その男が進む道は・・。   作:卯月七日

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お待たせしました、最新話です。

今回は冥界襲撃の事件について書かれてる為、主人公の出番は少ないです。


宣伝

 

 

冥界

 

 

そこは一言で言えば悪魔の世界である。

 

空は赤に覆われ、危険な魔獣、ドラゴンなど人間から見たら驚異的な生物も生息しているこの世界。

 

三大勢力の戦争によって一時期混乱に陥った世界は新たな時代に進むにつれ、争い事は無くなり、冥界に住む者誰に聞いても。今は平和、と言う言葉が出ていた。

 

 

 

 

そう…この時までは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……何なんだ…この化け物はッ…!」

 

とある一人の転生悪魔が、今この世界を混乱に導いてる存在に言葉を吐いた。

 

主の命により、所構わず破壊行動を起こしている謎の集団の討伐。余り名を上げてはいなかったが王と女王を除いた眷属全員で掛かれば何とかなるだろうと思い、自分はおろか誰も異を唱えなかった。

 

しかしそれは今となっては大きな後悔となった。

標的の見た事も無い怪物一匹を目に自分はおろか他の眷属たちも思っていた。一匹相手なら楽勝だと。

 

 

 

 

その期待は大いに裏切られる。

 

僧侶が放った魔力弾は腕で払われ、騎士の剣は怪物の鉄拳により砕かれ、戦車の怪力は製錬された技によって無力化されてしまい、兵士が数で攻めるも悉く返り討ちにされ、圧倒的な蹂躙劇を味合わせられ気付いたら兵士である自分を除いて他の者は怪物を囲うように倒れていた。

 

首を鳴らしながらエビのような姿のファントム、バハムートは残る悪魔を目につまらなそうに口を開く。

 

「弱イナ。悪魔ト言ウカラ少シハ出来ルカト期待シテタガ、数デ物ヲ言ワセル連中バカリダナ。

闘イハ数ダケデハ無イノニ。」

 

「あ……あぁ…ッ。」

 

「サテ、残ッタ雑魚ハ後オマエ一人カ…。」

 

「う、うわぁぁぁぁっ!」

 

兵士の悪魔は歩んで来るバハムートを前に翼を広げて逃亡した。

 

自分では勝てない、返り討ちにされる。それしか頭に無かった兵士悪魔は迷う事無く倒れてる仲間を見捨て逃げる事を選んだ。

下を見ると、バハムートは追って来る様子は無く此方を見上げていた。

ヤツは空を飛べない。この一つの事実が兵士悪魔にとって希望が芽生え、此処まで上がれば自分はもう大丈夫だ。と安堵の表情を浮かべていた。

 

だがそれはあっと言う間に覆される。突然空を飛んでいた兵士悪魔の周りに風が意志を持っているかのように取り囲み、突き破ろうにも風の勢いが強く思う様に突破できない。

 

自分が鳥籠に入れられた鳥を想像していると、上からハルバードのような斧を振り上げている、つむじ風の様な特徴が見られるファントム、シルフィが兵士悪魔の右翼を斬り落とし、右翼を落とされた兵士悪魔は重力に従い地上へ真っ逆さまに落ちていった。

 

落とされた兵士悪魔を目にバハムートは自身の近くに降りて来たシルフィに目を移す。

 

「Hey,You!駄目ジャナイカ、簡単ニ獲物ヲ逃ガシチャッタラSa!」

 

「タカガ雑魚一匹逃ガシテモ、ドウセ他ノ奴ガ落トシテイタダロウサ。

ニシテモ詰マラン。全ク持ッテ遊ビニモナラナイ連中ダ。」

 

「ソレハ同感ダNe!狩リニシテモ、モウ少シ手応エガ欲シイYo!」

 

「う……うぅ…。」

 

バハムートとシルフィが話し合ってるなか、落とされた兵士悪魔の声を聴いてシルフィードは思い出したように懐から魔石を取り出す。

 

「取リアエズ、ヤルベキ仕事ヲパパットヤッチマオウZe!一応コレガメインノ仕事ラシイシSa!」

 

「ソウダナ。面倒ダガ、ヤル事ハヤラナケレバ更ニ面倒ニナルカラナ。」

 

そう言ってバハムートは先程打ちのめした悪魔達の元へ行き、シルフィは自身が落とした兵士悪魔の元へスキップ歩調で近ずく。

 

「た、助けてくれ。オレは…オレは死にたくない…ッ。」

 

