく犯人を調べていたアリアから連絡を聞いた時、頭が真っ白になった感覚を味わった。

 

施設の持ち主であった西川は精神病院に運び込まれていると。しかも西川はあの施設で行っていた研究等について口にしていたがそれ以上の事を口にしなかったために情緒不安定と判断した病院は隔離病棟へ運ばれていると。

 

キンジとアリアは隔離病棟に運ばれた西川を見たが、西川を見て二人が思った事は最早手の付けどころがない程の狂人だということだった。痩せ細くなった体は動く気配は無く、ブツブツと焦点の合って無い目でうわ言を言っている姿はミカから聞いた人物像と全く合って無かった。

 

この光景を目にキンジの脳裏に浮かんだのは、あの時ミカと共にいた仮面ライダー、リュウガだった。

 

西川がこれ程までに変わり果てたのも、研究施設を跡形も無く燃やし尽くしたのもまさか…

 

「キンジ!ちょっとキンジってば!!」

 

「!、お、おう。どうした?」

 

「どうしたじゃ無いわよ!ミカが話しかけて来たのにアンタってばボーっと突っ立て!」

 

「あの…キンジさん?」

 

「あ、あぁ悪い。どうしたんだ?ミカ。」

 

「…あの人、見つかりました?」

 

そう言って来るミカの言葉にキンジは言葉が詰まる。顔を上げて此方を見て来るミカの手にあるスケッチブックにはあの時ミカを助けたであろうリュウガの絵が描かれているのだ。

 

「…悪い、まだ見付かんなくてな…。」

 

「そう、ですか…。」

 

「ミカ。アナタまだ…。」

 

ミカからの反応にアリアですら口が詰まってしまう。自分達にとって仮面ライダーとは確保すべき危険人物なのだがミカからすれば自信を助けてくれて心の支えになっているヒーローのような存在なのだ。

 

「ところでお二人とも今日は学校が有る日の筈じゃあ…。」

 

「それは…。」

 

ミカの質問にアリアが口が更に詰まる。今このタイミングでミカの父親である西川が此処に来るかもしれないと言ったら彼女がどういった反応するか簡単に想像出来てしまうからだ。

アリアがキンジに目を向けるもキンジもこれの返答にどう返せばいいか表情が固くなっている。

 

「?、キンジさん?」

 

「あ、あぁ。今日来たのはだな、その……。」

 

咄嗟に誤魔化そうと必死にそれなりの理由を頭に浮かべていたキンジであったが

 

 

 

 

ーゴオォォォォォォォォン!ー

 

 

「きゃあッ!」

 

「!、この現象って!」

 

突如時間が停止したような感覚がその場に居た者全てを体感させ、キンジとアリアはこの現象について見に覚えがあった為か顔を強張らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!、重加速!?」

 

そしてそれは外に居た悠の元にも来ていた。

ただ悠に関しては重加速に波には呑まれておらず普通に動けるが施設に居る人間はそうではない。悠は咄嗟に懐にいたバットとコブラのバイラルコアを取り出し

 

「行け!」

 

施設に居るであろう二人の元に向かわせる様に指示し、バイラルコア達は猛スピードで塀を飛び越え施設内へと入っていった。そして悠も塀を驚異のジャンプで飛び越えて施設内へと入る。

 

「…何か途轍もなく嫌な予感がして来たぞ、オイ。」

 

悪寒を感じながら駆けて行く悠だが、その光景をはるか上空で悠を探すように言われていたグリーングリフォンが重加速の影響か空中で静止した状態でその一部を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

「このッ、動かない!キンジ!アンタ何とかしなさいよ!」

 

「無茶有り過ぎだ!こんなんどうしろって言うんだよ!?」

 

施設内では重加速に呑まれて身動きの取れない事にアリアが口を荒くするが言った所で体の自由が取れない事に更に苛立ちを感じていた。

 

「こんのぉぉぉぉッ!!」

 

「おいアリアそんな大声出して動かそうとしたって…。」

 

「うるさい!うるさーい!こう言う時は気合ってもんで、・(ピタ)・ってアレ?」

 

「!?体の自由が!?」

 