「ノン、ノン。キミハ死ヌンジャナクテ、コレカラ生マレ変ワルノSa。……ボク達ノ仲間ニNe。」

 

倒れてる兵士悪魔の体に魔石を投げ込み、魔石は兵士悪魔の体内に入っていく。

少ししたら兵士悪魔は発作が起きたように胸を抑え、苦しい表情を浮かべていると体の至る所に皹が入っていった。

 

「がァッ、あッ、ぐあァァッッ!!!」

 

「フフフ~イ♪サァ、キミハドノクライノ時間デ、ファントムヘ生マレ変ワルノカNa?」

 

悶え苦しむ兵士悪魔を横目にバハムートの方へ目をやると、傍に倒れてる兵士悪魔の様に体に皹が入りながら悶え苦しむさまを眺めていた。

 

そして兵士悪魔の背中から、血のような翼が蛹から孵った蝶の様に広げられその光景にシルフィは拍手しながら跳びはねていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大体の首尾は上手くいってるようですねぇ。」

 

冥界の都市を見渡せる高台から大臣は所々上がってる黒煙と爆発音から奇襲作戦は上手くいってる様子だと判断し口元に笑みを浮かべる。

 

そこに居合わせてる赤ジャケットの男、キングこと小金井は戦極ドライバーを身に着けてる状態で大臣に声を掛ける。

 

「よぉ。そろそろオレが暴れても良い頃合いじゃあねぇか?」

 

「そうですね。事前に話した通り、アナタには好きに暴れてもらって注目を浴びて来てください。

ただし、なるべく殺さないようにお願いしますね。アナタがやった悪魔は私のファントム達が処理しますので。」

 

「はいはい。何度も言わなくたって分かってるっての…変身!」

 

<< ゴールデン! >>

 

<< LOCK・ON >>

 

<< COME・ON! ゴールデンアームズ! 黄金の果実! >>

 

キングはマルスに変身。アップルリフレクターを手に高台から飛び降りようとする。

 

「んじゃ、約束通り好きにさせてもらうわ。」

 

「えぇ、引き時は近くのファントムから伝えるようにしておきますので、思う存分注目の的になってください。」

 

「あいよ。」

 

マルスが短く告げると高台から飛び降りて着地と同時に、近くに居た悪魔をアップルリフレクターから抜いた大剣、ソードブリンガーで切り裂く様を大臣は見届けていた。

 

高台から事の騒ぎを傍観する気だった大臣であったが、自身の後ろから近づいてる気配に気づき後ろを見上げると此方を見下ろしてる悪魔の集団十数人が大臣を取り囲んでいた。

 

「おやおや、見つかってしまいましたか。これは困りましたねぇ…。」

 

「何故人間がこの冥界に居るかは知らないが、少なくともこの騒動に関係しているようだな!

貴様を拘束し、洗いざらい喋ってもらうぞ!」

 

「ふーむ……仕方ありません。戦場で思いがけないトラブルなんてものは、当たり前に起こるものですしね…。」

 

<< DRIVER・ON  NOW! >>

 

渋っていた様子の大臣だが諦めたようにドライバーオン・リングをベルトに翳し、ドライバーを起動。

左手にチェンジリングを嵌め、ベルトのハンドソーサーを操作する。

 

<< SHAVADUVI TOUCH HENSHIN~♪ SHAVADUVI TOUCH HENSHIN~♪ >>

 

「変…身ッ!」

 

<< CHANGE NOW! >>

 

チェンジリングをベルトに翳し、下から現れた魔方陣が上がりながら大臣の姿を変えていき、大臣は金色の魔法使いソーサラーへと変身した。

 

「コイツ、魔法使いか!」

 

「いや待て!ベルトに仮面……コイツ、手配中の仮面ライダーだ!」

 

「…未知の敵を前にしてお喋りとは……平和ボケした影響ですかねぇ?」

 

<< LIGHTNING NOW! >>

 

取り囲んだ悪魔たちが目の前のソーサラーについて話してる最中、ソーサラーから見て前方に居た悪魔数体に向けて、ライトニングの魔法を発動。

魔方陣から出た雷光は四人の悪魔を捕え、瞬く間に黒焦げの状態にし四人は糸が切れた人形の様に地に落ちて行った。

 

「き、貴様よくもッ…!」

 

「そんな事を言われてもねぇ、私から見ればどうぞ撃ってくださいと言ってる様な光景でしたから、つい…。」

 

「このッ……全員で一斉に攻撃しろ!数では此方が有利だ!」

 

「やれやれ、対悪魔用に作ったコレを早速使う羽目になるとは…。」

 

取り囲んでる悪魔達が魔力弾を放とうとしてるなかでソーサラーは右手のコモンリングから別の指輪を嵌め、ベルトに翳す。

 

<< HOLY NOW! >>

 

手の平に翳した魔方陣から出て来たのは光の光球。

光球は次第に辺りを強く照らしだし、その光は悪魔達の体を強く蝕む毒となっていく。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁッッッ!!!」

 

「こ、これは光の力!?」

 

「ぐぅ!、馬鹿な!?たかが魔法使い如きが光を操るなど!?」

 

「あり得ない事をする。それが魔法使いと言うモノですよ。貴方達悪魔は人間と言う種族を少し舐めている所がある。」

 

「くそッ人間風情が…とにかく魔王様方が来るまで此処は持ち堪えるぞ!サーゼクス様たちならきっと…。」

 

「魔王?…あぁそれなら今頃彼がその魔王と言う者達の相手をしてますよ。

実力は組織一と言っても過言では無いですから、あちらはとっくに終わっている筈ですね…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、冥界に於いてトップの座に君臨している四人の魔王。

 

サーゼクス・ルシファー、セラフォルー・レヴィアタン、ファルビウム・アスモデウス、アジュカ・ベルゼブブ。

 

彼等は過去の歴代魔王達とは比べ個性的とも言える程の者達だが、その実力は冥界一と言われるほどの実力者である事は誰もが知っている事実であり、この襲撃も魔王達が駆けつけ直ぐに治めてくれるであろうと冥界の悪魔達は信じて疑わなかった。

 

 

 

だが

 

 

 

 

「………。」

 

「………。」

 

「………。」

 

「………。」

 

とある貴族領の会議室では外の襲撃の音に反して、静寂な空気が漂っていた。

 

会議室には会談を行っていたであろう現魔王である、サーゼクス、セラフォルー、ファルビウム、アジュカの四人。

しかしその様は異様な光景を出していた。

 

アジュカは会議室の壁にめり込まれ、ファルビウムは上半身が地面に埋まり、セラフォルーは天井に頭が突き刺さり、魔王達の中で一番の実力者でもあるサーゼクスは床に出来たクレーターの中心で仰向けに倒れていた。

 

会議室の荒れ具合から見て激しい戦闘が有ったようであり、そこに居た四人は恐らく襲撃者と戦い、そして負けたのだと会議室の様子から嫌でもその現実を見せ付けられていた。

 

なお、今この貴族領の中にいる悪魔は全員会議室の四人と同様に襲撃者にやられたようであり、襲撃の混乱も有ってか連絡が上手くつかず、傷ついた魔王四人が目を覚ますのは襲撃が終わったかなり後だと言うのは先の話。

 

 

 

 

 

 

そして、襲撃者が残していったであろうモノがサーゼクスの傍らにそっと置かれていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

死者の手向け花のように置かれた、青い薔薇が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アッヒャヒャヒャッ!ちょっとちょっと、みィ~んな弱すぎィッ!それともボクちんが強すぎんのかねぇ?

ま、どっちでもいいけど。うひゃひゃ!」

 

「貴様ぁ、僕の…僕の眷属に一体何をした!?」

 

そして此処でもファントムによる襲撃を受けている集団が有った。

 

ディオドラ・アスタロト。名家の若手悪魔として名を上げてる彼だが、有してる眷属は元々名の有る教会の聖女を陥れ自らのコレクションとして手元に置くと言う非道な行為をしており、リアス・グレモリーの眷属であるアーシア・アルジェントも彼の卑劣な手によって教会から追放された諸悪の根源である。

 

そしてその彼の前に現れたのが元エクソシストであり唯一自我を保っているフリードことグレムリン。

グレムリンの周囲にはディオドラの眷属であろう女性悪魔達が体中に皹が入り、フォントムへと変わり果てようとしていた。

 

「ん?何やってるかって?