突如体の自由が効くようになったことにキンジは重加速が解けたのかと思っていたが未だ動きが遅くなっているミカを見てその考えは捨て、同じく動けるようになったアリアを見て肩にミニカーらしきモノが着いてることに気付き自身の型も見てみると同じようなモノが着いていることに気付いた。

 

「コイツで動ける様になったのか…。」

 

「体が動けるようになったわ!キンジ、アタシ外を見て来るからミカの事頼んだわよ!」

 

「っておい待て!もしかするとあの機械のが居るかもって、あぁもう行っちまった!」

 

話しを聞かない相方に頭を抱えるが今は重加速が解けるまではミカの傍に居なければとキンジは懐から拳銃を抜くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

施設の外では重加速を発したであろう存在が施設を目指して歩いていた。

 

あの中に自分の野望を叶える為の鍵が…

 

一歩一歩近ずく度に頭の中でその思いが寝たきりの頃と比べ段々と強くなっているのがハッキリ感じる。

 

体中に溢れる力に高揚した気分を感じながら施設を目指して行くが、突如聞こえた銃声と頭に感じる衝撃。

 

左に目をやると、デンガッシャーのガンモードを構えたガオウが此方に銃口を向けていたのが見えた。

 

 

 

「悪いがそこから先は通行止めだよ。」

 

デンガッシャーを構えながらガオウは目の前の異形を観察する。

 

全体的なフォルムはロイミュードと同じく機械で出来てるが、肩口の所に獣のような毛が生えており首にヘビのような装飾が巻かれ、頭部はライオンの様だがヤギに似た角が額から生えていた。

 

一言で言うなら、そう、ギリシャ神話に出て来る怪物、キマイラをイメージさせるような姿だった。

 

(重加速を引き起こすからにはロイミュードであることに違いないが、こんな奴は見た事無い。

死神とは違った強化態か?)

 

ガオウが目の前のロイミュードである怪人に思考を巡らせるも一向に納得のいく答えが見つからない。

そんなガオウを余所にロイミュードらしき怪人はガオウに目を向けてその口を開いた。

 

【…ジャマをするな。……私はこれから大事な資料を取りに行く所だ…。】

 

「っ!?、喋った、だと!?」

 

今までのロイミュードは本来のモノとは違い与えられた命令をこなすだけの正に機械人形と言った所だったが、明らかに人間的な思考を持ち言葉お話したことにガオウは目を見開いた。

その時ガオウの脳裏にある記憶が蘇った。敵の本拠地に潜り込んだ時に見たあのファイルの中身を

 

(もしかして…いやでも、アレは…。)

 

【まぁいい、丁度この力を試せる良い機会だ!】

 

ガオウが思考を働かせてるなか、ガオウに向かって駆けてくるロイミュード。

これに気付いたガオウは頭を切り替えて銃弾を連射して放つが、体から火花が散るも一向に止まる気配が無く頭部の角がガオウのボディに突き刺さり後方へと吹っ飛ばさた。

 

「がッ、はァッ!」

 

肺から酸素が吐き出されるような感触を味わいながら、すぐに立ち上がりガオウガッシャーをソードモードへと組み替えるガオウ。

 

(今までのロイミュードとは違う…やっぱり、コイツは…。)

 

剣を構えながら先程のパワーから目の前のロイミュードについて答えを出したガオウ。

そんなガオウを余所にロイミュードは自身のパワーについて高揚を抑えきれない様子だった。

 

【素晴らしい力だ!以前のように改良を加えた体とは全然違う。…これさえあれば奴にも…!】

 

ロイミュードの独り言に所々引っ掛かるようなワードが出て来る事に気付いたガオウは確信を得る為思い切って聞き出す事にした。

 

「……オイ!お前まさかとは思うが、西川 総一郎か!?」

 

【ム?私の事を知っているのか?】

 

ロイミュードの反応からガオウは確信を得た。目の前に居る怪人の正体を

 

(やっぱり融合進化態か!)