そ・れ・は・ねぇ~~~、悪魔から化け物へと生まれ変わる、サイッコウーッにクールでイカレたショーの真っ最中なのよん!」

 

「なに!?」

 

「あぁぁぁぁっっっ!!!!」

 

グレムリンの口から聞いた言葉にディオドラが目を見開いてるなか、一人の女性悪魔から悶え苦しむ叫び声を上げグレムリンとディオドラは思わず目を其方に向けた。

 

背中から生えた赤黒い羽根は、本来の悪魔の羽とは違いまるで血で漬けたような不気味な色をしており、やがて皹から紫の光が強くなっていくと蝶が蛹から孵ったように、その姿を現わした。

 

「あ……あぁ…。」

 

「ウワァ~オ!スッゲエ!さっすが旦那、いい趣味してんぜ。」

 

変わり果てた女性悪魔の姿にディオドラは言葉が出ず膝から崩れ落ち、グレムリンはファントムが生まれた光景を子供のようにはしゃぎながら興奮を隠しきれないでいた。

 

全身は血の様に赤黒く、岩の様に硬化した肌。肩は突起して、顔は皮を剥いだ様におぞましく剥き出しになった鋭い歯と額から生えた二本の角。

この姿は悪魔であるディオドラから見ても悪魔と呼ぶに相応しい姿。転生悪魔から生まれた未知のファントム、デビルファントムが産声を上げる様に空に向かって鳴き出した。

 

鳴き声に釣らてるかのように次々と人の形から怪人へと変わり、やがてそう時間は掛からずディオドラの眷属達は全てファントムヘと変わり果てていった。

 

変わり果てた眷属達を目にディオドラは絶望しきった表情でいた。

 

「あぁ…僕の……僕の集めた聖女達が…醜い化け物に…。」

 

「ん?聖女?……え、もしかしてこの子等、元教会の子?

うわぁ~、悪魔の割にかなり物好きな趣味だね~………あ、イイ事思いついちゃった!

はーい!生まれたてのベイビィちゃん達ィ!今から目覚めの運動にそこの悪魔ちゃんで運動してもらいまーす!」

 

「な!?…。」

 

グレムリンの提案で一斉にディオドラへ狙いを定めたデビルファントム達。

その目には獲物を定める肉食獣のような鋭い目線が全てディオドラへと向けられ、当のディオドラは怪人へと変わり果てた眷属達の殺気に恐怖心が芽生えていた。

 

「いやねぇ、おたくが聖女大好きって言うんならさ、元聖女に殺されるのも本望じゃないかな~なんて!

…まぁ本音ぶっちゃけると、オレが殺るより、こっちの方が面白いってだけなんだけどね~。

ま、と言う訳で、みんな行っちゃってー♪」

 

それが死刑宣告の様に一斉にディオドラへ向かって行くデビルファントム。

 

ディオドラの目には此方に向かって来るのは、かつて自分が苦労して集めた自慢のコレクションでは無く自身の命を殺しに掛かる化け物の集団であることに正気を失い、逃げ出そうにも背後に回ったデビルファントムがディオドラの首元に噛み付き、鮮血が舞うなか次々とディオドラへ噛み付いたり鋭い爪で切り裂いていく。

 

「いぎゃあぁぁぁぁぁッッッ!!!

やめろッ、やめてくれぇぇぇぇぇッッッ!!!助けてくれぇぇぇぇぇッッッ!!!

あぁぁぁぁぁッッッ!!!」

 

「アッハッハッハッハッッ!!!すっげえよ!アクマが悪魔を殺す画とか、最高のショーじゃんか!

そうだよコレだよコレ!、オレはこんなイカレた世界を待ち望んでいたんだァ!

ヒャーーッハッハッハ!!!」

 

狂ったように笑うグレムリンの笑い声に、ディオドラの悲痛な叫び声は段々と消されていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オラァ!」

 

「ぎゃあああッ!」

 

そして別の場所では、単独行動を許されたマルスは向かって来る悪魔の軍勢数十人を前にその力を盛大に振るっていた。

 

マルスが通った道筋を示すかのように斬り伏せた悪魔が大勢倒れており、今先程も向かって来た最後の悪魔も持っていた武器ごと一太刀で倒したのである。

 

「ったく。んだよこりゃ。いざ暴れてみりゃ来るヤツ皆雑魚ばっかじゃねぇか。これなら魔王とかなんたらと戦ってるあの野郎と役割代われば良かったぜ。」

 

向かって来る悪魔達の実力の無さに悪態を吐け始めるマルス。

後ろの倒れてる悪魔の軍勢を見て心底ガッカリしてるなか突如此方に降り注いで来る魔力弾を察知し盾を構え防御する。

 

軍勢の生き残りかと思い魔力弾を放ったであろう張本人に目を向けると、そこに居たのは悪魔では無く白い鎧を身に纏い宙に浮いている白龍皇のヴァーリであった。

 

「オイオイ兄ちゃんよぉ、初対面の奴の挨拶にしちゃ随分物騒じゃねえかよオイ。

これが悪魔流のコニュミケーションか?」

 

「果実の鎧に、盾と剣を持った金色の仮面ライダー…。

参ったな、冥界が騒がしいと思って様子を見に来ればこんなにも早く遭遇してしまうとは。」

 

[その割には随分と嬉しそうだな、ヴァーリ。

全くと言って良い程興奮を隠し切れて無いぞ。]

 

「…オーイ、ケンカ吹っ掛けておいて堂々と無視とはいい度胸してんじゃねぇかよコラ、しかもなーに一人でブツブツ言ってんだオイ…。」

 

[ヴァーリ、言ってもお前は聞かないだろうが目の前の相手はあの男ですら危険と言った相手だ。くれぐれもバカなマネは…。]

 

「分かっている。少し遊んでいくだけさ、試したい事もあるしね。」

 

「……あのよぉ、さっきから人を無視しといてよぉ………勝手な事言ってんじゃねぇぞゴラァッ!」

 

ヴァーリの態度に機嫌が悪くなったのか、跳躍してヴァーリの元に接近しソードブリンガーを振り降ろすマルス。

ヴァーリは即座に横に移動して魔力弾を放つが、マルスのアップルリフレクターによって防がれる。

 

重力に従って落ちていくマルスの着地する瞬間を狙い、上空から一気に加速して接近戦を仕掛けるヴァーリ。

足が地に着く後数秒と言った所に、高速で接近してきたヴァーリの攻撃にマルスは盾を構えようとしたが、構えるよりも早くヴァーリの拳がマルスの胸部に突き刺さり、足がまだ地に着いていないのも有って吹き飛ばされていった。

 

「イツツ、野郎……少しは出来るみてぇじゃねえか…。」

 

[ヴァーリ。半減をするなら前に言った通り力を取り込む前に…。]

 

「吐き出して相手を消耗させる。だろ?」

 

[Divide!Divide!Divide!]

 

前回のデュークとの戦闘において、半減によって奪い取った力が害となるなら取り込む前に吐き出せばいい。そうすれば長所である半減の効果の半分は損なわれるが、相手の弱体化は確実に狙える。

これがヴァーリとアルビオンが対仮面ライダー用に講じた手であり、今その成果をマルス相手に実践しようと半減を行ったが。

 

「?……オイ、今なんかしたか?」

 

「何!?」

 

[半減の力が効いてないだと!?どういう事だ!?]

 

首を傾げ何とも無い様に振る舞うマルスを目に半減が効かない事を察するヴァーリとアルビオン。

 

「さっきから何したいんだが分からねえが、取りあえずさっき貰った一発分は返すぜ…倍返しでなぁ!」

 

<< ゴールデン・スカッシュ! >>

 

カッティングブレードを倒し自身の周りに金のリンゴを模した巨大なエネルギー球体を生成。そしてそのままヴァーリの元へ放ち、巨大な炎と爆発音が上がるが爆炎の中から翼を広げたヴァーリが飛翔したが、ダメージは免れなかったらしく、鎧に皹が入っていた。

 

[この攻撃、神性の力が宿っている。だから半減の力が効かなかったのか…。

…いや待て、果実を模った鎧に、神の力……!、ま、まさか!]

 

「どうしたアルビオン、一体何をそんなに動揺してる?」

 

[ヴァーリ!今すぐ逃げろ!もしヤツがアレの力を使っているのだとしたら…。]

 

「さっきからホント独り言が多い奴だな、気味が悪いぜ…。」

 

「っ!」

 

アルビオンからの忠告に気を取られたのか、眼前に迫って来たマルスに声を掛けられるまで接近されたことに気付かず、ソードブリンガーの突きが左の脇腹部に刺さり、鎧で貫通は防げたが剣はヴァーリの腹部に届き、マルスと共に落ちていき地面へ叩き付けられた。

 

「ぐぅッ…。」

 

「ふぅー、こうすりゃちょこまか空は飛べねえな。」

 

仰向けに倒れてるヴァーリを足で抑え付け剣を引き抜くマルス。

刺された傷口から血が流れてるなか、時間稼ぎを狙ってかアルビオンはマルスへと話し掛ける。

 

[…おい金色の、お前が使ってるその力について聞きたい事が有る。]

 

「あ?つか何だ、もしかして鎧自身が喋ってんのかコレ?…。」

 

[お前の問いに関してはそうだと言っておこう。それよりも聞きたい。

お前が今着けているベルトに嵌っている錠前のようなモノ、それはもしや知恵の実の力ではないのか?]