 

ロイミュードと人間が一つになる事で驚異的な力と能力を目覚めさせる進化形態。それが目の前の怪人の正体、キメラロイミュード。

確信を得たガオウであったがそれと同時に腑に落ちない事がある。

何故なら、あの技術は自分が消したと同時に開発者であろう人物もこの手で消したのだから。

 

「……とにかく今はコイツを何とかするのが先か。」

 

考え事は後にして、今の状況から見て良くない状況で有る事は明確だ。西川が此処に来たと言う事は狙いはあの少女だと言うことが分かるし、あのファイルの通りの融合進化態ならばクリム無しで戦うのは厳しい所だ。

先程のキメラロイミュードが放った重加速にクリムは気付いた筈。ならばクリムが来るまで自分が今すべきことは

 

(コイツを施設からなるべく遠ざける!)

 

ガオウはキメラロイミュードに向かって駆けて行き、ガッシャーを振り下ろすも片腕であっさりと受け止められる。

キメラロイミュードは空いてる方の腕で殴りかかって来るがこれを受け止めたガオウは、キメラロイミュードを連れて施設から引き離した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐァッ!」

 

施設から引き離し施設外の林の中まで話す事の出来たガオウだがキメラロイミュードの圧倒的な力を前に苦戦していた。

 

【やれやれ、キミの相手をしているほどヒマでは無いのだがね。】

 

「アンタに無くとも、こっちには有るんだよッ!」

 

ガオウが尽かさずガッシャーで斬りかかって行くが、キメラロイミュードは首元の蛇を鞭のように操りガオウはガッシャーで防ぐが次第に翻弄されていき。ガオウの手からガッシャーを手放させると蛇はガオウを絞め上げ無防備な状態にさせられる。

 

「が…あ、がァ…。」

 

【全く、無駄な時間を掛けさせてくれたね。】

 

蛇の絞め付ける力が段々と強くなっていき、ガオウのボディから嫌な音がするなかキメラロイミュードは鋭い爪の付いた腕をガオウのボディに突き刺そうと近ずいて行く。

 

 

 

 

<< シューター! >>

 

【なに!?】

 

突如放たれた光弾はガオウを絞め付けていた蛇を撃ち抜き、絞められていたガオウは地面に落とされていった。

 

<< ゼンリン! >>

 

「でぇりゃッ!」

 

キメラロイミュードに跳びかかって来たのはゼンリンシューターを持ったマッハが攻めて来るがいち早く気付いたキメラロイミュードはこれを受け流しマッハから距離を取る。

マッハはキメラロイミュードから目を離さず倒れてるガオウの元まで下がって行く。

 

「大丈夫?悠兄さん。」

 

「お前、なんで此処に?」

 

「ベルトさんから連絡が有ってね。もう少ししたらベルトさんも来るよ。(ホントは探さしていたグリフォンからなんだけどね。)

で?一体何なのコイツ?パッと見ロイミュードみたいだけど…。」

 

「…気を付けろ、融合進化態だ。」

 

「はぁ!?マジで!?」

 

目の前ロイミュードが上級の融合進化態で有る事に驚いてる様子のマッハを傍らでガオウは痛みが走る体を我慢して立ち上がり首を鳴らして気を引き締める。

 

「相手が相手だ。二人掛かりで行くぞ。」

 

「オッケイ。流石の進化態でも二人掛かりなら何とかなるっしょ。」

 

 

 

 

 

 

「それはどうかなぁ?」

 

突如聞こえた第三者の声にその場に居た者は声のする方へ目を向ける。

マッハは来訪者の姿を見て驚いていたが、ガオウはその者の存在に驚愕していた。

 

「ゴルド、ドライブ!?」

 

「フフ、久しぶりだね仮面ライダー君。」

 

倒したはずの敵の来訪にガオウは混乱していたが、そんなガオウを余所にゴルドドライブはキメラロイミュードの元へと歩み寄って行く。

 

「邪魔者に随分手間取ってるようだねぇ。よろしければ手を貸そうか?」

 

【おぉすまないね。本当ならば直ぐに済んでいた用事だったのだが。】

 

「なに、彼らが来る事は簡単に予想できたからね。」

 

ゴルドドライブとキメラロイミュードを見るからに二人は協力関係を結んでいるようだ。

西川に何故ロイミュードの力が手に入ったのかはこれで想像出来るが、それよりも理解できない事が目の前に有った。

 