 

「知恵の実、だと?…。」

 

アルビオンの言葉にヴァーリが反応する。

ヴァーリが気になっている事に感づいたのか、アルビオンの言う知恵の実について語り出した。

 

[あぁ、かつてアダムとイブが手を出した禁断の果実。生命誕生の源。

この金色のとあの男が使ってる果実の鎧に最初は可笑しな造形だと思ったが、この男から感じる神性の力は知恵の実の力ならば説明が付く……これは本来あまり語られる事は無く、今では空想の産物のモノとされているが、それがもし知恵の実ならばその力は危険すぎる、それこそ世界のパワーバランスを動かす程の強大な力だ。

してどうなんだ?お前が使ってるそれは知恵の実の力なのか!?]

 

アルビオンの言葉にヴァーリは鎧の下で思わず絶句する。

今剣を突き立てている存在が、神と言っても過言では無い程の相手だと言う事に。だがマルスは。

 

「……へぇー、コレそんな大層なモンだったのか…いや今初めて聞いたぜ。」

 

[何も知らずに使っていただと!?もしあの男もそうだとしたらなんて奴等だ!

人間が踏み込むべき領域を超えてるどころの話では済まされないぞ!]

 

「とは言われてもなぁ、実際こうして難無く普通に使ってる訳だし……それよりもそろそろお喋りは良いか?」

 

足の踏み込む力を強くし、ヴァーリから苦痛の声が漏れるなかソードブリンガーを頭上に上げる。

 

「そろそろ終わりにしようや、楽しいお喋りだったぜ。真っ白いの!」

 

ヴァーリに向けて剣を振り降ろすマルス。

剣はそのままヴァーリの体に触れ、鎧を壊し、体に切り傷を作って盛大に血を流す…筈だった。

 

 

 

 

 

「……あ?」

 

剣が触れたのはヴァーリでは無く地面にそのまま突き刺さり、不意に後ろを振り返るとヴァーリを肩に担いだ美猴が冷や汗を搔きながらマルスを見ていた。

 

「美猴…。」

 

「たっくよぉ、オレはお前の回収係じゃねぇんだぜぇ?

…そう言う訳で金ピカの兄ちゃんよぉ、ここはすんなり見逃がしちゃあくんねぇか?」

 

「ダメに…決まってんだろうが!」

 

「だよなッ…!」

 

マルスが剣を振るって斬撃を飛ばす、ヴァーリ達の居た所は炎に包まれるが炎から一つの影が飛びだして行ったのがマルスの目に写り、目を凝らして見ると金色の雲に乗っているであろう二つの人影で逃げられたのだとマルスは舌打ちをする。

 

ヴァーリと美猴を逃がした事に苛立ちを感じているマルスだが、空を見上げると此方に向かって来る大勢の悪魔と救援に来た堕天使を目に仮面の下で機嫌を良くしたかのように笑いを込み上げる。

 

「まぁいいや、少なくともまだ数は要るみてぇだし……暴れてやるかぁ!!!」

 

悪魔の大群へ向かって駆けだし、やがてこの悪魔の軍勢が全滅するのに時間は差ほど掛からなかったと言われている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の冥界で起きたファントムと呼ばれる怪人、及び一部の目撃証言で確認された仮面ライダーと思われる人物によって起こった襲撃事件。

 

 

 

悪魔、堕天使共に死傷者、重軽症者、行方不明者多数。

 

 

 

 

三大勢力の戦争以来、数多くの血が流れ命を落としたこの事件は後の歴史に語られるほどになり。

冥界はこの事件以降、数多くの悪魔、堕天使を凌駕したファントム、仮面ライダーの脅威を思い知らされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてこの事件の知らせを受けた悠は

 

 

 

 

 

「………。」

 

深夜の自室にて一人、今後の戦闘について考えていた。

 

(此方の戦力は、二人。対して向こうは三人とプラスα…そしてロイミュードとファントムの軍勢…。

今回の奴等の行動で戦力はかなり増えた…圧倒的に数では此方が不利、立ち向かうのに求められるのは…質。)

 

悠は机の上に並べられてるモノへと目を向ける。

 

一つは未だ使った事の無いアドベントカード。もう一つはこの世界に来て、蛇と呼ばれる男から渡されたロックシード。

 

そして、白いバイクと赤いスポーツカーが合わさったサイドカーらしきシフトカー。

 

(これは秋のレベルアップを急がせた方が良いかもしれん。アイツが…デッドゾーンに至ることが出来なかったら、この戦い…俺達は負ける…。)

 

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