「お前どうして…あの時確かに…!」

 

「殺した筈、かい?まぁキミが混乱するのに無理は無いだろうね、仕舞いには大臣に体バラバラにされたようだしね。」

 

「え?なに?どういう事?」

 

二人の会話にマッハが付いて行けず首を交互に振るがそんなマッハを余所にゴルドドライブがクスクスと笑いながら語り出す。

 

「でもこればかりは深い説明はいらないんじゃ無いかなぁ。ロイミュードには重加速以外の本来の能力が有る。これだけ言えば頭の良いキミには分かるだろう?」

 

「……コピー能力。」

 

「正解。ボクはロイミュードにコピー能力を備え付けてない分このベルトにだけ付けておいたのさ。これが肉体を失いながらもキミの目の前で存在してるトリックさ。」

 

「実質アンタはロイミュードになったって訳か。…心も体も…。」

 

「フフ、そうだねぇ。言われてみればそう捕えても間違いじゃあ無いな。」

 

【そろそろ良いかねドクター番堂。私としては一分一秒も無駄にしたくないのだが。】

 

「おっとこれは失礼した。さてキミ達は二人、そして此方も二人とイーブンになったわけだから…。」

 

そう言いながらゴルドドライブの手にエネルギーが収縮されていき

 

「始めようかぁ!」

 

放ったエネルギー弾はガオウとマッハを分裂し、ガオウにゴルドドライブが、マッハにキメラロイミュードという組み合わせで戦う事になった。

 

「ちィッ!」

 

「この日をどれ程待ち望んだかッ…キミにリベンジをするこの日を!」

 

ガオウと組みながらゴルドドライブは容赦ない連打を繰り出して行きガードするガオウのカウンターも手に取る様に防がれてしまい、逆に重いカウンターの一撃を喰らってしまう。

 

「んぐッ!」

 

「キミの動きは手に取る様に分かると言うのを忘れたかなぁッ!?」

 

「がッ!」

 

強烈な前蹴りを喰らい吹っ飛ばされてしまうガオウ。

 

そんなガオウを目にマッハ助けに行こうとするが、後ろを取ったキメラロイミュードの爪にやられ振り返り様に顔に右からのフックを喰らい吹っ飛ばされてしまう。

 

「がはッ!」

 

【フム、これなら早く片付きそうだな。】

 

「こんのッ!」

 

<< SignalBike! >>

 

<< シグナルコウカーン! キケーン! >>

 

「コイツでどうだッ!」

 

<< トテモ・キケーン! >>

 

シグナルキケーンの能力であるミサイル生物を四匹召喚しミサイル生物はキメラロイミュードを攻撃するがキメラロイミュードはミサイル生物を簡単に蹴散らし、爪による攻撃でいとも簡単に消されてしまった。

 

「マジかよ…。」

 

【これで終わりかね?ウガァッ!!!】

 

「グッ、グァァァァッ!!!」

 

キメラロイミュードの口から放たれた咆哮は衝撃波となってマッハを襲い、吹き飛ばされたマッハの先にはゴルドドライブと戦っているガオウの近くだった。

 

「秋!」

 

「余所見はいけないなァッ!」

 

「グッ!」

 

隙を突かれゴルドドライブの拳を受けてしまうガオウ。ガオウが飛ばされた先はマッハの近くだった。

 

「オイ、大丈夫か…。」

 

「あぁ、ヤベェよ悠兄さん。融合進化態、かなり手強いわ…。」

 

ガオウが駆け寄りマッハを支えながら立たせる二人の前にゴルドドライブの周りに金色の球体が浮かび、キメラロイミュードも再度口から咆哮を放とうとしていた。

 

「二人まとめて消えるがいい、ハァ!」

 

【ウガァッ!!!】

 

無慈悲に放たれた攻撃の嵐はガオウとマッハに向かって行き、二人を容赦なく襲った。

 

「グァァァァアァッッッ!!!」

 

「ウワァァアアァッッッ!!!」

 

爆炎に包まれるガオウとマッハの断末魔を耳にゴルドドライブは高らかに笑い声をあげていた。

 

 

 

 

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